JP2016161770A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写部材に印加される転写電圧の検出精度を向上させつつ、転写部材に転写電圧を供給する電源部の異常を検出可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリントジョブ実行中に搬送中の用紙が転写位置を通過中には(S4で「Y」)、高圧電源部の転写出力を通常(ATVC制御により決められた転写電圧)に設定して転写ローラーに供給する(S5)。搬送中の1枚の用紙が転写位置を通過してから次の用紙が転写位置に到達するまでの紙間では(S4で「N」)、高圧電源部の転写出力を紙間(通常よりも低い電圧:例えば0V)に設定して転写ローラーに供給する(S7)。紙間において転写ローラーに印加されている転写電圧の検出値をモニターし、モニター電圧が閾値Mを超えていると(S8で「N」)、高圧電源部の異常を判断する(S11)。
【選択図】図8

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特に、転写部材に転写電圧を供給する電源部の異常を判断する技術に関する。
複写機等の画像形成装置では、感光体ドラムなどの像担持体に形成された画像を、転写部材に印加された転写電圧により生成される静電力により、シートなどの被転写体に転写することにより画像を形成するようになっている。
この転写性は、画像形成装置周辺の温湿度などの環境変化の影響を受け易い。環境変化により、転写部材やシートなどの各部材の電気抵抗値が変動し易いからである。従って、環境変動が生じても一定以上の転写性が確保されるように、環境に適した転写電圧の値を決めることが望ましい。転写電圧の決定方法としては、例えばATVC(Auto Transfer Voltage Control)制御がある。
ATVC制御の一例として次の制御方法が知られている。すなわち、転写時以外の非転写時に定電流制御により転写部材に一定の電流が流れたときに転写部材に印加されている転写電圧を検出し、検出した電圧値と当該電流値とから転写部材の電気抵抗値を決定し、決定した電気抵抗値と最適な転写電圧値との相関関係を示すテーブルを参照することにより、最適な転写電圧を決めるものである。転写電圧は、モニター回路により検出される。
ATVC制御では、転写電圧が数十ボルトから数千ボルトといった広い実使用範囲内のいずれかの値に決められるので、転写電圧の供給電源には実使用範囲の転写電圧を最低限出力可能な高圧電源部が用いられる。この転写電圧の実使用範囲は通常、高圧電源部の最大出力可能電圧よりも低い電圧範囲であり、例えば転写電圧の実使用範囲が50V〜4500V、最大出力可能電圧が6000Vなどになっている。ATVC制御後の画像形成動作中には、ATVC制御で決められた転写電圧の出力が高圧電源部に指示される。
高圧電源部が故障などによりATVC制御で決められた転写電圧の出力制御ができなくなり、例えば出力電圧が異常に高くなると良好な転写ができなくなる。このような出力異常の発生を検出する方法として、モニター回路による検出電圧(以下、「転写モニター電圧」という。)が所定の閾値を超えると、高圧電源部の異常を判断する方法がある。
特開2003−324950号公報
ATVC制御に加えて高圧電源部の故障を判断するためには、転写モニター電圧の監視レンジを高圧電源部による最大出力可能電圧まで広げる必要が生じる。
図10は、高圧電源部の出力電圧と転写モニター電圧の対応関係の例を示す図である。
同図では、転写電圧の実使用範囲を50V〜4500V、高圧電源部の最大出力可能電圧を6000Vとして、転写モニター電圧の監視レンジ(検出可能範囲)αをV1〜V2の範囲とした場合の例を示している。電圧V1とV2の差は、例えば数ボルトである。
この転写モニター電圧の監視レンジαを固定とした場合、転写電圧の検出範囲の上限を最大値の6000Vとする構成(一点鎖線のグラフ)をとると、実使用範囲の上限値である4500Vとする構成(実線のグラフ)に比べて、転写電圧の変化に対する転写モニター電圧の検出時の分解能が低下してしまう。
転写モニター電圧の検出時の分解能が低下するということは、転写電圧の検出精度が下がることを意味するので、最適な転写電圧の出力制御を行えないおそれが生じる。このような問題は、転写部材に印加される転写電圧の検出結果に基づいて転写電圧を制御する画像形成装置一般に生じ得る。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、転写部材に印加されている転写電圧の検出精度を向上させつつ、転写部材に転写電圧を供給する電源部の異常を判断することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、転写部材に印加された転写電圧により生成される静電力により、像担持体上の画像を被転写体に転写する画像形成装置であって、前記転写部材に供給する転写電圧を変更して出力可能な電源部と、前記電源部の最大出力可能電圧の絶対値よりも低い所定値を上限とする所定の実使用範囲内で前記転写部材に印加されている転写電圧またはその指標値を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき前記転写部材に供給すべき目標の第1転写電圧を決め、以降の転写時に前記電源部に対して前記第1転写電圧の出力を指示する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記転写時以外の非転写時に前記電源部に対して、前記第1転写電圧よりも低い第2転写電圧の出力を指示した場合に、当該指示にも関わらず前記検出手段の検出値が所定の閾値よりも大きければ前記電源部の異常を判断することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記非転写時であり、前記第2転写電圧の出力指示とは別の期間に、前記電源部に対して、前記転写部材に一定の電流が流れたときの前記検出手段の検出結果に基づき前記第1転写電圧を決めるATVC制御を行うとしても良い。
さらに、前記所定の閾値は、前記実使用範囲の上限の転写電圧が出力された場合における前記検出手段の検出値と同じ値、または前記検出値よりも所定量だけ低い値であるとしても良い。
また、前記第2転写電圧は、0Vであるとしても良い。
さらに、前記制御手段は、前記電源部の異常の判断を、前記検出手段の検出値が前記所定の閾値よりも大きい状態が所定時間以上継続した場合にだけ行うとしても良い。
また、前記電源部は、別の電源から供給される電圧を昇圧して前記転写電圧を生成し、前記制御手段は、前記電源部の異常を判断すると、前記別の電源から前記電源部への電圧供給を遮断させるとしても良い。
ここで、前記別の電源から前記電源部への電圧供給路の途中に設けられ、当該電圧供給路を断続するスイッチを備え、前記制御手段は、前記電源部の異常を判断すると、前記スイッチをオフにして、前記電圧供給路を切断させるとしても良い。
また、前記制御手段は、前記電源部の異常を判断すると、前記像担持体への画像形成を禁止させること、および前記電源部に異常が発生している旨を警告することの少なくとも一つを実行するとしても良い。
さらに、前記電源部は、一次巻線に入力された電圧を昇圧して二次巻線から出力するトランスを備え、前記トランスの二次巻線の出力電圧に、これとは逆極性の電圧を重畳させた電圧を前記転写電圧として出力し、前記検出手段は、前記トランスの一次巻線に流れる電流を電圧変換したものを前記転写電圧の指標値として検出し、前記制御手段は、前記トランスの二次巻線の出力電圧が前記逆極性の電圧の重畳により変化する分だけ前記検出手段の検出値を補正した値を、前記転写電圧の指標値とみなすとしても良い。
