JP6629547B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ランフラットタイヤに関する。
走行中にタイヤがパンクしたとき、一定距離をパンク走行可能なタイヤとして、サイドウォール部をサイド補強ゴムで補強したランフラットタイヤがある。
ランフラットタイヤとしては、例えば、タイヤのサイドウォール部の内面に、熱による温度の変化で不可逆的に変色する変色材料を塗布することで、パンク走行履歴の有無を後に判断可能にするランフラットタイヤが報告されている(例えば、特許文献1)。
特開2013−132989号公報
一方、ランフラットタイヤはランフラット走行(パンク走行)後に、パンクを修理して使用することができる。しかし、ランフラット走行によって、タイヤのサイドウォール部のサイド補強ゴムが何度も大きく撓んだ場合には、サイド補強ゴムに一定以上の歪みを生じ、サイド補強ゴムが変質するため、単なるパンク修理よりも、タイヤ自体の交換等が望まれる。
しかしながら、サイド補強ゴムがランフラット走行によって一定以上の歪みを生じたか否かを判断するのは困難である。
また、サイドウォール部のインナーライナー表面のシワの有無よって、サイド補強ゴムが一定以上の歪みが生じたことの履歴(歪み履歴)を推測しようとする場合に、低速・短距離でのランフラット走行においては、サイド補強ゴムが一定以上の歪みを生じたにもかかわらず、そのシワが目視等で確認できない恐れがある。
本発明は上記事項を考慮し、ランフラット走行におけるサイド補強ゴムの歪み履歴を視覚的に確認することが可能なランフラットタイヤを提供することを目的とする。
<1>トレッド部及びビード部を連結するサイドウォール部と、前記サイドウォール部の内面に配置されたサイド補強ゴムと、前記サイド補強ゴムの内面の最大屈曲部を含む領域に配置され、圧縮歪吸収層、及び、加えられた圧力によって視覚的に変化する感圧材料を含み前記圧縮歪吸収層上に形成された応力可視化層を含む応力可視化部材と、を有し、前記圧縮歪吸収層の厚みが10μmを超えるランフラットタイヤ。
<1>に記載のランフラットタイヤでは、トレッド部とビード部を連結するサイドウォール部の内面に配置されたサイド補強ゴムの内面側に、応力可視化部材が設けられており、サイド補強ゴムが一定以上の歪みを生じた場合に、歪みに伴って応力可視化部材が視覚的に変化する。応力可視化部材は、圧縮歪吸収層及び応力可視化層を含んで構成されており、厚みが10μmを超える圧縮歪吸収層上に応力可視化層が形成されている。換言すると、サイド補強ゴムの内面側に、10μmを超える厚みを有する圧縮歪吸収層を介して応力可視化層が設けられている。
通常走行、またはランフラット走行によってサイド補強ゴムが屈曲変形しても、サイド補強ゴムが一定以上の歪みを生じていない場合には、圧縮歪吸収層が、サイド補強ゴムに生じた歪みを吸収する。従って、応力可視化層に圧力が加えられないため、応力可視化層は視覚的に変化がない。しかし、ランフラット走行によってサイド補強ゴムが繰り返し大きく撓んで、サイド補強ゴムに一定以上の歪みが生じると、圧縮歪吸収層がその歪み(圧縮歪み)を吸収しきれなくなり、その吸収しきれなかった圧縮歪吸収層からの歪みによって応力可視化層に圧力が加えられ、応力可視化層中の感圧材料が、加えられた圧力によって視覚的に変化する。このように、視覚的変化よって、サイド補強ゴムに生じた一定以上の歪みの履歴を確認することができる。当該履歴によってサイド補強ゴムの耐久性等の程度を判断でき、パンク後のタイヤ修理かタイヤ交換かの判断を行うための有効な情報を提供できる。また、前記応力可視化層は厚みが10μmを超える前記圧縮歪吸収層を介してサイド補強ゴム内面に貼り付けられているので、ランフラット走行時にサイド補強ゴムが繰り返し大きく撓んでも、前記圧縮歪吸収層が歪みを吸収し、応力可視化層が剥がれ落ちるのを防ぐことができる。
ここで、前記応力可視化部材は前記サイド補強ゴムの内面に設けられていればよい。即ち、前記応力可視化部材はサイド補強ゴム上に直接配置されていてもよく、サイド補強ゴムの内面にインナーライナーが設けられている場合には、サイド補強ゴムの最大屈曲部を含む領域上にインナーライナーを介して応力可視化部材がサイド補強ゴムの内面に配置されてもよい。
<2>前記感圧材料が、圧力により脆性破壊されるマイクロカプセルを含む<1>に記載のランフラットタイヤ。
<3>前記感圧材料が、2種以上の化合物を組み合わせて発色させる材料を含む<1>又は<2>に記載のランフラットタイヤ。
<4>前記圧縮歪吸収層は、25℃における弾性率が1×10Pa〜1×1010Paである<1>〜<3>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
<5>前記圧縮歪吸収層は、100℃における弾性率が1×10Pa〜1×1010Paである<1>〜<4>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
<6>前記圧縮歪吸収層は、シリコーン樹脂系の接着剤を含む<1>〜<5>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
<7>前記応力可視化部材が複数配置されている<1>〜<6>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
<8>複数の前記応力可視化部材は、タイヤ周方向及びタイヤの径方向の少なくとも一方において、互いに4mm以上の間隔で配置されている<7>に記載のランフラットタイヤ。
<9>前記最大屈曲部を含む領域が、前記サイド補強ゴムのタイヤ径方向において、サイド補強ゴムの下端からサイド補強ゴムの上端までの長さの80%以内の領域である<1>〜<8>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
<10>前記応力可視化層は、0.05MPa〜50MPaの圧力で視覚的に変化する<1>〜<9>の何れか1つに記載のランフラットタイヤ。
本発明によれば、ランフラット走行におけるサイド補強ゴムの歪み履歴を視覚的に確認することが可能なランフラットタイヤを提供することができる。
第1実施形態におけるランフラットタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面の形状を示す断面図である。 パンクにより屈曲変形するタイヤの最大屈曲部における曲率半径の変化を示す断面図である。(A)は通常走行時のタイヤの屈曲状態を示し、(B)はランフラット走行時のタイヤの屈曲状態を示す。 第1実施形態における応力可視化部材の層構成を示す断面図である。 (A)本発明のタイヤをタイヤ周方向に沿って切断し、タイヤ側面側よりタイヤの内面を観察した模式図である。(B)本発明のタイヤの内面の一部を拡大した斜視図である。 第2実施形態における応力可視化部材の層構成を示す断面図である。 第3実施形態における応力可視化部材の層構成を示す断面図である。
本発明のランフラットタイヤによれば、ランフラット走行(パンク走行)後に、サイド補強ゴムに生じた一定以上の歪みの履歴を確認することで、サイド補強ゴムの耐久性等の程度を判断することができる。
「歪み」は、外部からの圧縮圧によって形成される圧縮歪みを意味する。
ランフラット走行し始めた場合には、サイド補強ゴムに生じる歪みの程度は、一定以下に低く抑えられているが、ランフラット走行を続けると、サイド補強ゴムが繰り返し大きく撓むようになり、これに伴ってサイド補強ゴムにそれまでとは著しく程度の異なる大きな歪みが生じる。
歪み履歴を視覚的に「確認」するとは、応力可視化層の変色又は変形の確認を意味する。また、確認方法としては、応力可視化層を目視して直接観察する方法はもちろん、応力可視化層の変色や変形を数値化して確認してもよい。変色するとは、視覚的に色が変化することを意味する。変形とは、視覚的に形状が変化することを意味する。
