以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、複数のはんだ粒子と、バインダーとを含む導電材料が用いられる。本発明に係る接続構造体の製造方法では、複数の第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材が用いられる。本発明に係る接続構造体の製造方法では、複数の第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材が用いられる。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記はんだ粒子は、はんだを導電部の外表面に有する。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、上記はんだ粒子の中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだである粒子である。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記バインダーが、上記はんだ粒子の融点で硬化が完了しない。なお、はんだ粒子の融点で硬化が完了しないとは、はんだ粒子の融点で、バインダーが流動性を有する状態であることを意味する。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、(1)上記第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程と、(2)上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、上記第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程と、(3)上記はんだ粒子の融点よりも低い温度から、上記はんだ粒子の融点と同等以上の温度かつ上記バインダーの硬化が完了しない温度まで、上記導電材料を加熱する第1の加熱工程と、(4)上記第1の加熱工程後に、上記第1の加熱工程よりも高い温度に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する第2の加熱工程とを備える。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第1の加熱工程において、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子を寄り集めさせ、次に、上記第1の電極と上記第2の電極との間に向かって、寄り集まった上記はんだ粒子の移動を開始させる。上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していない寄り集まった上記はんだ粒子を、上記第1の電極と上記第2の電極との間の領域外から、上記第1の電極と上記第2の電極との間に移動させる。
本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、複数のはんだ粒子が、上下の対向した電極間に集まりやすく、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。本発明では、対向する電極間に位置していないはんだ粒子を、対向する電極間に効率的に移動させることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
例えば、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子を寄り集めさせることで、はんだ粒子全体を網状に配置してもよい。寄り集まったはんだ粒子及び網状に配置されたはんだ粒子は、上記第1の電極と上記第2の電極との間への移動時に、連動して引き寄せられるため、はんだ粒子の移動速度が速くなる。
上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子を、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していない領域で寄り集めさせることが好ましい。寄り集まったはんだ粒子は溶融変形していないことが好ましく、固体の状態であることが好ましい。
上記第1の加熱工程において、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子を寄り集めさせ、次に、上記第1の電極と上記第2の電極との間に向かって、寄り集まった上記はんだ粒子の移動を開始させる具体的な方法としては、はんだ粒子同士が凝集しやすくなるため、はんだの最低溶融粘度を低く制御する方法、はんだ粒子同士の凝集を促進するため、はんだ粒子の表面のゼータ電位の絶対値を小さく制御する方法、並びに活性化したフラックスによりはんだの表面の電荷を小さく制御する方法等が挙げられる。例えば、これらの方法を適宜組み合わせることで、上記の移動条件とすることができる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の加熱工程において、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子が溶融変形する前に、上記第1の電極と上記第2の電極との間に向かって、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子の移動を開始させることが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子が溶融する時期としては、上記第1の電極と上記第2の電極との間に移動した後である。
寄り集まったはんだ粒子において、はんだ粒子の表面間の距離の平均は、はんだ粒子の平均粒子径以下であることが好ましく、3μm以下であることが好ましい。はんだ粒子の表面間の距離は、あるはんだ粒子の表面に対して、最も近いはんだ粒子の表面までの距離である。
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料がフラックスを含み、上記フラックスの活性温度は、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子を寄り集めさせる温度以上であることが好ましい。上記フラックスの活性温度は、上記第1の加熱工程における加熱温度以上であることが好ましい。
電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料がフラックスを含み、上記フラックスの活性温度は、上記第1の電極と上記第2の電極との間に向かって、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置していないはんだ粒子の移動を開始させる温度よりも高いことが好ましい。
電極間の絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の加熱工程において、上記第1の電極と上記第2の電極との間に位置するはんだ粒子が溶融せずに凝集し、隣接したはんだ粒子が、連なった凝集体(例えば、数珠のように繋がった凝集体)を形成することが好ましい。これは、上記第1の電極と上記第2の電極との間、又はその近傍に位置するはんだ粒子が上記第1の電極又は上記第2の電極の表面上に集まっていき、上記第1の電極又は上記第2の電極の表面上に集まったはんだ粒子が上記凝集体全体を引っ張ることにより、上記第1の電極と上記第2の電極との対向していない位置に、はんだ粒子が残存しにくくなるためである。また、上記第1の電極と上記第2の電極との間にほどんどのはんだ粒子が集まるため、上記第1の電極と上記第2の電極とをはんだで強固に接続することができ、導通信頼性を高くすることができる。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わるか、又は、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であることが好ましい。1MPa以上の加圧の圧力を加えないことで、はんだ粒子の凝集がかなり促進される。接続対象部材の反りを抑える観点からは、本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程の内の少なくとも一方において、加圧を行い、かつ、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程の双方において、加圧の圧力が1MPa未満であってもよい。加圧を行う場合に、上記第2の接続対象部材を配置する工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第1の加熱工程のみにおいて、加圧を行ってもよく、上記第2の接続対象部材を配置する工程と上記第1の加熱工程との双方において、加圧を行ってもよい。加圧の圧力が1MPa未満には、加圧していない場合が含まれる。加圧を行う場合に、加圧の圧力は、好ましくは0.9MPa以下、より好ましくは0.8MPa以下である。加圧の圧力が0.8MPa以下である場合に、加圧の圧力が0.8MPaを超える場合と比べて、はんだ粒子の凝集がより一層顕著に促進される。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。また、上記第2の加熱工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第2の加熱工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数のはんだ粒子が電極間に多く集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
複数のはんだ粒子を電極上に効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくするためには、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。本発明者らは、導電ペーストの使用により、このような効果が得られることを見出した。
さらに、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記第1の加熱工程において、加圧を行わず、上記導電ペーストに、上記第2の接続対象部材の重量が加われば、接続部が形成される前に電極が形成されていない領域(スペース)に配置されていたはんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間により一層集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができることも、本発明者らは見出した。本発明では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いるという構成と、加圧を行わず、上記導電ペーストには、上記第2の接続対象部材の重量が加わるようにするという構成とを組み合わせて採用することには、本発明の効果をより一層高いレベルで得るために大きな意味がある。
なお、特開2004−260131号公報では、はんだ粒子の融点よりも高く、かつ樹脂成分の硬化が完了しない温度に、異方性導電樹脂を加熱する樹脂加熱ステップと、上記樹脂成分を硬化させる樹脂成分硬化ステップとを経て、電極間を電気的に接続することが記載されている。しかし、特開2004−260131号公報に具体的に開示された方法では、はんだ粒子は、対向する電極間に効率的に移動しない。
