JP2016162947A - 軟磁性材料、軟磁性粉末、圧粉磁心、およびこれらの製造方法 - Google Patents

軟磁性材料、軟磁性粉末、圧粉磁心、およびこれらの製造方法 Download PDF

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Miho Chiba
美帆 千葉
悠 金森
Hisashi Kanamori
悠 金森
浦田 顕理
Kenri Urata
顕理 浦田
真 八巻
Makoto Yamaki
真 八巻
芳 佐竹
Kaoru Satake
芳 佐竹
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Abstract

【課題】加圧や加熱による磁気特性の劣化を防ぐことができる軟磁性材料を提供する。
【解決手段】軟磁性材料1は、帯状の非晶質体4と、非晶質体4の内部に析出したナノ結晶相3と、を有し、結晶化度が0を超え、30%未満であり、非晶質体4の厚さ方向における中央部5よりも表面7の方が結晶化度が大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性材料、軟磁性粉末、圧粉磁心、およびこれらの製造方法に関する。
圧粉磁心に用いられる軟磁性粉末としては、単ロール法等を用いて溶融した合金を急冷して帯状の非晶質軟磁性材料とし、当該非晶質軟磁性材料を粉砕して軟磁性粉末にしたものがある。
非晶質軟磁性材料をそのまま非晶質の状態で用いて圧粉磁心を製造した場合、圧粉磁心の形状に成型した状態で加熱すると、相変態に伴う発熱により合金温度が急上昇して結晶粒の粗大化や不純物の生成が引き起こされ、磁気特性が劣化する恐れがある。
一方で、非晶質軟磁性材料を予め結晶化した上で圧粉磁心を製造した場合、上記の問題は回避できるが、圧粉磁心を製造する際に成型時の加圧で発生した内部応力を除去できないため、やはり磁気特性が劣化する恐れがある。
そこで、特許文献1、2に示すように、非晶質軟磁性材料の一部を結晶化した構造が提案されている。
特開平05−335129号公報 特開2008−294411号公報
しかしながら、特許文献1、2の技術でも磁気特性の劣化を防ぐためには不十分であった。
本発明は上記課題を解決するためのものである。即ち、本発明の目的は加圧や加熱による磁気特性の劣化を防ぐことができる軟磁性材料を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の第1の態様は、帯状の非晶質体と、前記非晶質体の内部に析出した結晶相と、を有し、結晶化度が0を超え、30%未満であり、前記非晶質体の厚さ方向における中央部よりも表面の方が結晶化度が大きい、軟磁性材料である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の軟磁性材料を粉砕して粉末状とした、軟磁性粉末である。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の軟磁性粉末をバインダと混合して成型し、加熱してなる圧粉磁心である。
本発明の第4の態様は、(a)溶融した原料を急冷して帯状の非晶質体を形成し、(b)前記非晶質体を熱処理して前記非晶質体中に結晶相を析出させる、を有し、前記(b)は、結晶化度が0を超え、30%未満となるように、かつ前記非晶質体の厚さ方向における中央部よりも表面の方が結晶化度が大きくなるように、前記非晶質体中に前記結晶相を析出させる、軟磁性材料の製造方法である。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の軟磁性材料の製造方法で得られた軟磁性材料を粉砕して粉末を得る、軟磁性粉末の製造方法である。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の軟磁性粉末の製造方法で得られた軟磁性粉末をバインダと混合して成型し、加熱して圧粉磁心を得る、圧粉磁心の製造方法である。
