JP5979647B2 - 金属錯体、発光素子、表示装置 - Google Patents

金属錯体、発光素子、表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、ルミネッセンスを示す金属錯体(特に、シクロメタル化錯体)に関する。また本発明は、前記金属錯体を含む発光素子および表示装置も提供する。
表示装置用の有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子において、従来は、一重項励起状態からの発光(即ち、蛍光)が利用されていた。この場合、25%の発光効率が最大であり、非常に発光効率が悪かった。そこで、発光効率を上げる方法として、三重項励起状態からの発光(即ち、リン光)を利用することが提案されている。リン光を利用する場合、原理的には100%の発光効率が可能となる。
イリジウムにフェニルピリジンがシクロメタル化した金属錯体が、室温でも高い効率でリン光を生じることが報告されている。それ以来、リン光発光材料の研究は、ほとんどイリジウム錯体を対象として行われているため、それ以外の金属錯体の発光素子としての可能性の評価は、まだ十分にはなされていない。
本発明者らは、3,5−ジメチルピラゾールを用いた混合金属錯体の合成を試みて、紫外光を照射すると非常に強い発光を示す金属錯体の単離に成功した。この金属錯体の発光測定の結果、Ptおよび銀を含む混合金属錯体は、リン光性の青色発光を示し、しかも固体状態および溶液中の発光量子収率がそれぞれ0.85および0.51と、フェニルピリジン−イリジウム錯体より高いことがわかった。この金属錯体の発光特性は、有機EL素子の発光材料として現在まで知られている化合物のうちの最良の発光特性を有する材料と比較しても、遜色がない。
また、本発明者らは、これまでに様々な置換基を持つピラゾールを用いて、一連の混合金属錯体を合成し、固体発光量子収率が高い金属錯体もいくつか開発してきた(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008−81401号公報
有機EL素子の分野では、低エネルギーで励起させることができる金属錯体が求められている。本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、ルミネッセンスを示し、且つ従来のピラゾラトが架橋した混合金属錯体よりも低エネルギーで励起させることができる金属錯体を提供すること、言い換えると、ルミネッセンスを示し、且つ従来のピラゾラトが架橋した混合金属錯体の光吸収帯(約250〜350nm)よりも光吸収帯が長波長側にシフトした金属錯体を提供することである。
また、有機EL素子の分野では、一般に、スピンコート法または蒸着法などによって発光層が形成される。スピンコート法で発光層を形成する場合、金属錯体には、有機溶媒に対する優れた溶解性が求められる。本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、さらなる目的は、クロロホルム等の有機溶媒に対する溶解性に優れた金属錯体を提供することである。
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、下記のシクロメタル化錯体は、従来のピラゾラト錯体よりも光吸収帯が長波長側にシフトし、且つクロロホルム等の有機溶媒に対する溶解性に優れていることを見出した。このような知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] 式(1):
[(MII)(L)(L)] (1)
[式(1)中、MIIは、PtIIまたはPdIIを示す。
は、式(L−1):
Figure 0005979647
{式(L−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはRおよびRまたはRおよびRが結合して、ベンゼン環と共に、置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環を形成する。}
で表される2価のアニオン性配位子を示す。
は、式(L−2a):
Figure 0005979647
{式(L−2a)中、Rは、2価の基を示す。
Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示す。}
で表される配位子を示す。]
で表され、且つLが、そのピラゾール環のN原子およびベンゼン環のC原子でMIIにキレート配位したシクロメタル化錯体。
[2] Lが、式(L−2b):
Figure 0005979647
{式(L−2b)中、nは、1〜10の整数を示す。
n個のRおよびn個のRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基を示す。
Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示す。}
で表される配位子を示す、上記[1]に記載のシクロメタル化錯体。
[3] n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である上記[2]に記載のシクロメタル化錯体。
[4] MIIが、PtIIである上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のシクロメタル化錯体。
[5] Rが、水素原子またはハロゲン原子である上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のシクロメタル化錯体。
[6] Rが、置換基を有していてもよいフェニル基である上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のシクロメタル化錯体。