また、WO2008/023452A1では、はんだ粉を電極表面に押し流して効率よく移動させる観点からは、接着時に所定の圧力で加圧するとよいことが記載されており、加圧圧力は、はんだ領域をさらに確実に形成する観点では、例えば、0MPa以上、好ましくは1MPa以上とすることが記載されており、更に、接着テープに意図的に加える圧力が0MPaであっても、接着テープ上に配置された部材の自重により、接着テープに所定の圧力が加わってもよいことが記載されている。WO2008/023452A1では、接着テープに意図的に加える圧力が0MPaであってもよいことは記載されているが、0MPaを超える圧力を付与した場合と0MPaとした場合との効果の差異については、何ら記載されていない。また、WO2008/023452A1では、フィルム状ではなく、ペースト状の導電ペーストを用いることの重要性についても何ら認識されていない。
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだ粒子の凝集が阻害されやすい傾向があるという問題がある。
また、導電材料は、対流添加剤を含まないことが好ましい。導電材料に対流添加剤などを添加しないことによって、対流添加剤に起因する導電ペーストの品質の低下を抑えることができ、対流添加剤に起因する電極間の接続抵抗の低下を抑えることができる。また、導電材料の基本性能が、対流添加剤により低下することを抑えることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
先ず、図1に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法により得られる接続構造体を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、複数のはんだ粒子と、バインダーとを含む導電材料により形成されている。本実施形態では、バインダーは、熱硬化性成分を含む。本実施形態では、導電材料として、導電ペーストが用いられている。
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性成分が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。本実施形態では、はんだ部4Aを形成するために、導電性粒子として、はんだ粒子を用いている。はんだ粒子は、中心部分及び導電部の外表面のいずれもが、はんだにより形成されている。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだは存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだが存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料にフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般に、加熱により次第に失活する。
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図5に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだが硬化物部中に存在していてもよい。
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上(より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上)に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の70%以上(より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上)が配置されていることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る接続構造体の製造方法を説明する。
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数のはんだ粒子11Aとを含む導電ペースト11を配置する(第1の工程)。第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電ペースト11を配置する。導電ペースト11の配置の後に、はんだ粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
導電ペースト11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電ペースト11において、導電ペースト11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電ペースト11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
次に、はんだ粒子11Aの融点よりも低い温度から、はんだ粒子11A(導電性粒子)の融点よりも高い温度かつ熱硬化性成分11B(バインダー)の硬化が完了しない温度まで、導電ペースト11を加熱する(第3の工程/第1の加熱工程)。上記第1の加熱工程において、図3(a)〜(c)の各状態を経る。
図3(a)〜(c)の各状態を経て、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの外表面のはんだが溶融変形する前に、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に向かって、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動を開始させる。すなわち、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に向かって、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始するのは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの外表面のはんだが溶融変形した後ではなく、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの外表面のはんだが溶融変形する前である。
本実施形態では、上記第1の加熱工程において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に向かって、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動を開始させる前に、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aを寄り集めさせている(図3(a))。
さらに、本実施形態では、上記第1の加熱工程において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置するはんだ粒子11Aの外表面のはんだを溶融変形させている(図3(b))。
次に、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に向かって、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動を開始させている(図3(c))。
次に、上記第1の加熱工程後に、上記第1の加熱工程よりも高い温度に上記導電ペースト11を加熱する(第4の工程/第2の加熱工程)。上記第2の加熱工程では、好ましくは、バインダーの硬化を完了させる。この結果、図4に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4を、導電ペースト11により形成する。導電ペースト11により接続部4が形成され、複数のはんだ粒子11Aが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。はんだ粒子11Aが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11Aの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11Aの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第1の加熱工程(上記第3の工程)において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、本実施形態では、導電ペースト11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。また、本実施形態では、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いている。このため、接続部4の形成時に、はんだ粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。結果として、第1の電極2aと第2の電極3aとの間のはんだ部4Aの厚みが厚くなりやすい。なお、上記第2の工程及び上記第1の加熱工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。このことは、本発明者らによって見出された。また、本実施形態では、上記第2の加熱工程(上記第4の工程)においても、加圧を行っていない。
ただし、第1の電極と第2の電極との間隔を確保できれば、加圧を行ってもよい。電極間の間隔を確保する手段として、例えば、所望の電極間の間隔に相当するスペーサーを添加し、少なくとも1個、好ましくは3個以上のスペーサーが電極間に配置されるようにすればよい。スペーサーとしては、無機粒子、有機粒子が挙げられる。スペーサーは絶縁性粒子であることが好ましい。
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、導電材料を配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とを接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間に自己凝集した溶融したはんだが、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料のはんだ粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
はんだの融点温度での導電材料の粘度は、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、更に好ましくは1Pa・s以下、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.2Pa・s以上である。上記粘度が上記上限以下であれば、はんだ粒子を効率的に凝集させることができ、上記粘度が上記下限以上であれば、接続部でのボイドを抑制し、接続部以外への導電ペーストのはみだしを抑制し、並びに、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電ペースト11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第1の加熱工程(第3の工程)と上記第2の加熱工程(第4の工程)とは、連続して行われてもよく、不連続に行われてもよい。上記第1の加熱工程と上記第2の加熱工程とで、加熱温度は、連続していてもよく、不連続であってもよい。
なお、上記第1の加熱工程の後又は上記第2の加熱工程の後に、位置の修正や製造のやり直しを目的として、第1の接続対象部材又は第2の接続対象部材を、接続部から剥離することができる。この剥離を行うための加熱温度は、好ましくははんだ粒子の融点以上、より好ましくははんだ粒子の融点(℃)+10℃以上である。この剥離を行うための加熱温度は、はんだ粒子の融点(℃)+100℃以下であってもよい。
上記第1の加熱工程(第3の工程)における加熱温度は、はんだ粒子の融点以上及び熱硬化性成分の硬化温度以下であれば特に限定されない。上記加熱温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下である。
