JP2008137615A - Icタグ、それを取付けた空気入りタイヤ、およびicタグの取付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】はみ出し部分以外の部位での接着を防止しながら、タイヤ加硫成形におけるICタグ・インレットの接着外れを抑制する。
【解決手段】シート状のICタグ・インレット2と、その表面Sfにプライマー層10と接着層11とを介して接着される未加硫ゴムシートからな保護カバー3と、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに形成される防着層4とを具える。150〜200℃の温度範囲における保護カバー3のゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0における該プライマー層10の貯蔵剪断弾性率Gb’0とが次式(1)を充足する。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
【選択図】図1
【解決手段】シート状のICタグ・インレット2と、その表面Sfにプライマー層10と接着層11とを介して接着される未加硫ゴムシートからな保護カバー3と、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに形成される防着層4とを具える。150〜200℃の温度範囲における保護カバー3のゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0における該プライマー層10の貯蔵剪断弾性率Gb’0とが次式(1)を充足する。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
【選択図】図1
Description
本発明は、無線通信可能なICタグ・インレットを具え、タイヤ内腔面への取り付けを強固に行いうる構成簡易なICタグ、それを取付けた空気入りタイヤ、およびICタグの取付方法に関する。
例えば、自動車等の車両用のタイヤでは、製造管理、出荷及び流通管理、さらにはメンテナンス管理等において、その型式、製造番号、仕様、特性、あるいは加工履歴、使用履歴等のタイヤ個々の情報を迅速に知ることが要求される。そのため、近年、前記情報等を記憶するICタグ・インレット等の電子部品をタイヤに取り付けることが提案されている。
そしてこのような電子部品をタイヤに取り付ける手段として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このものは、図6に示すように、電子部品aを2枚のカバー用のゴムシートb1、b2間で挟み込み、かつこのゴムシートb1、b2の全周を互いに貼り合わせることにより前記電子部品aをゴムシートで密封したICタグcを使用している。このICタグcは、電子部品aからはみ出すゴムシートb2のはみ出し部分b2eのみが、タイヤ内腔面に加硫接着される。従って、走行中のタイヤの変形や衝撃、及び発熱などが電子部品に伝達されるのを抑制でき、電子部品の性能低下や故障などを効果的に防止しうるという利点がある。なお前記はみ出し部分b2e以外の領域fには、この領域fがタイヤ内腔面と加硫接着しないように剥離シート等の防着層が形成される。
しかしこの構造のICタグは、防着層が形成される裏面側もゴムシートb2にて覆われている。そのため、タイヤ加硫成形時、前記裏面側のゴムシートb2にもゴム流れが発生し、流動したゴムが防着層を越えてタイヤ内腔面と接触するなど、前記はみ出し部分b2e以外でも部分的に接着されてしまうという問題が発生しやすくなる。
そこで本発明者は、前記裏のゴムシートb2を排除し、表のゴムシートb1との接着のみで電子部品aを保持し、かつこの表のゴムシートb1に設けるはみ出し部分とタイヤ内腔面とを加硫接着させることを提案した。この場合、裏のゴムシートb2が排除されるためゴム流れが抑えられ、ICタグが前記はみ出し部分以外でタイヤ内腔面と接着するのを抑制できる。しかしその反面、表のゴムシートb1との接着のみで電子部品が保持されるため、タイヤ加硫成形時、ブラダーによって作用する高い剪断力により、電子部品aが前記ゴムシートb1と接着外れを起こすという解決すべき新たな問題が発生する。
本発明は、はみ出し部分以外の部位でタイヤ内腔面と接着するのを防止しながら、タイヤ加硫成形時における電子部品の接着外れを抑制しうるICタグ、それを取付けた空気入りタイヤ、およびICタグの取付方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、ICチップとアンテナとを組み込んだシート状のICタグ・インレット、その表面にプライマー層と接着層とを介して接着される未加硫のゴムシートからなりかつ前記ICタグ・インレットの周縁の一部からはみ出すはみ出し部分を有する保護カバー、及び前記ICタグ・インレットの裏面に形成されかつゴムとの加硫接着を阻止する防着層を具えるとともに、
