JP2016163888A - 基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および線パターン - Google Patents

基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および線パターン Download PDF

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Abstract

【課題】基材上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、高アスペクト比を実現可能な構造体、その構造体の製造方法及び線パターンの提供。【解決手段】液滴が基材50の移動方向に傾斜して連続して重なり合って固化してなる液滴重畳固化層1と、液滴重畳固化層1上を前記液滴が流動して前記液滴が重畳せずに連続して固化してなる液滴流動固化層3と、液滴重畳固化層1と液滴流動固化層3との境界域に形成された陥凹部5と、を備える構造体10とその製造法。【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および線パターンに関する。特に、本発明は、インクを吐出して基材上に形成した構造体、その構造体の製造方法および線パターンに関する。
電気・電子機器には高機能化や小型化、低コスト化だけでなく製品の多様化や製品サイクルの短期化に対応できる設計・製造技術が求められる。ところが一般に金属、非金属材料の薄膜をフォトリソグラフィプロセスでマスキングしエッチングなどにより形成した膜を微細パターン化するには、工程が複雑になり、パターンのフレキシビリティーにも制限が多く、大きな段差のある部位に連続的なパターンを形成することは困難で、さらに、非金属材料の場合はエッチング速度が遅く、また、エッチング温度が高いためにエッチングガスによる基板やデバイス構造へのダメージやマスク材料の耐久性などに製造上の多くの課題をもつ。
近年、金属ナノ粒子インクや金属アルコキシド溶液などの原料をインクジェット方式で液滴化し、基板上に直接描画して、微細なパターンを形成、その後、熱処理などを施すことで、金属やセラミックス膜の微細な構造体をエッチング工程なしで形成する手法が開発されている。液滴を微細化することで、1μm前後の線幅の構造体も形成できるようになってきている。
この手法の場合、基板上に形成された熱処理前の微細パターンは結晶化あるいは金属化しておらず、熱処理して結晶化させる必要がある。しかしながら、膜を厚く積み上げてから一度に熱処理すると、結晶化に伴う膜の収縮から、クラックや剥離を生じ、安定にデバイスを製造することが困難であり、また、膜の厚みを得るには何度も同じ場所に堆積を繰り返す必要があるため、高速に膜厚な構造体を形成することは困難であった。
従来のインクジェット法では、液滴が基板に着弾するときに表面張力による基板材の濡れ性や基板表面粗さによる毛細管効果のため液滴が広がり、液滴径の数倍以上の線幅となるため、さらなる微細な描画が困難であった。これを克服するため、例えば、特許文献1には、ノズル開口サイズを10μm以下と微細化し、電界吸引を用いて吐出液滴のサイズを体積で1/1000以下にすることにより、ミクロンサイズの線幅の微細描画を可能とする微細インクジェット技術が記載されている。
しかし、特許文献1の技術では、液滴サイズが非常に小さいため、基板上へのノズルあたりの材料供給が著しく微量となり、一回の描画での膜厚は数十nm程度で、数ミクロン以上の厚みを取るためには、数十回以上の重ね塗りが必要となる。このため、製造時間が長くなり、実用的なスループットが得られないとともに、ノズルは微細化されているため、目詰りを起こしやすいという実用上の問題があった。
一方、例えば、特許文献2には、基板に着弾したインクの微小液滴の液滴径が最大許容液滴径に到達する時間を許容経過時間とし、着弾時から、この許容経過時間を経過する時に、基板に着弾した微小液滴を、着弾位置から照射位置に移動させる走査速度に設定し、着弾時から許容経過時間を経過する時、すなわち着弾した微小液滴が照射位置に位置する時に、微小液滴に対して、レーザ光を照射することにより形成する構造体の形状を制御する技術が記載されている。しかしながら、特許文献2の技術は、着弾時に微小液滴にレーザ光を照射するため、レーザ加熱が不十分であると、液滴は十分に乾燥固化せず、また、レーザのパワーが強いと、インクの突沸現象と考えられる微細な穴や凹凸が生じることがあり、条件の最適化が難しく、さらなる構造体の微細化は困難である。
特開2004−165587号公報 特開2009−101356号公報
本発明は、上述の課題を解決するものであって、基材上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、高アスペクト比を実現可能な構造体、その構造体の製造方法および線パターンを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によると、液滴が基材の移動方向に傾斜して、連続して重なり合って固化してなる液滴重畳固化層と、前記液滴重畳固化層上を前記液滴が流動して、前記液滴が重畳せずに連続して固化してなる液滴流動固化層と、前記液滴重畳固化層と前記液滴流動固化層との境界域に形成された陥凹部と、を備える構造体が提供される。