本発明によれば、加圧や加熱による磁気特性の劣化を防ぐことができる軟磁性材料を提供することができる。
本発明の実施形態に係る軟磁性材料1および軟磁性粉末2を示す斜視図および部分断面図である。 圧粉磁心21の斜視図である。 軟磁性粉末2に示唆走査型熱量分析計を用いて所定の昇温速度で加熱した場合の温度と発熱量を示す図であり、以下の説明ではこの図で表される曲線をDSC曲線とも称す。 軟磁性材料1および軟磁性粉末2の製造の手順を示すフロー図である。 軟磁性粉末2を用いた圧粉磁心21の製造の手順を示すフロー図である。 実施例1〜3および比較例1による薄帯粉砕粉末のDSC曲線である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<概要>
まず、図1及び図2を参照して第1の実施形態に係る軟磁性材料1、軟磁性粉末2、および圧粉磁心21の概略構成について説明する。
図1に示すように、軟磁性材料1は帯状の形状を有している。
より具体的には、軟磁性材料1は帯状の非晶質体4と、非晶質体4の内部に微細なα―Feが析出したナノ結晶相3を有する。
ここで、軟磁性材料1の結晶化度は0を超え、30%未満である。
さらに、図1に示すように、軟磁性材料1では、ナノ結晶相3が非晶質体4の帯の厚さ方向である図1のA方向における中央部5よりも表面7の近傍に集中している。具体的には非晶質体4の厚さ方向における中央部5よりも表面7の方が結晶化度が大きくなっている。
軟磁性材料1をこのように部分的に結晶化させる構造とする理由について説明する。
上記の通り、軟磁性材料1を非晶質体4のままナノ結晶相3を析出させずに用いて圧粉磁心を製造した場合、圧粉磁心の形状に成型した状態で加熱すると、α―Feナノ結晶析出に伴う発熱により合金温度が急上昇して結晶粒の粗大化やFe−B系化合物やFe−P系化合物の析出が起こり、磁気特性が劣化する恐れがある。
一方で、軟磁性材料1を予め完全に結晶化した上で圧粉磁心を製造した場合、上記の問題は回避できるが、圧粉磁心を製造する際の成型時の加圧で発生した内部応力を除去できないため、やはり磁気特性が劣化する恐れがある。
そこで、本実施形態に係る軟磁性材料1では、予め、非晶質体4の厚さ方向である図1のA方向における中央部5よりも表面7の近傍に集中してナノ結晶相3を析出させる構造とした。このような構造とすることにより、結晶粒の粗大化や不純物の生成を抑制しつつ、内部応力の発生を抑制できる。
そのため、軟磁性材料1を非晶質体4のまま用いる場合および軟磁性材料1を予め完全に結晶化する場合と比べて、加圧や加熱による磁気特性の劣化を防ぐことができる。
なお、軟磁性材料1を粉砕して粉末状にしたものが軟磁性粉末2である。また、詳細は後述するが、軟磁性粉末2は例えば加圧成型し、加熱することで図2に示すような圧粉磁心21として利用できる。
以上が軟磁性材料1、軟磁性粉末2、および圧粉磁心21の概略構成の説明である。
<組成>
次に、軟磁性材料1の組成について、より具体的に説明する。
まず、軟磁性材料1の結晶化度は上記の通り0を超え、30%未満である。これは、結晶化度が30%以上になると、圧粉磁心21を製造する際に成型時の加圧で発生した内部応力による磁気特性の劣化が顕著になるためである。
また、軟磁性材料1の結晶化度を0にすると、ナノ結晶相3が析出していない状態となるため、圧粉磁心21を製造する際に加熱すると、相変態に伴う発熱による合金温度の上昇を抑制できなくなるからである。
なお、加圧や加熱による磁気特性の劣化をより抑制するという観点からは軟磁性材料1の結晶化度は5%以上、20%未満であるのがより望ましく、10%以上、18%以下であるのがさらに望ましい。
次に、軟磁性材料1を構成する材料は、図1に示すように、非晶質体4の内部にナノ結晶相3を析出させることができ、例えば圧粉磁心21とした場合に所望の磁気特性を発揮できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えばFe基合金が例示できる。
