JP2016160375A - 平版印刷インキ組成物およびその印刷物 - Google Patents

平版印刷インキ組成物およびその印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】高光沢かつ乾燥性に優れ、高い被膜強度を有する印刷物を得ることができる平版印刷インキの提供。【解決手段】ロジン類(a)と不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)とを反応させる第一の反応工程、第一の反応工程の生成物に、1級ジアミン(c)を反応させ、アミド−イミド混合生成物を得る第二の反応工程、および、前記アミド−イミド混合生成物に、レゾール型フェノール樹脂(d)、多価アルコール(e)を反応させる第三の反応工程からなるロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、書籍、チラシ、カタログ、新聞等の印刷物に使用される平版印刷インキ(以下、「インキ」と略す。)に使用する樹脂に関することであり、高光沢かつ乾燥性に優れ、高い被膜強度の印刷物を得ることを特徴とするロジン変性フェノール樹脂に関するものである。
平版印刷インキは5〜100Pa・sの比較的粘度の高いインキである。平版印刷機の機構は、インキが印刷機のインキ壺から複数のローラーを経由して版面の画線部に供給され、湿し水を使用する平版印刷では非画線部に湿し水が供給され、湿し水無し平版印刷では非画線部がシリコン層でできておりインキを反発し紙上に画像が形成される。
近年では、印刷時の省人、省力化、自動化、高速化の要求が高まってきており、様々な印刷条件下に於いてトラブルレスで長時間安定して高品位な印刷物が得られる印刷用インキが望まれている。特に、高品位印刷物の条件として、高光沢かつ乾燥性に優れ、高い被膜強度を有するインキの要望がある。
従来、印刷物の光沢を向上させる方法としては、インキ系内の樹脂成分に対する溶解性が高い部類の石油系溶剤を用いることで、インキの低粘度化や樹脂成分の高濃度化を図る方法が用いられてきた。しかしながら、上記の石油系溶剤の樹脂に対する溶解性では光沢効果が十分に得られない。また、樹脂成分と石油系溶剤の相溶性が良化する事で、樹脂成分の溶剤離れが悪くなり、印刷物上におけるインキの乾燥性が遅延し、裏移りなどの原因となる。
印刷物の光沢を向上させる方法としては、インキ中に脂肪酸エステルを含有させることで、インキの流動性を良化したオフセットインキ組成物が開発されている(特許文献1、2)。しかしながら、これらの方法においても、脂肪酸エステルの紙への浸透制御が困難であり、印刷時に使用される用紙に制限が加えられたり、インキの乾燥性の点で十分満足できない状況である。
一方、印刷物の乾燥性を向上させる方法としては、従来からインキ系内に、マンガンやコバルトなどの金属石鹸を添加することで、植物油類の酸化重合を促進する方法が用いられている。しかしながら、上記の金属石鹸が効果を発揮するためには、インキ中に多量に添加しなければならず、金属石鹸の過剰の添加は、印刷時の印刷適性の低下や、ローラー壺上での皮張りの原因となる。また、表面の平滑性も低下するため、高光沢の印刷物を得ることが困難である。
また、印刷物の被膜強度を高める方法としては、フッ化ポリエチレン系ワックスや、ポリエチレン系ワックスなど、比較的粒子の大きいワックスをインキ系内に添加することで、印刷後のインキ表面を保護する方法が用いられている。しかしながら、これらのワックスは印刷時にパイリングしやすく、インキ系内に添加できる量に限りがある。
特開2003−313482公報 特開2007−169574号公報
本発明は、上記課題を解決する高光沢かつ乾燥性に優れ、高い被膜強度を有する印刷物を得ることができる平版印刷インキ用樹脂およびそれを含有した平版印刷インキの提供を目的とする。
上記課題を解決するために誠意研究した結果、以下に定める素材により作製したロジン変性フェノール樹脂を含有させた平版印刷インキは、高光沢かつ乾燥性に優れ、高い被膜強度を有する印刷物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ロジン類(a)と不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)とを反応させる第一の反応工程、
第一の反応工程の生成物に、1級ジアミン(c)を反応させ、アミド−イミド混合生成物を得る第二の反応工程、および、
前記アミド−イミド混合生成物に、レゾール型フェノール樹脂(d)、多価アルコール(e)を反応させる第三の反応工程からなるロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法に関する。
また、本発明は、ロジン類(a)100重量部に対して、不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)が1〜15重量部であり、前記不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)1モル当量に対して、1級ジアミン(c)が0.1〜1.5モル当量であることを特徴とする上記ロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法に関する。
また、本発明は、上記製造方法により得られるロジン変性フェノール樹脂(A)に関する。
また、本発明は、上記ロジン変性フェノール樹脂(A)を含有することを特徴とする平版印刷インキに関する。
本発明の製造方法により製造した平版印刷インキ用樹脂および平版印刷インキは、高光沢かつ乾燥性に優れ、更に、耐摩擦性に優れた高い被膜強度を有する高品質な印刷物を得ることができる。
本発明におけるロジン類(a)としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸など、共役二重結合を有する樹脂酸を含有するロジン類であり、ディールズ・アルダー反応が進行するロジン類である。例としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジンが挙げられるが、上記ロジン類とともに、重合ロジンや不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性ロジンなどを併用することもできる。なお、不飽和酸変性ロジンとは、例えばマレイン酸変性ロジン、無水マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、イタコン酸変性ロジン、クロトン酸変性ロジン、ケイ皮酸変性ロジン、アクリル酸変性ロジン、メタクリル酸変性ロジンなど、またはこれらに対応する酸変性重合ロジンが挙げられる。
