JP2016164608A - 画像形成装置 - Google Patents

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宏萌 桑原
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Abstract

【課題】従来に比べて、画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを良好に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
感光体4と現像スリーブとを現像領域で互いに同じ方向に表面移動させ且つ現像スリーブの線速を感光体の線速よりも速くした構成において、感光体4の地肌部における全域のうち、感光体4の画像部に対して感光体表面移動方向の上流側で並び且つ画像部との境界から感光体表面移動方向の所定距離範囲内にある領域である上流側近傍領域Aの地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするポテンシャル調整手段を設けた。これによって地肌ポテンシャルを調整することで、従来に比べて、画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを良好に抑えることができる。
【選択図】図11

Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
従来より、潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電後の潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持した現像剤によって潜像を現像する現像手段とを備える画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、帯電装置によって一様に帯電せしめた潜像担持体たる感光体の表面をレーザー光によって光走査して、その表面に静電潜像を書き込む。この静電潜像に対し、現像剤担持体たる現像スリーブの表面に担持した現像剤中のトナーを転位させることで、静電潜像を現像してトナー像を得る。特許文献1には、かかる構成の画像形成装置において生じ得る画像端部カスレや地汚れについて、次のような記述がある。地肌ポテンシャルが高すぎるときに起こる異常画像はハーフトーン画像端部カスレである。これは非画像部において現像スリーブ側にトナーが移動している状態において、ハーフトーン部を現像する際に初めに現像されたトナーが後から来るトナー密度の低い穂によりかきとられて起こる。また、地肌ポテンシャルが低すぎるときに起こる異常画像は非画像部の地汚れである。非画像部においてトナーが現像されてしまうことで起こる。
本発明者らの実験によれば、地肌ポテンシャルがある程度大きな値になると、ハーフトーン画像だけでなく、ベタ画像でも、端部カスレが発生した。以下、それらの画像の端部カスレを総称して画像端部カスレと言う。画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを両方ともに抑えるためには、感光体の地肌部の電位と現像スリーブの電位との電位差である地肌ポテンシャルを次のような値に維持する必要がある。即ち、地汚れの発生を許容レベルに留め得る下限値と同等以上で、且つ画像端部カスレの発生を許容レベルに留め得る上限値と同等以下の値である。
ところが、環境(温湿度)が変動すると、それに伴って感光体の帯電性が変動することから、地肌ポテンシャルが変動する。そして、環境が大きく変動すると、地肌ポテンシャルが前述の下限値を下回って地汚れが発生したり、その逆に地肌ポテンシャルが前述の上限値を上回って画像端部カスレが発生したりしてしまう。画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを両方とも許容レベルに収める上で許容される環境変動幅はそれほど広くないことから、両方の発生をそれぞれ抑え続けることが困難であった。
上述した課題を解決するために、本発明は、所定方向に移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、前記表面を帯電させる帯電手段と、帯電後の前記表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持したキャリア及びトナーを含有する現像剤を用いて前記潜像を現像してトナー像を得る現像手段とを備える画像形成装置において、前記現像剤担持体と前記潜像担持体とを互いに異なる線速で表面移動させ、且つ、前記潜像担持体の地肌部における全域のうち、前記潜像担持体の画像部に対して前記所定方向の上流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定距離範囲内にある領域である上流側近傍領域の地肌ポテンシャル、又は前記画像部に対して前記所定方向の下流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定範囲内にある領域である下流近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするポテンシャル調整手段を設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、従来に比べて、画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを良好に抑えることができるという優れた効果がある。
実施形態に係る複写機を示す斜視図。 同複写機を示す概略構成図。 同複写機における画像形成部の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図。 同複写機におけるK用の作像ユニット3Kを拡大して示す拡大構成図。 従来の画像形成装置で生じていた画像端部カスレの発生原因を説明するための拡大模式図。 地肌ポテンシャルを非常に低い値に設定した構成における現像領域での磁気ブラシの状態を説明するための拡大模式図。 同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。 同複写機における追い越し距離Lrを説明するための模式図。 大面積の矩形状のハーフトーン画像を作像した状態の感光体表面を示す展開模式図。 図9の状態の感光体における表面電位を感光体副走査方向の位置との関係を示すグラフ。 小面積の矩形状のハーフトーン画像と、十字状の線画像と、ジグザグ状の線画像とを作像した状態の感光体表面を示す展開模式図。 第一変形例に係る複写機における追い越し距離Lr’を説明するための模式図。 第一実施例に係る画像形成システムを示す概略構成図。 第二実施例に係る複写機において、大面積の矩形状のハーフトーン画像を作像した状態の感光体における表面電位を感光体副走査方向の位置との関係を示すグラフ。
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す斜視図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給部40とを具備するプリンタや、画像読取ユニット50などを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定された原稿読取装置としてのスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、シート供給部40は、画像形成部1の下に配設されている。そして、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから記録シートを送り出す送出ローラ43、送り出された記録シートを1枚ずつに分離する分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の給紙路37に対して、シート部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ対46等も有している。
給紙カセット42は、複数の記録シートを重ねたシート束の状態で内部に収容している。そして、一番上の記録シートに対して送出ローラ43を押し当てている。送出ローラ43が回転すると、シート束の一番上の記録シートが給紙カセット42から送り出される。
給紙カセット42の付近では、搬送ローラ対46の第1搬送ローラと、これの側方(図2で右側方)に配設された第2搬送ローラとが互いに当接して搬送ニップを形成している。また、第1搬送ローラの下方には、分離ローラ45が配設されており、第1搬送ローラに対して下方から当接して分離搬送ニップを形成している。
給紙カセット42から送り出された記録シートは、分離搬送ニップで1枚に分離された後、給送路44に進入する。そして、搬送ローラ対46の搬送ニップに進入して、鉛直方向下方側から上方側に向かう搬送力を付与される。これにより、給送路44内では、記録シートが画像形成部1の給紙路37に向けて搬送される。
画像形成手段としての画像形成部1は、潜像書込装置2、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つの作像ユニット3K,3Y,3M,3C、転写ユニット24等を備えている。また、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等も備えている。
作像ユニット3K,3Y,3C,3Mは、有機感光層を具備する有機感光体からなる感光体4K,4Y,4C,4Mを有している。これら感光体4K,4Y,4C,4Mは、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動する。
潜像書込装置2は、書込制御部から送られてくる各色毎の制御信号に基づいて、各色毎のレーザーダイオードを駆動して、K,Y,C,M用の書込光(後述する図3のL)を発する。そして、ポリゴンミラーによって感光体回転軸線方向に偏向せしめたK,Y,C,M用の書込光により、感光体3K,3Y,3C,3Mを光走査して、感光体3K,Y,C,MにK,Y,C,M用の静電潜像を書き込む。これらK,Y,C,M用の静電潜像は、所定の現像プロセスによってK,Y,C,Mトナー像に現像される。なお、潜像書込装置2として、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、走査結像光学系、ミラー分などを具備するものに代えて、各色毎に個別に配設されたLEDアレイや結像光学系などを具備するものを用いてもよい。