軟磁性材料1を構成する材料がFe基合金の場合、Feを80原子%以上、82原子%以下含むのが望ましい。これは、Feの割合がこの範囲から外れると飽和磁束密度が下がるためである。具体的には、Feが80原子%未満の場合は飽和磁束密度が1.60T未満になり、82原子%を超えると飽和磁束密度が1.70T未満になる。
さらに具体的な合金組成を例示すると、Feを80原子%以上、Bを5原子%以上、Pを3原子%以上、Cuを0.3原子%以上含み、さらにSiを選択的に含む合金が挙げられる。
以上が軟磁性材料1の組成の説明である。
<測定方法>
次に、軟磁性材料1が図1に示すような、非晶質体4の一部にナノ結晶相3が析出した構造を有するか否かを測定する方法について、例示する。
まず、軟磁性材料1中のナノ結晶相3の割合については、X線回折装置にて得られた回折パターンから、バックグラウンドを除去した後、結晶質ピークと非晶質ハローのそれぞれに分離し、それらの積分強度より算出することができる。なお、以下の説明ではX線回折装置をXRDと略す。
また、軟磁性材料1および軟磁性粉末2の微細構造については、透過型電子顕微鏡による合金粉末断面の組織観察において確認することができる。なお、透過型電子顕微鏡はTEMとも略される。また、組織観察に用いる試料の作製方法としては、例えば軟磁性粉末2を冷間樹脂中に埋め込み硬化し、研磨することで軟磁性粉末2の断面を露出させる方法がある。
また、軟磁性材料1のように部分的に結晶化した非晶質合金は、図3に示すように、示差走査型熱量分析計を用いて所定の温度差ΔTとなるように加熱し続けた場合に、発熱ピークを2つ以上有する曲線を得られる。図3では発熱ピークとして第1ピーク11と第2ピーク15を有するDSC曲線が例示されている。
なお、DSCは、測定試料と基準物質との間の熱量の差を計測しており、DSC曲線は、縦軸に重量で規格化した熱流、横軸に温度や時間をとった曲線となる。
また、軟磁性材料1がFe基合金の場合、低温側のピークである第1ピーク11はα―Feの析出に起因するピークであり、高温側のピークである第2ピーク15はFe−B系化合物やFe−P系化合物の析出に起因するピークである。
以上が軟磁性材料1が図1に示すような、非晶質体4の一部にナノ結晶相3が析出した構造を有するか否かを測定する方法の例示である。
<製造方法>
次に、軟磁性材料1、軟磁性粉末2、および軟磁性粉末2を用いた圧粉磁心21の製造方法について、図4および図5を参照して説明する。
まず軟磁性材料1および軟磁性粉末2の製造方法としては、上記した構造を有する軟磁性材料1を製造できる方法であれば、必ずしも特定の方法に限定されるものではないが、図4に示す以下の方法を例示できる。
まず、軟磁性材料1の原料を秤量し(図4のS1)、高周波溶解等の公知の方法を用いて溶解する(図4のS2)。
次に、溶解した原料を単ロール液体急冷法あるいは双ロール液体急冷法等の公知の液体急冷法を用いて急冷し、非晶質体4としての非晶質性合金薄帯を形成する(図4のS3)。
次に、非晶質性合金薄帯を加熱して熱処理を行い、非晶質体4の内部にナノ結晶相3を析出させ、軟磁性材料1を製造する(図4のS4)。具体的な熱処理方法としては、所定の温度に保持した硝酸系溶融塩等の塩浴炉に非晶質合金薄帯を浸漬させる方法が例示できる。この方法は液体から固体、即ち塩浴から非晶質合金薄帯に熱を伝えることにより非晶質体4を熱処理する方法といえる。また、塩浴への浸漬温度および浸漬時間を調整することで、結晶化度の異なる軟磁性材料1を製造することも可能である。
なお、非晶質体4の熱処理方法は塩浴に限定されるものではなく、例えば所定の温度に保持したロール等の固体に非晶質性合金薄帯を接触させ、固体から固体、即ちロールから非晶質合金薄帯に熱を伝えることにより非晶質性合金薄帯を熱処理する方法を用いてもよい。
次に、S4を塩浴炉を用いて行った場合、軟磁性材料1を塩浴炉から引き揚げて、表面に残留している溶融塩を洗浄で除去し軟磁性材料1を回収する(図4のS5)。具体的には、軟磁性材料1を水やアルコール等で洗浄し、洗浄液に溶融塩を溶解して除去する。
