(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置Aの全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る画像形成装置Aは、接触帯電方式を採用した電子写真方式のレーザビームプリンタである。
図1に示す様に、画像形成装置Aはシートにトナー像を転写する画像形成部と、画像形成部へシートを供給するシート給送部と、シートにトナー像を定着させる定着部と、を備える。
画像形成部は、シート搬送方向上流側から順番に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック色の画像を形成する画像形成部10y、10m、10c、10kの4つの画像形成部(複数の画像形成部)を備えている。
また、各画像形成部は像担持体として、回転可能に設けられた回転ドラム型の有機電子写真感光体である感光体ドラム1(1y、1m、1c、1k)を有する。また帯電手段として感光体ドラム1表面を一様に帯電させる接触式帯電方式の帯電ローラ2(2y、2m、2c、2k)を備える。またクリーニングユニット6(6y、6m、6c、6k)、レーザスキャナユニット3(3y、3m、3c、3k)、現像装置4(4y、4m、4c、4k)、転写ローラ5(5y、5m、5c、5k)、除電装置(8y、8m、8c、8k)を備える。
画像形成に際しては、図2に示す制御部50がプリント信号を発すると、シート積載部9に積載収納されたシートが給送ローラ11によってシート搬送路に給送される。給送されたシートは搬送ローラ12により画像形成部に搬送される。
画像形成部では、感光体ドラム1y、1m、1c、1k上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック色の各トナー像をシートに順次転写して重ね合わせて画像を形成する。
具体的には、感光体ドラム1が図2に示すドラムモータ51から駆動を受けることにより回転し、これに従動して帯電ローラ2が回転する。このとき、図2に示す帯電電源53より所定の帯電バイアスが帯電ローラ2に印加される。これにより、帯電ローラ2と感光体ドラム1とから形成される帯電ニップ部vの微小ギャップにて生じる放電現象を利用して感光体ドラム1の表面が帯電される。
次に、感光体ドラム1が帯電されると、露光部wにおいてレーザスキャナユニット3が内部に備える不図示の光源からレーザ光を出射し、レーザ光を感光体ドラム1上に照射する。これにより感光体ドラム1の表面上に静電潜像が形成される。
次に、この静電潜像は、現像装置4が有する現像スリーブ7が現像ニップ部xにおいて感光体ドラム1に接触することで感光体ドラム1上にトナー像として現像される。なお、静電潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ7には現像電源54から所定の現像バイアスが印加される。
次に、感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1と転写ローラ5から形成される転写ニップ部yにおいて転写ローラ5に転写バイアスが印加されることにより、被転写体であるシートに順次転写される。
トナー像が転写されたシートは、定着装置13に送られ、加熱、加圧されてトナー像がシートに定着された後に排出ローラ14によって排出部15に排出される。
一方で画像をシートに転写した後の画像形成部10は、除電部zにおいて除電装置8が有するLEDアレイによって感光体ドラム1が露光されることにより、感光体ドラム1の表面に残留した電位が解消される。
なお、本実施形態では隣り合う各画像形成部間の距離は、各転写ニップ部間の距離としていずれも100mmとなっている。また、隣り合う下流側の画像形成部は、隣り合う画像形成部間の距離を感光体ドラム1の周速度で除算した時間である色間遅延時間T(所定時間T)だけ遅らせて順次画像を形成する。本実施形態では感光体ドラム1の周速度が200mm/sであり、隣り合う画像形成部間の距離はそれぞれ100mmのため、色間遅延時間Tは500msとなる。
<制御部>
次に、画像形成装置Aの画像形成部10を制御するためのシステム構成について説明する。図2、図3に示す様に、まず制御部50は、感光体ドラム1を駆動させるためのドラムモータ51、現像スリーブ7を駆動させるための現像モータ52と接続されており、それぞれのモータに信号を発信して感光体ドラム1と現像スリーブ7を駆動させる。また、制御部50はレーザスキャナユニット3と接続され、画像信号に対応した制御信号を発信して、その信号に応じてレーザスキャナユニット3がレーザ光を出力する。
また制御部50は、帯電バイアスを印加するための帯電電源53、現像バイアスを印加するための現像電源54、転写バイアスを印加するための転写電源55と接続されている。ここで、帯電電源53は帯電DC電源53aと帯電AC電源53bから構成され、現像電源54は現像DC電源54aと現像AC電源54bから構成される。また、転写電源55は転写DC電源55aから構成される。
後述する作像シーケンスにおいて各電源から印加されるバイアスについては、まず帯電電源53から帯電ローラ2に対して所定の帯電バイアスが印加される。本実施形態では、帯電DC電源53aから目標電位−700Vの帯電DCバイアスと、帯電AC電源53bから画像形成時に充分に安定して放電するピーク間電圧の帯電ACバイアスを重畳して印加する。これにより、感光体ドラム1の表面電位が−700Vに帯電される。