図3は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図4は、K用の作像ユニット3Kを拡大して示す拡大構成図である。なお、4つの作像ユニット3K,3Y,3M,3Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、以下、K用の作像ユニット3Kを例にしてトナー像の作像プロセスについて説明する。
K用の作像ユニット3Kは、感光体4とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。感光体4Kの周りに、帯電装置の帯電ブラシローラ5K、現像装置6K、ドラムクリーニング装置15K、除電ランプ22K等を有している。本複写機では、4つの作像ユニット(3K,Y,M,C)を、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
感光体4Kとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を発揮する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状の有機感光体からなるものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6Kは、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する現像剤(二成分現像剤)を用いて潜像を現像するものである。そして、内部に収容している現像剤を攪拌しながら搬送して現像ロール13Kに供給する攪拌部7Kと、現像ロール13Kの現像スリーブ13aKに担持した現像剤中のトナーを感光体4Kに転移させるための現像部11Kとを有している。
攪拌部7Kは、現像部11Kよりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8K、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、ケーシングの底面に設けられたトナー濃度センサー10Kなどを有している。
現像部11Kは、ケーシングに設けられた開口を通じて感光体4Kに対向する現像ロール13K、自らの先端を現像ロール13Kに近接させるドクターブレード14Kなどを有している。また、現像ロール13Kは、図中時計回り方向に回転駆動する非磁性パイプからなる現像スリーブ13aKと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13bKとを具備している。現像スリーブ13aKは、回転可能な筒状の構造になっている。また、マグネットローラ13bKは、ドクターブレード14Kとの対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を具備している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7Kから送られてくる現像剤を現像スリーブ13aKの表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
現像スリーブ13aKの表面上に形成された磁気ブラシは、現像スリーブ13aKの図中時計回り方向の回転に伴ってドクターブレード14Kとの対向位置を通過する際に適切な層厚に規制されてから、感光体4Kに対向する現像領域に搬送される。本複写機では、現像スリーブ13aKの表面と、感光体4Kの表面とを互いの対向部で同じ方向に移動させ、且つ現像スリーブ13aKの線速を感光体4Kの線速よりも速くしている。これにより、現像領域に対して十分量の現像剤を搬送することができる。
現像スリーブ13aKと感光体4Kとが対向する現像領域では、両者が所定の間隙(現像ギャップ)を介して対向している。現像スリーブ13aKの回転に伴って現像ギャップの近傍手前側まで搬送されてきた現像剤は、マグネットローラ13bKにおける複数の磁極のうち、現像主極に対して現像スリーブ13aKのスリーブ層を介して対向する。そして、現像主極の発する磁力によって穂立ちして磁気ブラシを形成した状態で、現像ギャップに進入する。すると、現像スリーブ13aKの回転に伴って、磁気ブラシの穂先を感光体4Kの表面に擦り付け、穂先をスリーブ回転方向上流側、穂の根本を上流側に位置させるように穂倒れしながら移動する。この際、現像スリーブ13aKに印加される現像バイアスと、感光体4K上の静電潜像との電位差である現像ポテンシャルの作用により、トナーを感光体4K上の静電潜像に転移させる。この転位によって静電潜像を現像した現像剤は、現像スリーブ13aKの回転に伴って再び現像部11K内に戻り、マグネットローラ13bKの磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7K内に戻される。
攪拌部7Kは、感光体4Kの回転軸線方向に延在する第1搬送スクリュウ及び第2搬送スクリュウを具備している。これら搬送スクリュウは、互いに逆方向に回転駆動することで、現像剤を軸線方向に沿って互いに逆方向に搬送する。現像スリーブ13bKから離脱した現像剤は、第1搬送スクリュウの上に落下して、第1搬送スクリュウの回転軸線方向に沿って搬送される過程で、透磁率センサーからなるトナー濃度センサー10Kによってトナー濃度が検知される。そして、第1搬送スクリュウの回転軸線方向の一端付近で第2搬送スクリュウに受け渡される。第2搬送スクリュウは、受け渡された現像剤を自らの回転軸線方向に沿って第1搬送スクリュウとは反対方向に搬送する。第2搬送スクリュウによって搬送される現像剤は、トナー濃度の検知結果に応じた量のトナーが補給されて、トナー濃度を所定の値まで復活させた後、第2搬送スクリュウの回転軸線方向の他端付近で第1搬送スクリュウに受け渡される。
ドラムクリーニング装置15Kとしては、ポリウレタンゴム等の弾性体からなるクリーニングブレード16Kを感光体4Kに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本複写機では、外周面を感光体4Kに接触させる接触導電性のファーブラシ17Kを、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17Kは、固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4K表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17Kにバイアスを印加する金属製の電界ローラ18Kを回転自在に設け、これにスクレーパ19Kの先端を押し当てている。ファーブラシ17Kに付着したトナーは、ファーブラシ17Kに対してカウンター方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18Kに転位する。そして、スクレーパ19Kによって電界ローラ18Kから掻き取られた後、回収スクリュウ20K上に落下する。回収スクリュウ20Kは、回収トナーをドラムクリーニング装置15Kにおける図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置に受け渡す。リサイクル搬送装置は、受け渡されたトナーを現像装置6Kに送ってリサイクルする。
除電ランプ22Kは、光照射によって感光体4Kを除電する。除電された感光体4Kの表面は、帯電装置の帯電ブラシローラ5Kによって一様に帯電せしめられた後、潜像書込装置2によって光走査がなされる。なお、帯電装置としては、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧からなる帯電バイアスが印加される帯電ブラシローラ5Kを感光体4Kに当接又は接近させながら回転させるものを用いている。感光体4Kに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
図3において、4つの作像ユニット3K,3Y,3M,3Cの感光体4K,4Y,4M,4Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。4つの作像ユニット3K,3Y,3M,3Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト25を、感光体4K,4Y,4M,4Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,4Y,4M,4Cと、無端状のベルト部材である中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,26Y,26M,26Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,4Y,4M,4Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,26Y,26M,26Cには、それぞれ一次転写電源から出力される一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,4Y,4M,4C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には二次転写電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、レジストローラセンサーが配設されている。上述したシート供給部40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートは、その先端がレジストローラセンサーに検知された所定時間後に搬送を一時停止されて、レジストローラ対33のレジストニップに突き当てられる。
