JP2016164712A - 電力取引支援装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力取引における入札条件の決定を支援する、電力取引支援システムを提供する。【解決手段】電力取引支援システム10は、電力取引の約定に影響する要因の情報である要因情報に応じた複数の約定予測条件における予測約定価格および予測約定量を算出する予測部11と、予測される要因を示す予測要因情報を取得する取得部12と、約定予測条件のそれぞれについての予測約定価格及び予測約定量と予測要因情報とに基づく支援情報を提示する支援部13と、を有している。【選択図】図1
Description
本発明は電力取引市場における電力取引を支援する技術に関する。
日本では電力改革が推進中であり、電力取引市場が拡大していくと考えられる。発電事業者は競争のなかで収益向上を図ることになる。
そのような背景から、発電事業者の電力取引を支援する技術が提案されている。特許文献1には、電力取引における売電力量およぼ買電力量を予測する技術が開示されている特許文献2には、電力取引における取引収支のリスク管理を行う技術が開示されている。
電力取引において、発電事業者は収益が最大となるような入札価格を決定することが好ましい。しかし、利益を求めて高い売電価格で入札を行うと、約定できずかえって収益を下げる場合がある。一方、約定する確率を高めるために安い売電価格で入札を行えば、収益が小さくなってしまう。約定および約定価格は様々な要因で決まるので入札価格の決定は経験によるノウハウに依存し、容易なことではない。
本発明の目的は、電力取引における入札条件の決定を支援する技術を提供することである。
本発明の一つの態様による電力取引支援装置は、電力取引の約定に影響する要因の情報である要因情報に応じた複数の約定予測条件における予測約定価格および予測約定量を算出する予測部と、予測される前記要因を示す予測要因情報を取得する取得部と、前記約定予測条件のそれぞれについての前記予測約定価格および前記予測約定量と前記予測要因情報とに基づく支援情報を提示する支援部と、を有している。
本発明によれば、約定予測条件に応じた複数の約定予測を、約定予測条件を決める要因の予測情報と共に支援に用いるので、約定価格や約定量が要因に影響される電力取引の入札条件の決定を的確に支援することができる。
まず本発明の概略的な実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態による電力取引支援システムのブロック図である。図1を参照すると、電力取引支援システム10は、予測部11、取得部12、および支援部13を有している。
予測部11は、電力取引の約定に影響する要因の情報である要因情報に応じた複数の約定予測条件における予測約定価格および予測約定量を算出する。予測約定価格は電力取引の約定において予測される電力の価格である。予測約定量は約定において予測される電力取引の電力量である。複数の約定予測条件は、それぞれに適した予測約定価格および予測約定量の算出方法が互いに異なる。電力取引の約定に影響する要因の例として天候がある。晴天、曇天、雨天など異なる気象条件を約定予測条件と定め、それぞれの約定予測条件に適した算出方法を用いて、それぞれの約定予測条件で成立する約定における電力価格と電力量を予測する。
取得部12は、予想される要因を示す予測要因情報を取得する。例えば要因が気象であれば、予測要因情報は、電力取引をしようとしている時間帯の天候が晴天、曇天、あるいは雨天であるといった情報である。
支援部13は、約定予測条件のそれぞれについて、予測部11で算出された予測約定価格および予測約定量と、取得部12で取得された予測要因情報とを提示する。例えば、予測約定価格および予測約定量が画面に表示され、ユーザは画面に表示され情報を参照して電力取引の入札価格や入札量などの入札条件を決定する。
本実施形態によれば、異なる複数の約定予測条件に応じた複数の約定予測を行い、その結果を、約定予測条件を決める要因の予測情報と共に支援に用いるので、約定価格や約定量が要因に影響される電力取引の入札条件を的確に決定するのを支援することができる。例えば、予想される天候を提示するとともに、天候毎に予想される約定の内容を提示すれば、ユーザは、予想される天候とその天候において予想される約定の情報を参照して入札価格等を適切に決めることができる。
なお、本実施形態の一態様として、予測部11は、先に算出した予測約定価格に基づいて予測約定量を算出するという方法と、先に算出した予測約定量に基づいて予測約定価格を算出するという方法の2通りの方法で予測約定価格と予測約定量を算出することにしてもよい。その場合、取得部12は、需要超過と供給超過のどちらが見込まれるかという予測要因情報を取得することにしてもよい。需要超過の場合と供給超過の場合とで電力の入札価格と電力の入札量が約定の成立にどの程度影響するかという影響度が異なる。供給超過の場合には入札価格の影響が強く、需要超過の場合には入札量の影響が強い。これは、十分な供給が見込めるのであれば買電者は価格の安い売電者から電力を買う傾向を示し、供給不足が見込まれるのであれば買電者は必要量の電力は価格が高くても買う傾向を示すからである。本態様によれば、予測約定価格を算出しそれを基に予測約定量を算出する方法と、予測約定量を算出しそれを基に予測約定価格を算出する方法とで算出した2通りの約定価格および約定量を提示する。すなわち、需要超過の場合に精度が高くなる約定予測条件と、供給超過の場合に精度が高くなる約定予測条件の両方で予測約定価格と予測約定量とを算出し、需要超過と供給超過のどちらがが見込まれるかの情報とを提示することで、入札条件の決定において収益性と予測精度の双方を高めることができる。