前記プライマー層は、150〜200℃の温度範囲における保護カバーのゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0における該プライマー層の貯蔵剪断弾性率Gb’0とが次式(1)を充足することを特徴としている。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
前記プライマー層は、150〜200℃の温度範囲における保護カバーのゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0における該プライマー層の貯蔵剪断弾性率Gb’0とが次式(1)を充足することを特徴としている。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
又請求項2の発明では、前記ICタグ・インレットと前記保護カバーとは、周囲を四辺で囲む矩形状をなし、
前記保護カバーは、その一辺側に、前記ICタグ・インレットの一辺から1.0mm以上の距離Kをはみ出すはみ出し部分を有するとともに、前記保護カバーの他の三辺は、前記ICタグ・インレットの他の三辺からそれそれ0.5mm以上の距離Lを内に控えることを特徴としている。
前記保護カバーは、その一辺側に、前記ICタグ・インレットの一辺から1.0mm以上の距離Kをはみ出すはみ出し部分を有するとともに、前記保護カバーの他の三辺は、前記ICタグ・インレットの他の三辺からそれそれ0.5mm以上の距離Lを内に控えることを特徴としている。
又請求項3の発明は、請求項1又は2のICタグを、タイヤ内腔面に取り付けた空気入りタイヤであって、前記ICタグは、前記保護カバーの前記はみ出し部分がタイヤ内腔面に接着されることを特徴としている。
又請求項4の発明は、請求項1又は2のICタグを、空気入りタイヤのタイヤ内腔面に取り付けるICタグの取付方法であって、
未加硫の生タイヤのタイヤ内腔面に、前記保護カバーの前記はみ出し部分を粘着させて前記ICタグを仮付けするとともに、該仮付けした生タイヤを金型内で加硫成形することによる加硫熱と加硫圧力とにより、前記はみ出し部分のみをタイヤ内腔面に加硫接着することを特徴としている。
未加硫の生タイヤのタイヤ内腔面に、前記保護カバーの前記はみ出し部分を粘着させて前記ICタグを仮付けするとともに、該仮付けした生タイヤを金型内で加硫成形することによる加硫熱と加硫圧力とにより、前記はみ出し部分のみをタイヤ内腔面に加硫接着することを特徴としている。
なお前記「貯蔵剪断弾性率」は、JIS K6394の加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの動的性質試験方法に準拠し、粘弾性スペクトロメータを用いて、初期歪み10%、振幅2.0%の周波数10Hzの条件で測定した値である。
本発明は叙上の如く、電子部品であるシート状のICタグ・インレットが、ゴムシートからなる一枚の保護カバーとの接着によって保持され、このICタグ・インレットの裏面側には、ゴムシートを介在させることなく防着層が直接に形成されている。従って、前記保護カバーのはみ出し部分を用いて、ICタグをタイヤ内腔面に加硫接着する際、裏面側にゴムシートがないことによりそのゴム流れが抑制され、ICタグが、はみ出し部分以外で接着されるのを防止することができる。
さらに前記ICタグ・インレットは保護カバーと、プライマー層および接着層を介して接着される。このとき、150〜200℃の温度範囲における保護カバーのゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0におけるプライマー層の貯蔵剪断弾性率Gb’0とを次式(1)の関係に規制している。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
ここで、タイヤ加硫成型時、ブラダーの膨張によってタイヤ内腔面に加硫圧力が付与されるが、その膨張過程においては、前記ブラダーによりタイヤ内腔面に沿う強い剪断力が発生し、この剪断力は、前記ICタグの保護カバーにも作用する。
他方、前記保護カバーのゴムは、150℃程度から加硫を開始し、温度の上昇とともに貯蔵剪断弾性率Ga’の値が増加していく。これに対してプライマー層では、その貯蔵剪断弾性率Gb’の値が逆に減少する。従って、加硫途中で前記貯蔵剪断弾性率Ga’と貯蔵剪断弾性率Gb’との差が大きくなった場合、弾性を増した保護カバーのゴムからの剪断力に耐えきれなくなり、ICタグが接着外れを起こすこととなる。
