JP2016162989A - 量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置に関し、暗電流を増加させることなく検出感度を高める。【解決手段】量子閉じ込め構造を有する受光部の近傍に前記受光部にキャリアをトンネル注入する障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置に関するものであり、例えば、感度を高めるとともに暗電流を低減した量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置に関するものである。
量子型光検知器は、光に対し感度を有する量子閉じ込め構造を有する活性層と、その両端に形成された電極層によって構成される。量子型光検知器に光が入射すると、活性層において光電変換され、量子型光検知器に光電流が流れる。この量子型光検知器に流れる電流の変化を読み取ることで光信号を検出する。
量子型光検知器としては、活性層として1次元量子閉じ込め構造を有する量子井戸構造を用いた量子井戸型光検知器や、活性層として3次元量子閉じ込め構造を有する量子ドット型光検知器が知られている(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)。
この内、量子ドット型光検知器は、量子ドットをバンドギャップがより大きい中間層に埋め込むことで3次元閉じ込め構造の活性層を備えている。ここで、図8を参照して従来の量子ドット型光検知器を説明する。
図8は従来の量子ドット型光検知器の概略的断面図であり、ここでは、1画素として説明するが、実際にはこの画素が2次元マトリクス状に配置されて赤外線撮像素子となっている。図8に示すように、半絶縁性GaAs基板81上に、n型GaAs下部電極層82を介して、GaAs下地層83、InAs量子ドット84及びGaAs中間層85を順次堆積する。なお、InAs量子ドット84は、通常は、ストランスキ−クラスタノフ(SK)成長モードで形成するためにInAs量子ドット84が発生する前にウェット層が形成されるがここでは、図示は省略する。
次いで、InAs量子ドット84及びGaAs中間層85を必要とする層数だけ繰り返して成長させたのち、n型GaAs上部電極層86を形成する。次いで、n型GaAs下部電極層82に下部電極87を形成するとともに、n型GaAs上部電極層86に上部電極88を設け、これらの電極間にバイアス電源89及び電流計90を接続する。
光が量子ドット構造を有する活性層に入射すると、InAs量子ドット84の量子準位に捕獲されている束縛キャリアが入射光を吸収して励起され、束縛から脱する。バイアス電源89により印加された電圧により束縛から脱した光励起キャリアが電極に集められ、光電流を形成する。この光電流の変化を電流計で検知することによって光信号が検出される。
特開2007−305705号公報 特開2012−109434号公報
しかし、従来の量子ドット型光検知器では光検知感度と雑音の増大とがトレードオフの関係にあるので、この事情を図9を参照して説明する。図9は従来の量子ドット型光検知器の問題点の説明図である。図9(a)に示すように、入射する光93が少ない場合には、光吸収はあまり生じずに、量子ドットの量子準位91に捕獲された束縛電子92の一部が励起されて光励起電子94となる。
図9(b)に示すように、入射する光93が増えると多くの束縛電子92が励起されて光励起電子94となって光電流を形成する。その結果、量子準位91に捕獲される束縛電子92が減少するため光吸収の減少につながり、光吸収が起こるほど束縛電子92が減少して検知器感度が低下するという問題がある。
このような束縛電子の減少に伴う光検知器の感度低下を抑制する方法として、不純物ドーピングなどにより、もともとの束縛電子を多くすることが考えられる。しかし、図9(c)に示すように、この方法では束縛電子92が熱95による熱的励起によって束縛を脱して熱励起電子96となる量が増加する。このような熱的励起により脱出した熱励起電子96は暗電流を形成して光検知器の雑音の原因となるため、これはかえってS/Nを低下させてしまうことになる。なお、このような事情は、活性層として一次元量子閉じ込め構造の量子井戸構造を用いた場合も同様であり、また、束縛キャリアとして正孔を用いた場合も同様である。
したがって、量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置において、暗電流を増加させることなく検出感度を高めることを目的とする。