また、予測部11は、過去の約定における実績の約定価格、約定量、および要因情報を蓄積した約定実績情報に基づいて、予測約定価格および予測約定量を統計情報として算出することしてもよい。その場合、支援部13は、予測部11が算出した予測約定価格および予測約定量の統計情報をユーザに提示すればよい。これによれば、予測される約定価格および約定量を統計情報として提示するので、ユーザは過去の約定価格および約定量を統計的に考慮した入札条件の決定を行うことができる。
また、本実施形態の他の態様として、予測部11は、本電力取引支援システムを利用している自売電者(以下「自社」ともいう)の約定量と、他の売電者(以下「他社」ともいう)の約定量との相対関係に基づいて定まる市場支配力に関する複数の約定予測条件について前記予測約定価格と前記予測約定量を算出してもよい。市場支配力は自売電者の入札が約定価格に及ぼす影響の度合いを表わす。その場合、取得部12は、自売電者の電力供給コスト(例えば発電コスト)を示す自社コスト情報と、他売電者の電力供給コストを示す他社コスト情報とを取得し、支援部13は、自社コスト情報と他社コスト情報に基づいて自売電者の市場支配力を予測し、予測された市場支配力に関する情報を測要因情報として提示すればよい。自売電者の市場支配力が強ければ、自売電者が入札しなかった場合に見込まれる高値の約定価格に合わせた入札価格で自売電者が入札しても約定できる可能性が高いと言える。そのため、本態様では、自売電者の予想される市場支配力と、市場支配力に応じた約定予測条件についての予測約定価格および予測約定量とを提示するので、市場支配力に応じて狙える利益を考慮した入札条件の決定を支援することができる。
また、予測部11は、自社コスト情報と他社コスト情報とに基づき、他売電者だけが約定した場合に予測される約定量に対する約定価格と、他売電者と自売電者が約定した場合に予測される約定量に対する約定価格とを算出し、支援部13は、市場支配力に関する予測要因情報と、予測部11で算出された、他売電者だけが約定した場合に予想される約定量に対する約定価格と、他売電者と自売電者が約定した場合に予想される約定量に対する約定価格とに基づき、前記市場支配力に応じた約定量と約定価格の情報をユーザに提示することにしてもよい。これによれば、自売電者の市場支配力とともに。自売電者の市場支配力に応じた複数の約定予測条件のそれぞれの予測される約定量と約定価格がユーザに提示されるので、ユーザは市場支配力に応じて狙える利益を考慮した入札条件を容易に決定することができる。
また、本実施形態の更に他の態様として、取得部12は、自売電者の電力供給コストを示す自社コスト情報と他売電者の電力供給コストを示す他社コスト情報とを取得し、予測部11は、電力市場における電力の需要量と価格との関係を示す需要関数を予め保持しており、需要関数と自社コスト情報と他社コスト情報とに基づき、コストベース約定情報の予測約定価格および予測約定量を予測し、更に、その「コストベース約定情報と需要関数とに基づいて、クールノー・ナッシュ均衡解で利潤最大化した場合の予測約定価格および予測約定量に関するクールノー解約定情報を予測することにしてもよい。これによれば、コストベースで予測した約定情報とクールノー解による利潤最大化で予測した約定情報の両方を提示するので、予測される売電者の振る舞いに応じて好適な入札条件を決定するのを支援することができる。
また、その場合、コストベース約定情報およびクールノー解約定情報は予測約定価格および予測約定量の統計情報であり、支援部13は、その予測約定価格および予測約定量の統計情報をユーザに提示することにしてもよい。これによれば、コストベース約定情報およびクールノー解約定情報を統計的に提示することができるので、約定価格および約定量を統計的に考慮した入札条件の決定を支援することができる。
また、上述した本実施形態および各態様において、統計情報は確率分布としてもよい。どの程度の約定価格および約定量での約定が過去の実績におけるどの程度の割合を占めているかを確率分布で提示することができるので、どの程度の収益を狙うのが過去にどの程度実績があるかを考慮しながら入札条件を決定することが可能となる。また、支援部13は、その統計情報の確率分布をグラフによって画面に表示することにしてもよい。画面へのグラフ表示を見て視覚的に入札条件を決定するのを支援することができる。また、支援部13は、予測約定価格および予測約定量に関する情報を価格と電力量を直交座標軸としたグラフによって画面に表示することにしてもよい。電力量と価格の関係を示すグラフ表示を見て視覚的に入札条件を決定するのを支援することができる。
以下、より具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
実施例1では、予測約定価格を先に算出して次に予測約定量を算出する方法と、予測約定量を先に算出し次に予測約定価格を算出する方法の2通りの方法で予測約定価格と予測約定量を算出する電力取引支援システムを例示する。実施例1の電力取引支援システム全体は図1に示した構成を有している。
図2は、実施例1における予測部11のブロック図である。図2を参照すると、予測部11は、約定実績分類軸分類部101、約定価格統計値算出部102、約定条件・ブレ推定部103、自社発電コスト記憶部104、約定量統計値算出部105、および入札条件算出部106を有している。自社発電コスト記憶部104は自社の発電設備による発電コストの情報を予め記憶している。
約定実績分類軸分類部101は、取得部12から約定実績と各種要因実績と分類軸指定を受ける。約定実績と各種要因実績と分類軸指定を受けると約定実績分類軸分類部101は約定実績分類軸分類という処理を実行する。約定実績分類軸分類とは、過去の約定の実績を、指定された分類軸によって分類する処理である。