次に、軟磁性材料1を粉砕することによって軟磁性粉末2を生成し、得られた軟磁性粉末2を回収する(図4のS6)。粉砕装置は特に限定しないが、ボールミル、スタンプミル、遊星ミル、サイクロンミルなど種々の粉砕装置を用いることができる。軟磁性粉末2の回収の際は、所定のメッシュ間隔を有するふるいを用いて分級することで、所望の粒径を有する軟磁性粉末2のみを回収することが可能である。また、粉砕条件を調整することによって、得られる軟磁性粉末2の粒径を変更することが可能である。
以上が軟磁性材料1および軟磁性粉末2の製造方法である。
次に、圧粉磁心21の製造方法についても、必ずしも特定の方法に限定されるものではないが、図5に示す以下の方法を例示できる。
まず、軟磁性粉末2を熱硬化性のバインダ等と混合し(図5のS11)、メッシュを通して造粒する(図5のS12)。なお、圧粉磁心21に用いる軟磁性粉末2は1種類に限定されるものではなく、組成や結晶化度の異なる2種類以上の軟磁性粉末2を混合してもよい。
次に、造粒して得られた造粒粉を金型に入れ、油圧式自動プレス機等を用いて加圧して圧粉体を得る(図5のS13)。
最後に、赤外線加熱装置等の加熱装置を用いて圧粉体を加熱し、圧粉体を硬化させるとともにナノ結晶化させて圧粉磁心21を得る(図5のS14)。なお、S14は以下の説明では追加熱処理ともいう。
以上が軟磁性材料1、軟磁性粉末2、および軟磁性粉末2を用いた圧粉磁心21の製造方法の例である。
このように、本実施形態に係る軟磁性材料1は、帯状の非晶質体4と、非晶質体4の内部に析出したナノ結晶相3を有し、結晶化度が0を超え、30%未満であり、かつ非晶質体4の厚さ方向における中央部5よりも表面7の方が結晶化度が大きくなっている。
そのため、軟磁性材料1を非晶質体4のまま用いる場合および軟磁性材料1を予め完全に結晶化する場合と比べて、加圧や加熱による磁気特性の劣化を防ぐことができる。
以下、実施例に基づき、本発明を具体的に説明する。
<実験1:熱処理時間と材料特性の関係評価>
軟磁性材料1およびそれを用いた軟磁性粉末2と圧粉磁心21を、塩浴による熱処理時間以外は同じ条件で製造し、熱処理時間と、軟磁性粉末2および圧粉磁心21との特性の関係を評価した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、原料としてFe、Fe−Si、Fe−B、Fe−P、Cuを用意してFe83.3Cu0.7の合金組成になるように秤量し、高周波溶解にて溶解して合金組成物を得た。
次に、溶解した合金組成物を大気中において単ロール液体急冷法にて急冷し、非晶質体4としての厚さ25μm、幅15mm、長さ30mの薄帯を得た。
次に、得られた薄帯を425℃に加熱した塩浴炉の中に、2秒、8秒、16秒、24秒のいずれかの時間、浸漬して熱処理することで非晶質体4中にナノ結晶相3を析出させ、軟磁性材料1を製造した。
熱処理後、軟磁性材料1を水およびアルコールにて洗浄した後、乾燥することで軟磁性材料1に付着した塩を除去した。
次に、塩を除去した軟磁性材料1のうち、20gをビニール袋に入れて手で粗粉砕した後、SUS製メディア160gと一緒に金属製ポッドに投入し、回転数165rpmにて12時間ポッドを回転させることで、ボールミルによる本粉砕を行った。
得られた粉砕粉末を150μmのメッシュに通し、粉砕不十分な薄片を除去して軟磁性粉末2を製造した。
次に、XRDを用いて軟磁性粉末2の回折パターンを取得し、得られた回折パターンから、バックグラウンドを除去した後、結晶質ピークと非晶質ハローのそれぞれに分離し、それらの積分強度より結晶化度を算出した。
次に、軟磁性粉末2を原料にして、以下の手順で圧粉磁心21を製造した。
まず、軟磁性粉末2と、軟磁性粉末2に対して重量比で2.5%となる熱硬化性バインダを混合し、500μmのメッシュを通して造粒して、造粒粉を得た。