記録シートの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色重ね合わせトナー像が二次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートに一括二次転写され、記録シートの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した記録シートは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、二次転写ニップで記録シートに転写されなかった二次転写残トナーが付着している。この二次転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置34は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラと、これに向けて押圧される加圧ローラとの当接によって定着ニップを形成している。定着装置34内に送られた記録シートは、定着ニップ内に進入して加圧されたり加熱されたりして、フルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られる。そして、機外へと排出される。
図2において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートが、切換爪で記録シートの進路を記録シート反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150は、移動照射部152を有している。移動照射部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第2コンタクトガラスの直下に配設されている。光源としてのLEDアレイや、反射ミラーなどからなる光学系を具備する移動照射部152は、図2における左右方向である副走査方向に移動することができる。そして、図2における左側から右側に移動していく過程で、LEDアレイから発した光を第2コンタクトガラス上に載置された原稿で反射させた後、反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像センサーとしてのCCD153に受光させる。
なお、移動照射部152は、図示の位置よりも少し左側の位置に移動して、スキャナ150のケーシング上壁に固定された第1コンタクトガラスの直下に位置することも可能である。
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53を保持している。加えて、シート部材としての原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55なども保持している。そして、スキャナ150に固定された蝶番によって上下方向に揺動可能に支持されている。その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。
原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス155上に載せた後、ADFを閉じる。そして、コピースタートボタンを押す。すると、スキャナ150の移動照射部(152)は、第1コンタクトガラス154の直下の位置をホームポジションにしており、読取待機中にはそのホームポジションで停止している。
コピースタートボタンが押されると、移動照射部(152)がホームポジションから第2コンタクトガラス155の直下に向けて移動し始める。このとき、移動照射部(152)は、LEDアレイから発した光を原稿面で反射させて、反射光をCCD(153)に向けて導く。これにより、原稿の画像がCCDによって原稿の先端側(副走査方向の上流側)から後端側に向けて順次読み取られていく。
原稿が互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束である場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、その画像をスキャナ150に順次読み取らせていくことができる。この場合、操作者は原稿束を原稿載置台53上にセットした後、コピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させながらスキャナ150の第1コンタクトガラス154の真上に通す。これにより、原稿MSの第1面の画像が上述したホームポジションで停止したままの状態の移動照射部(152)によって走査されてCCD(153)に読み取られる。
なお、本複写機においては、帯電装置によって感光体4の表面を負極性に一様帯電させた後、感光体4の表面を潜像書込装置2によって部分的に露光することで、感光体4の露光部における負極性の電位を減衰させる。これにより、周囲の地肌部に比べて電位の低い静電潜像を形成する。そして、現像スリーブ13aには、負極性であって、感光体4の地肌部よりも低く、且つ静電潜像よりも高い値の現像バイアスを印加する反転現像方式を採用している。つまり、感光体4の地肌部、静電潜像、現像スリーブ13aの表面は何れも負極性であり、地肌部>現像ロール13a>静電潜像という順で電位が高くなっている。
図5は、従来の画像形成装置で生じていた画像端部カスレの発生原因を説明するための拡大模式図である。同図において、現像ギャップGdに進入した現像剤の磁気ブラシは、穂先を感光体4に擦り付けながら、図中左側から右側に向けて移動する。なお、同図では、便宜上、磁気ブラシの穂を直立した状態で示しているが、実際には穂倒れした状態で移動する。
同図において、感光体4の表面は、遅い速度vpsで図中左側から右側に向けて移動する。また、現像スリーブ13aの表面は、速度vpsよりも早い速度vsで図中左側から右側に向けて移動する。このため、現像ギャップGdにおいては、磁気ブラシが感光体4の表面を追い越しながら穂先を感光体4表面に擦り付けていく。穂先を感光体4の地肌部に擦り付けながら移動する磁気ブラシは、図示のように、感光体4の地肌部の電位と現像スリーブ13aの表面電位(=現像バイアスVb)との電位差である地肌部電位の影響を受けて、穂先のトナー粒子を穂の根本側に移動させる。このとき、穂先の磁性キャリア粒子の表面に、感光体4の地肌部とは逆のプラス極性の電荷(カウンターチャージ)を残す。これに先立って、既に感光体4の静電潜像との対向位置に進入していた磁気ブラシは、トナー粒子を感光体4における静電潜像箇所に転位させる。これによってマイナス帯電性のトナー粒子が付着した静電潜像箇所は、トナー粒子とは逆のプラス極性の電荷を再表面側に出現させる。ところが、トナー粒子を根本側に移動させた後続の磁気ブラシが感光体4の静電潜像箇所との対向位置に進入すると、穂先のキャリア粒子に残存させたプラス極性の電荷の作用により、先に静電潜像箇所に付着していたトナー粒子を感光体4から掻き取ってしまう。その後、図中右側に向けて更に進んでいくと、根本側に移動させていたトナー粒子を現像ポテンシャルの作用によって穂先側に移動させながら静電潜像箇所に転位させる。このため、感光体4の静電潜像箇所に付着しているトナー粒子を磁気ブラシの穂先のカウンターチャージによって静電潜像箇所から掻き取ってしまう現象は、静電潜像箇所における感光体表面移動方向の上流側端部で発生する。これが、画像端部カスレを発生させる原因になっている。
現像スリーブ13aの線速vsを感光体4の線速vpsよりも速くした構成で生じる画像端部カスレについて説明したが、その逆に、線速をvsを線速vpsよりも遅くした構成では、画像端部カスレが画像における感光体表面移動方向の下流側端部で発生する。
図6は、地肌ポテンシャルを非常に低い値に設定した構成における現像領域での磁気ブラシの状態を説明するための拡大模式図である。前述の構成において、穂先を感光体4の地肌部に擦り付けながら移動する磁気ブラシは、非常に低い値の地肌ポテンシャルの影響を受けるが、その影響によって穂先側から根本側に移動させるトナー粒子の数が非常に少なくなる。そして、穂先の磁性キャリア粒子の表面に残存させるカウンターチャージの量も非常に少なくなることから、カウンターチャージした穂先による感光体4の静電潜像箇所からのトナーの掻き取り量も非常に少なくなる。よって、画像端部カスレの発生を抑えることができる。
しかしながら、本発明者らは実験により、画像端部カスレの発生を抑え得る値まで地肌ポテンシャルを低く設定すると、環境(温湿度)によっては、感光体4の地肌部にトナーを付着させる地汚れと呼ばれる現象を発生させてしまうことを実験によって見出した。
そこで、本発明者らは、画像端部カスレの発生を抑えつつ、地汚れの発生も抑えることが可能な地肌ポテンシャルの値(以下、「両立値」という)の存否を実験によって確認した。その結果、「両立値」は存在するものの、環境変動や感光体4の経時劣化などによる感光体4の帯電性の変化に起因して、帯電バイアスを一定の値に設定しているだけでは、地肌ポテンシャルを長期間に渡って「両立値」に維持することができないことがわかった。そして、感光体4の帯電性の変化によって地肌ポテンシャルを「両立値」よりも低い値に変化させて地汚れを発生させたり、地肌ポテンシャルを「両立値」よりも高い値に変化させて画像端部カスレを発生させたりしてしまった。
そのような地汚れや画像端部カスレの発生を抑える方法として、特許文献1に記載の構成を採用することは有効である。即ち、地汚れの有無を検出したり、ハーフトーン画像における端部カスレの発生の有無を検出したりした結果に基づいて帯電バイアスを調整すれば、感光体4の帯電性の変化にかかわらず、地肌ポテンシャルを長期間に渡って「両立値」に維持することができる。
ところが、かかる構成を採用すると、地汚れの有無を検知したり、画像端部カスレの有無を検知したりすることで、装置のダウンタイムを増やしてしまうという問題が発生する。また、地汚れの有無を検知するために各作像ユニットにそれぞれ反射型フォトセンサーを設けたり、画像端部カスレの有無を検知するために各作像ユニットにそれぞれ撮像装置を設けたりすることで、コストアップを引き起こしてしまう。
本発明者らは、帯電バイアスの直流成分(直流電圧)について、環境変動にかかわらず地汚れの発生を回避し続けることができる値や、環境変動にかかわらず画像端部カスレの発生を回避し続けることができる値について調べるために、第一実験を行った。
この第一実験について詳述する。実施形態に係る複写機のプリンタと基本的構成が同じプリンタ試験機を用意した。このプリンタ試験機における基本条件は次の通りである。
