JP2016160457A - スケール除去剤および当該スケール除去剤を用いたボイラの洗浄方法 - Google Patents

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【解決課題】酸素処理を施した給水を用いるボイラの蒸発管の化学洗浄に用いるスケール除去剤及び化学洗浄方法を提供する。【解決手段】シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウムと、キレート剤と、シュウ酸とは異なる有機酸と、還元剤と、を含有するスケール除去剤。ボイラaの蒸発管bを貫通する洗浄循環路eを設けて、スケール除去剤を注入し循環させ、平均粒径20μm未満のスケール粒子を溶解除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、発電プラント等の化学洗浄工事において用いるスケール除去剤に関し、特に、給水に酸素処理を施したボイラでの蒸発管内部のパウダースケールを効果的に除去するためのスケール除去剤と、これを用いた化学洗浄方法に関する。
発電プラントのボイラ等では、ボイラ水に極微量溶け込んでいる金属イオンが、蒸発管等の特に熱負荷の高い部分を中心として沈積して、難溶解性のスケールとして付着する。通常、スケールの主成分は酸化鉄であり、その90%以上を占めている。蒸発管内壁等に付着したスケールの熱伝導率は、母材金属の1/10以下であり、スケール付着量が増加すると伝熱を阻害し、過熱による膨出を招くことがある。また、成長に伴い波状スケールを形成し、ボイラの圧力損失が上昇することや、母材金属とスケールの熱膨張率が異なるため、ボイラの停止及び起動時の熱変化により、厚く成長したスケールが割れて剥がれ、配管の屈曲部で閉塞を起こすことがある。そのため、蒸発管内のスケール付着の程度によって、ボイラを停止して化学洗浄工事によりこれらのスケールを除去することが必要とされる。
中でも、貫流ボイラは、構造上薬液の完全排出が難しく、化学洗浄時に薬液が残留する可能性があるため、従来、化学洗浄工事では腐食性の低い有機混酸、たとえばグリコール酸とクエン酸との混合酸を使用してきた。
一方、ボイラ給水の水質を管理する方法として、酸素処理がある。これは、高純度水に微量の酸素を注入し、溶存酸素濃度を調節することで、スケールをより溶解度の低いヘマタイト(Fe)にするものである。酸素処理の特徴として、スケールの成長が遅いこと、粒塊の粒子径が小さく、揮発性物質処理の場合に発生するマグネタイト(Fe)が波状のスケールを生成するのとは違い、ヘマタイトは表面が滑らかなスケールを生成するため圧力損失が低減されることなどがある。
しかし、酸素処理を実施しているボイラでも、ボイラへの鉄流入量が増加すると、ヘマタイトスケールが成長する。また、ヘマタイトスケールは、粒塊が小さくてポーラスな構造であるため、パウダースケールと呼ばれており、熱伝導性が悪く、配管などの構成部材である金属の温度を上昇させる原因となる。そのため、酸素処理を実施していても、ボイラの化学洗浄工事は必要となる。
ヘマタイトはマグネタイトよりも溶解性が悪く、化学洗浄工事では、パウダースケールが溶解して配管内壁から剥離し、ヘマタイトからなる粒子径の小さい難溶解性のスラッジが発生する。スラッジは、配管内部の循環流速の小さい部分に沈積するほか、薬液中にも分散する。このスラッジは粒子径が小さいため捕集が難しく、洗浄液の循環によりボイラ内に持ち込まれる。そのため、化学洗浄工事後にボイラ内にスラッジが残留し、蒸発管等の膨出等の原因となる恐れがある。
小さなスラッジを除去するために、洗浄液循環路にフィルタや遠心分離器を設けることが提案されている(特許文献1)が、目の細かなフィルタを複数用いる必要があり、洗浄循環路が大型化し、フィルタの目詰まりによる循環水流の減少や頻繁なフィルタ交換などにより、運転コストが高くなるという問題がある。
一方、酸化鉄スケールを溶解除去する洗浄方法としては、キレート化剤と0.05×10−3〜1.0×10−3mol/Lの還元性二価金属の有機酸塩を共存させ、pHを4.0〜5.0の範囲に保持してマグネタイトを溶解除去する方法(特許文献2)、マロン酸、グリコール酸、及びL−アスコルビン酸(還元剤)をマロン酸:グリコール酸:還元剤=1:0.5〜1.5:0.5〜2(重量比)で含むヘマタイトを溶解除去できる化学洗浄剤組成物(特許文献3)が提案されている。
特許第5569217号公報 特公平7−65204号公報 特許第3640148号公報
本発明の目的は、貫流ボイラの蒸発管などの配管内へのスケール付着を防止するために行う化学洗浄において、酸素処理水を給水することに伴い形成される低溶解性のヘマタイトを溶解除去することができるスケール除去剤を提供することにある。
また、本発明の目的は、微細なスラッジの発生量が少なく、運転コストを低減できる効率的な貫流ボイラの化学洗浄方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、ヘマタイトからなる微細スラッジが貫流ボイラの蒸発管などの配管内へ残留することを抑制するために、ヘマタイトを溶解する薬剤の開発を検討した。その結果、本発明者らは、シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩を含み、キレート剤と、シュウ酸とは異なる有機酸と還元剤を含有するスケール除去剤を採用することで、かかる問題点が解決されることを知見し、本発明を完成させた。