開示する一観点からは、量子閉じ込め構造を有する受光部と、前記受光部の近傍に設けられて前記受光部にキャリアをトンネル注入する障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造とを有し、前記障壁層の禁制帯幅が、受光部の量子閉じ込め構造を形成する中間層の禁制帯幅より大きいことを特徴とする量子閉じ込め構造光検知器が提供される。
また、開示する別の観点からは、上述の量子閉じ込め構造光検知器を二次元格子状に配列した赤外線撮像素子と、前記赤外線撮像素子の各画素に対応するバイアス兼スイッチング用のトランジスタを二次元格子状に配列した信号処理回路基板と、前記各画素と前記各トランジスタを1:1で接続する突起状電極とを有することを特徴とする赤外線撮像装置が提供される。
開示の量子閉じ込め構造光検知器及び赤外線撮像装置によれば、暗電流を増加させることなく検出感度を高めることが可能になる。
本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器の概略的断面図である。 本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器の動作原理の説明図である。 本発明の実施例1の量子ドット型光検知器の概略的断面図である。 本発明の実施例1の量子ドット型光検知器の動作原理の説明図である。 本発明の実施例1の量子ドット型光検知器を搭載した赤外線撮像装置の一部切り欠き斜視図である。 本発明の実施例2の量子閉じ込め構造光検知器の概略的断面図である。 本発明の実施例2の量子閉じ込め構造光検知器の動作原理の説明図である。 従来の量子ドット型光検知器の概略的断面図である。 従来の量子ドット型光検知器の問題点の説明図である。
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器を説明する。図1は、本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器の概略的断面図である。本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器は、量子閉じ込め構造を有する受光部7と、受光部7の近傍に設けられて受光部7にキャリアをトンネル注入する障壁層4/井戸層5/障壁層6の積層構造を有する量子井戸構造3を備えている。この時、キャリアの注入源となる量子井戸構造3の障壁層4,6の禁制帯幅を、受光部7の量子閉じ込め構造を形成する中間層8,10の禁制帯幅より大きくして、熱励起キャリアの発生を抑制する。キャリアがトンネル注入する距離は10nm以下であり、より好適には8nm以下とする。
量子閉じ込め構造を有する受光部7としては、量子井戸構造3の障壁層6を利用して、障壁層6とバリア層として作用する中間層10に挟まれた井戸層を有する1次元量子閉じ込め構造を有する受光部を用いても良い。この場合には、典型的には、受光部7をAlGaAs/GaAs/AlGaAs積層構造とし、量子井戸構造3をAlGaAs/AlGaAs/AlGaAs積層構造とする。
或いは、量子閉じ込め構造を有する受光部7として、中間層8,10に挟まれた量子ドット9を有する3次元量子閉じ込め構造を有する受光部を用いても良い。この場合には、典型的には、中間層8,10をAlGaAs層とし、量子ドット9をInAs量子ドットとする。また、量子井戸構造3を、AlGaAs/InGaAs/AlGaAs積層構造とする。なお、基板側の中間層8は量子ドット9を形成する際の下地層となる。
また、障壁層4/井戸層5/障壁層6の積層構造を有する量子井戸構造3の井戸層5に、井戸層5に捕獲されるキャリアと同導電型の導電型決定不純物をドープすることが望ましく、それによって受光部7に供給するキャリアを多くすることができる。
また、量子閉じ込め構造を有する受光部7は、光検知時のキャリアの流れに関して量子井戸構造3の下流側に配置する。なお、上記の特許文献1の場合も量子閉じ込め構造を有する受光部と量子井戸構造を近接配置しているが、受光部における電位障壁の低下を目的とするものであるため、本発明とは逆に受光部の下流側に量子井戸構造を設けている。
また、受光感度を高めるために、量子閉じ込め構造を有する受光部7と量子井戸構造3を交互に複数層積層することが一般的であり、積層数としては、5〜100とする。この場合、受光部7と、光検知時のキャリアの流れに関して受光部7より下流側に配置された量子井戸構造3との間に、中間層10の禁制帯幅から障壁層4の禁制帯幅まで連続的に禁制帯幅が変化する傾斜禁制帯幅層11を設けることが望ましい。この傾斜禁制帯幅層11により光励起されたキャリアの流れをスムーズにすることができる。
