JP2016163465A - 駆動力制御装置 - Google Patents

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Takeshi Onishi
武司 大西
祐樹 関川
Yuki Sekikawa
祐樹 関川
伊藤 健介
Kensuke Ito
健介 伊藤
中島 祐樹
Yuki Nakajima
祐樹 中島
敬介 鈴木
Keisuke Suzuki
敬介 鈴木
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Abstract

【課題】左右駆動輪の駆動トルク差により車両挙動を制御する際に、輪荷重変化により車両挙動が不安定になるのを抑制可能な駆動力制御装置を提供すること。【解決手段】センサ群40が検出する車両の運転状態および走行状態に基づく駆動ユニットWD,WDの駆動制御により、左右後輪1RL,1RRの駆動トルクを左右で独立して制御するとともに、左右の駆動トルク差により前記車両にヨーモーメントを生じさせる車両挙動制御を実行する車両コントローラ11を備えた駆動力制御装置であって、車両コントローラ11は、前記車両挙動制御の実行時に、左右後輪1RL,1RRの輪荷重に応じ、前記駆動トルク差により生じるヨーモーメントを前記左右後輪1RL,1RRの横力で受け止められる範囲に前記駆動トルク差を制限する左右差制限値に基づく高トルク側制限値を設定することを特徴とする駆動力制御装置とした。【選択図】図3

Description

本発明は、車両において左右駆動輪を独立してその駆動力を制御する駆動力制御装置に関する。
従来、左右の駆動力を独立に制御する駆動力制御装置において、左右独立に車輪のスリップを抑制するよう駆動力を制御して駆動力制御時の車両挙動の安定化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この駆動力制御装置では、駆動輪のトルクを4輪独立に制御するとともに、駆動トルクと車速と駆動輪速度とに基づいて、ロッキングを含む車輪スリップ量を抑制するようにしている。
特表2008−515372号公報
しかしながら、上記の従来技術では、単にスリップ量を抑制する上限トルクの算出のみでは、降坂時や減速時などに駆動輪の輪荷重が減少した場合に、車両挙動が不安定になるおそれがあった。
具体的には、旋回時に、左右駆動輪に駆動トルク差を与える制御を行っている際に、上述のように輪荷重が減少すると、駆動輪の摩擦円が狭まり、摩擦円に収まる横力に余裕が無くなる場合がある。この場合、左右駆動輪の駆動トルク差による生じる車両ヨーモーメントを受け止める横力が、摩擦円を越え、すなわち、駆動輪により受け止められる範囲を越え、意図しない車両のヨー挙動が生じ、車両挙動が不安定になるおそれがある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、左右駆動輪の駆動トルク差により車両挙動を制御する際に、輪荷重変化により車両挙動が不安定になるのを抑制可能な駆動力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、
車両の運転状態および走行状態の検出に基づく駆動ユニットの駆動制御により、左右駆動輪の駆動トルクを左右で独立して制御するとともに、左右の駆動トルク差により前記車両にヨーモーメントを生じさせる車両挙動制御を実行する車両コントローラを備えた駆動力制御装置であって、
前記車両コントローラは、前記車両挙動制御の実行時に、前記左右駆動輪の輪荷重に応じ、前記駆動トルク差により生じるヨーモーメントを前記左右駆動輪の横力で受け止められる範囲に前記駆動トルク差を制限する左右差制限値を設定することを特徴とする駆動力制御装置とした。
本発明の駆動力制御装置では、車両コントローラは、車両挙動制御の実行時に、左右駆動輪の輪荷重に応じ、駆動トルク差により生じるヨーモーメントを左右駆動輪の横力で受け止められる範囲に駆動トルク差を制限する左右差制限値を設定する。
したがって、左右駆動輪の輪荷重が減少した場合は、左右差制限値に基づいて左右の駆動トルク差を制限し、駆動トルク差による車両ヨーモーメントを、左右駆動輪の横力で受け止められる範囲に抑制し、車両挙動が不安定になるのを抑制できる。
本発明の実施の形態1の駆動力制御装置を備えた電気自動車の全体制御システムを示す概略系統図である。 実施の形態1の駆動力制御装置の制御系を示すブロック図である。 実施の形態1の駆動力制御装置の駆動トルク指令値を求める処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態1の駆動力制御装置における左右差制限値を求める処理を示すフローチャートである。 実施の形態1の駆動力制御装置において前後加速度から左右差制限ゲインを求めるのに用いるマップを示す左右差制限ゲイン設定特性図である。 実施の形態1の駆動力制御装置との比較例の動作の一例を示すタイムチャートである。 実施の形態1の駆動力制御装置の動作の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1の駆動力制御装置の作用を説明するための摩擦円を示す作用説明図であり、平坦路走行時の摩擦円の一例を示している。 本発明の実施の形態1の駆動力制御装置の作用を説明するための摩擦円を示す作用説明図であり、登坂路走行時の摩擦円の一例を示している。 実施の形態2の駆動力制御装置の駆動トルク指令値を求める処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態2の駆動力制御装置の制御系を示すブロック図である。 実施の形態3の駆動力制御装置の駆動トルク指令値を求める処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態4の駆動力制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態4の駆動力制御装置の横加速度および車速、ヨーレート、操舵角、滑り角、推定路面摩擦係数から左右差制限ゲインを求めるのに用いるマップを示す左右差制限ゲイン設定特性図である。