・感光体4の線速vps=250[mm/sec]
・現像スリーブ13aの線速vs=400[mm/sec]
・現像領域幅(現像領域の感光体表面移動方向の長さ)Lp=5.6[mm]
かかる構成のプリンタ試験機において、温度=25[℃]、湿度=50[%]の環境下で、重畳電圧からなる帯電バイアスにおける直流成分(直流電圧)を変化させながら、それぞれの直流成分の条件で、所定のテスト画像をテストプリントした。このテスト画像は、600[dpi]の解像度で作像されるものであって、ドット面積率=50[%]ハーフトーン画像と、1ドット幅の横ライン画像(主走査方向に延びるライン画像)とを具備するものである。テストプリントしたテスト画像に含まれるハーフトーン画像や横ライン画像端部カスレの有無と、テスト画像の周囲の非画像部における地汚れの有無とを確認して、端部カスレ及び地汚れの両方を発生させない直流成分の値の存否を調べた。その結果、帯電バイアスの直流成分を−590[V]に設定すれば、ハーフトーン画像の端部カスレや地汚れの発生を回避し得ることがわかった。なお、現像バイアスについては、−500[V]に固定した。
次に、帯電バイアスにおける直流成分の値と、環境(温湿度)との組み合わせを様々に変化させて感光体4を帯電させてみると、その帯電電位(地肌部電位)が変動した。それぞれの前記組み合わせにおいて、プリンタ試験機のマニュアルに使用条件として記載されている環境範囲内における環境変動にかかわらず、地汚れの発生を回避し得る直流成分の下限値(絶対値の下限)を調べた。また、端部カスレの発生を回避し得る直流成分の上限値(絶対値の上限)も調べた。更に、第一実験に使用したプリンタ試験機で別の実験を長期間に渡って行い、各色の作像ユニットを寿命到達間際にした状態で、同様にして前述の下限値や上限値を調べた。その結果、帯電バイアスの直流成分を−620[V]に設定すれば、作像ユニットを寿命に到達させるまで、環境変動にかかわらず、地汚れの発生を回避し得ることがわかった。また、直流成分を−560[V]に設定すれば、作像ユニットを寿命に到達させるまで、環境変動にかかわらず、ハーフトーン画像の端部カスレの発生を回避し得ることがわかった。ハーフトーン画像はベタ画像よりも端部カスレが発生し易いので、環境変動にかかわらず、画像端部カスレの発生を抑えることができることになる。但し、直流成分=−560[V]という条件では非画像部に地汚れを発生させる一方で、直流成分=−620[V]という条件では画像端部カスレを発生させてしまうことも解った。何れの条件においても、現像バイアスについては−500[V]に設定していた。
なお、以下、作像ユニットとしてそれぞれ新品のものを搭載し、且つ温度=25[℃]、湿度=50[%]という環境である状態を「標準状態」という。第一実験において、「標準状態」で帯電バイアスの直流成分=−560[V]、現像バイアス=−500[V]に設定した条件で感光体4を帯電させた場合における地肌ポテンシャルは55[V]であった。また、「標準状態」で帯電バイアスの直流成分=−620[V]、現像バイアス=−500[V]に設定した条件で感光体4を帯電させた場合における地肌ポテンシャルは115[V]であった。よって、第一実験により、次に説明する事項が判明した。即ち、プリンタ試験機では、「標準状態」で地肌ポテンシャルを55[V]にする作像条件(帯電バイアスや現像バイアスなど)を維持すれば、環境変動にかかわらず、画像端部カスレの発生を回避し得ることになる。また、「標準状態」で地肌ポテンシャルを115[V]にする作像条件を維持すれば、環境変動にかかわらず、地汚れの発生を回避し得ることになる。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図7は、実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、メイン制御部200は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)200a、RAM(Random Access Memory)200b、ROM(Read Only Memory)200c、不揮発メモリ200dなどを具備している。そして、ROMに記憶しているプログラムに基づいて、各機器の駆動を制御する。このメイン制御部200には、K,Y,C,M用の作像ユニット3K,3Y,3C,3M、画像処理部201、現像電源204、帯電電源205などが接続されている。また、画像処理部201には書込制御部202が接続され、この書込制御部202には潜像書込装置2が接続されている。
現像電源204は、作像ユニット3K,3Y,3C,3Mのそれぞれにおける現像装置の現像スリーブに印加するための現像バイアスを出力するものであり、K,Y,C,M用の現像バイアスにおけるそれぞれの値を個別に調整することが可能である。メイン制御部200は、現像電源204に制御信号を送ることで、現像電源204からK,Y,C,Mとしてそれぞれ個別に出力される現像バイアスの値について、それぞれ個別に調整することができる。
帯電電源205は、作像ユニット3K,3Y,3C,3Mの帯電ブラシローラに印加するための帯電バイアスを出力するものであり、直流電源回路と交流電源回路とを具備している。直流電源回路は、K,Y,C,M用の帯電バイアスの直流成分としてそれぞれ出力する直流電圧の値をそれぞれ個別に調整することが可能である。直流電源回路からK,Y,C,M用としてそれぞれ個別に出力された直流電圧が、交流電源回路から出力される交流電圧と重畳されて、K,Y,C,M用の帯電ブラシローラに印加される。メイン制御部200は、帯電電源205に制御信号を送ることで、帯電電源205の直流電源回路からK,Y,C,M用としてそれぞれ個別に出力される直流電圧の値について、それぞれ個別に調整することができる。
メイン制御部200には、スキャナ150や、外部のパーソナルコンピュータなどから送られてくる画像データに基づいて各種の機器の駆動を制御するとともに、画像データを画像処理部201に送る。画像処理部201は、メイン制御部200から送られてくる画像データに対して必要な処理を施した後に、処理後の画像データを書込制御部202に送る。書込制御部202は、画像処理部201から送られてきた画像データに基づいて、潜像書込装置2におけるK,Y,C,M用のレーザーダイオードのそれぞれを個別に制御して、潜像書込装置2からK,Y,C,M用の書込光を発射させる。
メイン制御部200は、主電源が投入された直後や、所定枚数のプリントを実施する毎などに、プロセスコントロール処理を実施する。そして、このプロセスコントロール処理において、各色の感光体4K,4Y,4C,4Mを回転させながら一様帯電せしめる。このときの帯電バイアスについては、プリントジョブ時における帯電バイアスとは異なり、値を徐々に大きくしていく。そして、書込光の走査により、所定の濃度パターン像を形成するための10個のパッチ静電潜像を感光体4K,4Y,4C,4Mに作像しながら、それらをY,M,C,K用の現像装置によって現像する。この現像の際、Y,M,C,K用の現像バイアスの値をそれぞれ徐々に大きくしていく。このような現像により、感光体4K,4Y,4C,4M上にはY,M,C,Kの濃度パターン像が形成される。これらは、ベルト移動方向下流側から上流側に向けてK,C,M,Yという順で並ぶように中間転写ベルト25上に一次転写される。それぞれの濃度パターン像は、ベルト移動方向に所定のピッチで並ぶ10個のテストトナー像を具備している。それらテストトナー像は、互いに異なる現像ポテンシャルで現像されていることから、互いにトナー付着量(画像濃度)が異なっている。K,Y,C,Mの各色において、濃度パターン像の10個のテストトナー像は、中間転写ベルト25に対して所定の間隙を介して対向している反射型フォトセンサーによってトナー付着量が検知される。
メイン制御部200は、K,Y,C,Mの濃度パターン像のそれぞれについて、反射型フォトセンサーからの出力電圧と、所定の計算式とに基づいて10個のテストトナー像のトナー付着量を求める。そして、K,Y,C,Mの各色についてそれぞれ、10個のテストトナー像のトナー付着量と、それぞれのテストトナー像を現像したときの現像ポテンシャルとの関係を示す近似直線(y=ax+b)を回帰分析によって計算する。更に、その近似直線に基づいて、目標の画像濃度(トナー付着量)が得られる現像バイアスの値を求め、以降のプリントジョブにおける現像バイアスをその値に設定する。このようなプロセスコントロール処理を実施することで、環境変動や感光体の劣化などにかかわらず、長期間に渡って安定した画像濃度で画像を形成することができる。
本複写機におけるK用の作像ユニット3Kは、上述したプリンタ試験機と同様に、「標準状態」で帯電バイアスの直流成分=−560[V]、現像バイアス=−500[V]に設定すると、環境変動にかかわらず、画像端部カスレの発生を回避することができる。また、「標準状態」で帯電バイアスの直流成分=−620[V]、現像バイアス=−500[V]に設定すると、環境変動にかかわらず、地汚れの発生を回避することができる。しかしながら、直流成分を−560[V]に設定して環境変画像端部カスレの発生を回避したり、直流成分を−620[V]に設定して地汚れの発生を回避したりするためには、現像バイアスを−500[V]に設定する必要がある。上述したプロセスコントロール処理を定期的に実行すると、現像バイアスの値を定期的に変化させることから、直流成分を単に−560[V]に維持するだけでは、現像バイアスの変化に伴って地肌ポテンシャルを変化させてしまう。このため、画像端部カスレの発生を長期間に渡って回避し続けることができない。同様の理由により、直流成分を単に−620[V]に維持するだけでは、地汚れの発生を長期間に渡って回避し続けることができない。
そこで、メイン制御部200の不揮発メモリは、K,Y,C,Mの各色のそれぞれについて、帯電バイアスの直流成分を個別に調整するための直流成分調整用データテーブルを記憶している。この直流成分調整用データテーブルは、現像バイアスの値と、その値の条件で環境変動にかかわらず画像端部カスレの発生を回避し得る直流成分の上限値と、「地肌電位低減用レーザー強度」との関係を示すものである。上限値や「地肌電位低減用レーザー強度」は、様々な現像バイアスの条件で行われた予めの実験によって求められたものである。