上述の量子閉じ込め構造光検知器を二次元格子状に配列することで赤外線撮像素子となる。また、この赤外線撮像素子と赤外線撮像素子の各画素に対応するバイアス兼スイッチング用のトランジスタを二次元格子状に配列した信号処理回路基板とを突起状電極で1:1に接続することで赤外線撮像装置が形成される。
図2は、本発明の実施の形態の量子閉じ込め構造光検知器の動作原理の説明図であり、ここでは、キャリアを電子にした場合を説明するが、キャリアを正孔にした場合には、価電子帯側において同様の状態になる。図2(a)は光入射のない場合のバンド構造図であり、量子井戸構造3及び量子閉じ込め構造を有する受光部7のそれぞれに束縛電子17,18が捕獲された状態になっている。この時、量子井戸構造3の障壁層(4,6)の禁制帯幅を受光部7の中間層(8,10)の禁制帯幅より大きくしているので、伝導帯側において両者の間にΔEのギャップが形成される。
図2(b)に示すように、入射光19が受光部7に入射すると、受光部7に捕獲されていた束縛電子(17)が光を吸収して励起されて光励起電子20になって束縛状態から脱する。量子準位が空位になった受光部7には量子井戸構造3の束縛電子18がトンネル効果によって注入されて空位になっていた量子準位に捕獲される。したがって、光吸収による束縛電子17の減少を補っているので、検知器感度低下が抑制される。また、隣接する量子井戸構造3に捕獲されている束縛電子18は井戸層(5)を挟む障壁層(4,6)の高いエネルギー障壁により熱的励起が抑制される。その結果、量子井戸構造3を設けたことに起因する暗電流増加は低く抑えられる。
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施例1の量子ドット型光検知器を説明する。図3は本発明の実施例1の量子ドット型光検知器の概略的断面図である。図3に示すように、分子線エピタキシー法を用いて、半絶縁性GaAs基板21上に、厚さが1000nmで、Si濃度が2×1018cm−3のn型GaAs下部電極層22を成膜する。この時の基板温度は600℃とする。
引き続いて、基板温度を485℃として、厚さが50nmのi型Al0.2Ga0.8Asバリア層23、厚さが3nmでSi濃度が4×1017cm−3のn型In0.3Ga0.7As井戸層24及び厚さが5nmのi型Al0.2Ga0.8Asバリア層25を順次成膜する。この積層構造が電子を量子ドットにトンネル注入する量子井戸構造となる。
引き続いて、厚さが3nmのi型Al0.1Ga0.9As下地層26を成膜する。次いで、成長速度を0.2分子層/秒としてInAsを2.0分子層分供給する。ある程度の量を供給することによりInAsに加わる圧縮歪が増し、InAsが3次元成長をしてInAs量子ドット27が自己形成される。引き続いて、厚さが10nmのi型Al0.1Ga0.9As中間層28を成膜する。この積層構造が3次元量子閉じ込め構造である量子ドットを有する受光部となる。
次いで、厚さが100nmのi型AlGaAs傾斜組成層29を成膜する。このi型AlGaAs傾斜組成層29は、Al組成比が0.1から0.2に滑らかに変わるようにAl組成比を調整しながら成長させる。
次いで、i型Al0.2Ga0.8Asバリア層23乃至i型AlGaAs傾斜組成層29の積層構造を9回繰り返して合計で10段の積層構造を形成した後、厚さが50nmのi型Al0.2Ga0.8As層30を成膜する。次いで、基板温度を485℃から600℃に昇温したのち、厚さが1000nmでSi濃度が2×1018cm−3のn型GaAs上部電極層31を成膜する。
次いで、標準的なリソグラフィー及びドライエッチングによりn型GaAs下部電極層22までの掘削を行って画素を形成し、次いで、蒸着法を用いてAuGe及びAuを順次成膜してAuGe/Au積層構造の下部電極32及び上部電極33を形成する。下部電極32と上部電極33との間に下部電極32が陰極、上部電極33が陽極となるようにバイアス電源34を接続して電極間に電位差を加えておき、その間に流れる電流を電流計35で計測すると、光入射時の電流変化を観測することができる。
図4は、本発明の実施例1の量子ドット型光検知器の動作原理の説明図であり、図4(a)は無バイアス状態の伝導帯側のバンドダイヤグラムであり、図4(b)は、光検知時の伝導帯側のバンドダイヤグラムである。図4(a)に示すように、n型In0.3Ga0.7As井戸層24の量子準位及びInAs量子ドット27の量子準位に電子が捕獲された状態になっている。