また現像電源54から現像スリーブに対して所定の現像バイアスが印加される。この現像バイアスは、現像スリーブ7に現像バイアスが印加されることで発生する電界により感光体ドラム1表面の静電潜像に対応してトナーを選択的に付着させる。本実施形態では現像DC電源54aから現像DCバイアスと、現像AC電源54bからトナーを安定的に感光体ドラム1の所定の位置に付着させるための現像ACバイアスが印加される。ここで、現像DCバイアスは現像ニップ部xにおいて、感光体ドラム1の表面電位と予め決められた電位差を形成するように設定される。本実施形態では、この電位差を150Vと設定し、前述した通り感光体ドラム1は−700Vに帯電されるため、現像DCバイアスは−550Vに設定される。
また、転写電源55から転写ローラ5に対しては所定の転写バイアスが印加される。この転写バイアスは転写ニップ部おいてシートが搬送されている間に印加されるバイアスであって、トナーの帯電極性とは逆極性のバイアスである。本実施形態ではトナーの正規帯電極性が負極性のため、転写バイアスは正極性となる。
<作像シーケンス>
次に、画像形成部10において画像形成時に実行される作像シーケンスについて詳述する。図4は、複数の画像形成部のうちの最も上流側に設けられた最上流画像形成部であるイエローの画像形成部10yの画像形成時の各モータの駆動タイミング、各バイアス印加のタイミングを示すシーケンス図である。なお、他の3つの画像形成部10m、10c、10kの作像シーケンスに関しては後述する。
まず画像形成信号がオンになると、図4に示す様に、制御部50により感光体ドラム1を駆動するためのドラムモータ51の駆動が開始され、感光体ドラム1が回転し始める。なお、この駆動開始時刻を0とする。また、感光体ドラム1の周速度が安定するまでの時間は装置の使用環境および耐久使用などによって変動するが、本実施形態では最も遅くとも150msまでに安定する。
次に、感光体ドラム1の回転が安定すると、制御部50により帯電電源53の帯電AC電源53bから片側の振幅が放電開始電圧Vthを超えるピーク間電圧の帯電ACバイアスが印加される。ここで、帯電ACバイアスが安定するまでの時間は、装置の使用環境および耐久使用などによって変動するが、本実施形態では最も遅くとも150msまでに安定する。
次に、帯電ACバイアスが安定的に印加されるようになると、制御部50により、帯電ACバイアスの印加を維持したまま、帯電電源53の帯電DC電源53aから帯電DCバイアスが印加される。本実施形態では、帯電DCバイアスは20msあたり−100Vずつ上昇させるように制御されている。従って、帯電DCバイアス印加開始から140msをかけて目標電位である−700Vまで上昇する。
次に、帯電DCバイアスが印加され始めた以後に帯電ニップ部vを通過した感光体ドラム1の領域が現像ニップ部xに到達したとき、制御部50により現像電源54の現像DC電源54bから現像DCバイアスが印加される。すなわち、帯電DCバイアス印加開始の時刻300msを基準に、帯電ニップ部から現像ニップ部までの距離40mmと感光体ドラム1の周速度200mm/sとから算出される時間200msだけ遅れて現像DCバイアスが印加され始める。また、この現像DCバイアスは20msあたり−100Vずつ上昇するように制御されている。従って、印加開始から110msをかけて目標電位である−550Vまで上昇する。
次に、帯電DCバイアスが目標電位の−700Vまで上昇した以後に帯電ニップ部vを通過した感光体ドラム1の領域が現像ニップ部xに到達したとき、制御部50は現像電源54の現像AC電源54bから現像ACバイアスを印加する。また、同時に現像モータ52の駆動を開始させる。すなわち帯電DCバイアスが目標電位に達した時刻440msを基準に帯電ニップ部vから現像ニップ部xまでの距離40mmと感光体ドラム1の周速度200mm/sから算出される200ms遅れて現像ACバイアスの印加と現像モータ52の駆動が開始される。ここで、現像ACバイアスの立ち上げや現像モータ52の駆動が安定するまでの時間は、装置の使用環境や耐久使用などによって変動するが、本実施形態では最も遅くとも現像ACバイアスは100ms、現像モータは150msで安定する。
このようなタイミングで現像ACバイアスの印加と現像モータ52の駆動を開始させることで、帯電DCバイアスと現像DCバイアスがともに立ち上がって、現像ニップ部xにおいて感光体ドラム1の表面電位と現像スリーブ7との間で適切な電位差が形成できる。このため、感光体ドラム1へのトナーカブリやキャリア付着を防止することができる。
次に、帯電DCバイアスが目標電位の−700Vに達した以後に帯電ニップ部vを通過した感光体ドラム1の領域が転写ニップ部yに達したとき、制御部50により転写電源55の転写DC電源55aから転写DCバイアスの印加が開始される。すなわち、帯電DCバイアスが目標電位に達する時刻440msを基準に、帯電ニップ部vから転写ニップ部yまでの距離60mmと感光体ドラム1の周速度200mm/sとから算出される時間300ms遅れて転写DCバイアスが印加され始める。なお、転写DCバイアスが安定するまでの時間は、装置の使用環境および耐久使用などによって変動するが、本実施形態では最も遅くとも100msまでに安定する。