第3の工程の前に、溶融前のはんだ粒子の凝集を均一化するために、加熱工程を設けてもよい。上記加熱工程における加熱温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下の温度条件にて、好ましくは3秒以上、好ましくは120秒以下保持する。この加熱工程によって、熱硬化性成分が熱により低粘度化し、溶融前のはんだ粒子が、凝集することで網目構造を形成し、第3の工程ではんだ粒子が溶融して凝集する際、取り残されるはんだ粒子を少なくすることができる。
第3の工程において、好ましくははんだの融点(℃)以上、より好ましくははんだの融点(℃)+5℃以上、好ましくははんだの融点(℃)+20℃以下、より好ましくははんだの融点(℃)+10℃以下の温度にて、好ましくは5秒以上、好ましくは120秒以下保持したのち、熱硬化性成分の硬化温度にあげてもよい。これにより、熱硬化性成分が硬化する前の、熱硬化性成分の粘度が低い状態にて、はんだ粒子の凝集を完了させることができ、より一層均一なはんだ粒子の凝集を行うことができる。
第3の工程における昇温速度は、30℃からはんだ粒子の融点までの昇温に関して、好ましくは50℃/秒以下、より好ましくは20℃/秒以下、更に好ましくは10℃/秒以下、好ましくは1℃/秒以上、より好ましくは5℃/秒以上である。昇温速度が上記下限以上であると、はんだ粒子の凝集がより一層均一になる。昇温速度が上記上限以下であると、熱硬化性成分の硬化の進行による過度の粘度上昇が抑えられ、はんだ粒子の凝集が阻害されにくくなる。
上記第3の工程の後又は上記第4の工程における加熱方法としては、はんだ粒子の融点以上及び熱硬化性成分の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、半導体チップ、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることがより好ましい。上記第2の接続対象部材が、半導体チップ、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることがより好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだ粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだ粒子を電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を充分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップなどの他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。電極が、エリアアレイ、ペリフェラルにて面にて配置されている場合にて、本発明の効果が一層効果的に発揮される。エリアアレイとは、接続対象部材の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。ペリフェラルとは、接続対象部材の外周部に電極が配置されている構造のことである。電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだ粒子が凝集すればよいのに対して、上記構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだ粒子が凝集する必要があるため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、本発明の効果が一層効果的に発揮される。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置するために、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは20Pa・s以上、更に好ましくは50Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下、更に好ましくは500Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを、導電材料を介して貼り合わせた直後から、導電材料の硬化が完了するまでに、上下電極の位置ずれがより一層発生しにくくなる。上記粘度が上記上限以下であると、はんだ粒子がより一層効率的に凝集する。
上記粘度は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。また、フィラーの使用により、粘度を比較的高くすることができる。
上記粘度は、例えば、E型粘度計(東機産業社製)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定可能である。
上記導電材料及び上記バインダーは、熱可塑性成分又は熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱可塑性成分を含んでいてもよく、熱硬化性成分を含んでいてもよい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダーでは、熱硬化性化合物が、結晶性熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記結晶性熱硬化性化合物における「結晶性」とは、分子鎖が規則正しく配列している状態を意味し、上記結晶性熱硬化性化合物はガラス転移温度及び融点を有する。
上記導電材料では、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比が5以下であることが好ましい。
従来の導電材料では、保管した後に使用されると、はんだ粒子が電極(ライン)上により一層配置され難くなることがある。
上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比が5以下である場合には、導電材料の保存安定性が優れている。このため、導電材料の保管前及び保管後のいずれの場合であっても、はんだを電極上に効率的に配置することができ、電極間の導通信頼性を高めることができる。
導電材料中に結晶性熱硬化性化合物が含まれることで、導電材料に熱を付与すると、導電材料の粘度が充分に低くなる。上記導電材料に熱が付与されると、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶性が失われることで、上記導電材料の粘度が充分に低下し、はんだの移動が促進される。また、結晶性熱硬化性化合物を含む導電材料では、導電材料の保管前後において、はんだ粒子の移動性能が異なる場合があることが見出された。これは、結晶性熱硬化性化合物の結晶状態が変化するためであると考えられる。結晶性熱硬化性化合物を用いている場合に、該結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比が5以下であれば、導電材料の保管前後において、はんだ粒子の移動性能が変化しにくいことが見出された。
上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比を5以下にする方法としては、結晶性熱硬化性化合物を粉砕する方法等が挙げられる。結晶性熱硬化性化合物を粉砕した後に、導電材料に配合することが好ましい。平均アスペクト比が5以下となるように、結晶性熱硬化性化合物を選別した後、結晶性熱硬化性化合物を用いてもよい。
導電材料の保存安定性をより一層高め、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比は好ましくは4以下である。上記平均アスペクト比は、複数の結晶のアスペクト比の平均である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。上記アスペクト比は、導電材料中でのアスペクト比である。
上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比は1以上である。上記結晶性熱硬化性化合物の結晶は、針状結晶であることが好ましい。導電材料の初期粘度を高くし、導電材料の過度の濡れ拡がりを抑え、更にはんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上である。
導電材料の保存安定性をより一層高め、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均長径は、好ましくは上記はんだ粒子の平均粒子径の1/1.5以下であり、より好ましくは上記はんだ粒子の平均粒子径の1/2以下である。
導電材料の初期粘度を高くし、導電材料の過度の濡れ拡がりを抑え、更にはんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均長径は、好ましくは上記はんだ粒子の平均粒子径の1/10以上であり、より好ましくは上記はんだ粒子の平均粒子径の1/8以上である。
上記結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比及び平均長径は、例えば、導電材料を電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。
はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の融点は、上記はんだの融点よりも低いことが好ましい。はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の融点と上記はんだの融点との差の絶対値は好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の融点は、上記フラックスの活性温度よりも低いことが好ましい。はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の融点と上記フラックスの活性温度との差の絶対値は好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。
塗工性の向上効果と、導電性粒子の電極上への効率的な移動による達成される電極間の導通信頼性の向上効果との双方を高いレベルで両立して得る観点からは、本発明に係る導電材料中で、上記結晶性熱硬化性化合物は粒子状に分散していることが好ましい。
以下、本発明の他の詳細を説明する。
(はんだ粒子)
上記はんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもはんだにより形成されている。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電性の外表面とのいずれもがはんだである粒子である。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記はんだ粒子のはんだの表面に、エーテル結合、エステル結合又は下記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を少なくとも1つ有する基が共有結合していることが好ましい。下記式(X)において、左端部及び右端部は結合部位である。
はんだの表面に水酸基が存在する。この水酸基とカルボキシル基を含む基とを共有結合させることにより、他の配位結合(キレート配位)等にて結合させる場合よりも強い結合を形成できるため、電極間の接続抵抗を低くし、かつボイドの発生を抑えることが可能なはんだ粒子が得られる。