以下、本発明の駆動力制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の駆動制御装置を備えた電気自動車の全体構成について説明する。
図1は、前記電気自動車を示す全体システム図である。
この電気自動車は、左右前輪1FL,1FRおよび左右後輪1RL,1RRを備えている。そして、左右後輪1RL,1RRを駆動輪として、それぞれの駆動ユニットWDに内蔵させた個々の電動モータ3RL,3RR(インホイールモータIWM)により駆動して走行可能であり、かつ、左右前輪1FL,1FRの転舵により操向可能である。
電動モータ3RL,3RRはそれぞれ、発電機としても機能し得るモータ/ジェネレータで、上記の通りモータ駆動される左右後輪1RL,1RRを、所定の発電負荷に応動して回生制動することができる。
また、図1に示す電気自動車は、電動モータ3RL,3RR(インホイールモータIWM)の駆動制御および回生制御を行う車両コントローラ11を備えている。そして、車両コントローラ11は、車両挙動制御を実行する。この車両挙動制御は、電動モータ3RL,3RR(インホイールモータIWM)の駆動制御に基づいて、左右後輪1RL,1RRに差回転を生じさせて車両にヨーモーメント(上下方向軸を中心とする水平方向の回動)を生じさせる制御である。
車両コントローラ11には、運転状態および走行状態を検出する検知部としてのセンサ群40から検出信号が入力される。
このセンサ群40には、車輪速センサ41a,41b,41c,41d、アクセル開度センサ42、操舵角センサ43、ヨーレートセンサ44、前後加速度センサ45、横加速度センサ46、ブレーキペダルセンサ48が含まれる。
車輪速センサ41a,41b,41c,41dは、従動輪である左右前輪1FL,1FRの車輪速(左前輪速度VFL,右前輪速度VFR)およびモータ駆動される左右後輪1RL,1RRの車輪速(左後輪車輪速度VRL,右後輪車輪速度VRR)を検出する。
アクセル開度センサ42は、図示を省略したアクセルペダル踏み込み量であるアクセル開度APOを検出する。
操舵角センサ43は、ステアリングホイールの操舵角θを検出する。
ヨーレートセンサ44は、車両の鉛直軸線周りの挙動であるヨーレートφを検出する。
前後加速度センサ45は、車両の前後加速度Gxを検出する。
横加速度センサ46は、車両の横加速度Gyを検出する。
ブレーキペダルセンサ48は、図示を省略したブレーキペダルもしくはマスタシリンダに設けられ、ブレーキペダル(図示周御略)の操作量に応じたブレーキ信号(BRK)を出力する。
車両コントローラ11は、センサ群40からの入力情報を基に、左右後輪1RL,1RRを駆動する電動モータ3RL,3RRの目標モータトルク(アクセルトルク)を求める。そして、車両コントローラ11は、これら目標モータトルクに応じた左トルク指令値および右トルク指令値を、電動モータ3RL,3RRの駆動・回生制御を行なうインバータ20に出力する。なお、左右各トルク指令値は、駆動ユニットWDにおいて得られる実駆動トルクに基づいて決定される。
インバータ20は、左右各トルク指令値に応じてバッテリ(図示省略)から電動モータ3RL,3RRへDC−AC変換電力を供給する。これにより電動モータ3RL,3RRに形成されるモータトルクTmL,TmRにより、左右後輪1RL,1RRが駆動あるいは回生される。
(車両コントローラによる制御)
次に、車両コントローラ11による制御について説明する。
車両コントローラ11は、前述したように、左右後輪1RL,1RRの駆動ユニットWDにおいて目標とする駆動トルクが得られるように電動モータ3RL,3RRの駆動を制御する。
この駆動制御において、本実施の形態1では、駆動輪である左右後輪1RL,1RRの駆動ユニットWD、WDに対するトルク指令値を、それぞれ独立して制御を行なう。
この場合、直進走行時は、基本的には左右後輪1RL,1RRの駆動トルクが等しくなるように制御する。
また、車両コントローラ11は、周知の車両挙動制御(ヨーモーメント制御)の際には、左右後輪1RL,1RRの駆動トルクを意図的に異ならせ、両者に駆動トルク差を与える制御も実行する。
このような車両挙動制御としては、走行時に、例えば、旋回操作に応じた目標ヨーレートを演算し、車両の実ヨーレートが目標ヨーレートに一致するように左右後輪1RL,1RRの駆動トルクに差(左右駆動トルク差)を与える制御が知られている。あるいは、車両挙動制御として、直進走行時に、路面傾斜や横風などにより、車両にヨーモーメントが生じた場合に、左右後輪1RL,1RRの駆動トルク差により、このヨーモーメントを抑える方向にヨーモーメントを生じさせる制御が知られている。
上述の車両挙動制御(ヨーモーメント制御)を含む左右の駆動トルク制御について説明を加える。
この駆動トルク制御において、通常(直進時などの非車両挙動制御時)は、車両目標駆動トルク(アクセルトルク)の半分を左右の駆動ユニットWDの基本目標駆動トルクとし、この基本目標駆動トルクに応じた左右各トルク指令値を出力する。なお、車両目標駆動トルクは、周知のようにアクセル開度、車速および制動力に係わる情報に基づいて求められる、運転者が要求する駆動トルクあるいは制動トルクであり、その1/2の値が、基本目標駆動トルクとなる。
