JP2012111095A - 液体噴射装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】相異なるノズル列のノズルから噴射された液体の着弾位置の距離を簡易な構成で低減する。
【解決手段】記録ヘッドは記録紙に対してX方向に相対移動する。Y方向に配列する複数のノズルNを各々が含む第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とが、X方向に距離dをあけて並列に形成される。駆動信号発生部は、第1ノズル列L1の各ノズルNからインク滴を噴射させる第1噴射パルスと、第2ノズル列L2の各ノズルNからインク滴を噴射させる第2噴射パルスとを記録ヘッドに供給する。第1ノズル列L1の各ノズルNが形成するドットと第2ノズル列L2の各ノズルNが形成するドットとのX方向における中心間距離が、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2との距離dを下回るように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとは相異なる波形に設定される。
【選択図】図2

Description

本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
図13に示すように、第1ノズル列91と第2ノズル列92とをX方向(主走査方向)に間隔をあけて並列した液体噴射装置(例えばインクジェット方式の印刷装置)が従来から提案されている。第1ノズル列91および第2ノズル列92の各々は、X方向に交差するY方向(副走査方向)に沿って配列する複数のノズル94を含む。第1ノズル列91と第2ノズル列92とでは各ノズル94のY方向の位置が相違する。
特許文献1には、各ノズル94から噴射された液体で着弾対象(例えば記録紙)に形成されるドットのX方向における位置を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで合致させる技術が開示されている。具体的には、駆動信号の複数の噴射パルスのうち実際に液体の噴射に適用する噴射パルスを第1ノズル列91と第2ノズル列92とで個別に選択し、液体の噴射の時点を第1ノズル列91と第2ノズル列92とで相違させることで、各ノズル94が形成するドットのX方向の位置を合致させる。
特開2000−343729号公報
しかし、特許文献1の技術では、駆動信号の複数の噴射パルスの時点と各噴射パルスを選択する時点(噴射パルスを選択するデータをラッチする時点)とを時間軸上で高精度に合致させる必要があり、両者間に誤差が発生した場合に、第1ノズル列91や第2ノズル列92の各ノズルによる液体の噴射の時点が目標の時点から変化して各ドットの位置に誤差が発生するという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、複数のノズル列の各々のノズルから噴射された液体の着弾位置の距離を簡易な構成で低減することを目的とする。
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
本発明の液体噴射装置は、第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列(例えば第1ノズル列L1)と、第1方向における各々の位置が第1ノズル列の各ノズルとは相違するように第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列(例えば第2ノズル列L2)とが、第1方向に交差する第2方向に所定距離(例えば距離d)をあけて形成され、各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象(例えば記録紙200)に対して第2方向に相対移動する液体噴射部(例えば記録ヘッド24)と、第1ノズル列の第1ノズルから液体を噴射させる第1噴射パルス(例えば第1噴射パルスPD1)と、第2ノズル列の第2ノズルから液体を噴射させる第2噴射パルス(例えば第2噴射パルスPD2)とを液体噴射部に供給する駆動信号発生手段(例えば駆動信号発生部64)とを具備し、第1ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第1ドット(例えばドットD1)と、第2ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第2ドット(例えばドットD2)との第2方向における中心間の距離が、所定距離を下回るように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される。
以上の構成では、第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離が第1ノズルと第2ノズルとの第2方向における中心間の距離を下回るように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される。例えば、第1ノズル列が、着弾対象に対する液体噴射部の進行方向において第2ノズル列の前方に位置する構成では、第1ノズルから噴射される液体の速度が、第2ノズルから噴射される液体の速度を上回るように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される。したがって、第1ノズルから噴射された液体の着弾位置(第1ドット)と第2ノズルから噴射された液体の着弾位置(第2ドット)との第2方向の位置の相違を簡易な構成で低減することが可能である。
なお、以上の説明では第1ノズル列および第2ノズル列のみに言及したが、液体噴射部に形成されるノズル列の総数は本発明において任意である。すなわち、3列以上のノズル列が液体噴射部に形成された構成でも、3列のうちの2列を第1ノズル列および第2ノズル列として把握した場合に前述の要件を充足する構成は、当然に本発明の範囲に包含される。
本発明の好適な態様においては、第1噴射パルスの電位の変動幅(例えば変動幅w1)が、第2噴射パルスの電位の変動幅(例えば変動幅w2)を上回る。以上の構成においては、各噴射パルスの電位の変動幅に応じて第1ドットと第2ドットとの第2方向における中心間の距離を低減することが可能である。
