JP2016159697A - 航空機の着水時に機能する水流入防止装置、気圧調整弁、および航空機 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、気圧調整弁を閉じる操作が行われないとしても、非常着水時に気圧調整弁を介した水の流入を防止する装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、着水時に水中で浮上する浮力体が付いた蓋や、水に浸漬されると膨張する膨張体により気圧調整弁を閉じることが記載されている。
本発明は、そういった要求に応えることのできる航空機用の水流入防止装置およびそれを備えた気圧調整弁を提供することを目的とする。
その容器が、メッシュ部に対して、着水時に連通路内と連通路の周囲との圧力差に基づいて連通路内に流入する水の上流側に位置していることが好ましい。
着水時に容器を開放させるため、容器の少なくとも一部は、水に溶解する特性、および水圧により破断する特性の少なくとも一方を有することが好ましい。
粒子として、水に対する比重が相違する2種類以上を用いることが好ましい。
粒子は、水を含むと膨張する材料を用いて形成することができる。
メッシュ部と別のメッシュ部とを一体に形成することもできる。
本発明の航空機は、上述の気圧調整弁を備えることを特徴とする。
また、粒子を収容する容器を備えていると、浮遊物に頼らずにメッシュ部をより確実に目詰りさせることができる。
図1(a)を参照し、各実施形態に共通する航空機100の構成について簡単に説明する。
航空機100は、胴体101と、主翼102とを備えている。
胴体101の内部に設置されたフロア103の上方の空間104(床上空間)は、客室、操縦室、貨物室等に区画されている。床上空間104および床下空間105は、航空機に搭載された図示しない空調システムにより与圧されている。
ベイ107は、機内の与圧空間と、与圧されていない外部空間とを隔てる圧力隔壁109(図1(b))により区画されている。
空調システムは、図示しない航空機のエンジンからの抽気を熱源および圧力源として、機内の空調および与圧を行う。
空調システムは、気圧調整弁1の開度を調整することにより、機内を所定の気圧範囲に保つ。図1(b)に細い矢印で示すように、気圧調整弁1を介して機内と機外とで空気が出入りする。
気圧調整弁1は、弁体3が軸3Aを中心に回転することによりダクト2内の流路が開閉されるバタフライバルブ(butterfly valve)である。弁体3が実線で示す位置にあるとき気圧調整弁1は全開の状態にある。弁体3は、図示しないアクチュエータにより、気圧調整弁1の開度に対応する位置まで駆動される(例えば、一点鎖線で示す位置)。
ダクト2は、適宜な形状に定めることができる。例えば、ダクト2の機内側の端部2Aをベルマウス状に形成することができる。
ここで、操縦士が気圧調整弁1を閉じる操作を行うことができるが、その操作が遅れることもありうる。また、非常着水に先立ち航空機100が衝撃を受けていると、気圧調整弁1の制御系が故障していて、操縦士が操作を行っても弁体3を作動させることができない場合もありうる。
以下で説明する各実施形態では、気圧調整弁1を閉じる操作が遅れたり制御系の故障により弁体3が作動しないとしても、気圧調整弁1を介した機内への水の流入を防止することが可能な装置について説明する。
第1実施形態に係る水流入防止装置10は、図1(b)および(c)に示すように、ダクト2の機外側に突出した端部2Bに、ダクト2の開口2Cの形状に対応した円形の金網11を備えている。
なお、図1(c)は、図1(b)をIcの方向から示す図である。図1(c)では弁体3の図示を省略している。他の同様の図でも同様である。
ダクト2を介して機内と機外とを出入りする空気は、金網11における多数の間隙を通過する。
浮遊物12は、水圧により金網11に張り付く。それによって気圧調整弁1を介した機内への水の流入が防止される。
金網11に捕捉される浮遊物12としては、破損した機体(フェアリング108)の他、例えば、水草や海藻、流木、ゴミ等、着水した場所に浮遊している物体を挙げることができる。
したがって、同様の目的から、気圧調整弁1の付近で水を検知するセンサと、センサによる水の検知信号を受けてダクト2の開口2Cを塞ぐ電磁弁と、センサおよび電磁弁を繋ぐ配線とを備えた構成と比べて、軽量化を図ることができる。
しかも、そういった電気的な装置と比べて、本実施形態の水流入防止装置10は、衝撃を受けても故障する可能性が低いので、非常着水時に確実に作動させることができる。
さらに、電気的な装置を用いる場合は定期的な整備を必要とし、修理や交換を行うこととなるのに対して、機体に一旦水流入防止装置10を装備したならば、そのまま、整備を要することなく機体の寿命を全うすることが可能である。
つまり、本実施形態ではダクト2の開口2Cは後方(尾翼側)を向いているが、それとは逆に、ダクト2の開口2Cが前方(機首側)を向いていてもよいし、ダクト2の開口2Cが上方を向いていたり、下方を向いていてもよい。いずれの場合であっても、上記で説明したのと同様に、大気圧と水圧との圧力差に基づいてダクト2内に流入する水の流れに伴って金網11に到達した浮遊物12により金網11が目詰りすることで、機内への水の流入を防止することができる。
次に、図5および図6を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