次にこの造粒粉4.5gを金型に入れ、油圧式自動プレス機により圧力980MPaにて成型し、外径20mm−内径13mmの円筒形状の圧粉体を製造した。
次に赤外線加熱装置を用いて、425℃まで毎分40℃の昇温速度となるように圧粉体を加熱し、425℃にて20分間保持して追加熱処理した後、空冷し、圧粉磁心21を得た。
次に、得られた圧粉磁心21の電磁気特性をB−Hアナライザを用いて、周波数20kHz−磁束密度100mTにおけるコアロスPcvを測定し、評価した。
表1に、軟磁性粉末2と圧粉磁心21の評価結果を示す。
Figure 2016162947
表1より、実施例1〜3の軟磁性粉末2は、結晶化度が30%未満の範囲でナノ結晶相3を有しており、磁心形成後の追加熱処理後における化合物の生成はなく、これを原料とした圧粉磁心21は500kW/m3以下の低ロス特性を有していた。一方、比較例1の軟磁性粉末2は、結晶化度が0%だったため、これを原料とした圧粉磁心21に化合物の生成が確認され、コアロスが実施例1〜3と比べて大きかった。
次に、軟磁性粉末2の状態での、結晶化の際の発熱反応をDSCを用いて毎分40℃の昇温速度にて評価した。
図6に、実施例1〜3および比較例1による軟磁性粉末2のDSC曲線を示す。
図6に示すように、塩浴浸漬時間が長くなり、ナノ結晶相3の割合が増加するにつれて、α−Fe析出に基づく発熱ピークがブロードになっていることが分かった。
発熱ピークのブロード化は、圧粉磁心21の追加熱処理時の発熱反応速度の緩和を表していることから、以上の結果より、本発明の軟磁性粉末2を用いることで、磁心形成後の追加熱処理における急激な発熱を抑制し、磁気特性の劣化を防ぐことができることが分かった。
また、塩浴による熱処理時間を長くするほど結晶化度が大きくなることが分かった。
<実験2:熱処理時間および熱処理温度と材料特性の関係評価>
表2に、塩浴による熱処理温度を450℃もしくは460℃とし、熱処理時間を1〜24秒としたほかは実験1と同じ条件で軟磁性材料1およびそれを用いた軟磁性粉末2と圧粉磁心21を製造し、実験1と同じ条件で結晶化度およびコアロスの評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016162947
表2に示すように、実施例4〜7の軟磁性粉末2は、結晶化度が30%未満の範囲でナノ結晶相3を有しており、これを原料とした圧粉磁心21の製造時の追加熱処理において化合物が生成することはなく、500kW/m3以下の低ロス特性を有する圧粉磁心21を製造できていた。
一方、比較例2〜4の軟磁性粉末2は結晶化度が30%以上の範囲でナノ結晶相3を有しており、これを原料とした圧粉磁心21中に化合物の生成は確認されなかったものの、実施例4〜7と比べてコアロス特性が劣化していた。
これは、比較例2〜4においても軟磁性粉末2はナノ結晶相3を有するため、急激な発熱とそれに伴う化合物生成は抑制できているが、塩浴の時間が実施例4〜7よりも長いか、あるいは加熱温度が高い条件であったため、ナノ結晶相3の割合が30%以上となり、追加熱処理によってナノ結晶相3へと相転移する非晶質体4が不足し、磁心成型時に加圧で付加された応力の緩和が不十分となり、磁気特性が劣化したものと考えられる。
また、実施例2と実施例5、実施例4と実施例6をそれぞれ比較すると、結晶化度はほぼ同じであるが、いずれの組み合わせにおいても塩浴の際の熱処理温度が高い方が低いコアロスを示しており、磁気特性が優れていることがわかった。また、塩浴の際の熱処理温度が高い方が、同じナノ結晶相3の割合となるのに必要な熱処理時間が短かった。
そのため、圧粉磁心21として用いた場合により優れた磁気特性を示す軟磁性粉末2を得るためには、部分結晶化のための非晶質体4の熱処理をなるべく高温・短時間で行うのが望ましいことが分かった。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、これら実施形態は単に例を挙げて発明を説明するためのものである。よって、これら実施形態は本出願人が本発明の範囲をこれらに限定することを意味するものではない。当業者であれば、上記記載に基づき各種変形例および改良例に想到するのは当然である。よって当該変形例および改良例も本発明の範囲である。