図4(b)に示すように、バイアス電圧が印加された状態で光が入射するとInAs量子ドット27において光吸収が生じて励起された電子がInAs量子ドット27から飛び出して光電流となる。この時、電子の流れに関して上流側にあるn型In0.3Ga0.7As井戸層24の量子準位に捕獲されている電子が厚さが5nmのi型Al0.2Ga0.8Asバリア層25及び厚さが3nmのi型Al0.1Ga0.9As下地層26をトンネルしてInAs量子ドット27に注入される。注入された電子はInAs量子ドット27の空位になっている量子準位に捕獲されて光吸収が可能な状態となる。
このように、本発明の実施例1の量子ドット型光検知器においては、受光部となるInAs量子ドット27の上流側に電子をトンネル注入する量子井戸構造を設けているので光吸収に伴う電子の減少による検知感度の低下を抑制することができる。この時、i型Al0.2Ga0.8Asバリア層25の禁制帯幅はi型Al0.1Ga0.9As下地層26の禁制帯幅より大きく、したがって、ポテンシャルウエルの深さがより深くなるので、n型In0.3Ga0.7As井戸層24に起因する熱励起電子の発生が抑制される。
図5は、本発明の実施例1の量子ドット型光検知器を搭載した赤外線撮像装置の一部切り欠き斜視図である。ここでは、図3に示した量子ドット型光検知器を1画素として2次元格子状に配置して赤外線撮像素子60が形成される。この赤外線撮像素子60をInバンプ61により信号読出回路71及びバイアス兼スイッチングトランジスタを形成したSi信号処理回路装置70とフリップチップボンディング技術を用いてハイブリッド接続を行うことにより赤外線撮像装置の本体部となる。最後に、赤外線撮像装置の本体部に対して、必要な光学系や冷却デュア容器内への設置等の工程を終えて、赤外線撮像装置が完成する。なお、図5における符号72は撮像対象となる赤外線である。
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施例2の量子井戸型光検知器を説明する。図6は本発明の実施例2の量子井戸型光検知器の概略的断面図である。図6に示すように、分子線エピタキシー法を用いて、半絶縁性GaAs基板41上に、厚さが1000nmで、Si濃度が2×1018cm−3のn型GaAs下部電極層42を成膜する。この時の基板温度は600℃とする。
引き続いて、厚さが40nmのi型Al0.3Ga0.7Asバリア層43、厚さが8nmでSi濃度が4×1017cm−3のn型Al0.05Ga0.95As井戸層44及び厚さが6nmのi型Al0.3Ga0.7Asバリア層45を順次成膜する。この積層構造が電子を量子ドットにトンネル注入する量子井戸構造となる。
引き続いて、厚さが4.5nmでSi濃度が4×1017cm−3のn型GaAs井戸層46及び厚さが10nmのi型Al0.25Ga0.75Asバリア層47を順次成膜する。ここで、i型Al0.3Ga0.7Asバリア層45を一方のバリア層とする量子井戸構造によって1次元量子閉じ込め構造の受光部が形成される。
次いで、厚さが50nmのi型AlGaAs傾斜組成層48を成膜する。このi型AlGaAs傾斜組成層48は、Al組成比が0.25から0.3に滑らかに変わるようにAl組成比を調整しながら成長させる。
次いで、i型Al0.3Ga0.7Asバリア層43乃至i型AlGaAs傾斜組成層48の積層構造を9回繰り返して合計で10段の積層構造を形成した後、厚さが50nのi型Al0.3Ga0.7As層49を成膜する。次いで、厚さが1000nmでSi濃度が2×1018cm−3のn型GaAs上部電極層50を成膜する。
次いで、標準的なリソグラフィー及びドライエッチングによりn型GaAs上部電極50に回折格子51を形成する。次いで、標準的なリソグラフィー及びドライエッチングによりn型GaAs下部電極層42までの掘削を行って画素を形成し、次いで、蒸着法を用いてAuGe及びAuを順次成膜してAuGe/Au積層構造の下部電極52及び反射電極53を形成する。
下部電極52と反射電極53との間に下部電極52が陰極、反射電極53が陽極となるようにバイアス電源54を接続して電極間に電位差を加えておき、その間に流れる電流を電流計55で計測すると、光入射時の電流変化を観測することができる。
図7は、本発明の実施例2の量子井戸型光検知器の動作原理の説明図であり、図7(a)は無バイアス状態の伝導帯側のバンドダイヤグラムであり、図7(b)は、光検知時の伝導帯側のバンドダイヤグラムである。図7(a)に示すように、n型Al0.05Ga0.95As井戸層44の量子準位及びn型GaAs量子井戸層46の量子準位に電子が捕獲された状態になっている。