従って、前記(1)式の如く、加硫温度として想定される150〜200℃の温度範囲において保護カバーの貯蔵剪断弾性率Ga’が最大値Ga’max を示す時の、プライマー層の貯蔵剪断弾性率Gb’の値Gb’0を、前記最大値Ga’max の1%よりも大に設定し、その差を減じることにより、加硫時の剪断力に起因する接着外れを防止することが可能となる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1(A)、(B)に概念的に示すように、本実施形態のICタグ1は、シート状のICタグ・インレット2と、その表面Sfに接着される未加硫のゴムシートからな保護カバー3と、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに形成される防着層4とを具える。
図1(A)、(B)に概念的に示すように、本実施形態のICタグ1は、シート状のICタグ・インレット2と、その表面Sfに接着される未加硫のゴムシートからな保護カバー3と、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに形成される防着層4とを具える。
前記ICタグ・インレット2は、ICチップ6Aとアンテナ6Bとを組み込んだ無線通信可能なインレットであり、例えば図2(A)、(B)にその一例を示すように、フィルム状の絶縁基材5上に、ICチップ6Aとアンテナ6Bとを含む電子部品6を実装して電子回路7を構成した所謂プリント基板であるプリント配線基板8、およびこのプリント配線基板8に積層されて前記電子回路6を被覆保護する例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製の保護フィルム9とから形成されている。なおタイヤ用のICタグ・インレット2としては、厚さが0.1mm以下と薄くかつ柔軟性を有する曲げ変形可能なフレキシブルなものが好適に採用しうる。又本実施形態のICタグ1では、前記ICタグ・インレット2を、その保護フィルム9側を前記表面Sfとして、或いは裏面Srとして使用することができる。
次に、前記保護カバー3は、例えば厚さ0.3〜2.0mm程度の薄い未加硫のゴムシートからなり、前記図1(A)の如く、本例では、前記ICタグ・インレット2と同様に、周囲を四辺で囲んだ矩形状に形成されている。この保護カバー3には、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等のジエン系ゴム、或いはブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のブチル系ゴムなど、タイヤ内腔面Tsをなすインナーライナと加硫接着可能な種々のゴム材を、単独で或いは互いにブレンドして採用しうるが、ゴム成分100質量中に、接着性に優れる天然ゴム(NR)を少なくとも80質量部以上配合するのが好ましい。
又前記保護カバー3は、ICタグ・インレット2の周縁の一部からはみ出すはみ出し部分3Aを有し、このはみ出し部分3Aを用いて、タイヤ内腔面Tsに加硫接着される。具体的には、本例では、前記ICタグ・インレット2は、周囲を四辺2eで囲む矩形状をなし、又前記保護カバー3は周囲を四辺3eで囲む矩形状をなす。そしてこの保護カバー3は、前記四辺3eのうちにの一辺3e1側に、前記ICタグ・インレットの一辺2e1から外方にはみ出す前記はみ出し部分3Aを形成している。該はみ出し部分3Aの前記一辺2e1からのはみ出し量K、即ち一辺2e1、3e1間の距離Kは1.0mm以上としている。
ここで、前記保護カバー3の厚さが0.3mm未満では、加硫成型時にブラダーを介して受ける外力から前記ICタグ・インレット2を保護することが難しくなる。しかも引っ張り強度が不充分となって、走行中の遠心力等によって保護カバー3が破断し、ICタグ1がタイヤから外れる恐れを招く。このような観点から、保護カバー3の厚さの下限値は、0.5mm以上さらには0.8mm以上がより好ましい。又前記保護カバー3のはみ出し量Kが1.0mm未満では、タイヤ内腔面Tsとの加硫接着代が過小となって、接着強度が不足し、走行中の遠心力等によってICタグ1がタイヤから接着外れする恐れを招く。このような観点から、前記はみ出し量Kの下限値は、3.0mm以上さらには5.0mm以上が好ましい。
又前記保護カバー3では、他の三辺3e2〜3e4が、前記ICタグ・インレット2の他の三辺2e2〜2e4からそれぞれ0.5mm以上の距離Lを内に控えることも必要である。これは、前記距離Lが0.5mm未満では、加硫成型時、保護カバー3にゴム流れが生じて、ICタグ1が、前記はみ出し部分3A以外の部位でもタイヤ内腔面Tsに接着してしまうなど、本発明の目的が達成されなくなる恐れを招くからである。従って、前記距離Lの下限値は、1.0mm以上さらには2.0mm以上がより好ましい。なお距離Lの上限値は、前記保護カバー3による保護効果、および保護カバー3とICタグ・インレット2との接着強度の観点から5.0mm以下、さらには4.0mm以下が好ましい。又前記保護カバー3が厚過ぎると、加硫成型時のゴム流れが大きくなることから、厚さの上限値は、ゴム流れに起因する前記はみ出し部分3A以外の部位での接着を防止する観点から、2.0mm以下、さらには1.5mm以下が好ましい。