[7] Ar〜Arが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基である上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載のシクロメタル化錯体。
[8] 上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載のシクロメタル化錯体を含む発光層を有する発光素子。
[9] 上記[8]に記載の発光素子を有する表示装置。
なお以下では、「式(1)で表されるシクロメタル化錯体」を「シクロメタル化錯体(1)」と略称することがある。他の式で表される配位子等も同様に略称することがある。
本発明のシクロメタル化錯体(1)の光吸収帯は、従来のピラゾラトが架橋した混合金属錯体よりも長波長側にシフトしており、低エネルギーで励起させることができる。また、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、クロロホルム等に対する溶解性に優れている。
本発明の発光素子の一例を示す模式断面図である。 実施例1のシクロメタル化錯体(1)の構造を示すORTEP図である。 実施例1のシクロメタル化錯体(1)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトルである(錯体濃度:5.01×10−6M、1.00×10−5M、1.50×10−5M、2.01×10−5Mおよび5.01×10−5M)。 実施例1のシクロメタル化錯体(1)の固体状態の発光スペクトルである(励起光の波長:355nm、測定温度:298K)。 実施例2のシクロメタル化錯体(1)の構造を示すORTEP図である。 実施例2のシクロメタル化錯体(1)のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトルである(錯体濃度:4.98×10−6M、9.95×10−5M、1.49×10−5M、1.99×10−5Mおよび4.98×10−5M)。 実施例2のシクロメタル化錯体(1)の固体状態の発光スペクトルである(励起光の波長:355nm、測定温度:298K)。
本発明のシクロメタル化錯体(1)は、Lが、そのピラゾール環のN原子およびベンゼン環のC原子でMIIにキレート配位したシクロメタル化錯体であることを特徴の一つとする。ここでシクロメタル化錯体とは、少なくとも一つの金属−炭素結合を含む環状構造を有する金属錯体を意味する。シクロメタル化錯体(1)のシクロメタル化した部分の構造は、式(1C)で表される。
Figure 0005979647
本発明のシクロメタル化錯体(1)は、シクロメタル化することによってピラゾール環とベンゼン環がほぼ同一平面上にならび、π共役系が拡張するため、本発明のシクロメタル化錯体(1)のLUMOが低下する。その結果、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、低いエネルギーで励起させることができる。金属錯体がシクロメタル化錯体であるか否かは、X線結晶構造解析によって確認することができる。また、13C NMRを用いてMIIとベンゼン環のC原子との結合の有無を確認することによっても、シクロメタル化錯体であるか否かを確認することができる。
また、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、配位子(L−2a)を有することを特徴の一つとする。配位子(L−2a)が存在することによって、本発明のシクロメタル化錯体(1)はクロロホルム等に対して優れた溶解性を示す。そのため、本発明のシクロメタル化錯体(1)を用いれば、スピンコート法によって、容易に発光層を形成することができる。
さらに、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、PF 等のカウンターアニオンを有さないことを特徴の一つとする。カウンターアニオンを有さない本発明のシクロメタル化錯体(1)は分子性金属錯体であり、カウンターアニオンを有するイオン性金属錯体と比べて昇華しやすいため、蒸着しやすいという利点を有する。そのため、本発明のシクロメタル化錯体(1)を用いれば、スピンコート法だけでなく、蒸着によっても発光層を形成し得る。
以下、本発明のシクロメタル化錯体(1)について順に説明する。
式(1)中のMIIは、PtIIまたはPdIIを示し、好ましくはPtIIである。
式(1)中のLは、式(L−1)で表される2価のアニオン性配位子である。式(L−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれでもよい。アルキル基が有し得る置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子などが挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。R〜Rのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。
アリール基は、芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、アントリル基)または複素芳香族炭化水素基(例、ピリジル基)のいずれでもよく、好ましくは芳香族炭化水素基である。R〜Rのアリール基は、好ましくは6〜14員、より好ましくは6〜10員である。アリール基が有し得る置換基としては、上述のハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基などが挙げられる。
およびRまたはRおよびRが結合して、好ましくはRおよびRが結合して、ベンゼン環と共に、置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環を形成していてもよい。縮合芳香族炭化水素環としては、例えば、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環などが挙げられる。