そして、車両挙動制御時には、左右の駆動ユニットWDの一方の目標駆動トルクは、基本目標駆動トルクに車両挙動制御用のトルクを加算した値とし、他方の目標駆動トルクは、基本目標駆動トルクから車両挙動制御用のトルクを減算した値とする。
(制限値の設定)
本実施の形態1では、アクセルトルクに応じた左右各トルク指令値に、目標スリップ値に基づく制限値である左右各トルク制限値を設定する制御を行う。
すなわち、車両コントローラ11は、運転者の加減速操作時に、駆動輪のスリップ(量あるいは率)を所定値に抑制する目標スリップ値を求め、この目標スリップ値に基づいて、左右各駆動トルクの上限値である左トルク制限値および右トルク制限値を演算する。そして、左右各トルク指令値を、これら左右各トルク制限値に基づいて制限する。
さらに、本実施の形態では、上述の車両挙動制御(ヨーモーメント制御)の実行時に、左右駆動輪1RL,1RRの輪荷重に応じ、左右駆動トルク差を制限する左右差制限値を設定する。すなわち、本実施の形態1では、左右駆動トルク差により生じる車両ヨーモーメントを受け止める左右駆動輪1RL,1RRの横力を、左右駆動輪1RL,1RRの摩擦円の範囲内に収め左右駆動輪1RL,1RRにより受け止め可能に左右駆動トルク差を制限する。なお、制限の際には、左右各トルク指令値のうち、高トルク側のトルク指令値に制限を与え、左右トルク差が左右差制限値を超えないようにする。
以下に、輪荷重に応じて左右駆動トルク差を制限する構成およびその処理の流れを、図2の制御ブロック図および図3のフローチャートに基づいて説明する。
左右駆動トルク差を制限する処理において、図3に示す最初のステップS1、S2と、S3,S4は、それぞれ、左トルク制限値と右トルク制限値とを並列に演算する。
具体的には、ステップS1では、左駆動輪である左後輪1RLの目標とするスリップ量またはスリップ率である左目標スリップ値を演算する。
そして、続くステップS2では、PID(Proportional-Integral-Derivativeの略)制御に基づくフィードバック制御により、左トルク制限値を演算する。すなわち、ステップS2では、ステップS1で得られた左目標スリップ値と、後述する実スリップ値演算部102で得られた実左スリップ値(量あるいは率)と、後述するステップS9で得られた左トルク指令値とに基づいて左トルク制限値を演算する。なお、左トルク制限値は、左後輪1RLにおけるスリップ状態を左目標スリップ値に抑えるための上限値である。
ステップS3、S4では、右輪駆動輪である右後輪1RRについて、ステップS1,S2と同様にして、右トルク制限値を求める。
すなわち、ステップS3では、右後輪1RRの目標とするスリップ量またはスリップ率である右目標スリップ値を演算する。
そして、ステップS4では、PID制御に基づくフィードバック制御により、右トルク制限値を演算する。すなわち、ステップS4では、ステップS3で得られた右目標スリップ値と、実スリップ値演算部102で得られた実右スリップ値(量あるいは率)と、ステップS9で得られた右トルク指令値とから右トルク制限値を演算する。
上記のステップS1〜S4の処理を実行するのが、図2の目標スリップ値演算部101、実スリップ値演算部102、左PID演算部103、右PID演算部104である。また、目標スリップ率の制御の開始および終了判断を、開始・終了判断部105により行うもので、加減速時には目標スリップ率の設定処理を行う。
目標スリップ値演算部101は、センサ群40から得られる信号に基づいて、左右駆動輪である左右後輪1RL,1RRの目標スリップ値を決定し、得られた左右各目標スリップ値を、左PID演算部103および右PID演算部104に出力する。なお、左右各目標スリップ値は、予め車速に応じて設定された値であり、低車速時には高車速時よりも大きな値に設定される。
実スリップ値演算部102は、センサ群40からの各車輪回転数に基づいて、左実スリップ値および右実スリップ値を演算し、それぞれ、左PID演算部103および右PID演算部104に出力する。この実スリップ値は、左右各従動輪速度(左右各前輪速度VFL、VFR)などから得られる車体速度(車速V)と、左右駆動輪速度(左右各後輪車輪速度VRL,VRR)との差に基づいて求めることができる。
左PID演算部103は、左目標スリップ値、左実スリップ値および左トルク指令値(前回値)に基づいて、左後輪1RLの実スリップ値を目標スリップ値に抑えるための左トルク制限値を演算する。
右PID演算部104は、右目標スリップ値、右実スリップ値および右トルク指令値(前回値)に基づいて、右後輪1RRの実スリップ値を目標スリップ値に抑えるための右トルク制限値を演算する。
次に、図3に戻り、上述の左右各トルク制限値の演算と並行して実行するステップS5a以降の左右差制限値および高トルク側制限値の演算処理について説明する。
ステップS5aでは、左右後輪1RL,1RRの輪荷重に応じた値として、前後加速度センサ45が検出する前後加速度(Gx)を読み込み、ステップS5に進む。
ステップS5では、前後加速度(Gx)に応じて左右差制限値を演算し、ステップS8に進む。
ここで、ステップS5における左右差制限値を求める処理の詳細を図4のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS51では、左右差制限基準値を求める。この左右差制限基準値は、車両挙動制御における必要なヨーモーメントに応じ、必要以上の左右駆動トルク差が生じないように予め設定された値である。
次のステップS52では、輪荷重に応じて左右駆動トルク差を制限する左右差制限値を求めるために、ステップS5aで読み込んだ前後加速度(Gx)に基づいて、図5に示すマップを参照して、左右差制限ゲインを設定する。
