JP2016159573A - 液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アクチュエーターを駆動する駆動パルスに生じるノイズ成分を低減することが可能な液体吐出装置、および、その制御方法を提供する。【解決手段】第1の駆動パルスPd1および第2の駆動パルスPd2の立ち上がり成分または立下り成分の時間長をT1、記録ヘッドの全アクチュエーターを同一駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じるノイズ成分の時間をT2としたとき、第1の駆動パルスの発生タイミングと第2の駆動パルスの発生タイミングとの時間差ΔTが、T1≦ΔT≦T1+T2の範囲内で設定された。【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット式記録装置などの液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動パルスをアクチュエーターに印加することにより当該アクチュエーターを駆動させることでノズルから液体を吐出させる液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法に関するものである。
液体吐出装置は吐出ヘッドを備え、この吐出ヘッドから各種の液体を吐出(噴射)する装置である。この液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレイ製造装置用の色材吐出ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極形成装置用の電極材吐出ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物吐出ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
液体吐出装置に搭載される液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルを複数列状に並設されることで構成されるノズル列(ノズル群)を複数備えている。そして、液体吐出装置のコントローラー側から配線部材を通じて送られてくる駆動信号の中から駆動パルスをアクチュエーターに選択的に印加して当該アクチュエーターを駆動させることで、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズルから液体を吐出させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−218019号公報
しかしながら、近年、ノズル数の増大や高密度化が進められる一方で、装置の小型化を図るべくアクチュエーターに駆動信号を送るための配線部材等は、各ノズル列で共通のものが用いられている。このため、配線部材等の信号線もノズル列の数に対応する数だけ設けられている。このような構成においては、多数のノズルから同時に液体を吐出させる場合、多数のアクチュエーターを同時に駆動することになるため、駆動信号の信号経路における抵抗成分や寄生容量成分等が影響して駆動パルスに波形の乱れが生じる。これにより、ノズルから吐出される液体の量や飛翔速度が不安定となる問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクチュエーターを駆動する駆動パルスに生じるノイズ成分を低減することが可能な液体吐出装置、および、その制御方法を提供することにある。
〔手段1〕
本発明の液体吐出装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルが複数列設されて成る複数のノズル群と、各ノズルに対応する複数のアクチュエーターと、を有し、前記アクチュエーターの駆動によって前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
前記アクチュエーターを駆動させる駆動パルスを発生する駆動パルス発生回路と、
を備え、
前記駆動パルス発生回路は、隣り合うノズルのうちの一方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの一方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第1の駆動パルスと、隣り合うノズルのうちの他方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの他方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第2の駆動パルスと、をそれぞれ異なるタイミングで発生し、
第1の駆動パルスおよび第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分の時間長をT1、前記液体吐出ヘッドの全アクチュエーターを同一駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じるノイズ成分の時間をT2としたとき、
前記第1の駆動パルスの発生タイミングと前記第2の駆動パルスの発生タイミングとの時間差ΔTが、以下の式(1)
T1≦ΔT≦T1+T2
の範囲内で設定されたことを特徴とする。