本発明のシクロメタル化錯体(1)を形成するためには、Rの立体障害が小さいことが好ましい。従って、Rは、好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子である。
〜Rは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有していてもよい6〜14員のアリール基である。Rは、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。フェニル基が有し得る置換基としては、上述のハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基などが挙げられる。Rは、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基であり、特に好ましくはフェニル基である。Rは、より好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、さらに好ましくは水素原子である。R〜Rは、それぞれ独立に、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜8のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子である。
最も好ましいLは、式(L−1a)で表される2価のアニオン性配位子である。
Figure 0005979647
式(1)中のLは、式(L−2a)で表される配位子である。式(L−2a)中のRは、2価の基を示す。2価の基は、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基またはこれらの組み合わせのいずれでもよい。また、2価の基は、メタロセンの二つのシクロペンタジエン環からそれぞれ一つの水素原子を除去することにより得られる基(以下「メタロセンジイル基」と呼ぶ)でもよい。メタロセンジイル基中に含まれる金属原子としては、例えば、V、Cr、Fe、Co、Ni、Ru、Osが挙げられる、これらの中でFeが好ましい。メタロセンジイル基中に含まれる金属原子は酸化されていてもよい。メタロセンジイル基を含むLとしては、例えば1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどが挙げられる。上述した2価の基は、いずれも、ハロゲン等の置換基を有していてもよい。
2価の基は、好ましくは2価の有機基(即ち、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基またはこれらの組み合わせ)、より好ましくは2価の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくはアルキレン基である。アルキレン基を含む好ましいLは、式(L−2b)で表される配位子である。
式(L−2b)において、nは、1〜10の整数を示す。nは、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1または2である。
式(L−2b)において、n個のRおよびn個のRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基を示す。nが2以上の整数である場合、n個のRは、互いに同一でも、異なるものでもよい。また、nが2以上の整数である場合、n個のRは、互いに同一でも、異なるものでもよい。
およびRのハロゲン原子、アルキル基、およびアルキル基の置換基としては、上述のものが挙げられる。RおよびRのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1である。n個のRおよびn個のRは、それぞれ独立に、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはハロゲン原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
式(L−2a)および式(L−2b)において、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示す。Ar〜Arのアリール基およびその置換基としては、上述のものが挙げられる。Ar〜Ar、それぞれ独立に、好ましくは置換基を有していてもよい6〜14員のアリール基であり、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
好ましい配位子の組合せ(即ち、基の組合せ)は、以下の通りである:
が、配位子(L−1)であり、
〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基を有していてもよい6〜14員のアリール基であり、
が、水素原子またはハロゲン原子であり、
が、配位子(L−2b)であり、
nが、1〜10の整数であり、
n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、
Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6〜14員のアリール基である。
より好ましい配位子の組合せは、以下の通りである:
が、配位子(L−1)であり、
が、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
およびRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、
が、配位子(L−2b)であり、
nが、1〜10の整数であり、
n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