本発明の好適な態様において、第1ノズルから噴射された液体で形成される第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い第2ノズルから噴射された液体で形成される第2ドットとが、第2方向において相互に重複または接触するように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される。以上の態様においては、第1噴射パルスの波形と第2噴射パルスの波形とを相違させるという簡易な方法で、第1ノズルが形成するドットと第2ノズルが形成するドットとの過度な離間(例えば印刷品位の低下)を抑制することが可能である。なお、以上の態様では、第2方向における分布範囲が第1ドットと第2ドットとで接触または重複すれば足り、第1方向における第1ドットと第2ドットとの接触/離間は不問である。
本発明の好適な態様において、第1ドットと第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される。以上の構成においては、第1噴射パルスの波形と第2噴射パルスの波形とを相異ならせるという簡易な方法で第1ドットと第2ドットとを第1方向に配列することが可能である。
本発明の好適な態様において、駆動信号発生手段は、第1ノズルが液体を噴射する時点(例えばt1)と第2ノズルが液体を噴射する時点(例えばt2)とが一致するように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとを液体噴射部に供給する。以上の構成においては、第1ノズルが液体を噴射する時点と第2ノズルが液体を噴射する時点を相違させる構成と比較して構成が簡略化されるという利点がある。他方、第1ノズルが液体を噴射する時点と第2ノズルが液体を噴射する時点とが相違するように駆動信号発生手段が第1噴射パルスと第2噴射パルスとを液体噴射部に供給する構成によれば、第1ノズルと第2ノズルとが同時に液体を噴射する構成と比較して液体の着弾位置の調整幅が拡大されるという利点がある。
以上の各態様に係る液体噴射装置の動作方法(液体噴射装置の制御方法)としても本発明は特定され得る。本発明の制御方法は、第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列と、第1方向における各々の位置が第1ノズル列の各ノズルとは相違するように第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列とが、第1方向に交差する第2方向に所定距離をあけて形成され、各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象に対して第2方向に相対移動する液体噴射部を具備する液体噴射装置の制御方法であって、第1噴射パルスの供給により第1ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第1ドットと、第2噴射パルスの供給により第2ノズルから噴射された液体で着弾対象に形成される第2ドットとの第2方向における中心間の距離が所定距離を下回るように、第1噴射パルスと第2噴射パルスとを生成して液体噴射部に供給する。以上の制御方法においても本発明の液体噴射装置と同様の作用および効果が実現される。
本発明の印刷装置の部分的な模式図である。 記録ヘッドの吐出面の平面図である。 記録ヘッドの断面図である。 印刷装置の電気的な構成のブロック図である。 駆動信号の波形図である。 記録ヘッドの電気的な構成のブロック図である。 各ノズルから噴射されたインク滴の飛翔経路の説明図である。 各ノズルから噴射されたインク滴が着弾する位置(ドットの位置)の説明図である。 駆動信号の波形図である。 各ノズルからのインク滴の噴射の説明図である。 変形例における記録ヘッドの吐出面の模式図である。 変形例における記録ヘッドの模式図である。 従来のノズルの配列を示す模式図である。
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット方式の印刷装置100の部分的な模式図である。印刷装置100は、微細なインクの液滴(以下「インク滴」という)を記録紙200に噴射する液体噴射装置であり、キャリッジ12と移動機構14と用紙搬送機構16とを具備する。
キャリッジ12には、インクカートリッジ22と記録ヘッド24とが搭載される。インクカートリッジ22は、記録紙200に噴射されるインク(液体)を貯留する容器である。記録ヘッド24は、インクカートリッジ22に貯留されたインクを記録紙200に噴射する液体噴射部として機能する。なお、印刷装置100の筐体(図示略)にインクカートリッジ22を固定して記録ヘッド24にインクを供給する構成も採用され得る。
移動機構14は、案内軸122に沿ってキャリッジ12をX方向(記録紙200の幅方向に相当する主走査方向)に往復させる。キャリッジ12の位置は、リニアエンコーダー等の検出器(図示略)で検出されて移動機構14の制御に利用される。用紙搬送機構16は、キャリッジ12の往復に並行して記録紙200をY方向(副走査方向)に移動させる。キャリッジ12の往復時に記録ヘッド24が記録紙200にインク滴を順次に噴射することで所望の画像が記録紙200に記録(印刷)される。
図2は、記録ヘッド24のうち記録紙200に対向する吐出面26の平面図である。図2に示すように、記録ヘッド24の吐出面26には、相異なるインク色(ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C))に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が形成される。
複数のノズル群28の各々は、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とを含む。第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の各々は、相互に間隔をあけてY方向に配列する複数のノズルNの集合である。各ノズルNは、平面視で円形状に形成される。ノズル群28Kの各ノズルNからはブラック(K)のインク滴が吐出される。同様に、ノズル群28Yの各ノズルNからはイエロー(Y)のインク滴が吐出され、ノズル群28Mの各ノズルNからはマゼンタ(M)のインク滴が吐出され、ノズル群28Cの各ノズルNからはシアン(C)のインク滴が吐出される。