上記はんだ粒子では、はんだの表面と、カルボキシル基を含む基との結合形態に、配位結合が含まれていなくてもよく、キレート配位による結合が含まれていなくてもよい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記はんだ粒子は、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物(以下、化合物Xと記載することがある)を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることにより得られることが好ましい。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基とを反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基を含む基が共有結合しているはんだ粒子を容易に得ることができ、はんだの表面にエーテル結合又はエステル結合を介してカルボキシル基を含む基が共有結合しているはんだ粒子を得ることもできる。上記はんだの表面の水酸基に上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることで、はんだの表面に、上記化合物Xを共有結合の形態で化学結合させることができる。
上記水酸基と反応可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エステル基及びカルボニル基等が挙げられる。水酸基又はカルボキシル基が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。
水酸基と反応可能な官能基を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましい。
上記化合物Xは、フラックス作用を有することが好ましく、上記化合物Xははんだの表面に結合した状態でフラックス作用を有することが好ましい。フラックス作用を有する化合物は、はんだの表面の酸化膜及び電極の表面の酸化膜を除去可能である。カルボキシル基はフラックス作用を有する。
フラックス作用を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸及び4−フェニル酪酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記フラックス作用を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基が、水酸基又はカルボキシル基であることが好ましい。上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。上記水酸基と反応可能な官能基がカルボキシル基である場合には、上記化合物Xは、カルボキシル基を少なくとも2個有することが好ましい。カルボキシル基を少なくとも2個有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基に反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基を含む基が共有結合しているはんだ粒子が得られる。
上記はんだ粒子の製造方法は、例えば、はんだ粒子を用いて、該はんだ粒子、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、触媒及び溶媒を混合する工程を備える。上記はんだ粒子の製造方法では、上記混合工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合しているはんだ粒子を容易に得ることができる。
また、上記はんだ粒子の製造方法では、はんだ粒子を用いて、該はんだ粒子、上記水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、上記触媒及び上記溶媒を混合し、加熱することが好ましい。混合及び加熱工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合しているはんだ粒子をより一層容易に得ることができる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、トルエンであることがより好ましい。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及び10−カンファースルホン酸等が挙げられる。上記触媒は、p−トルエンスルホン酸であることが好ましい。上記触媒は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記混合時に加熱することが好ましい。加熱温度は好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記はんだ粒子は、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネートを反応させる工程を経て得られることが好ましい。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記イソシアネート化合物とを反応させることで、はんだの表面に、上記式イソシアネート基に由来する基の窒素原子が共有結合しているはんだ粒子を容易に得ることができる。上記はんだの表面の水酸基に上記イソシアネート化合物を反応させることで、はんだの表面に、上記イソシアネート基に由来する基を共有結合の形態で化学結合させることができる。
また、イソシアネート基に由来する基には、シランカップリング剤を容易に反応させることができる。上記はんだ粒子を容易に得ることができるので、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する基が、カルボキシル基を有するシランカップリング剤を用いた反応により導入されているか、又は、シランカップリング剤を用いた反応の後に、シランカップリング剤に由来する基にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることで導入されていることが好ましい。上記はんだ粒子は、上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることにより得られることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が、カルボキシル基を複数有することが好ましい。
上記イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。これら以外のイソシアネート化合物を用いてもよい。この化合物をはんだの表面に反応させた後、残イソシアネート基と、その残イソシアネート基と反応性を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだ表面に式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
上記イソシアネート化合物としては、不飽和二重結合を有し、かつイソシアネート基を有する化合物を用いてもよい。例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。この化合物のイソシアネート基をはんだの表面に反応させた後、残存している不飽和二重結合に対し反応性を有する官能基を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだ表面に式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
上記シランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−9007」)、及び3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製「Y−5187」)等が挙げられる。上記シランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸、アジピン酸又はグリコール酸が好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を複数有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基と反応させることで、カルボキシル基を少なくとも1つ有する基を残存させることができる。
上記はんだ粒子の製造方法では、はんだ粒子を用いて、かつ、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させて、はんだの表面に、上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を少なくとも1つ有する基が結合しているはんだ粒子を得る。上記はんだ粒子の製造方法では、上記の工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が導入されたはんだ粒子を容易に得ることができる。
上記はんだ粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒にはんだ粒子を分散させ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を添加する。その後、はんだ粒子のはんだ表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、はんだ表面にシランカップリング剤を共有結合させる。次に、シランカップリング剤の珪素原子に結合しているアルコキシ基を加水分解することで、水酸基を生成させる。生成した水酸基に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物のカルボキシル基を反応させる。
また、上記はんだ粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒にはんだ粒子を分散させ、イソシアネート基と不飽和二重結合を有する化合物を添加する。その後、はんだ粒子のはんだ表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、共有結合を形成させる。その後、導入された不飽和二重結合に対して、不飽和二重結合、及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる。
はんだ粒子のはんだ表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒としては、錫系触媒(ジブチル錫ジラウレート等)、アミン系触媒(トリエチレンジアミン等)、カルボキシレート触媒(ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等)、及びトリアルキルホスフィン触媒(トリエチルホスフィン等)等が挙げられる。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。下記式(1)で表される化合物は、フラックス作用を有する。また、下記式(1)で表される化合物は、はんだの表面に導入された状態でフラックス作用を有する。
上記式(1)中、Xは、水酸基と反応可能な官能基を表し、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。該有機基は、炭素原子と水素原子と酸素原子とを含んでいてもよい。該有機基は炭素数1〜5の2価の炭化水素基であってもよい。上記有機基の主鎖は2価の炭化水素基であることが好ましい。該有機基では、2価の炭化水素基にカルボキシル基や水酸基が結合していてもよい。上記式(1)で表される化合物には、例えばクエン酸が含まれる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物であることが好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましく、下記式(1B)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式(1A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