Ar〜Arが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基である。
さらに好ましい配位子の組合せは、以下の通りである:
が、配位子(L−1)であり、
が、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
およびRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、
が、配位子(L−2b)であり、
nが、1〜6の整数であり、
n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
Ar〜Arが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基である。
特に好ましい配位子の組合せは、以下の通りである:
が、配位子(L−1)であり、
が、ハロゲン原子を有していてもよいフェニル基であり、
〜Rが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
が、配位子(L−2b)であり、
nが、1〜6の整数であり、
n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子であり、
Ar〜Arが、それぞれ独立に、ハロゲン原子を有していてもよいフェニル基である。
最も好ましい配位子の組合せは、以下の通りである:
が、配位子(L−1)であり、
が、フェニル基であり、
〜Rが、水素原子であり、
が、配位子(L−2b)であり、
nが、1〜6の整数であり、
n個のRおよびn個のRが、水素原子であり、
Ar〜Arが、それぞれ独立に、フェニル基である。
上述の好ましい配位子の組合せを有する金属錯体の中では、MIIがPdIIである金属錯体よりも、MIIがPtIIである金属錯体のほうが好ましい。
本発明のシクロメタル化錯体(1)は、例えば、下記式に示すようにして製造することができる。
Figure 0005979647
まず、式(2)で表される金属錯体1当量およびKOH約3当量を、アルゴン雰囲気下のアセトニトリル中で加熱還流することによって、式(3)で表される金属錯体が得られる。なお、出発原料である金属錯体(2)は、公知の方法(例えばWO 2006/101276に記載の方法)に準じて製造することができる。また、式(3)中のLおよびLは、それぞれ、式(L−3)または式(L−4)で表される1価のアニオン性配位子であり、1価のアニオンであること以外は、Lと同じものである。
次いで、得られた金属錯体(3)と配位子(L−2a)とをアセトニトリル中で加熱還流することによって、本発明のシクロメタル化錯体(1)を製造することができる。なお、配位子(L−2a)は、市販品を使用することができる。また、配位子(L−2a)は、公知の方法に準じて製造することができる。
次に、本発明のシクロメタル化錯体(1)の用途について説明する。本発明のシクロメタル化錯体(1)は、有機EL素子等の発光素子の発光層に含有させる発光剤として使用することができる。この他、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、発光塗料等の材料として使用することができる。
次に、上述のシクロメタル化錯体を発光層に含む、本発明の発光素子について説明する。本発明の発光素子の一例の断面図を、図1に示す。図1に示す発光素子は、ガラス等の透明な基板1の上に、陽極2が形成され、この陽極2の上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、および電子注入層7が積層形成され、さらに電子注入層7の上に陰極8が形成された構成である。即ち、陽極2と陰極8との間に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7の5層が積層形成された、5層型の発光素子となっている。
本発明の発光素子は、上述の5層型の発光素子に限定されない。この他、5層型の発光素子から電子輸送層を省略した4層型の発光素子であってもよい。また、5層型の発光素子から正孔注入層と電子注入層を省略した3層型の発光素子であってもよい。また、3層型の発光素子の発光層と電子輸送層を兼用して一つの層とする2層型の発光素子であってもよい。また、陽極と陰極の間に発光層のみが形成される単層型であってもよい。
本発明の発光素子の発光層は、本発明のシクロメタル化錯体(1)を、ゲスト発光剤として含んでいてもよく、ホスト発光剤として含んでいてもよい。本発明のシクロメタル化錯体(1)をゲスト発光剤として使用する場合、これと組み合わせるホスト発光剤としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムのような8−キノリノール類を配位子とする金属錯体;CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル)のようなカルバゾール誘導体;ジシアノメチレン(DCM)類;クマリン類;ペリレン類;ルブレン類などが挙げられる。
本発明の発光素子の動作は、本質的に、電子および正孔を電極から注入する過程、電子および正孔が固体中を移動する過程、電子および正孔が再結合し、三重項励起子を生成する過程、そして、その励起子が発光する過程からなり、これらの過程は単層型発光素子および積層型発光素子のいずれにおいても本質的に異なるところがない。ただし、単層型発光素子においては、発光剤の分子構造を変えることによってのみ上記4過程の特性を改良し得るのに対して、積層型発光素子においては、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させると共に、それぞれの材料を独立して最適化することができることから、一般的には、単層型に構成するより積層型に構成する方が所期の性能を達成し易い。