このように帯電DCバイアスが目標電位に達したタイミングで転写DCバイアスの印加を開始させることで、感光体ドラム1表面にメモリが発生して画像に濃度差が形成されることを防止することができる。
次に、上記した各モータの駆動及び各バイアスの立ち上げが完了すると、制御部50はレーザスキャナユニット3により感光体ドラム1表面の露光処理を開始する。具体的には、本実施形態では現像モータ52の駆動が安定するタイミングに合わせて露光処理が行われる。なお、露光部wは現像ニップ部xよりも上流側となる。このため、現像モータ52の駆動が安定する時刻790msを基準に、露光部wから現像ニップ部xまでの距離20mmと、感光体ドラム1の周速度200mm/sから算出される時間100msだけ先んじて露光処理が開始される。
なお、ここまで記載した各バイアス値は上記のものに限定されず、同様の制御を行うことが可能なものであればよい。また、各モータの駆動やバイアス印加のタイミングについても、モータの駆動又はバイアスの立ち上げの安定化までの時間を見込んで必要なマージンさえ取っていればこれらの値に限定されず、同様の制御を行うことが可能なタイミングとしてよい。
また便宜上、以下から、上記の第1色目であるイエロー色の画像形成部10yの作像シーケンスを後述する他の画像形成部の作像シーケンスと区別して通常シーケンスとする。
<感光体ドラムの表面電位について>
次に、上記通常シーケンスにおいて画像が形成されたときの感光体ドラム1の表面電位(以下、ドラム電位という)の推移などについて説明する。図4において、帯電DCバイアスと転写DCバイアスの関係に注目する。このとき、感光体ドラム1表面では、帯電DCバイアスが印加されているものの、転写DCバイアスが印加されていないか、或いは目標電位より小さい転写バイアスが印加された領域Aが存在する。具体的には、帯電DCバイアスの上昇によりドラム電位が立ち上がり始めてから(図4中の点線)、転写DCバイアスが目標電位に達して安定するまでの領域であって時刻600〜840msに転写ニップ部yに達する領域である。なお、図5は図4で示した通常シーケンスを感光体ドラム1の表面位置を基準に書き換えたものである。
図6は帯電処理、転写処理、除電処理、露光処理を受けた後のドラム電位の推移を示す図である。なお、図6は図5と同様に感光体ドラム1の表面位置を基準とする。ここで図6(a)では、帯電DCバイアス印加開始から感光体ドラム1が1周する間のドラム電位の推移を示している。図6(a)において、帯電ニップ部v通過後のドラム電位を線A、その電位が転写ニップ部を通過後のドラム電位を線B、さらにその電位が除電部zを通過後のドラム電位を線Cで示す。
まず、図6(a)の線Aに示す様に、帯電ニップ部v通過後のドラム電位は、帯電DCバイアスの上昇に伴って上昇し帯電DCバイアスが目標電位に達するとドラム電位も一定となって安定する。
一方、線Bに示す様に、転写ニップ部yを通過後のドラム電位は、帯電ニップ部v通過後のドラム電位が上昇している段階では転写DCバイアスが印加されないために帯電ニップ部vで形成された電位のままとなる。その後、帯電DCバイアスが目標電位に達して帯電ニップ部vで形成される電位が一定になると、帯電DCバイアスとは逆極性の転写DCバイアスが印加されるために転写ニップ部y通過後のドラム電位は低下し始める。そして、転写DCバイアスが目標電位に達して安定すると転写ニップ部y通過後のドラム電位も一定となり安定する。
次に、除電部z通過後のドラム電位について説明する。前述した通り、除電装置8は目標電位に達した帯電DCバイアスと転写DCバイアスがともに印加された領域を除電することを想定して設計されている。このため、想定よりもドラム電位の高い領域が除電部zに達した場合にはドラム電位を充分に除電することができない。このため、線Cに示す様に、想定よりもドラム電位が高い領域Aにおいては、除電部z通過後のドラム電位が高くなる。一方、目標電位に達した帯電DCバイアスと転写DCバイアスが印加された領域である正常部は充分に除電されるために除電部z通過後のドラム電位が略0Vになる。
図6(b)は、帯電DCバイアス印加開始から感光体ドラム1が1周してその後再び帯電ニップ部vに到達した後の2周目のドラム電位の推移を示している。図6(b)において、1周目に除電部zを通過した後の電位を線Cとする。すなわち、図6(a)と図6(b)の線Cは同じものである。また、2周目に帯電ニップ部v通過後のドラム電位を線D、そこに均一な濃度の画像を出力しようとしたときの露光後のドラム電位を線Eで示している。
図6(b)の線Cと線Dとの関係からわかるように、除電部において十分に除電し切れなかった領域Aでは、2周目に帯電ローラ2により一様に帯電された際に正常部と比べてドラム電位が高くなり、感光体ドラム1の周方向において電位差が生じてしまう。また線Eに示す様に、この電位が高くなった領域Aに露光処理を行うと、露光後のドラム電位は領域Aが正常部と比べて高くなってしまう。
図7は上記通常シーケンスを実行してシート一面に均一な濃度の画像を出力しようとしたときのドラム電位と出力画像の濃度との関係を示す図である。前述した通り、2周目に帯電ニップ部vを通過した後のドラム電位には周方向に電位差が存在する。このため、均一な濃度の画像を出力するために均一に露光処理を行うと領域Aの露光後のドラム電位が正常部のドラム電位と比べて高くなる。そして、このような潜像に対して画像を形成すると、図7に示す様に、露光後のドラム電位が高い領域Aの濃度が薄いハーフトーン画像となり、出力画像に濃度差が生じてしまう。