前記構造体において、前記液滴重畳固化層は、前記基材の移動方向に連続して傾斜して形成された凸形状部を側部に備えてもよい。
前記構造体において、前記構造体のアクペクト比が0.1以上であってもよい。
前記構造体は、基材面に対して5度以上の角度を有してもよい。
前記構造体において、前記液滴流動固化層は、金属微粒子が分散されて形成され、かつ前記液滴流動固化層の表面に前記金属部粒子が分散して出現していてもよい。
また、本発明の一実施形態によると、移動する基材に光を照射し、前記基材の移動方向の上流側にピーク温度を有する温度プロファイルを形成し、液滴を前記温度プロファイルのピーク温度から前記基材の移動方向の下流側の低温となる温度領域に着弾させる構造体の製造方法が提供される。
前記構造体の製造方法において、前記基材の移動方向の下流側の低温となる温度領域の温度勾配は、1℃/mm以上100℃/mm以下であってもよい。
前記構造体の製造方法において、前記温度プロファイルは、非ガウス分布であってもよい。
前記構造体の製造方法において、前記温度プロファイルは、前記非ガウス分布の温度プロファイルを、前記移動する基板上で、液滴着弾位置を中心に回転したハットシェイプまたはダブルハンプ形状の温度分布であってもよい。
前記構造体の製造方法において、前記温度プロファイルは、前記光の投入パワーと、前記基材の熱伝導率、熱容量及び移動速度と、により規定されてもよい。
また、本発明の一実施形態によると、前記いずれかの構造体を備える線パターンが提供される。
前記線パターンは、幅0.5μm以上、アスペクト比0.1以上を備えてもよい。
本発明によると、基材上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、高アスペクト比を実現可能な構造体、その構造体の製造方法および線パターンが提供される。
本発明の一実施形態に係る構造体10の模式図を示し、(a)は構造体10の側面図であり、(b)は(a)のAA’における構造体10の断面図である。 本発明の一実施形態に係る構造体のSEM像を示し、(a)は構造体10の上面図であり、(b)はその拡大図であり、(c)は構造体10の側面図である。 本発明の一実施形態に係る構造体のSEM像を示し、(a)は構造体10の上面図であり、(b)はその断面図であり、(c)は構造体10の上面の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る構造体のSEM像を示す。 本発明の一実施形態に係る構造体の製造装置100の模式図、基材50を上面から見た時の温度分布を示す模式図、および移動した基材50の温度分布を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布と形成される構造体との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る構造体10が形成される様子を示す模式図であり、(a)は図6の第1の温度領域(負の温度勾配)での構造体90の様子を示す模式図であり、(b)は図6の第3の温度領域(正の温度勾配)での構造体10が形成される様子を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る構造体10の形状を示す模式図であり、(a)は静止した基材上で固化した液滴20を示す模式図であり、(b)は移動する基材上で固化した液滴21を示す模式図であり、(c)は構造体10を(b)のBB’で切断した断面図であり、(d)は(c)のCC’における構造体10の断面図である。 本発明の一実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布を示す図である。 本発明の一変形例に係るリング状の照射光の模式図である。 本発明の一変形例に係る加熱部210の模式図である。 本発明の一変形例に係るリング状の照射光の模式図である。 本発明の一実施例に係る液滴の固化状態を観察したSEM像であり、(a)は50Hzのサイクルで吐出し、基材上で固化した液滴のSEM像であり、(b)はその拡大図であり、(c)は250Hzのサイクルで吐出し、基材上で固化した液滴のSEM像であり、(d)はその拡大図である。 本発明の一実施例に係る基材50上の温度勾配とアスペクト比との関係を示す図であり、(a)は1℃/mm未満の温度勾配で形成された構造体90のSEM像であり、(b)は1℃/mm以上100℃/mm以下の温度勾配で形成された本発明の実施形態に係る構造体10のSEM像であり、(c)は100℃/mmより大きな温度勾配で形成された構造体50のSEM像である。 本発明の一実施例に係るシミュレーション結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係るサーモビューアによる測定結果と、シミュレーションとの比較結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および線パターンについて説明する。但し、本発明の基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および線パターンは、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明者らは、上述の問題を解決する技術として、液滴を基材上に着弾させて基材上に配線パターン、又は機能膜パターンを形成する描画工程を含むパターン形成方法において、描画工程の前に、液滴が基材上に着弾する液滴着弾位置をレーザ、又は赤外線を照射して予め加熱する技術を国際公開WO2009/072603に開示した。本発明者らの技術は、基材の移動速度、液滴の吐出サイクル及び液滴着弾位置の加熱を制御することにより、基材上でのインクの広がりを抑制し、所望の構造体を高アスペクト比、即ち、厚みのある構造体を形成可能であることを初めて示したものである。