「加えられた圧力によって視覚的に変化する感圧材料」とは、圧力が加えられると視覚的に変化する材料であって、変化には変色及び変形を含む。また、視覚的な変化には、前記感圧材料が発色等により変色することの他、前記感圧材料が、形状によって反射率が変化する場合も含む。すなわち、本発明における感圧材料は、サイド補強ゴムからの歪みを受けた圧縮歪吸収層を介して応力可視化層に加えられる圧力(単位:Pa)に応答して視覚的に変化する。
以下、本発明のランフラットタイヤの詳細について説明する。
≪第1実施形態≫
図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るランフラットタイヤ10について説明する。なお、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明のランフラットタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面の形状を示す断面図である。なお、図中の矢印Wはランフラットタイヤ10の幅方向を示し、矢印Rはランフラットタイヤ10のタイヤ径方向を示す。また、符号CLは、ランフラットタイヤ10の幅方向中央を通る中央線を示す。
本発明に係るランフラットタイヤ10(以下、「タイヤ10」と記載する)は、左右一対のビード部12(図1では、片側のビード部12のみ図示)と、これら一対のビード部12内にそれぞれ埋設された一対のビードコア14と、一対のビードコア14間をトロイド状に延びたカーカス層16と、カーカス層16よりタイヤ10の径方向外側に設けられたベルト層18と、このベルト層18よりタイヤ10の径方向外側に設けられたトレッド部20と、ビード部12とトレッド部20とを連結するサイドウォール部22と、インナーライナー25と、サイドウォール部22の内面に形成されたサイド補強ゴム26と、を備えている。
また、タイヤ10においては、インナーライナー25を有しない場合があり、この場合には、後述する応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26の表面に直接接着されることになる。従って、本発明における応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に接着するものとする。
カーカス層16は、1枚又は複数枚のカーカスプライによって構成されている。本実施形態では、一例として2枚のカーカスプライで構成されている。このカーカスプライは、複数本のコード(例えば、有機繊維コードや金属コードなど)を被覆ゴムで被覆して形成されている。また、カーカス層16は、端部側がビードコア14周りにタイヤ10の内側から外側へ折り返されている。
ベルト層18は、一例として複数枚のベルトプライによって構成されている(1枚のベルトプライで構成してもよい)。このベルトプライは、複数本のコード(例えば、有機繊維コードや金属コードなど)を被覆ゴムで被覆して形成されている。
トレッド部20には、タイヤ10の周方向に延びる複数の周方向溝24が形成されている。また、トレッド部20には、周方向に対して交差する方向に延びる図示しない幅方向溝が複数形成されている。
サイドウォール部22のタイヤ軸方向内側には、サイド補強ゴム26が設置されており、タイヤ10の内側壁の一部を構成している。サイド補強ゴム26の内側壁面を含めタイヤ10の内側壁にはインナーライナー25が設けられている。サイド補強ゴム26の上端部26Aは、トレッド部20まで延びており、サイド補強ゴム26の下端部26Bは、ビード部12の近傍まで延びている。また、サイド補強ゴム26は、上端部26A、及び下端部26Bへ向かうにつれ、厚みが薄くなっている。さらに、サイド補強ゴム26は、サイドウォール部22を構成するゴムよりも硬質のゴムで形成されており、タイヤ10がパンクしても、サイド補強ゴム26が車両及び乗員の重量を支えることでランフラット走行(パンク走行)ができるように構成されている。
応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26の内面、すなわちサイド補強ゴム26のタイヤ幅方向内側の表面の最大屈曲部を含む領域29’に配置される。後述するが、応力可視化部材28は、圧縮歪吸収層及び応力可視化層を含み、応力可視化層が圧縮歪吸収層を介してサイド補強ゴム26表面に配置されている。なお、応力可視化層とは、歪み履歴を示す層のことをいい、サイド補強ゴム26に生じた一定以上の歪みによって視覚的に変化する。サイド補強ゴムに一定以上の歪みを生じていない場合には、圧縮歪吸収層がその歪みを吸収する。一方、サイド補強ゴム26の最大屈曲部29を中心に生じる撓みによって一定以上の歪みが発生した場合には、圧縮歪吸収層がその歪みを吸収しきれなくなり、吸収できない歪みによって、応力可視化層に圧力が加えられる。応力可視化層は、圧縮歪吸収層が吸収できない歪みによって加えられる圧力で視覚的に変化する。従って、ランフラット走行後に、応力可視化層を視認することによって、サイド補強ゴム26の最大屈曲部29の歪み履歴を確認することができる。
また、応力可視化層は、サイド補強ゴム26またはインナーライナー25に厚みが10μmを超える圧縮歪吸収層を介して貼り付けられているので、ランフラット走行時にサイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んだ際に、応力可視化層はサイド補強ゴム26またはインナーライナー25から剥がれにくい。
本発明において、応力可視化部材28は、タイヤ10のサイド補強ゴム26の内面の最大屈曲部29を含む領域29’に配置される。
ここで、サイド補強ゴムの「最大屈曲部」とは、ランフラット走行時においてサイド補強ゴムの屈曲が最大となる部位を意味する。本発明においてサイド補強ゴムの最大屈曲部は、次のようにして決定される。まず、図2(A)及び(B)に示すように、タイヤ幅方向断面において、タイヤ幅方向中央(CL)からビード部31に向かってサイド補強ゴムを0.5cm間隔でタイヤの最内周面を区切った一定間隔の領域群を形成する(図2中、各領域を領域35で示す)。次に、CLから所定位置にある領域35の各々における屈曲による曲率半径の変化量、すなわち各領域35での通常走行時のタイヤ(荷重0kN、内圧200kPa)における曲率半径(r1)と、ランフラット走行時のタイヤ(荷重8.5kN、内圧50kPa)における曲率半径(r2)とを測定し、変化量(|r1−r2|)を算出する。
以上によって、サイド補強ゴム26の内面上で、算出した変化量が最も大きい領域35を最大屈曲部32という。
各条件下における領域35の曲率半径は、X線CTにより得られる断面画像を画像処理し計測することによって測定することができる。
図2(A)及び(B)に示すように、タイヤがパンクした場合、サイド補強ゴム26が、タイヤ径方向の荷重によって大きく撓んで変形する。また、タイヤ10は転動しているので、サイド補強ゴム26は、全周に亘って連続的に撓み変形が繰り返される。このとき、図2(B)に示すように、半径r2の最大屈曲部32生じる。この場合の、最大屈曲部の場所は、タイヤ径に関係なくタイヤの最大幅付近であることが多く、タイヤのサイド補強ゴム26の最も厚い部分の一定の位置に生じることが多い。