上記手段1の構成によれば、吐出駆動パルスの電位が変化する波形成分が、隣り合うノズル同士あるいは隣り合うノズル列同士におけるアクチュエーターの駆動の際に時間軸上で重なり合わないため、液体を吐出するノズルの数が増加したとしても、すなわち、駆動するアクチュエーターの数が増加したとしても、駆動信号中の駆動パルスにノイズ成分が生じることが抑制される。その結果、液体を吐出するノズルの数によらず、各ノズルから吐出される液体の重量や飛翔速度を安定させることが可能となる。
〔手段2〕
上記手段1の構成において、前記時間差ΔTが前記式(1)の範囲内で設定された場合において、前記第1の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分と、前記第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分とが時間軸上で重なるとき、
前記第1の駆動パルスに対し前記第2の駆動パルスが、少なくとも前記第2の駆動パルスの波形長だけずらして発生され、
液体吐出ヘッドによる液体吐出処理の速度が、前記時間差ΔTが前記式(1)の範囲内で設定された場合よりも低く設定される構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、記第1の駆動パルスおよび第2の駆動パルスが時間軸上で重なり合わないため、駆動信号中の駆動パルスにノイズ成分が生じることが抑制される。また、液体吐出ヘッドによる液体吐出処理の速度が低く設定されるので、液体の被着弾物に対する着弾位置ずれを低減することが可能となる。
また、本発明の液体吐出装置の制御方法は、ノズルが複数列設されて成る複数のノズル群と、各ノズルに対応する複数のアクチュエーターと、を有し、前記アクチュエーターの駆動によって前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記アクチュエーターを駆動させる駆動パルスを発生する駆動パルス発生回路と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
隣り合うノズルのうちの一方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの一方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第1の駆動パルスと、隣り合うノズルのうちの他方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの他方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第2の駆動パルスと、をそれぞれ異なるタイミングで前記駆動パルス発生回路により発生させ、
第1の駆動パルスおよび第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分の時間長をT1、前記液体吐出ヘッドの全アクチュエーターを同一駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じるノイズ成分の時間をT2としたとき、
前記第1の駆動パルスの発生タイミングと前記第2の駆動パルスの発生タイミングとの時間差ΔTを、以下の式(1)
T1≦ΔT≦T1+T2
の範囲内で設定することを特徴とする。
プリンターの内部構成を説明する斜視図である。 プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。 記録ヘッドの構成を説明する断面図である。 駆動信号の構成を説明する波形図である。 駆動パルスに生じるノイズ成分について説明する波形図である。 本発明の第2の実施形態における駆動信号の構成を説明する波形図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図、図2は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、および記録ヘッド6を有するプリントエンジン2と、このプリントエンジン2の各部を制御するプリンターコントローラー7とを有する。
プリンターコントローラー7は、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。本実施形態におけるプリンターコントローラー7は、外部インターフェース(I/F)8と、CPU9と、メモリー13と、駆動信号発生回路10と、を有する。インターフェース部8は、外部機器との間で印刷データ等の送受信を行う。CPU9は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU9の制御に係るプログラムや各種データを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU9は、メモリー13に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態におけるCPU9は、外部機器からの印刷データに基づき、記録動作の際、どのノズル21からどのタイミングでインクを吐出させるかを示す吐出データを生成し、当該吐出データを記録ヘッド6のヘッドコントローラー12に送信する。