なお、このような濃度差が発生した以降の周回では、領域Aには目標電位に達した帯電DCバイアスと転写DCバイアスがともに印加されるので、除電装置8により解消できないほどの異常な残留電位は発生せず、電位差や濃度差も抑制される。
また図8に示す様に、仮に第1色目の画像形成部10y以降の画像形成部においても同様に通常シーケンスを実行して画像を形成する場合、各々の画像形成部において形成される画像に濃度差が生じる。従って、最終的にシートに転写された出力画像はその濃度差が生じた部分が重ね合されて形成されることになるため、濃度差はより顕著となる。なお便宜上、以下では、図8に示すような第1色目の画像形成部10yが通常シーケンスを実行し、その後色間遅延時間Tずつ遅れて他の画像形成部が通常シーケンスを実行して順次画像を形成する構成を通常モードという。
前述した通り、ファーストコピー時間短縮のためには、極力早く画像形成のための各プロセス開始することが必要である。この意味で、作像シーケンスにおいて印加するバイアスが目標電位に達してから感光体ドラム1が1周する前に露光処理を開始する通常モードを実行することでファーストコピー時間の短縮ができる。しかし、ここまで説明したように、通常モードを実行することで出力される画像に濃度差を発生させるおそれがある。
そこで本実施形態に係る画像形成装置Aは、ファーストコピー時間を短縮し、尚且つ、出力される画像の濃度差を抑制するため、画像形成部10y以外の画像形成部で通常シーケンスと異なる作像シーケンスを実行することとした。具体的には、画像形成部10yからN個離れた画像形成部が、画像形成部10yが帯電バイアス及び転写バイアスを印加したタイミングから、色間遅延時間T×Nから算出される想定時間Vが経過するより早いタイミングでこれらのバイアスの印加を開始する。このような濃度差減少シーケンスにより画像を形成するモードを以下では濃度差軽減モードという。以下、この濃度差軽減モードについて説明する。
<濃度差軽減モード>
図9は、濃度差軽減モードにおける帯電ACバイアスと帯電DCバイアスの印加タイミングと、そのときに形成されるドラム電位と、そのドラム電位に対して均一に露光処理を行ったときに出力される画像の濃度の推移を示した図である。
図9に示す様に、第1色目の画像形成部10yは作像シーケンスとして前述した通常シーケンスを実行するため、形成される画像に濃度差を生じさせてしまう。
一方、第2色目以降の画像形成部10m、10c、10kは、想定時間Vが経過する前に帯電DCバイアスと転写DCバイアスの印加を開始する。なお、本実施形態では、帯電バイアスを印加してから現像バイアスや転写バイアスを印加するまでの間隔は、露光処理を除いて通常シーケンスと同様である。従って、帯電DCバイアスや転写DCバイアスだけでなく、現像バイアスの印加なども同様に想定時間Vが経過する前に行う。但し、露光処理開始のタイミングは、第1色目の画像形成部10yが露光処理を開始したタイミングから想定時間Vずつ遅らせて開始する。
具体的には、本実施形態では第2色目の画像形成部10mは、第1色目の画像形成部10yと同じタイミングで帯電ACバイアスの印加を開始する。また、第3色目の画像形成部10cは第2色目の画像形成部10mから色間遅延時間Tだけ遅らせて帯電ACバイアスの印加を開始する。さらに、第4色目の画像形成部10kは第3色目の画像形成部10cから色間遅延時間Tだけ遅らせて帯電ACバイアスの印加を開始する構成とした。
これにより、第1色目の画像形成部10yより下流側の画像形成部では、想定時間Vが経過するよりもバイアス印加タイミングを早める分だけ、感光体ドラム1表面の画像形成に用いられる領域からドラム電位の電位差が生じた領域を小さくすることができる。すなわち、濃度差減少モードを実行することで、第1色目の画像形成部10yより下流側の画像形成部において感光体ドラム1の周方向に電位差が生じた領域を避けて画像形成を行うことができ、出力画像の濃度差を抑制できる。
また、この濃度差軽減モードは作像プロセスの一部の動作タイミングを早めるだけであり、画像出力に必要な全体時間は通常モードと変わらない。従って、濃度差減少モードを実行することで、全体の画像形成時間を延長せずに出力画像の濃度差を抑制できる。
なお厳密には、目標電位に達した帯電バイアスと転写バイアスが上記した領域Aにともに印加されても、しばらくの間は領域Aのドラム電位は他の領域と比べて多少高くなる。しかし出力画像の濃度差に大きな影響を与えるほどのものではないため、感光体ドラム1の周方向に電位差が生じた領域には含まれないものとする。
また、第2色目以降の画像形成部において感光体ドラム1の周方向における電位差が生じた領域を完全に避けて画像形成を行うためには、以下の時間、帯電バイアス及び転写バイアスを印加するタイミングを想定時間Vよりも早めればよい。すなわち、通常シーケンスにおいて露光処理を開始してから、転写DCバイアスが所定まで上昇した以後に転写ニップ部を通過した感光体ドラム1の領域が露光部に到達するまでの時間の分、タイミングを早めればよい。なお、この時間は本実施形態では450msであるため、想定時間Vよりも色間遅延時間Tである500msずつバイアス印加のタイミングを早めることとなり、電位差が生じた領域を完全に避けて画像形成を行うことができる。