また、感光体から画像が中間転写体に一次転写され、前記中間転写体上の画像がシート上に二次転写位置で二次転写される中間転写方式の場合に、前記像担持体は、前記中間転写体であり、前記被転写体は、前記シートであり、前記転写部材は、前記二次転写位置において前記シートの搬送路を挟んで前記中間転写体と対向配置される二次転写部材であり、前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、前記シートの先端が前記二次転写位置に到達する前の期間、前記シートの後端が前記二次転写位置を通過した以降の期間、および複数枚のシートが間隔をおいて1枚ずつ搬送される場合に先行のシートの後端が前記二次転写位置を通過後、次のシートの先端が前記二次転写位置に到達するまでの紙間の少なくとも一つの期間に実行されるとしても良い。
さらに、シート収容部からシートを1枚ずつ繰り出して搬送する給送部を備え、感光体から画像が中間転写体に一次転写位置で一次転写され、前記中間転写体上の画像が、前記給送部により搬送されるシート上に二次転写位置で二次転写される中間転写方式の場合に、前記像担持体は、前記感光体であり、前記被転写体は、前記中間転写体であり、前記転写部材は、前記一次転写位置において前記中間転写体を挟んで前記感光体と対向配置される一次転写部材であり、前記一次転写は、前記給送部による1枚目のシートの繰り出し開始後に実行され、前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、前記給送部による1枚目のシートの繰り出し開始から前記給送部により最後に搬送されたシートの後端が前記二次転写位置を通過するまでの期間を除く期間に実行されるとしても良い。
また、感光体から画像がシート上に転写位置で転写される方式の場合に、前記像担持体は、前記感光体であり、前記被転写体は、前記シートであり、前記転写部材は、前記シートの搬送路を挟んで前記感光体と対向配置され、前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、前記シートの先端が前記転写位置に到達する前の期間、前記シートの後端が前記転写位置を通過した以降の期間、および複数枚のシートが間隔をおいて1枚ずつ搬送される場合に先行のシートの後端が前記転写位置を通過後、次のシートの先端が前記転写位置に到達するまでの紙間の少なくとも一つの期間に実行されるとしても良い。
上記の構成によれば、検出手段の検出範囲を電源部の最大出力可能電圧の絶対値よりも低い所定値を上限とする所定の実使用範囲とすることにより、上限を最大出力可能電圧とする構成に比べて実使用範囲における転写電圧の変化に対する検出手段の検出電圧(転写モニター電圧)の分解能の低下を防止でき、転写部材に印加されている転写電圧の検出精度を向上できる。
このように実使用範囲を検出可能とすると、転写時に、実使用範囲を超える最大出力可能電圧が電源部から出力されていてもこれを直接、検出することができなくなる。
一方で非転写時には、転写時と同じ第1転写電圧の出力の必要はなく、非転写時に、転写時の第1転写電圧よりも低い第2転写電圧の出力を電源部に指示すれば、電源部が正常な場合、検出手段による検出結果が当該指示による第2転写電圧を示すものになり、電源部の異常により電源部から最大出力可能電圧が出力されている場合には、第2転写電圧よりも大きい電圧を示すものになるはずである。
従って、第2転写電圧が電源部から出力されたときの検出手段の検出値と、実使用範囲の上限の電圧が電源部から出力されたときの検出手段の検出値との間に所定の閾値を設定しておき、非転写時に第2転写電圧の出力を指示した場合に、検出手段の検出結果が当該閾値を超えていれば、電源部の異常と判断できることになる。
プリンターの全体の構成を示す概略図である。 全体制御部の構成を示すブロック図である。 転写PWM信号のデューティー比と高圧電源部の出力電圧との対応関係を示す図である。 高圧電源部の回路構成を示す図である。 高圧電源部の正常時におけるプリント中の転写電圧と転写モニター電圧のタイミングチャートの例を示す図である。 高圧電源部の出力異常発生時におけるプリント中の転写電圧と転写モニター電圧のタイミングチャートの例を示す図である。 プリント中の転写電圧と転写モニター電圧のタイミングチャートの例を示す図である。 プリントジョブ実行中における高圧電源部の異常を判断する異常判断処理を示すフローチャートである。 プリントジョブ実行中におけるY色の一次転写用の電源部の異常を判断する異常判断処理を示すフローチャートである。 高圧電源部の出力電圧と転写モニター電圧の対応関係の例を示す図である。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例にして説明する。
(1)プリンターの全体の構成
図1は、プリンター1の全体構成を示す概略図である。
同図に示すようにプリンター1は、電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、中間転写部20と、給送部30と、定着部40と、全体制御部50と、操作部60と、低圧電源部70と、高圧電源部80を備え、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)からのジョブの実行要求に基づき、カラーの画像形成(プリント)を実行する。
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像部10Y、10M、10C、10Kを有する。
作像部10Yは、感光体ドラム11と、その周囲に配された帯電ローラー12、露光部13、現像部14、クリーナー15などを備えている。
帯電ローラー12は、矢印Aで示す方向に回転する感光体ドラム11の周面に接触して、矢印Bで示す方向に回転しながら感光体ドラム11を帯電させる。
露光部13は、帯電された感光体ドラム11を光ビームLにより露光して、感光体ドラム11上に静電潜像を作像する。
現像部14は、感光体ドラム11上の静電潜像をY色のトナーで現像する。これにより感光体ドラム11上にY色のトナー像が形成される。感光体ドラム11上に形成されたY色のトナー像は、中間転写部20の中間転写ベルト21上に一次転写される。
クリーナー15は、一次転写後に感光体ドラム11の表面に残ったトナーや紙粉などを除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。なお、他の作像部10M、10C、10Kについても作像部10Yと同様の構成であり、同図では符号が省略されている。
中間転写部20は、駆動ローラー24と従動ローラー25に張架されて矢印方向に循環走行される中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を挟んで各作像部10Y〜10Kの感光体ドラム11と対向配置される一次転写ローラー22と、中間転写ベルト21を介して駆動ローラー24と対向配置される二次転写ローラー23と、クリーナー26を備える。
給送部30は、シート、ここでは用紙Sを収容するシート収容部の一例としてのカセット31と、カセット31から用紙Sを1枚ずつ搬送路39に繰り出す繰り出しローラー32と、繰り出された用紙Sを搬送する搬送ローラー33、34を備える。
定着部40は、定着ローラー41とこれに圧接される加圧ローラー42を有する。
全体制御部50は、画像プロセス部10〜定着部40の動作を統括的に制御し、円滑なジョブを実行させる。
具体的には、作像部10Y〜10Kのそれぞれごとに、帯電ローラー12により感光体ドラム11を帯電させる。そして、受け付けたジョブに含まれるプリント用の画像データに基づき、作像部10Y〜10Kの各露光部13から光ビームLを出射させる。
作像部10Y〜10Kのそれぞれごとに、露光部13から発せられた光ビームLにより、帯電後の感光体ドラム11上に静電潜像が作像され、その静電潜像がトナーにより現像されてトナー像が形成され、そのトナー像が一次転写ローラー22の静電作用により中間転写ベルト21上に一次転写される。
作像部10Y〜10Kによる各色の作像動作は、各色のトナー像が、走行する中間転写ベルト21の同じ位置に重ね合わせて転写されるように走行方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
この作像タイミングに合わせて、給送部30からは、カセット31から用紙Sが二次転写ローラー23に向けて搬送されて来ており、二次転写ローラー23による中間転写ベルト21の表面への接触位置である二次転写位置29を用紙Sが通過する際に、中間転写ベルト21上に多重転写された各色トナー像が二次転写ローラー23の静電作用により用紙Sに一括して二次転写される。