駆動信号発生回路10(本発明における駆動パルス発生回路に相当)は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成し、これを増幅して駆動信号COMを生成する。本実施形態における駆動信号発生回路10は、後述するエンコーダーパルスに基づき生成されるタイミング信号LATで規定される周期Cp(単位周期)で、図4に示す第1の駆動信号COM1および第2の駆動信号COM2を繰り返し発生する。これらの駆動信号COM1およびCOM2の詳細については後述する。駆動信号発生回路10により発生された駆動信号COM1およびCOM2は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)11を通じて、記録ヘッド6のヘッドコントローラー12に送信される。
次に、プリントエンジン2について説明する。このプリントエンジン2は、図1に示すように、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、及び、記録ヘッド6等を備えている。キャリッジ移動機構4は、液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド6が取り付けられたキャリッジ16と、このキャリッジ16を、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モーター(例えば、DCモーター)等からなり(図示せず)、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6をガイドロッド18に沿って主走査方向に移動させる。紙送り機構3は、紙送りモーター及び紙送りローラー等からなり、記録媒体S(被着弾物の一種)をプラテン上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー5は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー7に出力する。プリンターコントローラー7は、リニアエンコーダー5側から受信したエンコーダーパルスに基づいて記録ヘッド6の走査位置(現在位置)を把握することができる。
このように構成されたプリンター1は、紙送り機構3によって記録媒体Sを順次搬送すると共に、記録媒体Sに対して記録ヘッド6を主走査方向に相対移動させながら、当該記録ヘッド6のノズル21(図3参照)からインクを吐出させて、記録媒体S上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。なお、インクカートリッジ17がプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジ17のインクが供給チューブを通じて記録ヘッド6側に送られる構成を採用することもできる。
図3は、記録ヘッド6の内部構成を説明する要部断面図である。
本実施形態における記録ヘッド6は、ノズルプレート22、流路基板23、圧電素子24、およびケース20等を積層して構成されている。ノズルプレート22は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル21が列状に開設された板状の部材であり、例えば、シリコン単結晶基板あるいはステンレス等の金属板により作製される。本実施形態では、複数のノズル21から構成されるノズル列(ノズル群の一種)がノズルプレート22に2列並設されている。本実施形態におけるノズル列は、例えば、合計400個のノズル21により構成されている。
流路基板23には、複数の圧力室26となる空部が、上記ノズルプレート22の各ノズル21に対応して複数形成されている。この流路基板23における圧力室26の列の外側には、共通液室25が形成されている。この共通液室25は、インク供給口27を介して各圧力室26と個々に連通している。また、共通液室25には、インクカートリッジ17側からのインクがケース20のインク導入路28を通じて導入される。流路基板23のノズルプレート22側とは反対側の上面には、弾性膜30を介して圧電素子24(本発明におけるアクチュエーターの一種)が形成されている。
圧電素子24は、金属製の下電極膜と、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等からなる圧電体層と、金属からなる上電極膜(何れも図示せず)とを順次積層することで形成されている。この圧電素子24は、所謂撓みモードの圧電素子であり、圧力室26の上部を覆うように形成されている。本実施形態において、2列のノズル列に対応して2列の圧電素子列が、ノズル列方向で見て圧電素子24が互い違いとなる状態でノズル列に直交する方向に並設されている。各圧電素子24の端子部には、COF(Chip On Film)等の配線部材31が電気的に接続されている。駆動信号発生回路10側からFFC11および配線部材31を通じて送られてきた駆動信号COM1,COM2は、吐出データに基づいてヘッドコントローラー12によって選択的に圧電素子24に印加される。駆動信号(駆動パルス)が圧電素子24に印加されると、当該圧電素子24は、駆動パルスの電位変化に応じて変形する。これにより、当該圧電素子24に対応する圧力室26内のインクに圧力変動が生じ、このインクの圧力変動を制御することによりノズル21からインクが噴射される。
図4は、本実施形態における駆動信号の構成の一例を説明する波形図である。
