JP2016166139A - 希土類錯体及び発光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、希土類錯体及び発光素子に関する。
強発光性の希土類錯体は、高い色純度を示すことから、ディスプレイ及びフルカラー発光印刷など、様々な分野でその応用展開が期待されている(例えば、非特許文献1)。希土類錯体として、例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトナト(hfa)誘導体及びホスフィンオキシド化合物を配位子として有するユーロピウム錯体が報告されている(非特許文献2)。
RSC Adv., 2015, 5, pp 338-353
J. Phys. Chem. A, 2003, 107, pp 1697-1702
Spectrochim. Acta Part A, 1997, 53, pp 1813-1824
Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1993, pp 31-36
強発光性の希土類発光体の励起波長帯(吸収波長)は、一般に400nm以下である。一方、白色LED光源の発光体の励起波長は、多くの場合、青色LEDで励起する可視光域の450nmである。希土類発光体を青色LEDで励起することが可能となれば、高演色性に優れる利点から、新たな市場の創出が期待される。
本発明の主な目的は、可視光を用いた励起により効率的に発光する、新規な希土類錯体を提供することにある。
本発明の一側面は、希土類原子と、該希土類原子に配位している配位子と、を備える希土類錯体に関する。前記配位子が、縮合多環芳香族基を有する化合物を含んでいる。前記縮合多環芳香族基が、式(1)で表される縮合多環芳香族化合物から式(1)中の縮合芳香環に結合している水素原子を除いた残基である。前記縮合多環芳香族化合物が、式(1)中の縮合芳香環に結合している置換基を有していてもよい。
式(1)中、Ar1及びAr2は、水素原子、又は、互いに結合して1個の芳香環、若しくは2個以上の芳香環を含む縮合芳香環を形成している基を示す。
本発明はまた、上記希土類錯体を含む発光素子に関する。係る発光素子は、白色LED、光干渉断層計の光源等の各種光源として有用である。
本発明によれば、可視光(例えば、420〜480nm)を用いた励起により効率的に発光する、新規な希土類錯体が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る希土類錯体は、希土類原子と、該希土類原子に配位している複数の配位子とを有する。
希土類原子は、例えば、ユーロピウム(Eu)、ネオジム(Nd)、及びイッテルビウム(Yb)から選ばれる。希土類錯体中の希土類原子は、通常、イオン化しており、例えば、ユーロピウムは3価の陰イオン(Eu3+)として錯体を形成している。
希土類錯体の配位子は、配位性官能基と配位性官能基に結合している縮合多環芳香族基とを有する化合物(以下、「増感化合物」ということがある。)を含む。配位性官能基は、希土類原子に配位し得る基であれば特に制限されないが、例えばホスフィンオキシド基であってもよい。ホスフィンオキシド基を有する増感化合物の一般構造は、例えば下記式(10)で表すことができる。
式(10)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基、又は直鎖若しくは環状脂肪族基を示し、R1、R2及びR3のうち少なくとも1個(典型的には1個)は、上記縮合多環芳香族基である。上記縮合多環芳香族基以外のR1、R2及びR3は、置換基を有していてもよい芳香族基(フェニル基等)であってもよい。
上記縮合多環芳香族基は、式(1)で表される縮合多環芳香族化合物から式(1)中の縮合芳香環に結合している水素原子を除いた残基である。この縮合多環芳香族化合物(及び、これから誘導される縮合多環芳香族基)は、式(1)中の縮合芳香環に結合している置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
式(1)中、Ar1及びAr2は、水素原子、又は、互いに結合して1個の芳香環、若しくは2個以上の芳香環を含む縮合芳香環を形成している基を示す。Ar1及びAr2が互いに結合して、Ar1及びAr2が結合する6員環と縮合する1個の6員環を形成していてもよいし、Ar1及びAr2が互いに結合して、直列的に配列された2個以上の6員環から構成される縮合芳香環を形成していてもよい。式(1)の縮合多環芳香族化合物が有する6員環の総数は、3〜6個であってもよい。ここで「直列的に配列される」とは、1個の芳香環が3個以上の他の芳香環と縮合しないように、複数の芳香環が順次縮合していることを意味する表現である。この表現は、複数の芳香環が直線的に配列している縮合環に限られず、例えば複数の芳香環が螺旋状に配列している縮合環も含む。