特許文献2においても、液滴が着弾する前に、レーザ光を予め構造体形成位置に照射して基板の形状を維持しつつ基板を昇温することにより液滴の外径を目標の外径にする一文の記載がある。しかし、特許文献2は、予めレーザ光を基板に照射することによる基板の局所的な温度上昇と、着弾した液滴が形成する構造体との関係を十分に検討していないため、単なる基板の予備加熱に過ぎず、厚みのある構造体を形成することは困難である。
本発明者らは、上述した国際公開WO2009/072603で開示した技術を更に最適化すべく鋭意検討した。その結果、基材上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、高アスペクト比を実現可能な構造体を形成するには、インクが着弾する基板表面の領域に所定の温度分布を形成する必要が有ることを見出し、本発明を完成させた。
図1は、本発明の一実施形態に係る構造体10の模式図を示し、図1(a)は構造体10の側面図であり、図1(b)は図1(a)のAA’における構造体10の断面図である。本実施形態に係る構造体10は、液滴が基材50の移動方向に傾斜して、連続して重なり合って固化してなる液滴重畳固化層1と、液滴重畳固化層1上を液滴が流動して、液滴が重畳せずに連続して固化してなる液滴流動固化層3と、液滴重畳固化層1と液滴流動固化層3との境界域に形成された陥凹部5と、を備える。また、構造体10において、液滴重畳固化層1は、基材50の移動方向に連続して傾斜して形成された凸形状部7を側部に備える。
図2は、基材上に形成した本実施形態に係る構造体10の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図2(a)は構造体10の上面図であり、図2(b)はその拡大図であり、図2(c)は構造体10の側面図である。上述したように、本実施形態に係る構造体10は、連続して基材50上に配設されたパターンである。構造体10は、基材50と接する構造体10の下部から、基材50と概略平行な構造体10の上部に向かって、基材50と概略平行な長手方向(第1の方向)に傾斜した線状の陥凹部5を有する。また、構造体10は、第1の方向と概略直交する幅方向(第2の方向)に、第1の方向とは反対向きの第3の方向に向かって拡張した凸形状部7を有する。
図3(b)に示すように、構造体10は、基材50と接する構造体10の第1の方向に沿った側面の近傍に、第1の方向に沿った陥凹部5を有し、第1の方向と直交するように切断すると、その断面はキノコのような逆テーパ状の形状を有する。また、本実施形態に係る構造体10において、液滴流動固化層3は、金属微粒子が分散されて形成され、かつ液滴流動固化層3の表面に金属微粒子が分散して出現している。したがって、金属等の結晶化する材料を液滴の溶質に用いた場合、構造体10を拡大すると、図3(c)に示すような粒子状の構造9を観察することができる。これは、構造体10が多結晶構造を有することを示す。さらに、図4に示すように、構造体10には、構造体の上部の第1の方向に凸となる鱗状の形状11が観察される。
このような特徴を有する本実施形態に係る構造体10は、基材50上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、高アスペクト比を実現することができる。構造体10が鱗状の凸形状部7を有する理由は、基材50上に着弾した液滴の溶媒が気化して溶質が固化し、先に着弾して固化しつつある溶質に覆い被さって、徐々に固化することにより、先に固化した溶質と馴染むように固化するためであると推察される。したがって、本実施形態に係る構造体10においては、基材50と接する部分ではすぐに固化するため液滴に近い形状となるが、上部では徐々に固化することにより、なめらかに連続した、均質な構造が形成される。
従って、本実施形態に係る構造体10は、基材50上に形成された温度勾配を制御することにより、基材50上に着弾したインク液滴を即座に乾燥させず、基材50上でのインク液滴の流動を利用することで、従来のインクジェット法では着弾したインク液滴が乾燥し重なった部位にできていた凹凸を平滑に均し、描画パターンが、スムースな表面、側面の形状を有するようにしたことを特徴とする。
液滴が着弾した位置での基材50の温度が高過ぎると、液滴が突沸して溶質の塊が分断された形状となり、本実施形態に係る構造体10のような、なめらかに連続した構造を形成することはできない。一方、液滴が着弾した位置での基材50の温度が低過ぎると、液滴の粘性が低下して、基材50上に広がってしまう。したがって、本発明においては、基材50に着弾した時の液滴の粘性と流れの制御が重要であり、液滴が着弾した位置での基材50の温度分布が重要な意味を持つことになる。