本発明における不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)としては、ロジン類(a)の不飽和結合と反応し得る公知ものを用いることができる。例としては、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
本発明における1級ジアミン(c)は、1級アミノ基を2個含む分子である。脂肪族ジアミンとして、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、などが挙げられるが、その他、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ジアミンも用いることができる。
1級アミノ基と2級アミノ基を1個ずつ含むジアミン、あるいは2級アミノ基を2個含む2級ジアミンのみでは、樹脂の溶解性が良化しすぎるため、乾燥性が劣る。また、1級ジアミン以外の1級アミン、たとえば1級アミノ基を1個含む分子である1級モノアミンのみでは、樹脂の剛直性が低下するため、印刷物の被膜強度が十分に得られない。また、1級アミノ基を3つ以上含むポリアミンのみでは、樹脂合成時に反応制御が著しく悪化し、ゲル化の危険性が増す。これらジアミン類は単独で使用しても良く、2種類以上のジアミン類を混合して使用しても良い。
発明の効果に影響しない程度に、1級ジアミン(c)以外のアミンを用いてよい。
本発明におけるレゾール型フェノール樹脂(d)は、常法により得ることが出来る。合成方法の例としては、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)を仕込み、揮発性有機溶剤(キシレンなど)を添加し、金属酸化物触媒またはアルカリ触媒存在下で縮合反応させることにより得られる。フェノール類(P)とアルデヒド類(F)の比率(F/P)が通常mol比で、1.0〜4.0が好ましく、更に好ましくは1.5〜3.0であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物触媒の存在下または、有機アミンなどのアルカリ触媒の存在下で常圧または加圧下で付加・縮合して得られる各種公知の縮合物が用いられる。フェノール類としては、フェノール水酸基を持つすべての芳香族化合物が使用でき、石炭酸、クレゾール、p−アミルフェノール、ビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール等が挙げられるが、中でもアルキル置換したフェノール類が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等があげられる。
多価アルコール(e)としては、特に限定されないが、2価アルコールとして、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等が、分岐状アルキレン2価アルコールである2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ジメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が、環状アルキレン2価アルコールである1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等、さらにポリエチレングリコール(n=2〜20)、ポリプロピレングリコール(n=2〜20)、ポリテトラメチレングリコール(n=2〜20)等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を例示することができる。
さらに、3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ−ルプロパン、ジペンタエリスリト−ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等が例示される。
不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)については、ロジン類(a)100重量部に対して、1〜15重量部が好ましく、より好ましくは5〜10重量部である。1〜15重量部であると、樹脂に必要な粘弾性と、溶剤との相溶性を好適な範囲内で維持できる。
1級ジアミン(c)のモル当量は、二塩基酸無水物(b)1モル当量に対して、0.1〜1.5モル当量が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.0モル当量である。0.1モル当量以上であると、樹脂に必要な溶解性を維持したまま、インキの被膜強度を高くすることができ、1.5モル当量以下であると、インキの流動性を好適な範囲で維持することができ、高光沢の印刷物を得ることができる。
多価アルコール(d)については、ロジン変性フェノール樹脂(A)の全量仕込み中、1〜10重量部が好ましく、より好ましくは、2〜7重量部である。1〜10重量部であると、インキに必要な粘度および弾性得やすく、且つインキの乳化が抑えられるので、印刷時に地汚れ等が起こり難い。
本発明のロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法は、以下の方法に従って行うことができる。通常150℃から300℃の範囲で行われるが、使用する化合物の沸点および反応性を考慮して決定することができる。反応釜にロジン類(a)を120〜260℃で加熱溶融し、そこに、二塩基酸無水物(b)を添加する(第一の反応工程)。その後、1級ジアミン(c)と反応させ(第二の反応工程)、その反応生成物に、レゾール型フェノール樹脂(d)、多価アルコールを添加し、150〜300℃で1〜30時間、エステル化反応させる(第三の反応工程)。
上記の方法によって得られたロジン変性フェノール樹脂(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)は5,000〜300,000程度のものが好ましく、より好ましくは10,000〜150,000である。5,000〜300,000であると、インキの粘度および樹脂の溶解性が好適であり、ミスチング、光沢等が良好である。樹脂の溶解性については、0号ソルベントH(JX日鉱日石エネルギー社製)を用い、樹脂/0号ソルベントH=2g/18gを200℃で加熱溶解させ、温度を徐々に下げ、白濁する温度を測定する。白濁する温度が低い方が樹脂と溶剤の相溶性が良好であり、30〜150℃程度のものが好ましい。
こうして得られたロジン変性フェノール樹脂(A)に、必要に応じて植物油類、インキ用石油系溶剤、ゲル化剤を加えて加熱溶解させて平版印刷インキ用ワニスを製造することができる。