第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とは、X方向に距離dをあけて並列する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第1ノズル列L1の中心線)a1と、第2ノズル列L2の各ノズルNの中心を連結したY方向の直線(第2ノズル列L2の中心線)a2とが、相互に間隔dをあけて平行に延在する。また、第1ノズル列L1の各ノズルNと第2ノズル列L2の各ノズルNとのY方向の位置は相違する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNのY方向の位置と第2ノズル列L2の各ノズルNのY方向の位置とは、Y方向に隣合う各ノズルNの中心間の距離pの半分(p/2)だけY方向に相互にずれた関係にある。すなわち、各ノズル群28の複数のノズルNは2列の千鳥状に配列する。
図3は、記録ヘッド24の断面図(X方向に垂直な断面)である。図3に示すように、記録ヘッド24は、振動ユニット42と収容体44と流路ユニット46とを具備する。振動ユニット42は、圧電振動子422とケーブル424と固定板426とを含む。圧電振動子422は、圧電材料と電極とが交互に積層された縦振動型の圧電素子であり、ケーブル424を介して供給される駆動信号に応じて振動する。圧電振動子422を固定した固定板426が収容体44の内壁面に接合された状態で振動ユニット42は収容体44に収容される。
流路ユニット46は、相互に対向する基板462と基板464との間隙に流路形成板466を介挿した構造体である。基板462のうち基板464とは反対側の表面が図2の吐出面26に相当する。流路形成板466は、圧力室50と供給路52と貯留室54とを含む空間を基板462と基板464との間隙に形成する。圧力室50は、振動ユニット42毎に隔壁で個別に区画されるとともに供給路52を介して貯留室54に連通する。インクカートリッジ22から供給されるインクは貯留室54に貯留される。図2の各ノズルNは、各圧力室50に対応するように基板462に形成される。各ノズルNは、圧力室50に連通する貫通孔である。以上の説明から理解されるように、貯留室54から供給路52と圧力室50とノズルNとを経由して外部に至るインクの流路が形成される。
基板464は、弾性材料で形成された平板材である。基板464のうち圧力室50の反対側の領域には島状の振動板48が形成される。振動板48には圧電振動子422の先端面(自由端)が接合される。したがって、駆動信号の供給により圧電振動子422が振動すると、振動板48を介して基板464が変位することで圧力室50の容積が変化して圧力室50内のインクの圧力が変動する。すなわち、圧電振動子422は、圧力室50内の圧力を変動させる圧力発生素子として機能する。以上に説明した圧力室50内の圧力の変動に応じてノズルNからインク滴を噴射することが可能である。
図4は、印刷装置100の電気的な構成のブロック図である。図4に示すように、印刷装置100は、制御装置102と印刷処理部(プリントエンジン)104とを具備する。制御装置102は、印刷装置100の全体を制御する要素であり、制御部60と記憶部62と駆動信号発生部64と外部I/F(interface)66と内部I/F68とを含む。記録紙200に印刷される画像を示す印刷データDPが外部装置(例えばホストコンピューター)300から外部I/F66に供給され、内部I/F68には印刷処理部104が接続される。印刷処理部104は、制御装置102による制御のもとで記録紙200に画像を記録する要素であり、前述の記録ヘッド24と移動機構14と用紙搬送機構16とを含む。
図4の記憶部62は、制御プログラム等を記憶するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記憶するRAMとを含む。制御部60は、記憶部62に記憶された制御プログラムの実行で印刷装置100の各要素(例えば印刷処理部104)を統括的に制御する。例えば制御部60は、記録紙200に対するインク滴の噴射で印刷データDPに応じた画像を記録紙200に記録する動作を記録ヘッド24に実行させる。具体的には、制御部60は、外部装置300から外部I/F66に供給される印刷データDPを利用して、圧力室50内のインク滴の噴射/非噴射(微振動)を指示する制御データDCを各ノズルNについて記録周期毎に生成する。
駆動信号発生部64は、駆動信号COM1および駆動信号COM2を生成する。駆動信号COM1および駆動信号COM2の各々は、記録周期を1周期として各圧電振動子422を駆動する周期信号である。図5に示すように、駆動信号COM1の記録周期内には、第1噴射パルスPD1と微振動パルスPSとが配置され、駆動信号COM2の記録周期内には、第2噴射パルスPD2と微振動パルスPSとが配置される。第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各々は、圧電振動子422に供給された場合に圧力室50内のインクをノズルNから噴射させる。第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2は、実質的に時間軸上の同じ時点に配置される。他方、微振動パルスPSは、圧力室50内のインクがノズルNから噴射されない程度の微振動を圧力室50内に付与する。
図5に示すように、第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各々は、基準電位VREFから高位側の電位に遷移する期間p1と、高位側の電位が維持される期間p2と、高位側の電位から低位側の電位に遷移する期間p3と、低位側の電位が維持される期間p4と、低位側の電位から基準電位VREFに復帰する期間p5とを含む。第1噴射パルスPD1の高位側の電位VH1は第2噴射パルスPD2の高位側の電位VH2を上回り、第1噴射パルスPD1の低位側の電位VL1は第2噴射パルスPD2の低位側の電位VL2を下回る。すなわち、第1噴射パルスPD1の電位の変動幅w1(w1=VH1−VL1)は、第2噴射パルスPD2の電位の変動幅w2(w2=VH2−VL2)を上回る。したがって、第1噴射パルスPD1の電位変化率(時間軸に対する傾斜)は第2噴射パルスPD2の電位変化率を上回る。
以上のように第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2とでは波形が相違するから、第1噴射パルスPD1の供給でノズルNから噴射されたインク滴が記録紙200に向けて飛翔する速度(以下では「飛翔速度」という)V1と、第2噴射パルスPD2の供給でノズルNから噴射されたインク滴の飛翔速度V2とは相違する。具体的には、飛翔速度V1は飛翔速度V2を上回る。