このように、後述するように、液滴の粘性を制御することにより形成される本実施形態に係る構造体10は、構造体の厚みと線幅との比が0.1以上の高いアスペクト比を実現することができる。また、連続して形成された構造体10の側面の角度を、基板面に対して5度以上、好ましくは17度以上とすることができる。
(構造体製造装置)
上述した本実施形態に係る構造体製造装置について説明する。図5は、下から、本実施形態に係る構造体製造装置100の模式図、基材50を上面から見た時の温度分布を示す模式図、および移動した基材50の温度分布を示す模式図を示す。
本実施形態に係る構造体製造装置100は、溶液を液滴化し、液滴を基材50上に着弾させて、基材50上に連続して構造体を形成する装置である。構造体製造装置100は、例えば、加熱部110、吐出部120、温度測定部130、移動部150および制御部(図示せず)を備える。
加熱部110は、基材50と対向して配設され、光111を基材50の構造体形成面(上面)の照射位置101に照射して、所定の温度に加熱する。加熱部110が照射する光111としては、赤外線、紫外線、レーザ光またはエキシマレーザ光等の基材50の表面にエネルギーを与えて、加熱可能な光であれば、公知のものを用いることができる。加熱による基材50の表面温度は、高すぎると、着弾した液滴の部分的な加熱むらによる沸騰現象が生じ、緻密で平滑な微細構造体表面が得られず、また、基材加熱温度が低すぎると、乾燥効果が不足し、液滴は広がる。これは、着弾する際の液滴サイズに依存するが、液滴径が10μm以上150μm以下の範囲、好ましくは50μm以上100μm以下の範囲において、溶媒の蒸発が加速されかつ急過熱による沸騰現象が生じない温度として、液滴着弾位置103での基材表面温度は、50℃以上200℃以下が望ましい。加熱部110は、液滴着弾位置103で所定の表面温度となるように、それよりも高い温度に照射位置101で基材を加熱する。このとき、加熱する温度は、基材の破損温度よりも低い温度である。なお、本実施形態に係る加熱部110は、上述した照射面積と温度を実現可能であれば、公知の照射装置を利用可能である。
吐出部120は、基材50と対向して配設され、溶液を液滴化して、液滴着弾位置103に液滴を吐出する。吐出部120には、インクジェットヘッドを用いることができる。吐出部120から吐出される液滴は、液滴径が10μm以上150μm以下の範囲、好ましくは50μm以上100μm以下の範囲である。このような液滴径を有する液滴を吐出することにより、重ね描画無しで、0.5μm以上の厚みのあるライン状の微細な構造体を形成することできる。吐出部120は、加熱部110から基材50の移動方向(第1の方向)に所定の距離で離間して配設される。
ここで、本実施形態に利用可能な基材50としては、電子・電気機器分野利用される基材で、加熱部110から照射される光により加熱可能な基材であれば、公知のいずれの基材でも利用可能である。そのような基材としては、例えば、シリコン基板、サファイア基板、ガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。ただし、基材50は、構造体形成をするための溶液(インク)が固化する最適温度よりも高い温度に加熱可能な基材である。樹脂基板としては、例えば、ポリイミドやポリエチレンテレフタラート(PET)等を挙げられる。基材50として樹脂基板を用いる場合は、紫外線やエキシマレーザ光等の短波長の光を好適に用いることができ、青色LEDも好適に用いることができる。一般的には、基材50には、基板が用いられるが、本発明は、基板に限定されず、加熱部110から照射される光により加熱可能で、吐出部120から構造体形成をするための液滴を着弾可能な基材であれば、様々の形状の基材であってもよい。
吐出部120から吐出する本実施形態に利用可能な溶液は、加熱により粘度が上昇して、溶質が固化する溶液、または加熱により粘度が上昇して、溶質が架橋する溶液である。本実施形態に利用可能な溶液は、例えば、粒子径1μm以下の微粒子が有機溶媒に分散して構成された金属を含むインクである。溶液に溶質として含まれる金属としては、例えば、配線を形成可能な金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン又はアルミニウムのいずれか一つからなる金属若しくはその酸化物又は各金属の内のいずれか二種以上からなる合金を利用することができる。また、溶媒としては、これらの金属を分散可能な揮発性の溶媒(一般的には有機溶媒)であれば、公知の溶媒を利用することができる。また、本実施形態において、吐出部120から吐出する溶液は、金属を含まない絶縁性の物質を溶質として含む溶液であってもよい。
温度測定部130は、基材50の液滴着弾位置103の表面温度を測定する。温度測定部130は、液滴の基材50上での液滴着弾位置103に近ければ、どのような方向から測定してもかまわない。加熱された基材50の表面温度の測定位置は、液滴の基材50上への着弾位置になるべく近く設定するのが好ましい。温度測定部130には、非接触型の温度測定装置を利用可能であるため、詳細な説明は省略する。
移動部150は、基材50または加熱部110と吐出部120とを第1の方向に移動させる。図5において、移動部150は基材50を載せるステージとして示した。移動部150は、加熱部110と吐出部120と移動する装置であってもよい。また、移動部150の移動速度は、1mm/sec以上100mm/sec以下の範囲で制御可能であることが好ましい。