次に、前記保護カバー3は、図3に断面を拡大して示すように、ICタグ・インレット2の表面Sfに、プライマー層10と接着層11とを介して接着される。
前記プライマー層10は、接着を強固とするために前記ICタグ・インレット2の表面Sfに塗布される下地処理剤であって、例えばウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン変性ポリエステル系樹脂、レゾルシン−ホルマリン樹脂、塩素化樹脂などの樹脂プライマー、或いはこれら樹脂プライマーと天然ゴム、合成ゴム等のゴム材とをブレンドしたものが使用できる。例えば市販されているものとして、ニッポラン3230(日本ポリウレタン工業製)、セイカボンドU−507(大日精化工業製)、エピクロンH353(大日本インキ化学工業製)、セイカボンドE−256−40(大日精化工業製)、バイロンUR8700(東洋紡績製)、エリ−テルUE3300(ユニチカ製)等が挙げられる。又ブレンドするゴム材については、有機溶剤に溶解してブレンドを行うことが容易であるものが好ましく、天然ゴムでは、ムーニ粘度60以下で有機溶剤に溶解しうるものが好ましい。なお硬化剤として、イソシアネート、メラミン、ブロックイソシアネート等の樹脂を添加するのも好ましい。このプライマー層10は、厚く形成する必要はなく、10μm以下で充分であり、好ましくは3μm以下である。なおその下限値は0.1μm以上であり、これを下回るとプライマーの効果が発揮されなくなる。
又前記接着層11は、前記プライマー層10上に塗布される。この接着層11としては、耐熱性に優れるアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤が好適であり、その厚さは、特に限定されないが、例えば5〜50μmの範囲が好ましい。
そして加硫成型時における前記保護カバー3とICタグ・インレット2との接着外れを防止するため、150〜200℃の温度範囲における保護カバー3のゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0におけるプライマー層10の貯蔵剪断弾性率Gb’0とを次式(1)の関係に規制している。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1)
タイヤの加硫成形工程では、金型内のタイヤの内腔内に、例えば蒸気、温水、加熱気体等の加圧・加熱媒体をブラダーを介して充填し、加熱しながら加圧することが行われる。しかしこのとき、前記ブラダーがタイヤ内腔面Tsと圧接しながら膨張するため、このタイヤ内腔面Tsには、強い剪断力が作用し、この剪断力は、前記ICタグ1の保護カバー3の表面にも作用する。
他方、前記保護カバー3のゴムは、150℃程度から加硫を開始し、温度の上昇とともに貯蔵剪断弾性率Ga’の値が増加していく。これに対してプライマー層10では、その貯蔵剪断弾性率Gb’の値が逆に減少する。従って、加硫途中で前記貯蔵剪断弾性率Ga’と貯蔵剪断弾性率Gb’との差が大きくなった場合、加硫進行とともに弾性を増す保護カバー3から伝わる高剪断力にプライマー層10が耐えきれなくなり、前記ICタグ・インレット2が接着外れしやすくなる。なお、前記接着層11の、前記温度T0における貯蔵剪断弾性率Gc’0は、プライマー層10の前記貯蔵剪断弾性率Gb’0以上である。
そこで本発明では、前記(1)式の如く、加硫温度として想定される150〜200℃の温度範囲において保護カバー3の貯蔵剪断弾性率Ga’が最大値Ga’max を示す時の、プライマー層10の貯蔵剪断弾性率Gb’の値Gb’0を、前記最大値Ga’max の1%よりも大に、即ち比Gb’0/Ga’max を0.01よりも大に設定し、その差を減じることにより、加硫時の剪断力に起因する接着外れを防止している。なお前記比Gb’0/Ga’max の下限値は、0.011以上、さらには0.02以上であるのが好ましい。なお上限値は特に規制されないが、100以下、さらには10以下がプライマーの柔軟性の観点から好ましい。
次に、前記防着層4は、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに形成され、タイヤ加硫成形時にタイヤ内腔面Tsと前記ICタグ・インレット2とが接着するのを防止する。前記防着層4としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の180℃の熱でも溶融しない樹脂材からなるシート本体の裏面に、防着処理を施した防着シート15が好適に採用しうる。この防着シート15は、接着剤を介して、前記ICタグ・インレット2の裏面Srに接着されることにより前記防着層4を形成する。このとき、前記防着層4は、前記ICタグ・インレット2の裏面Sr全面に形成される。
