JP2016158466A - コルゲートチューブ及びそれを用いたワイヤハーネスの水抜構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイヤハーネスの外周面を覆い水や飛石等の浸入を確実に防止しつつ、ワイヤハーネスの電線群の間に浸入した水の排水も有利に促すことができる、新規な構造のコルゲートチューブ及びそれを用いたワイヤハーネスの水抜構造を提供すること。【解決手段】円筒状の山部12と谷部14が交互に連接され、隣接する山部12と谷部14が円環状の側壁部16を介して一体的に連結されてなるコルゲートチューブ10であって、少なくとも 1つの側壁部16に、側壁部16の板厚方向に貫通する水抜穴18が設けられているようにした。【選択図】図4
Description
本発明は、水抜穴を有するコルゲートチューブと、かかるコルゲートチューブを用いたワイヤハーネスの水抜構造に関するものである。
従来から、自動車の内部には、バッテリーと各種電装品間を接続する多数の電線が結束されてなるワイヤハーネスが配索されている。このようなワイヤハーネスでは、他部材との干渉等による電線の損傷を防止する目的から、電線束の外周面に巻回される結束テープや、さらにその外周側に装着される合成樹脂製のコルゲートチューブやプロテクタ等の外装材により、各電線の保護を図ることが行われている。例えば、特開2012−115040号公報(特許文献1)の図1や図5に記載の如きである。
ところで、特許文献1の図5に明示されているように、エンジンルーム側のワイヤハーネスは車体パネルの近傍部分においてU字状に屈曲されており、かかる屈曲部の下端部にはコルゲートチューブを外装せず且つ結束テープをテープ巻きせずに電線群を露出させた電線露出部が設けられている。これにより、エンジンルーム側の被水領域においてワイヤハーネスの電線群の間に浸入した水は、電線露出部において下方に向かって流下できるようになっており、車体パネルを挿通して車室側に浸水することが有利に防止されている。しかも、電線露出部の下側には水抜穴が設けられたプロテクタが装着されていることから、ワイヤハーネスの電線群の間に浸入した水を電線露出部において下方に向かって流下しつつ、車両走行中に跳ね上げた飛石との衝突等により電線露出部の電線群が損傷することを防止できるようになっている。
ところが、特許文献1に記載のワイヤハーネスの水抜構造では、エンジンルーム側の被水領域にある電線露出部の上側は電線群が露出されたままの状態とされていることから、例えば車両走行中に跳ね上げられた多量の水が電線露出部の上側からワイヤハーネスの電線群の間に浸入することにより、電線露出部において下方に向かって流下しきれない水が車体パネルを挿通して車室側に浸水するおそれがあった。また、車両走行中に跳ね上げられた小石やガラス片等が電線露出部の上側から電線群に当接し、電線露出部の電線群が損傷するおそれもあった。
さらに、電線露出部の下側を覆うプロテクタには下方に向かって開口する穴が設けられていることから、電線露出部の上側と同様に、浸水や損傷のおそれがあった。加えて、電線露出部の下側を覆うプロテクタは、電線露出部以外の部分を外装するコルゲートチューブとは異なる部品であることから、部品点数が多く、組み付け作業も煩雑となり、未だ改善の余地があったのである。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ワイヤハーネスの外周面を覆い水や飛石等の浸入を確実に防止しつつ、ワイヤハーネスの電線群の間に浸入した水の排水も有利に促すことができる、新規な構造のコルゲートチューブを提供することにある。
また、本発明は、かかる本発明のコルゲートチューブを用い、少ない部品点数で組み付け作業性の向上を図りつつ、水や飛石等の浸入を確実に防止し且つ良好な排水を促すことができるワイヤハーネスの水抜構造を提供することも目的とする。
コルゲートチューブに関する本発明の第一の態様は、円筒状の山部と谷部が交互に連接され、隣接する前記山部と前記谷部が円環状の側壁部を介して一体的に連結されてなるコルゲートチューブであって、少なくとも 1つの前記側壁部に、該側壁部の板厚方向に貫通する水抜穴が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、コルゲートチューブの側壁部に板厚方向に貫通する水抜穴が設けられている。これにより、コルゲートチューブ内に浸入した水を水抜穴からコルゲートチューブの外に有利に排出することができる。しかも、コルゲートチューブ外からの被水に対しては水抜穴が側壁部に設けられていることから、水抜穴が山部と谷部によって画成されるコルゲートチューブの外周面に開口されている場合に比して、水抜穴を通して外部からコルゲートチューブ内に水が浸入し難くなっている。それ故、コルゲートチューブが被水した場合でもコルゲートチューブ内への浸水が有利に防止されるようになっている。
また、例えば車両走行中に跳ね上げられた飛石等がコルゲートチューブへ衝突したとしても、水抜穴が側壁部に設けられておりコルゲートチューブの外周面を画成する山部と谷部に開口されていないことから、かかる飛石等が水抜穴を介して露呈された電線群に当接して電線群を損傷することが有利に防止されている。
しかも、本態様のコルゲートチューブは側壁部に板厚方向に貫通する水抜穴が設けられていることから、特許文献1に記載のエンジンルーム側の車体パネルの近傍部分でU字状に屈曲されたワイヤハーネスに外装して、そのまま水抜構造を構築することができる。すなわち、U字状の屈曲部分を本態様のコルゲートチューブで覆いつつ、屈曲部分の下端部に水抜穴を配置することで内部の電線群がコルゲートチューブで保護された水抜構造を簡単に設けることができるのである。その際、特許文献1の如き屈曲部の電線露出部用の別部材を準備する必要がなく、また屈曲部の電線露出部だけコルゲートチューブを外装せず且つかかる別部材を装着するといった作業が不要とされることから、部品点数の削減や作業時間の短縮を図ることが可能となる。