同図に示すように、第1の駆動信号COM1および第2の駆動信号COM2は、パルスタイミング信号PTSで規定される周期Cp(以下、単位周期Cpと称する。)で繰り返し発生される。このパルスタイミング信号PTSは、上記のリニアエンコーダー5から出力されるエンコーダーパルスに基づいて生成される。本実施形態における第1の駆動信号COM1は、単位周期Cp内に1つの第1吐出駆動パルスPd1を発生する。一方、第2の駆動信号COM2は、単位周期Cp内に第2吐出駆動パルスPd2および振動駆動パルスPvの合計2つの駆動パルスを発生する。第1吐出駆動パルスPd1と第2吐出駆動パルスPd2は、同一の波形となっている。
これらの吐出駆動パルスPd(Pd1,Pd2)は、膨張成分p1(放電成分)と、膨張ホールド成分p2と、収縮成分p3(充電成分)と、収縮ホールド成分p4と、復帰成分p5と、からなる。膨張成分p1は、本発明における立ち下がり成分に相当する波形成分であり、ノズル21からインクを吐出させない程度の一定勾配で、圧力室26の基準容積(膨張又は収縮の基準となる容積)に対応する基準電位VBからこれよりも低い第1の膨張電位VL1まで一定勾配で電位を下降させる波形成分である。膨張ホールド成分p2は、膨張成分p1の終端電位である第1の膨張電位VL1を一定時間維持する波形成分である。収縮成分p3は、本発明における立ち上がり成分に相当する波形成分であり、ノズル21からインクを吐出させるべく第1の膨張電位VL1から基準電位VBよりも高い第1の収縮電位VH1まで急勾配で電位を上昇させる。収縮ホールド成分p4は収縮成分p3の終端電位である第1の収縮電位VH1を一定時間維持する波形成分である。復帰成分p5は、第1の収縮電位VH1から基準電位VBまでインクを吐出させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形成分である。この吐出駆動パルスPdが圧電素子24に印加されて当該圧電素子24が駆動されると、ノズル21からは数〔ng〕〜十数〔ng〕程度のインク滴が吐出される。
また、振動駆動パルスPvは、振動膨張成分p11と、振動膨張ホールド成分p12と、振動復帰成分p13とからなる。振動膨張成分p11は、基準電位VBから第2の膨張電位VL2まで、ノズル21からインクを吐出させない程度の勾配で電位を下降させる波形成分である。この第2の膨張電位VL2は、基準電位VBよりも低く、且つ第1の収縮電位VH1よりも高く設定されている。振動収縮ホールド成分p12は、第2の膨張電位VL2を所定期間維持する波形成分である。また、振動復帰成分p13は第2の膨張電位VL2から基準電位VBまでインクを吐出させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形成分である。この振動駆動パルスPvが圧電素子24に印加されて駆動されると、ノズル21からインク滴が吐出されない程度の圧力変動が圧力室26内に生じ、この圧力変動により圧力室26内およびノズル21内のインクが振動されて撹拌される。これによりインクの増粘の進行が抑制される。
なお、各駆動信号に含まれる駆動パルスの種類や数は例示したものには限られないが、以下で説明するように、第1駆動信号COM1に含まれる駆動パルスと、第2駆動信号COM2に含まれる駆動パルスとは、発生タイミングが異なっている。
本実施形態においては、記録ヘッド6に合計2列のノズル列が設けられている。これに応じて、圧電素子24の列も合計2列設けられている。その一方で、記録ヘッド6の小型化を図るべく、各圧電素子24に駆動信号を送るための配線部材31やFFC11は、各ノズル列で共通のものが用いられている。このため、配線部材31やFFC11の信号線も2列分だけ設けられている。このような構成においては、多数のノズル21から同時にインクを吐出する場合、多数の圧電素子24を同時に駆動することになるため、駆動信号発生回路10から各圧電素子24に至るまでの信号経路における抵抗成分や寄生容量成分等が影響して駆動パルスに波形の乱れが生じる。具体的には、図5(a)に示すように、駆動パルスの波形の立下りのアンダーシュートUsおよび立ち上がりのオーバーシュートOsや、図5(b)に示すように、立ち上がり立下りの遅れDLが生じることがあった。以下、同時にインクを吐出するノズル21の数(同時に駆動する圧電素子24の数)が増加するにつれて駆動パルスに波形の乱れであるノイズ成分が生じることをエレキクロストークと称する。本発明に係るプリンター1においては、上記エレキクロストークを抑制するべく、隣り合うノズル21同士の間、あるいは、隣り合うノズル列同士の間において、圧電素子24を駆動するタイミングをずらすように構成されている。以下、この点について説明する。
本実施形態においては、第1の駆動信号COM1の第1吐出駆動パルスPd1の発生タイミング(膨張成分p1の始端)に対し、第2の駆動信号COM2の第2吐出駆動パルスPd2の発生タイミング(膨張成分p1の始端)が早く又は遅くなるように設定されている。より具体的には、図4に示すように、第2吐出駆動パルスPd2の発生タイミングは、第1吐出駆動パルスPd1の発生タイミングよりも時間差ΔTだけ早く設定されている。この時間差ΔTは、吐出駆動パルスPd(Pd1,Pd2)のインクの吐出に係る立ち上がり成分または立ち下がり成分の成分長(成分の始端から終端までの時間)、すなわち、本実施形態においては膨張成分p1の成分長tp1または収縮成分tp3の成分長tp2のうち最も長い方の成分長をT1、記録ヘッド6における全ノズル21から同時にインクを吐出させるべく全圧電素子24を同一の駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じる波形のノイズ成分の発生時間(例えばオーバーシュート若しくはアンダーシュートの発生時間Δtn1、または、立ち上がり立下りの遅れに相当する時間Δtn2のうちの長い方)をT2としたときに、以下の式(1)を満たすように設定される。