上記式(1B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面に、下記式(2A)又は下記式(2B)で表される基が結合していることが好ましい。はんだの表面に、下記式(2A)で表される基が結合していることが好ましく、下記式(2B)で表される基が結合していることがより好ましい。
上記式(2A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
上記式(2B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面の濡れ性を高める観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の分子量は、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下である。
上記分子量は、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体ではない場合、及び上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
電極上にはんだ粒子を効率的に集める観点からは、上記はんだ粒子の表面のゼータ電位がプラスであることが好ましい。但し、本発明では、上記はんだ粒子の表面のゼータ電位がプラスでなくてもよい。
ゼータ電位は以下のようにして測定される。
ゼータ電位の測定方法:
はんだ粒子0.05gを、メタノール10gに入れ、超音波処理等をすることで、均一に分散させて、分散液を得る。この分散液を用いて、かつBeckman Coulter社製「Delsamax PRO」を用いて、電気泳動測定法にて、ゼータ電位を測定することができる。
はんだ粒子のゼータ電位は好ましくは0mV以上、より好ましくは0mVを超え、好ましくは10mV以下、より好ましくは5mV以下、より一層好ましくは1mV以下、更に好ましくは0.7mV以下、特に好ましくは0.5mV以下である。ゼータ電位が上記上限以下であると、導電接続時にはんだ粒子が集まりやすい。ゼータ電位が0mV以上であると、実装時に電極上にはんだ粒子が効率的に凝集する。
表面のゼータ電位をプラスにすることが容易であることから、上記はんだ粒子は、はんだ粒子本体と、上記はんだ粒子本体の表面上に配置されたアニオンポリマーとを有することが好ましい。上記はんだ粒子は、はんだ粒子本体をアニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られることが好ましい。上記はんだ粒子は、アニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物による表面処理物であることが好ましい。上記アニオンポリマー及び上記アニオンポリマーとなる化合物はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アニオンポリマーは、酸性基を有するポリマーである。
はんだ粒子本体をアニオンポリマーで表面処理する方法としては、アニオンポリマーとして、例えば(メタ)アクリル酸を共重合した(メタ)アクリルポリマー、ジカルボン酸とジオールとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、ジカルボン酸の分子間脱水縮合反応により得られかつ両末端にカルボキシル基を有するポリマー、ジカルボン酸とジアミンから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、並びにカルボキシル基を有する変性ポバール(日本合成化学社製「ゴーセネックスT」)等を用いて、アニオンポリマーのカルボキシル基と、はんだ粒子本体の表面の水酸基とを反応させる方法が挙げられる。
上記アニオンポリマーのアニオン部分としては、上記カルボキシル基が挙げられ、それ以外には、トシル基(p−H3CC6H4S(=O)2−)、スルホン酸イオン基(−SO3 −)、及びリン酸イオン基(−PO4 −)等が挙げられる。
また、他の方法としては、はんだ粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基を有し、さらに、付加、縮合反応により重合可能な官能基を有する化合物を用いて、この化合物をはんだ粒子本体の表面上にてポリマー化する方法が挙げられる。はんだ粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基としては、カルボキシル基、及びイソシアネート基等が挙げられ、付加、縮合反応により重合する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
上記アニオンポリマーの重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、好ましくは10000以下、より好ましくは8000以下である。上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子の表面に十分な量の電荷、及びフラックス性を導入することができる。これにより、はんだ粒子の表面のゼータ電位を好適な範囲に制御することが容易であり、かつ、接続対象部材の接続時に、電極の表面の酸化膜を効果的に除去することができる。
上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子本体の表面上にアニオンポリマーを配置することが容易であり、はんだ粒子の表面のゼータ電位をプラスにすることが容易であり、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
はんだ粒子本体をアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られたポリマーの重量平均分子量は、はんだ粒子中のはんだを溶解し、ポリマーの分解を起こさない希塩酸等により、はんだ粒子を除去した後、残存しているポリマーの重量平均分子量を測定することで求めることができる。
アニオンポリマーのはんだ粒子の表面における導入量に関しては、はんだ粒子1gあたりの酸価が、好ましくは1mgKOH以上、より好ましくは2mgKOH以上、好ましくは10mgKOH以下、より好ましくは6mgKOH以下である。
上記酸価は以下のようにして測定可能である。はんだ粒子1gを、アセトン36gに添加し、超音波にて1分間分散させる。その後、指示薬として、フェノールフタレインを用い、0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液にて滴定する。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ粒子は、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記はんだ粒子は錫を含む。上記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記はんだ粒子における錫の含有量が上記下限以上であると、はんだ部と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
上記はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記はんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、はんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記はんだ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、より一層好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記はんだ粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。上記はんだ粒子の平均粒子径は、3μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
上記はんだ粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。はんだ粒子の平均粒子径は、例えば、任意のはんだ粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記はんだ粒子の粒子径の変動係数は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子径の変動係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができる。但し、上記はんだ粒子の粒子径の変動係数は、5%未満であってもよい。
上記変動係数(CV値)は下記式で表される。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:はんだ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:はんだ粒子の粒子径の平均値
上記はんだ粒子の形状は特に限定されない。上記はんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状などの球形状以外の形状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。上記はんだ粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだ粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだ粒子を多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
電極が形成されている部分のライン(L)が50μm以上、150μm未満である場合に、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは55重量%以下、より好ましくは45重量%以下である。
電極が形成されていない部分のスペース(S)が50μm以上、150μm未満である場合に、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
電極が形成されている部分のライン(L)が150μm以上、1000μm未満である場合に、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
電極が形成されていない部分のスペース(S)が150μm以上、1000μm未満である場合に、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電ペースト100重量%中、上記はんだ粒子の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
(熱可塑性成分)
上記熱可塑性成分は、熱可塑性化合物であることが好ましい。上記熱可塑性化合物としては、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料100重量%中、上記熱可塑性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱可塑性化合物の含有量は多い方が好ましい。
(熱硬化性化合物:熱硬化性成分)
上記熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、導電材料の硬化性及び粘度をより一層良好にし、接続信頼性をより一層高める観点から、エポキシ化合物が好ましい。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