次に、応力可視化部材28について説明する。図3は応力可視化部材の層構成を示す断面図である。図3に示されるように、応力可視化部材28は、圧縮歪吸収層41と、応力可視化層43と、を含んで構成される。図3において応力可視化層43は圧縮歪吸収層41の表面に直接設けられているが、本発明の効果に影響を与えない範囲で、応力可視化層43と圧縮歪吸収層41との間に更に接着層等の他の層を有していてもよい。図3に示すように、圧縮歪吸収層41は、応力可視化層43とインナーライナー25との間に配置されており、タイヤがランフラット走行を続けることによってサイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み始めるまで、サイド補強ゴム26からの屈曲変形による歪みを吸収し、応力可視化層43への歪みの伝達を防ぐ。その後、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み始め、サイド補強ゴム26の内面に一定以上の歪みが生じると、圧縮歪吸収層41はこの歪みを吸収しきれなくなる。吸収しきれない歪みによって、応力可視化層に圧力が加えられ、その圧力によって感圧材料が視覚的に変化するので、これによりサイド補強ゴム26の歪み履歴を視認することができる。
圧縮歪吸収層41は、サイドウォール部の内面に形成されたサイド補強ゴム26の表面の最大屈曲部を含む領域(図1の領域29’)に配置される。なお、図3中の矢印Hは圧縮歪吸収層41の高さを示し、同様に矢印H’は応力可視化層43の高さを示す。また、図3中、矢印Lは応力可視化部材28の幅方向における長さを示す。
また、応力可視化部材28の配置の一例を図4の(A)及び(B)に示す。図4(A)は、タイヤ10をタイヤ周方向に沿って切断し、タイヤ10側面側よりタイヤ10の内側を観察した模式図である。また、図4(B)は、タイヤ10の内面の一部を拡大した斜視図である。図4(A)に示すように、サイド補強ゴム26内面にはインナーライナー25を介して応力可視化部材28が配置されている。応力可視化部材28は、タイヤ10の内面においてタイヤ径方向に沿って縞状に装飾されるセレーション線6に沿うように、サイド補強ゴム26の最大屈曲部を含む領域に複数配置されている。図4(B)に示すように、応力可視化部材28は、全体としてドーム形状の構造を有している。また、応力可視化部材28は、応力可視化層43と圧縮歪吸収層41との2層構造であり、上層が応力可視化層43である。応力可視化部材28を応力可視化層43の上方より観察した場合には、図4(A)及び(B)に示すように円形状となっている。但し、応力可視化部材の形状は特に限定されるものではなく、例えば、応力可視化層43の上方から観察した際の形状は、円形(楕円形を含む)、多角形(例えば、三角形、正方形、菱形、五角形、六角形、星形等)であってもよい。また、応力可視化部材28の全体的な形状は、ドーム型に限定されるものではなく、円柱状、角柱状、ピラミッド形状等の錐形状でもよい。更に、図4(A)及び(B)においては、応力可視化層43と圧縮歪吸収層41とが応力可視化部材28として、一体的にドーム状の形状を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、応力可視化層43と圧縮歪吸収層41とが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよいし、更には、応力可視化層43と圧縮歪吸収層41と一体となって一つの形状とされていてもよいし、一体して一つの形状とされていなくてもよい。
また、応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26の最大屈曲部を含む領域29’に配置される。これにより、タイヤの変形によって、歪みが最も大きくなるサイド補強ゴムの最大屈曲部からの歪みを応力可視化層43に伝達することができ、応力可視化層が直接にタイヤのサイド補強ゴム26からの歪みを受けないようにすることができる。
ここで、「最大屈曲部を含む領域」とは、タイヤ10内面の最大屈曲部29を含む領域が、サイド補強ゴムのタイヤ径方向において、サイド補強ゴムの下端からサイド補強ゴムの上端までの長さ、すなわち図1のサイド補強ゴム端26Aからサイド補強ゴム端26Bまでの長さの少なくとも80%以内の領域をいう。
また、上記の領域は、最大屈曲部に生じた歪みを、応力可視化部材により十分に検知する観点から、さらに50%以内が好ましく、30%以内が特に好ましい。
応力可視化部材28の圧縮歪吸収層41は、10μmを超える厚さを有する。厚さが10μmを超えることで、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んで一定以上の歪みを生じるまで、サイド補強ゴム26からの歪みを吸収することができる。また、上記の一定以上の歪みを生じるまで歪みをより十分に吸収し、一定以上の歪みを生じた場合に、その歪みによって、応力可視化層により十分に圧力を加える観点から、圧縮歪吸収層41の厚さは100μm〜4000μmであることが好ましく、100μm〜3000μmであることが特に好ましい。
また、応力可視化部材28において、圧縮歪吸収層41の幅方向における長さL(図3参照)としては、圧縮歪吸収層41の弾性率及びその厚さ等を考慮して適宜調整されるが、1mm〜10mmであることが好ましい。1mm以上であることで、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じた場合に、その歪みによって応力可視化層により十分に圧力を加えることができ、10mm以下であることで、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み始めるまで、より十分に歪みを吸収することができる。さらに、長さLとしては、2mm〜8mmであることがより好ましく、2mm〜5mmであることが特に好ましい。
圧縮歪吸収層41としては、25℃における弾性率が1×10Pa〜1×1010Paであることが好ましい。25℃における弾性率が1×10Pa以上であることで、応力可視化層43、及びサイド補強ゴム26またはインナーライナー25への接着力を高め、1×1010Pa以下であることで、応力可視化部材28の欠落をより抑制できる。さらに、25℃においての弾性率は、1×10Pa〜1×10Paであることが好ましく、特に好ましくは1×10Pa〜1×10Paである。
また、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んでも、応力可視化層43をより強く接着させるという観点から、100℃における弾性率としては、1×10Pa〜1×1010Paであることが好ましく、さらに1×10Pa〜1×10Paであることが好ましい。
また、圧縮歪吸収層41としては、25℃における弾性率と100℃における弾性率の変化が100%以下であることが好ましい。サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んでも、弾性率の変化が100%以下であることにより、応力可視化層43の欠落をより抑制できる。85%以下であることがより好ましく、特に好ましくは80%以下である。
圧縮歪吸収層41の弾性率は、万能圧縮試験機を用いて、算出することができる。例えば、原料となる圧縮歪吸収層を構成する組成と同じ組成物を、公知の方法により3cm×1cm×50μmのシート状に成形し、得られたシートを粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス製 DMS7100)で試験速度5mm/分で測定し、測定値から圧縮応力−ひずみ曲線を作製し、これに基づいて算出することができる。