以下、第1実施形態とは相違する事項を中心に説明する。
第2実施形態では、金網11を目詰りさせる粒子15を着水に備えて用意しておく。
第2実施形態の水流入装置20は、図5(a)および(b)に示すように、金網11と、水中で水と共に流動可能な多数の粒子15を収容する容器16とを備えている。
粒子15には、種々の樹脂材料を用いることができる。一例を挙げるとポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、アクリル等、水に対する比重が少し小さいか少し大きい樹脂材料から粒子15を形成することができる。
容器本体161は、図示しないブラケットによりダクト2の端部2Bの下端に設置されている。容器本体161の開口161Aは金網11の直下に位置している。容器本体161の幅は、図5(b)に示すようにダクト2の開口2Cの直径と同等の寸法に設定することができる。
蓋162は容器16内を気密に保ち、空気中に含まれるガスへの暴露による粒子15の劣化(割れ等)を防止する。但し、その限りではなく、蓋162を通気性のあるメッシュ状に形成することもできる。
蓋162は、容器本体161の開口161Aの周縁部に、例えば、接着、圧着等の適宜な方法で接合されている。
したがって、図6(a)および(b)に示すように、非常着水時には、容器本体161の開口161Aが開放された状態となる。
上述したように、ダクト2内の大気圧と水圧との圧力差に基づいて、周囲の水がダクト2内へと流入すると、その流れに乗って粒子15が容器本体161から放出されるとともに、開口2Cへと向かい、金網11により捕捉される。
粒子15に加えて、着水した場所に存在していた浮遊物12も金網11により捕捉される。
例えば、図7(a)および(b)に示すように、容器本体161の壁を開口2Cのより近くまで延長することで、ガイド壁165を作ることができる。ガイド壁165により、容器16内の粒子15を開口2Cまで案内することができる。
また、図7(c)に示すように、容器本体161をダクト2の外周部に沿って円弧状に形成することもできる。
例えば、図8(a)に示す例では、ダクト2の端部2Bの上端に容器16が設置されており、容器16の開口161Aは下方に向いている。
また、図8(b)に示す例では、開口2Cを下方に向けた状態でダクト2が設置されており、容器16の開口161Aも下方に向いている。
図8(a)および図8(b)に示すいずれの場合でも、金網11に対して、着水時にダクト2内に流入する水の上流側に容器16が位置している。そうすると、ダクト2内に流入する水の流れに伴って金網11に引き寄せられるように容器16内の粒子15が流動するので、粒子15により金網11を目詰りさせることができる。
例えば、図9(a)に示すように、金網11の間隙11Aが長方形に形成されている例では、間隙11Aの短辺の長さL1よりも粒子15の径を大きくすればよい。
また、図9(b)に示すように、金網11の間隙11Aが菱形に形成されている例では、間隙11Aの短い方の対角線の長さL2よりも粒子15の径を大きくすればよい。
容器16に収容される個々の粒子15の形状や大きさが同一である必要はない。
コストを抑えるために、樹脂成形の材料として用いられる砕いた樹脂片を粒子15として用いることもできる。
容器16が必ずしも蓋162を備えている必要はない。例えば、水溶性の袋を容器16として用いることができる。
以上より、容器16の少なくとも一部が、水に溶解する特性と、水圧により破断する特性とのいずれか一方を備えていれば足りる。具体的には、容器16の少なくとも一部に、セルロースを含む部材(例えば、紙)を用いることができる。
次に、図11(a)を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、図11(a)に示すように、水を含むと膨張する材料から粒子25を形成している。
粒子25としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム系等の高吸水性高分子材料を用いることができる。
粒子25は、第2実施形態の粒子15と同様に、適切な比重が与えられているとともに、平常時には容器16内に収容されている。容器16内で粒子25が吸湿して膨張することを避けるため、容器16内が上述した蓋162(図5(b))により気密に封止されていることが好ましい。
もし容器16内が気密に封止されていないとしても、ダクト2から流出した機内の乾燥した空気が容器16の周辺を流れることにより、容器16内が乾燥した状態に保たれ易いので、容器16内における粒子25の膨張を抑えることができる。
粒子25が容器16からスムーズに出た後に顕著に膨張するよう、粒子25の吸水速度を適切に設定することが好ましい。
また、1つの粒子25が金網11に到達するだけでも金網11の複数の間隙に亘り目詰りを生じさせることができるので、容器16を出た粒子群の一部がたまたま金網11から逸れる方向に流れて行ってしまったとしても、残りの粒子25により金網11を十分に目詰りさせることができる。
図11(b)に示す金網21の表面には、水膨張性を有する樹脂材料による被膜211(例えば塗膜)が形成されている。着水時に金網21が水に浸漬されると、被膜211が水を含んで膨張するため金網21の間隙21Aが塞がれるか、少なくとも狭められる。
間隙21Aが狭められていると、金網21に目詰まりを生じさせ易い。
