JP2016162578A - 発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の取り出し効率の高効率化を図りつつ、非発光領域を目立たなくする発光装置、を提供する。
【解決手段】発光装置10は、透明基材21と、透明基材21の一方の表面上に設けられる有機層23とを備える。透明基材21は、有機層23からの光を出射する光出射面21aを有する。発光装置10は、光出射面21a上に設けられ、光出射面21aから出射される光を散乱させる異方性散乱層31をさらに備える。透明基材21内の配光がピークを示す方向は、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向となる。異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面21aに直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層31の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる。
【選択図】図1
【解決手段】発光装置10は、透明基材21と、透明基材21の一方の表面上に設けられる有機層23とを備える。透明基材21は、有機層23からの光を出射する光出射面21aを有する。発光装置10は、光出射面21a上に設けられ、光出射面21aから出射される光を散乱させる異方性散乱層31をさらに備える。透明基材21内の配光がピークを示す方向は、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向となる。異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面21aに直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層31の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる。
【選択図】図1
Description
この発明は、発光装置に関する。
従来の発光装置に関して、たとえば、特開2004−311186号公報には、色変換方式により任意の発光光として、かつ、直線偏光リッチな偏光光として効率よく取り出すことを目的とした、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が開示されている(特許文献1)。
特許文献1に開示された有機EL素子は、支持基板上に、透明電極、正孔輸送層、電子輸送性発光層および反射性電極が順次、積層された構成を有し、正面輝度値<50度〜70度方向の輝度値の関係を満たす。支持基板の光取り出し面側には、透光性樹脂中に複屈折特性の相違する微小領域を分散分布させた異方性散乱性樹脂層が設けられている。この樹脂層内には、発光層から放射される発光光を励起光源として吸収し、蛍光発光または燐光発光する少なくとも1種の発光性材料が含まれている。
近年、有機EL(Electro-Luminescence)や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が、面光源、薄型、フレキシブル等の利点から照明光源として注目されている。
たとえば、有機ELを用いた発光装置について見ると、有機層(発光層)を水分や酸素等から保護し、劣化を防ぐ目的で、発光装置が有機層の封止構造を備えることが一般的である。十分な封止性能を得るには、発光層よりも大きい面積を封止する必要があるため、現状において、発光装置は、発光層の投影領域である発光領域の外側に非発光領域を有する平面デバイス形状となっている。また、今後封止性能の向上が図られたとしても、平面デバイス形状の周縁部にクラックが生じるなどの製造工程上の理由から、一定の非発光領域は残るものと考えられる。
発光装置の面光源としての品質を高めるために、発光領域と、非発光領域との間における輝度差を低減して、非発光領域を目立たなくする構成が求められる。また、そのような構成は、光の取り出し効率の高効率化に寄与する構造で実現されることが求められる。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであって、光の取り出し効率の高効率化を図りつつ、非発光領域を目立たなくする発光装置を提供することである。
この発明に従った発光装置は、透明基材と、透明基材の一方の表面上に設けられる発光層とを備える。透明基材は、発光層とは反対側に、発光層からの光を出射する光出射面を有する。光出射面は、その平面視において発光層に重なり合う第1領域と、第1領域の外周上に位置する第2領域とを含む。発光装置は、第1領域および第2領域に跨って光出射面上に設けられ、光出射面から出射される光を散乱させる異方性散乱層をさらに備える。透明基材内の配光がピークを示す方向は、光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となる。異方性散乱層は、透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面に直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる。
なお、「透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、ほぼ一定である」とは、透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度の複数の測定値が、その複数の測定値の平均値の±20%の範囲内である場合をいう。
このように構成された発光装置によれば、透明基材内の配光がピークを示す方向を光出射面に直交する方向に対して傾いた方向とすることにより、発光層から透明基材を伝搬して光出射面の第2領域に到達する光の割合を増大させることができる。さらに、異方性散乱層を、透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面に直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けることによって、光出射面から出射した光を、異方性散乱層において効率よく、異方性散乱層の面上の全方位に散乱させることができる。これにより、第1領域上の発光領域と、第2領域上の非発光領域との間の輝度差を低減して、非発光領域を目立たなくする構成を実現することができる。また、光出射面から出射した光が異方性散乱層において効率よく散乱されて外部に取り出されるため、光の取り出し効率の高効率化を図ることができる。