図7(b)に示すように、バイアス電圧が印加された状態で光が入射すると光は垂直入射光に感度を有さないn型GaAs井戸層46を透過し、回折格子51で回折されて斜め方向からn型GaAs井戸層46に入射して光吸収が生じる。光吸収により励起された電子がn型GaAs井戸層46から飛び出して光電流となる。この時、電子の流れに関して上流側にあるn型Al0.05Ga0.95As井戸層44の量子準位に捕獲されている電子が厚さが6nmのi型Al0.3Ga0.7Asバリア層45をトンネルしてn型GaAs井戸層46に注入される。注入された電子はn型GaAs井戸層46の空位になっている量子準位に捕獲されて光吸収が可能な状態となる。
このように、本発明の実施例2の量子井戸型光検知器においては、受光部となるn型GaAs井戸層46の上流側に電子をトンネル注入する量子井戸構造を設けているので光吸収に伴う電子の減少による検知感度の低下を抑制することができる。この時、i型Al0.3Ga0.7Asバリア層45の禁制帯幅はi型Al0.25Ga0.75Asバリア層47の禁制帯幅より大きく、したがって、ポテンシャルウエルの深さがより深くなるので、n型Al0.05Ga0.95As井戸層45に起因する熱励起電子の発生が抑制される。また、この本発明の実施例2の量子井戸型光検知器の場合も、実施例1と同様に赤外線撮像素子を形成してSi信号処理回路装置70とフリップチップボンディングすることにより赤外線撮像装置となる。
なお、上記の実施例1及び実施例2においては、下部電極を陰極としているが、下部電極を陽極としても良く、その場合には、n型GaAs下部電極層上に量子閉じ込め構造を有する受光部を形成した後、その上に電子のトンネル注入源となる量子井戸構造を設ければ良い。
ここで、実施例1及び実施例2を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)量子閉じ込め構造を有する受光部と、前記受光部の近傍に設けられて前記受光部にキャリアをトンネル注入する障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造とを有し、前記障壁層の禁制帯幅が、受光部の量子閉じ込め構造を形成する中間層の禁制帯幅より大きいことを特徴とする量子閉じ込め構造光検知器。
(付記2)前記キャリアがトンネル注入する距離が、10nm以下であることを特徴とする付記1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記3)前記量子閉じ込め構造を有する受光部が、前記量子井戸構造の障壁層と前記中間層とに挟まれた井戸層を有する1次元量子閉じ込め構造を有する受光部であることを特徴とする付記1または付記2に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記4)前記量子閉じ込め構造を有する受光部が、AlGaAs/GaAs/AlGaAs積層構造を有し、前記量子井戸構造が、AlGaAs/AlGaAs/AlGaAs積層構造を有することを特徴とする付記3に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記5)前記量子閉じ込め構造を有する受光部が、前記中間層に挟まれた量子ドットを有する3次元量子閉じ込め構造を有する受光部であることを特徴とする付記1または付記2に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記6)前記中間層がAlGaAs層であり、前記量子ドットがInAs量子ドットであり、前記量子井戸構造が、AlGaAs/InGaAs/AlGaAs積層構造を有することを特徴とする付記5に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記7)前記障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造の前記井戸層に、前記井戸層に捕獲されるキャリアと同導電型の導電型決定不純物がドープされていることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記8)量子閉じ込め構造を有する受光部が、光検知時のキャリアの流れに関して前記量子井戸構造の下流側に配置されていることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれか1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記9)前記量子閉じ込め構造を有する受光部と前記量子井戸構造が交互に複数層積層されていることを特徴とする付記1乃至付記8のいずれか1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記10)前記量子閉じ込め構造を有する受光部と、光検知時のキャリアの流れに関して前記受光部より下流側に配置された量子井戸構造との間に、前記中間層の禁制帯幅から前記障壁層の禁制帯幅まで連続的に禁制帯幅が変化する傾斜禁制帯幅層を有することを特徴とする付記9に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