はんだ粒子を電極上に効率的に配置し、電極間の位置ずれを効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性を高める観点から、上記熱硬化性化合物は、結晶性熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記結晶性熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物は、25℃で固体であることが好ましい。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の融点は好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物の分子量は好ましくは300以上、より好ましくは350以上、好ましくは500以下、より好ましくは400以下である。
上記分子量は、上記熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び上記熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記結晶性熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、及び(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ベンゾフェノン型エポキシ化合物等の結晶性エポキシ化合物が好ましい。特に、2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノン、又は4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノンが好ましい。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、接続対象部材を貼り合わせた段階では、粘度が高く、搬送等の衝撃により加速度が付与された際に、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材との位置ずれを抑制することができ、なおかつ、硬化時の熱により、導電材料の粘度を大きく低下させることができ、はんだ粒子の凝集を効率よく進行させることができる。
上記(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。上記(メタ)アクリル化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸等で、(メタ)アクリロイル基を導入した化合物が好ましい。
はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記結晶性熱硬化性化合物は、ベンゾフェノン型エポキシ化合物であることが特に好ましく、2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノン、又は4,4’−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノンであることが最も好ましい。
電極間の接続信頼性を高める観点から、上記導電材料は、上記熱硬化性成分及び上記熱硬化性化合物として、イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物を含んでいてもよい。上記導電材料の硬化性を高め、接続信頼性を高める観点から、上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有することが好ましく、イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物又はイソシアヌル骨格を有するエピスルフィド化合物であることが好ましい。イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物が特に好ましい。
上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物としてはトリアジントリグリシジルエーテル等が挙げられ、日産化学工業社製TEPICシリーズ(TEPIC−G、TEPIC−S、TEPIC−SS、TEPIC−HP、TEPIC−L、TEPIC−PAS、TEPIC−VL、TEPIC−UC)等が挙げられる。
上記イソシアヌル骨格を有するエピスルフィド化合物は、例えば、イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ基をチイラン基に変換することにより得られる。この変換方法は、公知である。
接続信頼性をより一層高める観点から、上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、好ましくは1000以下、より好ましくは600以下である。
上記導電材料の硬化性を高め、接続信頼性を高める観点から、上記導電材料は、上記熱硬化性成分及び上記熱硬化性化合物として、上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物とともに、イソシアヌル骨格を有さない熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記導電材料の硬化性及び硬化物の耐熱性を高め、接続信頼性を高める観点からは、上記イソシアヌル骨格を有さない熱硬化性化合物は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましく、イソシアヌル骨格を有さず、かつ芳香族骨格又は脂環式骨格を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性成分の含有量は多い方が好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記結晶性熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記結晶性熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子を電極上に効率的に配置し、電極間の位置ずれを効果的に抑制し、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性を高めることができる。
上記導電材料の硬化性を高め、接続信頼性を高める観点からは、上記導電材料100重量%中、上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
上記導電材料の硬化性を高め、接続信頼性を高める観点からは、上記導電材料100重量%中、上記イソシアヌル骨格を有さない熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
(熱硬化剤:熱硬化性成分)
上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記チオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記はんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
上記結晶性熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。また、上記熱硬化性化合物の全体100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、はんだを電極上により一層効果的に配置することができる。該フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
フラックスの活性温度(融点)が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記はんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、はんだ粒子の表面上に付着していてもよい。
フラックスの融点が、はんだの融点より高いことにより、電極部分にはんだ粒子を効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、接続対象部材上に形成された電極と、電極周辺の接続対象部材の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の接続対象部材部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が速いことに起因する。はんだ粒子の融点を超えた段階では、はんだ粒子の内部は溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に来たはんだ粒子の表面の酸化被膜が除去され、はんだ粒子が電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的にはんだ粒子を凝集させることができる。
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、はんだ粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(フィラー)
上記導電材料には、フィラーを添加してもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。フィラーの添加により、基板の全電極上に対して、はんだ粒子を均一に凝集させることができる。
上記導電材料は、上記フィラーを含まないか、又は上記フィラーを5重量%以下で含むことが好ましい。結晶性熱硬化性化合物を用いている場合には、フィラーの含有量が少ないほど、電極上にはんだが移動しやすくなる。
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は好ましくは0重量%(未含有)以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ粒子が電極上により一層効率的に配置される。
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
ポリマーA:ビスフェノールF(4,4’−メチレンビスフェノールと2,4’−メチレンビスフェノールと2,2’−メチレンビスフェノールとを重量比で2:3:1で含む)100重量部、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル130重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON EXA−830CRP」)5重量部、及びレゾルシノール型エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EX−201」)10重量部を、3つ口フラスコに入れ、窒素フロー下にて、100℃で溶解させた。その後、水酸基とエポキシ基の付加反応触媒であるトリフェニルブチルホスホニウムブロミド0.15重量部を添加し、窒素フロー下にて、140℃で4時間、付加重合反応させることにより、反応物(ポリマーA)を得た。
NMRにより、付加重合反応が進行したことを確認して、反応物(ポリマーA)が、ビスフェノールFに由来する水酸基と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びレゾルシノール型エポキシ化合物のエポキシ基とが結合した構造単位を主鎖に有し、かつエポキシ基を両末端に有することを確認した。
GPCにより得られた反応物(ポリマーA)の重量平均分子量は28000、数平均分子量は8000であった。
ポリマーB:両末端エポキシ基剛直骨格フェノキシ樹脂、三菱化学社製「YX6900BH45」、重量平均分子量16000
熱硬化性化合物1:ナフタレン型エポキシ化合物、DIC社製「HP−4032D」
熱硬化性化合物2:エポキシ化合物、DIC社製「EXA−4850−150」、分子量900、エポキシ当量450g/eq.