また好ましくは、異方性散乱層は、長軸を有する非球体形状の光散乱粒子を含む。光散乱粒子は、長軸が光出射面と平行な面内でランダムな方向を向き、長軸と光出射面の法線とがなす角度が45°以上となる割合が、45°未満となる割合よりも多くなるように設けられる。
このように構成された発光装置によれば、異方性散乱層において、透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面に直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層の面上の全方位においてほぼ一定となる散乱特性を得ることができる。
また好ましくは、透明基材内の配光は、3以上のピークを示す。3以上のピークのうち最大のピークを示す方向が、光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となる。
このように構成された発光装置によれば、透明基材内の配光が最大ピークを示す方向を光出射面に直交する方向に対して傾いた方向とすることにより、発光層から透明基材を伝搬して光出射面の第2領域に到達する光の割合を増大させることができる。
また好ましくは、光出射面に直交する方向と透明基材内の配光がピークを示す方向とがなす角度がθであり、透明基材と空気との界面において形成される光の全反射角がαである場合に、θ>αの関係を満たす。
このように構成された発光装置によれば、透明基材内における光の全反射を利用することにより、発光層から透明基材を伝搬して光出射面の第2領域に到達する光の割合をより増大させることができる。
また好ましくは、発光装置は、異方性散乱層に対して透明基材の反対側に設けられる蛍光層をさらに備える。蛍光層は、発光層で発せられた光を励起光として蛍光発光する蛍光粒子を含む。また好ましくは、異方性散乱層は、発光層で発せられた光を励起光として蛍光発光する蛍光粒子を含む。
このように構成された発光装置によれば、発光層で発せられた光と、蛍光粒子により蛍光発光された光とが混じり合うことによって、白色光を得ることができる。
また好ましくは、第1領域および第2領域の境界において、透明基材内の配光がピークを示す方向が、光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となる。
このように構成された発光装置によれば、第1領域および第2領域の境界上における透明基材内の配光特性によって、発光層から透明基材を伝搬して光出射面の第2領域に到達する光の割合を増大させることができる。
また好ましくは、透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、第1領域および第2領域の境界において最大となる。
このように構成された発光装置によれば、光出射面から出射した光を、第1領域および第2領域の境界上の異方性散乱層において特に効率よく散乱させて外部に取り出すことができる。
また好ましくは、発光層、透明基材および異方性散乱層は、可撓性を有する。
このように構成された発光装置によれば、曲げ変形可能な発光装置を実現することができる。
このように構成された発光装置によれば、曲げ変形可能な発光装置を実現することができる。
また好ましくは、複数の発光層が互いに間隔を隔てて設けられる。
このように構成された発光装置によれば、より広い発光面積を備えた発光装置を実現することができる。
このように構成された発光装置によれば、より広い発光面積を備えた発光装置を実現することができる。
以上に説明したように、この発明に従えば、光の取り出し効率の高効率化を図りつつ、非発光領域を目立たなくする発光装置を提供することができる。
(実施の形態)
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、この発明の実施の形態における発光装置を示す断面図である。図2は、図1中の矢印IIに示す方向から見た発光装置を示す平面図である。
図1および図2を参照して、この発明の実施の形態における発光装置10は、薄板形状を有する照明手段である。発光装置10は、面状発光部41および異方性散乱層31を有する。面状発光部41は、面状に延在する発光手段(発光パネル)として設けられている。
本実施の形態では、面状発光部41が、有機EL発光パネルから構成され、全体として曲げ可能なように可撓性を有するように形成されている。
面状発光部41は、透明基材21、陽極(アノード)24、有機層23、陰極(カソード)25、封止部材28および絶縁層29を有する。
透明基材21は、面状発光部41の発光面側に配置されている。透明基材21は、有機層23からの光が出射する光出射面21aと、光出射面21aの裏側に配置され、有機層23からの光が入射する光入射面21bとを有する。光出射面21aおよび光入射面21bは、平行に配置されている。透明基材21は、光出射面21aおよび光入射面21bが対向する方向が厚み方向となる平板形状を有する。
陽極24、有機層23および陰極25は、透明基材21(光入射面21b)上に順次積層されている。有機層23は、陽極24および陰極25の間に挟まれている。封止部材28は、陽極24、有機層23および陰極25からなる積層体を覆うように設けられている。
透明基材21を構成する部材としては、可撓性を有する透明部材が用いられる。透明基材21としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリカーボネイト(PC)等の光透過性の樹脂基材や、ガラス基板が用いられる。
光透過性の樹脂基材には、他に、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリプロピレン(PP)等が用いられてもよい。