約定実績とは、過去の実際の約定の実績であり、例えば、JEPX(日本卸電力取引所)が公開している過去の約定の実績、地域間を結ぶ送電線の混雑状況に関する過去の実績、または送電線の分断状況に関する過去の実績などである。
要因実績とは、電力取引の約定に影響する所定の要因についての過去の実績である。要因の例として、気象庁が公開した天気、降水量、および風況といった気象状況(地域毎のデータを含む)、公開された過去の電力需要の実績、過去の系統線の混雑度、対象エリア内外にある発電所の過去の稼働状況などがある。あるいは他の例として、入手可能な非公開情報があればそれを要因に含めてもよい。
約定実績と要因実績はそれぞれ時刻情報が付加された時系列データであり、取得部12がインターネット、イントラネットなどの通信回線経由で自動的に取得し、予測部11に通知する。
分類軸とは、約定実績を分類するための軸となる項目である。分類軸は、予め定められていてもよいし、ユーザが指定することができてもよい。例えば、時刻情報における曜日、時刻、各種要因のうちのいくつかをユーザが分類軸として指定できるようにしておいてもよい。例えばユーザが分類軸として「曜日」と「天気」を指定すると、約定実績分類軸分類部101は、時刻毎の約定実績および各種要因実績を、月曜日かつ晴れ、火曜日かつ晴れ、…、月曜日かつ曇り、火曜日かつ曇り、…、月曜日かつ雨、火曜日かつ雨、というような、分類軸によって定義される項目(分類項目)に分類する。
約定価格統計値算出部102は、約定実績分類軸分類部101より約定実績と各種要因実績を分類項目に分類した結果のデータを受けて、それぞれの分類項目における約定価格の統計情報を算出する。たとえば、各分類項目における約定価格の頻度分布、平均値、標準偏差値、中央値、四分値などの約定価格の統計値を算出する。これらの統計値は、ユーザが見てとれるようにグラフ化して画面に表示すると良い。
図3は、ある分類項目に分類された約定価格の統計値をグラフ化した表示の一例を示す図である。図3には、ある分類項目における約定価格の確率分布(頻度分布)のグラフが示されている。グラフは正規分布を示しており、そのグラフ上に、約定価格の「期待値」として平均値と、「5%最悪値」として標準偏差から算出した下位5%に相当する約定価格が図示されている。各約定価格の頻度の総和すなわち図3のヒストグラムの面積は1であり、約定価格が平均値を上回る頻度は0.5であり、5%最悪値を下回る頻度は0.05である。将来の約定価格がこの頻度分布に従うと仮定すれば、この頻度分布から約定価格の予測値と、その予測値の価格で約定する確率を予測することができる。
約定価格統計値算出部102によって複数の分類項目のそれぞれについて約定価格の統計値が算出されるので、それらグラフを同じ画面に比較可能に表示して分類項目間の有意な差を提示すれば、ユーザはどの分類軸が約定価格に与える影響が大きいかを知ることができる。
約定量統計値算出部105は、約定実績分類軸分類部101より約定実績と各種要因実績の分類項目に分類した結果とを受けて、それぞれの分類項目における約定量の統計値を算出する。たとえば、各分類項目における約定量の頻度分布、平均値、標準偏差値、中央値、四分値などの約定量の統計値を算出する。これらの統計値は、ユーザが見てとれるようにグラフ化して画面に表示すると良い。
約定量統計値算出部105によって複数の分類項目のそれぞれについて約定量の統計値が算出されるので、それらのグラフを同じ画面に比較可能に表示して分類項目間の有意な差を提示すれば、ユーザはどの分類軸が約定量に与える影響が大きいかを知ることができる。
約定条件・ブレ推定部103は、約定価格統計値算出部102から約定価格の統計値を受け、約定量統計値算出部105から約定量の統計値を受ける。更に、約定条件・ブレ推定部103は、約定価格および約定量の推測を行いたい日の要因予測値を受ける。例えば、天気の予測値であれば、取得部12が、気象予報を行う機関等から対象日の天気予報情報を取得し、約定条件・ブレ推定部103に通知すればよい。
約定条件・ブレ推定部103は、上述の統計値および要因予測値を受けると、分類項目に分類された統計値の中から、対応する要因値が要因予測値に該当する分類項目の約定価格および/または約定量の統計値を選択し、選択した統計値を用いて予測約定価格と予測約定量を算出する。更に、約定条件・ブレ推定部103は、予測約定価格および/または予測約定量のブレ値を算出する。ブレ値は、予測約定価格または予測約定量の値の分散の程度を示す値である。
例えば、約定価格が正規分布に従うものとし、約定価格の期待値として約定価格の平均値を用い、約定価格のブレ値として約定価格の標準偏差を所定倍した値を用いるとする。たとえば、(平均値)−2×(標準偏差)の約定価格を算出すれば、95%の確率でこの約定価格以上の価格となると想定できる。
また、約定価格が正規分布に従わない場合には、約定価格の期待値として中央値を用い、約定価格のブレ値として約定価格の低い方から5%にあたる値を用いると良い。
約定条件・ブレ推定部103は、算出した約定価格期待値とブレ値を入札条件算出部106に渡す。
また、約定条件・ブレ推定部103は、約定量についても、上述した約定価格と同様に期待値およびブレ値を算出し、入札条件算出部106に渡す。