図6は、記録ヘッド24の電気的な構成の模式図である。図6に示すように、記録ヘッド24は、相異なる圧力室50に対応する複数の駆動回路32を含む。駆動信号発生部64が生成した駆動信号COM1および駆動信号COM2は、内部I/F68を介して複数の駆動回路32に共通に供給される。また、制御部60が生成した制御データDCは内部I/F68を介して各駆動回路32に供給される。
各駆動回路32は、制御部60から供給される制御データDCに応じた区間(PD1/PD2/PS)を駆動信号COM1または駆動信号COM2から選択して圧電振動子422に供給する。具体的には、第1ノズル列L1の各ノズルNに対応する駆動回路32は、制御データDCがインク滴の噴射を指示する場合、駆動信号COM1の第1噴射パルスPD1を選択して圧電振動子422に供給する。したがって、第1ノズル列L1の各ノズルNから噴射されるインク滴は飛翔速度V1で飛翔する。他方、第2ノズル列L2の各ノズルNに対応する駆動回路32は、制御データDCがインク滴の噴射を指示する場合、駆動信号COM2の第2噴射パルスPD2を選択して圧電振動子422に供給する。したがって、第2ノズル列L2の各ノズルNから噴射されるインク滴は飛翔速度V2で飛翔する。また、制御データDCがインク滴の非噴射を指示する場合、各駆動回路32は、駆動信号COM1または駆動信号COM2の微振動パルスPSを選択して圧電振動子422に供給する。したがって、圧力室50に微振動が付与され、圧力室50内のインクは噴射されずに適度に撹拌される。
図7は、記録ヘッド24の各ノズルNから噴射されたインク滴が記録紙200の表面に着弾する様子の模式図である。なお、図2の例示のように実際には複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が記録ヘッド24に形成されるが、図7では便宜的に1個のノズル群28のみが図示されている。また、以下の説明では、1個のノズル群28の第1ノズル列L1のうち任意の1個のノズルN(以下では特に「第1ノズルN1」と表記する)と、そのノズル群28の第2ノズル列L2のうち第1ノズルN1に最も近い1個のノズルN(以下では特に「第2ノズルN2」と表記する)とに着目する。ただし、複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)の各々における各ノズルNについて同様の関係が成立する。
図7に示すように、記録ヘッド24の吐出面26と記録紙200の表面とは間隔Gをあけて相互に対向する。制御部60は、記録ヘッド24が固定されたキャリッジ12を記録紙200に対して速度VCRでX方向に相対的に移動させながら、各圧電振動子422を振動させることで各ノズル群28の複数のノズルN(N1,N2)から同時にインク滴を噴射させる。各ノズルNから噴射されたインク滴は吐出面26と記録紙200との間隙を飛翔し、記録紙200の表面に着弾してドット(画素)を形成する。
図8は、第1ノズルN1から噴射されたインク滴で形成されるドットD1と第2ノズルN2から噴射されたインク滴で形成されるドットD2との平面的な位置関係を示す模式図である。第1ノズルN1と第2ノズルN2とはX方向に距離dだけ離間するから、仮に、相等しい飛翔速度で第1ノズルN1と第2ノズルN2とから同時にインク滴が噴射されたならば、第1ノズルN1が形成するドットD1と第2ノズルN2が形成するドットD2(図8の破線で図示された円形)とは、X方向に中心間距離dをあけて相互に離間する。しかし、以上のようにドットD1とドットD2とが記録紙200上で離間すると、記録紙200に形成される画像の品質を低下させる原因となる。
そこで、第1実施形態では、ドットD1の中心とドットD2の中心とのX方向の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2との距離dを下回るように、第1ノズルN1から噴射されたインク滴の飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射されたインク滴の飛翔速度V2とが設定される。すなわち、図7における記録ヘッド24(キャリッジ12)の進行方向の前方に位置する第1ノズルN1から噴射されたインク滴の飛翔速度V1が、進行方向の後方に位置する第2ノズルN2から噴射されたインク滴の飛翔速度V2を上回るように設定される(V1>V2)。なお、飛翔速度V1および飛翔速度V2は、各ノズルN(N1,N2)での噴射から記録紙200に着弾するまでの平均速度である。
具体的には、図8に示すように、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が、ドットD1の中心の位置x1を含む所定の範囲A内に制限されるように、飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係が選定される。範囲Aは、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の一方側に距離δだけ離間した位置xLと、位置x1からX方向の他方側に距離δだけ離間した位置xRとの間の領域である。範囲Aを規定する距離δは、以下に詳述するように、平面視でドットD1とドットD2とが相互に重複または接触するように選定される。なお、以下ではドットD1とドットD2とが相等しい直径φの円形状である場合を想定する。
図8に鎖線で示すように直径φのドットD1とドットD2とが接触(外接)する場合、ドットD1とドットD2との中心間の距離は直径φに合致する。いま、Y方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離(Y方向における第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間の距離(p/2))を直径φに応じた距離φ/√2とすると、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が距離φ/√2である場合にドットD1とドットD2とが接触する。したがって、範囲Aを規定する距離δは、ドットD1およびドットD2の直径φに応じた距離φ/√2に設定される。すなわち、ドットD1のX方向の位置x1からX方向の両側に距離φ/√2にわたる範囲A内にドットD2の中心の位置x2が含まれるように、飛翔速度V1および飛翔速度V2が設定される。