陽極24は、透明性を有する導電膜(透明電極)である。陽極24を形成するためには、スパッタリング法等によって、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等が透明基材21上に成膜される。陽極24に用いられる他の材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が挙げられる。また、光が透過する厚み(5〜20nm)を有する金属膜、たとえば、アルミニウム(Al)や銀(Ag)を用いてもよい。
有機層23は、電力が供給されることによって光(可視光)を生成することが可能である。有機層23は、単層の発光層から構成されてもよく、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層などが順次積層されることによって構成されてもよい。有機層23は、可撓性を有する。
陰極25は、たとえば、アルミニウム(Al)である。陰極25は、真空蒸着法等によって有機層23を覆うように形成されている。陰極25を所定の形状にパターニングするために、真空蒸着の際にはマスクが用いられるとよい。陰極25の他の材料としては、フッ化リチウム(LiF)、Alとカルシウム(Ca)との積層、AlとLiFとの積層、および、Alとバリウム(Ba)との積層等が挙げられる。
陰極25と陽極24とが短絡しないように、陰極25と陽極24との間には絶縁層29が設けられている。絶縁層29は、たとえば、スパッタリング法を用いてSiO2などが成膜された後、フォトリソグラフィ法等を用いて陽極24と陰極25とを互いに絶縁する箇所を覆うように所望のパターンに形成される。
封止部材28は、面状発光部41の非発光面側に配置されている。封止部材28は、絶縁性を有する樹脂から形成される。封止部材28は、有機層23を、大気中の水分および酸素等のガスから保護するために設けられている。封止部材28は、陽極24、有機層23および陰極25を透明基材21上に封止する。なお、陽極24の一部は、電気的な接続のために封止部材28から露出している。
封止部材28には、PET、PEN、PS、PES、ポリイミド等のフィルムに、SiO2、Al2O3、SiNx等の無機薄膜と、柔軟性のあるアクリル樹脂薄膜などとを層状に複数層重ね合わせることでガスバリア性を備えたものが用いられる。
陽極24の封止部材28から露出している部分(図2中の左側の部分)は、電極部26(陽極用)を構成する。電極部26と陽極24とは互いに同じ材料で構成される。陰極25の封止部材28から露出している部分(図2中の右側の部分)は、電極部27(陰極用)を構成する。電極部27と陰極25とは互いに同じ材料で構成される。電極部26および電極部27には、はんだ付けまたは銀ペーストを用いて配線(不図示)が取り付けられる。配線の取り付け部には、耐水性および耐候性を保つために樹脂剤が塗布されてもよい。
面状発光部41の有機層23には、電極部26,27、陽極24および陰極25を通じて電力が供給される。電力供給により有機層23で生成された光は、透明電極である陽極24を通じて、透明基材21側に取り出される。
なお、本実施の形態では、面状発光部41が可撓性を有する場合について説明したが、面状発光部41は、曲げ変形不可なリジットな構成であってもよい。
図3は、図1中のIII−III線上に沿った発光装置を示す断面図である。図3中には、透明基材21の光出射面21aの平面視が示されている。図4は、図1中の矢印IVに示す方向から見た発光装置を示す平面図である。
図1から図4を参照して、光出射面21aには、第1領域110および第2領域120が規定されている。
第1領域110は、光出射面21aを平面視した場合に有機層23と重なり合う領域である。第1領域110は、光出射面21aに直交する方向において有機層23が投影される領域である。本実施の形態では、第1領域110が、矩形形状を有する。
第2領域120は、光出射面21aを平面視した場合に有機層23と重なり合わない領域であり、第1領域110の外周上に位置する。第2領域120は、第1領域110の外周上を周回する額縁形状を有する。第2領域120は、第1領域110から見てその四方に配置されている。
異方性散乱層31は、透明基材21の光出射面21a上に設けられている。異方性散乱層31は、透明基材21に対して有機層23の反対側に設けられている。異方性散乱層31は、光出射面21aに規定された第1領域110および第2領域120に跨って設けられている。異方性散乱層31は、光出射面21aの全面に渡って設けられている。異方性散乱層31は、光出射面21aから出射した光を散乱させる。
異方性散乱層31は、透明基材21からの光が出射する光出射面31aと、光出射面31aの裏側に配置され、透明基材21からの光が入射する光入射面31bとを有する。光入射面31bは、透明基材21の光出射面21aと対向する。光出射面31aおよび光入射面31bは、平行に配置されている。異方性散乱層31は、光出射面31aおよび光入射面31bが対向する方向が厚み方向となる平板形状を有する。
異方性散乱層31および透明基材21は、互いに光学密着して設けられている。光学密着とは、透明基材21と異方性散乱層31との間に透明な接着材料が満たされていたり、真空貼り合わせにより気泡等が混入しない状態で密着している状態をいう。たとえば、透明基材21が可塑性を有する透明部材から構成される場合、透明粘着フィルム、透明ゲル、透明光学接着剤などを用いて、異方性散乱層31および透明基材21が密着しているとよい。
異方性散乱層31は、バインダ33および光散乱粒子32から構成されている。バインダ33としては、光透過性の樹脂材料が用いられる。光散乱粒子32は、バインダ33の内部に分散して設けられている。光散乱粒子32は、バインダ33により互いに結合されている。異方性散乱層31は、可撓性を有して構成されている。異方性散乱層31は、透明基材21上に成膜されていてもよい。成膜の方法としては、真空蒸着、スパッタリング、スピンコート等が挙げられる。
続いて、透明基材21の配光特性と、異方性散乱層31の散乱特性とについて説明する。