入札条件算出部106は、約定条件・ブレ推定部103から、該当する分類項目の約定価格または約定量の期待値とブレ値を受け、自社発電コスト記憶部104より自社の発電機による発電コストの情報を受けて、入札条件とリスクを算出する。入札条件は入札価格および/または入札量である。通常、発電機による所定の発電量に対する発電コストは発電量により異なってくる。そのため、自社の約定量を入札単位に分割した単位発電量毎の価格を表形式、グラフ形式または関数で表わし、それを発電コストの情報とすると良い。図4は、自社発電コストの一例を示すグラフである。図4のグラフによれば横軸に発電量が決まると縦軸の発電コストが決まることになる。
入札条件算出部106は、例えばユーザが売電価格に対する収益率αを指定したとすると、入札単位に分割した単位発電量毎の価格を発電コストとして求め、収益を確保するために発電コストに(1+α)を乗算した値を売電入札価格とする。
本実施例における入札条件の決定方法として、予測約定価格から予測約定量を決定する方法と、予測約定量から予測約定価格を決定する方法がある。
まず、予測約定価格から予測約定量を決定する方法で入札条件を決定する場合について説明する。
図5は、入札価格の決定について説明するための図である。ここでは約定条件・ブレ推定部103から受けた、該当する分類項目において入札価格を約定価格の期待値以下に設定すれば、50%以上の確率で約定できる。また、ブレ値である(平均値)−2×(標準偏差)または5%最悪値(統計値で約定価格の低い方から5%にあたる約定価格の値)の価格以下に設定すれば、95%以上の確率で約定できる。
図5の例では、約定価格の期待値を入札価格に設定すると、50%の確率で約定量がxKWhの約定ができるということになる。一方、約定価格の5%最悪値に入札価格を設定すると、0KWhすなわち全く約定できない可能性がある。
ユーザはこれらの情報を基に入札価格を決定すればよい。
次に、予測約定量から予測約定価格を決定する方法で入札条件を決定する場合について説明する。
図6は、ある分類項目における約定量の統計値をグラフ化した表示の一例を示す図である。図7は、入札量の決定について説明するための図である。
図7には、ユーザが約定価格(売電価格)に対する収益率αを指定した場合の入札量の決定の様子が示されている。収益率αが指定された場合、入札単位に分割した単位発電量毎の価格を発電コストとして求め、発電コストを(1+α)倍して得た値を入札価格とする。
図6、7には約定量の期待値と5%最悪値が明示されている。図7には、売電価格として、p1×(1+α)、pj、pi×(1+α)が示されている。図7の例では、期待値をpjの売電価格で入札した場合、50%の確率でこの約定量以上の約定ができるといえる。また、売電量を5%最悪値とする場合、売電価格をp1×(1+α)にして入札すれば約定する可能性があるといえる。
なお、本実施例ではユーザが売電価格に対する収益率αを指定し、その収益率を得られるように入札条件を決定する方法を示したが、他の方法もある。以下、他の2通りの方法について説明する。
1つ目の方法として、入札条件算出部106は、ユーザから入札価格の案の入力を受け、50%の確率でこの入札価格以上の価格で約定できるとした場合に見込める収益を予測し、また95%の確率でこの入札価格以上の価格で約定できるとした場合に見込める収益を予測し、それらをユーザに提示することにしても良い。その場合、その約定価格以上となる可能性が50%の場合と95%の場合の両方の場合の約定価格および約定量を示すのがよい。それにより、ユーザが収益を考慮した入札条件の決定を行うのを支援することができる。
また2つ目の方法として、入札条件算出部106は、ユーザから売電価格に対する収益率αの指定を受ける代わりに、予め複数の収益率(α値)を設定しておき、それら複数の収益率のそれぞれについて、入札した売電価格以上の価格で約定となる確率が50%の場合の収益と、入札した売電価格以上の価格で約定となる確率が95%の場合の収益を算出し、50%の場合に予測される収益が大きくなる場合と、95%の場合に予測される収益が大きくなる場合を、そのときのα値とともにユーザに提示してもよい。これにより、ユーザが収益を考慮して入札条件を決定するのを支援することができる。
以上説明したように、約定価格を予測しその予測結果に基づいて約定量を予測するという入札条件決定方法と、約定量を予測しその予測結果に基づいて約定価格を予測するという入札条件決定方法とがある。そして、約定価格の予測結果から予測した約定量と、最初に約定量を予測したときに得られる約定量とは必ずしも同じにはならない。また、最初に約定量の予測結果から予測した約定価格と、最初に約定価格を予測したときの約定価格とは必ずしも同じにはならない。そのため、異なる方法で算出した予測結果を両方提示することにより、ユーザは判断材料が増えて入札条件を決定しやすくなる。
たとえば、ある状況下では約定価格の方が的確な予測を示し、別の状況下では、約定量の方が的確な予測を示すといったことがあり得る。その場合、要因の状況などから的確な予測を示す可能性のある方法で予測した約定条件を基に入札条件を決定するといったことが可能である。
より具体的には、需要に対して供給が少ない状況と需要に対して供給が過剰となる状況とがある。需要に対して供給が少ない場合でも買電者は必要な分の電力は購入しなければならない。その場合には入札量が入札価格よりも約定への影響度が大きく、最初に約定量を予測する方法の方が的確な予測を示すと考えられる。逆に、需要に対して供給が過剰な場合には、買電者は、できるだけ安い入札価格で入札している売電者から電力を買おうとする。その場合には入札価格が入札量よりも約定への影響度が大きく、最初に約定価格を予測する方法の方が的確な予測を示すと考えられる。
合わせて提示される要因状況から、需要超過の状態か供給超過の状態か判断できれば、ユーザは、その状態に合った方法で予測された約定価格および約定量から入札価格および入札量を決定すればよい。また、需要超過か供給超過か判断できない場合、両方の方法で算出された約定価格および約定量にそれぞれ重み0.5を乗算して足し合わせた値に基づいて入札価格および入札量を決定するということも考えられる。ここでは重みとしてそれらの合計が1となる例を示したが、それ以外の重みを用いてもよい。