本発明の発光素子は、表示装置に用いることができる。そのため、本発明は、上述の発光素子を有する表示装置も提供する。本発明の表示装置は、発光素子の発光層に本発明のシクロメタル化錯体(1)を含有する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例で使用する配位子の略号の意味は、以下の通りである。
PhpzH:3,5−ジフェニルピラゾール
Phpz:単座でPt原子に配位している、3,5−ジフェニルピラゾールから水素イオンが解離した1価のアニオン(3,5−ジフェニルピラゾラト)
μ−Phpz:Pt原子間を架橋している、3,5−ジフェニルピラゾールから水素イオンが解離した1価のアニオン(3,5−ジフェニルピラゾラト)
Phpz−κC,κN:3,5−ジフェニルピラゾールのピラゾール環のN原子およびベンゼン環のC原子でPt原子にキレート配位し、配位結合に関与していないN原子にC原子上にあった水素イオンが移動した、3,5−ジフェニルピラゾールから水素イオンが解離した1価のアニオン(3,5−ジフェニルピラゾラト)
Phpz’−κC,κN:3,5−ジフェニルピラゾールのピラゾール環のN原子およびベンゼン環のC原子でPt原子にキレート配位し、N原子上の水素イオンとC原子上にあった水素イオンの合計二つの水素イオンが解離した2価のアニオン(3,5−ジフェニルピラゾラトジアニオン)
dppm:ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン
dppe:1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
参考例1:[Pt(Phpz−κC,κN)(μ−Phpz)]の合成
Figure 0005979647
[PtCl(Phpz)(PhpzH)](89.0mg、0.10mmol)にKOH(16.8mg、0.30mmol)のメタノール溶液(5mL)を加え、さらにアセトニトリル(50mL)を加えて、アルゴン雰囲気下で24時間、加熱還流した。白色懸濁液は反応後、黄色懸濁液に変化した。反応溶液を濃縮後、黄色固体を自然濾過し、メタノールで洗浄後、減圧乾燥した(収量50.0mg、収率79%)。得られた残留物をジクロロメタン/エタノールで再結晶して、[Pt(Phpz−κC,κN)(μ−Phpz)]を得た。この金属錯体は、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であった。
実施例1
(1)[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の合成
Figure 0005979647
[Pt(Phpz−κC,κN)(μ−Phpz)](65.3mg、0.05mmol)およびビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(38.4mg、0.10mmol)を含むアセトニトリル溶液(40mL)を、アルゴン雰囲気下で24時間、加熱還流した。黄色懸濁液は反応後、淡黄色溶液に変化した。反応溶液を濃縮し、析出した白黄色固体を濾別し、メタノールで洗浄後、減圧乾燥した(収量63.0mg、収率79%)。再結晶は、プロピオニトリルから行った。得られた[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]は、MIIがPtIIであり、Lが、配位子(L−1a)(式(L−1)中、R=フェニル基、R〜R=水素原子)であり、Lが、配位子(L−2b)(式(L−b)中、n=1、RおよびR=水素原子、Ar〜Ar=フェニル基)であるシクロメタル化錯体(1)である。このシクロメタル化錯体は、UV光(365nm)の照射下、固体状態で黄緑色に強く発光した。
(2)[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の特性評価
溶解性:クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、トルエンに易溶。アセトニトリル、プロピオニトリルに可溶。
IR(KBr):3048 (m), 2986 (w), 2925 (w), 1598 (m), 1532 (w), 1508 (m), 1483 (m), 1455 (m), 1436 (s), 1355 (w), 1332 (w), 1320 (w), 1271(w), 1215 (w), 1182 (m), 1124 (m), 1102 (s), 1026 (w), 998 (w), 982 (w), 952 (w) , 729(s), 711 (s), 690(s), 546 (m), 508 (s), 461 (m)
FAB−MS:m/z:798.2 [M+H]
H NMR:表1に記載(表1中の各項目は、左から、δがピークの化学シフト(ppm)を示し、shapeがピーク形状を示し、Jが結合定数(Hz)を示し、Int.がピーク強度(相対値)を示し、Assign.がピークの帰属を示す。なお、他のH NMRデータの各項目も同様である。)
Figure 0005979647
X線構造解析:[Pt(Phpz’−kC,kN)(dppm)]・CCNの結晶学的データを表2に記載する。なお、表2中の各項目は、上から、組成式、式量、測定温度、測定波長(MoKα線)、晶系、空間群、格子定数(a,b,c)、格子体積、Z値、密度、線吸収係数、独立な反射の数、最終R値、R値、GOF値を示す。
Figure 0005979647