図5は、図1中の発光装置において、透明基材内の配光特性を説明するための模式図である。図1から図5を参照して、透明基材21内の配光は特定の方向においてピークを示す。透明基材21内の配光がピークを示す方向は、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向となる。
図5には、透明基材21の光出射面21aに対する法線Lが示されている。法線Lが延びる方向が、光出射面21aに直交する方向である(以下、光出射面21aに直交する方向を、法線L方向ともいう)。透明基材21内の配光がピークを示す方向は、法線Lに対して角度θをなす斜め方向となる(0°<θの絶対値<90°)。
ここで透明基材21内の配光とは、有機層23で発生した光が、透明基材21の内部でどのような角度に分布するかを測定した量である。
実験的には、有機層23の面積よりも十分に(たとえば、10倍)大きく、透明基材21と同じ屈折率を有する半球レンズ43を準備する。透明基材21と半球レンズ43との間に、屈折率がマッチングするマッチングオイルを充填しつつ、半球レンズ43を透明基材21の光出射面21a上に設ける。ディテクタ44により、半球レンズ43からの出射光の輝度を測定する。法線Lに対する角度を変化させながらディテクタ44を移動させることにより、透明基材21内の配光がピークとなる方向を特定する。なお、輝度測定は、光電力の波長依存性に視感度をかけたものとしてCIE(国際照明委員会)の定義によって計算される。
図6から図8は、図1中の発光装置において、透明基材内の配光特性の例を示す図である。
図6に示す例では、透明基材21内の配光が、法線Lに対してその左右に角度θをなす方向においてピーク131pおよびピーク131qを示す。これらピーク131p,131qは、光出射面21aに直交する方向(法線L方向)に対して傾いた方向となる。
図7に示す例では、透明基材21内の配光が、法線Lに対してその左右に角度θをなす方向においてピーク131pおよびピーク131qを示し、法線L方向においてピーク132を示す。図8に示す例では、透明基材21内の配光が、法線Lに対してその左右に角度θをなす方向においてピーク131pおよびピーク131qを示し、法線Lに対してその左右に角度θよりも小さい角度をなす方向において、ピーク131pおよびピーク131qよりも小さいピーク133pおよびピーク133qを示す。
図7および図8に示す例では、透明基材21内の配光が、3以上のピークを示す。このような場合、その3以上のピークのうち最大のピークを示す方向(ピーク131pおよびピーク131qの方向)が、光出射面21aに直交する方向(法線L方向)に対して傾いた方向となる。
図9および図10は、図1中の発光装置において、異方性散乱層の散乱特性を説明するための図である。図9および図10を参照して、異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、透明基材21の光出射面21aに直交する方向における光の散乱度よりも高くなるように設けられる。
ここで光の散乱度とは、異方性散乱層31に入射する光のうち異方性散乱層31内部で散乱される光の割合を測定した量である。
実験的には、まず、異方性散乱層31に対して、透明基材21の光出射面21aに直交する方向(法線L方向)に光を照射する。異方性散乱層31に対する光の照射方向の延長上にディテクタ44を配置し、光出射面31aからの出射光の輝度Lb(cd/m2)を測定する。光入射面31bへの入射光の輝度をLa(cd/m2)とした場合に、透明基材21の光出射面21aに直交する方向における光の散乱度は、(La−Lb)/Laとなる。
次に、異方性散乱層31に対して、透明基材21内の配光がピークを示す方向(法線Lに対して角度θをなす方向)に光を照射する。異方性散乱層31に対する光の照射方向の延長上にディテクタ44を配置し、光出射面31aからの出射光の輝度Lc(cd/m2)を測定する。光入射面31bへの入射光の輝度をLa(cd/m2)とした場合に、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度は、(La−Lc)/Laとなる。
透明基材21の光出射面21aに直交する方向における光の散乱度をFxとし、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度をFyとした場合、(1/cosθ)Fx<Fyの関係を満たすことが好ましく、(2/cosθ)Fx<Fyの関係を満たすことがさらに好ましい。
図11は、図1中の発光装置において、異方性散乱層の散乱特性を説明するための別の図である。図11を参照して、異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、異方性散乱層31の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる。
実験的には、まず、異方性散乱層31の光入射面31b上に、複数の測定点(P1,P2,P3,…Pn)を設定する。測定点の数の一例としては、10箇所(n=10)である。各測定点において、異方性散乱層31に対して、透明基材21内の配光がピークを示す方向(法線Lに対して角度θをなす方向)に光を照射する。この際、光入射面31bを平面視した場合に、各測定点から見て光が光入射面31bに入射する方位を、複数の測定点間でランダムとなるように設定する。
先と同様にして、複数の測定点(P1,P2,P3,…Pn)において、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度(F1,F2,F3,…Fn)を算出する。複数の測定点における光の散乱度の平均値((F1+F2+F3+…+Fn)/n)がFaである場合に、F1,F2,F3,…Fnは、Fa±20%の範囲内となる。より好ましくは、F1,F2,F3,…Fnは、Fa±10%の範囲内となる。さらに好ましくは、F1,F2,F3,…Fnは、Fa±5%の範囲内となる。
続いて、上記に説明した異方性散乱層31の散乱特性を得るための光散乱粒子32の形態および配置について説明する。