図10(a)は、通常モードを実行して画像形成を行ったときの出力画像の濃度差を模式的に示した図である。図10(a)に示す様に、通常モードを実行した場合には、全ての画像形成部においてそれぞれ濃度差が発生するため、四色を重ね合わせた画像には、大きな濃度差が発生してしまう。具体的には、正常部の反射濃度が0.6の画像に対して薄い部分の濃度が0.58となり、その反射濃度の差分値ΔRは0.02となった。なお本実施形態では、反射濃度の差分値ΔRが0.015以上となる場合を不良画像とする。
一方、図10(b)は濃度差軽減モードを実行して画像を形成したときの出力画像の濃度差を模式的に示した図である。図10(b)に示す様に、濃度差軽減モードを実行した場合には、第1色目の画像形成部10y以外の画像形成部10m、10c、10kで形成された画像に濃度差が生じないため、4色を重ね合わせた出力画像の濃度差は抑制された。具体的には、正常部の反射濃度が0.6の画像に対して薄い部分の濃度が0.59で反射濃度の差分値ΔRは0.01となり、不良画像とならなかった。
(第2実施形態)
次に本発明に係る画像形成装置Aの第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
上記通常シーケンスを実行したときの濃度差発生のレベルや視認レベルは、画像形成装置Aの使用状況や使用環境などにより変動する。例えば、帯電DCバイアスは使用環境などによって適宜変更されることが一般的であるが、帯電DCバイアスが小さい場合には上記した感光体ドラム1の周方向に生じる電位差も小さくなって出力画像の濃度差は小さくなる。また、電位差に対して濃度差となりにくい領域で画像形成する場合には、電位差が大きい場合でも画像不良とみなされないことが考えられる。
このように電位差が出にくい状況であっても一律に濃度差軽減モードを実行すると、画像形成装置Aや感光体ドラム1が短寿命化するおそれがある。これは、濃度差軽減モードでは、第2色目以降の画像形成部10m、10c、10kにおいて通常モードよりも早いタイミングで各種バイアスの印加を開始するため、画像形成当たりのバイアス印加時間が長くなるためである。
このような理由から、濃度差軽減モードは、感光体ドラム1を一様に帯電させたときに感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が、出力画像の濃度差が画像不良と認められるほど大きくなる予め設定された第1閾値以上の場合に限って実行することが望ましい。
そこで本実施形態では、帯電DCバイアスの目標電位が予め設定された閾値α未満の場合には、感光体ドラム1を一様に帯電させたときに感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値未満と判断して通常モードを実行する。一方、閾値α以上の場合には、感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値以上と判断して濃度差軽減モードを実行する。このように、画像に濃度差が発生しにくい状況では通常モードを実行することで、画像形成装置Aや感光体ドラム1の短寿命化を防止できる。
なお、本実施形態においてはこの閾値αを−600Vとした。すなわち、設定される画像形成時に印加される帯電DCバイアスの目標電位が−600V以上の場合には濃度差軽減モードを実行する構成とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、この閾値は環境などに応じて任意の値に設定することができる。
ここで、帯電DCバイアスを−700Vと−500Vにしたときに、上記した各モードにより画像を形成したときの濃度差の発生状況と短寿命化への影響を比較したものが以下の表1である。以下において、通常モードを実行して画像を形成する構成を比較例の構成とする。また、一律に濃度差軽減モードを実行して画像を形成する構成を実施形態1の構成とする。また、帯電DCバイアスが閾値α未満の場合には通常モードを実行し、閾値α以上の場合には濃度差軽減モードを実行して画像を形成する構成を実施形態2の構成とする。
上記表1に示す様に、比較例の構成では、前述した通り全ての画像形成部において通常シーケンスを実行するため、帯電DCバイアスが−700Vの場合には、出力画像に不良画像と認められるほどの濃度差が発生してしまう。
また実施形態1の構成では、一律に濃度差軽減モードを実行するために出力画像に発生する濃度差は小さくなる。しかし、濃度差が発生しにくい帯電DCバイアスが−500Vの場合にも濃度差軽減モードを実行するため、各バイアスの印加時間が長くなって画像形成装置Aや感光体ドラム1の短寿命化の懸念が生じる。
他方、実施形態2の構成では、濃度差が発生しやすい帯電DCバイアスが−700Vのときは濃度差軽減シーケンスを実行して出力画像の濃度差を抑制する。一方、濃度差が発生しにくい帯電DCバイアスが−500Vの場合には通常モードを実行して画像形成装置Aや感光体ドラム1の短寿命化を防止できる。
なお、本実施形態では帯電DCバイアスの目標電位に応じてモードを切り替える構成としたが、他のバイアスや装置の使用環境や装置の耐久使用時間、出力される画像濃度やシートに応じてモードを変更する構成であってもよい。また、本実施形態ではモードの切り替えが自動で行われるものの、出力される画像の濃度差などに応じて、ユーザや装置の保守点検を行うサービスマンが手動で変更する構成であってもよい。