Ar1及びAr2が互いに結合して形成する芳香環又は縮合芳香環は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、又はフェナントレン環であってもよい。式(1)の縮合多環芳香族化合物及びこれから誘導される縮合多環芳香族基が有する縮合芳香環の水素原子が、1個以上の置換基によって置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、メチル基がある。
式(1)の縮合多環芳香族化合物の残基は、例えば下記式(1a)で表される1価の基であってもよい。式(1a)中のAr1及びAr2は、式(1)中のAr1及びAr2と同様に定義される。式(1a)中の縮合芳香環に置換基が結合していてもよい。
式(1)の縮合多環芳香族化合物の具体例は、以下の式(1−3)、(1−4)、(1−5)又は(1−6)で表される化合物である。螺旋状に連結した6員環(ベンゼン環)から構成されるこれらの縮合多環芳香族化合物は、ヘリセンと称されることがある。
式(1)で表される縮合多環芳香族化合物から誘導される縮合多環芳香族基は、全体として直線的でなく、ねじれた方向に沿って芳香環が連結している部分を含んでいることから、可視光の励起による効率的な希土類錯体の発光を可能にしている。このことは、以下のように、密度汎関数法(DFT法)によるエネルギーの計算から、裏付けられる。
一般に、希土類錯体における希土類イオンの発光は、i)有機分子(通常は配位子)の励起一重項(S1)状態への遷移に基づく光捕集、ii)S1状態から励起三重項(T1)状態への項間交差、及び、iii)T1状態から希土類原子へのエネルギー移動を経て起きる。T1状態の配位子から希土類原子へのエネルギー移動が効率的に起こるためには、希土類イオンの励起状態エネルギーよりも、配位子のT1状態のエネルギーが十分に高いことが必要である。また、S1状態とT1状態の項間交差にともなうエネルギー損失を小さくするためには、S1状態とT1状態のエネルギー差ができる限り小さいことが望ましい。
拡張したπ共役系を有する縮合多環芳香族化合物は、S1状態とT1状態のエネルギー差が小さくなりやすい傾向を有している(非特許文献3)。例えば、図1は、下記式で表される、直線的な方向に沿って配列された2〜6個の6員環(ベンゼン環)からなる縮合多環芳香族化合物の、S1状態とT1状態のエネルギーの計算結果を示すグラフである。図1の(a)は、S1状態又はT1状態のエネルギーと、ベンゼン環の数との関係を表す。図1の(b)は、S1状態とT1状態のエネルギー差と、ベンゼン環の数との関係を表す。図1の(a)は、Eu3+及びNd3+の励起状態エネルギーもあわせて示す。
図1の(b)は、ベンゼン環の数が増えたときに、S1状態とT1状態のエネルギー差が小さくなる明らかな傾向を示唆している。また、光捕集能も増大することが示唆される。しかし、図1の(a)に示されるように、直線的な方向に沿って配列されたベンゼン環の数が3個以上になると、T1状態のエネルギーがEu3+の励起状態エネルギーよりも低くなり、T1状態の分子から希土類原子へのエネルギー移動が起こり難くなることが示唆される。
図2は、式(1−3)、(1−4)、(1−5)又は(1−6)で表されるヘリセンに関して、S1状態とT1状態のエネルギーを示すグラフである(非特許文献4)。図2の(a)は、S1状態又はT1状態のエネルギーと、ベンゼン環の数との関係を表す。図2の(b)は、S1状態とT1状態のエネルギー差と、ベンゼン環の数との関係を表す。これらのヘリセンも、ベンゼン環の数が増えたときに、S1状態とT1状態のエネルギー差が小さくなる傾向を有していることがわかる(図2の(b))。さらに、図2の(b)に示されるように、ベンゼン環の数が増えたときであっても、T1状態のエネルギーがEu3+の励起状態エネルギーよりも高いことが確認された。例えば、式(1−5)で表される化合物(ペンタヘリセン)のHOMO−LUMOのT1状態のエネルギーの計算値は、19610cm−1であり、Eu3+の励起エネルギー17250cm−1よりも高い値であった。
以上のような計算結果は、式(1)で表されるような、ねじれた方向に沿って配列された芳香環から構成される部分を含む縮合多環芳香族化合物(例えば、ヘリセン)から誘導された置換基を有する増感化合物が、希土類錯体の可視光励起による強い発光に寄与することを強く支持している。
いくつかの実施形態に係る希土類錯体の配位子は、上記増感化合物以外の化合物を更に含み得る。例えば、配位子が、式(2)で表されるアセルチアセトナトを更に含んでいてもよい。アセチルアセトナトを配位子として有する希土類錯体は、強発光等の観点でより一層優れた特性を有し得る。