T1≦ΔT≦T1+T2 …(1)
より具体的には、上記式(1)の範囲であって、これらの吐出駆動パルスPd1,Pd2の間で、インクの吐出に係る立ち上がり成分又は立ち下がり成分が何れも時間軸上で重ならないようなΔTに設定される。
そして、例えば、所定の単位周期Cpにおいて隣り合うノズル21の双方からインクを吐出させる場合、一方のノズル21に対応する圧電素子24に対しては、第1の駆動信号COM1の第1吐出駆動パルスPd1が印加され、他方のノズル21に対応する圧電素子24に対しては、第2の駆動信号COM2の第2吐出駆動パルスPd2が印加される。あるいは、例えば、隣り合うノズル列うちの一方のノズル列に対応する圧電素子24に対しては第1の駆動信号COM1の第1吐出駆動パルスPd1が印加され、他方のノズル列に対応する圧電素子24に対しては第2の駆動信号COM2の第2吐出駆動パルスPd2が印加される。これにより、吐出駆動パルスPdの電位が変化する波形成分が、隣り合うノズル21同士あるいは隣り合うノズル列同士における圧電素子24の駆動の際に時間軸上で重なり合わないため、所定の周期でインクを吐出するノズル21の数が増加したとしても、すなわち、所定の周期で駆動する圧電素子24の数が増加したとしても、駆動信号中の駆動パルスにノイズ成分が生じることが抑制される。このため、インクを吐出するノズル21の数によらず、各ノズル21から吐出されるインクの重量や飛翔速度を安定させることが可能となる。その結果、記録媒体Sに記録された画像等の画質の低下が抑制される。また、ΔTの最大値をT2以下とすることで、第1吐出駆動パルスPd1でインクを吐出させたときと、第2吐出駆動パルスPd2でインクを吐出させたときの記録媒体Sに対するインクの着弾位置ずれを抑制することができる。これにより、記録媒体Sに記録された画像等の画質への影響をより低減することが可能となる。
なお、所定の単位周期Cpでノズル21からインクを吐出させない非記録の場合には、当該ノズル21に対応する圧電素子24に対しては第2の駆動信号COM2の振動駆動パルスPvが印加される。これにより、当該ノズル21およびこれに連通する圧力室26内のインクが振動されて撹拌される。この振動駆動パルスPvは、吐出駆動パルスPd1,Pd2と比べて電位の変化が小さいため、エレキクロストークを生じさせ難くなっているが、他の駆動パルスとの間において立ち上がり成分又は立ち下がり成分が時間軸上で重ならないような発生タイミングに設定されることがより望ましい。
図6は、第2の実施形態における駆動信号の構成を説明する波形図である。
図6(a)に示すように、例えば吐出駆動パルスPdの波形が複雑な構成である場合等、場合によっては、第1吐出駆動パルスPd1′の発生タイミングと第2吐出駆動パルスPd2′の発生タイミングとの時間差ΔTを上記式(1)の範囲内の値に設定すると、これらの駆動パルスPd1′,Pd2′の間で立ち上がり成分又は立ち下がり成分が時間軸上で重なる範囲(図中、ハッチングで示す範囲)が生じることがある。このような場合には、図6(b)に示すように、第1吐出駆動パルスPd1′に対し第2吐出駆動パルスPd2′が、少なくとも第2吐出駆動パルスPd2′の波形長T3だけずらして発生される。すなわち、第1吐出駆動パルスPd1′と第2吐出駆動パルスPd2′とが、時間軸上で重ならないように設定される。これにより、これらの吐出駆動パルスPdにノイズ成分が生じることが抑制される。なお、この場合、駆動パルスPd1′,Pd2′をそれぞれ異なる駆動信号COM1,COM2に分ける必要はなく、図6(c)に示すように、同一駆動信号COM内で駆動パルスPd1′,Pd2′が発生される構成とすることもできる。これにより、駆動信号発生回路10の回路構成を簡略化することが可能となる。
ただし、上記第2の実施形態における構成では、第1吐出駆動パルスPd1′により吐出されたインクと、第2吐出駆動パルスPd2′により吐出されたインクとで、記録媒体Sに対する着弾位置ずれが上記第1の実施形態の場合よりも大きくなりやすい。このため、本実施形態では、記録ヘッド6によるインク吐出処理速度(記録媒体Sに対する記録処理速度)が、上記第1の実施形態の場合よりも低く設定される。すなわち、記録媒体Sに対する記録ヘッド6の移動速度が低く抑えられ、これに応じて駆動信号発生回路10から発生される駆動信号COM1,COM2の発生周期も長くなるのに対し、第1吐出駆動パルスPd1′の発生タイミングと第2吐出駆動パルスPd2′の発生タイミングとの時間差ΔTは上記の設定値(T3)で一定であるため、着弾位置ずれを低減することができる。
なお、着弾位置ずれをより低減する観点から、発生タイミングが遅い方の駆動パルスに関し、立ち上がり成分または立下り成分の傾きを変更することで、ノズル21から吐出されるインクの飛翔速度を高める構成を採用することもできる。
また、駆動信号に含まれる駆動パルスの構成やその数に関し、上記各実施形態で例示したものには限られず、本発明は、種々の構成の駆動信号や駆動パルスを採用する液体吐出装置に対して適用することができる。要は、隣り合うノズルのうちの一方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの一方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第1の駆動パルスと、隣り合うノズルのうちの他方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの他方のノズル列に対応するアクチュエーターに印加される第2の駆動パルスとの発生タイミングの時間差ΔTが上記のように設定されたものであればよい。