飛翔速度V1と飛翔速度V2との具体的な関係を特定するために、第1ノズルN1が形成するドットD1の中心の位置(インク滴の着弾位置)x1と第2ノズルN2が形成するドットD2の中心の位置x2とを検討する。位置x1および位置x2は、図7に示すように、各ノズルNからインク滴が噴射される時点における第2ノズルN2のX方向の位置を基準(x=0)とした位置である。
第1ノズルN1から噴射されたインク滴が飛翔速度V1で飛翔して記録紙200に着弾するまでに時間(G/V1)が経過するから、噴射後のインク滴の飛翔中(時間(G/V1)内)に、記録紙200は記録ヘッド24に対してX方向に距離(G/V1)・VCRだけ相対的に移動する。したがって、ドットD1の位置x1は以下の数式(1)で表現される。
x1=(G/V1)・VCR+d ……(1)
同様に、第2ノズルN2から噴射されて飛翔速度V2で飛翔するインク滴が着弾するまでに記録紙200は記録ヘッド24に対して距離(G/V2)・VCRだけ相対的に移動するから、ドットD2の位置x2は以下の数式(2)で表現される。
x2=(G/V2)・VCR ……(2)
X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xLに位置する場合(x2=x1−δ)、飛翔速度V2は以下の数式(3)で表現される。
V2=G・VCR/(x1−δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(3)
同様に、X方向におけるドットD2の中心の位置x2が図8の位置xRに位置する場合(x2=x1+δ)、飛翔速度V2は以下の数式(4)で表現される。
V2=G・VCR/(x1+δ)
=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ} ……(4)
数式(3)および数式(4)から、飛翔速度V2の範囲は以下の数式(5)で表現される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+δ}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−δ} ……(5)
更に好適な態様では、図8に実線で示すように、X方向におけるドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とが合致する(δ=0)。したがって、飛翔速度V2は以下の数式(6)で表現される。
V2=G・VCR/{(G/V1)・VCR+d} ……(6)
飛翔速度V1と飛翔速度V2との理論的な関係は以上の通りである。飛翔速度V1および飛翔速度V2は、圧電振動子422の振動により生じる圧力室50の圧力変動の大きさに応じて変化する。第1実施形態では、飛翔速度V1および飛翔速度V2が数式(5)の条件(更に好適には数式(6)の条件)を満たすように、第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2とが相異なる波形に設定される。具体的には、記録ヘッド24の速度VCRや吐出面26と記録紙200との距離Gや第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dとに応じて、数式(5)や数式(6)の関係を満たすように飛翔速度V1および飛翔速度V2の設計値が算定され、実際の飛翔速度V1および飛翔速度V2が設計値となるように第1噴射パルスPD1の変動幅w1と第2噴射パルスPD2の変動幅w2とが設定される。
以上に説明したように、第1実施形態では、X方向におけるドットD1とドットD2との中心間の距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2とのX方向の距離dを下回るように、第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各々が相異なる波形に設定される。したがって、各ノズル群28内の複数のノズルNから噴射されたインク滴のX方向の着弾位置(ドット)の差異を簡易な構成で低減できるという利点がある。
具体的には、飛翔速度V1および飛翔速度V2が数式(5)を満たすように第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各波形を選定した構成では、ドットD1とドットD2とを相互に接触または重複させることが可能である。また、飛翔速度V1および飛翔速度V2が数式(6)を満たすように第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各波形を選定した構成では、ドットD1の中心の位置x1とドットD2の中心の位置x2とを合致させることが可能である。すなわち、ノズル群28内の各ノズルNから噴射されたインク滴で形成されるドットがY方向に直線状に配列する。
ところで、各ノズルNから記録紙200に向けて飛翔する複数のインク滴が過度に接近すると、相互に接近した各インク滴間の気流やクーロン力等の影響で、インク滴の進行方向が直進方向から相互に離間する方向に傾斜し、結果的に各インク滴の着弾位置に誤差が発生するという問題がある。印刷画像の解像度が高いほど(例えば解像度が600dpiを上回る場合)、インク滴の進行方向の傾斜は顕在化する。第1実施形態によれば、第1ノズルN1から噴射したインク滴の飛翔速度V1と第2ノズルN2から噴射したインク滴の飛翔速度V2とが相違するから、記録紙200の表面に近付くほど、第1ノズルN1からのインク滴と第2ノズルN2からのインク滴との距離が拡大する。したがって、第1ノズルN1および第2ノズルN2の各々から噴射されたインク滴の過度な接近に起因した着弾位置(ドットの位置)の誤差を低減できるという利点もある。