式(2)中、R4及びR5は、それぞれ独立にアルキル基又はフルオロアルキル基を示す。R1及びR2は、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基であってもよい。
式(1)の増感化合物及び式(2)のアセチルアセトナトを配位子として有する希土類錯体は、例えば、下記式(5)で表される。式(5)中のMは希土類原子を示し、Helは上述の縮合多環芳香族基を示す。式(5)中のR1及びR2は、それぞれ独立に、上述の縮合多環芳香族基であってもよいし、これ以外の置換基、例えば置換基を有していてもよい芳香族基、又は直鎖若しくは環状脂肪族基であってもよい。式(5)中のR4及びR5は、式(2)中のR4及びR5と同様に定義される。
本実施形態に係る希土類錯体に関して、例えば縮合多環芳香族基の構造、置換基の種類、溶媒の種類等を変えることで、励起波長帯を、例えば420〜480nmの可視光域を含む高い自由度で制御することができる。また、高い演色性の発光を容易に得ることもできる。そのため、本実施形態に係る希土類錯体を含む発光素子は、例えば、青色LED励起型の白色LED素子、光干渉断層計(OCT)の光源への応用が期待される。いくつかの実施形態に係る希土類錯体は、140nm以上又は200nm以上の広い帯域幅の光源を低コストで提供し得る。帯域幅は、例えばOCTの解像度に直接影響し、広い帯域幅の光源によって高い解像度が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.希土類錯体の合成
(1)2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルの合成
下記反応によって、2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルを合成した。
(1)2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルの合成
下記反応によって、2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルを合成した。
容積50mLのナス型フラスコ中で、2,2−ジメチル−1,1−ビナフチル(0.51g、1.8mmol)を四塩化炭素(10mL)に溶解した。そこにN−ブロモスクシンイミド(NBS)(3.6g、20mmol)及びベンゾイルパーオキサイド(BPO)(0.06g)を加え、77℃で40時間還流した。還流後、余剰のNBSをろ過によって除去した。ろ液に対して、ジクロロメタン及び飽和食塩水による抽出操作を3回行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。ろ液から、エバポレーターを用いて溶媒を除去した。残渣の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン=8/2)で精製し、得られた精製物を乾燥させて、2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチル(0.81g、1.4mmol)を得た(収率75%)。
Rf = 0.40(SiO2;トルエン/石油エーテル=0.5/9.5)、又はRf = 0.80(SiO2;CH2Cl2/ヘキサン=2/8)
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm):6.21(s, 2H); 6.98(d, 2H, J=8Hz); 7.28-7.33(m, 2H); 7.51-7.56(m, 2H); 7.95(d, 2H, J=8Hz); 8.15(d, 2H, J=9Hz); 8.23(d, 2H, J=8Hz)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H14Br4 [M+] = calcd: 597.78; found: 597.84.
Rf = 0.40(SiO2;トルエン/石油エーテル=0.5/9.5)、又はRf = 0.80(SiO2;CH2Cl2/ヘキサン=2/8)
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm):6.21(s, 2H); 6.98(d, 2H, J=8Hz); 7.28-7.33(m, 2H); 7.51-7.56(m, 2H); 7.95(d, 2H, J=8Hz); 8.15(d, 2H, J=9Hz); 8.23(d, 2H, J=8Hz)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H14Br4 [M+] = calcd: 597.78; found: 597.84.