このマップでは、前後加速度(Gx)が、車両前後方向のいずれにも生じていない状態で左右差制限ゲインを1に設定する。なお、この前後加速度(Gx)が前後に生じていない状態というのは、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が平坦路走行時の輪荷重に相当する状態であり、この左右差制限ゲインを1に設定する前後加速度(Gx)の値にある程度幅を持たせてもよい。そして、前後加速度(Gx)が、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が軽くなる車両前方向きに増加するに連れて、左右差制限ゲインを0あるいは予め設定された最少ゲインに向けて徐々に減少させる。逆に、前後加速度(Gx)が、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が重くなる車両後方向きに増加するに連れて、左右差制限ゲインを1から徐々に増加させる。なお、この増減は、図5のマップに示すように、前後加速度(Gx)に比例して直線的に増減させる他にも、前後加速度(Gx)に応じ、段階的に、あるいは、曲線的に変化させてもよい。
そして、ステップS53では、ステップS51で得られた左右差制限基準値に、ステップS52で得られた左右差制限ゲインを乗じて、左右差制限値を求め、続くステップS54にて、その左右差制限値を後述する高トルク側制限値演算部108に出力する。
ここで、左右差制限ゲインは、左右差制限値を、左右駆動トルク差により生じさせた車両ヨーモーメントを受け止める横力が、左右後輪1RL,1RRの輪荷重に応じた摩擦円に収まるように予め設定している。
これらステップS51〜S53の処理(すなわち、ステップS5の処理)は、図2に示す左右差制限値演算部106にて行う。すなわち、左右差制限値演算部106では、まず、センサ群40からの入力および車両挙動制御によるヨーモーメントに基づいて左右差制限基準値を求める。そして、左右差制限値演算部106では、この左右差制限基準値に、センサ群40からの入力のうち、前後加速度(Gx)に基づいて演算した左右差制限ゲインを乗じて、左右差制限値を求める。
図3に戻り、左右各トルク制御値を求める処理と、左右差制限値を演算する処理と、に並行して処理を行うステップS6では、左アクセルトルクおよび右アクセルトルクを演算する。
左右各アクセルトルクは、ドライバ要求トルクに応じた値である。すなわち、ステップS6では、まず、ドライバ要求加減速度であるアクセルトルクを求め、このアクセルトルクの1/2を、左アクセルトルクおよび右アクセルトルクとする。そして、車両挙動制御時には、必要なヨーモーメントに応じて求めた左右駆動トルク差を、左右各アクセルトルクの一方に加算し、他方に減算した上で、それを、最終的な左アクセルトルクおよび右アクセルトルクとする。なお、ドライバ要求加減速度であるアクセルトルクは、アクセル開度(APO)およびブレーキ踏込量と、車速(V)とにより求める。
そして、ステップS7、S8、S9により、左右各トルク制限値、左右各アクセルトルク、左右差制限値に基づいて、最終的な左右各トルク指令値を求める。
ここで、ステップS7では、ステップS6で得られた左右各アクセルトルクと、ステップS2,S4で得られた左右各トルク制限値との最小値をセレクトロー値とする。
続くステップS8では、このセレクトロー値に、ステップS5で得られた左右差制限値を加算して高トルク側制限値を求める。すなわち、左右各アクセルトルクのうちで、高トルク側の上限値が、セレクトロー値に左右差制限値を加算した高トルク側制限値となる。
ステップS9では、左右各トルク制限値、左右各アクセルトルク、高トルク側制限値に基づいて、左トルク指令値および右トルク指令値を求める。
すなわち、左トルク指令値は、左アクセルトルク、左トルク制限値、高トルク側制限値のうちの最小値とする。
また、右トルク指令値は、右アクセルトルク、右トルク制限値、高トルク側制限値のうちの最小値とする。
続くステップS10では、ステップS9にて得られた左右各トルク指令値を、各駆動ユニットWDに向けて出力する。
以上の、左右各トルク制限値、左右各アクセルトルク、高トルク側制限値に基づいて、最終的な左右各トルク指令値を求める構成を図2により説明する。
左右各トルク指令値は、アクセルトルク演算部107、高トルク側制限値演算部108、左セレクトロー処理部109、右セレクトロー処理部110により演算する。
すなわち、アクセルトルク演算部107では、前述したようにアクセル開度APOおよび車速(V)により求めたドライバ要求加速度に応じたアクセルトルク、および車両挙動制御に必要な左右駆動トルク差に基づいて左右各アクセルトルクを求める。
高トルク側制限値演算部108では、左右各アクセルトルクと左右各トルク制限値とを読み込む。そして、左アクセルトルクと左トルク制限値との低い方の値(セレクトロー)に、左右差制限値を加算して、高トルク側制限値を求める。
左セレクトロー処理部109では、左アクセルトルク、左トルク制限値、高トルク側制限値のうちの最小値を左トルク指令値とする。
右セレクトロー処理部110では、右アクセルトルク、右トルク制限値、高トルク側制限値のうちの最小値を右トルク指令値とする。
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の駆動力制御装置の作用を、図6、図7のタイムチャートに基づいて説明する。
図6は、実施の形態1の駆動力制御装置の比較例の動作、すなわち、左右駆動トルク差を制限しない場合の動作を示し、図7は実施の形態1の駆動力制御装置の動作を示している。