各色トナー像が二次転写された後の用紙Sは、定着部40まで搬送され、定着部40の定着ローラー41と加圧ローラー42との間を通過する際に加熱、加圧されることにより、用紙S上のトナーがその用紙Sに融着して定着される。定着部40を通過した用紙Sは、排紙ローラー35によって排紙トレイ36上に排出される。
操作部60は、装置正面側であり、ユーザーが操作し易い位置に設けられており、ユーザーからの入力指示を受け付けたり、全体制御部50からの指示に基づき各種情報を表示したりするタッチパネル式の液晶表示部を備えている。ユーザーは、操作部60を目視することにより、液晶表示部に表示される情報、例えば後述の高圧電源部80の異常発生などを確認することができる。
低圧電源部70は、外部電源、例えば商用電源からの交流の電圧をプリンター1に配されるモーターやセンサー(不図示)および高圧電源部80に供給するための直流の電圧、例えばDC24V、DC5Vなどに変換して出力する。
高圧電源部80は、低圧電源部70から供給される直流の電圧、ここではDC24Vの入力を受け付けて、これを二次転写ローラー23に供給すべき電圧(以下、「転写電圧」という。)に変換して、変換した転写電圧を転写バイアス電圧として二次転写ローラー23に出力する。二次転写ローラー23への転写電圧の供給により二次転写が実行される。
本実施の形態では、感光体ドラム11の帯電極性が負であり、いわゆる反転現像によりトナーの帯電極性も負であるので、転写電圧は正の電圧になる。なお、高圧電源部80は、転写電圧の出力だけではなく、二次転写時以外の非転写時に二次転写ローラー23の表面に付着している負帯電の残留トナーを静電的に中間転写ベルト21上に移動させるための正のクリーニングバイアス電圧(例えば、−500V)の出力も可能になっている。二次転写ローラー23から残留トナーが中間転写ベルト21に移動することにより、二次転写ローラー23の表面が清掃される。なお、中間転写ベルト21表面上に移動した残留トナーは、中間転写ベルト21の周回走行によりクリーナー26の配置位置を通過する際にクリーナー26により除去される。
(2)全体制御部の構成
図2は、全体制御部50の構成を示すブロック図である。
同図に示すように全体制御部50は、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部51と、CPU(Central Processing Unit)52と、ROM(Read Only Memory)53と、RAM(Random Access Memory)54と、転写電圧制御部55と、記憶部56等を備える。
通信I/F部51は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースであり、外部からのプリントジョブのデータを受信する。
CPU52は、ROM53から必要なプログラムを読み出し、画像プロセス部10、中間転写部20、給送部30、定着部40の動作をタイミングを取りながら統一的に制御して、通信I/F部51が受信したプリントジョブのデータに基づくプリント動作を円滑に実行させる。RAM54は、CPU52のワークエリアとなる。
転写電圧制御部55は、高圧電源部80に転写PWM信号を送信して、高圧電源部80に対して転写電圧とクリーニングバイアス電圧の出力を指示する。転写PWM信号は、デューティー比が可変されるパルス信号である。高圧電源部80は、例えば図3に示すように転写電圧制御部55からの転写PWM信号のデューティー比が最小(=3.7)から最大(=95)に移るに連れて出力電圧の値を−500V〜+4500Vの範囲で略線形に大きくしていく特性を有している。
転写電圧制御部55は、二次転写ローラー23のクリーニング時には、高圧電源部80から負の電圧が出力される範囲のデューティー比の転写PWM信号を送信し、これ以外の二次転写時などのときには、高圧電源部80から正の電圧が出力される範囲のデューティー比の転写PWM信号を送信する。
図2に戻って、転写電圧制御部55は、高圧電源部80からの転写モニター信号と電流値検出信号を受信する。転写モニター信号は、現に二次転写ローラー23に供給されている転写電圧の大きさを示す信号である。電流値検出信号は、ATVC制御のときに二次転写ローラー23に流れている電流の大きさを示す信号である。
転写電圧制御部55は、高圧電源部80からの電流値検出信号に基づき、ATVC制御による目標の転写電圧(第1転写電圧)を決める。そして、以降のプリントジョブにおける二次転写実行中に目標の転写電圧が二次転写ローラー23に供給されるように高圧電源部80に出力を指示する。
また、転写電圧制御部55は、高圧電源部80の異常を判断する機能(後述)を有しており、高圧電源部80の異常を判断すると、低圧電源部70から高圧電源部80への電圧(DC24V)の供給路の間に介在しているスイッチ75をOFFさせて(非導通)、低圧電源部70から高圧電源部80への電圧供給を遮断する。これにより、高圧電源部80からの電圧出力が強制的に停止される。また、操作部60に対して出力異常通知信号を送信して、操作部60に出力異常が発生した旨を表示させる。
記憶部56は、不揮発メモリからなり、ATVC制御により決められた目標の転写電圧の値、高圧電源部80の異常判断に用いられる閾値(後述)などを示す情報が記憶される。ここで、目標の転写電圧の値は、ATVC制御により目標の転写バイアス電圧が決定される度に更新される。ATVC制御による目標の転写電圧の決定は、二次転写時以外の非転写時、例えばプリンター1への電源投入時、プリントジョブの開始前、プリントジョブ開始後などの所定のタイミングで実行される。
(3)高圧電源部の回路構成
図4は、高圧電源部80の回路構成を示す図である。
同図に示すように、高圧電源部80は、大きく分けて第1高圧出力部81と、第2高圧出力部82と、転写出力モニター部83と、電流検出部84を備える。
第1高圧出力部81は、トランス101と、スイッチング素子102と、第1出力制御部103と、コンデンサー104,107と、ダイオード105,106と、抵抗108などを備える。
トランス101の一次巻線111には、入力端子8aからの直流電圧(DC24V)が供給される。スイッチング素子102は、トランス101の一次巻線111に接続され、トランス101の一次巻線111に供給される電流をON/OFFスイッチングする。
第1出力制御部103は、転写電圧制御部55から入力端子8cを介して入力される転写PWM信号のデューティー比に基づき、スイッチング素子102のスイッチング動作を制御する。
コンデンサー104,107とダイオード105,106と抵抗108からなる回路は、トランス101の二次巻線112に接続され、いわゆる倍電圧整流回路を構成する。この倍電圧整流回路は、トランス101の一次巻線111に流れる電流がスイッチング素子102のON/OFFスイッチングにより昇圧されることにより二次巻線112から出力される交流電圧を2倍の正の電圧にさらに昇圧するとともに整流、平滑する。
第2高圧出力部82は、トランス121と、スイッチング素子122と、第2出力制御部123と、ダイオード124と、コンデンサー125と、抵抗126などを備える。
トランス121の一次巻線には、入力端子8aからの直流電圧(DC24V)が供給される。スイッチング素子122は、トランス121の一次巻線に接続され、トランス121の一次巻線に供給される電流をON/OFFスイッチングする。
第2出力制御部123は、転写PWM信号とは関係なく、所定の電圧、例えば−1k(キロ)Vがトランス121の二次側で生成されるように、スイッチング素子122のスイッチング動作を制御する。
ダイオード124とコンデンサー125と抵抗126からなる回路は、トランス121の二次巻線に接続され、トランス121の一次巻線に流れる電流がスイッチング素子122のON/OFFスイッチングにより昇圧されることにより二次巻線から出力される負の交流電圧を整流、平滑して、所定の電圧、例えば−1kVを生成する。