「地肌電位低減用レーザー強度」について詳しく説明する。第一実験で使用したプリンタ試験機では、「標準状態」で帯電バイアスの直流成分=−560[V]、現像バイアス=−500[V]に設定すると、地肌ポテンシャルを55[V]にして画像端部カスレの発生を回避することが可能になるが、次のようにしてもよい。即ち、まず、「標準状態」で環境変動にかかわらず地汚れの発生を回避し得る値に帯電バイアスの直流成分を設定して、地肌ポテンシャルを115[V]にする。その後、所定の潜像書込レーザー強度(静電潜像書込時のレーザーパワー)の書込光で静電潜像を書込すると、電位を約−50[V]程度まで減衰させた静電潜像を得ることが可能である。静電潜像を書き込む代わりに、潜像書込レーザー強度よりも弱いレーザー強度で地肌部を全面書込すると、地肌ポテンシャルを115[V]から55[V]に低減することができる。そのレーザー強度が「地肌電位低減用レーザー強度」であり、次のような実験によって求めることが可能である。即ち、まず、「標準状態」において、環境変動にかかわらず地汚れの発生を回避し得る直流成分(第一実験では−620V)で感光体4を帯電させる。その後、地肌部に対して潜像書込レーザー強度よりも弱いレーザー強度の範囲内で、レーザー強度を徐々に高めながら地肌部をレーザー書込していき、書込後の表面電位を電位センサーで測定していく。そして、測定結果に基づいて、環境変動にかかわらず画像端部カスレの発生を回避し得る直流成分で感光体4を帯電させた場合と同じ値(第一実験では55[V])まで地肌ポテンシャルを低減することができるレーザー強度を求める。このレーザー強度が「地肌電位低減用レーザー強度」である。
K,Y,C,Mの各色において、プロセスコントロール処理の最後に、上述した近似直線に基づいて決定した現像バイアスに対応する直流成分の値を直流成分データテーブルから特定し、以降のプリントジョブにおける直流成分をその値に調整したとする。以下、このような調整を地汚れ対策用直流成分調整という。この地汚れ対策用直流成分調整を実施すれば、環境変動にかかわらず、地汚れの発生を回避することが可能になるが、環境によっては、画像端部カスレを発生させてしまう。また、地汚れ対策用直流成分調整を実施した後、帯電後の感光体4の地肌部を「地肌電位低減用レーザー強度」の条件で全面書込すれば、環境にかかわらず、画像端部カスレの発生を回避することが可能になるが、環境によっては、地汚れを発生させてしまう。
そこで、メイン制御部は、K,Y,C,Mの各色のそれぞれについて、次のような処理を実施する。まず、プロセスコントロール処理の最後に、地汚れ対策用直流成分調整と、「地肌電位低減用レーザー強度」の調整とを実施する。後者の調整については、現像バイアスに対応する「地肌電位低減レーザー強度」を直流成分データテーブルから特定し、その特定結果を、書込制御部202に送信することによって行う。その後、プリントジョブにおいては、スキャナ150などから送られてきた画像データを画像処理部201に送信して、画像処理部201に対して次のような処理を実施させる。即ち、K,Y,C,Mの各色それぞれについて、感光体4の地肌部における上流側近傍領域を「地肌電位低減レーザー強度」でレーザー書込して、上流側近傍領域の電位を地肌部における他の領域の電位よりも低くするための処理である。
前記処理について詳述する。画像処理部201は、画像データを受信すると、そのRGBデータをK色部データ,Y色部データ,C色部データ,M色部データに分解する。それらデータは、何れも面積階調のための画像処理を施す前のデータであるので、画像部の画素であれば画素値がゼロ以外の値になっているのに対し、非画像部の画素の画素値がゼロになっている。このため、画像領域全体における画像部と非画像部とを明確に区別することが可能である。画像処理部201は、K色部データによって示されるK画像部に対し、感光体表面移動方向の上流側で並んでいて且つ感光体表面移動方向の所定距離範囲内にある全ての画素を特定する。そして、それらの画素に対し、「地肌部電位低減レーザー強度」でレーザー書き込みするように画素情報に補正を加える。また、Y色部データ,C色部データ,M色部データに対しても同様の補正を加える。前記所定距離については、後述する追い越し距離Lrと同じにしているが、より厳密には追い越し距離Lr+1ドット分である。画像部の主走査方向(感光体表面移動方向と直交する方向)の長さが所定値未満である場合、上流側近傍領域の弱い地肌ポテンシャルにより、先に強い地肌ポテンシャルで磁気ブラシの根本側に移動してしまったトナー粒子を穂先側に引き戻す効果が得られ難い。これにより、例えばドット再現性が悪化するおそれがある。よって、主走査方向の長さが所定値未満である画像部については、その画像部に対して主走査方向の両端でそれぞれ隣接する地肌領域もそれぞれ所定距離分だけ画像部としてみなす処理を実施するとよい。
画像処理部201から画像処理後のK色部データを受信した書込制御部2は、静電潜像の各画素を潜像書込レーザー強度でレーザー書き込みするのに対し、上流側近傍領域の各画素を「地肌部電位低減レーザー強度」でレーザー書き込みする。
本複写機は、プロセスコントロール処理の最後に上述した地汚れ対策用直流成分調整を実施することで、感光体4の地肌部における殆どの領域の地肌ポテンシャルを、環境変動にかかわらず地汚れの発生が回避される比較的高い値(例えば115V)にする。このため、地肌部における殆どの領域において、環境変動にかかわらず地汚れの発生を回避することができる。地肌部には画像が存在していないことから、地肌ポテンシャルを前述のような比較的高い値にしても、地肌部において画像カスレを発生させることはない。
画像処理部201は、上流側近傍領域における感光体表面移動方向の距離(上記所定距離)を距離Lrとし、その距離Lrの範囲内にある各画素のデータを、「地肌部電位低減レーザー強度」でレーザー書き込みするためのデータに変換する。図8は、本複写機における追い越し距離Lrを説明するための模式図である。同図において、aは、現像スリーブ13aに担持される現像剤の磁気ブラシの穂先と、感光体4とが接触する現像領域における感光体表面移動方向の上流端としての入口点を示している。また、bは、現像領域における感光体表面移動方向の下流端としての出口点を示している。また、Lpは、現像領域における感光体表面移動方向の長さとしての現像領域幅を示している。
図8において、静電潜像500は、感光体表面移動方向の上流端を入口点aに進入させた瞬間の状態になっている。その瞬間の時点を時点taと定義すると、静電潜像500’は、静電潜像500と同じものであるが、時点taよりも少しだけ時間が経過して、その上流端を出口点から抜け出させた瞬間の状態になっている。以下、その瞬間の時点を時点tbと定義する。時点taから時点tbまでの期間においては、線速vsと線速vpsとの線速差(vs>vps)により、現像スリーブ13aの表面上に担持される磁気ブラシの穂先が感光体4の表面を少しずつ追い越していきながら同表面に摺擦する。時点taから時点tbまでの期間で穂先が感光体4の表面を追い越す総量が追い越し距離Lrである。
静電潜像の感光体表面移動方向の下流側端部や中央部は、感光体4の地肌部との対向位置を通過し、更に静電潜像の上流側端部との対向位置を通過した磁気ブラシの穂先に追い抜かれていく。その穂先の磁性キャリア粒子が、かかる追い抜きに先立って、感光体4の地肌部との対向位置を通過した際に、地肌ポテンシャルによってトナー粒子を磁気ブラシの穂の根本側に移動させてカウンターチャージを発生させたとする。このようなカウンターチャージを発生させても、その後、静電潜像の感光体表面移動方向の上流側端部との対向位置を通過する際に、現像ポテンシャルによってトナー粒子を前記上流側端部に転位させたり、根本側のトナー粒子を穂先側に移動させたりする。このため、線速vsと線速vpsとの線速差(vs>vps)によって静電潜像の感光体表面移動方向の上流側端部や中央部を追い抜いていく磁気ブラシの穂先の磁性キャリア粒子は、カウンターチャージを発生させていない。よって、静電潜像の感光体表面移動方向の上流側端部や中央部を追い抜く際に、それらに付着しているトナー粒子を掻き取ってしまうことがない。
これに対し、時点taから時点tbまでの期間において、静電潜像の感光体表面移動方向の上流側端部は、線速vsと線速vpsとの線速差により、感光体4の地肌部との対向位置を通過した直後の磁気ブラシの穂先に追い抜かれていく。その穂先が、地肌部との対向位置を通過する際に、地肌ポテンシャルによってトナー粒子を磁気ブラシの穂の根本側に移動させてカウンターチャージを発生させたとする。すると、そのカウンターチャージの作用により、静電潜像の感光体表面移動方向の上流側端部を追い抜く際に、上流側端部に付着しているトナー粒子を上流側端部から掻き取って、画像端部カスレを発生させてしまう。現像スリーブ13aの線速vsを感光体4の線速vpsよりも大きくした場合には、このように、画像における感光体表面移動方向の上流側端部に画像端部カスレを発生させる可能性がある。
しかしながら、本複写機では、上述した「地肌電位低減用レーザー強度」の調整を実施し、且つプリントジョブ時に画像処理部201によって上述した画像データの画像処理を実施している。これにより、上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部における上流側近傍領域を除く領域の地肌ポテンシャルよりも低くしている。具体的には、上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを環境変動にかかわらず画像端部カスレの発生が回避される値(例えば55V)にしている。感光体4の地肌部において、上流側近傍領域よりも更に感光体表面移動方向の上流側の領域は、上述したように、比較的高い地肌ポテンシャルに設定されている。このため、自らの対向位置を通過した磁気ブラシの穂先のトナー粒子を根本側に移動させて、穂先の磁性キャリア粒子にカンターチャージを発生させる可能性が高い。ところが、その穂先は、線速vsと線速vpsとの線速差によって現像領域で感光体4上の静電潜像に追いつく前に、感光体上の上流側近傍領域との対向位置を通過する。上流側近傍領域では、地肌ポテンシャルが上述した比較的低い値になっている。このため、磁気ブラシの穂先が上流側近傍領域を追い抜く際に、それまで比較的高い値の地肌ポテンシャルによって磁気ブラシの穂の根本側に拘束されていたトナー粒子の一部が穂先側に戻ってくる。これにより、磁気ブラシの穂先の磁性キャリア粒子におけるカウンターチャージ量を低減して、図6に示されるように、画像端部カスレの発生を抑えることができる。