次に、図12を参照し、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の水流入防止装置30は、ダクト2の端部2Bに対してダクト2の内側に少し退いた位置に設置される金網11と、ダクト2の端部2Bに設置される金網31と、金網11,31間に区画された空間S内に着水時に導入される粒子15を収容する容器16とを備えている。
容器16は、ダクト2の外周部に沿って円弧状に形成されている(図7(c)参照)。
ダクト2には、金網11,31間で肉厚方向に貫通する開口2Dが、容器16の開口161Aに対応した長さの分だけダクト2の周方向に沿って形成されている。この開口2Dを通じて着水時に容器16内と空間Sとが連通する。
金網11と金網31とが別体である必要はなく、これらを一体に形成することもできる。
粒子15を捕捉する金網11に対して、金網31が、ダクト2内へと流入する水の流れの上流に位置していればよく、その位置関係の下、金網11,31を適宜な箇所に設置することができる。
図13(a)に示すように、金網かご32はダクト2の機外側の端面に設置されており、図13(b)に示すように、容器16の上端に接続されている。別の形態として、容器16全体を収容するように金網かごを下方に延長することもできる。
その場合は、流路111の機外側の端部を形成する部材である圧力隔壁109に、金網11や容器16を設置することができる。
2 ダクト(連通路)
2A 端部
2B 端部
2C 開口
2D 開口
3 弁体
3A 軸
10 水流入防止装置
11,31 金網(メッシュ部)
11A 間隙
12 浮遊物
13 部材
14 メッシュ状部材(メッシュ部)
15 粒子
16 容器
20 水流入装置
21 金網
21A 間隙
25 粒子
30 水流入防止装置
31 金網
32 金網かご
100 航空機
101 胴体
102 主翼
103 フロア
104 床上空間
105 床下空間
106 主脚
107 ベイ
108 フェアリング
109 圧力隔壁
110 通気開口
111 流路(連通路)
131 直線
141 線材
161 容器本体
161A 開口
162 蓋
163 蓋
164 フロート
165 ガイド壁
211 被膜
321 部分(メッシュ部)
322 部分(メッシュ部)
S 空間
Claims (12)
- 航空機が着水した際に、機内と機外とを連通する連通路を介した前記機内への水の流入を防止する装置であって、
前記連通路に、前記連通路を流れる流体が通過するメッシュ部を備える、
ことを特徴とする航空機の水流入防止装置。 - 着水時、水に浮遊する物体が前記メッシュ部に目詰りすることで、
前記連通路を介した前記機内への水の流入が防止される、
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機の水流入防止装置。 - 前記連通路は、前記機内の気圧を調整する気圧調整弁の弁体が位置する流路である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の航空機の水流入防止装置。 - 水と共に流動可能な粒子を収容する容器を備え、
前記容器は、着水時に開放される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の航空機の水流入防止装置。 - 前記容器は、
前記メッシュ部に対して、
着水時に前記連通路内と前記連通路の周囲との圧力差に基づいて前記連通路内に流入する水の上流側に位置している、
ことを特徴とする請求項4に記載の航空機の水流入防止装置。 - 前記容器の少なくとも一部は、
水に溶解する特性、および水圧により破断する特性の少なくとも一方を有し、
前記特性が働くことで前記容器が開放される、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の航空機の水流入防止装置。 - 前記粒子として、
水に対する比重が相違する2種類以上を用いる、
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の水流入防止装置。 - 前記粒子は、
水を含むと膨張する材料を用いて形成される、
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の水流入防止装置。 - 前記メッシュ部に対して、着水時に前記連通路内と前記連通路の周囲との圧力差に基づいて前記連通路内に流入する水の下流側に、前記メッシュ部とは別のメッシュ部を備え、
前記メッシュ部と、別の前記メッシュ部との間に区画された空間内に、
着水時に前記容器内から前記粒子が導入される、
ことを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の航空機の水流入防止装置。 - 前記メッシュ部は、
水を含むと膨張する材料を用いて形成される、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の水流入防止装置。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の水流入防止装置を備えることを特徴とする気圧調整弁。
- 請求項11に記載の気圧調整弁を備えることを特徴とする航空機。
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