圧縮歪吸収層41の材質としては、サイド補強ゴム26からの歪みを吸収でき、サイド補強ゴム26またはインナーライナー25、及び応力可視化層43の両方に接着力を有するものであれば特に限定されない。中でも、適度な弾性率を有し、種々の条件において弾性率の変化が少ない柔軟な接着剤という観点から、具体的な弾性接着剤としては、例えば、ポリオレフィン系接着剤、塩素ゴム系接着剤、アクリル系接着剤[例えばY610(セメダイン社製)]、エポキシ系接着剤[例えばEP138(セメダイン社製)、ポリウレタン系接着剤[例えばUM700(セメダイン社製)]、ニトリルゴム系接着剤[例えばセメダイン521(セメダイン社製)]、塩化ビニル系接着剤[例えば201(セメダイン社製)]、酢酸ビニル系接着剤[例えば195(セメダイン社製)]、ポリエステル系接着剤[例えばR820(セメダイン社製)]、フェノール系接着剤[例えばメタロックUB、メタロックU−20(例えば東洋化学研究所社製)]、シリコーン樹脂系接着剤[例えばKR−282、KR−311(信越化学工業社製)]、変性シリコーン樹脂系接着剤[例えばPM100(セメダイン社製)]等が挙げられる。この中でもシリコーン樹脂系接着剤である、シリコーン樹脂系接着剤及び変性シリコーン樹脂系接着剤が好ましく、さらに、変性シリコーン樹脂系接着剤の中では、アクリル変性シリコーン樹脂系接着剤がより好ましい。
応力可視化層43に含まれる感圧材料としては、加えられた圧力によって視覚的に変化する材料であれば特に限定されないが、例えば、加えられた圧力によって変色する材料(変色材料)や、加えられた圧力によって変形する材料(変形材料)が挙げられる。これらの変色材料及び変形材料としては、例えば、圧力により脆性破壊するマイクロカプセルを含む材料を用いることができる。
また前記マイクロカプセルを含む材料としては、例えば、2種以上の化合物を組み合わせて発色させる材料を挙げることができる。このような材料としては、電子供与性化合物及び電子受容性化合物のそれぞれが別々のマイクロカプセルに内包されているもの、あるいはこれらの化合物のいずれかがマイクロカプセルに内包されているものが挙げられる。これらの化合物がマイクロカプセルに内包されていることにより、一定以上の圧力が加えられた時点で、マイクロカプセルが破壊され、内包されたそれぞれの化合物あるいはどちらかの化合物がカプセル外に放出され、それぞれの化合物が接触することによって、発色反応が起こり、結果として応力可視化層43が変色する。
応力可視化層43としては、変色材料である電子供与性化合物と電子受容性化合物とを含ませた単層構成であってもよいし、これらをそれぞれ別々に含めた2層構成であってもよいが、さらに十分に変色させる観点から、単層構成とすることもできる。
また、電子供与性化合物及び電子受容性化合物については、それぞれ1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
変色材料に用いる電子供与性化合物及び電子受容性化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲であればいずれの化合物も用いることができるが、例えば特開2009−19949号公報に記載の電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物を挙げることができる。
また、マイクロカプセルの壁剤としては、圧力によって脆性破壊する材料であり、本発明の効果を損なわない範囲であればいずれの材料も用いることができるが、例えば、特開2009−19949号公報に記載のポリマー、すなわちウレタン・ウレア樹脂、メラミン・アルデヒド樹脂、ゼラチン等を好ましく用いることができる。これらの中でも、特にウレタン・ウレア樹脂が好ましい。
前記マイクロカプセルの調製方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、特開2009−19949号公報に詳細に記載されている。
前記マイクロカプセルには、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ワックス、臭気抑制剤等の添加剤を含めることができる。
また、前記マイクロカプセルの粒径としては、より十分に発色濃度を高める観点から、5μm〜50μmであることが好ましい。さらに、粒径は、10μm〜40μmであることがより好ましい。
また、前記マイクロカプセルの壁材については、カプセルの壁剤の種類やカプセル径など種々の条件によって適宜調整されるが、0.05MPa〜130MPaの範囲で破壊される壁材であることが好ましい。すなわちマイクロカプセルの圧力測定範囲は、3MPa〜50MPaであることが好ましい。
応力可視化層43において、視覚的に変化する圧力条件は、適宜設定されるが、より確実に、歪み履歴を確認するという観点から、応力可視化層43は0.05MPa〜50MPaの圧力で視覚的に変化することが好ましい。さらに、応力可視化層43は、1MPa〜50MPaの圧力で視覚的に変化することがより好ましく、3MPa〜50MPaであることが特に好ましい。
応力可視化部材43において、圧縮歪吸収層41の厚さと応力可視化層43の視覚的に変化する圧力範囲との好ましい組合せは適宜設定されるが、好ましい組合せは、例えば、サイズが255/35R18のランフラットタイヤでは、圧縮歪吸収層41の厚さは100μm〜1000μmであって、応力可視化層43の視覚的に変化する圧力は3MPa〜50MPaであることが好ましい。
応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に複数配置されることが好ましい。この場合、複数の応力可視化部材28は、タイヤ径方向に並ぶように設けることができる。応力可視化層43(図3参照)の厚みとしては、0.05mm〜3mmであることが好ましく、0.05mm〜1.0mmであることがより好ましい。0.05mm以上であると、応力可視化層43の視覚的な変化における視認性が高まり、3mm以下であることで、圧縮歪吸収層41との接着力がさらに向上し、応力可視化層43により十分な圧力が加えられるので、視覚的な変化における視認性が高まる。
また、圧縮歪吸収層41に応力可視化層43をより強く接着させるために、応力可視化層43にバインダーを含めることができる。バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。また、これらのバインダーに耐水性を付与する目的で耐水性の改良剤を加えたり、疎水性ポリマーのエマルジョン、具体的には、アクリル樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス等を添加することができる。
前記バインダーの含有率は、圧縮歪吸収層41との接着の観点から、応力可視化層43の全固形分に対して8質量%〜30質量%であることが好ましく、10質量%〜20質量%であることがより好ましい。
また、応力可視化層43に用いられるバインダーとしては、透明性の観点からは、ポリビニルアルコールを好ましく用いることができ、中でもカルボキシ変性ポリビニルアルコールやシリカ変性ポリビニルアルコール等のPVAを用いることができる。また、応力可視化層には公知の硬膜剤等を含有させることができる。該硬膜剤としては、ホウ酸、ホウ砂、コロイダルシリカ等の無機化合物やアルデヒド誘導体、ジアルデヒド誘導体などを挙げることができる。
応力可視化層43としては、上記の他に、他の成分を更に添加することができる。他の成分としては、目的や必要性に応じて適宜選択でき、例えば、増感剤、上記以外の顔料、潤滑剤、公知の熱可融性物質、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
応力可視化部材28は、圧縮歪吸収層41をサイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に一定面積及び一定の厚みで塗布した後、感圧材料を含む応力可視化層43を、圧縮歪吸収層41の上面に貼り付け、タイヤ10を高温環境下に一定時間放置して圧縮吸収成層41と応力可視化層43の積層体をサイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に定着させることで作製することができる。