[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定している。その結晶学的データを表2に示し、その分子構造のORTEP図を図2に示す。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]には、Pt原子、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンおよび3,5−ジフェニルピラゾラトジアニオンが含まれている。Pt原子には、シクロメタル化したジフェニルピラゾラトがC原子およびN原子でキレート配位し、Pt原子の残りの二つの配位座にビス(ジフェニルホスフィノ)メタンが配位している。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]におけるジフェニルピラゾラトのPt−N距離は2.018(3)Å、Pt−C距離は2.072(3)Å、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンのPt−P距離は2.2348(9)Åおよび2.2892(9)Åである。
[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の光物理的性質について説明する。まず、[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトルを図3に示す。図3に示すように、[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]は、298nmに吸収極大を持ち、紫外領域に幅広い吸収帯を示す。また、この紫外可視吸収スペクトルでは、320nm付近および360nm付近にも、吸収ショルダーが存在する。
次に、波長355nmの光で励起した[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の固体状態の発光スペクトルを図4に示す(測定温度:298K)。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]は、室温(298K)の固体状態で黄緑色に強く発光し、図4に示すように、491、526および561nmに発光極大をもつ振動構造を伴った発光スペクトルを示す。絶対PL量子収率測定装置により求めた[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の固体状態の発光量子収率(Φ)は0.44であった。
また、温度298Kにおける[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の固体状態の発光寿命を表3に示す。なお、表3に示す発光寿命は、二成分指数関数(I(t)=Aexp(−t/τ)+Aexp(−t/τ))を用いる解析から算出した。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppm)]の発光寿命は、数マイクロ秒と比較的長いことから、これは、励起三重項状態からの発光(即ち、リン光)であると考えられる。
Figure 0005979647
実施例2
(1)[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の合成
Figure 0005979647
[Pt(Phpz−κC,κN)(μ−Phpz)](39.2mg、0.03mmol)および1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(23.9mg,0.06mmol)を含むアセトニトリル溶液(30mL)を、アルゴン雰囲気下で24時間、加熱還流した。黄色懸濁液は反応後、淡黄色溶液に変化した。反応溶液を濃縮し、析出した白黄色固体を濾別し、メタノールで洗浄後、減圧乾燥した(収量37.9mg、収率78%)。再結晶は、プロピオニトリルから行った。得られた[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]は、MIIがPtIIであり、Lが、配位子(L−1a)(式(L−1)中、R=フェニル基、R〜R=水素原子)であり、Lが、配位子(L−2b)(式(L−2b)中、n=2、RおよびR=水素原子、Ar〜Ar=フェニル基)であるシクロメタル化錯体(1)である。このシクロメタル化錯体は、UV光(365nm)の照射下、固体状態で黄緑色に強く発光した。
(2)[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の特性評価
溶解性:クロロホルム、ジクロロメタンに易溶。アセトニトリル、プロピオニトリルに可溶。
IR(KBr):3051 (m), 2964 (w), 2925 (w), 1602 (m), 1538 (w), 1510 (w), 1484 (m), 1457 (w), 1436 (s), 1355 (w), 1332 (w), 1320 (w), 1271(w), 1215 (w), 1182 (m), 1124 (m), 1102 (s), 1026 (w), 998 (w), 982 (w), 952 (w) , 729(s), 711 (s), 690(s), 546 (m), 508 (s), 461 (m)
FAB−MS:m/z:812.3 [M+H]
H NMR:表4に記載
Figure 0005979647
X線構造解析:[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の結晶学的データを表5に記載する。なお、表5中の各項目は、上から、組成式、式量、測定温度、測定波長(MoKα線)、晶系、空間群、格子定数(a,b,c,β)、格子体積、Z値、密度、線吸収係数、独立な反射の数、最終R値、R値、GOF値を示す。
Figure 0005979647