(付記11)付記1乃至付記10のいずれか1に記載の量子閉じ込め構造光検知器を二次元格子状に配列した赤外線撮像素子と、前記赤外線撮像素子の各画素に対応するバイアス兼スイッチング用のトランジスタを二次元格子状に配列した信号処理回路基板と、前記各画素と前記各トランジスタを1:1で接続する突起状電極とを有することを特徴とする赤外線撮像装置。
1 半導体基板
2 半導体下部電極層
3 量子井戸構造
4 障壁層
5 井戸層
6 障壁層
7 受光部
8 中間層
9 量子ドット
10 中間層
11 傾斜禁止帯幅層
12 半導体上部電極層
13 下部電極
14 上部電極
15 バイアス電源
16 電流計
17,18 束縛電子
19 入射光
20 光励起電子
21 半絶縁性GaAs基板
22 n型GaAs下部電極層
23,25 i型Al0.2Ga0.8Asバリア層
24 n型In0.3Ga0.7As井戸層
26 i型Al0.1Ga0.9As下地層
27 InAs量子ドット
28 i型Al0.1Ga0.9As中間層
29 i型AlGaAs傾斜組成層
30 i型Al0.2Ga0.8As層
31 n型GaAs上部電極層
32 下部電極
33 上部電極
34 バイアス電源
35 電流計
41 半絶縁性GaAs基板
42 n型GaAs下部電極層
43,45 i型Al0.3Ga0.7Asバリア層
44 n型Al0.05Ga0.95As井戸層
46 n型GaAs井戸層
47 i型Al0.25Ga0.75Asバリア層
48 i型AlGaAs傾斜組成層
49 i型Al0.3Ga0.7As層
50 n型GaAs上部電極層
51 回折格子
52 下部電極
53 反射電極
54 バイアス電源
55 電流計
60 赤外線撮像素子
61 Inバンプ
70 Si信号処理回路基板
71 読出回路
72 赤外線
81 半絶縁性GaAs基板
82 n型GaAs下部電極層
83 GaAs下地層
84 InAs量子ドット
85 GaAs中間層
86 n型GaAs上部電極層
87 下部電極
88 上部電極
89 バイアス電源
90 電流計
91 量子準位
92 束縛電子
93 光
94 光励起電子
95 熱
96 熱励起電子

Claims (6)

  1. 量子閉じ込め構造を有する受光部と、
    前記受光部の近傍に設けられて前記受光部にキャリアをトンネル注入する障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造と
    を有し、
    前記障壁層の禁制帯幅が、受光部の量子閉じ込め構造を形成する中間層の禁制帯幅より大きいことを特徴とする量子閉じ込め構造光検知器。
  2. 前記量子閉じ込め構造を有する受光部が、前記量子井戸構造の障壁層と前記中間層とに挟まれた井戸層を有する1次元量子閉じ込め構造を有する受光部であることを特徴とする請求項1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
  3. 前記量子閉じ込め構造を有する受光部が、前記中間層に挟まれた量子ドットを有する3次元量子閉じ込め構造を有する受光部であることを特徴とする請求項1に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
  4. 前記障壁層/井戸層/障壁層の積層構造を有する量子井戸構造の前記井戸層に、前記井戸層に束縛されるキャリアと同導電型の導電型決定不純物がドープされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
  5. 前記量子閉じ込め構造を有する受光部と前記量子井戸構造が交互に複数層積層されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の量子閉じ込め構造光検知器。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の量子閉じ込め構造光検知器を二次元格子状に配列した赤外線撮像素子と、
    前記赤外線撮像素子の各画素に対応するバイアス兼スイッチング用のトランジスタを二次元格子状に配列した信号処理回路基板と、
    前記各画素と前記各トランジスタを1:1で接続する突起状電極と
    を有することを特徴とする赤外線撮像装置。
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