熱硬化性化合物3:2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノン(結晶性熱硬化性化合物、融点94℃、分子量362)
2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノンの合成:
3つ口フラスコに、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン27g、エピクロルヒドリン230g、n−ブタノール70g、及びテトラエチルベンジルアンモニウムクロライド1gを入れ、室温にて撹拌、溶解させた。その後、窒素雰囲気下、撹拌下にて、70℃に昇温し、減圧還流下、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)45gを滴下した。滴下は、4時間かけて行った。その後、70℃にて、ディーンスターク管を用い、水分を除去しながら2時間反応させた。その後、減圧下で、未反応のエピクロルヒドリンを除去した。
得られた反応生成物を、MEK(メチルエチルケトン):n−ブタノール=3:1(重量比)の混合溶剤400gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10重量%)5gを添加し、80℃で2時間加熱した。
その後、室温に冷却し、純水により、洗液が中性になるまで洗浄を行った。有機層をろ過しながら分取し、減圧下にて、残水分及び混合溶媒を除去し、反応生成物を得た。
n−ヘキサンを用い、上記反応生成物34gを再結晶により精製し、真空乾燥により残溶剤分を除去した。
得られたエポキシ化合物:DSCによる融点は94℃、エポキシ当量は176g/eq.、GC−MSによる分子量は362、150℃での溶融粘度は5mPa・sであった。
・示差走査熱量測定(DSC)測定装置及び測定条件
装置;日立ハイテクサイエンス社製「X−DSC7000」、サンプル量;3mg、温度条件;10℃/min
・150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠し、エムエスティーエンジニアリング社製のICIコーンプレート粘度計を用いて測定
・エポキシ当量の測定:JIS K7236:2001に準拠して測定
・分子量の測定:GC−MS装置(日本電子社製「JMS K−9」)を用いて測定
熱硬化性化合物4:4,4’−ビス(グリジジルオキシ)ベンゾフェノン(結晶性熱硬化性化合物、融点132℃、分子量362)
4,4’−ビス(グリジジルオキシ)ベンゾフェノンの合成:
3つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン27g、エピクロルヒドリン230g、n−ブタノール70g、及びテトラエチルベンジルアンモニウムクロライド1gを入れ、室温にて撹拌、溶解させた。その後、窒素雰囲気下、撹拌下にて、70℃に昇温し、減圧還流下、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)45gを滴下した。滴下は、4時間かけて行った。その後。70℃にて、ディーンスターク管を用い、水分を除去しながら2時間反応させた。その後、減圧下で、未反応のエピクロルヒドリンを除去した。
得られた反応生成物を、MEK(メチルエチルケトン):n−ブタノール=3:1(重量比)の混合溶剤400gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10重量%)5gを添加し、80℃で2時間加熱した。
その後、室温に冷却し、純水により、洗液が中性になるまで洗浄を行った。有機層をろ過しながら分取し、減圧下にて、残水分及び混合溶媒を除去し、反応生成物を得た。
n−ヘキサンを用い、上記反応生成物34gを再結晶により精製し、真空乾燥により残溶剤分を除去した。
得られたエポキシ化合物:DSCによる融点は135℃、エポキシ当量は176g/eq.、GC−MSによる分子量は362、150℃での溶融粘度は12mPa・sであった。
熱硬化性化合物5:日産化学工業社製「TEPIC−PAS」、イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物、非結晶熱硬化性化合物、分子量300
熱硬化性化合物6:TEPIC−PASの変性物:日産化学工業社製「TEPIC」のエポキシ基をチイラン基に変換した化合物(合成品)、イソシアヌル骨格を有するエピスルフィド化合物、非結晶熱硬化性化合物、分子量332
熱硬化剤1:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピネート)、SC有機化学社製「TMMP」
潜在性エポキシ熱硬化剤1:T&K TOKA社製「フジキュア7000」
フラックス1:グルタル酸、和光純薬工業社製、融点(活性温度)95℃
はんだ粒子1〜3の作製方法:
アニオンポリマー1を有するはんだ粒子:はんだ粒子本体200gと、アジピン酸40gと、アセトン70gとを3つ口フラスコに秤量し、次にはんだ粒子本体の表面の水酸基とアジピン酸のカルボキシル基との脱水縮合触媒であるジブチル錫オキサイド0.3gを添加し、60℃で4時間反応させた。その後、はんだ粒子をろ過することで回収した。
回収したはんだ粒子と、アジピン酸50gと、トルエン200gと、パラトルエンスルホン酸0.3gとを3つ口フラスコに秤量し、真空引き、及び還流を行いながら、120℃で、3時間反応させた。この際、ディーンスターク抽出装置を用いて、脱水縮合により生成した水を除去しながら反応させた。
その後、ろ過によりはんだ粒子を回収し、ヘキサンにて洗浄し、乾燥した。その後、得られたはんだ粒子をボールミルで解砕した後、所定のCV値となるように篩にかけた。
(ゼータ電位測定)
また、得られたはんだ粒子を、アニオンポリマー1を有するはんだ粒子0.05gを、メタノール10gに入れ、超音波処理をすることで、均一に分散させて、分散液を得た。この分散液を用いて、かつBeckman Coulter社製「Delsamax PRO」を用いて、電気泳動測定法にて、ゼータ電位を測定した。
(アニオンポリマーの重量平均分子量)
はんだ粒子の表面のアニオンポリマー1の重量平均分子量は、0.1Nの塩酸を用い、はんだを溶解した後、ポリマーをろ過により回収し、GPCにより求めた。
(はんだ粒子のCV値)
CV値を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)にて、測定した。
はんだ粒子1(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「ST−3」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径4μm、CV値7%、表面のゼータ電位:+0.65mV、ポリマー分子量Mw=6500)
はんだ粒子2(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「DS10」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径13μm、CV値20%、表面のゼータ電位:+0.48mV、ポリマー分子量Mw=7000)
はんだ粒子3(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「10−25」を選別したはんだ粒子本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径25μm、CV値15%、表面のゼータ電位:+0.4mV、ポリマー分子量Mw=8000)
はんだ粒子A(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「DS10」)
導電性粒子1:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子
導電性粒子1の作製方法:
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ3μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子1を作製した。
(実施例1〜15及び比較例1〜3)
(1)異方性導電ペーストの作製
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
実施例1〜15及び比較例1〜3では、下記の表1に示す種類の接続構造体を下記のようにして作製した。
(2)第1の接続構造体(L/S=50μm/50μm)の作製