本実施の形態では、トランス101の二次巻線112のGNDラインとトランス121の二次巻線のGNDラインが短絡されているので、トランス101の二次巻線112で生成された正の電圧に、トランス121の二次巻線で生成された負の電圧(−1kV)を足し合わせた電圧が出力端子8dから出力されるようになっている。従って、例えばトランス101の二次側で+3kVが生成されても、出力端子8dの出力電圧は+2kVになり、トランス101の二次側で生成された電圧に対して−1kVの差分が生じる。
この差分が予め加味されて、図3に示す転写PWMのデューティー比と高圧電源部80の出力電圧との線形の関係が対応付けられている。例えば、PWM信号のデューティー比を3.7にすれば、出力端子8dの出力電圧が−500Vになる。つまり、トランス101の二次側で+500Vが生成されると、トランス121の二次側の−1kVとの加算により、出力端子8dの出力電圧が−500Vになる。同様に、例えばPWM信号のデューティー比を95にすれば、トランス101の二次側で+5500Vが生成されると、トランス121の二次側の−1kVとの加算により、出力端子8dの出力電圧が+4500Vになる。このように回路構成が設計されている。
これにより、転写電圧制御部55は、二次転写ローラー23に供給すべき目標の電圧(転写電圧とクリーニングバイアス電圧)に対応するデューティー比の転写PWM信号を高圧電源部80に出力することにより、高圧電源部80に対して目標の電圧の出力を指示することができる。
図4に戻って転写出力モニター部83は、ダイオード131と、直列接続される抵抗132,133と、これらの抵抗132,133に対して並列接続されるコンデンサー134と、リミッタ回路135を備える。
抵抗132と133は、分圧回路を構成し、抵抗108の両端間の電圧に比例した大きさの、例えば数百分の1程度まで落とした電圧を生成する。
抵抗132,133で分圧された電圧は、リミッタ回路135を介して出力端子8bから転写モニター電圧として転写電圧制御部55に出力される。
リミッタ回路135は、転写モニター電圧が所定値、ここでは転写電圧制御部55に設けられているアナログ/デジタル(A/D)変換回路(不図示)の電圧入力レンジの上限値であるV2を超えないように(V2で頭打ちになるように)、制限をかける回路であり、V2以下の電圧については制限をかけない。よって、V2以下の転写モニター電圧については、そのまま出力端子8bから出力される。
転写電圧制御部55のA/D変換回路の電圧入力レンジは、本実施の形態では、図10に示すようにV1〜V2の範囲αと同じになっている。なお、クリーニングバイアス電圧については、本実施の形態では検出していないので電圧入力レンジαには入っていない。
この電圧入力レンジα内で転写モニター電圧の検出時の分解能をできるだけ大きくとるべく、転写電圧の実使用範囲に相当する電圧範囲を検出可能範囲としており、この検出が可能なように抵抗132と133の分圧比が設計される。
リミッタ回路135により、転写電圧が4500Vでもこれを大幅に超える6000Vでも出力端子8bから出力される転写モニター電圧の出力値は同じV2になるので、転写電圧制御部55では4500Vを超える電圧を検出できないことになる。
トランス101の一次側に転写出力モニター部83を設けることにより、転写出力モニター部83の抵抗132,133を耐圧の小さいものを用いることができる。通常、耐圧が大きい抵抗素子ほどコスト高になるので、トランス101の二次側に設ける場合に高耐圧のものが必要になる構成に比べると、安価な抵抗素子を用いることが可能になる。
なお、上記のように第2高圧出力部82での負の電圧(=−1kV)の生成により、抵抗108の両端間の正の電圧(トランス101の二次巻線112の出力電圧に相当)から1kVを差し引いた電圧が出力端子8dの出力電圧になる。つまり、転写モニター電圧は、出力端子8dの出力電圧を同じ比率で分圧させた場合の電圧に対して、−1kVの電圧差Δの相当分だけ差を有することになる。
このため転写電圧制御部55は、入力された転写モニター電圧を電圧差Δの相当分、つまりトランス101の二次巻線112の正の出力電圧がトランス121の二次側で生成された負の電圧(=−1kV)の重畳により変化する分だけ補正した値、具体的には転写モニター電圧から電圧差Δに相当する値を差し引いた値を転写モニター電圧とみなす。
電流検出部84は、トランス121の二次巻線の負側のラインとDC+5V電源との間に介在される抵抗141を備え、ATVC制御時に出力端子8dに接続されている二次転写ローラー23や中間転写ベルト21などの負荷(以下、「外部負荷」という。)に流れる電流を抵抗141の両端間の電圧に変換して、変換した電圧を出力端子8eから電流値検出信号として転写電圧制御部55に出力する。
転写電圧制御部55は、ATVC制御を実行するときには、デューティー比を一定時間ごとに異なる値に切り換えた転写PWM信号を高圧電源部80の入力端子8cに出力する。高圧電源部80の第1出力制御部103は、入力された転写PWM信号のデューティー比が異なる値に切り換わるごとに、そのデューティー比に応じてスイッチング素子102をスイッチング制御する。なお、第2出力制御部123は、第1出力制御部103の制御に連動して、トランス121の二次側から所定の電圧(=−1kV)が一定して出力されるように制御動作を行う。
これにより、出力端子8dから出力される電圧の大きさが転写PWM信号のデューティー比に応じて異なる値に切り換えられる。出力端子8dから異なる大きさの電圧が出力されている間、それぞれの電圧ごとに、出力端子8dに接続されている外部負荷の電気抵抗値の大きさに応じた電流値が電流検出部84により検出され、電流値検出信号として出力端子8eから転写電圧制御部55に出力される。
外部負荷の電気抵抗値は、プリンター1の周辺環境(温湿度)の変化や二次転写ローラー23や中間転写ベルト21の各部材の経年劣化などにより変動するので、ATVC制御の実行の度に検出される電流値が異なる場合があり得る。
電流検出部84による電流値の検出と並行して、トランス101の二次側の出力電圧に比例した大きさの電圧が転写出力モニター部83で検出され、その検出電圧が出力端子8bから転写電圧制御部55に出力される。
転写電圧制御部55は、受信した電流値検出信号と転写モニター電圧に基づき外部負荷の電気抵抗値の大きさを検出する。なお、転写モニター電圧については上記の補正が施される。そして、転写電圧制御部55は、検出した外部負荷の電気抵抗値と最適な転写電圧値との相関関係を示すテーブルを参照して、転写時に目標の電流値を流すのに必要な転写電圧の値を目標の転写電圧として決める。
続いて、目標の転写電圧に対応する転写PWMのデューティー比を記憶部56に記憶する。これでATVC制御による目標の転写電圧の決定が終了する。
目標の転写電圧の決定以降に実行されるプリントジョブにおける二次転写時には、転写電圧制御部55は、記憶部56に記憶されているデューティー比の転写PWMを高圧電源部80の入力端子8cに出力する。高圧電源部80は、入力された転写PWMのデューティー比に応じた電圧を出力端子8dから出力する。これにより二次転写時に目標の転写電圧が高圧電源部80の出力端子8dから出力され、二次転写ローラー23に印加される。
(4)プリント中における転写電圧と転写モニター電圧のタイミングチャート
図5と図6は、プリント中における転写電圧と転写モニター電圧のタイミングチャートの例を示す図であり、図5は、高圧電源部80の正常時を示し、図6は、高圧電源部80の異常時を示している。また、図5と図6においてプリント動作の開始と同時に二次転写ローラー23のクリーニングが開始され、その後、1枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達するタイミングに同期して二次転写が開始される制御を示している。
ATVC制御により決められた転写電圧は4000Vであり、転写電圧制御部55は、二次転写時に高圧電源部80に対して4000Vの出力を指示する。なお、転写電圧制御部55のA/D変換回路の電圧入力レンジαの最大値V2を3.3Vとしている。
<高圧電源部80が正常のとき>