[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]は、単結晶X線構造解析により分子構造を決定している。その結晶学的データを表5に示し、その分子構造のORTEP図を図5に示す。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]には、Pt原子、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンおよび3,5−ジフェニルピラゾラトジアニオンが含まれている。Pt原子には、シクロメタル化したジフェニルピラゾラトがC原子およびN原子でキレート配位し、Pt原子の残りの二つの配位座に1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンが配位している。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]におけるジフェニルピラゾラトのPt−N距離は2.035(7)Å、Pt−C距離は2.077(8)Å、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンのPt−P距離は2.226(2)Åおよび2.305(2)Åである。
[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の光物理的性質について説明する。まず、[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトルを図6に示す。図6に示すように、[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]は、294nmに吸収極大を持ち、紫外領域に幅広い吸収帯を示す。また、この紫外可視吸収スペクトルでは、315nm付近と350nm付近にも、吸収ショルダーが存在する。
次に、波長355nmの光で励起した[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の固体状態の発光スペクトルを図7に示す(測定温度:298K)。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]は、室温(298K)の固体状態で黄緑色に強く発光し、図7に示すように、489および522nmに発光極大をもつ振動構造を伴った発光スペクトルを示す。絶対PL量子収率測定装置により求めた[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の固体状態の発光量子収率(Φ)は0.61であった。
また、温度298Kにおける[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の固体状態の発光寿命を表6に示す。なお、表6に示す発光寿命は、二成分指数関数(I(t)=Aexp(−t/τ)+Aexp(−t/τ))を用いる解析から算出した。[Pt(Phpz’−κC,κN)(dppe)]の発光寿命は、数マイクロ秒と比較的長いことから、これは、励起三重項状態からの発光(即ち、リン光)であると考えられる。
Figure 0005979647
本発明のシクロメタル化錯体(1)の光吸収帯は、従来の金属錯体よりも長波長側にシフトしており、従来の金属錯体に比べて低エネルギーで励起させることができる。また、本発明のシクロメタル化錯体(1)は、クロロホルム等の有機溶媒に対する溶解性が優れている。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (9)

  1. 式(1):
    [(MII)(L)(L)] (1)
    [式(1)中、MIIは、PtIIまたはPdIIを示す。
    は、式(L−1):
    Figure 0005979647

    {式(L−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示すか、或いはRおよびRまたはRおよびRが結合して、ベンゼン環と共に、置換基を有していてもよい縮合芳香族炭化水素環を形成する。}
    で表される2価のアニオン性配位子を示す。
    は、式(L−2a):
    Figure 0005979647

    {式(L−2a)中、Rは、2価の基を示す。
    Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示す。}
    で表される配位子を示す。]
    で表され、且つLが、そのピラゾール環のN原子およびベンゼン環のC原子でMIIにキレート配位したシクロメタル化錯体。
  2. が、式(L−2b):
    Figure 0005979647

    {式(L−2b)中、nは、1〜10の整数を示す。
    n個のRおよびn個のRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいアルキル基を示す。
    Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を示す。}
    で表される配位子を示す、請求項1に記載のシクロメタル化錯体。
  3. n個のRおよびn個のRが、それぞれ独立に、水素原子またはハロゲン原子である請求項2に記載のシクロメタル化錯体。
  4. IIが、PtIIである請求項1〜3のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
  5. が、水素原子またはハロゲン原子である請求項1〜4のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
  6. が、置換基を有していてもよいフェニル基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
  7. Ar〜Arが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基である請求項1〜6のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体を含む発光層を有する発光素子。
  9. 請求項8に記載の発光素子を有する表示装置。
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