前記防着処理としては、ゴムに対して離型性を有する例えばポリフルオルエチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などの離型性樹脂を、前記シート本体の裏面にコーティングするコーティング処理が好適に採用される。なお防着シート15自体を前記離型性樹脂のみで形成することもできる。前記防着層4の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1〜50μmの範囲が望ましい。
次に、前記ICタグ1を、タイヤ内腔面Tsに取り付けた空気入りタイヤ20を、ICタグの取付方法とともに説明する。
このICタグ1の取付方法は、
(1)予め未加硫の生タイヤ20Nのタイヤ内腔面Tsに、前記保護カバー3におけるはみ出し部分3Aを粘着させることで前記ICタグ1を仮付けする仮付け工程(図4)と、
(2)このICタグ1を仮付けした生タイヤ20Nを、金型30内で加硫成形することにより、その時の加硫熱と加硫圧力とによって、前記はみ出し部分3Aのみをタイヤ内腔面Tsに加硫接着する加硫接着工程(図5)とを含む。
(1)予め未加硫の生タイヤ20Nのタイヤ内腔面Tsに、前記保護カバー3におけるはみ出し部分3Aを粘着させることで前記ICタグ1を仮付けする仮付け工程(図4)と、
(2)このICタグ1を仮付けした生タイヤ20Nを、金型30内で加硫成形することにより、その時の加硫熱と加硫圧力とによって、前記はみ出し部分3Aのみをタイヤ内腔面Tsに加硫接着する加硫接着工程(図5)とを含む。
ここで、前記生タイヤ20Nは、図5のように、前記トレッド部22からサイドウォール部23をへてビード部24のビードコア25に至るカーカス26と、本例ではトレッド部22の内方かつ前記カーカス26の半径方向外側に配されるベルト層27とを含む。
前記カーカス26は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ26Aから形成される。このカーカスプライ26Aは、前記ビードコア25、25間に跨るプライ本体部26aの両側に、前記ビードコア25の廻りで折り返される折返し部26bを一連に具える。又プライ本体部26aの内側には、耐空気透過性に優れるゴム(例えば前記ブチル系ゴム)からなりかつタイヤ内腔面Tsを形成するインナーライナ29が形成される。
又前記ベルト層27は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ27A、27Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部22の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。このベルト層27の半径方向外側には、高速走行時の操縦安定性及び耐久性等を高める目的で、バンドコードを周方向に対して5度以下の角度で配列させたバンド層(図示しない)を設けることができる。
そして、前記ICタグ1は、前記はみ出し部分3Aをタイヤ半径方向内方に向けて、前記ビード部24におけるタイヤ内腔面Tsに仮付けされる。ここで前記ビード部24は、タイヤ走行時の変形量が最も小さい部位であり、このような部位にICタグ1を取り付けることで、ICタグ1のタイヤからの脱落を防止できる。又前記はみ出し部分3Aのみでタイヤに固定され、タイヤ変形時の外力が前記ICタグ・インレット2に作用しないため、このICタグ・インレット2の損傷を防止することができる。
なお前記仮付けは、未加硫ゴムの粘着性を利用して行われるが、要求により接着剤を使用することもできる。
又前記加硫接着工程は、従来的な加硫工程により行われる。即ち、ICタグ1を仮付けされかつ金型30内に装着された前記生タイヤ20Nのタイヤ内腔に、ブラダー31を介して加圧・加熱媒体を充填する。このブラダー31は、その膨張により、ICタグ1全体をタイヤ内腔面Tsに押圧し、前記防着層4が介在しない前記はみ出し部分3Aのみをタイヤ内腔面Tsに加硫接着できる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
総厚さ100μmのICタグ・インレット2の裏面Srに、防着シート15を接着して防着層4を形成した。又前記ICタグ・インレット2の表面Sfには、プライマーおよび接着剤を順次塗布してプライマー層10および接着層11を形成した後、未加硫のゴムシートからなる保護カバー3を貼着し、図1に示す構造のICタグ1を試作した。