なお、 図6および図7では、それぞれ、車両挙動制御により、左トルク指令値を右トルク指令値よりも大きな値に制御している状態で、走行路面が、平坦路、登坂路、降坂路に変化した場合の動作を示している。
まず、図6の比較例の動作について説明する。
t00の時点からt01の時点の平坦路走行状態において、車両挙動制御を実行し、左トルク指令値を右トルク指令値よりも大きな値で出力している。このような車両挙動制御は、例えば、旋回走行時に、車両挙動を安定させる方向にヨーモーメントを発生させる制御である。あるいは、直進走行時にあっても、走行路面が車幅方向に傾いていたり、車両が横方向から風などの外力を受けたりして直進走行状態にもかかわらずヨーモーメントが生じている場合に、このヨーモーメントを抑えるべく車両挙動制御を実行する。
ここで直進走行時には、駆動輪である左右後輪1RL,1RRに作用する横力は、車両挙動制御による左右駆動トルク差によるヨーモーメントを生じさせるための横力である。この場合、図8Aに示す平坦路走行時の摩擦円の範囲内に収まり、横力余裕代を確保している。なお、図8Aでは、アクセルトルクがTa1であるときの、摩擦円の範囲内の横力がFya1である。
この平坦路走行状態から、t01の時点で登坂路走行状態となると、駆動輪である左右後輪1RL,1RRの輪荷重が増加する。そして、この輪荷重の増加時は、摩擦円は、輪荷重が大きくなるほど大径となり、図8Aに示す摩擦円よりも大径となる。したがって、摩擦円が拡大することで左右後輪1RL,1RRの摩擦円の範囲内に収まる限界横力は増加し、車両挙動制御に基づいて車両ヨーモーメントを生じさせるために発生した横力に対する余裕代が増加する。
その後、t02の時点で降坂路走行状態となると、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が減少する。すなわち、輪荷重の減少時には、摩擦円は、輪荷重が減少するほど小径となるもので、図8Bに示すように、図8Aに示すものよりも小径になる。このように、摩擦円が縮まることで左右後輪1RL,1RRの限界横力が減少し、図6に示すように、リア横力余裕代が、車両挙動制御により発生した横力よりも低下するおそれがある。すなわち、図8Bのアクセル(トルク)Tb1は、図8Aのアクセル(トルク)Ta1と同等の値であるが、図8Bの摩擦円に収まる限界の横力Fyb1は、図8Aの摩擦円に収まる限界の横力Fya1よりも小さな値となる。このように、輪荷重が減少し、摩擦円が小さくなると、同アクセルトルクであっても、左右後輪1RL,1RRの横力が不足し、車両安定性が低下するおそれがある。
次に、本実施の形態1の駆動力制御装置の場合の動作を説明する。
実施の形態1にあっても、t0の時点からt1の時点では平坦路を走行し、t1の時点からt2の時点で登坂路を走行し、t2の時点から降坂路を走行する点は、図6の比較例と同様である。
また、t1〜t2の登坂路において、リア横力の余裕代が拡大する点も比較例と同様である。
それに対して、本実施の形態1では、t2の時点以降の降坂路では、相対的に高トルクに制御していた左トルク指令値を低下させ、車両挙動制御により発生した横力を、リア横力余裕代、すなわち、摩擦円の外周縁である限界横力相当まで低下させる。すなわち、図8Bに示す輪荷重の減少により縮まった摩擦円の範囲内に収まるように、横力を低下させる。
以下、この左右駆動トルク差を低減させる制御について説明する。
降坂時に、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が減少すると、図5に示すように、輪荷重に応じた前後加速度(Gx)に応じて、左右差制限ゲインを平坦路走行時の値の「1」よりも小さな値に設定する。
これにより、ステップS5にて算出する左右差制限値(S5)も、左右差制限基準値よりも小さな値に設定する。
したがって、t2の時点以降のセレクトロー値である右トルク指令値に加算する左右差制限値が減少し、これに基づいて算出する高トルク側制限値も減少し、図7に示すように、左トルク指令値と右トルク指令値との差を縮める。しかも、高トルク側の値(図示の例では左トルク指令値)を低下させるため、左右後輪1RL,1RRのうちで、横力の余裕代が小さい側のトルク指令値を減少させ、横力が摩擦円の範囲外となるのを、より確実に抑制することができる。
これにより、左右トルク差により生じる車両ヨーモーメントが低下し、この車両ヨーモーメントを発生させるために左右駆動輪1RL,1RRに発生する横力も、図示のように、t2の時点以降低下する。
また、このとき、左右差制限ゲインは、この発生横力が、輪荷重変化に基づく摩擦円の変化に応じて摩擦円からでないように予め設定しているため、図示のように、発生横力は、リア横力余裕代に相当する限界横力の範囲内となる。
したがって、車両挙動制御による左右駆動トルク差により発生する横力が、限界横力を超える比較例と比べて、車両挙動を安定させることができる。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1のトルク検出装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
1)実施の形態1の駆動力制御装置は、
車両の左右の駆動輪としての左右後輪1RL,1RRの駆動力を左右独立して駆動可能な駆動ユニットWD,WDと、
前記車両の運転状態および走行状態を検出する検出部としてのセンサ群40と、
前記センサ群40の検出に基づく前記駆動ユニットWD,WDの駆動制御により、前記左右後輪1RL,1RRの駆動トルクを左右で独立して制御するとともに、左右の駆動トルク差により前記車両にヨーモーメントを生じさせる車両挙動制御を実行する車両コントローラ11と、