図4を参照して、光散乱粒子32は、非球体形状を有する。光散乱粒子32は、球体ではなく、長軸を有する形態である。光散乱粒子32の長軸とは、光散乱粒子32を投影しながら任意に回転させた場合に観測できる最も長い軸をいう。図中に示す例では、光散乱粒子32が、楕円体の形状を有する。光散乱粒子32の長軸は、光出射面21aに平行な平面内でランダムな方向を向いている。
図12から図14は、光散乱粒子の形態および配置の別の例を説明するための図である。図12から図14を参照して、光散乱粒子32の形態および配置の別の例について説明する。
光散乱粒子32は、非球体の形状として、角部が丸められた扁平の四角柱形状を有する。光散乱粒子32では、長辺の対角を結んだ最も長い線が長軸LAとなる。
光散乱粒子32は、その長軸が法線Lに対して45°以上傾いた光散乱粒子32の割合が、45°未満傾いた光散乱粒子32の割合よりも多くなるように設けられる。より好ましくは、光散乱粒子32は、その長軸が光出射面21aに沿うように設けられる。この場合、個々の光散乱粒子32を法線L方向から見た場合の投影平面面積S1の平均値が、光散乱粒子32を法線L方向に対して直交する方向から見た場合の全周平均面積S2の平均値よりも大きくなる。
光散乱粒子32の長軸が光出射面21aに沿うように配置されると、光散乱粒子32は、幾何光学的には、法線L方向と、面法線と90°をなす方向との曲率が異なるレンズに近似される。このため、法線L方向から傾いた方向に進む光に対しては、曲率が大きくなるため、拡がり角度が大きい散乱となり、法線L方向に進む光に対しては、曲率が小さくなるため、拡がり角度が小さい散乱となる。
図13中には、光散乱粒子32の、光散乱粒子32を法線L方向(矢印Aに示す方向)から見た場合の投影平面面積S1が示されている。光散乱粒子32は、平面H(光出射面21aに相当)に対して、角度α°(たとえば、5°)傾斜して設けられている。この場合の投影平面面積S1は、光散乱粒子32の平面面積S(図12を参照)よりも大きくなる。
投影平面面積S1の平均値を測定する際には、異方性散乱層31の所定面積について、法線Lに沿った方向Aから見たときに個々の光散乱粒子32が占める面積の平均値を測定し、これを投影平面面積S1の平均値とすればよい。測定する面積が広いほど、測定精度が向上することはいうまでもない。
図14を参照して、光散乱粒子32の全周平均面積S2について説明する。光散乱粒子32を法線L方向に対して直交する方向(矢印Bに示す方向)から見た場合において、たとえば、1°ずつ投影面積S2nを測定する(nは、1〜360)。図14中には、このうちのある角度から見た場合の投影面積S2nが示されている。測定後、360回の投影面積S2nの総合計を、360で除した値が、全周平均面積S2となる。
全周平均面積S2の平均値の測定を行なう場合には、個々の光散乱粒子32について全周(360°)に渡って測定し、それを平均化する必要は、必ずしもない。たとえば、発光装置10を法線Lに沿った方向Aに対して平行な面に沿って切断し、その切断面に現れた光散乱粒子32の面積の平均値を測定すればよい。異方性散乱層31内における光散乱粒子32の配置(分布、傾斜方向やその角度α°など)のばらつきの度合いが、異方性散乱層31のほぼ全体に渡っておおよそ均等であると想定すれば、少なくとも一箇所において発光装置10を切断して測定すればよい。また、光散乱粒子32の配置のばらつきの度合いに偏りがあったとしても、複数個所(たとえば、2〜4箇所程度)において発光装置10を切断して光散乱粒子32の面積の平均値を測定することで、より高い精度で測定することができる。切断して測定する箇所の数を増加させるほど、測定の精度が向上することはいうまでもない。
図15は、光散乱粒子の形態のさらに別の例を示す図である。図15を参照して、光散乱粒子32の形態としては、様々な形態を選択することができる。光散乱粒子32の別の形態として、(A)角柱、(B)直方体、(C)十字型、(D)棒型、(E)円柱、(F)小判型(陸上競技のトラック型)、(G)ピーナッツ型、または、(H)トーラス型を挙げることができる。図15中のLAは、各形態での光散乱粒子32の長軸を示している。光散乱粒子32の形状については、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
光散乱粒子32としては、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒径を有する透明な粒子であることが好ましく、その平均粒径は、0.2μm以上であることが好ましい。一方、光散乱粒子32の平均粒径の上限としては、好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満、特に好ましくは3μm未満、最も好ましくは1μm未満である。
ここで、光散乱粒子32の平均粒径は、たとえば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150といった動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。
このような光散乱粒子32としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよいが、中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、たとえば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、たとえば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも1つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO2、TiO2、BaTiO3、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO、SiO2、ZrSiO4、ゼオライト等が挙げられる。中でも、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZnO、SnO2が好ましく、TiO2が最も好ましい。また、TiO2の中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの光散乱粒子32は異方性散乱層31に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施したものを用いるか、あるいは表面処理を施さないものを用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物および/または金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。表面処理材の被覆量が少なすぎると、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができず、また、多すぎると高屈折率の異方性散乱層31の屈折率が低下するため好ましくない。