地肌部における上流側近傍領域に対しては、現像領域で比較的低い地肌ポテンシャルを作用させることから、地汚れを発生させる可能性がある。しなしながら、上流側近傍領域は、面積の小さな局所領域であり、そこで地汚れを発生させたとしても、その地汚れは人間に視認されるほどのものにはならない。よって、上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを上述したような比較的小さな値にしても、人間に視認されるほどの地汚れの悪化を引き起こすことはない。
図8において、時点taから時点tbまでの期間の長さは、「現像領域幅Lp/線速vps」という式によって求められる。そして、その期間における追い越し距離Lrは、前述の期間の長さに線速差を乗じた値と同じである。よって、追い越し距離は、「現像領域幅Lp/線速vp×(|vs|−|vps|)」という式によって求められる。画像処理部201は、上流側近傍領域の感光体表面移動方向の距離を、追い越し距離Lrと同じ値とし、その距離内の各画素の情報を、「地肌電位低減用レーザー強度」でのレーザー書き込みを行うための情報に補正する。かかる構成では、現像領域において、線速vsと線速vpsとの線速差によって静電潜像の上流端を追い越していく磁気ブラシの穂先の全てが、次のような状態になっている。即ち、追い越しの直前に上流側近傍領域との対向位置を通過して磁性キャリア粒子のカウンターチャージ量を低減した状態である。よって、上流側近傍領域との対向位置を通過させずに、カウンターチャージ量を低減していない状態の磁気ブラシの磁性キャリアに現像領域内で静電潜像の上流端を追い越させることによる画像端部カスレの悪化を回避することができる。しかも、上流側近傍領域の感光体表面移動方向の距離を追い越し距離Lrよりも大きくしても、それによる画像端部カスレの低減効果は生じないことから、前記距離を不必要に長くすることによる地汚れの悪化を回避することもできる。
なお、上流側近傍領域の地汚れの程度が非常に悪化した場合、画像の横にチリ状の汚れのようなものが僅かに認められるようになるおそれがある。そのような汚れが認められることを防止する狙いで、上流側近傍領域の感光体表面移動方向の距離を追い越し距離Lrよりも小さくしてもよい。
図9は、大面積の矩形状のハーフトーン画像Phを作像した状態の感光体表面を示す展開模式図である。また、図10は、図9の状態の感光体4における表面電位を感光体4の副走査方向(感光体表面移動方向)の位置との関係を示すグラフである。図10における点a,点b,点c,点dはそれぞれ、図9における点a,点b,点c,点dと同じ点である。
図示のように大面積の矩形状のハーフトーン画像Phを作像した場合には、ハーフトーン画像Phに対して感光体4の表面移動方向の上流端に隣接する潜像上流側隣接領域Aが主走査方向に延びる短冊状の形状で形成される。このような大面積の矩形状のハーフトーン画像Phを形成する場合には、潜像上流側隣接領域A1を「地肌電位低減用レーザー強度」でレーザー書き込みすることに代えて、次のようにしてもよい。即ち、追い越し距離Lrに相当する時間分だけ交流バイアスの直流成分の値を通常よりも低くして、感光体4をより低い電位で帯電させても良い。但し、主走査方向において、ハーフトーン画像Ph1が存在する領域だけでなく、その他の領域も弱い電位で帯電させて地汚れの影響を増加させてしまう。このため、潜像上流側隣接領域A1を「地肌電位低減用レーザー強度」でレーザー書き込みする方法の方が望ましい。
図11は、小面積の矩形状のハーフトーン画像Phと、十字状の線画像Plと、ジグザグ状の線画像Plとを作像した状態の感光体表面を示す展開模式図である。ジグザグ状の線画像Plなどといった複雑な形状の画像を形成した場合、それに隣接する上流側近傍領域Aの形状も図示のように複雑な形状になる。このような複雑な形状の上流側近傍領域A1を形成するためには、帯電バイアスの直流成分を変化させるのではなく、潜像上流側隣接領域Aを「地肌電位低減用レーザー強度」でレーザー書き込みする必要がある。
ハーフトーン画像Phのように、ドット面積率が100[%]でない画像の場合には、ベタ画像に比べて、画像部の電界が弱いことに起因して感光体4表面とトナー粒子との付着力が弱かったり、トナー付着量の変動に伴う画像濃度の変化が大きかったりする。このため、画像端部カスレが発生し易いことから、上流側近傍領域の電位を低くすることがその発生の抑制に特に効果的である。また、十字状の線画像Plに含まれる主走査方向に延びるライン画像では、その副走査方向の長さが追い越し距離Lr未満であると、ライン画像全体がカウンターチャージした磁性キャリア粒子でのトナー掻き取りによって薄くなってしまうおそれがある。しかし、本複写機のように、上流側近傍領域の電位を低くすることで、ライン画像全体で所望の濃度が得られるようになる。主走査方向に延びるライン画像だけでなく、ジグザグ状の線画像Plも同様に、線画像Pl全体で所望の画像濃度が得られるようになる。
次に、実施形態に係る複写機における一部の構成を他の構成に置き換えた第一変形例に係る複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第一変形例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
第一変形例に係る複写機においては、実施形態とは逆に、K,Y,C,Mの各色において、感光体4の線速vpsを現像スリーブ13aの線速vsよりも速くしている。かかる構成では、現像領域において、線速差によって感光体4上の静電潜像が現像スリーブ13a上の磁気ブラシを少しずつ追い越していく。静電潜像の感光体表面移動方向の下流側端部が感光体4の表面移動に伴って現像領域に進入すると、そのときに対向する磁気ブラシは、その直前まで比較的高い地肌ポテンシャルの作用によって穂先の磁性キャリアにカウンターチャージを発生させている。静電潜像の感光体表面移動方向の下流側端部がその磁気ブラシを追い越す際に、カウンターチャージを発生させている磁気ブラシによってトナー粒子が自らの表面から掻き取られてしまう。これに対し、静電潜像の感光体表面移動方向の中央部や上流側端部が感光体4の表面移動に伴って現像領域に進入するタイミングでは、中央部や上流側端部に対向する磁気ブラシが次のような状態になっている。即ち、前記タイミングよりも先に現像領域に進入した下流側端部の現像ポテンシャルの作用により、根本側のトナー粒子を穂先側に移動させて穂先の磁性キャリアのカウンターチャージ量を低減している状態である。このため、現像領域において、静電潜像の感光体表面移動方向の中央部や上流側端部が磁気ブラシの穂先を追い越す際には、磁性キャリアによるトナー粒子の掻き取りは殆ど起こらない。以上のように、感光体4の線速vpsを現像スリーブ13aの線速vsよりも速くした場合には、画像の感光体表面移動方向の下流側端部でカスレが発生する。
そこで、第一変形例に係る複写機では、K,Y,C,Mの各色のそれぞれについて、感光体4の地肌部の電位を次のようにするようになっている。即ち、地肌部における全域のうち、画像部に対して感光体表面移動方向の下流側に並び且つ静電潜像との境界から感光体表面移動方向の所定距離範囲内にある下流側近傍領域Aの地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くする。また、前記所定距離については、後述する追い越し距離Lr’と同じ値にするようになっている。
図12は、第一変形例に係る複写機における追い越し距離Lr’を説明するための模式図である。同図において、追い越し距離Lr’は、実施形態とは逆に、現像領域で感光体4が現像領域幅Lpの分だけ表面移動する間に、感光体4表面が磁気ブラシを追い越す距離である。静電潜像500の感光体表面移動方向の下流側端部は、現像領域内において、磁気ブラシを少しずつ追い越していく。この際、追い越す磁気ブラシの全てが、下流側近傍領域Aによる比較的低い地肌ポテンシャルの影響を受けたものであれば、追い越す磁気ブラシの全てがその影響によって磁性キャリア粒子のカウンターチャージ量を低減された状態になっている。このような状態にするためには、下流側近傍領域A2における感光体表面移動方向の距離を、追い越し距離Lr’と同じにすればよい。こうすることで、下流側近傍領域Aとの対向位置を通過させていない状態の磁気ブラシの磁性キャリアを潜像の下流側端部が追い越すことによる画像端部カスレの悪化を回避することができる。しかも、下流側近傍領域の感光体表面移動方向の距離を追い越し距離Lr’よりも大きくしても、それによる画像端部カスレの低減効果は生じないことから、前記距離を不必要に長くすることによる地汚れの悪化を回避することもできる。
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した第一実施例に係る画像形成システムについて説明する。
図13は、第一実施例に係る画像形成システムを示す概略構成図である。この画像形成システムは、実施形態に係る複写機と、後処理装置とを備えている。後処理装置は、実施形態に係る複写機から排出されてくるプリント紙を受け入れて、それらを複数枚に重ねてストックしたり、プリント紙の束を綴じたりするものである。
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した第二実施例に係る複写機について説明する。
第二実施例に係る複写機は、感光体4の上流側近傍領域Aにおける全域のうち、静電潜像との隣接部分の地肌ポテンシャルを、その他の部分の地肌ポテンシャルよりも高くする。より詳しくは、図14に示されるように、前記隣接部分の地肌ポテンシャルを、上流側近傍領域Aを除く地肌部の地肌ポテンシャルと同じにしている。かかる構成では、カスレが生じ易い、画像の感光体表面移動方向における上流側端部の画像濃度を、エッジ効果によって積極的に上昇させて、カスレを有効に抑えることができる。
次に、本発明者らが行った第二実験について説明する。
上述したプリンタ試験機を用いて、各種のテストプリントを実施した。
その際の基本的な条件は次に列記する通りである。
・現像バイアス=−500[V]
・帯電バイアスの直流成分=−620[V]