(第3実施形態)
次に本発明に係る画像形成装置Aの第3実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態及び第2実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
感光体ドラム1や帯電ローラ2は、使用環境の変化などにより抵抗変動を起こすことがあり、このときには感光体ドラム1の電位の残留の仕方にも変動が生じることがある。このため、上記実施形態2のように帯電DCバイアスの大きさによって感光体ドラム1の周方向に生じる電位差を予測する場合には、このような抵抗変動に対応できないおそれがある。
そこで本実施形態では、帯電ローラ2によって感光体ドラム1を一様に帯電させたときに周方向に生じる電位差を検出する電位差検出シーケンスを実行する。そして、検出された電位差が第1閾値以上の場合には濃度差軽減モードを実行する構成とした。以下、電位差検出シーケンスについて説明する。
図11は帯電ローラ2に対する帯電バイアス印加系のブロック図である。第1実施形態と同様に、帯電電源53は帯電DC電源53aと帯電AC電源53bとから構成されている。また本実施形態では、さらに帯電DC電源53aから帯電ローラ2に流れる帯電DC電流を検知する直流電流計60(電流検出手段)を有している。
次に、電位差検出シーケンスを図12に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施形態では画像形成装置Aの電源がオンになるタイミングで濃度差検出シーケンスを開始する。しかし本発明はこれに限らず、他の非画像形成時、例えば画像形成装置Aの使用環境が変動したタイミングや使用耐久の状況に応じて行う構成としてもよい。
まず電位差検出シーケンスが開始されると、上記実施形態1で述べた通常シーケンスと同様に、各部材へのバイアス印加が開始され、またモータによる駆動が開始される(S1)。但し、本シーケンスにおいては実際に画像形成を行うわけではないため、露光処理やシートの供給や定着処理は行われない。
次に制御部50は、各バイアスが印加されたときに帯電ローラ2に流れる直流の電流である帯電DC電流を直流電流計60により検出する(S2)。ここで、帯電ローラ2により一様に帯電された後のドラム電位と、直流電流計60により検出される帯電DC電流の値との関係を図13に示す。図13に示す様に、帯電DC電流は帯電ニップ部におけるドラム電位の増加量と比例関係にあるため、基本的には帯電DC電流とドラム電位は同様の変動の仕方をする。但し、正常部に比べてドラム電位が高くなる領域Aでは、電位が上昇するのに対して帯電DC電流の値が減少する現象が起こる。この現象について図14を用いて説明する。
図14は、感光体ドラム1が帯電され始めてから2周目以降の領域A周辺の帯電DC電流と帯電後のドラム電位との関係を示した図である。まず、正常部においては帯電ローラ2に一様に帯電されると除電後のドラム電位である略0Vから目標電位である−700Vまで電位が上昇する。
一方、領域Aにおいては、前述した通り帯電ニップ部vに達する前段階で除電処理により解消し切れない残留電位がある。本実施形態の構成では、残留電位が一番高くなる領域は−200Vだった。そして、この領域が帯電ローラ2により再度帯電されると−710Vとなることが判明した。
ここで、本実施形態ではドラム電位の増加量100Vに対して10μAの帯電DC電流が流れる。従って、正常部では検出される帯電DC電流は70μAとなり、領域Aのうちの電位差が最大の領域では検出される帯電DC電流は51μAとなる。
このように、正常部と領域Aとでは、直流電流計60により検出される帯電DC電流の検出値に差が生じる。そして、この差が大きいほど感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が大きいことになる。
そこで、次に制御部50は、感光体ドラム1を一様に帯電させる際に直流電流計60が検出した帯電DC電流の情報から、その最大値と最小値と差分値ΔIを算出する(S3)。そして、その差分値ΔIが予め定められた閾値β以上か判定する(S4)。
ここで、差分値ΔIが閾値β以上のときは、感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値以上と判断して、次回の画像形成の際に濃度差軽減モードを実行するように設定する(S5)。一方、差分値ΔIが閾値β未満の場合には、感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値未満と判断して、次回の画像形成の際に通常モードを実行するように設定する(S6)。
なお、本実施形態においてはこの閾値βを15μAとする。しかし、本発明はこれに限らず、閾値βは装置の使用状況などで適宜設定することが可能である。また、ユーザや装置の保守点検を行うサービスマンが閾値βを任意に設定できる構成としてもよい。
次回の画像形成の際に実行するモードを選択した後は、制御部50は各バイアスの印加やモータ駆動を停止させ、電位差検出シーケンスを終了する(S7)。
このように電位差検出シーケンスを実行し、感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が大きい場合にのみ濃度差軽減モードを実行することで、出力画像の濃度差の抑制や画像形成装置Aや感光体ドラム1の短寿命化の防止をより正確に行うことができる。