なお防着シート15には、片面に離型性樹脂をコーティングした厚さ50μmのPETシートを使用した。前記接着剤として天然ゴム系接着剤を用い厚さ35μmの接着層11を形成している。又プライマーには、表1の仕様のものを用い、厚さ3μmのプライマー層10を形成している。又保護カバー3には、天然ゴムをゴム成分とした厚さ0.6mmの未加硫のゴムシートを使用した。なお、保護カバー3におけるはみ出し部分3Aのはみ出し量(距離K)は5.0mm、かつICタグ・インレット2の他の三辺2e2〜2e4の保護カバー3の他の三辺3e2〜3e4からの露出量(前記距離L)は2.0mmである。
そして本発明に係わるICタグの取付方法を用いて、前記ICタグ1をタイヤ内腔面に加硫接着によって取り付けた空気入りタイヤ(サイズ195/65R15)を形成するとともに、この空気入りタイヤに対して走行テスト実施し、ICタグ1のタイヤからの脱落、およびICタグ・インレット2の保護カバー3からの剥離の有無を確認した。
なお走行テストは、タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(190KPa)、荷重(6.96kN)にて、ドラム上を速度80km/hにて、5,000kmの距離を走行させ、その後、タイヤをリムから取り外してICタグ1の取り付き状態を目視によって検査した。
表中:
(a)ニッポラン3230(日本ポリウレタン工業)
(b)コロネートL(日本ポリウレタン工業)
(c)セイカボンドU−507(大日精化工業)、
(d)セイカボンドUD−C(大日精化工業)
(e)エピクロンH353(大日本インキ化学工業)
(f)セイカボンドE−256−40(大日精化工業)
(g)エリ−テルUE3300(ユニチカ)
(h)バイロンUR8700(東洋紡績)
(i)スミジュールL−75(住化バイエルウレタン)
(a)ニッポラン3230(日本ポリウレタン工業)
(b)コロネートL(日本ポリウレタン工業)
(c)セイカボンドU−507(大日精化工業)、
(d)セイカボンドUD−C(大日精化工業)
(e)エピクロンH353(大日本インキ化学工業)
(f)セイカボンドE−256−40(大日精化工業)
(g)エリ−テルUE3300(ユニチカ)
(h)バイロンUR8700(東洋紡績)
(i)スミジュールL−75(住化バイエルウレタン)
実施例1〜6のICタグは、加硫成形後も保護カバー3とICタグ・インレット2とが接着しており、又走行テスト後も、ICタグ・インレット2の保護カバー3からの脱落は発生していない。これに対して、比較例1〜2のICタグは、加硫成形後、保護カバー3とICタグ・インレット2との間に部分的な剥離が生じ、走行テスト後、ICタグ・インレット2の脱落が生じている。
2 ICタグ・インレット
3 保護カバー
3A はみ出し部分
4 防着層
6A ICチップ
6B アンテナ
10 プライマー層
11 接着層
20N 生タイヤ
30 金型
Sf 表面
Sr 裏面
Ts タイヤ内腔面
3 保護カバー
3A はみ出し部分
4 防着層
6A ICチップ
6B アンテナ
10 プライマー層
11 接着層
20N 生タイヤ
30 金型
Sf 表面
Sr 裏面
Ts タイヤ内腔面
Claims (4)
- ICチップとアンテナとを組み込んだシート状のICタグ・インレット、その表面にプライマー層と接着層とを介して接着される未加硫のゴムシートからなりかつ前記ICタグ・インレットの周縁の一部からはみ出すはみ出し部分を有する保護カバー、及び前記ICタグ・インレットの裏面に形成されかつゴムとの加硫接着を阻止する防着層を具えるとともに、
前記プライマー層は、150〜200℃の温度範囲における保護カバーのゴムの貯蔵剪断弾性率Ga’の最大値Ga’max と、この最大値Ga’max を示す温度T0における該プライマー層の貯蔵剪断弾性率Gb’0とが次式(1)を充足することを特徴とするICタグ。
Ga’max ×10-2 < Gb’0 −−−(1) - 前記ICタグ・インレットと前記保護カバーとは、周囲を四辺で囲む矩形状をなし、
前記保護カバーは、その一辺側に、前記ICタグ・インレットの一辺から1.0mm以上の距離Kをはみ出すはみ出し部分を有するとともに、前記保護カバーの他の三辺は、前記ICタグ・インレットの他の三辺からそれぞれ0.5mm以上の距離Lを内に控えることを特徴とする請求項1記載のICタグ。 - 請求項1又は2のICタグを、タイヤ内腔面に取り付けた空気入りタイヤであって、前記ICタグは、前記保護カバーの前記はみ出し部分がタイヤ内腔面に接着されることを特徴とするタイヤ。
- 請求項1又は2のICタグを、空気入りタイヤのタイヤ内腔面に取り付けるICタグの取付方法であって、
未加硫の生タイヤのタイヤ内腔面に、前記保護カバーの前記はみ出し部分を粘着させて前記ICタグを仮付けするとともに、該仮付けした生タイヤを金型内で加硫成形することによる加硫熱と加硫圧力とにより、前記はみ出し部分のみをタイヤ内腔面に加硫接着することを特徴とするICタグの取付方法。
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