平版印刷インキ用ワニスに用いられる植物油類としては、各種公知のものを限定無く使用することができる。具体的には例えば、亜麻仁油、桐油、大豆油、サフラワー油、脱水ひまし油、または、これら植物油の熱重合油、酸化重合油がある。また、亜麻仁油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸メチル、亜麻仁油脂肪酸エチル、大豆油脂肪酸エチル、亜麻仁油脂肪酸プロピル、大豆油脂肪酸プロピル、亜麻仁油脂肪酸ブチル、大豆油脂肪酸ブチル、亜麻仁油脂肪酸イソブチル、大豆油脂肪酸イソブチル等といった、前述の植物油類のモノエステルが上げられる。これらは単独で用いても2種類以上を適宜併用しても良い。
平版印刷インキ用ワニスに用いられる平版印刷インキ用石油系溶剤としては、従来公知の印刷インキ用溶剤を特に限定無く使用することができる。具体的には例えば、JX日鉱日石エネルギー社製の0号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、6号ソルベント、7号ソルベント、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号等があげられる。これらは単独で用いても、2種類以上を適宜併用しても良い。特に環境対策として、芳香族炭化水素の含有率が1重量%以下であるアロマフリーソルベントを使用することが好ましい。
平版印刷インキ用ワニスに用いられるゲル化剤としては、例えば、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムトリアセチルアセテートなどの各種公知な物を使用できる。
平版印刷インキ用ワニスのロジン変性フェノール樹脂(A)、植物油類、石油系溶剤、ゲル化剤の組成比率としては、用途に応じて適宜それぞれ適宜決定すればよいが、通常ロジン変性フェノール樹脂の割合は、5〜60重量%(平版印刷インキ用ワニス全量比、以下この段落については同様)、植物油類の割合は、0〜80重量%、石油系溶剤の割合は、0〜80重量%、ゲル化剤の割合は0〜4重量%、好ましくは0〜3重量%である。
この平版印刷インキワニス、顔料、石油系溶剤および添加剤により平版印刷インキが製造される。本発明で使用される顔料としては、酸化チタンなどの白顔料、ミネラルファーネスイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG,タートラジンレーキなどの黄顔料、インダスレンブリリアントオレンジRK、ピラゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色顔料、パーマネントレッド4R、リオノールレッド、ピラロゾンレッド、ウオッチングレッツドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色顔料、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色顔料、ピグメントグリーンB、マラカイドグリーンレーキ、ファイナスイエリーグリーンGなどの緑色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料などが挙げられる。
また、平版印刷インキ中への、その他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、等を添加してもよい。
本発明の平版印刷インキの組成の一例としては、
・本発明により製造されるロジン変性フェノール樹脂(A) 5〜60重量%
・植物油類 0〜80重量%
・石油系溶剤 0〜80重量%
・ゲル化剤 0〜4重量%
・顔料 5〜40重量%
・その他の樹脂 0〜40重量%
・その他添加剤 1〜5重量%
などが好ましい組成として挙げられる。その他の樹脂とは、一般的に平版印刷インキ組成物に用いられるロジン変性フェノール樹脂あるいは石油系樹脂あるいはアルキッド樹脂を表す。VOCフリータイプのインキとして使用する際には、上記組成において、石油形溶剤を0重量%とする。この際、必要に応じて脂肪酸モノエステル化合物を0〜60重量%含有しても差し支えない。
また、本発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8020。)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
本発明において、酸価は中和滴定法によって測定した。測定方法としては、ロジン変性フェノール樹脂1gをキシレン:エタノール=2:1の重量比で混合した溶媒20mlに溶解させた。その後、指示薬として3重量%のフェノールフタレイン溶液を3ml加え、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で中和滴定した。単位はmgKOH/gである。
次に、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。実施例中の部は特に注釈のない限り重量部を表すものとする。
<レゾール型フェノール樹脂(レゾール液A)>
攪拌機、温度計、冷却管を備えた反応容器にp−ターシャリーブチルフェノール436.7部、パラホルムアルデヒド(92%)133.7部、キシレン373.3部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら50℃まで昇温を行う。次に水酸化カルシウムを7.6部添加した後に90℃まで昇温し、90℃になった時点から4時間、一定温度で反応を行う。反応終了後、容器内温を50℃まで冷却した後、20%硫酸48.7部を添加し、30分攪拌を行う。その後攪拌を停止し30分静置する。沈殿した硫酸カルシウムと水分を除去し、固形分比率60%のレゾール型フェノール樹脂のキシレン溶液を得て、これをレゾール液Aとした。
以下に、ロジン変性フェノール樹脂の製造例を列挙するが、製造例中における、AFソルベント7号に対する溶解性については、ケモトロニック(novo matics社製)を用いて、樹脂サンプル2gに対して、AFソルベント7号を18g添加した試料を加熱しさらに冷却していったときの曇天を検出したものである。