また、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面上に配置された複数の応力可視化部材28は、タイヤ周方向及びタイヤ径方向の少なくとも一方において、互いに4mm以上の間隔で配置されていることが好ましい。タイヤ周方向及びタイヤ径方向の少なくとも一方における間隔を4mm以上とすることで、タイヤの屈曲変形時に複数の応力可視化部材28同士が近すぎることによる互いの接触をより確実に避けて歪みの検知が行えるので好ましい。また、応力可視化部材を複数配置させることで、最大屈曲部位の多少の変化によっても、より正確に歪みの検知を行うことができる。
また、複数に配置された場合の応力可視化部材は、それぞれが同じ圧力の範囲で視覚的に変化する感圧材料を用いてもよいし、それぞれ異なった圧力の範囲で視覚的に変化する感圧材料を用いてもよい。例えば、最大屈曲部位からの距離が近い応力可視化部材の応力可視化層には、遠い距離に配置された応力可視化部材の応力可視化層よりもより高い圧力範囲で視覚的に変化する感圧材料を用いることで、複数あるすべての応力可視化部材の歪み履歴、すなわちより広い範囲のサイド補強ゴムの歪み履歴を詳細に知ることができる。
サイド補強ゴム26の歪み履歴を、視覚的にさらに容易に検知するために、例えば応力可視化層の歪みによる視覚的な変化である変色を以下のように調整することができる。
例えば、応力可視化層は、変色後の色の明度を60%以上とするのが好ましい。一般的なタイヤの色は黒色であり、タイヤの色の明度は0%に近い。このため、応力可視化層の変色後の色の明度が60%以上であれば、コントラスト比が高くなり、応力可視化層の変色後の色を容易に確認できる。また、応力可視化部材は、タイヤ内面に配置されているため陰になっており観察しにくい場合があるが、応力可視化層の変色後の色の明度が60%以上であれば、容易に確認できる。ここで、明度とは、HSVモデルにおいて定義され、明度100%を純色、明度0%を真黒とする。また、明度は、分光測色計を用いて、標章、模様部またはグラデーション部等の測定対象の明度を他系統(例えば、Lab色空間)で測定した後、photoshop(登録商標)等のソフトウェアを用いてHSV系統に変換する方法によって測定するものとする。
また、上記の変色における調整は、例えば、変色材料として用いる発色材料の種類や濃度を適宜変更することによって行うことができる。
次に、本実施形態のタイヤ10の作用について説明する。
車両の走行中にタイヤ10がパンクすると、タイヤ10に充填された空気(窒素)がタイヤ10の外部に漏れ、タイヤ10の空気圧が低下する。
空気が漏れたタイヤ10は、サイドウォール部22の内面に形成されたサイド補強ゴム26が車両及び乗員の重量を支えることで、一定距離をランフラット走行することができる。
ランフラット走行時には、路面に接地しているトレッド部20側に近いサイド補強ゴム26が、タイヤ径方向の荷重によって大きく撓んで変形する。また、タイヤ10は転動しているので、サイド補強ゴム26は、全周に亘って連続的に撓み変形が繰り返される。これにより、ヒステリシスロスが増大し、サイド補強ゴム26の変質を伴う一定以上の歪みを生じる。このような現象は、サイド補強ゴム26が数回撓んだ程度では発生しないので、タイヤ10がパンクした状態でのみ発生することになる。
サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じると、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に配置された応力可視化部材28は、サイド補強ゴム26から、圧縮歪吸収層41を介して伝達された歪みから、応力可視化層43に圧力が加えられ、応力可視化層43の視覚的な変化が始まる。一定以上の歪みにおいて、応力可視化層43が視覚的に変化するため、ランフラット走行が終了して時間が経過しても、サイド補強ゴム26の歪み履歴を確認することができる。
ここで、応力可視化層43は、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に、圧縮歪吸収層41を介して配置されているので、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んでも、応力可視化部材28がサイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面から欠落しにくい。また、圧縮歪吸収層41が適度な弾性を有することで、応力可視化部材28がより欠落しにくくなる。
タイヤ10において一定距離をランフラット走行した後、パンクしたタイヤ10をリムから外し、応力可視化部材28が視覚的に変化しているか確認する。この際、応力可視化部材28が視覚的に変化していれば、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じたと判断できるため、タイヤを修理して使用可能か否かを判断することができる。
例えば、応力可視化部材28を確認した結果、ランフラット走行したにも関わらず、応力可視化部材28が視覚的に変化していなければ、サイド補強ゴム26には一定以上の歪みが生じていなかったことになる。この場合、サイド補強ゴム26は、変質に至っていないので、パンクした箇所を修理して空気を充填すれば、再びタイヤ10を使用することができる。
また逆に、応力可視化部材28が視覚的に変化していれば、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じたことになり、サイド補強ゴム26は変質している可能性があり、支持強度が低下している恐れがあると推定できる。この場合、タイヤ10を再使用せずに、新しいタイヤと交換する。
以上のように、サイド補強ゴム26に生じた一定以上の歪みに伴って視覚的に変化する応力可視化層28を配置することにより、サイド補強ゴム26の歪み履歴を判断できる。
≪第2実施形態≫
本発明の第2の実施形態に係るランフラットタイヤにおける応力可視化部材を図5に沿って説明する。図5は、応力可視化部材の層構成を示す断面図である。図5に示されるように、応力可視化部材128は、複数の圧縮歪吸収層141と、応力可視化層143と、がこの順に積層されている積層体であり、複数の圧縮歪吸収層141を1つの応力可視化層143で架橋している構造を含むように構成されていてもよい。なお、応力可視化部材以外の部分は、第1実施形態と同じであるので同じ番号を使用し、それらの説明は省略する。
複数の圧縮歪吸収層141は、第1実施形態と同様に、サイド補強ゴム26のタイヤ幅方向内側の表面の最大屈曲部を含む領域29’に配置される。複数の圧縮歪吸収層141は、1つの応力可視化層143とサイド補強ゴム26との間に配置されており、タイヤがランフラット走行を続けることによってサイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み始めるまで、サイド補強ゴム26からの屈曲変形による歪みを吸収し、応力可視化層143への歪みの伝達を防ぐ。サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓み始め、サイド補強ゴム26の内面に一定以上の歪みが生じると、複数の圧縮歪吸収層141がこの歪みを吸収しきれなくなる。吸収しきれない歪みによって、応力可視化層に圧力が加えられ、その圧力によって感圧材料が視覚的に変化するので、これにより歪み履歴を視認することができる。なお、図5中の矢印H−1は圧縮歪吸収層141の高さを示し、矢印H−1’は応力可視化層143の高さを示す。また、図5中、矢印L−1は応力可視化部材28の幅方向における最も離れた圧縮歪吸収層141同士の間の長さを表す。すなわち、圧縮歪吸収層141の外側端141Aと圧縮歪吸収層141の外側端141Bとの間の長さを示す。また、矢印L−1’は、応力可視化部材の幅方向における応力可視化層143の長さを示す。