その他、高屈折率粒子の材料として、国際公開第2009/014707号および米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。
異方性散乱層31の形成方法としては、たとえば、層媒体であるバインダ33が樹脂材料の場合、透明基板上に、媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、粒子の溶解しないものを用いる)に上記光散乱粒子32を分散したものを塗布することで形成する。
図16は、図1中の発光装置において奏される作用効果を説明するための断面図である。図17は、図1中の発光装置において、異方性散乱層から外部に取り出される光の方向を模式的に表した平面図である。
図16および図17を参照して、本実施の形態における発光装置10においては、透明基材21内の配光のピークを示す方向が、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向とされている。このような構成により、有機層23から透明基材21を伝搬して光出射面21aの第2領域120に到達する光の割合を増大させることができる。また、異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面21aに直交する方向における光の散乱度よりも高くなるように設けられている。このような構成により、第2領域120に到達した光を異方性散乱層31において効率よく散乱させて外部に取り出すことができる。また、法線L方向の光に対しては散乱が少なくなるため、透過率が向上し、効率よく光を取り出すことができる。
図18は、光散乱粒子の配置の比較例を示す平面図である。図19は、図18中の比較例において、異方性散乱層から外部に取り出される光の方向を模式的に表した平面図である。
図18および図19を参照して、本比較例では、光散乱粒子32の長軸が、光出射面21aに平行な平面内で一方向を向いている。この場合、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度は、長軸の向きに対応した特定方向のみで高くなり、その特定方向以外の第2領域120上で光を効率的に取り出すことができない。
図17を参照して、これに対して、本実施の形態では、光散乱粒子32の長軸が、光出射面21aに平行な平面内でランダムな方向を向いていることにより、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、異方性散乱層31の面上の全方位においてほぼ一定となる。このような構成により、第2領域120上の全ての位置で光を効率的に取り出して、第1領域110上の発光領域と第2領域120上の非発光領域との間の輝度差を低減することができる。
図20は、透明基材と空気との界面において形成される光の全反射角を示す断面図である。
図20を参照して、光出射面21aに直交する方向(法線L方向)と、透明基材21内の配光がピークを示す方向とがなす角度がθであり、透明基材21と空気との界面において形成される光の全反射角がαである場合に、θ>αの関係を満たすことが好ましい。この場合、透明基材21内における光の全反射を利用して、有機層23から透明基材21を伝搬して光出射面21aの第2領域120に到達する光の割合をより増大させることができる。
図1から図4を参照して、異方性散乱層31は、光散乱粒子32に加えて、有機層23で発せられた光を励起光として蛍光発光する蛍光粒子(不図示)を含んでもよい。また、そのような蛍光粒子を含む蛍光層(不図示)が、異方性散乱層31に対して透明基材21の反対側に設けられてもよい。この場合、有機層23で発せられた光と、蛍光粒子により蛍光発光された光とが混じり合うことによって、白色光を得ることができる。異なる発光色を放射する面状発光部に対して、全ての面状発光部の透明基材内の配光ピークを、法線方向に対して傾いた方向に揃えることは難易度が高い。異方性散乱層31と蛍光粒子とを組み合わせることで、容易に効率よく白色光を得ることができる。
透明基材21内の配光は、その面内の領域ごとに異なる特性を有してもよい。この場合に、第1領域110および第2領域120の境界において、透明基材21内の配光がピークを示す方向が、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向となることが好ましい。また、異方性散乱層31による散乱は、その面内の領域ごとに異なる特性を有してもよい。この場合に、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、第1領域110および第2領域120の境界において最大となることが好ましい。
図21は、図1中の発光装置の変形例を示す断面図である。図21中では、図1中に示す各種の電極等が省略されている。
図21を参照して、本変形例における発光装置は、複数の有機層23(23A,23B,23C)を有する。複数の有機層23は、互いに間隔を隔てて設けられている。複数の有機層23は、一方向に配列されてもよいし、平面的に配列されてもよい。複数の有機層23の各々は、透明部材30を介して透明基材21に搭載されている。
このような構成によれば、複数の有機層23が用いられることによって、広領域で発光が可能な発光装置を実現することができる。