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂1)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン33.3部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A373部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン56.7部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら14時間反応を行い、酸価20.5、重量平均分子量24000、AF7溶解性124℃のロジン変性フェノール樹脂1を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂2)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン4.4部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A439部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン51.6部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら9時間反応を行い、酸価19.8、重量平均分子量26000、AF7溶解性65℃のロジン変性フェノール樹脂2を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂3)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸75部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン66.7部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A296部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン62.6部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら14時間反応を行い、酸価22.1、重量平均分子量45000、AF7溶解性160℃のロジン変性フェノール樹脂3を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂4)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン4.4部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A387部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン71部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら12時間反応を行い、酸価20.8、重量平均分子量36000、AF7溶解性132℃のロジン変性フェノール樹脂4を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂5)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン66.7部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A357部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン39.1部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら11時間反応を行い、酸価24.6、重量平均分子量28000、AF7溶解性114℃のロジン変性フェノール樹脂5を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂6)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン88.9部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A34.6部を2時間かけて滴下する。その後、2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン27.4部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら13時間反応を行い、酸価26.1、重量平均分子量22000、AF7溶解性74℃のロジン変性フェノール樹脂6を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂7)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、p−フェニレンジアミン31部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A375部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン56.7部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら10.5時間反応を行い、酸価22.6、重量平均分子量22000、AF7溶解性165℃のロジン変性フェノール樹脂7を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂8)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、テトラヒドロ無水フタル酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキサメチレンジアミン21.5部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A386部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン54.6部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら10.5時間反応を行い、酸価21.4、重量平均分子量28000、AF7溶解性97℃のロジン変性フェノール樹脂8を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂A)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら200℃まで昇温を行う。次に、予め用意しておいたレゾール液A44.4部を2時間かけて滴下する。その後2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン50.8部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら10時間反応を行い、酸価20.1、重量平均分子量19000、AF7溶解性48℃のロジン変性フェノール樹脂Aを得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂B)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A38.8部を2時間かけて滴下する。