また、応力可視化部材128は、複数の圧縮歪吸収層141が1つの応力可視化層143に架橋された構造を有しており、上層が応力可視化層143で構成されている。応力可視化部材128を応力可視化層143の上方より観察した場合には、例えば、長方形状であってもよいし、その他円形(楕円形を含む)、多角形(例えば、三角形、正方形、菱形、五角形、六角形、星形等)であってもよい。
また、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に2以上の方向に沿って配置する複数の圧縮歪吸収層141を、一つの応力可視化層143で架橋する場合には、上記の形状以外にも、例えば応力可視化層143を上方から見た場合、一定幅の直線が交差する形状、一定幅の曲線形状、一定幅の曲線が交差する形状、これらが組み合わされた形状、及び上記の円形、多角形とこれらが組み合わされた形状であってもよい。
応力可視化層143は、本発明の効果を損なわない範囲で、かつ複数の圧縮歪吸収層141を架橋する構造を有しているのであればどのような形状であってもよいが、例えば、ドーム状、円柱状、角柱状、ピラミッド形状等の錐形状でもよい。
応力可視化部材128において、1つの応力可視化層に架橋される圧縮歪吸収層141の個数は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
また、応力可視化部材128の複数の圧縮歪吸収層141において、幅方向における長さL−1(図5参照)は、4mm〜50mmであることが好ましい。4mm以上であることで、サイド補強ゴム26に生じる一定上の歪みをより十分に検知することができ、50mm以下であることで、サイド補強ゴム26に生じる歪みが一定以上になるまで、歪みをより十分に吸収することができる。さらに、L−1は、4mm〜40mmであることが好ましく、4mm〜30mmであることが特に好ましい。
圧縮歪吸収層143の厚さは、適宜調整されるが、50μm〜3000μmであることが好ましい。50μm以上であることで、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じるまで、サイド補強ゴム26からの歪みを十分に吸収することができ、3000μm以下であることで、サイド補強ゴム26に一定以上の歪みが生じた場合に、応力可視化層へより十分に圧力を加えることができる。さらに、圧縮歪吸収層143の厚さは、50μm〜2000μmであることが好ましく、50μm〜1000μmであることが特に好ましい。
第2実施形態の応力可視化部材のその他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
上記の、第2実施形態における応力可視化部材128では、第1実施形態における応力可視化部材28に比べて、サイド補強ゴム内面からの歪みを、より広範囲かつ高感度に検知することができる。また、複数の圧縮歪吸収層を応力可視化層が架橋する構造を有していることで、単独の圧縮歪吸収層を有する応力可視化部材28よりも、サイド補強ゴム26またはインナーライナー25からより剥がれにくいという利点を有する。
≪第3実施形態≫
上記の実施形態に係るタイヤの他、本発明のタイヤは、前記応力可視化部材及び示温部材を、前記サイド補強ゴムの内面の最大屈曲部を含む領域に配置された形態としてもよい。示温部材としては、圧縮歪吸収層、及び、温度変化によって変色する変色材料を含み前記圧縮歪吸収層上に形成された示温層を有する形態とすることができる。ランフラット走行によって、サイド補強ゴムが繰り返し大きく撓んだ場合、サイド補強ゴム内面の最大屈曲部では熱が発生し、一定以上の温度に上昇するとサイド補強ゴムが変質する。このため、上記のように、示温部材による熱検知、すなわち、示温部材の示温層の変色を確認することによってサイド補強ゴムの熱履歴を視認することができ、これによってサイド補強ゴムの耐久性を判断できる。
以下、示温部材について、図6に沿って説明する。図6は示温部材の層構成を示す断面図である。なお、示温部材以外の部分については、第1実施形態と同じであるので同じ番号を使用し、それらの説明は省略する。
図6に示されるように、示温部材228は、圧縮歪吸収層241と、示温層243と、を含んで構成される。図6において示温層243は圧縮歪吸収層241の表面に直接設けられているが、本発明の効果に影響を与えない範囲で、示温層243と圧縮歪吸収層241との間に更に接着層等の他の層を有していてもよい。なお、図6中の矢印H−2は圧縮歪吸収層241の高さを示し、同様に矢印H−2’は示温層243の高さを示す。また、図6中、矢印L−2は示温部材28の幅方向における長さを示す。
この圧縮歪吸収層241は、サイドウォール部の内面に形成されたサイド補強ゴム26の表面の最大屈曲部を含む領域(図1の領域29’)に配置される。図6に示すように、圧縮歪吸収層241は、示温層243とインナーライナー25との間に配置されており、ランフラット走行時における、サイド補強ゴム26からの屈曲変形による歪みを吸収し、示温層243への歪みの伝達を防ぐ。また、示温層243が圧縮歪吸収層241を介して貼り付けられているので、サイド補強ゴム26が繰り返し大きく撓んでも示温層には影響しにくいので、剥がれ落ちるのを防ぐことができる。
示温部材228の配置としては、例えば、上記の第1実施形態において、複数配置された応力可視化部材28の1つ以上を示温部材228に置き換えるように配置することができる。この場合に、置き換える位置は特に限定されないが、温度上昇の検知をより十分に行う観点からは、応力可視化部材28の配置と近い位置に配置されることが好ましい。また、この場合において、示温部材228は、応力可視化部材28及び/又は他の示温部材228同士と、タイヤ周方向及びタイヤ径方向の少なくとも一方において4mm以上の間隔を置いて配置されることが好ましい。タイヤ周方向及びタイヤ径方向の少なくとも一方における間隔を4mm以上とすることで、タイヤのサイド補強ゴム26の屈曲変形時に応力可視化部材28及び/又は他の示温部材228との距離が近すぎることによる互いの接触をより確実に避けて温度検知が行えるので好ましい。また、示温部材228を複数配置させることで、最大屈曲部位の多少の変化によっても、より正確に温度検知を行うことができる。
また、複数に配置された場合の示温部材228は、それぞれが同じ温度範囲で変色する変色材料を用いてもよいし、それぞれ異なった変色材料を用いてもよい。例えば、最大屈曲部位からの距離が近い示温部材228の示温層243には、遠い距離に配置された示温部材228の示温層243よりもより高い温度範囲で変色する変色材料を用いることで、複数あるすべての示温部材228の熱履歴、すなわちより広い範囲のサイド補強部の熱履歴を詳細に知ることができる。
示温部材228の形状としては、示温層243と圧縮歪吸収層241との2層構造とされており、上層が示温層243とされていれば特に限定されず、例えば、示温層243の上方から観察した際の形状は、円形(楕円形を含む)、多角形(例えば、三角形、正方形、菱形、五角形、六角形、星形等)であってもよい。また、示温部材228の全体的な形状は、ドーム型に限定されるものではなく、円柱状、角柱状、ピラミッド形状等の錐形状でもよい。また、示温層243と圧縮歪吸収層241とが同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよく、更には、示温層243と圧縮歪吸収層241とが一体となって一つの形状とされていてもよいし、一体として一つの形状とされていなくてもよい。