制御部は、液滴着弾位置103の表面温度に基づいて、移動部150の移動速度、液滴の吐出サイクルおよび照射領域101の加熱を制御する。制御部は、例えば、装置制御に用いられるコンピュータである。制御部は、加熱された液滴着弾位置103の表面温度が基材50の移動方向に向かって低くなる所定の温度分布を形成するように、加熱部110および移動部150を制御する。
(構造体の製造方法)
上述した構造体製造装置100を用いた構造体の製造方法について説明する。本実施形態においては、移動する基材(基板)50に光を照射し、基材50の移動方向の上流側にピーク温度を有する温度プロファイルを形成し、液滴を温度プロファイルのピーク温度から基材50の移動方向の下流側の低温となる温度領域に着弾させる。制御部は、移動部150を液滴の吐出サイクルに合わせ連続的な微細な構造体が形成できる速度で往復運動させる。温度測定部130で測定された液滴着弾位置103の表面温度が基材50上に着弾する液滴乾燥に適切な温度になるように、加熱部110から照射される光のパワーを調整する。図5に示すように、基材50を加熱部110の側から吐出部120の方向(第1の方向)に移動させ、吐出部120から液滴を吐出し、微細な構造体10を形成する。
図5に示したように、加熱部110直下の照射位置101における基材50の表面温度のプロファイルは、静止状態では、照射領域に対してガウス分布を示す。しかし、移動部150により吐出部120の直下に移動した液滴着弾位置103では、基材50の表面温度は、照射領域に対して非対称な温度分布を示す。これは、液滴着弾位置103の照射位置101側は、加熱部110から照射された光によりエネルギーが与えられ、局所的に急峻な温度上昇を示すが、液滴着弾位置103の第1の方向側では、経時的に緩やかに温度が低下すると推察される。
ここで、本実施形態に係る液滴着弾位置103における基材50の表面温度の局所的な温度分布について、更に詳細に検討する。図6は、本実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布と形成される構造体との関係を示す図である。下側のグラフは、本実施形態に係る液滴着弾位置103における基材50の表面温度の局所的な温度分布を示し、図6(a)〜図6(e)は異なる温度領域で形成された構造体を示す。図7は、本発明の一実施形態に係る構造体10が形成される様子を示す模式図であり、図7(a)は図6の第1の温度領域(負の温度勾配)での構造体90の様子を示す模式図であり、図7(b)は図6の第3の温度領域(正の温度勾配)での構造体10が形成される様子を示す模式図である。
上述したように、本実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布は、基板が移動しているために、非ガウス分布であるが、図6に示した液滴着弾位置103と第3の温度領域(正の温度勾配)との位置関係は、1次元描画に対するもので、例えば線状のパターンしか形成できない。これに対し、2次元の描画を可能とするには、この1次元の温度分布を、移動する基板上で、液滴着弾位置103を中心に回転したハットシェイプまたはダブルハンプ形状の温度分布を形成すればよい。本実施形態に係る温度プロファイルは、光の投入パワーと、基材50の熱伝導率、熱容量及び移動速度と、により規定される。より詳細には、基材50の移動方向に向かって上昇する第1の温度領域と、温度が略一定または第1の方向に向かって僅かに下降する第2の温度領域と、第1の温度領域で温度が上昇する割合よりも小さな割合で基材50の移動方向に向かって下降する第3の温度領域と、を有する温度分布を示す。
第1の温度領域(負の温度勾配)は、加熱部110により液滴着弾位置103が加熱され、第1の方向に向かって温度が急激に上昇する領域であり、図6(a)に示したように、溶液に含まれる溶媒が揮発し、溶液に含まれる溶質が固化するが、溶媒が即座に揮発するほどの温度ではない場合、溶質が十分に固化しない。図7(a)に示したように、第1の温度領域では、先に着弾して固化しつつある溶質15側の基材50面の温度が高く、液滴の着弾中心位置93側の基材50面の温度が低い温度勾配を有する。このような温度勾配により、溶液91が温度の高い基材50の面から、まだ、溶質が着弾していない基材50上(パターン描画方向ので下流側)の温度の低い面に二次元的に広がってしまう。また、第1の温度領域と第2の温度領域境界では、図6(b)に示したように、溶液に含まれる溶質が固化するものの、固化しきれていない溶液が同様に温度の低い基材50の面に広がってしまう。
第2の温度領域では、液滴着弾位置103が、溶質が固化する至適温度以上となっているため、溶質が固化するものの、溶媒が揮発して固化する速度が早い。このため、図6(c)に示したように、形成された構造体は液滴が連続したような団子状の構造となり、配線、光導波路等に用いるには不十分な構造となる。