(2)7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンの合成
下記反応によって、2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルから7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンを合成した。
下記反応によって、2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチルから7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンを合成した。
2,2−ビス(ジブロモエチル)−1,1−ビナフチル(0.81g、1.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド10mLに溶かして、溶液を調製した。この溶液を、容積100mLのナス型フラスコ中で、氷水によって0℃まで冷却しながら、5分間撹拌した。その後、カリウム tert−ブトキシド(2.6g、23mmol)を少しずつ加えた。溶液が薄い黄色から茶色へと変化したのを確認した後、溶液をさらに15分撹拌した。撹拌後、溶液を0.12Mの塩酸100mLに注ぐと、白色の沈殿が析出した。6Mの塩酸を徐々に加えて溶液のpHを1に調整した後、吸引ろ過を行った。回収された沈殿物をメタノールで数回洗浄し、真空デシケーターを用いて乾燥させて、7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンの白色固体(0.54g、1.2mmol)を得た(収率75%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm): 7.21-7.27(m, 2H); 7.50-7.59(m, 2H); 7.93-8.01(m, 4H, J=8Hz); 8.24(d, 2H, J=9Hz); 8.46(d, 2H, J=9Hz)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H12Br2 [M+] = calcd: 435.93; found: 435.96.
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm): 7.21-7.27(m, 2H); 7.50-7.59(m, 2H); 7.93-8.01(m, 4H, J=8Hz); 8.24(d, 2H, J=9Hz); 8.46(d, 2H, J=9Hz)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H12Br2 [M+] = calcd: 435.93; found: 435.96.
(3)7−ブロモ−[5]−ヘリセンの合成
下記反応によって、7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンから7−ブロモ−[5]−ヘリセンを合成した。
下記反応によって、7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンから7−ブロモ−[5]−ヘリセンを合成した。
アルゴン置換した容積50mLのナス型フラスコに、7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセン(0.53g、1.2mmol)及び亜鉛末(0.43g、6.6mmol)を加え、7,8−ジブロモ−[5]−ヘリセンを酢酸(40mL)に溶かした。130℃で5時間の還流の後、余剰の亜鉛末をろ過によって除去した。ろ液を除冷することにより、綿状の結晶が析出した。この結晶を、吸引ろ過によって回収し、メタノールで数回洗浄した。得られた結晶を真空デシケーターで乾燥させて、7−ブロモ−[5]−ヘリセンの結晶(0.37g、1.0mmol)を得た(収率75%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm): 7.22-7.29(m, 2H); 7.50-7.56(m, 2H); 7.78(d, 1H, J=8Hz); 7.92-8.02(m, 4H); 8.19(s, 1H); 8.34-8.38(m, 2H); 8.42-8.47(m, 1H)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H13Br [M+] = calcd: 356.02; found: 356.07.
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, TMS, ppm): 7.22-7.29(m, 2H); 7.50-7.56(m, 2H); 7.78(d, 1H, J=8Hz); 7.92-8.02(m, 4H); 8.19(s, 1H); 8.34-8.38(m, 2H); 8.42-8.47(m, 1H)
MS(EI, 2000V): m/z for C22H13Br [M+] = calcd: 356.02; found: 356.07.
(4)[5]−ヘリセン−ジフェニルホスフィンオキシド(HPO)の合成