本発明によれば、下記構成のスケール除去剤及びボイラの化学洗浄方法が提供される。
[1]シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩を含み、キレート剤と、シュウ酸とは異なる有機酸と、還元剤と、を含有するスケール除去剤。
[2]前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸三アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムから選択される少なくとも1つ以上である、[1]のスケール除去剤。
[3]前記有機酸は、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、ピルビン酸、マレイン酸、グルタル酸、琥珀酸から選択される少なくとも1つ以上である、[1]又は[2]のスケール除去剤
[4]前記還元剤は、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、ヒドラジンから選択される少なくとも1つ以上である、[1]〜[3]のいずれか1のスケール除去剤
[5]前記シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩を0.38〜19wt%、前記キレート剤を3.8〜38wt%、前記有機酸を3.8〜26.3wt%、前記還元剤を3.8〜38wt%の範囲で含み、pHが3〜8の範囲である、[1]〜[4]のいずれかに記載のスケール除去剤。
[6]酸素処理を施した給水を用いるボイラの蒸発管の化学洗浄方法であって、
当該蒸発管の底部と頂部にそれぞれ流入口及び流出口を有する洗浄用循環路を設け、当該循環路中に請求項1のスケール除去剤を注入して循環させ、平均粒径20μm未満のスケール粒子を溶解除去することを特徴とするボイラの化学洗浄方法。
[7]前記スケール除去剤は、pHが4〜8の範囲、前記シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩が0.1〜5wt%、前記キレート剤が1〜10wt%、前記有機酸が1〜7wt%、前記還元剤が1〜10wt%の範囲である、[6]に記載の化学洗浄方法。
[8]前記循環路に遠心分離器を設置し、当該遠心分離器にて平均粒径50μmよりも大きいスラッジを除去することをさらに含む、[6]又は[7]に記載の洗浄方法。
三価の鉄イオンとシュウ酸の塩は溶解性があるが、二価の鉄イオンとシュウ酸の塩は、極めて溶解しにくく、スケール表面に皮膜を作って、反応の進行を阻害する。シュウ酸とEDTAを組み合わせると、シュウ酸によって溶出した鉄イオンをEDTAが保持し、シュウ酸鉄(II)の皮膜が生成せず、溶解反応が進行する。更に還元剤添加量を増やすと、ヘマタイトの溶解性が向上する。
本発明のスケール除去剤は、パウダースケールを構成しているヘマタイトを9割以上溶解可能であり、ヘマタイトからなる微細なスラッジの発生を抑制できる。
本発明の化学洗浄方法によれば、溶解性のマグネタイトのみではなく、低溶解性のヘマタイトも溶解除去できるため、難溶解性のスラッジの発生を大きく低減できる。
洗浄循環路に遠心分離器を設けることにより、平均粒径が50μm以上の比較的粗大なスラッジも捕集が可能であり、更にスケール除去効果を上げることができる。
また、従来使用されている腐食性の低い有機混酸は酸性(pH2〜4)で使用するのに対して、本発明のスケール除去剤は、中性付近(pH4〜8)で使用するため、化学洗浄工事における安全性が向上する。
更に、有機混酸と比較してスケールの溶解速度が大きいため、洗浄時間を短縮でき、母材の腐食速度がほぼ同等であるため、腐食量を抑えることが可能である。
本発明のスケール除去剤を用いるボイラの化学洗浄方法を示す概略説明図である。 実施例2及び実施例3で使用した実験装置図である。 実施例2における実験結果を示すグラフである。 実施例2における実験結果を示すグラフである。 実施例3における実験結果を示すグラフである。
[スケール除去剤]
本発明のスケール除去剤は、シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウムと、キレート剤と、シュウ酸とは異なる有機酸と、還元剤と、を含有する。
シュウ酸及びシュウ酸アンモニウムは、ボイラの洗浄水中にシュウ酸イオン及びアンモニウムイオンとして溶解して残留しないため好適である。シュウ酸塩として、たとえばナトリウム塩やカリウム塩などは洗浄水中にナトリウムイオンやカリウムイオンが残留し、これらアルカリ金属イオンが加熱により塩として析出する可能性があるため適切ではない。
