JP2016164050A - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
ランフラットタイヤとしては、例えば、タイヤのサイドウォール部の内面に、熱による温度の変化で不可逆的に変色する変色材料を塗布することで、パンク走行履歴の有無を後に判断可能にするランフラットタイヤが報告されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、サイド補強ゴムがランフラット走行時に一定以上の熱を受けたか否かを視覚的に判断するのは困難である。
また、例えば、特許文献1のランフラットタイヤでは、タイヤがランフラット走行によって屈曲変形した場合に、タイヤの屈曲変形が激しい部位において、塗布された変色材料が剥がれてしまうおそれがあり、タイヤの最も屈曲変形した部位の熱履歴を確実に知ることができない場合も想定される。
以下、詳細について説明する。
図1は、本発明に係るランフラットタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面の形状を示す断面図である。なお、図中の矢印Wはランフラットタイヤ10の幅方向を示し、矢印Rはランフラットタイヤ10のタイヤ径方向を示す。また、符号CLは、ランフラットタイヤ10の幅方向中央を通る中央線を示す。
以上によって、サイド補強ゴム層の内面上で、算出した変化量が最も大きい領域35を最大屈曲部(図2の32及び33参照)という。
各条件下における領域25の曲率半径は、X線CTにより得られる断面画像を画像処理し計測することによって測定することができる。
また、示温部材28の配置の一例を図4の(A)及び(B)に示す。図4(A)は、タイヤ10をタイヤ周方向に沿って切断し、タイヤ10側面側よりタイヤ10の内側を観察した模式図である。また、図(B)は、タイヤ10の内面の一部を拡大した斜視図である。図4(A)に示すように、サイド補強ゴム26内面にはインナーライナー25を介して示温部材28が配置されている。示温部材28は、タイヤ10の内面においてタイヤ径方向に沿って縞状に装飾されるセレーション線6に沿うように、サイド補強ゴム26の最大屈曲部を含む領域に複数配置されている。図4(B)に示すように、全体としてドーム形状の構造を有している。また、示温部材28は、示温層43と圧縮歪吸収層41との2層構造とされており、上層が示温層43とされている。示温部材28を示温層43の上方より観察した場合には、図4(A)及び(B)に示すように円形状となっている。但し、示温部材の形状は特に限定されるものではなく、例えば、示温層43の上方から観察した際の形状は、円形(楕円形を含む)、多角形(例えば、三角形、正方形、菱形、五角形、六角形、星形等)であってもよい。また、示温部材28の全体的な形状は、ドーム型に限定されるものではなく、円柱状、角柱状、ピラミッド形状等の錐形状でもよい。更に、図4(A)及び(B)においては、示温層43と圧縮歪吸収層42とが示温部材28として、一体的にドーム状の形状を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、示温層43と圧縮歪吸収層42とが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよく、更には、示温層43と圧縮歪吸収層42と一体となって一つの形状とされていてもよいし、一体して一つの形状とされていなくてもよい。
また、上記の領域は、最大屈曲部からの熱が示温層により効率的に伝達させる観点から、さらに50%以内が好ましく、30%以内が特に好ましい。
また、タイヤの屈曲変形時、すなわちタイヤ表面の温度が上昇しても示温層をより強く接着させるという観点から、100℃における弾性率としては、1×105Pa〜1×1010Paであることが好ましく、さらに1×105Pa〜1×108Paであることが好ましい。
圧縮歪吸収層41の弾性率は、万能圧縮試験機を用いて、算出することができる。例えば、原料となる樹脂を公知の方法により3cm×1cm×50μmのシート状に成形し、得られたシートを粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス製 DMS7100)で試験速度5mm/分で測定し、測定値から圧縮応力−ひずみ曲線を作製し、これに基づいて算出することができる。
前記金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などが挙げられる。前記窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。前記炭化物としては、炭化珪素、炭化ホウ素などが挙げられる。前記金属粉としては、銀、金、銅、アルミニウムなどが挙げられる。熱伝導性材料としては、これらから1種あるいは2種以上の混合物も使用できる。前記熱伝導性材料としては、カーボン、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭素繊維が好ましい。