以上に説明した、この発明の実施の形態における発光装置10の基本的な構造をまとめると、本実施の形態における発光装置10は、透明基材21と、透明基材21の一方の表面上に設けられる発光層としての有機層23とを備える。透明基材21は、有機層23とは反対側に、有機層23からの光を出射する光出射面21aを有する。光出射面21aは、その平面視において有機層23に重なり合う第1領域110と、第1領域110の外周上に位置する第2領域120とを含む。発光装置10は、第1領域110および第2領域120に跨って光出射面21a上に設けられ、光出射面21aから出射される光を散乱させる異方性散乱層31をさらに備える。透明基材21内の配光がピークを示す方向は、光出射面21aに直交する方向に対して傾いた方向となる。異方性散乱層31は、透明基材21内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、光出射面21aに直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、異方性散乱層31の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる。
このように構成された、この発明の実施の形態における発光装置10によれば、第1領域110上の発光領域と、第2領域120上の非発光領域との間の輝度差を低減して、非発光領域を目立たなくする効果、言い換えれば、光源幅を拡大させる効果を得ることができる。また、透明基材21内の配光特性により第1領域110および第2領域120に適切な割合で分配された光は、異方性散乱層31の散乱特性により、異方性散乱層31内において効率よく散乱されて外部に取り出される。このため、光の取り出し効率の高効率化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、陰極25に金属電極を用いた有機EL発光パネルについて説明したが、陰極25に透明電極を用いた透明タイプの有機EL発光パネルを用いてもよい。この場合、異方性散乱層31を用いているため光散乱が少なく、正面方向から発光パネルを見た場合に発光パネルの透明性に優れている。また、透明基材21の反対側への光取り出しに関しても、異方性散乱層37を用いているため、第2領域120における光取り出しに優れている。
また、本実施の形態では、面状発光部41が有機EL素子から構成される場合について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、面状発光部が、複数の発光ダイオード(LED)を備えて構成される場合にも、本発明を適用可能である。
(実施例)
上記作用効果を確認するための評価・検証を行なった実施例について説明する。
上記作用効果を確認するための評価・検証を行なった実施例について説明する。
図22は、実施例において評価・検証を行なった発光装置を示す平面図である。図23は、図21中のXXIII−XXIII線上に沿った発光装置を示す断面図である。図24は、ガラス基材内の配光特性を示す図である。
図22から図24を参照して、0.2mm厚のガラス基材35(実施の形態における透明基材21に対応)上に、図22中のパターンを備えた陽極24(透明電極)、有機層23および陰極25を成膜することにより、青単色素子38(実施の形態における面状発光部41に対応)を作製した。ガラス基材35内の配光特性は、図24に示すとおりである。
界面活性剤・純水にて脱脂・洗浄を施した0.2mm厚の薄板ガラス36を準備し、異方性散乱層の調液をスピンコート法によって成膜することにより、異方性散乱層37を作製した。異方性散乱層の調液としては、屈折率2.4、平均粒径0.25μmのTiO2粒子(テイカ(株)製 JR600A)と、樹脂溶液(APM社製 ED230AL(有機無機ハイブリッド樹脂))とを用い、TiO2粒子と樹脂溶液との固形分比率が70体積%/30体積%となり、n−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとの溶媒比が10質量%/90質量%となり、固形分濃度が15質量%となるように、10ml量の比率で調液を処方設計した。具体的には、上記のTiO2粒子と溶剤とを混合し、その混合液を、常温で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)によりマイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散することにより、TiO2粒子の分散液を作製した。
上記分散液をスピン塗布(3000rpm,30秒間)にて薄板ガラス36上に回転塗布した。その後、簡易乾燥(80℃,2分)およびベーク(120℃,60分間)を行なうことにより、0.5μm厚の異方性散乱層37を作製した。
青単色素子38と、異方性散乱層37が形成された薄板ガラス36とを、屈折率n=1.51のマッチングオイルを介在させて光学密着させることにより、図23中の実施例における発光装置を得た。
図25は、比較例における発光装置を示す断面図である。図25を参照して、本比較例では、上記の実施例における異方性散乱層37に替えて、0.115mm厚の拡散フィルム214(キモト社製 100NSH)を用いた。拡散フィルム214では、ガラス基材35の光出射面に直交する方向における光の散乱度と、ガラス基材35内の配光がピークを示す方向における光の散乱度とが等しい。拡散フィルム214を、0.05mm厚の接着剤213を介して、0.05mm厚の透明シート212に貼り合わせた。
青単色素子38と、拡散フィルム214が設けられた透明シート212とを、屈折率n=1.51のマッチングオイルを介在させて光学密着させることにより、図25中の比較例における発光装置を得た。
図26は、輝度プロファイルを示すグラフである。青単色素子38単体(素子単体)、図23中の実施例(+異方性散乱層)および図25中の比較例(+拡散フィルム)において、コニカミノルタ製CA−2000を用いて輝度分布を測定し、図22中のXXIII−XXIII線上に沿った方向の輝度プロファイルを図26に示した。実施の形態における第1領域110(発光領域)および第2領域120(非発光領域)の境界は、横軸の±1mmの位置にある。