キレート剤としては、金属イオンと配位結合を形成することが可能な化合物で、水溶性のものであれば特に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸三アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム等(EDTA)を好ましく用いることができる。中でも、スケール溶解に伴う鉄イオン濃度によるpH変化を抑制するためには、薬液のイオン積が大きい方が望ましく、また弱塩基によるバッファ効果の観点から、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウムが好ましい。
有機酸としては、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、ピルビン酸、マレイン酸、グルタル酸、琥珀酸を好ましく用いることができる。中でも、酸化鉄に対する溶解力と鉄との錯体形成の知見から、クエン酸が好ましい。
還元剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、ヒドラジンを好ましく用いることができる。中でもL−アスコルビン酸が好ましい。
本発明のスケール除去剤は、上記必須成分に加えて腐食抑制剤を含んでいてもよい。
本発明のスケール除去剤は、前記シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩を0.38〜19wt%、好ましくは0.38〜3.8wt%と、前記キレート剤を3.8〜38wt%、好ましくは21.6〜36.1wt%含み、前記有機酸を3.8〜26.3wt%、好ましくは11.4〜22.8wt%含み、前記還元剤を3.8〜38wt%、好ましくは3.8〜19wt%含み、pHが3〜8の範囲であることが好ましい。
[ボイラの化学洗浄方法]
次に、図1を参照しながら、本発明のスケール除去剤を使用したボイラの化学洗浄方法を説明する。
酸素処理を施した給水を用いるボイラの蒸発管aの底部bと頂部cにそれぞれ流入口及び流出口を有する洗浄用循環路dを設け、当該循環路d中に上記スケール除去剤を注入して循環させ、平均粒径20μm未満のスケール粒子を溶解除去する。
本発明のスケール除去剤は、洗浄循環路内を循環するボイラ水中に注入して希釈して用いる。希釈により、シュウ酸の濃度は0.1〜5.0wt%、好ましくは0.1〜1.0wt%、更に好ましくは0.5wt%、キレート剤の濃度は1.0〜10.0wt%、好ましくは5.7〜9.5wt%、有機酸濃度は1.0〜7.0wt%、好ましくは3.0〜6.0wt%、還元剤濃度は1.0〜10.0wt%、好ましくは1.0〜5.0wt%、更に好ましくは1.0〜3.0wt%とする。
ただし、キレート剤1.0wt%で約1,900mg/lの溶出鉄イオンを保持することが可能であり、キレート剤の濃度は溶出鉄イオン濃度の予想値によって調整されるため、特に上記範囲に限定されるものではない。また、有機酸はpH調整剤として使用するため、スケール除去剤を所望のpH範囲に調整できれば特に上記範囲に限定されるものではない。
還元剤の量が多いほど、ヘマタイトの溶解性は向上するが、反応後の薬液の色が濃くなり、洗浄面の仕上がりが悪くなる傾向があるため、還元剤は上記範囲であることが好ましい。有機酸濃度を濃くすると、酸化鉄に対する溶解性が向上するため、上記範囲であることが好ましい。
また、pHが3以下ではスケール除去剤中のキレート剤EDTAがEDTA・4Hとなり不溶化するため、希釈により本発明のスケール除去剤の化学洗浄使用時のpHは4〜7、好ましくはpH4.5〜5.5とすることが望ましい。
化学洗浄対象ボイラのスケール量については、特に限定されるものではないが、付着量が30〜60mg/cm程度で、鉄イオン濃度が15,000mg/L程度までであれば効果的に除去できることが確認されている。
また、平均粒径50μm未満のスラッジも本発明のスケール除去剤を用いて溶解除去することができる。平均粒径50μmを超える大きなスラッジを除去するために、洗浄循環路eに遠心分離器gを取り付けてもよい。
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔スケール除去剤の調製〕
・薬剤A(本発明のスケール除去剤)
シュウ酸0.5wt%、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム(EDTA)5.7wt%、クエン酸4.6wt%、L−アスコルビン酸2wt%、EBARACS−50A(腐食抑制剤)0.3wt%、残量は水となるように計量して、水に溶解させてスケール除去剤Aを調製した。
・薬剤B(既存のスケール除去剤)
クエン酸3wt%、グリコール酸3wt%、L−アスコルビン酸0.3wt%、EBARACS−50A0.3wt%、残量は水となるように計量して、水に溶解させてスケール除去剤Bを調製した。
〔実施例1〕
まず、薬剤Aおよび薬剤Bを用いたときの、ヘマタイトとマグネタイトの溶解性の違いを調べた。ヘマタイトとマグネタイトは、市販の試薬(ヘマタイト:和光純薬製 酸化鉄(III)、マグネタイト:和光純薬製 酸化二鉄(III)鉄(II))を使用した。実験条件と結果を表1に示す。
本発明のスケール除去剤である薬剤Aでは、ヘマタイト3.00gが残渣0.02gとなり、99.3%の溶解除去率が得られ、鉄イオンとして溶解していることがわかる。