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。第1実施形態では、第1ノズル列L1の各ノズルNと第2ノズル列L2の各ノズルNとからインク滴を略同時に噴射した。第2実施形態では、第1ノズル列L1の各ノズルN(第1ノズルN1)と第2ノズル列L2の各ノズルN(第2ノズルN2)とから相異なる時点でインク滴が噴射される。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図9に示すように、第2実施形態では、駆動信号COM1の記録周期内に第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2とが配置され、駆動信号COM2に微振動パルスPSが配置される。各パルスの波形は第1実施形態と同様である。第1噴射パルスPD1の供給でノズルNからインク滴が噴射される時点t1と第2噴射パルスPD2の供給でノズルNからインク滴が噴射される時点t2とが時間差ΔTだけ相違する(時点t2が時点t1に対して時間差ΔTだけ遅延する)ように、第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2とは時間軸上の相異なる位置に設定される。具体的には、図9に示すように、第1噴射パルスPD1の始点と第2噴射パルスPD2の始点とは時間差ΔTだけ相違する。
制御部60は、第1ノズル列L1の各ノズルNについては、時点t1でのインク滴の噴射とインク滴の非噴射との何れかを指示する制御データDCを印刷データDPに応じて生成し、第2ノズル列L2の各ノズルNについては、時点t2でのインク滴の噴射とインク滴の非噴射との何れかを指示する制御データDCを印刷データDPに応じて生成する。第1ノズル列L1の各ノズルNに対応する駆動回路32は、制御データDCが時点t1でのインク滴の噴射を指示する場合、駆動信号COM1の第1噴射パルスPD1を選択して圧電振動子422に供給する。したがって、第1ノズル列L1の各ノズルNからは、各記録周期内の時点t1で飛翔速度V1のインク滴が噴射される。他方、第2ノズル列L2の各ノズルNに対応する駆動回路32は、制御データDCが時点t2でのインク滴の噴射を指示する場合、駆動信号COM1の第2噴射パルスPD2を選択して圧電振動子422に供給する。したがって、第2ノズル列L2の各ノズルNからは、時点t1から時間差ΔTだけ遅延した時点t2で飛翔速度V2のインク滴が噴射される。
図10は、記録ヘッド24の各ノズルNから噴射されるインク滴が記録紙200の表面に着弾する様子の模式図である。なお、図7と同様に、図10では便宜的に1個のノズル群28のみが図示されている。第1実施形態と同様に、第1ノズルN1が形成するドットD1の位置x1と第2ノズルN2が形成するドットD2の位置x2との距離が第1ノズルN1と第2ノズルN2との中心間距離dを下回るように、第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各々の波形と両者間の時間差ΔTとが選定される。
第1ノズルN1が形成するドットD1の中心の位置x1(図10の部分(B))と、第2ノズルN2が形成するドットD2の中心の位置x2(図10の部分(C))とを以下に検討する。位置x1および位置x2は、図10の部分(A)に示すように、所定の時点(以下「基準時点」という)t0での各ノズルNのX方向の位置を基準(x=0)とした位置である。
図10の部分(B)から理解されるように、第1ノズルN1がインク滴を噴射する時点t1から記録紙200に着弾するまでに時間(G/V1)が経過する。したがって、基準時点t0から時間T1が経過した時点t1で第1ノズルN1からインク滴が噴射された場合、基準時点t0からインク滴の着弾までに経過する時間τ1は、以下の数式(7)で表現される。
τ1=(G/V1)+T1 ……(7)
同様に、基準時点t0から時間T2が経過した時点t2で第2ノズルN2からインク滴が噴射された場合、基準時点t0からインク滴の着弾までに経過する時間τ2は以下の数式(8)で表現される。
τ2=(G/V2)+T2 ……(8)
数式(7)の時間τ1内に記録紙200が記録ヘッド24に対してX方向に速度VCRで相対的に移動するから、ドットD1の位置x1は以下の数式(9)で表現される。
x1={(G/V1)+T1}・VCR ……(9)
同様に、ドットD2の位置x2を表現する以下の数式(10)が導出される。
x2={(G/V2)+T2}・VCR ……(10)
第1実施形態と同様に、ドットD1とドットD2とが平面視で相互に重複または接触するように位置x1および位置x2が選定される。すなわち、第1ドットD1の位置x1とドットD2の位置x2とは以下の数式(11)の関係を充足する。
−δ≦x2−x1≦+δ ……(11)
数式(9)および数式(10)を数式(11)に代入すると以下の数式(12)が導出される。
−δ≦{(G/V2)+T2}・VCR−{(G/V1)+T1}・VCR≦+δ ……(12)
時点t1と時点t2との時間差ΔT(ΔT=T2−T1,T2=ΔT+T1)を数式(12)に代入すると以下の数式(13)が導出される。
−δ≦{(G/V2)+(ΔT+T1)}・VCR−{(G/V1)+T1}・VCR≦+δ
{(V2−V1)/(V1・V2)}・G−δ/VCR≦ΔT≦{(V2−V1)/(V1・V2)}・G+δ/VCR ……(13)
ここで、飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係を以下の数式(14)のように定義する。すなわち、定数αは飛翔速度V1に対する飛翔速度V2の相対比を意味する。
V2=α・V1 ……(14)
数式(14)を数式(13)に代入すると以下の数式(15)が導出される。
{(α・V1−V1)/(V1・α・V2)}・G−δ/VCR≦ΔT
≦{(α・V1−V1)/(V1・α・V2)}・G+δ/VCR
{(α−1)/α}・(G/V1)−δ/VCR≦ΔT≦{(α−1)/α}・(G/V1)+δ/VCR ……(15)
また、ドットD1の位置x1とドットD2の位置x2とが合致する場合(δ=0)、時間差ΔTは以下の数式(16)で表現される。
ΔT={(α−1)/α}・(G/V1) ……(16)
時点t1と時点t2との時間差ΔTおよび飛翔速度V1に対する飛翔速度V2の相対比αが、数式(15)の条件(更に好適には数式(16)の条件)を満たすように(すなわち、ドットD1とドットD2とが平面視で接触するように)、第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の各々の波形と両者間の時間差ΔTが選定される。