一方、第3の温度領域では、液滴着弾位置103に着弾した液滴の溶媒が気化して溶質が徐々に固化していくが、図7(b)に示したように、基材50上の温度勾配が、第1の温度領域(負の温度勾配)の場合とは逆で、液滴着弾位置103から先に着弾してほぼ固化している溶質15に向かって、高温から低温になる(正の温度勾配)。液滴21の着弾中心位置23が第3の温度領域にある場合、液滴着弾位置103の未固化の溶質21は、毛細管力により基板上で二次元的に広がることなく、先に着弾してほぼ固化している溶質15に覆い被さって、徐々に固化することにより、先に固化した溶質15と連続的につながった均質な表面を形成しながら固化する。これにより、図6(d)及び図6(e)に示したように、形成された構造体10は、基材50と接する部分ではすぐに固化するため液滴に近い形状となるが、上部では徐々に固化することにより、なめらかに連続した、均質な構造となる。
本発明においては、移動する基材50に光を照射し、基材50の移動方向の上流側にピーク温度を有する温度プロファイルを形成し、液滴を温度プロファイルのピーク温度から基材50の移動方向の下流側の低温となる温度領域に着弾させることが重要である。図8は、本発明の一実施形態に係る構造体10の形状を示す模式図であり、図8(a)は静止した基材上で固化した液滴20を示す模式図であり、図8(b)は移動する基材上で固化した液滴21を示す模式図であり、図8(c)は構造体10を図8(b)のBB’で切断した断面図であり、図8(d)は図8(c)のCC’における構造体10の断面図である。
光を照射して加熱された基材50が静止した状態で液滴を着弾せると、液滴は固化して図8(a)に示したような、中心部が凹んだ形状(コーヒーリング)となる。一方、光を照射して加熱された基材50を移動させた状態で液滴を着弾せると、液滴は固化して図8(b)に示したような滴型の形状で固化する。しかし、基材50を移動させた場合でも中心部が凹んだ形状で固化する。
図8(c)に示したように、光を照射して加熱された基材50を移動させながら、液滴を連続して着弾させると、着弾した液滴21は、先に着弾して固化しつつある溶質15に覆い被さって、徐々に固化する。このとき、先に着弾して固化しつつある溶質15は、中心部が凹んだ形状を有するため、後から着弾した液滴21は、基材50に接する部分はすぐに固化するものの、固化していない溶液が先に着弾して固化した溶質15の凹みに重畳する。これは、先に着弾して固化しつつある溶質15の凹みにより毛細管現象が生じるためであると推察される。
したがって、液滴は基材50の移動方向に傾斜して、連続して重なり合って固化した液滴重畳固化層1が形成される。また、液滴重畳固化層1上を液滴が流動して、液滴が重畳せずに連続して固化した液滴流動固化層3が形成される。本実施形態においては、後から着弾した液滴21は、先に着弾して固化しつつある溶質15の複数の液滴分の表面に覆い被さって固化することが好ましい。このように、固化することにより、表面がスムースに連続した液滴流動固化層3を有する構造体10が形成される。このとき、固化の速度の違いから、液滴重畳固化層1と液滴流動固化層3との境界域に陥凹部5が形成される。また、毛細管現象により、液滴が液滴重畳固化層1上に吸い上げられるため、図8(d)に示したように、液滴流動固化層3はキノコのような逆テーパ状の断面形状を形成する。
したがって、先に着弾して固化しつつある溶質が存在する第3の温度領域では、先に着弾して固化しつつある溶質がガイドとなって、後から着弾した液滴を吸い上げるため、着弾した液滴が基材50上に濡れ広がることなく、アスペクト比の高い構造体10が形成される。よって、本発明においては、一軸方向(描画線方向)にアスペクト比の高い構造体10が形成される。
表面が滑らかでかつ高アスペクト比の構造体10(描画パターン)を実現するには、先に着弾し基材50上でドット状に固化した溶質15の幅より大きく後から着弾した液滴21が基材50上で覆いかぶさるように流れる必要があり、このような基材50上に着弾した溶質(液滴)21に流れを生じせしめるためには、ある程度の温度勾配が必要になる。一方で、この温度勾配が大きすぎると、基材50上に着弾した溶質(液滴)21は、ドット状に固化した溶質の切れ目を埋めて、連続的で均質な構造物表面を得ることはできるが、構造物10に薄く、長く覆いかぶさるので、構造物10の厚み方向の重なりは厚くならず、高いアスペクト比の構造物10(描画パターン)は得られない。以上の事から、鋭意、実験によりアスペクト比が高くかつ凹凸の無い平滑で均一な表面を有する複数の溶質液滴から構成される構造物10を形成するには、溶質、溶媒の特性や基材50の移動速度と溶質吐出周波数の関係に依存することがわかる。
このようなアスペクト比の高い構造体10を形成するために、本実施形態において、基材50の移動方向の下流側の低温となる温度領域の温度勾配は、1℃/mm以上、100℃/mm以下である。温度勾配が大きすぎると、着弾した溶液を押し出す力が大きくなりすぎて、アスペクト比が低くなる。一方、温度勾配が小さいと、着弾した溶液を押し出す力が小さくなり、アスペクト比が高くなる。しかし、温度勾配が小さすぎると、溶質が固化しにくくなるため、結果として、着弾した液滴が基材50上に濡れ広がってしまうので好ましくない。