また、以上では、約定実績を複数の分類項目に分類した各約定予測条件で予測約定価格および予測約定量を算出し、グラフ化して画面に表示する例を示したが、その他の方法で提示することも考えられる。例えば、約定予測条件に分類された約定実績から算出した予測約定価格および予測約定量と、分類を行っていない全てのあるいは一部の約定実績から予測約定価格および予測約定量を算出し、グラフ化してそれも画面に表示することにしてもよい。また、過去の約定実績の蓄積が少ない場合には、分類をせずに全ての約定実績から予測約定価格および予測約定量を算出し、それをグラフ化して画面に表示することにしてもよい。
また、約定条件・ブレ推定部103は、複数の約定予測条件で算出した複数の予測約定価格および予測約定量を用いた所定の演算で更に予測約定価格および予測約定量を算出することにしてもよい。
図8は、複数の約定予測条件における約定価格および約定量とから算出した約定価格および約定量を出力する約定条件・ブレ推定部103のブロック図である。図8を参照すると、約定条件・ブレ推定部103は、重み決定部103−1、予測確率分布生成部103−2、および重み分析部103−3を有している。
重み決定部103−1は、要因予測値を受けて、分類項目別の約定価格の統計値と分類項目別の約定量の統計値に対する重みを決定する。例えば、要因として気温があり、その要因予測値が30℃以上になるのであれば需要超過になるため約定量の影響が大きいと判断し、分類項目別の約定価格の統計値に基づく演算結果に対する重みを0とし、分類項目別の約定量の統計値に基づく演算結果に対する重みを1とするというように重みを決定する。重み情報の形式は特に限定されないが、例えば、要因予測値の条件項目別の重みを表形式で表わしてもよく、あるいは予測要因値を入力とする関数によって重みを表現してもよい。重みの値は小数であっても良い。重み決定部103−1が決定した重みの情報は予測確率分布生成部103−2に送られる。
予測確率分布生成103−2は、重み決定部103−1より重みの情報を受けて複数の約定価格と約定量の統計値を重み付け平均する。その演算により、予測約定価格の確率分布を示す頻度グラフと、予測約定量の確率分布を示す頻度グラフとが得られる。
重み分析部103−3は、約定実績と各種要因実績を受けて、分類項目別の約定価格の頻度グラフを正規化したグラフと、分類項目別の約定量の頻度グラフを正規化したグラフを算出し、更に、日々算出される予測約定価格と実績約定価格の誤差の統計値と、日々算出される予測約定量と実績約定量の誤差の統計値を算出する。更に、重み分析部103−3は、算出した約定価格の誤差の統計値と約定量の誤差の統計値とを比較し、約定価格の誤差と約定量の誤差のどちらがどの程度小さいかを分析する。その分析結果から約定価格と約定量のそれぞれの重みを決定することができる。例えば、要因予測値について予測約定価格の誤差の逆数と予測約定量の誤差の逆数を重みとして出力することにしてもよい。ただし、これは一例であり、それ以外の計算法で重みを算出してもよい。
図9〜12は電力取引支援システム10による画面表示の例を示す図である。
図9には、入札価格の決定方法についての概念図が示されている。買電者による買い入札の曲線は、横軸の価格以下であれば買う総量を縦軸に示したグラフである。売電者による売り入札の曲線は、横軸の価格以上であれば売る総量を縦軸に示したグラフである。買い入札の曲線と売り入札の曲線の交点における電力量と電力価格で約定することになる。
図10には、通常より高い価格で買い入札が入る場合の極端な例が示されている。買電者が価格によらず必要な分の電力を買いたいという場合がこれに該当する。このような場合には、先に約定量を予測し、その予測結果から約定価格を予測するという方法で予測約定価格および予測約定量を求めるのが高精度の可能性が高い。
図11には、一定の約定量Lを示す直線と、売電者の売り入札の曲線とから、約定価格を予測する方法が示されている。売り入札の曲線は、他社の発電機コストと自社の発電機コストをコストが安い順に並べることで描画される。売り入札の予測曲線のグラフの詳細な描画方法は実施例2にて説明する。
図11を参照し、各々の約定量につき、予測約定量の頻度グラフから得られる頻度値を、売り入札の予測曲線のグラフに照らして予測約定価格の頻度を取得することができる。
図12には、約定価格の確率分布を表わしたグラフが示されている。図12に表示された画面を参照すると、約定価格に対する約定量の確率分布の頻度を得ることができる。
電力取引においては売電者の市場支配力によってその売電者が約定できる電力価格電力量が変わってくる。市場支配力が強い売電者は強気の価格で入札しても約定できる可能性が高い。逆に市場支配力の弱い売電者の場合、その売電者が入札してもしなくても市場に大きな影響がないので、強気の価格を設定したら買電者は他の売電者から電力を買ってしまう。そのため、売電者は自社の市場支配力によって予測約定価格および予測約定量の算出方法を変えることで適切な入札価格および入札量の決定を支援するとよい。
実施例2の電力取引支援システムは、自売電者の予想される市場支配力と、市場支配力に応じた約定予測条件についての予測約定価格および予測約定量とを提示する。それにより、ユーザは市場支配力に応じて狙える利益を考慮して入札価格および入札量を決定できるようになる。