下記反応によって、7−ブロモ−[5]−ヘリセンから[5]−ヘリセン−ジフェニルホスフィンオキシドを合成した。
下記反応によって、7−ブロモ−[5]−ヘリセンから[5]−ヘリセン−ジフェニルホスフィンオキシドを合成した。
容積50mLの2口フラスコをフレームドライした。そこに、7−ブロモ−[5]−ヘリセン(84.3mg、0.24mmol)を入れた。フラスコ内をアルゴン置換した後、無水水THF(10ml)を加えてから、フラスコを液体窒素により80℃まで冷却した。続いて、1.6Mのn−BuLi(0.25mL、0.4mmol)を、シリンジを用いてゆっくり滴下した。溶液が黄色に変化したことを確認した後、フラスコを室温に戻してから溶液をさらに3時間撹拌すると、溶液がオレンジ色に変化した。再度、液体窒素によりフラスコを80℃まで冷却し、クロロジフェニルホスフィン(80μL、 3.57mmol)をマイクロシリンジを用いてゆっくり滴下した。そのままの温度で2時間撹拌した後、溶液を、室温に戻して終夜撹拌した。その後、溶液に対して、ジクロロメタン及び飽和食塩水を用いた抽出操作を3回行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え、有機層をろ過した。ろ液からエバポレーターを用いて溶媒を除去した。それにジクロロメタン20mLと過酸化水素1mLを加え、5時間攪拌した。その後、溶液に対して、ジクロロメタン及び飽和食塩水を用いた抽出操作を3回行った。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え、有機層をろ過した。ろ液からエバポレーターを用いて溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、黄色のオイル状生成物([5]−ヘリセン−ジフェニルホスフィンオキシド、HPO)を得た(収率75%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, ppm): 7.22-7.30(m, 3H); 7.45-7.59(m, 8H); 7.63-7.83(m, 6H); 7.88-8.00(m, 3H); 8.37-8.40(m, 2H); 8.64(d, 2H, J=9Hz)
MS(ESI+): m/z for C34H23OP [M+Na]+ = calcd: 501.14; found: 501.14
1H-NMR(CDCl3, 400MHz, ppm): 7.22-7.30(m, 3H); 7.45-7.59(m, 8H); 7.63-7.83(m, 6H); 7.88-8.00(m, 3H); 8.37-8.40(m, 2H); 8.64(d, 2H, J=9Hz)
MS(ESI+): m/z for C34H23OP [M+Na]+ = calcd: 501.14; found: 501.14
(5)式(5−5)で表されるユーロピウム錯体(Eu(hfa)2(HPO)3)の合成
容積50ml容のナス型フラスコ中で、オイル状のHPOをメタノール10mLに溶かした。そこに、Eu(hfa)3(H2O)2(42mg、0.52mmol)を加え、60℃で4時間還流した。還流後、エバポレーターを用いて溶媒を除去して、粗生成物を得た。余剰なEu(hfa)3(H2O)2及びHPOを除去するため、粗生成物をクロロホルムに溶かし、得られた溶液を冷却してから、ろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を除去することで、黄色いオイル状の生成物(Eu(hfa)2(HPO)3)を得た。
MS(ESI+): m/z for C83H49EuF18O8P2 [M-hfa]+ = calcd: 1523.19; found: 1523.10
容積50ml容のナス型フラスコ中で、オイル状のHPOをメタノール10mLに溶かした。そこに、Eu(hfa)3(H2O)2(42mg、0.52mmol)を加え、60℃で4時間還流した。還流後、エバポレーターを用いて溶媒を除去して、粗生成物を得た。余剰なEu(hfa)3(H2O)2及びHPOを除去するため、粗生成物をクロロホルムに溶かし、得られた溶液を冷却してから、ろ過した。得られたろ液をエバポレーターで溶媒を除去することで、黄色いオイル状の生成物(Eu(hfa)2(HPO)3)を得た。
MS(ESI+): m/z for C83H49EuF18O8P2 [M-hfa]+ = calcd: 1523.19; found: 1523.10
2.光物性評価
(1)発光スペクトル(励起光:375nm)及び励起スペクトル
Eu(hfa)2(HPO)3の発光スペクトル及び励起スペクトルを測定した。溶媒としてジクロロメタンを用いた。発光スペクトルは、励起波長を375nmに設定して測定した。励起スペクトルは、検出波長を613nmに設定して測定した。
(1)発光スペクトル(励起光:375nm)及び励起スペクトル
Eu(hfa)2(HPO)3の発光スペクトル及び励起スペクトルを測定した。溶媒としてジクロロメタンを用いた。発光スペクトルは、励起波長を375nmに設定して測定した。励起スペクトルは、検出波長を613nmに設定して測定した。