L/Sが50μm/50μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板、厚み0.6mm)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが50μm/50μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(ポリイミドにより形成されている、第2の接続対象部材、厚み0.1mm)を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×3mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。異方性導電ペースト層には、上記フレキシブルプリント基板の重量は加わる。
その後、実施例4,14では、室温から130℃まで3秒で昇温し、横方向の電極間のはんだ粒子を凝集させた。さらに、145℃で5秒加熱して上下の電極間のはんだ粒子を溶解させ、横方向の電極間の凝集したはんだ粒子を上下の電極間に凝集させた。さらに180℃で15秒加熱して、異方性導電ペースト層を硬化させて、第1の接続構造体を得た。
(3)第2の接続構造体(L/S=75μm/75μm)の作製(実施例1〜3,6〜13)
L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板、厚み0.6mm)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(ポリイミドにより形成されている、第2の接続対象部材、厚み0.1mm)を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×3mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。異方性導電ペースト層には、上記フレキシブルプリント基板の重量は加わる。
その後、実施例1〜3,6〜13では、室温から130℃まで3秒で昇温し、横方向の電極間のはんだ粒子を凝集させた。さらに、145℃で5秒加熱して上下の電極間のはんだ粒子を溶解させ、横方向の電極間の凝集したはんだ粒子を上下の電極間に凝集させた。さらに180℃で15秒加熱して、異方性導電ペースト層を硬化させて、第2の接続構造体を得た。
(4)第3の接続構造体(L/S=100μm/100μm)の作製
L/Sが100μm/100μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板、厚み0.6mm)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが100μm/100μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(ポリイミドにより形成されている、第2の接続対象部材、厚み0.1mm)を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×3mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。異方性導電ペースト層には、上記フレキシブルプリント基板の重量は加わる。
その後、実施例5,15では、室温から130℃まで3秒で昇温し、横方向の電極間のはんだ粒子を凝集させた。さらに、145℃で5秒加熱して上下の電極間のはんだ粒子を溶解させ、横方向の電極間の凝集したはんだ粒子を上下の電極間に凝集させた。さらに180℃で15秒加熱して、異方性導電ペースト層を硬化させて、第3の接続構造体を得た。
(5)第2の接続構造体(L/S=75μm/75μm)の作製(比較例1〜3)
L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板、厚み0.6mm)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(ポリイミドにより形成されている、第2の接続対象部材、厚み0.1mm)を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×3mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。異方性導電ペースト層には、上記フレキシブルプリント基板の重量は加わる。
その後、比較例1〜3では、130℃で3秒加熱したが、はんだ粒子(比較例1,2)又は導電性粒子(比較例3)の凝集は観察されなかった。さらに、145℃で5秒加熱したが、上下の電極間のはんだ粒子のみ溶解し、横方向の電極間のはんだ粒子は横方向に隣接する電極間に凝集していなかった。さらに180℃で15秒加熱して、異方性導電ペースト層を硬化させて、第2の接続構造体を得た。
(評価)
(1)結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比及び平均長径
異方性導電ペーストを電子顕微鏡で観察することにより、結晶性熱硬化性化合物の結晶の平均アスペクト比及び平均長径を評価した。
(2)粘度
異方性導電ペーストの25℃での粘度(η25)を、E型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
(3)はんだ部の厚み
得られた接続構造体を断面観察することにより、上下の電極間に位置しているはんだ部の厚みを評価した。
(4)電極上のはんだの配置精度1
得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Xを評価した。電極上のはんだの配置精度1を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度1の判定基準]
○○:割合Xが70%以上
○:割合Xが60%以上、70%未満
△:割合Xが50%以上、60%未満
×:割合Xが50%未満
(5)電極上のはんだの配置精度2
得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向と直交する方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、接続部中のはんだ部100%中、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分に配置されている接続部中のはんだ部の割合Yを評価した。電極上のはんだの配置精度2を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度2の判定基準]
○○:割合Yが99%以上
○:割合Yが90%以上、99%未満
△:割合Yが70%以上、90%未満
×:割合Yが70%未満
(6)上下の電極間の導通信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により、測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え、70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え、100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
(7)横方向に隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃、湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、横方向に隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が107Ω以上
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上、107Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上、106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
(8)上下の電極間の位置ずれ
得られた接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極の中心線と第2の電極の中心線とが揃っているか否か、並びに位置ずれの距離を評価した。上下の電極間の位置ずれを下記の基準で判定した。
[上下の電極間の位置ずれの判定基準]
○○:位置ずれが15μm未満
○:位置ずれが15μm以上、25μm未満
△:位置ずれが25μm以上、40μm未満
×:位置ずれが40μm以上
結果を下記の表1に示す。
フレキシブルプリント基板にかえて、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。