を備えた駆動力制御装置であって、
前記車両コントローラ11は、前記車両挙動制御の実行時に、前記左右後輪1RL,1RRの輪荷重に応じ、前記駆動トルク差により生じるヨーモーメントを前記左右後輪1RL,1RRの横力で受け止められる範囲に前記駆動トルク差を制限する左右差制限値を設定することを特徴とする。
したがって、登坂時あるいは降坂時などに、輪荷重が減少した場合には、左右差制限値を相対的に小さな値に設定して駆動トルク差を抑え、左右駆動トルク差により生じるヨーモーメントを減少させる。すなわち、本実施の形態1にあっては、降坂時に左右後輪1RL,1RRの輪荷重が減少した場合に、左右差制限値により駆動トルク差を抑える。
これにより、左右後輪1RL,1RRの輪荷重の減少により受け止め可能な横力が減少しても、左右後輪1RL,1RRが左右駆動トルク差による横力を受け止めることが可能となり、車両挙動を安定させることが可能となる。
2)実施の形態1の駆動力制御装置は、
前記車両コントローラ11は、前記輪荷重に応じて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、前記駆動トルク差を、車両前後加速度(Gx)に応じ、前記車両前後加速度(Gx)が、前記輪荷重が小さくなる方向の場合は、前記輪荷重が大きくなる方向の場合よりも相対的に小さな値に制限することを特徴とする。すなわち、左右後輪1RL,1RRが駆動輪である実施の形態1の場合、前後加速度(Gx)の向きが、輪荷重が小さくなる車両前方向きの場合は、輪荷重が大きくなる車両後方向きの場合よりも、駆動トルク差を小さな値に制限する。また、左右前輪1FL,1FRが駆動輪の場合は、これとは逆に、前後加速度(Gx)の向きが、輪荷重が小さくなる車両後方向きの場合は、輪荷重が大きくなる車両前方向きの場合よりも、駆動トルク差を小さな値に制限する。
このように、駆動トルク差の制限を、輪荷重に応じて行うのにあたり、前後加速度(Gx)に応じて制御することにより、簡易で安価に、左右後輪1RL,1RRの受け止め可能な横力に応じた制御を行うことができる。
3)実施の形態1の駆動力制御装置は、
車両コントローラ11は、前記左右差制限値に基づいて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、左右両トルク指令値のうち高トルク側の指令値を、前記左右差制限値に基づいて低下させることを特徴とする。
したがって、左右両トルク指令値のうちで、高トルク側の値を低下させることにより、左右後輪1RL,1RRのうちで、横力の余裕代が小さい側のトルク指令値を減少させ、横力が摩擦円の範囲外となるのを、より確実に抑制することができる。
(他の実施の形態)
次に、他の実施の形態のトルク検出装置について説明する。
なお、他の実施の形態は、実施の形態1の変形例であるため、実施の形態1と共通する構成には実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点のみ説明する。
(実施の形態2)
実施の形態2の駆動力制御装置は、左右差制限値を、路面勾配に対応した勾配対応前後加速度(Gxθ)を用いて演算するようにした例である。
すなわち、実施の形態2の駆動力制御装置における駆動トルク差を制限する処理の流れを示す図9のフローチャートにおいて、左右差制限値を演算するステップS5の前のステップS205aでは、勾配対応前後加速度(Gxθ)を演算する。
このステップS205aでは、まず、車速(V)と、左右トルク指令値とを読み込む(それぞれ、前回値とする)。なお、車速(V)は、従動輪である左右各前輪車輪速度VFL,VFRの平均値を用いるものとする。そこで、実施の形態2の駆動力制御装置において、左右差制限値演算部106は、図10に示すように、左右各前輪車輪速度VFL,VFRと、左右トルク指令値を読み込む。
さらに、左右トルク指令値から、予め分かっている車両諸元に基づいて、左右トルク指令値により駆動ユニットWDを駆動させたときに平坦路走行時に得られる車両加速度である指令上の車両前後加速度(mGx)を演算する。一方、車速(V)の微分値から、実際に車両に生じている実車両前後加速度(rGx)を演算する。
そして、指令上の車両前後加速度(mGx)から、実車両前後加速度(rGx)を差し引いた値を、勾配対応前後加速度(Gxθ)とする。
ステップS205aに続くステップS5では、実施の形態1にて用いた前後加速度(Gx)に代えて勾配対応前後加速度(Gxθ)を用いて左右差制限ゲインを求め、この左右差制限ゲインを用いて左右差制限値を演算する。
(実施の形態2の作用)
実施の形態2では、前後加速度として、路面勾配に対応した勾配対応前後加速度(Gxθ)を用いるようにしたため、左右後輪1RL,1RRの輪荷重に、より正確に対応した前後加速度を用いて、左右差制限値を演算することができる。
これにより、左右後輪1RL,1RRの輪荷重の減少により受け止め可能な横力が減少した際に、より高い精度で、左右後輪1RL,1RRが左右駆動トルク差による横力を受け止め可能として、車両挙動を、いっそう安定させることが可能となる。
(実施の形態2の効果)
2-1)実施の形態2の駆動力制御装置は、
前記車両コントローラ11が、輪荷重に応じて左右駆動トルク差を制限するのにあたり、車両前後加速度として、左右駆動トルクから換算した指令上の車両前後加速度と、実際の車速(V)から求めた実車両前後加速度と、の差に基づいて求めた路面勾配に対応する前後加速度である勾配対応前後加速度(Gxθ)を用いることを特徴とする。