以下の表2は、帯電DCバイアスを−700Vと−500Vに設定して上記各モードにより画像を形成したときの濃度差の発生状況と短寿命化への影響を比較したものである。なお今回の比較では、帯電DCバイアスが−500Vの場合において、装置使用初期と耐久後に画像形成を行ったときの比較も行った。また以下から、上記した電位差検出シーケンスを実行した上で、差分値ΔIの値が閾値β以上のときに濃度差軽減モードを実行し、閾値β未満のときに通常モードを実行して画像を形成する構成を実施形態3の構成とする。
上記表2に示す様に、比較例の構成では、前述した通り全ての画像形成部において通常シーケンスを実行するため、濃度差が発生しやすい帯電DCバイアスが−700Vの場合や−500Vで耐久後に画像形成を行うときは出力画像に大きな濃度差が発生する。
また実施形態2の構成では、濃度差が発生しやすい帯電DCバイアスが−700Vのときは濃度差軽減モードを実行して出力画像の濃度差を抑制する。また、濃度差が発生しにくい帯電DCバイアスが−500Vの装置使用初期のときは通常モードを実行して画像形成装置Aや感光体ドラム1の短寿命化を防止する。しかし、帯電DCバイアスが−500Vで装置使用耐久後の濃度差が発生しやすい状況であっても通常モードを実行するため、このときには画像不良と認められる濃度差が発生した。
他方、実施形態3の構成では、帯電DCバイアスが−700Vの場合と−500Vであって装置使用初期の場合には、実施形態2の構成と同様の結果になった。また、帯電DCバイアスが−500Vで装置使用耐久後の状況では、電位差検出シーケンスを実行して直流電流の差分値ΔIが閾値β以上だったため、画像形成時には濃度差軽減モードを実行した。このため、濃度差を抑制できて不良画像の発生を防止することができた。
なお、本実施形態では上記の電位差検出シーケンスを実行し、検出された帯電DC電流の差分値ΔIから感光体ドラム1に生じる電位差のレベルを判断する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば感光体ドラム1や、転写ローラ5などの感光体ドラム1と接触する部材に流れる電流を検出し、帯電DC電流の場合と同様に、その検出値の差分値から感光体ドラム1に生じる電位差のレベルを判断する構成としてもよい。また、感光体ドラム1の電位を検知する電位センサ(電位検出手段)を用いて直接電位を検出し、その検出値から感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値以上のときに濃度差軽減モードを実行する構成であってもよい。
(第4実施形態)
次に本発明に係る画像形成装置Aの第4実施形態について図を用いて説明する。上記第1〜3実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
前述した通り、濃度差発生レベルや視認レベルは、画像形成装置Aの使用状況や使用環境などにより変動する。特に、画像形成装置Aが過酷な環境で用いられる場合や、想定よりも長期間使用した場合、濃度差が視認され易い画像パターンであった場合には、前述した濃度差軽減モードを実行したとしても出力画像に生じる濃度差が許容できないレベルとなることも想定される。
そこで本実施形態では、第1色目の画像形成部10yにおいても、感光体ドラム1の周方向に電位差が生じた領域を回避して画像を形成するモードを実行する。このモードを以下では濃度差回避モードという。以下、この濃度差回避モードについて説明する。
図15は、濃度差回避モードにおける帯電ACバイアスと帯電DCバイアスの印加タイミングと、そのときに形成されるドラム電位と、そのドラム電位に対して均一に露光処理を行ったときに出力される画像の濃度の推移を示した図である。
図15に示す様に、本実施形態では画像形成部10yを含めた全ての画像形成部において感光体ドラム1の周方向に電位差が生じる領域を回避して露光を行う。具体的には、濃度差軽減モードとは異なり、第1色目の画像形成部10yにおいて露光処理開始のタイミングを遅らせる構成とした。
このように露光処理開始のタイミングを遅らせたのは以下の理由による。すなわち、前述した通り、帯電バイアスや転写バイアスの印加を開始するタイミングを上記想定時間Vよりも早めることで画像の濃度差が発生することを防止できる。しかし、第1色目の画像形成部は感光体ドラム1の回転が安定すると直ちに帯電バイアスの印加を開始するため、これ以上帯電バイアスの印加開始タイミングを早めることができないためである。
また本実施形態では、第2色目以降の画像形成部10m、10c、10kの露光処理のタイミングを、第1色目の画像形成部10yが露光処理を開始したタイミングから色間遅延時間Tずつ遅らせる。これにより、全ての画像形成部において、感光体ドラム1の周方向に電位差が生じた領域を回避して画像形成を行うことができ、出力画像に濃度差が発生することを防止することができる。
なお厳密には、目標電位に達した帯電バイアスと転写バイアスが上記領域Aに印加されても、領域Aのドラム電位は他の領域と比べて多少高くなる。しかし画像の濃度に強い影響を与えるほどのものではないため、感光体ドラム1の周方向に電位差が生じた領域には含まれないものとする。