次いで、2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン74.3部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら15時間反応を行い、酸価19.5、重量平均分子量38000、AF7溶解性172℃のロジン変性フェノール樹脂Bを得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂C)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ジエチレンジアミン24.7部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A38.1部を2時間かけて滴下する。その後、2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン56.7部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら9.5時間反応を行い、酸価20.6、重量平均分子量14000、AF7溶解性35℃のロジン変性フェノール樹脂Cを得た。
<ロジン変性フェノール樹脂(樹脂D)>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器(ガラス製2Lセパラブルフラスコを使用)にガムロジン(荒川化学工業社製)500部 を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら180℃まで昇温を行う。次に、無水マレイン酸37.5部を加え、1時間反応させる。その後、ヘキシルアミン29部を投入し、更に1時間反応させた後、200℃に昇温させ、予め用意しておいたレゾール液A37.7部を2時間かけて滴下する。その後、2時間をかけて反応温度を240℃に昇温させ、グリセリン56.7部を添加する。240℃で水分及びキシレンを系外に除去しながら8時間反応を行い、酸価19.8、重量平均分子量16000、AF7溶解性14℃のロジン変性フェノール樹脂Dを得た。
樹脂合成の樹脂1〜8、樹脂A〜Dのロジン変性フェノール樹脂の固形分重量部での配合組成、樹脂の性状である酸価および重量平均分子量、溶解性を表1に示す。
<ワニス1〜8、ワニスA〜D>
攪拌機、温度計、滴下装置、分水器付冷却管を備えた反応容器に、ロジン変性フェノール樹脂(樹脂1〜8、樹脂A〜D)、大豆油、石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー社製AFソルベント7)、ゲル化剤ALCH(川研ファインケミカル社製)を表2の配合により添加し、窒素雰囲気下で190℃にて1時間攪拌を行う。その後、口径200μmの金属メッシュを用いて不要物を除去し、ワニス(ワニス1〜8、ワニスA〜D)を得た。
<平版印刷インキの実施例1〜8、比較例A〜D>
前記方法で得られたワニス1〜8、ワニスA〜Dのそれぞれと、カーボン顔料三菱カーボンMA7(三菱化学製)と、石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー社製AFソルベント7)とを、表3の配合組成にて、常法に従い三本ロールを用いて練肉分散し、実施例1〜8、比較例A〜Dのインキを得た。
実施例および比較例で得られたワニス、平版印刷インキについて、下記の方法で評価を行った。評価結果を表4に示す。
<乾燥性の評価>
乾燥性の評価は、RIテスター6分割ロールを用い、インキ盛りを0.2mlにて展色刷(三菱製紙株式会社製パールコートN使用)を作成し、その後、朝陽会式インキ乾燥試験機を用い、25℃の条件下にて、インキの乾燥時間を評価した。
評価基準
◎;0〜10時間未満
○;10〜15時間未満
△;15〜20時間未満
×;20時間以上
<光沢値の評価>
光沢値は、プリューフバウ展色機にて三菱製紙社製パールコート紙に同一濃度となるように展色し、光沢計グロスメーターモデルGM−26(村上色彩技術研究所社製)にて60℃光沢を測定した。数値が高いほど良好な光沢とする。
評価基準
○;60以上
△;50〜60未満
×;50未満
<耐摩擦性の評価>
上記光沢試験で得られた印刷物について、白紙(三菱製紙株式会社製パールコートN)を印刷面上に当て、学振型耐摩擦試験機(重り1kg)にて20往復摩擦をかけ、目視により印刷面上に当てた白紙へのインキの取られ度合いを目視で観察した。評価基準に関しては、作成したインキの比較例Aを基準とし、相対評価とした。
評価基準
◎;白紙へのインキ移りは、通常よりかなり少ない(白紙へのインキ移りがほとんどない)
○;白紙へのインキ移りは、通常より少ない
△;白紙へのインキ移りは、通常程度(比較例Aと同等)
×;白紙へのインキ移りは、通常より多くみられる
表4に示したとおり、実施例については、高光沢かつ乾燥性に優れ、耐摩擦性も良好であった。無水マレイン酸と1級ジアミンを添加していない比較例Aについては、樹脂の分子量が十分でなく、乾燥性、耐摩擦性が劣る結果であった。1級ジアミンの添加は行わず、無水マレイン酸のみ添加した比較例Bに関しては、樹脂の溶解性が十分でなく、光沢が悪化する結果となった。また、2級ジアミンを用いた比較例C、1級モノアミンを用いた比較例Dについては、乾燥性と耐摩擦性がトレードオフの関係となり、両性質を同時に満たすことは困難であった。

Claims (5)

  1. ロジン類(a)と不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)とを反応させる第一の反応工程、
    第一の反応工程の生成物に、1級ジアミン(c)を反応させ、アミド−イミド混合生成物を得る第二の反応工程、および、
    前記アミド−イミド混合生成物に、レゾール型フェノール樹脂(d)、多価アルコール(e)を反応させる第三の反応工程からなるロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法。
  2. ロジン類(a)100重量部に対して、不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)が1〜15重量部であり、前記不飽和二重結合を有する二塩基酸無水物(b)1モル当量に対して、1級ジアミン(c)が0.1〜1.5モル当量であることを特徴とする請求項1記載のロジン変性フェノール樹脂(A)の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により得られるロジン変性フェノール樹脂(A)。
  4. 請求項3記載のロジン変性フェノール樹脂(A)を含有することを特徴とする平版印刷インキ。
  5. 請求項4記載の平版印刷インキを、基材に印刷してなる印刷物。
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