第2実施形態でも第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、インク滴の飛翔速度と噴射時点との双方を制御するから、飛翔速度のみを制御する第1実施形態と比較してインク滴の着弾位置の調整幅が拡大されるという利点がある。例えば、第1噴射パルスPD1および第2噴射パルスPD2の波形を相違させただけではドットD1とドットD2とを相互に重複または接触させることができない程度に第1ノズルN1と第2ノズルN2との距離dが大きい場合でも、時点t1と時点t2との時間差ΔTを適宜に調整することで、ドットD1とドットD2とを相互に重複または接触させることが可能である。また、飛翔速度と噴射時点との双方を制御する構成によれば、ドットD1とドットD2とを所期の位置に形成するために必要な第1噴射パルスPD1と第2噴射パルスPD2との波形の相違の程度を低減することが可能である。記録紙200に着弾する時点の飛翔速度はドットの形成(例えばドット径)に影響する。第2実施形態によれば飛翔速度V1と飛翔速度V2との相違が低減されるから、ドットD1とドットD2との状態(例えばドット径)の相違を抑制することが可能である。
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
(1)変形例1
以上の各形態では、第1ノズル列L1および第2ノズル列L2の2列でノズル群28を構成したが、各ノズル群28を構成するノズル列Lの総数は任意である。図11に例示するように各ノズル群28がK個(Kは2以上の自然数)のノズル列L(L1〜LK)を含む構成では、相互に隣合う2個のノズル列Lの間で各ノズルNの中心のY方向の位置が距離(p/K)だけY方向にずれた関係となる。図11の構成では、K個のノズル列L1〜LKのうち記録ヘッド24の進行方向の前方に位置するノズル列Lk(k=1〜K)ほど各ノズルNから噴射されるインク滴の飛翔速度Vkが高くなるように(V1>V2>……>VK)、各ノズル列LのノズルNからインク滴を噴射させるための各噴射パルスが相異なる波形に設定される。
(2)変形例2
以上の各形態では、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ12がX方向(主走査方向)に移動するシリアル型の印刷装置100を例示したが、図12に示すように、記録紙200の幅方向の全域に対向するようにノズル群28が形成されたライン型の記録ヘッド24を利用した印刷装置にも本発明を適用することが可能である。なお、図12では便宜的に1個のノズル群28のみを図示したが、相異なるインク色に対応する複数のノズル群28(28K,28Y,28M,28C)が実際には形成される。
図12の記録ヘッド24のノズル群28は、X方向(記録紙200の幅方向)に配列する複数のノズルNで構成される第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とがY方向(記録紙200の搬送方向)に間隔dをあけて形成される。各ノズルNのX方向の位置は第1ノズル列L1と第2ノズル列L2とで相違する。記録ヘッド24は固定され、記録紙200をY方向に搬送させながら各ノズルNからインク滴を噴射することで記録紙200に画像が記録される。
図12の構成においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、記録紙200の搬送方向の上流側(すなわち、記録紙200に対する記録ヘッド24の相対的な移動方向における前方)に位置する第1ノズル列L1の各ノズルNから噴射されるインク滴の飛翔速度V1が、記録紙200の搬送方向の下流側に位置する第2ノズル列L2の各ノズルからのインク滴の飛翔速度V2を上回るように、駆動信号COM1と駆動信号COM2とが相異なる波形に設定される。さらに、図12の構成でも、第2実施形態と同様に、第1ノズルN1からインク滴が噴射する時点t1と第2ノズルN2からインク滴が噴射する時点t2とを相違させた構成が採用され得る。
以上の説明から理解されるように、記録紙200(着弾対象)に対して記録ヘッド24が相対的に移動する構成に本発明は好適に適用され、記録ヘッド24自体の可動/固定は本発明において不問である。なお、第1実施形態や第2実施形態ではY方向が本発明の第1方向に相当するとともにX方向が第2方向に相当するが、図12の構成ではX方向が本発明の第1方向に相当するとともにY方向が第2方向に相当する。
(3)変形例3
以上の各形態ではドット(D1,D2)の直径φに応じた距離δを利用して飛翔速度V1と飛翔速度V2との関係(数式(5))や時点t1と時点t2との時間差ΔT(数式(15))を規定したが、直径φを印刷の解像度R(dpi:dot per inch)に置換することも可能である。直径φは、解像度Rを含む以下の数式(16)で表現される。
φ=(2.54×102/R)×√2 ……(16)
数式(5)の距離δを前述のように距離φ/√2とすれば(δ=φ/√2=2.54×102/R)、数式(16)を数式(5)に代入することで以下の数式(17)が導出される。
G・VCR/{(G/V1)・VCR+d+(2.54×102/R)}≦V2≦G・VCR/{(G/V1)・VCR+d−(2.54×102/R)} ……(17)
数式(17)の関係が成立するように飛翔速度V1および飛翔速度V2を選定した構成も採用され得る。
同様に、数式(15)の距離δを前述のように距離φ/√2とすれば、数式(16)を数式(15)に代入することで以下の数式(18)が導出される。
ΔT={(α−1)/α}・(G/V1)±(2.54×102/R)/VCR ……(18)
数式(18)の関係が成立するように、飛翔速度V1および飛翔速度V2の相対比αならびに時点t1と時点t2との時間差ΔTを選定した構成も採用され得る。
(4)変形例4
以上の各形態では、駆動信号COM1および駆動信号COM2を記録ヘッド24に供給したが、3系統以上の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。第2実施形態では、1系統の駆動信号を各圧電振動子422の駆動に使用する構成も採用され得る。また、駆動信号の各パルス(PD1,PD2,PS)の波形は任意である。図5および図9に例示した台形状のパルスに限定されず、例えば矩形状のパルスを採用することも可能である。
(5)変形例5
以上の各形態では縦振動型の圧電振動子422を例示したが、圧力室50内の圧力を変化させる要素(圧力発生素子)の構成は以上の例示に限定されない。例えば、撓み振動型の圧電振動子や静電アクチュエーター等の振動体を利用することも可能である。また、圧力発生素子は、圧力室50に機械的な振動を付与する要素に限定されない。例えば、圧力室50の加熱で気泡を発生させて圧力室50内の圧力を変化させる発熱素子(ヒーター)を圧力発生素子として利用することも可能である。すなわち、圧力発生素子は、圧力室50内の圧力を変化させる要素として包括され、圧力を変化させる方法(ピエゾ方式/サーマル方式)や構成の如何は不問である。