1 :軟磁性材料
2 :軟磁性粉末
3 :ナノ結晶相
4 :非晶質体
5 :中央部
7 :表面
11 :第1ピーク
15 :第2ピーク
21 :圧粉磁心

Claims (17)

  1. 帯状の非晶質体と、
    前記非晶質体の内部に析出した結晶相と、
    を有し、
    結晶化度が0を超え、30%未満であり、
    前記非晶質体の厚さ方向における中央部よりも表面の方が結晶化度が大きい、軟磁性材料。
  2. 結晶化度が5%以上、20%未満である、請求項1に記載の軟磁性材料。
  3. 結晶化度が10%以上、18%以下である、請求項1又は2に記載の軟磁性材料。
  4. Fe基合金である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟磁性材料。
  5. Feを80原子%以上、82原子%以下含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟磁性材料。
  6. Feを80原子%以上、Bを5原子%以上、Pを3原子%以上、Cuを0.3原子%以上含み、さらにSiを選択的に含む合金である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の軟磁性材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の軟磁性材料を粉砕して粉末状とした、軟磁性粉末。
  8. 請求項7に記載の軟磁性粉末をバインダと混合して成型し、加熱してなる圧粉磁心。
  9. (a)溶融した原料を急冷して帯状の非晶質体を形成し、
    (b)前記非晶質体を熱処理して前記非晶質体中に結晶相を析出させる、
    を有し、
    前記(b)は、結晶化度が0を超え、30%未満となるように、かつ前記非晶質体の厚さ方向における中央部よりも表面の方が結晶化度が大きくなるように、前記非晶質体中に前記結晶相を析出させる、軟磁性材料の製造方法。
  10. 前記原料はFe基合金である、請求項9に記載の軟磁性材料の製造方法。
  11. 前記原料はFeを80原子%以上、82原子%以下含む合金である、請求項9又は10に記載の軟磁性材料の製造方法。
  12. 前記(b)は、結晶化度が5%以上、20%以下となるように、前記非晶質体中に前記結晶相を析出させる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の軟磁性材料の製造方法。
  13. 前記(b)は、結晶化度が10%以上、18%以下となるように、前記非晶質体中に前記結晶相を析出させる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の軟磁性材料の製造方法。
  14. 前記原料はFeを80原子%以上、Bを5原子%以上、Pを3原子%以上、Cuを0.3原子%以上含み、さらにSiを選択的に含む合金である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の軟磁性材料の製造方法。
  15. 前記(b)は、前記非晶質体を塩浴中で熱処理する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の軟磁性材料の製造方法。
  16. 請求項9〜15のいずれか一項に記載の軟磁性材料の製造方法で得られた軟磁性材料を粉砕して粉末を得る、
    軟磁性粉末の製造方法。
  17. 請求項16に記載の軟磁性粉末の製造方法で得られた軟磁性粉末をバインダと混合して成型し、加熱して圧粉磁心を得る、圧粉磁心の製造方法。
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