・地肌部における上流側近傍領域A1を除く領域の電位=−615[V]
・上流側近傍領域Aの感光体表面移動方向の長さ=1.0〜4.2[mm]
・静電潜像を書き込むときのレーザー強度=ベタ画像の静電潜像を−60[V]にする強度
・「地肌電位低減用レーザー強度」=上流側近傍領域Aの電位を約−560[V]まで減衰させる強度
・画像出力解像度=600[dpi]
・感光体線速vps=250[mm/s]
・現像スリーブ線速vs=400[mm/s]
・現像領域幅Lp=5.6[mm]
・追い越し距離Lr=2.1[mm]
次に説明する第一テストプリント〜第四テストプリントにおいて、テスト画像をプリントした。このテスト画像は、ドット面積率50[%]のハーフトーン画像と、1ドット横ライン画像とを具備するものである。出力したハーフトーン画像における端部カスレ、1ドットライン画像の端部カスレ、非画像部の地汚れの有無を目視で確認し、その結果を◎(良好)、○(普通)、△(普通より少し劣るが許容レベル)、×(悪い)の四段階で評価した。
[第一テストプリント]
上流側近傍領域Aの感光体表面移動方向の長さを、追い越し距離Lrの2倍の4.2[mm]に設定した。
[第二テストプリント]
上流側近傍領域Aの感光体表面移動方向の長さを、追い越し距離Lrと同じ2.1[mm]に設定した。
[第三テストプリント]
上流側近傍領域Aの感光体表面移動方向の長さを、追い越し距離Lrの約半分の1.0[mm]に設定した。
[第四テストプリント]
上流側近傍領域Aの感光体表面移動方向の長さを、追い越し距離Lrと同じ2.1[mm]に設定した。加えて、第二実施例に係る複写機のように、上流側近傍領域A1における静電潜像との隣接部分の電位を、上流側近傍領域A以外の地肌部の電位と同じ−620[V]に設定した。つまり、上流側近傍領域Aのうち、隣接部分だけ、「地肌電位低減用レーザー強度」によるレーザー書き込みを省略した。なお、前記隣接部分の感光体表面移動方向の長さについては、0.2[mm]とした。
以上のテストプリントにおける画質の評価結果を次の表1に示す。
Figure 2016164608
表1に示されるように、端部カスレの改善度合いについては、第四テストプリントが最も良い結果になった一方で、第三テストプリントが最も悪い結果になった。また、第一テストプリントと第二テストプリントとで同等の結果になった。第一テストプリントと第二テストプリントとで異なっているのは、上流側近傍領域Aの副走査方向長さだけである。何れの長さも追い越し距離Lr以上になっている。これは、上流側近傍領域Aの副走査方向長さを追い越し距離Lrより大きくしても、それに伴う画像端部カスレの改善効果が得られないことを意味している。よって、実施形態に係る複写機のように、上流側近傍領域Aの副走査方向長さを追い越し距離Lrと同じにすることで、副走査方向長さを不必要に大きくすることによる地汚れの悪化を回避し得ることが実験によって確かめられた。
画像端部カスレについて、第一テストプリントや第二テストプリントよりも第三テストプリントの方が悪い結果になったのは、第三テストプリントにおける上流側近傍領域Aの副走査方向長さが追い越し距離Lr未満だからである。前記副走査方向長さが追い越し距離Lr未満である場合、現像領域で、上流側近傍領域A1の比較的低い地肌ポテンシャルの作用による磁性キャリア粒子のカウンターチャージ量の低減効果を受けていない磁気ブラシが静電潜像の上流側端部を追い越す。上流側近傍領域Aの副走査方向長さが短くなるほど、前述のような追い越しを行う磁気ブラシの量が増えることから、画像端部カスレが悪化する。第三テストプリントでは、上流側近傍領域Aの副走査方向長さが追い越し距離Lrの半分未満であることから、地汚れが視認されるレベルまで悪化したのである。
第一テストプリントや第二テストプリントと、第四テストプリントとで、大きく異なっている条件は、上流側近傍領域Aの静電潜像との隣接部分における電位である。第四テストプリントでは、隣接部分の電位を通常の地肌部と同じ−620[V]にしていることから、画像の副走査方向の上流側端部における画像濃度をエッジ効果によって積極的に上昇させている。これにより、第一テストプリントや第二テストプリントに比べて、画像の副走査方向の上流側端部における画像濃度を高くして、端部カスレをより抑えることができたのである。このように、第二実験により、第二実施例に係る複写機の効果が立証された。
地汚れについては、第三テストプリントの結果が最もよくなる一方で、第一テストプリントの結果が最も悪くなった。第一テストプリントでは、上流側近傍領域Aの副走査方向長さを不必要に長くしている(Lrより長くしている)ことから、地汚れが視認できるレベルまで悪化したのである。これに対し、第三テストプリントでは、潜像上流近傍領域Aの副走査方向長さを非常に短くしていることから、地汚れを殆ど視認させない結果になっている。但し、その副走査方向長さが追い越し距離Lr未満であることから、画像端部カスレの結果が少し悪くなっている。よって、地汚れと画像端部カスレとをそれぞれバランス良く抑える上で、潜像上流近傍領域Aの副走査方向長さを追い越し距離Lrと同じにすることが重要である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、所定方向に移動する表面に潜像を担持する潜像担持体(例えば感光体4)と、前記表面を帯電させる帯電手段(例えば帯電装置)と、帯電後の前記表面に潜像を書き込む潜像書込手段(例えば潜像書込装置2)と、現像剤担持体の表面に担持したキャリア及びトナーを含有する現像剤を用いて前記潜像を現像してトナー像を得る現像手段(例えば現像装置6)とを備える画像形成装置において、前記現像剤担持体と前記潜像担持体とを互いに異なる線速で表面移動させ、且つ、前記潜像担持体の地肌部における全域のうち、前記潜像担持体の画像部に対して前記所定方向の上流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定距離範囲内にある領域である上流側近傍領域(例えば上流側近傍領域A)の地肌ポテンシャル、又は前記画像部に対して前記所定方向の下流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定範囲内にある領域である潜像下流近傍領域(例えば潜像下流近傍領域)の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするポテンシャル調整手段(例えばメイン制御部200、画像処理部201、書込制御部202、潜像書込装置2などからなるもの)を設けたことを特徴とするものである。
本発明において、潜像担持体の画像部は、面積階調のための画像処理を施していない画像データにおける画素値(RGB画素値やYMCK画素値など)がゼロとは異なる値になっている画素の集合に対応する潜像担持体部分である。また、非画像部は、前記画像データにおける画素値がゼロになっている画素の集合に対応する潜像担持体部分である。
態様Aにおいて、潜像担持体と現像剤担持体とを互いの対向領域である現像領域で互いに同じ方向に表面移動させ、且つ現像剤担持体の線速を潜像担持体の線速よりも速くする構成(以下、「現像剤高速構成」という)を採用したとする。すると、現像剤担持体の表面に担持される現像剤中で穂立ちしたキャリアの穂が、現像領域内で潜像担持体の表面を少しずつ追い越しながら移動する。この際、潜像担持体の画像部に追いつく直前の穂は、潜像担持体の非画像部(地肌部)との対向位置を通過する際に非画像部の地肌ポテンシャルの作用によって穂先のトナーを根本側に移動させてトナー密度を低下させている。このような穂が潜像担持体の画像部の潜像担持体表面移動方向(副走査方向)における上流側端部を追い越す際に、先行する穂によって前記上流側端部に付着させていたトナーを前記上流側端部から掻き取る。これにより、画像における副走査方向の上流側端部でカスレが発生する。
一方、潜像担持体と現像剤担持体とを現像領域で互いに同じ方向に表面移動させ、且つ潜像担持体の線速を現像剤担持体の線速よりも速くする構成(以下、「潜像高速構成」という)を採用したとする。すると、現像領域において、潜像担持体上の現像剤が現像剤担持体上の現像剤を少しずつ追い越しながら現像領域の出口に向けて進んでいく。この場合、「現像剤高速構成」とは逆に、画像における副走査方向の下流側端部でカスレが発生する。
そこで、態様Aでは、潜像担持体の地肌部における全域のうち、画像部における所定方向(=副走査方向)の上流側端部に並んでいる上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くする。あるいは、画像部における所定方向の下流側端部に並んでいる下流側近傍領域を、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くする。かかる構成において、「現像剤高速構成」を採用し、且つ潜像担持体の画像部における上流側近傍領域のポテンシャルを地肌部の他の領域における地肌シャルよりも低くするようにしたとする。すると、前記他の領域との対向位置を通過する際に比較的高い地肌ポテンシャルの作用によってトナー密度を低下させた穂先が、上流側近傍領域との対向位置を通過する際に比較的低い地肌ポテンシャルの作用を受ける。そして、それまで比較的高い地肌ポテンシャルの作用によって穂の根本側に拘束されていたトナー粒子の一部が穂先に移動して穂先のトナー密度を増加させる。このようにトナー密度を増加させた穂先に、潜像担持体上の画像部の副走査方向における上流側端部を追い越させるようにすることで、上流側端部からのトナーの掻き取りを抑える。これにより、画像端部カスレの発生を抑えることができる。
また、態様Aにおいて、「潜像高速構成」を採用し、且つ潜像担持体の画像部における下流側近傍領域のポテンシャルを地肌部の他の領域における地肌シャルよりも低くするようにしたとする。すると、現像領域において、潜像担持体の画像部が現像剤担持体上の現像剤を少しずつ追い越しながら移動する。現像領域に進入した現像剤は、潜像担持体の地肌部における下流側近傍領域を除く他の領域に追い越される際に、比較的高い地肌ポテンシャルが作用によって穂先のトナー密度を低下させる。この穂先は、その後、潜像担持体の地肌部における下流近傍領域に追い越される際に比較的低い地肌ポテンシャルの作用を受ける。すると、それまで比較的高い地肌ポテンシャルの作用によって穂の根本側に拘束されていたトナー粒子の一部が穂先に移動して穂先のトナー密度を増加させる。潜像担持体上の画像部の副走査方向における下流側端部に対し、前述のようにしてトナー密度を増加させた穂先を追い越させるようにすることで、下流側端部からのトナーの掻き取りを抑える。これにより、画像端部カスレの発生を抑えることができる。