また、示温部材228は、サイド補強ゴム26の最大屈曲部を含む領域29’に配置される。これにより、タイヤの変形によって温度が最も上昇するサイド補強ゴムの最大屈曲部からの熱を示温層に伝達することができ、示温層243が直接にタイヤからの歪みを受けないようにすることができる。この場合における「最大屈曲部」及び「最大屈曲部を含む領域」の定義は、前記第1実施形態と同じである。さらに、前記最大屈曲部を含む領域は、図1のサイド補強ゴム端26Aからサイド補強ゴム端26Bまでの長さの50%以内が好ましく、30%以内が特に好ましい。
圧縮歪吸収層241は、サイド補強ゴム26の屈曲変形時に、最大屈曲部29で発生する熱を示温層243へ効率的に伝達するために、熱伝導性材料を含むことができる。熱伝導性材料を含むことで、タイヤの最大屈曲部の温度上昇による熱をより確実にかつ効率的に伝えることができる。係る観点から、圧縮歪吸収層241の熱伝導率は0.2W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは0.5W/m・K以上であり、特に好ましくは1.5W/m・K以上である。
前記熱伝導性材料としては、例えば、熱伝導性フィラーが挙げられる。熱伝導性フィラーとしては、熱伝導性の金属酸化物、窒化物、金属粉、炭化物(カーボンナノチューブ、グラファイト、炭素繊維等)が挙げられる。
前記金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などが挙げられる。前記窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素などが挙げられる。前記炭化物としては、炭化珪素、炭化ホウ素などが挙げられる。前記金属粉としては、銀、金、銅、アルミニウムなどが挙げられる。熱伝導性材料としては、これらから1種あるいは2種以上を使用できる。前記熱伝導性材料としては、カーボン、カーボンナノチューブ、グラファイト、炭素繊維が好ましい。
また、圧縮歪吸収層241の厚みとしては、接着性及びサイドウォール部の内面からの歪みをより吸収する観点から、10μm〜3000μmであることが好ましく、さらに10μm〜2500μmであることが好ましく、10μm〜2000μmであることが特に好ましい。
示温層243は、温度変化により変色する変色材料を含み、圧縮歪吸収層241を介してサイド補強ゴム26の内面に配置された層である。前記変色材料は、熱を吸収することで変色する材料を意味し、不可逆的に変色する材料である。
温度変化により変色する変色材料としては、特に限定されないが、例えば、非結晶−結晶または相分離−非相分離によるリタイラブル系の電子供与性呈色性化合物(例えばロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類、シアニン色素類、クリスタルバイオレット等、の電子供与性有機物等)と電子受容性化合物(例えばフェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、サリチル酸及びその誘導体、スルホン酸及びその誘導体、スルホン酸塩及びその誘導体、リン酸塩、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸塩、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等の酸化物等)とを含む発色材料などが挙げられる。
このような材料を用いた変色材料は、融点以上に加熱された後に急冷されることで無色となり、その後、ガラス転移点以上の温度になると、徐々に変色する特徴がある。
なお、上記の材料の他に、顔料としてコバルト、ニッケル、鉄、銅、クロム、マンガン等の塩類を用い、これらの組成中にアミン、アンモニウム塩、炭酸基、しゅう酸基等を含んだ変色材料を用いてもよい。この場合、アンモニア、炭酸ガス、水などの発生を伴う熱分解によって顔料化合物の組成そのものが変化して変色を起こさせる。
上記の材料を用いた場合、可逆剤等の濃度を変更することで、示温層243の変色が始まる温度を調整することができる。示温層243を変色させる温度は、所望の閾値によって適宜調整されるが、ランフラット走行時の温度範囲の観点から、80℃〜150℃の任意の温度で変色する変色材料を用いるのが好ましく、90℃〜120℃の任意の温度で変色する材料であることが更に好ましい。
このような変色材料としては、例えば、タイヤからの熱履歴を検知し、かつ非走行時に色が戻るのを防ぐという観点から、上記の電子供与性呈色性化合物と、電子受容性化合物を、それぞれマイクロカプセルに封入した変色材料を用いることもできる。具体的には、国際公開第2010051499号に記載されるような、染料前駆体である電子供与性化合物と、電子受容性化合物をマイクロカプセルに封入した熱分布表示体が挙げられる。このようなマイクロカプセルを利用することにより、80℃〜150℃の温度範囲で、不可逆的に熱履歴を詳細に表示することが可能である。
示温部材228は、サイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に複数配置されることが好ましい。この場合、複数の示温部材228は、タイヤ径方向に並ぶように設けることができる。示温層243(図6参照)の厚みとしては、0.1mm〜10mmであることが好ましく、0.1mm〜5mmであることがより好ましい。0.1mm以上であると、示温層243の変色における視認性が高まり、10mm以下であることで、圧縮歪吸収層241との接着力がさらに向上する。
示温層243としては、他の成分を更に添加することができる。他の成分としては、目的や必要性に応じて適宜選択でき、例えば、増感剤、上記以外の顔料、潤滑剤、公知の熱可融性物質、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる
示温部材228は、圧縮歪形成層241をサイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25の表面に一定面積及び一定の厚みで塗布した後、変色材料を含む示温層243を、圧縮歪形成層241の上面に貼り付け、タイヤを高温環境下に一定時間放置して圧縮歪形成層241と示温層243の積層体をサイド補強ゴム26の内面またはインナーライナー25に定着させることで作製することができる。
タイヤの屈曲変形によって生じた温度の上昇を検知するために、例えば示温部材228の温度による変色を以下のように調整することができる。
例えば、示温層243は、変色後の色の明度を60%以上とするのが好ましい。一般的なタイヤの色は黒色であり、タイヤの色の明度は0%に近い。このため、示温層243の変色後の色の明度が60%以上であれば、コントラスト比が高くなり、示温層243の変色後の色を容易に確認できる。また、示温部材228は、タイヤ内面に配置されているため陰になっており観察しにくい場合があるが、示温層243の変色後の色の明度が60%以上であれば、容易に確認できる。ここで、明度とは、HSVモデルにおいて定義され、明度100%を純色、明度0%を真黒とする。また、明度は、分光測色計を用いて、標章、模様部またはグラデーション部等の測定対象の明度を他系統(例えば、Lab色空間)で測定した後、photoshop(登録商標)等のソフトウェアを用いてHSV系統に変換する方法によって測定するものとする。
その他、示温部材228の圧縮歪吸収層241の材質及びバインダーとしての具体例は上記第1実施形態の圧縮歪吸収層41と同様であり、好ましいものも同様である。
上記の第3実施形態のタイヤにおいては、応力可視化部材28及び示温部材228が、共にサイド補強ゴム26の最大屈曲部を含む領域29’に配置されているので、サイド補強ゴムに生じた歪み履歴だけでなく、熱履歴も確認することが可能であるという利点を有する。