また本実施形態では、第1色目の画像形成部10yにおいて、通常シーケンスの露光処理開始よりも色間遅延時間Tである500msずつ遅らせたタイミングで露光処理を開始する構成とした。しかし本発明はこれに限定されず、出力画像に濃度差が発生しない時間分、露光処理開始のタイミングを遅らせる構成であればよい。具体的には、通常シーケンスにおける露光処理開始のタイミングから転写バイアスが所定まで上昇した以降に転写ニップ部を通過した領域が露光部に達するタイミングまでの時間の分だけ露光処理のタイミングを遅らせればよい。なお、この時間は本実施形態では450msとなる。
図16は、通常モードを実行して形成した出力画像と濃度差回避モードを実行して形成した出力画像の濃度差を模式的に示した図である。図16(a)に示す様に、通常モードを実行して形成した出力画像では、全ての画像形成部において濃度差が発生するため、四色を重ね合わせた出力画像には大きな濃度差が発生してしまう。一方で図16(b)に示す様に、濃度差回避モードを実行して形成した出力画像では、全ての画像形成部において濃度差を生じさせないため、四色を重ね合わせた出力画像でも濃度差が発生することを防止できる。
なお本実施形態では、上記実施形態3と同様に、帯電DCバイアスが目標電位まで上昇した後に直流電流計60が検知した帯電ローラ2に流れる帯電DC電流の最大値と最小値との差分値ΔIに応じて画像形成時に実行するモードを切り替える構成とした。
具体的には、差分値ΔIが閾値γ未満の場合には感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値未満と判断して、通常モードを実行する。また、差分値ΔIが閾値γ以上であって、尚且つ、閾値γより大きい閾値λ未満の場合には感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値以上と判断して濃度差軽減モードを実行する。さらに差分値ΔIが閾値λ以上の場合には、感光体ドラム1の周方向に生じる電位差が第1閾値よりも大きい第2閾値以上と判断して濃度差回避モードを実行する構成とした。なお、この第2閾値は、濃度差軽減モードを実行したとしても出力画像に生じる濃度差が許容できないレベルとなるときの電位差であって、装置の使用状況や使用環境などに応じて予め設定されるものである。
また、本実施形態では上記の閾値γを15μA、閾値λを21μAとした。しかし、本発明はこれに限らず、これらの閾値は装置の使用状況などで適宜設定することが可能である。また、ユーザや装置の保守点検を行うサービスマンが閾値γや閾値λを任意に設定できる構成としてもよい。
以下の表3は、帯電DCバイアスを−700Vと−500Vに設定して上記各モードにより画像を形成したときの濃度差の発生状況と短寿命化への影響を比較したものである。なお今回の比較では、帯電DCバイアスが−500Vの場合において、装置使用初期と耐久後の他に、耐久後よりさらに部材の劣化で帯電特性が変わって濃度差が悪化する長期耐久後に画像形成を行ったときの比較も行った。また帯電DCバイアスが−700Vの場合において、装置使用初期と長期耐久後に画像形成を行ったときの比較も行った。また以下から、濃度差回避モードを実行して画像を形成する構成を実施形態4の構成とする。
上記表3に示す様に、比較例の構成では、前述した通り全ての画像形成部において通常モードを実行する。従って、濃度差が発生しやすい帯電DCバイアスが−700Vの場合や−500Vの耐久後と長期耐久後に画像形成を行うときは、出力画像に画像不良と認められる大きな濃度差が発生してしまう。
また実施形態3の構成では、帯電DCバイアスが−700Vであって長期耐久後に画像形成を行う場合を除いて濃度差は発生しなかった。しかし、電位差が非常に大きくなる帯電DCバイアスが−700Vであって長期耐久後に画像形成を行う場合には、濃度差軽減モードを実行したときでも不良画像と認められる濃度差が発生した。
他方、実施形態4の構成では、帯電DCバイアスが−700Vであって長期耐久後に画像形成を行う場合には、濃度差回避モードを実行したため、出力画像に濃度差が発生することを防止することができた。
なお、この濃度差回避モードを実行して画像を形成する場合、露光処理の動作タイミングが遅れるため、この遅れた分だけ画像出力に必要な時間が延長される。しかし、濃度差軽減モードを実行しても出力画像の濃度差が許容できないレベルとなる場合には、画像出力に必要な時間が多少延長されるとしても、濃度差回避シーケンスを実行することで濃度差の発生を防止することができる。
なお、本実施形態では電位差検出シーケンスを実行し、そのときに検出された差分値ΔIに応じて濃度差発生レベルを算出する構成としたが本発明はこれに限らない。すなわち、第1〜3実施形態に記載したいずれかの方法により感光体ドラム1の周方向に生じる電位差を検出し、その検出値が上記第2閾値以上のときには濃度差回避モードを実行する構成であってもよい。
また、上記の第1〜4実施形態は適宜組み合わせ可能である。すなわち、上記したモードのうちの通常モードと濃度差回避モードを有し、感光体ドラム1の周方向に発生する電位差が所定以上のときに濃度差回避モードを実行する構成などとしてもよい。また、上記濃度差回避モードのみを有する構成としてもよい。
また、上記実施形態1〜4に係る画像形成装置Aは、必ずしも感光体ドラムからトナー像を直接シートに転写する構成に限られず、感光体ドラムからトナー像を一時的に保持し搬送する中間転写体に転写し、中間転写体からシートに転写する構成であってもよい。