そして、本発明は、駆動パルスの印加によりアクチュエーターを駆動して液体の吐出制御が可能な液体吐出装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材吐出ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置では、電極材吐出ヘッドから液状の電極材料を吐出する。チップ製造装置では、生体有機物吐出ヘッドから生体有機物の溶液を吐出する。
1…プリンター,6…記録ヘッド,7…プリンターコントローラー,9…CPU,11…駆動信号発生回路,11…FFC,12…ヘッドコントローラー,16…キャリッジ,21…ノズル,24…圧電素子,26…圧力室,31…配線部材

Claims (3)

  1. ノズルが複数列設されて成る複数のノズル群と、各ノズルに対応する複数のアクチュエーターと、を有し、前記アクチュエーターの駆動によって前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記アクチュエーターを駆動させる駆動パルスを発生する駆動パルス発生回路と、
    を備え、
    前記駆動パルス発生回路は、隣り合うノズルのうちの一方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの一方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第1の駆動パルスと、隣り合うノズルのうちの他方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの他方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第2の駆動パルスと、をそれぞれ異なるタイミングで発生し、
    第1の駆動パルスおよび第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分の時間長をT1、前記液体吐出ヘッドの全アクチュエーターを同一駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じるノイズ成分の時間をT2としたとき、
    前記第1の駆動パルスの発生タイミングと前記第2の駆動パルスの発生タイミングとの時間差ΔTが、以下の式(1)
    T1≦ΔT≦T1+T2 …(1)
    の範囲内で設定されたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記時間差ΔTが前記式(1)の範囲内で設定された場合において、前記第1の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分と、前記第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分とが時間軸上で重なるとき、
    前記第1の駆動パルスに対し前記第2の駆動パルスが、少なくとも前記第2の駆動パルスの波形長だけずらして発生され、
    液体吐出ヘッドによる液体吐出処理の速度が、前記時間差ΔTが前記式(1)の範囲内で設定された場合よりも低く設定されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. ノズルが複数列設されて成る複数のノズル群と、各ノズルに対応する複数のアクチュエーターと、を有し、前記アクチュエーターの駆動によって前記ノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記アクチュエーターを駆動させる駆動パルスを発生する駆動パルス発生回路と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
    隣り合うノズルのうちの一方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの一方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第1の駆動パルスと、隣り合うノズルのうちの他方のノズルに対応するアクチュエーター若しくは隣り合うノズル群のうちの他方のノズル群に対応するアクチュエーターに印加される第2の駆動パルスと、をそれぞれ異なるタイミングで前記駆動パルス発生回路により発生させ、
    第1の駆動パルスおよび第2の駆動パルスの立ち上がり成分または立下り成分の時間長をT1、前記液体吐出ヘッドの全アクチュエーターを同一駆動パルスで同時に駆動させたときの当該駆動パルスに生じるノイズ成分の時間をT2としたとき、
    前記第1の駆動パルスの発生タイミングと前記第2の駆動パルスの発生タイミングとの時間差ΔTを、以下の式(1)
    T1≦ΔT≦T1+T2
    の範囲内で設定することを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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