図5に示すようにプリント開始から1枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達するまでの間には、転写電圧制御部55は、高圧電源部80に対して出力電圧がクリーニングバイアス電圧(ここでは−500V)になるように指示する。高圧電源部80が正常なので、高圧電源部80からクリーニングバイアス電圧として−500Vが出力される。これにより、二次転写ローラー23の表面がクリーニングされる。
1枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達すると(時点t1)、転写電圧制御部55は、高圧電源部80に対して出力電圧が二次転写時の転写電圧(ここでは+4000V)になるように指示する。高圧電源部80が正常なので、高圧電源部80の出力電圧が−500Vから+4000に切り換えられる。
転写電圧制御部55は、高圧電源部80に対して+4000Vの出力を指示しているが、転写出力電圧のグラフを見ると二次転写ローラー23に実際に印加される転写電圧が4000Vを中心に上下にある程度の幅で変動していることが判る。これは、主に二次転写ローラー23が1回転する間に二次転写ローラー23表面と中間転写ベルト21の表面との接触面積や接触圧が微小に変化することに起因する。二次転写ローラー23への印加電圧がオーバーシュートやアンダーシュートを繰り返し上下に変動し、例えば4000V程度であれば、その10%の+400V、−400Vの変動が起きることもある。
一方、転写モニター電圧の出力値(高圧電源部80の出力端子8bからの出力値)のグラフを見ると、転写電圧の変動に伴ってこれと同期するように転写モニター電圧も上下に変動して、その最大値が電圧入力レンジαの最大値である3.3Vに達している。なお、閾値M(=3.0V)とは、高圧電源部80に異常が発生していることの判断を行うための閾値である。
1枚目の用紙Sの後端が二次転写位置29を通過してから(時点t2)、2枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達するまで(時点t3)の間が用紙間隔、いわゆる紙間になる。この紙間は、用紙搬送制御において予め決められた時間が設定される。
紙間では、用紙Sが二次転写位置29に存在せず、二次転写が実行されないので、転写電圧制御部55は、高圧電源部80に対して出力電圧が二次転写時の転写電圧(ここでは+4000V)よりも低い所定電圧(ここでは0V)になるように指示する。高圧電源部80が正常なので、高圧電源部80の出力電圧が0Vになる。これにより転写モニター電圧の出力値も0Vになる。
紙間が終了して、2枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達すると(時点t3)、転写電圧制御部55は、高圧電源部80に対して出力電圧が0Vから二次転写時の転写電圧(ここでは+4000V)になるように指示する。この動作が3枚目以降の各用紙Sに対して繰り返し実行される。
高圧電源部80が正常の場合、紙間では高圧電源部80の出力電圧が0Vになり、転写モニター電圧の出力値も0Vになるので、転写モニター電圧が閾値M(=3.0V)を超えることはない。高圧電源部80が正常であるので、操作部60に対する出力異常通知信号は、Lレベルのままになる。
これに対し、図6に示すように高圧電源部80が故障などにより異常になって転写電圧制御部55の指示を受け付けなくなり、1枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達したとき(時点t1)に高圧電源部80の出力電圧が最大になった場合には、二次転写時に転写電圧制御部55から高圧電源部80に+4000Vの出力を指示しても、高圧電源部80の出力電圧は+6000Vになる。高圧電源部80が転写電圧制御部55の指示を受け付けないので、紙間でも高圧電源部80の出力電圧が+6000Vのままになる。
このとき転写モニター電圧の出力値は、+6000Vの出力電圧に比例した大きさの電圧になるはずであるが、上記のように出力値の上限がV2(=3.3V)に制限されているので、3.3Vに抑えられる。従って、転写電圧制御部55は、転写電圧が4500Vなのか6000Vなのかを判断することができない。
一方で、二次転写時以外の紙間は、二次転写を行っていない期間であるから、二次転写時の指示電圧(第1転写電圧)を二次転写ローラー23に供給する必要はない。
そこで、紙間において、転写電圧制御部55が高圧電源部80に対して二次転写時の指示電圧(第1転写電圧)よりも低い電圧(第2転写電圧:上記では0V)を指示する。
この指示のときに高圧電源部80が正常であれば、指示通りの電圧(=0V)が高圧電源部80から出力され、転写モニター電圧も0Vになるはずである。一方で、高圧電源部80が異常であり最大出力可能電圧(=+6000V)が出力されているような場合には、指示にも関わらず、高圧電源部80からは最大出力可能電圧が出力されたままになり、転写モニター電圧の出力値も電圧入力レンジαの上限である3.3Vになる。
従って、高圧電源部80から第2転写電圧(=0V)が出力されたときの転写モニター電圧(=0V)と、実使用範囲の上限の電圧(=+4500V)が高圧電源部80から出力されたときの転写モニター電圧(=3.3V)との間に所定の閾値Mを設定しておけば、非転写時に指示電圧を第2転写電圧(=0V)とすることにより、転写モニター電圧が閾値Mを超えている場合に高圧電源部80の異常を判断できる。閾値Mは、高圧電源部80の異常判断に適した値が予め実験などにより決められる。
図6のタイミングチャートに示すように紙間(時点t2〜t3間)において高圧電源部80の異常が判断された場合、操作部60に対する出力異常通知信号がLレベルからHレベルに切り換わる。出力異常通知信号のHレベルへの切り換わりが操作部60に対する高圧電源部80の出力異常発生の通知になる。
なお、上記に代えて、仮に紙間で第2転写電圧の大きさを第1転写電圧と同じとする場合、図7に示すように正常時でも紙間では転写モニター電圧が3.3Vまで上昇することがあり得るので(破線99で示す状態)、高圧電源部80が正常か異常かを判断できない。このことから、(紙間の第2転写電圧)<(二次転写時の第1転写電圧)の大小関係を満たすように、第2転写電圧の値が設定される。第2転写電圧の値は0Vに限られないが、できるだけ低い値が望ましい。閾値Mは、電圧入力レンジα内においてできるだけ高い値、例えばその上限値(実使用範囲の上限値の転写電圧が出力された場合における転写モニター電圧の値に相当)または上限値よりも所定量だけ低い値とすることが望ましい。
(5)プリントジョブ実行中における高圧電源部の異常判断処理
図8は、プリントジョブ実行中における高圧電源部の異常を判断する異常判断処理を示すフローチャートであり、転写電圧制御部55により実行される。
図8に示すようにプリントの開始を判断すると(ステップS1で「YES」)、転写電圧制御部55は、低圧電源部70から出力される直流電圧(DC24V)を高圧電源部80に供給させる(ステップS2)。この処理は、スイッチ75を導通(ON)させることにより行われる。そして、転写出力をONにする(ステップS3)。ここでは、以降のステップS5またはS7で転写出力設定が行われると転写出力が開始できるようにフラグをセットすることが行われる。
続いて、二次転写位置29を1枚目の用紙が通過中であるか否かを判断する(ステップS4)。この判断は、用紙搬送制御により行われる。用紙搬送制御は、搬送路39に沿って間隔をあけて配置された複数の用紙検出センサー(不図示)のそれぞれの検出結果をプリントジョブ実行中に監視して、用紙Sが搬送路39上のどの位置を搬送中であるかを検出する制御であり、主にジャム検出などに用いられる。ステップS4では、1枚の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達してから当該用紙Sの後端が二次転写位置29を通過するまでの間を用紙Sが二次転写位置29を通過中であると判断する。