このように、「現像剤高速構成」、「潜像高速構成」の何れを採用した場合であっても、現像領域で地肌部における上流側近傍領域又は下流側近傍領域に対向した現像剤に比較的低い地肌ポテンシャルを作用させることで、画像端部カスレの発生を抑える。これにより、地肌部における上流側近傍領域及び下流側近傍領域を除く領域について、画像端部カスレの発生を許容レベルに留め得る地肌ポテンシャルの上限値が従来よりも高くなる。すると、画像端部カスレの発生と地汚れの発生とをそれぞれ許容レベルに収める上で許容される環境変動幅がより広がることから、従来に比べて、画像端部カスレの発生と地汚れの発生とを良好に抑えることができる。なお、地肌部における上流側近傍領域や下流側近傍領域については、地肌ポテンシャルを比較的低くすることで、地汚れを発生させ易くなるが、地肌部全体のうち、上流側端部領域や下流側端部領域が占める面積の割合はごく僅かである。つまり、上流側端部領域や下流側端部領域は地肌部全体からすればごく限られた局所領域であり、そのような局所領域で地汚れが生じたとしても、その地汚れは人間の目に視認され難いので、地肌部全体の地汚れレベルを悪化させてしまうことは殆どない。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域で前記潜像担持体と前記現像剤担持体とを互いに同じ方向に表面移動させようにし、前記現像剤担持体の線速を前記潜像担持体の線速よりも速くし、且つ、前記上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、「現像剤高速構成」において、画像の副走査方向の上流側端部におけるカスレの発生を良好に抑えることができる。
[態様C]
態様Cは、態様Aにおいて、前記潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域で前記潜像担持体と前記現像剤担持体とを互いに同じ方向に表面移動させようにし、前記現像剤担持体の線速を前記潜像担持体の線速よりも遅くし、且つ、前記下流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、「潜像高速構成」において、画像の副走査方向の下流側端部におけるカスレの発生を良好に抑えることができる。
[態様D]
態様Dは、態様Bにおいて、前記所定距離を、前記潜像担持体上の画像部の前記所定方向における上流端を前記潜像担持体の表面移動に伴って前記現像剤担持体上の現像剤と前記潜像担持体との接触領域に進入させた時点から、前記上流端を前記接触領域から抜け出させた時点までの期間で前記現像剤担持体の表面が前記潜像担持体の表面を追い越す距離と同じにしたことを特徴とするものである。かかる構成では、上流側近傍領域との対向位置を通過させずに、カウンターチャージ量を低減していない状態の現像剤のキャリアに現像領域内で潜像の上流側端部を追い越させることによる画像端部カスレの悪化を回避することができる。しかも、上流側近傍領域の潜像担持体表面移動方向の距離を不必要に長くすることによる地汚れの悪化を回避することもできる。
[態様E]
態様Eは、態様Cにおいて、前記所定距離を、前記潜像担持体上の画像部の前記所定方向における下流端を前記潜像担持体の表面移動に伴って前記現像剤担持体上の現像剤と前記潜像担持体との接触領域に進入させた時点から、前記下流端を前記接触領域から抜け出させた時点までの期間で前記潜像担持体の表面が前記現像剤担持体の表面を追い越す距離と同じにしたことを特徴とするものである。かかる構成においては、潜像担持体上の画像部に対し、潜像担持体の地肌部における下流側近傍領域との対向位置を通過させずに、カウンターチャージ量を低減していない状態の現像剤を追い越させることによる画像端部カスレの悪化を回避することができる。しかも、下流側近傍領域の潜像担持体表面移動方向の距離を不必要に長くすることによる地汚れの悪化を回避することもできる。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかにおいて、前記上流側近傍領域又は前記潜像下流側近傍に対し、前記潜像書込手段によって潜像を形成する場合よりも弱い書き込みを実施することで、前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域の地肌ポテンシャルを地肌部の他の領域よりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、潜像が複雑な形状であっても、その複雑な形状に対応する形状の上流側近傍領域又は下流側近傍領域の地肌ポテンシャルを形状に沿って精度良く所望の電位にすることができる。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域のうち、前記潜像との隣接部分の地肌ポテンシャルを前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域における他の部分の地肌ポテンシャルよりも高くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、エッジ効果を利用して画像の潜像担持体表面移動方向の上流側端部又は下流側端部の画像濃度を高めることができる。
2:潜像書込装置(潜像書込手段、ポテンシャル調整手段の一部)
4K,4Y,4C,4M:感光体(潜像担持体)
5K:帯電ブラシローラ(帯電装置の一部)
200:メイン制御部(ポテンシャル調整手段の一部)
201:画像処理部(ポテンシャル調整手段の一部)
202:書込制御部(ポテンシャル調整手段の一部)
:上流側近傍領域
:下流側近傍領域
特開2005−308833号公報

Claims (7)

  1. 所定方向に移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、前記表面を帯電させる帯電手段と、帯電後の前記表面に潜像を書き込む潜像書込手段と、現像剤担持体の表面に担持したキャリア及びトナーを含有する現像剤を用いて前記潜像を現像してトナー像を得る現像手段とを備える画像形成装置において、
    前記現像剤担持体と前記潜像担持体とを互いに異なる線速で表面移動させ、
    且つ、前記潜像担持体の地肌部における全域のうち、前記潜像担持体の画像部に対して前記所定方向の上流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定距離範囲内にある領域である上流側近傍領域の地肌ポテンシャル、又は前記画像部に対して前記所定方向の下流側で並び且つ前記画像部との境界から前記所定方向の所定範囲内にある領域である下流近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするポテンシャル調整手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    前記潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域で前記潜像担持体と前記現像剤担持体とを互いに同じ方向に表面移動させようにし、前記現像剤担持体の線速を前記潜像担持体の線速よりも速くし、且つ、前記上流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1の画像形成装置において、
    前記潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向する現像領域で前記潜像担持体と前記現像剤担持体とを互いに同じ方向に表面移動させようにし、前記現像剤担持体の線速を前記潜像担持体の線速よりも遅くし、且つ、前記下流側近傍領域の地肌ポテンシャルを、地肌部の他の領域における地肌ポテンシャルよりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2の画像形成装置において、
    前記所定距離を、前記潜像担持体上の画像部の前記所定方向における上流端を前記潜像担持体の表面移動に伴って前記現像剤担持体上の現像剤と前記潜像担持体との接触領域に進入させた時点から、前記上流端を前記接触領域から抜け出させた時点までの期間で前記現像剤担持体の表面が前記潜像担持体の表面を追い越す距離と同じにしたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項3の画像形成装置において、
    前記所定距離を、前記潜像担持体上の画像部の前記所定方向における下流端を前記潜像担持体の表面移動に伴って前記現像剤担持体上の現像剤と前記潜像担持体との接触領域に進入させた時点から、前記下流端を前記接触領域から抜け出させた時点までの期間で前記潜像担持体の表面が前記現像剤担持体の表面を追い越す距離と同じにしたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
    前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍に対し、前記潜像書込手段によって潜像を形成する場合よりも弱い書き込みを実施することで、前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域の地肌ポテンシャルを地肌部の他の領域よりも低くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
    前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域のうち、前記潜像との隣接部分の地肌ポテンシャルを前記上流側近傍領域又は前記下流側近傍領域における他の部分の地肌ポテンシャルよりも高くするように、前記ポテンシャル調整手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
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