薬剤Bはマグネタイトに対してある程度溶解力を示すが、ヘマタイトに対しては溶解力が低い。
〔実施例2〕
酸素処理を施したボイラから蒸発管を切り出し、図2に示す装置に組み込み、薬剤Aを加えて循環させながら85℃の温度条件で溶解実験を行った。また、比較のため薬剤Bを加えて同じ条件で実験を行った。
図2において、2が切り出した蒸発管、1は切り出した蒸発管のスケールを完全に除去した対照管である。蒸発管2と対照管1を重ね合わせて上下のフランジで固定して密封する。スケール除去剤貯槽4からスケール除去剤を流入し、蒸発管2及び対照管1を通過させるように洗浄循環路を形成し、スケール除去剤を循環させる。洗浄循環路にはヒータ線6を巻き付け、温度コントローラ5及び温度センサ7を用いて加温する。
このときの溶出鉄イオン濃度の経時変化を図3に示す。薬剤Aを用いた実験では、現行の薬剤Bを用いた実験の約半分〜1/3の時間で溶出鉄イオン濃度がほぼ一定となった。
このときのそれぞれの溶解実験後のスラッジの粒度分布を図4に示す。薬剤Bを用いた洗浄では20μm付近に比較的小粒径のスラッジのピークが認められたが、薬剤Aを用いた洗浄では、このピークは認められず、粒子径が小さいスラッジの除去に効果があることが示された。スラッジ粒径別の残留率を表2に示す。
この実験における対照管の内壁の腐食量((対照管洗浄前の重さ−対照管洗浄後の重さ)/接液面積)および腐食速度を表3に示す。腐食速度は、薬剤Aと薬剤Bともにほぼ等しいが、洗浄時間は薬剤Aが薬剤Bの約半分の時間であるため、腐食量は、薬剤Aを用いた方が少なくなった。
〔実施例3〕
実施例2と同様に、酸素処理を施したボイラから蒸発管を切出して図2に示す装置に組み込み、薬剤Aを加えて循環させながら85℃の温度条件で溶解実験を行った。また比較のために、同様に蒸発管を組み込んだ装置に薬剤Bを加えて同じ条件で実験を行った。溶出する鉄イオン濃度がほぼ一定となったところを終点とし、残ったスラッジを回収して、X線回折装置で測定した。この結晶相重量比を表4及び図5に示す。
薬剤Bを用いた実験では、スラッジ中のヘマタイトの割合が85%で、溶解前のスケール中のヘマタイトの割合が78%であり、ほぼ変わらないが、薬剤Aを用いた実験では、スラッジ中のヘマタイトの割合が6%に減少した。
a 蒸発管
b 蒸発管底部
c 蒸発管頂部
d 洗浄用循環路
e 遠心分離器
1 腐食減量測定用対照管
2 溶解実験用蒸発管
3 空気抜き
4 液溜め
5 温度コントローラ
6 加温用ヒータ
7 温度センサ
8 循環ポンプ
9 ドレン

Claims (8)

  1. シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウムと、キレート剤と、シュウ酸とは異なる有機酸と、還元剤と、を含有するスケール除去剤。
  2. 前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸三アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムから選択される少なくとも1つ以上である、請求項1に記載のスケール除去剤。
  3. 前記有機酸は、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、ピルビン酸、マレイン酸、グルタル酸、琥珀酸から選択される少なくとも1つ以上である、請求項1又は2に記載のスケール除去剤
  4. 前記還元剤は、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、ヒドラジンから選択される少なくとも1つ以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のスケール除去剤
  5. 前記シュウ酸及び/又はシュウ酸のアンモニウム塩を0.38〜19wt%、前記キレート剤を3.8〜38wt%、前記有機酸を3.8〜26.3wt%、前記還元剤を3.8〜38wt%の範囲で含み、pHが3〜8の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載のスケール除去剤。
  6. 酸素処理を施した給水を用いるボイラの蒸発管の化学洗浄方法であって、
    当該蒸発管の底部と頂部にそれぞれ流入口及び流出口を有する洗浄用循環路を設け、当該循環路中に請求項1のスケール除去剤を注入して循環させ、平均粒径20μm未満のスケール粒子を溶解除去することを特徴とするボイラの化学洗浄方法。
  7. 前記スケール除去剤は、pHが4〜8の範囲、前記シュウ酸及び/又はシュウ酸アンモニウムが0.1〜5wt%、前記キレート剤が1〜10wt%、前記有機酸が1〜7wt%、前記還元剤が1〜10wt%の範囲である、請求項6に記載の化学洗浄方法。
  8. 前記循環路に遠心分離器を設置し、当該遠心分離器にて平均粒径50μmよりも大きいスラッジを除去することをさらに含む、請求項6又は7に記載の洗浄方法。
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