1枚目の用紙Sが二次転写位置29を通過中と判断すると(ステップS4で「YES」)、転写出力を通常に設定して(ステップS5)、ステップS6に移る。転写出力が通常とは、ATVC制御により決められた転写電圧(上記の第1転写電圧)を、出力すべき転写電圧に設定することを意味する。ステップS3で転写出力がONになっており、ステップS5で転写出力が設定されると、設定された転写出力、ここではATVC制御により決められた転写電圧の出力を高圧電源部80に指示する。具体的には、転写電圧制御部55は、第1転写電圧に対応するデューティー比の転写PWMを高圧電源部80に出力する。これにより、1枚目の用紙Sに対する二次転写が開始される。
そして、プリント終了か否かを判断する(ステップS6)。プリント終了ではないことを判断すると(ステップS6で「NO」)、ステップS4に戻って、用紙Sが二次転写位置29を通過中であるか否かを判断する。用紙Sが二次転写位置29を通過中であると判断すると(ステップS4で「YES」)、ステップS5を実行してステップS6に移る。
1枚目の用紙Sが二次転写位置29を通過したことを判断するまで、ステップS4〜S6の処理を繰り返し実行する。1枚目の用紙Sの後端が二次転写位置29を通過したことを判断すると(ステップS4で「NO」)、1枚目の用紙Sに対する二次転写が終了して、紙間に移行したとして、転写出力を紙間に設定して(ステップS7)、ステップS8に移る。ここで、転写出力が紙間とは、上記の第2転写電圧(=0V)を、出力すべき転写電圧に設定することを意味する。ステップS3で転写出力がONになっており、ステップS7で転写出力が設定されると、設定された転写出力、ここでは0Vの転写電圧の出力を高圧電源部80に指示する。具体的には、0Vの転写電圧に対応するデューティー比の転写PWMを高圧電源部80に出力する。
ステップS8では転写電圧制御部55は、第2転写電圧の出力指示期間において高圧電源部80からの転写モニター電圧を受信し、受信した転写モニター電圧に上記補正を施した補正後の転写モニター電圧(以下、「転写モニター電圧」という。)が閾値M以下であるか否かを判断する。
転写モニター電圧と閾値Mの大小関係の判断を例えば瞬時に行う方法をとるとしても良いし、転写モニター電圧≦閾値Mの関係を満たしている状態が所定時間以上継続した場合にだけ肯定的と判断し、所定時間内で1回でも転写モニター電圧>閾値Mの関係になった場合には否定的と判断する方法をとるとしても良い。転写モニター電圧波形がある程度の幅で上下に変動するような波形であれば、判断時間を長くとることが望ましい。
転写モニター電圧≦閾値Mであることを判断すると(ステップS8で「YES」)、高圧電源部80が正常であるとして、ステップS6に移る。
プリント終了ではなく(ステップS6で「NO」)、紙間の途中であることを判断すると(ステップS4で「NO」)、ステップS7で再度、転写出力を紙間に設定して、ステップS8に移る。紙間ではステップS4、S7、S8、S6の処理を繰り返し実行する。
紙間が終了して2枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達すると(ステップS4で「YES」)、ステップS5以降の処理を実行する。これにより、2枚目の用紙Sに対する二次転写が開始される。プリントすべき全ての枚数Nの用紙Sの1枚ずつに対してステップS4以降の処理が実行される。最後の用紙Sに対する二次転写が終了するまでの間には、(N−1)回の紙間が発生する。それぞれの紙間においてステップS8で転写モニター電圧≦閾値Mの関係を満たしていることを判断すると、高圧電源部80に異常が発生していないとして、ステップS4〜S8の処理を繰り返し実行する。
最後の用紙Sに対する二次転写が終了するとプリント終了を判断して(ステップS6で「YES」)、転写出力をOFFにする(ステップS9)。この転写出力のOFFは、上記のフラグをリセットするとともに、高圧電源部80への転写PWMの出力を停止することに行われる。これにより、高圧電源部80は、転写電圧の出力を停止させる。
そして、低圧電源部70から高圧電源部80へのDC24Vの電圧供給を停止させて(ステップS10)、当該異常判断処理を終了する。高圧電源部80への電圧供給の停止は、スイッチ75を非導通(OFF)させることにより行われる。
一方、ある紙間において転写モニター電圧>閾値Mであることを判断すると(ステップS8で「NO」)、転写電圧制御部55は、高圧電源部80の異常の発生を検出して(ステップS11)、低圧電源部70から高圧電源部80へのDC24Vの電圧供給を停止させる(ステップS12)。この電圧供給の停止は、上記ステップS10と同じ方法で行われる。これにより、プリントジョブ実行中に高圧電源部80からの転写電圧の出力が強制的に停止される。
続いて、転写電圧制御部55は、CPU52に対してプリント(画像形成)動作の停止を指示する(ステップS13)。これにより、現に実行中のプリントジョブが停止される。そして、転写電圧制御部55は、高圧電源部80の異常発生をユーザーに通知して(ステップS14)、当該異常判断処理を終了する。ユーザーへの通知は、ここでは操作部60の液晶表示部に、高圧電源部80に異常が発生していることとプリントジョブを継続できない旨のメッセージ表示を表示させることにより行われる。
なお、ユーザーに対して高圧電源部80の異常発生を警告できれば良く、メッセージ表示に限られず、例えばスピーカーからの音声出力やLANを介してユーザーが使用する端末にその旨の警告を出力する構成などをとるとしても良い。
また、図8では、プリントジョブ実行中に紙間のタイミングに至る度に、高圧電源部80の異常発生の有無の判断(ステップS8)を行うとしたが、これに限られない。例えば、高圧電源部80の異常発生がジョブ実行途中に突発的に発生することが少ないような場合には、1回のプリントジョブにおいて1枚目の用紙Sと2枚目の用紙Sの紙間のときだけにステップS8の処理を行う構成をとることもできる。
また、高圧電源部80の異常発生の有無の判断タイミングは、紙間に限られない。非転写時であり、ATVC制御の実行タイミング以外の期間とすることができる。例えば、ジョブ実行中において、1枚目の用紙Sの先端が二次転写位置29に到達する前の第1期間または最後の用紙Sの後端が二次転写位置29を通過した以降の第2期間とすることもできる。紙間、第1期間、第2期間の少なくも一つとすることもできる。
以上説明したように本実施の形態では、二次転写ローラー23に印加されている転写電圧の検出精度を向上させつつ、非転写時である紙間に、二次転写ローラー23に転写電圧を供給する高圧電源部80の異常発生の判断が可能になる。
また、ATVC制御における転写電圧の検出回路である転写出力モニター部83を、高圧電源部80の異常を判断するための回路に兼用することにより、新たな回路を設けることなく、安価に異常判断を行うことができる。
本発明は、画像形成装置に限られず、高圧電源部80の異常発生の判断方法であるとしても良い。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしても良い。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を考えることができる。
(1)上記実施の形態においては、二次転写ローラー23に二次転写電圧を供給する高圧電源部80の異常を判断する構成例を説明したが、一次転写ローラー22に一次転写電圧を供給する電源部(不図示)の異常を判断する構成にも適用できる。
図1に示すように作像部10Y〜10Kごとに一次転写ローラー22は、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム11に対向配置されている。一次転写ローラー22に供給される一次転写電圧についてもATVC制御により最適な電圧が事前に決定されている。
本変形例では、プリントジョブごとに、感光体ドラム11上のトナー像の中間転写ベルト21への一次転写がカセット31から1枚目の用紙Sが繰り出される通紙開始後に実行されるので、電源部の異常有無の判断は、通紙開始前に完了しておくことが望ましい。
図9は、プリントジョブ実行中におけるY色の一次転写用の電源部の異常を判断する異常判断処理を示すフローチャートであり、図8に示すフローチャートと同じ処理のステップについては同じ符号を付している。