(6)変形例6
以上の各形態の印刷装置100は、プロッターやファクシミリ装置,コピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は画像の印刷に限定されない。例えば、各色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、液体状の導電材料を噴射する液体噴射装置は、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置や電界放出表示装置(FED:Field Emission Display)等の表示装置の電極を形成する電極製造装置として利用される。また、生体有機物の溶液を噴射する液体噴射装置は、生物科学素子(バイオチップ)を製造するチップ製造装置として利用される。そして、液体の噴射の目標となる物体(着弾対象)は液体噴射装置の用途に応じて相違する。具体的には、前述の印刷装置100の着弾対象は記録紙200であるが、液体噴射装置を表示装置の製造に使用する場合には、例えば表示装置を構成する基板が着弾対象に相当する。
100……印刷装置、12……キャリッジ、14……移動機構、16……用紙搬送機構、22……インクカートリッジ、24……記録ヘッド、26……吐出面、28(28K,28Y,28M,28C)……ノズル群、COM(COM1,COM2)……駆動信号、L1……第1ノズル列、L2……第2ノズル列、N(N1,N2)……ノズル、V1,V2……飛翔速度、32……駆動回路、50……圧力室、52……供給路、54……貯留室、102……制御装置、104……印刷処理部、60……制御部、62……記憶部、64……駆動信号発生部、66……外部I/F、68……内部I/F、200……記録紙、300……外部装置。

Claims (8)

  1. 第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列と、前記第1方向における各々の位置が前記第1ノズル列の前記各ノズルとは相違するように前記第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列とが、前記第1方向に交差する第2方向に所定距離をあけて形成され、前記各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象に対して前記第2方向に相対移動する液体噴射部と、
    前記第1ノズル列の第1ノズルから液体を噴射させる第1噴射パルスと、前記第2ノズル列の第2ノズルから液体を噴射させる第2噴射パルスとを前記液体噴射部に供給する駆動信号発生手段とを具備し、
    前記第1ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第1ドットと、前記第2ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第2ドットとの前記第2方向における中心間の距離が、前記所定距離を下回るように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される
    液体噴射装置。
  2. 前記第1ノズル列は、前記着弾対象に対する前記液体噴射部の進行方向において前記第2ノズル列の前方に位置し、
    前記第1ノズルから噴射された液体の速度が、前記第2ノズルから噴射された液体の速度を上回るように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される
    請求項1の液体噴射装置。
  3. 前記第1噴射パルスの電位の変動幅が、前記第2噴射パルスの電位の変動幅を上回る
    請求項2の液体噴射装置。
  4. 前記第1ノズルから噴射された液体で形成される前記第1ドットと、当該第1ノズルに最も近い前記第2ノズルから噴射された液体で形成される前記第2ドットとが、第2方向において相互に重複または接触するように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される
    請求項1から請求項3のいずれかの液体噴射装置。
  5. 前記第1ドットと前記第2ドットとで中心の第2方向における位置が合致するように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとが相異なる波形に設定される
    請求項1から請求項3のいずれかの液体噴射装置。
  6. 前記駆動信号発生手段は、前記第1ノズルが液体を噴射する時点と前記第2ノズルが液体を噴射する時点とが一致するように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとを前記液体噴射部に供給する
    請求項1から請求項5のいずれかの液体噴射装置。
  7. 前記駆動信号発生手段は、前記第1ノズルが液体を噴射する時点と前記第2ノズルが液体を噴射する時点とが相違するように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとを前記液体噴射部に供給する
    請求項1から請求項5のいずれかの液体噴射装置。
  8. 第1方向に配列する複数のノズルを含む第1ノズル列と、前記第1方向における各々の位置が前記第1ノズル列の前記各ノズルとは相違するように前記第1方向に配列する複数のノズルを含む第2ノズル列とが、前記第1方向に交差する第2方向に所定距離をあけて形成され、前記各ノズルから噴射された液体が着弾する着弾対象に対して前記第2方向に相対移動する液体噴射部を具備する液体噴射装置の制御方法であって、
    第1噴射パルスの供給により前記第1ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第1ドットと、第2噴射パルスの供給により前記第2ノズルから噴射された液体で前記着弾対象に形成される第2ドットとの前記第2方向における中心間の距離が前記所定距離を下回るように、前記第1噴射パルスと前記第2噴射パルスとを生成して前記液体噴射部に供給する
    液体噴射装置の制御方法。
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