図9を参照して、本実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布としてハットシェイプやダブルハンプ形状が好ましい理由を説明する。上述したように、本実施形態に係る液滴着弾位置103の温度分布は、基板が移動しているために、非ガウス分布であるが、図6に示した液滴着弾位置103と第3の温度領域(正の温度勾配)との位置関係は、1次元描画に対するもので、例えば線状のパターンしか形成できない。これに対し、2次元の描画を可能とするには、この1次元の温度分布を、移動する基板上で、液滴着弾位置103を中心に回転したハットシェイプまたはダブルハンプ形状の温度分布を形成すればよい。また、図9(a)はガウス分布に近い温度分布の例を示し、図9(b)は本実施形態に係るハットシェイプの温度分布の例を示す。ガウス分布に近い温度分布では温度の上昇と下降が比較的急峻であるため、構造体形成に指摘な温度範囲の領域が極端に狭くなる。したがって、液滴着弾位置103の温度が高過ぎると、液滴が突沸して溶質の塊が分断された形状となり、液滴着弾位置103が低過ぎると、液滴の粘性が低下して、基材50上に広がってしまい、制御が困難となる。
一方、本実施形態の第3の温度領域において、液滴着弾位置103の第1の方向側では、液滴着弾位置103に着弾した液滴は、液滴の溶媒が気化して溶質が固化し、先に着弾して固化しつつある溶質に覆い被さって液滴重畳固化層1を形成する。また、液滴が重畳せずに連続して徐々に固化することにより、先に固化した溶質と馴染むように固化した液滴流動固化層3が形成される。これにより、本実施形態においては、なめらかに連続した、均質な構造が形成され、良好な構造体10を得ることができる。
ここで、ハットシェイプやダブルハンプ形状の温度分布の別の例について説明する。ハットシェイプやダブルハンプ形状の温度分布を形成するために、加熱部110は、リング状の照射光を有する形状で用いることもできる。図10は、本発明の一変形例に係るリング状の照射光の模式図である。例えば、加熱部110の導波管の中心軸に対して、光源から供給する光の中心軸を所定の角度で傾けることにより、基材50に照射される光の形状は図10(a)のようなリング状になる。このようなリング状の照射光は、図10(b)のような4方向のみならず、図10(c)のような基材50上の360°の任意の方向へ移動させることにより、ハットシェイプやダブルハンプ形状の温度分布を形成することができる。
また、図11は、一変形例に係る加熱部210の模式図である。加熱部210は、例えば、光を照射する複数の導波管211が治具213により円形に配置された構造を有する。導波管211には、光源215から光が供給される。このとき、光源215から導波管211それぞれに光を分岐させてもよく、光源215から導波管211それぞれに光を順次供給してもよい。このようにすることにより、加熱部210は、リング状の光を照射し、上述したようなハットシェイプやダブルハンプ形状の温度分布を形成することができる。また、図12は、本発明の一変形例に係るリング状の照射光の模式図である。図12(a)のように照射する導波路211を切り替えて、基材50を移動させることにより、加熱部210は、図12(b)のようなハットシェイプやダブルハンプ形状の温度分布を形成することができる。
以上説明したように、本発明によると、基材上での描画線の幅方向へのインクの濡れ広がりを抑制し、これまでにない高アスペクト比を実現可能な構造体、その構造体の製造方法および線パターンを実現することができる。
また、上述した構造体により、基材上に線パターンを形成することができる。このような線パターンは、幅0.5μm以上、アスペクト比0.1以上を備えることができる。また、本発明によると、例えば、微細配線形成に利用した場合、描画配線表面の凹凸による高周波損失が大幅に抑制されるため、数十GHz以上の領域にまで使用可能な高周波特性の優れた微細配線を形成することができる。また、光導波路形成に応用する場合には、側面での光散乱が大幅に抑制され、損失の少ない光導波路が形成できる。
上述した本発明に係る基材上に形成した構造体、構造体の製造方法および構造体製造装置について、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
(液滴の固化状態の検討)
図13は、本実施例に係る液滴の固化状態を観察したSEM像である。図13(a)は50Hzのサイクルで吐出し、基材上で固化した液滴のSEM像であり、図13(b)はその拡大図である。また、図13(c)は250Hzのサイクルで吐出し、基材上で固化した液滴のSEM像であり、図13(d)はその拡大図である。図13(a)および(b)から明らかなように、着弾した液滴は、基材50の移動方向とは反対の描画方向に広がった滴型の形状を有する。このような形状の液滴をより高速に射出することにより、先に着弾して固化しつつある溶質は、中心部が凹んだ形状となり、後から着弾した液滴は、基材50に接する部分はすぐに固化するものの、固化していない溶液が先に着弾して固化した溶質の凹みに重畳する。これにより、液滴が液滴重畳固化層1上に吸い上げられ、図13(c)および(d)に示した高アスペクト比の本実施例に係る構造体が形成される。
図14は、基材50上の温度勾配とアスペクト比との関係を示す図であり、図14(a)は1℃/mm未満の温度勾配で形成された構造体90のSEM像であり、図14(b)は1℃/mm以上100℃/mm以下の温度勾配で形成された本発明の実施形態に係る構造体10のSEM像であり、図14(c)は100℃/mmより大きな温度勾配で形成された構造体95のSEM像である。図14の実験結果に示すように、実用的な範囲で、上述した移動中の基材50上の温度分布が図6の正の温度勾配を有する領域(第3の温度領域)に、溶質液滴21を着弾させ、かつ、その時の温度勾配が1℃/mm以上100℃/mm以下の範囲にあることが好ましいことが明らかになった。