これにより、左右後輪1RL,1RRの輪荷重に、より正確に対応した前後加速度を用いて、左右差制限値を演算することができ、車両挙動を、いっそう安定させることが可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態3の駆動力制御装置は、左右差制限値を、ドライバの加減速操作を換算した操作対応前後加速度(Gxd)を用いて演算するようにした例である。
すなわち、実施の形態3の駆動力制御装置における駆動トルク差を制限する処理の流れを示す図11のフローチャートにおいて、左右差制限値を演算するステップS5の前のステップS305aでは、操作対応前後加速度(Gxd)を演算する。
このステップS305aでは、まず、アクセル開度(APO)とブレーキ信号(BRK)とを読み込む。
さらに、アクセル開度(APO)とブレーキ信号(BRK)から、予め分かっている車両諸元に基づいて、ドライバの操作に対応した車両前後加速度である操作対応前後加速度(Gxd)を演算する。
ステップS305aに続くステップS5では、実施の形態1にて用いた前後加速度(Gx)に代えて操作対応前後加速度(Gxd)を用いて左右差制限ゲインを求め、この左右差制限ゲインを用いて左右差制限値を演算する。
このドライバのアクセル操作および制動操作を車両前後加速度に換算した操作対応前後加速度(Gxd)は、実際に、左右後輪1RL,1RRの輪荷重が実際に変化する前の時点で、前後加速度変化を表すことができる。
したがって、車両コントローラ11が、実際に生じた車両の前後加速度(Gx)に応じて左右差制限値を演算する場合よりも、左右駆動トルク差制限の応答遅れを、軽減することが可能である。
(実施の形態3の効果)
3-1)実施の形態3の駆動力制御装置は、
前記車両コントローラ11は、前記輪荷重に応じて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、前記車両前後加速度として、ドライバの加減速操作を換算した操作対応前後加速度(Gxd)を用いることを特徴とする。
したがって、左右駆動トルク差制限の応答遅れを軽減して、より輪荷重変化に応じた左右駆動トルク差制限を実行可能である。
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、左右駆動輪である左右後輪1RL,1RRにおける横力を、輪荷重のみに応じて左右駆動トルク差による横力を制御するようにした例について説明してきた。しかしながら、左右後輪1RL,1RRにおける横力は、旋回時など車両慣性に対抗する場合にも生じる。
このため、実施の形態4の駆動力制御装置は、上記の旋回時の車両慣性に対抗するための横力と、左右駆動トルク差による横力との合力が摩擦円に収まるようにしてもよい。
実施の形態4の駆動力制御装置は、上記の旋回時の車両慣性に対抗するための横力も考慮するようにした例である。
図12は、左右差制限値演算部106における左右差制限値を演算する処理の流れを示している。
ステップS401では前後加速度(Gx)を読み込む。なお、この前後加速度(Gx)は、前後加速度センサ45の検出値を用いる他、実施の形態2,3のように、路面勾配やドライバ操作に基づいて求めた値であってもよい。
そして、ステップS402では、前後加速度(Gx)に基づいて、マップ1を参照して左右差制限ゲインを求める。なお、このマップ1は、実施の形態1に用いた図5に示す前後加速度(Gx)に応じたマップである。
ステップS403では、車速(V)を読み込み、続く、ステップS404では、マップ2を参照して、車速(V)に応じた左右差制限ゲインを求める。なお、車速(V)は、図示を省略した車速センサの検出値を用いてもよいし、前述のように、従動輪としての左右前輪1FL,1FRが検出する左右前輪速度VFL,VFRの平均値を用いてもよい。
ここで、マップ2および後述するマップ3〜7として、図13に示すマップを用いる。
これらのマップは、車速などの横軸の値が増加するに連れて、左右差制限ゲインを最大値の1から徐々に小さな値に設定する特性に設定している。すなわち、このマップは、車速などの横軸の値が大きくなるにつれて、左右後輪1RL,1RRにおける車両慣性に対抗する横力が大きくなるとして、左右差制限ゲインを、1から徐々に小さな値に設定する。
ステップS405では、横加速度センサ46が検出する横加速度(Gy)を読み込み、続くステップS406で、マップ3を参照して左右差制限ゲインを求める。
ステップS407では、操舵角センサ43が検出する操舵角(θ)を読み込み、続くステップS408で、マップ4を参照して左右差制限ゲインを求める。
ステップS409では、ヨーレートセンサ44が検出するヨーレート(φ)を読み込み、続くステップS410で、マップ5を参照して左右差制限ゲインを求める。
ステップS411では、滑り角を読み込み、続くステップS412で、マップ6を参照して左右差制限ゲインを求める。なお、滑り角は、対地車速センサを用いて直接検出したり、予め設定した車両モデルに基づいて、横加速度(Gy),ヨーレート(φ)などの検出値を入力して推定したりして求めることができる。
ステップS413では、推定路面摩擦係数を読み込み、続くステップS414で、マップ7を参照して左右差制限ゲインを求める。なお、推定路面摩擦係数は、例えば、タイヤの横滑り角βとコーナーリングフォースCFとを算出し、これらの比ΔCF/Δβに基づいて推定することができる。あるいは、駆動トルクを車体重量で割った駆動力定数と、スリップ率との関係から求めることもできる。
ステップS416では、ステップS415で求めた左右差制限基準値に、各左右差制限ゲインを掛けた値を左右差制限値とし、続くステップS417にて、この左右差制限値を出力する。