実施例2の電力取引支援システム全体は図1に示したものと同じ構成を有している。図13は、実施例2における予測部11のブロック図である。図13を参照すると、予測部11は、他社発電コスト記憶部201、自社発電コスト記憶部203、第1の約定価格予測部204、第2の約定価格予測部202、確率付き市場約定量予測部205、および自社約定量予測部206を有している。
他社発電コスト記憶部201は、他社が保有する発電機の発電量当たりのコストを示す他社発電コストの情報を保持している。他社の約定量を入札単位に分割した場合の単位発電量毎の価格を表形式、グラフ形式または関数で表わし、それを他社発電コストの情報とすると良い。他社発電コストは、例えば、横軸に発電量をとり、縦軸に発電コストをとったグラフで表すことができる。他社発電コスト情報をどのようにして生成するかについては後述する。
自社発電コスト記憶部203は、自社が保有する発電機の発電量当たりのコストを示す自社発電コストの情報を保持している。自社の約定量を入札単位に分割した場合の単位発電量毎の価格を表形式、グラフ形式または関数で表わし、それを自社発電コストの情報とすると良い。自社発電コストは、例えば、横軸に発電量をとり、縦軸に発電コストをとったグラフで表すことができる。
ここでは他社発電コストおよび自社発電コストは、一例として図4に示した実施例1の自社発電コストと同様の形式であるとする。
なお、自社、他社ともに電力取引の入札以前から電力取引とは別に予め計画されている発電量があれば、それを除いた発電量についての発電コストが、ここでいう自社発電コストあるいは他社発電コストとなる。
確率付き市場約定量予測部205は、実施例1における約定量統計値算出部105と同様に、各分類項目における約定量の統計値を算出する。算出される約定量の統計値は図6に示したようなグラフ形式で表現することができる。実施例1の図6のように、本実施例の約定量の予測結果も、約定できる確率とその場合の約定量とで表現された確率付き市場約定量Lとして確率分布を表わしたグラフ形式で表現でき、期待値および5%最悪値なども決まる。
確率付き市場約定量予測部205によって複数の分類項目のそれぞれについて統計値が算出されるので、それら統計値のグラフを同じ画面に表示して分類項目間の有意な差を示せば、ユーザはどの分類軸が約定量に与える影響が大きいかを知ることができる。
第1の約定価格予測部204は、他社発電コスト記憶部201から他社発電コストの情報を受け、自社発電コスト記憶部203から自社発電コストの情報を受けて、入札シミュレーションを行う。入札シミュレーションでは、他社発電コストまたは自社発電コストに含まれる単位発電量を価格が安い順に並べ、その中で確率付き市場約定量Lを閾値として、それより低コストの単位発電量については約定する可能性があると判断する。コストが期待値以下の単位発電量は約定する可能性が50%と判断し、コストが5%最悪値以下の単位発電量は約定の可能性が95%と判断する。
第1の約定価格予測部204は、このとき約定する可能性があると判断した単位発電量についての約定価格p1を予測する。約定価格p1は確率分布で示しても良く、期待値あるいは5%最悪値などの数値によって表しても良い。
図14は、入札シミュレーションの一例を説明するための図である。図14には、他社発電機コストの曲線(図14の例では直線)と、他社自社発電機コストの曲線(図14の例では直線)が例示されている。
他社自社発電機コストは、他社発電コストおよび自社発電コストについて、入札単位に分割した単位発電量を表す棒グラフをコストが安い順に左から並べている。自社発電コストがハッチング有りの棒グラフで示され、他社発電コストがハッチング無しの棒グラフで示されている。
また、途中の棒グラフを省略しているが、他社発電コストおよび他社自社発電コストは棒グラフの高さをつないだ線グラフによっても示されている。また、他社発電コストは線グラフのみで示されている。
ここでは、他社が1社のみである場合を例として説明するが、他社が複数社ある場合には、全ての単位発電量を合わせて発電コストが安い順に左から並べて用いると良い。確率付き市場約定量Lは、たとえば期待値をLとして図示している。Lについては、可能性が50%となる期待値のほか、可能性が95%となる5%最悪値で示しても良い。約定価格予測部204は、約定量がLとなるときの発電コストから約定価格を算出し、p1とする。
自社約定量予測部206は、全約定量中の自社の約定量Lmを推測する。例えば、約定量がLであるとすれば、約定量Lよりも左側に来る自社分の約定量の総和をLmとして計算する。
第2の約定価格予測部202は、自社分の約定量Lmから、他社の約定量(L−Lm)を計算する。そして、第2の約定価格予測部202は、他社発電コストを受けて、図14に示すように、自社が入札せず他社のみが入札して約定したとした場合の他社の約定量(L−Lm)における他社発電コストp2を計算する。
p2は他社のみが入札した場合の発電コストなので、自社に市場支配力があれば、自社および他社が入札した場合の発電機コストp1と比べて高値となる。その場合、自社分の約定量Lmの一部を自社が価格p2で売り入札しても自社も約定できると考えられる。例えば、ユーザの所望などにより、期待値をLとして計算する場合、5%最悪値として計算する場合、あるいはその間の値(四分値など)で計算する場合など、このことが言える。また、確率分布にも同様のことが言えるので、n%最悪値のnを様々な値に振って約定価格を計算し、その確率分布を求めて出力してもよい。以上のように、約定価格p2>約定価格p1となるので、ユーザは、価格が高い約定価格p2でも約定する可能性があること、そして、その約定の確率を知り、入札価格および入札量を決定するのに役立てることができる。
図13に示した本実施例2の予測部11は更に約定条件・ブレ推定部210を有していてもよい。