下記実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3及び比較例1)
≪試験用ランフラットタイヤの作製≫
(応力可視化層の作製)
まず、感圧材料として、特開2009−19949号公報に記載の方法によって、
電子供与性染料前駆体を内包したマイクロカプセル分散液Aと、スチレン−ブタジエンラッテックスと硫酸処理活性白土(電子受容性化合物)とを含有する顕色剤含有液Bを調製した。上記で得られた、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル分散液Aと顕色剤含有液Bとを混合し、75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)離形シート上にバーコーターにより塗布後乾燥し、離形シートより剥離して、厚さ100μmの応力可視化層を得た。
応力可視化層における測定圧力範囲については、前記シート(3cm×1cm×100μm)についての変色時の圧力を測定することで行った。なお測定は、加圧装置ミニテストプレスNP−SNL(東洋精機製作所製)を用いて加圧することで行い、変色した時の圧力を求めた。この操作を3回以上行い、応力可視化層における測定圧力範囲を決定した。
その結果、前記シートの測定圧力範囲は、3MPa以上であることが示された。
(圧縮歪吸収層の作製)
まず、シリコーン変性アクリル樹脂(セメダイン社製)を圧縮歪吸収層作製用の接着剤として準備した。
圧縮歪吸収層は、前記接着剤を用いて、万能圧縮試験機によりシート(3cm×1cm×50μm)として作製した。
前記シートの弾性率は、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス製 DMS7100)を用いた試験速度5mm/分での測定で得られた値、すなわち前記シートに与えた圧縮応力に対して得られた歪みの測定値から、圧縮応力−歪み曲線を作成し、これによって得られる関係式に基づいて算出した。その結果、前記シートの25℃における弾性率は1×10Paであり、100℃における弾性率は1×10Paであった。
(応力可視化部材を有するランフラットタイヤの作製)
前記接着剤を、第1実施形態で示したタイヤと同様のランフラットタイヤ(サイズ:255/35R18)であって、そのサイド補強ゴム内面側の最大屈曲部を含む領域、すなわちインナーライナー上の最大屈曲部を含む領域に、鋳型等を用いて円柱状になるように塗布した。次に、応力可視化層を前記接着剤を塗布した場所と同じ場所に積層し、23℃で24時間養生することにより、下記表1に示す圧縮歪吸収層の厚さ、応力可視化層の厚さ、及び直径4mmの円柱状の応力可視化部材を有する各ランフラットタイヤを作製し、実施例1〜3及び比較例1に用いた。
また、前記応力可視化部材は、前記インナーライナー上の最大屈曲部を含む領域に、R方向(図4の(B)参照)において5mm間隔で配置された。
前記ランフラットタイヤにおける最大屈曲部は、既述のように、前記ランフラットタイヤの通常走行時における曲率半径とランフラット走行時における曲率半径との変化量の絶対値を算出し、最も大きな値を有する場所を特定することで求めた。また、ランフラット走行時における曲率半径は、X線CT(Y.MTIS、YXLON社製)により得られる断面画像を画像処理し計測することによって測定した。
≪走行試験≫
上記で調製した応力可視化部材を有するランフラットタイヤを、ドラム式走行試験機に装着し、下記の条件で走行試験が行われた。
<通常走行>
・タイヤ内圧:260kPa
・総荷重:7kN
・速度:120km/h
・走行距離:180km
<ランフラット走行>
・タイヤ内圧:100kPa
・総荷重:7kN
・速度:120km/h
・走行距離:180km
以上のそれぞれの条件での走行後、応力可視化部材の有無について、目視で確認した。なお、ランフラット走行では、ランフラットタイヤのサイド補強ゴムが繰り返し大きく撓むことがX線CTの解析による断面画像によって明らかであることが確認されている。
≪結果≫
表1に示す結果から、実施例1〜3では、通常走行では応力可視化部材は何ら変色は無かったが、ランフラット走行を行った後においては応力可視化部材が変色した。一方、比較例1では、通常走行によって応力可視化部材が変色した。
このように、本発明における応力可視化部材は、ランフラット走行後に、サイド補強ゴムの歪み履歴を視覚的に確認することが可能であることが示された。
10 ランフラットタイヤ、12 ビード部、20 トレッド部、22 サイドウォール部、25 インナーライナー、26 サイド補強ゴム、28,128 応力可視化部材、228 示温部材、29 最大屈曲部、29’ 最大屈曲部を含む領域、35 領域

Claims (10)

  1. トレッド部及びビード部を連結するサイドウォール部と、
    前記サイドウォール部の内面に配置されたサイド補強ゴムと、
    前記サイド補強ゴムの内面の最大屈曲部を含む領域に配置され、圧縮歪吸収層、及び、加えられた圧力によって視覚的に変化する感圧材料を含み前記圧縮歪吸収層上に形成された応力可視化層を含む応力可視化部材と、を有し、
    前記圧縮歪吸収層の厚みが10μmを超え
    前記感圧材料が、圧力により脆性破壊されるマイクロカプセルを含むランフラットタイヤ。
  2. トレッド部及びビード部を連結するサイドウォール部と、
    前記サイドウォール部の内面に配置されたサイド補強ゴムと、
    前記サイド補強ゴムの内面の最大屈曲部を含む領域に配置され、圧縮歪吸収層、及び、加えられた圧力によって視覚的に変化する感圧材料を含み前記圧縮歪吸収層上に形成された応力可視化層を含む応力可視化部材と、を有し、
    前記圧縮歪吸収層の厚みが10μmを超え、
    前記感圧材料が、2種以上の化合物を組み合わせて発色させる材料を含むランフラットタイヤ。
  3. 前記感圧材料が、2種以上の化合物を組み合わせて発色させる材料を含む請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記圧縮歪吸収層は、25℃における弾性率が1×10Pa〜1×1010Paである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記圧縮歪吸収層は、100℃における弾性率が1×10Pa〜1×1010Paである請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
  6. 前記圧縮歪吸収層は、シリコーン樹脂系の接着剤を含む請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
  7. 前記応力可視化部材が複数配置されている請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
  8. 複数の前記応力可視化部材は、タイヤ周方向及びタイヤの径方向の少なくとも一方において、互いに4mm以上の間隔で配置されている請求項7に記載のランフラットタイヤ。
  9. 前記最大屈曲部を含む領域が、前記サイド補強ゴムのタイヤ径方向において、サイド補強ゴムの下端からサイド補強ゴムの上端までの長さの80%以内の領域である請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
  10. 前記応力可視化層は、0.05MPa〜50MPaの圧力で視覚的に変化する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載のランフラットタイヤ。
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