なお、本実施の形態3では、車両の慣性力に抗するための横力に応じた左右差制限値を設定するのに、車速(V)、横加速度(Gy)、操舵角(θ)、ヨーレート(φ)、滑り角、推定路面摩擦係数に応じた左右差制限ゲインを求めるようにしている。しかし、これらの全てが必須ではなく、少なくとも、車両に作用する横加速度(Gy)に応じて左右差制限値を設定できれば良い。その場合、横加速度センサ46が検出する横加速度(Gy)に限定されず、車速(V)と操舵角(θ)とにより演算したものでもよい。
この実施の形態4では、左右後輪1RL、1RRの輪荷重に応じた摩擦円の変化に応じ、輪荷重が減少した際には、左右駆動トルク差を制限して、左右駆動トルク差による横力を制限するのに加え、旋回時などには下記のように動作する。
すなわち、旋回時など、車両に横加速度が生じた際には、左右駆動輪1RL,1RRには、車両慣性に抗するための横力が生じる。
このように、車両慣性に抗するための横力が生じた場合、図8A,図8B に示す摩擦円の範囲内に収めるようにするための横力の余裕代が減少する。すなわち、横力の余裕代は、摩擦円に収まる最大横力から、車両慣性に抗するための横力を差し引いた値である。
本実施の形態4では、各マップ2〜7により求めた左右差制限ゲインに基づいて得られる左右差制限値を、左右駆動トルク差により生じるヨーモーメントを受け止める横力が、横力の余裕代の範囲内とすることができるように設定する。
例えば、実施の形態1〜3にて説明したように、輪荷重の変化に応じて横力を抑えるようにマップ1に基づいて左右差制限ゲインを算出していたときに、さらに、旋回を行って、車両慣性に抗する横力が生じた場合について説明する。
この場合、本実施の形態4では、マップ1で得られた左右差制限ゲインに加え、マップ2〜7のいずれかに基づいて得られた1よりも小さな左右差制限ゲインを、左右差制限値に乗じる。このため、その値は、マップ1で得られた1つの左右差制限ゲインのみを乗じた値よりもさらに小さな値となる。
したがって、左右駆動トルク差によるヨーモーメントを受け止める横力を、さらに抑え、このトルク差による横力に、車両慣性に抗する横力が加わっても、左右後輪1RL、1RRの横力を摩擦円の範囲内に収めて、車両挙動を安定させることができる。
以上、本発明の駆動力制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施の形態では、駆動ユニットとして、左右後輪を駆動する電動車両に適用したものを例示した。しかしながら、駆動ユニットにより駆動させる駆動輪およびその輪数は、これに限定されず、左右前輪を駆動するものにも適用するほか、4輪以上の複数輪を駆動するものにも適用できる。
なお、駆動輪を左右前輪とした場合、前後加速度(Gx)に対する左右差制限ゲイン特性は、図5に示した特性とは逆の傾きとなり、前後加速度(Gx)が車両前方に大きくなるほど、左右差制限ゲインを上昇させる特性とする。
1RL 左後輪(駆動輪)
1RR 右後輪(駆動輪)
11 車両コントローラ
40 センサ群(検知部)
Gx 前後加速度
WD 駆動ユニット

Claims (5)

  1. 車両の左右駆動輪の駆動力を左右独立して駆動可能な駆動ユニットと、
    前記車両の運転状態および走行状態を検出する検出部と、
    前記検出部の検出に基づく前記駆動ユニットの駆動制御により、前記左右駆動輪の駆動トルクを左右で独立して制御するとともに、左右の駆動トルク差により前記車両にヨーモーメントを生じさせる車両挙動制御を実行する車両コントローラと、
    を備えた駆動力制御装置であって、
    前記車両コントローラは、前記車両挙動制御の実行時に、前記左右駆動輪の輪荷重に応じ、前記駆動トルク差により生じるヨーモーメントを前記左右駆動輪の横力で受け止められる範囲に前記駆動トルク差を制限する左右差制限値を設定することを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力制御装置において、
    前記車両コントローラは、前記輪荷重に応じて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、前記駆動トルク差を、車両前後加速度に応じ、前記車両前後加速度が、前記輪荷重が小さくなる方向の場合は、前記輪荷重が大きくなる方向の場合よりも相対的に小さな値に制限することを特徴とする駆動力制御装置。
  3. 請求項2に記載の駆動力制御装置において、
    前記車両コントローラは、前記輪荷重に応じて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、前記車両前後加速度として、前記駆動トルクから換算した指令上の車両前後加速度と、実際の車速から求めた実車両前後加速度と、の差に基づいて求めた路面勾配に対応する前後加速度を用いることを特徴とする駆動力制御装置。
  4. 請求項2に記載の駆動力制御装置において、
    前記車両コントローラは、前記輪荷重に応じて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、前記車両前後加速度として、ドライバの加減速操作を換算した操作対応前後加速度を用いることを特徴とする駆動力制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の駆動力制御装置において、
    前記車両コントローラは、前記左右差制限値に基づいて前記駆動トルク差を制限するのにあたり、左右各駆動輪への左右各トルク指令値のうち高トルク側の指令値を、前記左右差制限値に基づいて低下させることを特徴とする駆動力制御装置。
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