図15は、実施例2に約定条件・ブレ推定部210のブロック図である。実施例2に約定条件・ブレ推定部210は、図8を用いて説明した実施例1の約定条件・ブレ推定部103と同様に、2種の方式で算出した予測約定価格の重み付き平均をとることで約定価格と量を予測してもよい。図15の重み決定部211、予測確率分布生成部212、重み分析部213は、図8の重み決定部103−1、予測確率分布生成部103−2、重み分析部103−3にそれぞれ相当する。
次に、他社発電コストの作成方法の変形例について述べる。
まず、他社が保有する全ての発電機について想定される発電コストをデータベースに予め保有しておき、どの発電機が停止しているという停止情報があれば、その発電機は稼働しないものとし、単位発電量についての発電コストを、稼働する発電機の発電コストを基に算出する。
他社発電コストの作成方法の別の変形例について述べる。
まず日々計測される約定量と約定価格の履歴情報を予め記録しておく。そして、過去の各日について、総約定量から自社の約定量を減算することで他社の約定量を算出する。また、過去の各日について、約定価格と自社の約定量の最高入札額とを比較し、前者の方が高ければ、前者の価格を他社の発電コストの上限とする。後者の方が高ければ、後者の価格で入札した分を除いた約定分のうちの最高入札額を他社の発電コストの上限とする。あるいは、後者の方が高ければ、その日のデータは用いないとしてもよい。
電力取引においては入札価格や入札量という買電者の振る舞いによって約定価格が変わってくる。入札価格と入札量を決定するための考え方は複数あり、それらを状況に応じて比較検討して意思決定するのが好ましい。実施例3は、複数手法による案を提示し、比較検討できるようにしている。ここでは、考え方の異なる複数の手法として、(1)クールノー・ナッシュ均衡解による売電価格と、(2)統計値から予測する売電価格(コストベース約定価格予測)という2通りを提示する態様を例示する。しかし、それは例示であり、本発明がそれに限定されることはない。
実施例3の電力取引支援システム全体は図1に示したものと同じ構成を有している。図16は、実施例3における予測部11のブロック図である。図16を参照すると、予測部11は、他社発電コスト記憶部301、自社発電コスト記憶部303、需要関数記憶部305、約定量予測誤差分布算出部306、クールノー解約定価格予測部302、およびコストベース約定価格予測部304を有している。
他社発電コスト記憶部301は、実施例2と同様の他社発電コストの情報を保持する。自社発電コスト記憶部303は実施例2と同様の自社発電コストの情報を保持する。
需要関数記憶部305は、電力需要と電力価格との関係を示す情報を予め記憶している。それらの情報は、例えば、価格Pを変数とする関数D(価格P)またはそれを示す表で表現されている。電力価格と電力需要の関係は、電力価格が下がれば電力需要が増え、電力価格が上がれば電力需要が減るという関係にある。
約定量予測誤差分布算出部306は、約定実績から分類項目別の約定量Lの予測誤差分布を算出し、保持する。分類項目は、予め定められた分類に従う。
コストベース約定価格予測部304は、他社発電コスト記憶部301から他社発電コストの情報を読み出し、自社発電コスト記憶部303から自社発電コストの情報を読み出し、需要関数記憶部305から需要関数Dを読み出し、それらの情報に基づいてコストベース約定価格P1を予測する。コストベース約定価格P1の算出方法については後述する。
第1の入札価格収益確率分布算出部308は、コストベース約定価格予測部304からコストベース約定価格P1を受け、約定量予測誤差分布算出部306から約定量Lの予測誤差分布を受け、それらに基づき、コストベース約定価格P1を採用した場合の収益の確率分布を算出する。
クールノー解約定価格予測部302は、コストベース約定価格予測部304からコストベース約定価格P1を受け、需要関数記憶部305から需要関数D(価格P)を読み出し、それらに基づきクールノー解約定価格Pcを予測する。クールノー解約定価格Pcの算出方法については後述する。
第2の入札価格収益確率分布算出部307は、クールノー解約定価格予測部302からクールノー解約定価格Pcを受け、約定量予測誤差分布算出部306から約定量Lの予測誤差分布を受けて、それらに基づいて、クールノー解約定価格Pcを採用した場合の収益の確率分布を算出する。
図17は、コストベース約定価格P1を採用した場合の収益確率分布H1とクールノー解約定価格Pcを採用した場合の収益確率分布Hcを併せて表示した画面の一例を示す図である。コストベース約定価格P1による収益確率分布H1とクールノー解約定価格Pcによる収益確率分布Hcを併せて表示することにより、ユーザは、2つの収益の確率分布H1、Hcにおける収益の期待値や収益の5%最悪値などを比較し、どちらの約定価格に合わせて入札を行うかを判断しやすくなる。
図18は、コストベース約定価格P1の算出方法と、クールノー解約定価格Pcの算出方法について説明するための図である。
コストベース約定価格予測部304は、他社発電コストと自社発電コストの単位発電量を価格の安い順に並べて、他社自社発電コストのグラフを求める。更に、コストベース約定価格予測部304は、他社自社発電コストと需要関数D(価格P)が交わる交点を算出する。この交点がコストベースで予測される約定価格(P1)とそのときの約定量を表わしている。
一方、クールノー解約定価格予測部302は、需要関数D(価格P)の最大価格をp0とし、(p0−p1)を自社と他社の入札参加数+1で等分し、得られた値をp1に加算した価格をクールノー解約定価格Pcとする。