温度変化により変色する変色材料としては、特に限定されないが、例えば、非結晶−結晶または相分離−非相分離によるリタイラブル系の電子供与性呈色性化合物(例えばロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類、シアニン色素類、クリスタルバイオレット等、の電子供与性有機物等)と電子受容性化合物(例えばフェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、サリチル酸及びその誘導体、スルホン酸及びその誘導体、スルホン酸塩及びその誘導体、リン酸塩、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸塩、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等の酸化物等)とを含む発色材料などが挙げられる。
このような材料を用いた変色材料は、融点以上に加熱された後に急冷されることで無色となり、その後、ガラス転移点以上の温度になると、徐々に変色する特徴がある。
また、示温層43に用いられるバインダーとしては、透明性の観点からは、ポリビニルアルコールを好ましく用いることができ、中でもカルボキシ変性ポリビニルアルコールやシリカ変性ポリビニルアルコール等のPVAを用いることができる。また、示温層には公知の硬膜剤等を含有させることができる。該硬膜剤としては、ホウ酸、ホウ砂、コロイダルシリカ等の無機化合物やアルデヒド誘導体、ジアルデヒド誘導体などを挙げることができる。
また、複数に配置された場合の示温部材は、それぞれが同じ温度範囲で変色する変色材料を用いてもよいし、それぞれ異なった変色材料を用いてもよい。例えば、最大屈曲部位からの距離が近い示温部材の示温層には、遠い距離に配置された示温部材の示温層よりもより高い温度範囲で変色する変色材料を用いることで、複数あるすべての示温部材の熱履歴、すなわちより広い範囲のサイド補強部の熱履歴を詳細に知ることができる。
例えば、示温層は、変色後の色の明度を60%以上とするのが好ましい。一般的なタイヤの色は黒色であり、タイヤの色の明度は0%に近い。このため、示温層の変色後の色の明度が60%以上であれば、コントラスト比が高くなり、示温層の変色後の色を容易に確認できる。また、示温部材は、タイヤ内面に配置されているため陰になっており観察しにくい場合があるが、示温層の変色後の色の明度が60%以上であれば、容易に確認できる。ここで、明度とは、HSVモデルにおいて定義され、明度100%を純色、明度0%を真黒とする。また、明度は、分光測色計を用いて、標章、模様部またはグラデーション部等の測定対象の明度を他系統(例えば、Lab色空間)で測定した後、photoshop(登録商標)等のソフトウェアを用いてHSV系統に変換する方法によって測定するものとする。
車両の走行中にタイヤ10がパンクすると、タイヤ10に充填された空気(窒素)がタイヤ10の外部に漏れ、タイヤ10の空気圧が低下する。
空気が漏れたタイヤ10は、サイドウォール部22の内面に形成されたサイド補強ゴム26が車両及び乗員の重量を支えることで、一定距離をランフラット走行することができる。
ランフラット走行時には、路面に接地しているトレッド部20側に近いサイド補強ゴム26が、タイヤ径方向の荷重によって大きく撓んで変形する。また、タイヤ10は転動しているので、サイド補強ゴム26は、全周に亘って連続的に撓み変形が繰り返される。これにより、ヒステリシスロスが増大し、サイド補強ゴム26の温度が急激に上昇する。このような現象は、サイド補強ゴム26が数回撓んだ程度では発生しないので、タイヤ10がパンクした状態でのみ発生することになる。
以上のように、サイド補強ゴム26の温度上昇に伴って変色する示温層28を配置することにより、タイヤ10の熱履歴を判断できる。
Claims (10)
- トレッド部及びビード部を連結するサイドウォール部と、
前記サイドウォール部の内面に配置されたサイド補強ゴムと、
前記サイド補強ゴムの内面の最大屈曲部を含む領域に配置され、圧縮歪吸収層、及び、温度変化によって変色する変色材料を含み前記圧縮歪吸収層上に形成された示温層を含む示温部材と、
を有するランフラットタイヤ。 - 前記圧縮歪吸収層は、25℃における弾性率が1×106Pa〜1×1010Paである請求項1に記載のランフラットタイヤ。
- 前記圧縮歪吸収層は、100℃における弾性率が1×105Pa〜1×1010Paである請求項1又は請求項2に記載のランフラットタイヤ。
- 前記圧縮歪吸収層は、シリコーン樹脂系の接着剤を含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記圧縮歪吸収層の熱伝導率が0.2W/m・K以上である請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記圧縮歪吸収層の厚みが10μm〜3000μmである請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記示温部材が複数配置されている請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 複数の前記示温部材は、タイヤ周方向及びタイヤの径方向の少なくとも一方において、互いに4mm以上の間隔で配置されている請求項7に記載のランフラットタイヤ。
- 前記最大屈曲部を含む領域が、前記サイド補強ゴムのタイヤ径方向において、サイド補強ゴムの下端からサイド補強ゴムの上端までの長さの80%以内の領域である請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記示温層は、80℃〜150℃の温度で変色する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
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