なお、本変形例では、転写電圧制御部55と高圧電源部80に代えて、一次転写用の転写電圧制御部と高圧電源部とが別に配置されているものとする。また、ステップS20,S24において、一次転写電圧を供給する高圧電源部(以下、「高圧電源部」という。)の異常の有無を判断するための閾値としてM1を用いている。この閾値M1は、一次転写電圧の大きさや一次転写電圧の電圧入力レンジαに応じて、高圧電源部の異常判断に適した値が予め実験などにより決められる。
図9に示すようにプリント開始により(ステップS1)、一次転写用の高圧電源部(以下、「高圧電源部」という。)への電圧供給を行って(ステップS2)、一次転写出力をONにする(ステップS3)。この時点では、未だ通紙は開始されていない。通紙開始は、後述のステップS22で実行される。
ステップS3に続いて、ステップS20では転写出力を通紙前に設定する。この通紙前の設定とは、上記の紙間の設定に等しく、ここでは0Vである。
そして、転写モニター電圧≦閾値M1の関係を満たしていることを判断すると(ステップS21で「YES」)、高圧電源部が正常として、給送部30に対してカセット31から1枚目の用紙Sの通紙を開始させる(ステップS22)。
続いて、転写出力を通常に設定する(ステップS5)。これにより高圧電源部から一次転写ローラー22にATVC制御により決定された一次転写電圧が供給される。一次転写ローラー22への一次転写電圧の供給は、最後の用紙Sの通紙が完了するまで、具体的には最後の用紙Sが二次転写位置29を通過するまでの間に亘って継続される。
なお、最後の用紙Sとは、1枚の用紙Sだけをカセット31から繰り出してプリントするジョブの場合には、当該用紙Sになり、N(複数)枚の用紙Sを1枚ずつ順番にカセット31から繰り出してプリントするジョブの場合には、N枚目の用紙Sになる。このことから1枚目の用紙Sのカセット31からの繰り出し開始から最後の用紙Sの後端が二次転写位置29を通過するまでの期間は、一次転写電圧の供給期間になる。
最後の用紙Sの通紙が完了すると(ステップS23)、転写出力を通紙後に設定する(ステップS24)。この通紙後の設定とは、上記の通紙前の設定に等しく、ここでは0Vである。そして、転写モニター電圧≦閾値M1の関係を満たしているか否かを判断する(ステップS25)。
転写モニター電圧≦閾値M1の関係を満たしていることを判断すると(ステップS25で「YES」)、ステップS9、S10を経て、当該処理を終了する。
ステップS21において転写モニター電圧≦閾値M1の関係を満たしていないことを判断すると(ステップS21で「NO」)、高圧電源部の異常を判断した後(ステップS11)、ステップS12以降の処理を実行する。この場合、当該プリントジョブにおいて一次転写の開始前に高圧電源部の異常を判断することができる。
一方、転写モニター電圧≦閾値M1の関係を満たしていないことを判断すると(ステップS25で「NO」)、ステップS11に移る。これにより、通紙開始から通紙終了までの間に何らかの要因により発生した高圧電源部の異常を通紙終了時に判断できる。
このように本変形は、非転写時に高圧電源部に対して第2転写電圧(=0V)の出力を指示して、当該高圧電源部の異常の有無を判断する処理を、一次転写ローラー22への一次転写電圧の供給期間以外の期間に行う構成、すなわち給送部30による1枚目の用紙Sの繰り出し開始から給送部30により最後に搬送された用紙Sの後端が二次転写位置29を通過するまでの期間を除く期間に行う構成といえる。
なお、上記では、Y色に対する一次転写の例を説明したが、他のM〜K色のそれぞれに対する一次転写についても同様の処理が実行される。
(2)上記実施の形態では、高圧電源部80のトランス101の一次側に転写出力モニター部83を設ける構成例を説明したが、これに限られない。例えば、トランス101の二次側に転写出力モニター部83を設ける構成とすることも可能である。この構成では、高圧電源部80の出力端子8dから出力される電圧値を直接、検出することができる。
また、高圧電源部80に設ける構成に限られず、高圧電源部80とは別の、例えば全体制御部50に設ける構成などとしても良い。電流検出部84についても同様である。
さらに、ATVC制御において高圧電源部80が定電流制御を行うとしたが、これに限られない。例えば、次のような構成を考えることもできる。
すなわち、高圧電源部80とは別に定電流源を設け、転写出力モニター部83を高圧電源部80とは独立して設ける。そして、ATVC制御のときには定電流源だけを二次転写ローラー23に接続して、定電流を二次転写ローラー23に供給して、そのときの二次転写ローラー23に印加されている電圧を転写出力モニター部83で検出する。定電流値と検出電圧値とから二次転写ローラー23の電気抵抗値を求め、求めた電気抵抗値に基づき最適な二次転写電圧を決める。
プリントジョブ実行中には、高圧電源部80だけを二次転写ローラー23に接続して、ATVC制御で決められた電圧(第1転写電圧)を二次転写ローラー23に供給する。そして、紙間では、二次転写ローラー23に印加されている電圧(第2転写電圧)を転写出力モニター部83で検出し、その検出結果に基づき高圧電源部80の異常発生の有無の判断を行う。
(3)上記実施の形態では、高圧電源部80の異常を判断した場合、高圧電源部80の電圧出力を強制的に停止させるべく、スイッチ75をOFFさせるとしたが、これに限られない。低圧電源部70から高圧電源部80への電圧供給を遮断させる構成であれば良い。例えば、転写電圧制御部55が低圧電源部70に対して高圧電源部80への電圧供給の停止を指示する方法をとることができる。また、高圧電源部80に電圧を供給する別の電源としては、低圧電源部70に限られず、例えば商用電源などであっても良い。
(4)上記実施の形態では、高圧電源部80が第1高圧出力部81と第2高圧出力部82を備え、極性の異なる転写電圧とクリーニングバイアス電圧を切り換えて出力可能な構成例を説明したが、これに限られない。
例えば、高圧電源部80が転写電圧の出力を行い、クリーニングバイアス電圧を別の電源部が行う構成とすることもできる。この構成では、高圧電源部80に第2高圧出力部82を備える必要がなくなり、第1高圧出力部81だけで転写電圧を出力することができる。また、トランス101の二次巻線112の正の出力電圧に負の電圧が重畳されることがなくなるので、トランス101の二次巻線112の出力電圧が出力端子8dの出力電圧に一致することになり、上記のような転写モニター電圧の補正処理が不要になって、それだけ処理負担の軽減を図れる。
(5)上記実施の形態では、トナーの帯電極性が負極性のために転写電圧を正とする構成例を説明したが、トナーの帯電極性が正極性の場合には転写電圧を負とする構成をとることができる。いずれにしても上記の転写電圧の実使用範囲は、高圧電源部80の最大出力可能電圧の絶対値よりも低い所定値を上限とする所定の実使用範囲となり、この実使用範囲内で二次転写ローラー23や一次転写ローラー22に供給されている転写電圧またはその指標値が検出される。
(6)上記実施の形態では、タンデム型カラープリンタについて説明したが、これに限られない。モノクロのプリンタでもよいし、4サイクル方式のカラー画像形成装置や、その他複写機、ファクシミリ装置およびこれらの複合機などでも良い。転写部材に供給された転写電圧により生成される静電力により、像担持体上の画像を被転写体に転写する画像形成装置一般に適用することができる。
上記のような中間転写ベルト21などの中間転写体を用いる中間転写方式の画像形成装置では、一次転写については感光体ドラム11が像担持体、中間転写ベルト21が被転写体になり、二次転写については中間転写ベルト21が像担持体、用紙Sなどのシートが被転写体になる。また、中間転写方式でなく、感光体ドラム11上の画像が用紙Sに直接、転写される方式では、感光体ドラム11が像担持体、用紙Sが被転写体になる。この直接転写方式では、非通紙時における高圧電源部の異常判断を、中間転写方式の二次転写の場合と同様に、上記の紙間、第1期間、第2期間の少なくも一つとすることができる。