なお、実施例3の予測部11に、図15を用いて説明した実施例2の約定条件・ブレ推定部210と同様の構成を設けてもよい。また、実施例3の予測部11に、図8を用いて説明した実施例1の約定条件・ブレ推定部103と同様の構成を設け、2通りの方式で算出した予測約定価格の重み付き平均を算出して約定価格と約定量を予測することにしてもよい。
上述した本発明の実施形態および実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態あるいは実施例にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
10…電力取引支援システム、101…約定実績分類軸分類部、102…約定価格統計値算出部、103−1…重み決定部、103−2…予測確率分布生成部、103−3…重み分析部、103…約定条件・ブレ推定部、104…自社発電コスト記憶部、105…約定量統計値算出部、106…入札条件算出部、11…予測部、12…取得部、13…支援部、201…他社発電コスト記憶部、202…約定価格予測部、203…自社発電コスト記憶部、204…約定価格予測部、205…市場約定量予測部、206…自社約定量予測部、210…約定条件・ブレ推定部、301…他社発電コスト記憶部、302…クールノー解約定価格予測部、303…自社発電コスト記憶部、304…コストベース約定価格予測部、305…需要関数記憶部、306…約定量予測誤差分布算出部、307…入札価格収益確率分布算出部、308…入札価格収益確率分布算出部
Claims (11)
- 電力取引の約定に影響する要因の情報である要因情報に応じた複数の約定予測条件における予測約定価格および予測約定量を算出する予測部と、
予測される前記要因を示す予測要因情報を取得する取得部と、
前記約定予測条件のそれぞれについての前記予測約定価格および前記予測約定量と前記予測要因情報とに基づく支援情報を提示する支援部と、を有する電力取引支援装置。 - 前記予測部は、先に算出した予測約定価格に基づいて予測約定量を算出するという方法と、先に算出した予測約定量に基づいて予測約定価格を算出するという方法で前記予測約定価格と前記予測約定量を算出し、
前記取得部は、需要超過と供給超過のどちらが見込まれるかという予測要因情報を取得する、
請求項1に記載の電力取引支援装置。 - 前記予測部は、過去の約定における実績の約定価格、約定量、および要因情報を蓄積した約定実績情報に基づいて、前記予測約定価格および前記予測約定量を統計情報として算出し、
前記支援部は、前記予測約定価格および前記予測約定量の統計情報を提示する、
請求項1に記載の電力取引支援装置。 - 前記予測部は、自売電者の約定量と他売電者の約定量との相対関係に基づいて定まる、自売電者の入札が約定価格に及ぼす影響の度合いを表わす市場支配力に関する複数の約定予測条件について前記予測約定価格と前記予測約定量を算出し、
前記取得部は、前記自売電者の電力供給コストを示す自社コスト情報と前記他売電者の電力供給コストを示す他社コスト情報とを取得し、
前記支援部は、前記自社コスト情報と前記他社コスト情報に基づいて、前記自売電者の市場支配力に関する情報を前記予測要因情報として提示する、
請求項1に記載の電力取引支援装置。 - 前記予測部は、前記自社コスト情報と前記他社コスト情報とに基づき、前記他売電者だけが約定した場合に予測される約定量に対する約定価格と、前記他売電者と前記自売電者が約定した場合に予測される約定量に対する約定価格とを算出し、
前記支援部は、前記市場支配力に関する前記予測要因情報と、前記他売電者だけが約定した場合に予想される約定量に対する約定価格と、前記他売電者と前記自売電者が約定した場合に予想される約定量に対する約定価格とに基づき、前記市場支配力に応じた約定量と約定価格の情報を提示する、
請求項4に記載の電力取引支援装置。 - 前記取得部は、自売電者の電力供給コストを示す自社コスト情報と他売電者の電力供給コストを示す他社コスト情報とを取得し、
前記予測部は、前記電力市場における電力の需要量と価格との関係を示す需要関数を予め保持しており、前記需要関数と前記自社コスト情報と前記他社コスト情報とに基づき、前記他売電者が前記他社コスト情報に基づいた入札価格および入札量で入札し前記自売電者が前記自社コスト情報に基づいた入札価格および入札量で入札した場合の予測約定価格および予測約定量に関するコストベース約定情報を予測し、前記コストベース約定情報と前記需要関数とに基づいて、クールノー解で利潤最大化した場合の予測約定価格および予測約定量に関するクールノー解約定情報を予測する、
請求項1に記載の電力取引支援装置。 - 前記コストペース約定情報および前記クールノー解約定情報は予測約定価格および予測約定量の統計情報であり、
前記支援部は、前記予測約定価格および前記予測約定量の統計情報を提示する、
請求項7に記載の電力取引支援装置。 - 前記統計情報は確率分布である、請求項3、7に記載の電力取引支援装置。
- 前記支援部は、前記統計情報の確率分布をグラフによって画面に表示する、請求項8に記載の電力取引支援装置。
- 前記支援部は、前記予測約定価格および前記予測約定量に関する情報を価格と電力量を直交座標軸としたグラフによって画面に表示する、
請求項1に記載の電力取引支援装置。 - 予測手段が、電力取引の約定に影響する要因の情報である要因情報に応じた複数の約定予測条件における予測約定価格および予測約定量を算出し、
取得手段が、予測される前記要因を示す予測要因情報を取得し、
支援手段が、前記約定予測条件のそれぞれについての前記予測約定価格および前記予測約定量と前記予測要因情報とに基づく支援情報を提示する、電力取引支援方法。
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