図14(a)は、移動する基材50上の温度勾配が、1℃/mm未満の場合で、基材50上に着弾した溶質がすでに着弾し固化が始まっている溶質上に向け覆いかぶさるように流れ、移動しているが、着弾した溶質の基材50上での移動量が足りないため、先に着弾しドット状に固化した溶質の隙間を覆いきることができず、線状の描画構造体の側面には、凹凸が現れている。また、図14(c)は、移動する基材50上の温度勾配が、100℃/mmより大きい場合で、先に着弾しドット状に固化した溶質の隙間を十分に覆うように、着弾した溶質は、移動しているが、その移動量が大きすぎるため、先に着弾しドット状に固化した溶質の隙間を十分に埋めるだけの溶質が供給されず、線状の描画構造体の側面には、やはり凹凸が現れている。また、線幅は図14(a)と図14(c)の場合では、構造体の厚みが1μm以上取れず、すなわち高アスペクト比が得られない。一方、図14(b)は、移動する基材50上の温度勾配が1℃/mm以上100℃/mm以下の範囲にある場合で、先に着弾しドット状に固化した溶質の隙間を適切な量の溶質が埋めて、アスペクト比で、0.2以上、線状の描画構造体の側面は、凹凸の無い直線状の平滑、均質な線状構造体が形成されている。
(レーザ照射による基板加熱シミュレーション)
この液滴の濡れ広がりの状態を検証するために、レーザ照射による基板加熱シミュレーションを行った。シミュレーションには、表1のパラメータを用いた。
図15にシミュレーション結果を示す。図15からも明らかなように、レーザを照射して第1の方向に移動させた基材では、第1の方向に温度が低くなる温度分布が形成される。この結果から、本発明に係る構造体形成に必要な温度分布が、基材50の移動方向の下流側で低温となる温度分布であることが検証された。
図16にサーモビューアによる測定結果と、シミュレーションとの比較結果を示す。図16(a)はサーモビューアによる測定結果し、(b)はシミュレーションを示し、(c)2つの結果をグラフ化して比較した結果を示す。実測結果、シミュレーションともに照射領域に対して非対称な温度分布を示して、よく一致する。この結果から、移動する基材50に光を照射し、基材50の移動方向の上流側にピーク温度を有する温度プロファイルが形成されることが明らかである。
1:液滴重畳固化層、3:液滴流動固化層、5:陥凹部、7:凸形状部、10:構造体、11:鱗状の形状、20:液滴、21:液滴、23:着弾中心位置、15:固化しつつある溶質、50:基材、90:構造体、95:構造体、91:溶液、93:着弾中心位置、100:構造体製造装置、101:照射領域、103:液滴着弾位置、110加熱部:、120:吐出部、130:温度測定部、150:移動部

Claims (8)

  1. 基材を移動させるための移動装置と、
    前記基材と対向して配設され、該基材の構造体形成面の光の照射位置に加熱領域を形成するための加熱装置と、
    前記加熱装置から前記基材の移動方向に前記加熱装置と離間して配設され、前記基材の前記加熱領域に液滴を着弾させるための吐出装置と、
    ここで、前記液滴は、温度プロファイルのピーク温度から前記基材の移動方向の下流側の低温領域に着弾され、
    前記液滴の着弾位置における前記基材の表面温度を測定する温度測定装置と、
    加熱された前記液滴の着弾位置の表面温度が前記基材の移動方向に向かって低くなる温度分布を形成するように前記加熱装置及び前記移動装置を制御するための制御装置と、
    を備える構造体製造装置。
  2. 前記制御装置は、前記移動装置の移動速度、前記液滴の吐出サイクル、照射領域の加熱を制御することを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  3. 前記液滴の着弾位置の温度分布は、ハットシェイプ形状又はダブルハンプ形状を備えることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  4. 前記基材の移動方向の下流側の低温となる温度領域の温度勾配は、1℃/mm以上100℃/mm以下を備えることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  5. 前記移動装置の移動速度は、1mm/sec以上100mm/sec以下を備えることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  6. 前記加熱装置は、赤外線、紫外線、レーザ光、又はエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  7. 前記吐出装置は、インクジェット装置であることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
  8. 前記液滴の着弾位置の前記基材の表面温度は、50℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1記載の構造体製造装置。
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