図24に示すように、ガラス基材35内の配光のピークが法線L方向に対して極端に傾いた方向にあるため、青単色素子38単体では、輝度の絶対値は低くなった。しかしながら、青単色素子38に異方性散乱層37または拡散フィルム214を重ねることにより、これらの散乱効果によって正面輝度が高くなった。特に異方性散乱層37を重ねた実施例では、拡散フィルム214を重ねた比較例と比べても、中心の正面輝度で25%ほど高い値となり、光取り出し効果の高さが示された。
図27は、規格化後のプロファイルを示すグラフである。図27中には、図26中に示す輝度プロファイルを中心輝度で規格化したプロファイルが示されている。
図27を参照して、青単色素子38単体の輝度プロファイルでは、発光領域と非発光領域との境界がはっきりと認識されるのに対して、実施例および比較例では、発光領域と非発光領域との境界においてブロードかつ滑らかなプロファイルとなり、非発光領域が目立ちにくい構成となった。
図28は、光源幅拡大効果を示すグラフである。図28では、図27中のプロファイルを解析して、異方性散乱層37および拡散フィルム214によってどの程度、光源幅が拡がって見えるかについて評価した。ここでは、発光領域の中心輝度と比較して、40%の輝度の位置までを拡大幅として、片側拡大幅を解析した。異方性散乱層37を用いた実施例の方が、拡散フィルム214を用いた比較例よりも光源幅が拡がる結果となった。
一般的には、透過率を下げて、基材内への反射や発光領域上での吸収を増やした方が光源幅は拡大する。このため、本来、光取り出し効率と光源幅拡大効果とは、トレードオフの関係であると考えられる。しかしながら、今回の評価では、光取り出し効果の高い異方性散乱層31を用いた実施例の方が、光源幅も拡大しており、2つの効果が双方成り立つ構成となっていることを確認できた。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、たとえば、有機ELや発光ダイオードを用いた面照明に利用される。
10 発光装置、21 透明基材、21a,31a 光出射面、21b,31b 光入射面、23 有機層、24 陽極、25 陰極、26,27 電極部、28 封止部材、29 絶縁層、30 透明部材、31,37 異方性散乱層、32 光散乱粒子、33 バインダ、35 ガラス基材、36 薄板ガラス、38 青単色素子、41 面状発光部、43 半球レンズ、44 ディテクタ、110 第1領域、120 第2領域、131p,131q,132,133p,133q ピーク、212 透明シート、213 接着剤、214 拡散フィルム。
Claims (10)
- 透明基材と、
前記透明基材の一方の表面上に設けられる発光層とを備え、
前記透明基材は、前記発光層とは反対側に、前記発光層からの光を出射する光出射面を有し、
前記光出射面は、その平面視において前記発光層に重なり合う第1領域と、前記第1領域の外周上に位置する第2領域とを含み、さらに、
前記第1領域および前記第2領域に跨って前記光出射面上に設けられ、前記光出射面から出射される光を散乱させる異方性散乱層を備え、
前記透明基材内の配光がピークを示す方向は、前記光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となり、
前記異方性散乱層は、前記透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、前記光出射面に直交する方向における光の散乱度よりも高く、かつ、前記異方性散乱層の面上の全方位においてほぼ一定となるように設けられる、発光装置。 - 前記異方性散乱層は、長軸を有する非球体形状の光散乱粒子を含み、
前記光散乱粒子は、前記長軸が前記光出射面と平行な面内でランダムな方向を向き、前記長軸と前記光出射面の法線とがなす角度が45°以上となる割合が、45°未満となる割合よりも多くなるように設けられる、請求項1に記載の発光装置。 - 前記透明基材内の配光は、3以上のピークを示し、
前記3以上のピークのうち最大のピークを示す方向が、前記光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となる、請求項1または2に記載の発光装置。 - 前記光出射面に直交する方向と前記透明基材内の配光がピークを示す方向とがなす角度がθであり、前記透明基材と空気との界面において形成される光の全反射角がαである場合に、θ>αの関係を満たす、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記異方性散乱層に対して前記透明基材の反対側に設けられる蛍光層をさらに備え、
前記蛍光層は、前記発光層で発せられた光を励起光として蛍光発光する蛍光粒子を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。 - 前記異方性散乱層は、前記発光層で発せられた光を励起光として蛍光発光する蛍光粒子を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記第1領域および前記第2領域の境界において、前記透明基材内の配光がピークを示す方向が、前記光出射面に直交する方向に対して傾いた方向となる、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記透明基材内の配光がピークを示す方向における光の散乱度が、前記第1領域および前記第2領域の境界において最大となる、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記発光層、前記透明基材および前記異方性散乱層は、可撓性を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
- 複数の前記発光層が互いに間隔を隔てて設けられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
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