上記では感光体を感光体ドラム11とする構成例を説明したが、ドラム状のものに限られず、例えばベルト状のものでも良い。また、中間転写体を中間転写ベルト21とする構成例を説明したが、ベルト状のものに限られず、例えばドラム状のものでも良い。
さらに、転写部材として転写ローラーを使用した場合を例に説明したが、ローラーに限られず、例えばブラシ状のものなどを使用しても良い。また、高圧電源部80の回路構成が上記のものに限られないこともいうまでもない。さらに、リミッタ回路135が高圧電源部80に設けられる構成に限られず、転写電圧制御部55に設けられる構成でも良く、転写電圧制御部55の電圧入力レンジαが一定幅に制限される構成とすることができる。
また、上記実施の形態及び各変形例は、可能な限り組み合わせて用いるとしても良い。
本発明は、像担持体上の画像を被転写体に転写する画像形成装置に広く適用することができる。
1 プリンター
11 感光体ドラム
21 中間転写ベルト
22 一次転写ローラー
23 二次転写ローラー
39 シートの搬送路
50 全体制御部
55 転写電圧制御部
56 記憶部
60 操作部
70 低圧電源部
75 スイッチ
80 高圧電源部
81 第1高圧出力部
82 第2高圧出力部
83 転写出力モニター部
84 電流検出部
101 トランス
111 一次巻線
112 二次巻線
135 リミッタ回路
M,M1 閾値

Claims (12)

  1. 転写部材に印加された転写電圧により生成される静電力により、像担持体上の画像を被転写体に転写する画像形成装置であって、
    前記転写部材に供給する転写電圧を変更して出力可能な電源部と、
    前記電源部の最大出力可能電圧の絶対値よりも低い所定値を上限とする所定の実使用範囲内で前記転写部材に印加されている転写電圧またはその指標値を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づき前記転写部材に供給すべき目標の第1転写電圧を決め、以降の転写時に前記電源部に対して前記第1転写電圧の出力を指示する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記転写時以外の非転写時に前記電源部に対して、前記第1転写電圧よりも低い第2転写電圧の出力を指示した場合に、当該指示にも関わらず前記検出手段の検出値が所定の閾値よりも大きければ前記電源部の異常を判断することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記非転写時であり、前記第2転写電圧の出力指示とは別の期間に、前記電源部に対して、前記転写部材に一定の電流が流れたときの前記検出手段の検出結果に基づき前記第1転写電圧を決めるATVC制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記所定の閾値は、
    前記実使用範囲の上限の転写電圧が出力された場合における前記検出手段の検出値と同じ値、または前記検出値よりも所定量だけ低い値であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第2転写電圧は、0Vであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、
    前記電源部の異常の判断を、前記検出手段の検出値が前記所定の閾値よりも大きい状態が所定時間以上継続した場合にだけ行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記電源部は、
    別の電源から供給される電圧を昇圧して前記転写電圧を生成し、
    前記制御手段は、
    前記電源部の異常を判断すると、前記別の電源から前記電源部への電圧供給を遮断させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記別の電源から前記電源部への電圧供給路の途中に設けられ、当該電圧供給路を断続するスイッチを備え、
    前記制御手段は、
    前記電源部の異常を判断すると、前記スイッチをオフにして、前記電圧供給路を切断させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御手段は、
    前記電源部の異常を判断すると、前記像担持体への画像形成を禁止させること、および前記電源部に異常が発生している旨を警告することの少なくとも一つを実行することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記電源部は、
    一次巻線に入力された電圧を昇圧して二次巻線から出力するトランスを備え、
    前記トランスの二次巻線の出力電圧に、これとは逆極性の電圧を重畳させた電圧を前記転写電圧として出力し、
    前記検出手段は、
    前記トランスの一次巻線に流れる電流を電圧変換したものを前記転写電圧の指標値として検出し、
    前記制御手段は、
    前記トランスの二次巻線の出力電圧が前記逆極性の電圧の重畳により変化する分だけ前記検出手段の検出値を補正した値を、前記転写電圧の指標値とみなすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 感光体から画像が中間転写体に一次転写され、前記中間転写体上の画像がシート上に二次転写位置で二次転写される中間転写方式の場合に、
    前記像担持体は、前記中間転写体であり、
    前記被転写体は、前記シートであり、
    前記転写部材は、前記二次転写位置において前記シートの搬送路を挟んで前記中間転写体と対向配置される二次転写部材であり、
    前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、
    前記シートの先端が前記二次転写位置に到達する前の期間、前記シートの後端が前記二次転写位置を通過した以降の期間、および複数枚のシートが間隔をおいて1枚ずつ搬送される場合に先行のシートの後端が前記二次転写位置を通過後、次のシートの先端が前記二次転写位置に到達するまでの紙間の少なくとも一つの期間に実行されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. シート収容部からシートを1枚ずつ繰り出して搬送する給送部を備え、
    感光体から画像が中間転写体に一次転写位置で一次転写され、前記中間転写体上の画像が、前記給送部により搬送されるシート上に二次転写位置で二次転写される中間転写方式の場合に、
    前記像担持体は、前記感光体であり、
    前記被転写体は、前記中間転写体であり、
    前記転写部材は、前記一次転写位置において前記中間転写体を挟んで前記感光体と対向配置される一次転写部材であり、
    前記一次転写は、前記給送部による1枚目のシートの繰り出し開始後に実行され、
    前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、
    前記給送部による1枚目のシートの繰り出し開始から前記給送部により最後に搬送されたシートの後端が前記二次転写位置を通過するまでの期間を除く期間に実行されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 感光体から画像がシート上に転写位置で転写される方式の場合に、
    前記像担持体は、前記感光体であり、
    前記被転写体は、前記シートであり、
    前記転写部材は、前記シートの搬送路を挟んで前記感光体と対向配置され、
    前記非転写時における前記第2転写電圧の出力指示は、
    前記シートの先端が前記転写位置に到達する前の期間、前記シートの後端が前記転写位置を通過した以降の期間、および複数枚のシートが間隔をおいて1枚ずつ搬送される場合に先行のシートの後端が前記転写位置を通過後、次のシートの先端が前記転写位置に到達するまでの紙間の少なくとも一つの期間に実行されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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