図3は、Eu(hfa)2(HPO)3の発光スペクトル及び励起スペクトルである。発光スペクトルにおいて、445nm付近のブロードな発光帯、及び578nm、613nm、651nm、699nmにシャープな発光帯が観測された。前者はヘリセン配位子(HPO)のπ−π*遷移に由来した発光帯に、後者はEu3+イオンの4f−4f遷移に由来した発光帯に帰属される。励起スペクトルにおいて、ヘリセンの電子吸収ピークに対応したピークが388nm、398nm、及び422nmに観測された。このスペクトルは、340nm付近のピークを有するEu(hfa)3(TPPO)2とは大きく異なっている。
(2)発光スペクトル(励起光:可視光)
Eu(hfa)2(HPO)3に可視光(450nm、475nm、又485nm)を照射したときのEu3+イオンの発光を確認した。図4は、このときの発光スペクトルである。図4に示されるように、ヘリセン基を含む配位子を導入することで、Eu発光に関して可視域に光増感領域を有する希土類錯体が得られることが確認された。
Eu(hfa)2(HPO)3に可視光(450nm、475nm、又485nm)を照射したときのEu3+イオンの発光を確認した。図4は、このときの発光スペクトルである。図4に示されるように、ヘリセン基を含む配位子を導入することで、Eu発光に関して可視域に光増感領域を有する希土類錯体が得られることが確認された。
(3)溶媒の影響
溶媒としてクロロホルム、ジクロロメタン、ヨードメタン、又はメタノールを用いて、Eu(hfa)2(HPO)3の発光スペクトル及び励起スペクトルを測定した。発光スペクトルは、励起波長を375 nmに設定して測定した。励起スペクトルは、検出波長を613nmに設定して行った。
溶媒としてクロロホルム、ジクロロメタン、ヨードメタン、又はメタノールを用いて、Eu(hfa)2(HPO)3の発光スペクトル及び励起スペクトルを測定した。発光スペクトルは、励起波長を375 nmに設定して測定した。励起スペクトルは、検出波長を613nmに設定して行った。
図5は発光スペクトルであり、図6は励起スペクトルである。表1は、スペクトルから得られた光物性パラメータ、及び溶媒の比誘電率を示す。
表中、a、bは発光スペクトルをフィッティングして算出した。aは、HPOの発光面積/Eu3+イオンの5D0→7F1の発光面積の値である。bは、HPOのπ−π*遷移の発光面積/Eu3+イオンの5D0→7F1の発光面積の値である。cは、HPOのπ−π*遷移の発光面積が微弱でSN比が低く、算出困難であったことを示す。dは、HPO由来の発光ピークである。e(λEx)は、励起スペクトルの最長波長ピークである。
メタノール中では、HPOの発光強度に対するEu3+イオンの発光強度の比が非常に小さかった。
ヨードエタン中ではヘリセンのπ−π*遷移に由来した発光はほとんど観測されなかった(図5)。これは、ヨウ素による外部重原子効果によりkiscが増大(kpも増大)した結果、HPOの発光が消失したためであると考察される。さらに、他の溶媒と比べてEu発光に対するHPOによる光増感能が非常に強かった(図6)。これは、外部重原子効果の影響だけでなく、配位子の励起状態(T1)の、Eu3+イオンの励起エネルギーに対する相対的なエネルギーが、溶媒−溶質間の相互作用(双極子−双極子相互作用)の違いによって変化することの影響も受けたものと考えられる。この相互作用はS1状態とT1状態とで類似するため、T1状態においても、ヨードエタン中では、他の溶媒中よりもエネルギーが高くなると考えられる(表1、λEx=S1のエネルギーに相当)。
5D0→7F2/5D0→7F1の比は、溶媒により大きく異なっており、この比に関して、ヨードエタンが最も大きな値を示した。この結果は、例えば、ヨードエタン中では、他の溶媒中と比較して配位子のS1状態のエネルギーが大きく異なるということを考慮すると、配位子が込み合っていること、ヨードエタンは他の溶媒よりも1つ多いアルキルを有すること、それによってHPOが周囲の溶媒分子(ヨードメタン)との双極子双極子相互作用が最も強くなるような配向をとりづらいことを原因としていると推察される。
ππ*/5D0→7F1の比は、クロロホルム中で、ジクロロメタン中よりも高い値を示した。これは、ジクロロメタンの方が重原子効果が弱いことから、励起状態エネルギーが低いにも関わらず、エネルギー移動効率が高いことを示唆している。これは、例えば、溶媒によるHPO配位子とEu3+イオンの配向の違い、及び、電気双極子遷移の大きさの違いなどに起因するものと考えられる。
本発明に係る希土類錯体及びこれを含む発光素子は、青色LED型の白色LED、OCT用光源として有用である。また、溶媒の種類による発光特性の変化を利用した溶媒センサー、温度変化特性を利用した温度センサー、さらには円偏光発光体への応用も期待される。
Claims (4)
- 前記縮合多環芳香族化合物が、3〜6個の縮合した6員環を有し該6員環に結合している置換基を有していてもよいヘリセンである、請求項1に記載の希土類錯体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の希土類錯体を含む、発光素子。
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