なお、水抜穴は少なくとも 1つの側壁部に設けられていればよく、コルゲートチューブの長さ方向に配列された複数の側壁部に間欠的に水抜穴が設けられていてもよいし、全ての側壁部に設けられていてもよい。また、水抜穴は側壁部の周方向に離隔して複数設けられていてもよいし、複数の側壁部に設けられた水抜穴は、側壁部の周方向の同じ位置に設けられていてもよいし、異なる位置に設けられていてもよい。加えて、水抜穴の断面形状は、矩形状や円形状やスリット状等任意の形状のものが採用可能である。
コルゲートチューブに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のコルゲートチューブにおいて、前記水抜穴が各前記側壁部に設けられているものである。
本態様によれば、水抜穴が各側壁部に設けられていることから、コルゲートチューブの長さ方向の任意の位置での水抜きが可能となり、より効率的にコルゲートチューブ内に浸入した水を水抜穴からコルゲートチューブの外に排出することを可能となる。
コルゲートチューブに関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のコルゲートチューブにおいて、前記水抜穴が、前記側壁部の周方向に等間隔離隔した少なくとも3箇所に設けられているものである。
本態様によれば、水抜穴が、側壁部の周方向に等間隔離隔した3箇所以上に設けられている。これにより、コルゲートチューブを用いて水抜構造を構築する際のコルゲートチューブの方向性を低減乃至は削減することができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。
コルゲートチューブに関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の態様の何れか1つに記載のコルゲートチューブにおいて、前記山部と前記谷部のピッチ幅:Tに対する前記山部の幅:Wの比率P(=W/T)が45%〜65%とされているものである。
本態様によれば、山部の幅:Wの比率Pを45%以上とすることにより、谷部の幅の比率を55%以下とできる。これにより、側壁部に設けた水抜穴のコルゲートチューブ外方への過度の露出を抑制して、例えば車両走行中の被水や飛石の衝突等によって谷部を介してコルゲートチューブ内に水や飛石等が入り込むことを有利に防止することができる。
また、山部の幅:Wの比率Pを65%以下とすることにより、谷部の幅の比率を35%以上とできる。これにより、隣接する側壁部間のある程度の離隔距離が確保でき、側壁部の水抜穴からコルゲートチューブ内に浸入した水を外部に排出する機能が阻害されない。
コルゲートチューブに関する本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の態様の何れか1つに記載のコルゲートチューブにおいて、前記水抜穴が、前記側壁部の周方向及び径方向の少なくとも一方で相互に離隔した複数の小穴部から構成されているものである。
本態様によれば、水抜穴が、側壁部の周方向あるいは径方向に離隔した複数の小穴部から構成されている。これにより、各小穴部の断面積を小さくして外部からの浸水の可能性を低減しつつ、小穴部の合計の断面積を確保して、コルゲートチューブ内に浸入した水を水抜穴からコルゲートチューブの外に排出する性能を維持することができる。
コルゲートチューブに関する本発明の第六の態様は、前記第一〜第五の態様の何れか1つに記載のコルゲートチューブにおいて、前記山部の外周面には、該山部に連結する側壁部に設けられた水抜穴に対応する周方向位置において、水抜穴の位置を示す目印が形成されているものである。
本態様によれば、水抜穴が設けられた側壁部に連接された山部の外周面において、水抜穴に対応する周方向位置に目印が形成されて、水抜穴の位置が外部から容易に視認可能となっている。これにより、コルゲートチューブの水抜穴が所望の排水位置に設置されるように車両内にコルゲートチューブが外装されたワイヤハーネスを容易に配設することができ、作業効率を向上することができる。なお、目印としては、例えば印字や刻印等任意のものが採用可能である。また、全ての水抜穴に対応する目印を全ての山部に形成する必要はなく、水抜穴の位置確認が必要な任意の山部のみに目印を形成するようにしてもよい。
ワイヤハーネスの水抜構造に関する本発明の第一の態様は、車両内のエンジンルーム側から車体パネルの挿通孔を挿通して車室側に配設されるワイヤハーネスに対して、前記第一乃至第六の何れかの態様に記載のコルゲートチューブが外挿されており、前記エンジンルーム側の前記ワイヤハーネスが、前記車体パネルの近傍部分においてU字状に屈曲され、該屈曲部の下端部から前記コルゲートチューブに設けられた水抜穴を介して前記ワイヤハーネスに浸入した水を流下して排水するようにしたことを特徴とする。
本態様によれば、本発明のコルゲートチューブを採用することにより、コルゲートチューブが外装されたワイヤハーネスをそのままU字状に屈曲させて屈曲部の下端部に水抜穴を配置するのみの簡単な構造により、水抜構造を構築することができる。それ故、従来構造の如き屈曲部に電線露出部を設け且つかかる電線露出部を保護するプロテクタ等の別部材を準備する必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。また屈曲部の電線露出部だけコルゲートチューブを外装せず且つかかる別部材のプロテクタを装着するといった作業が不要とされることから、コストの削減や作業時間の短縮を図ることが可能となるのである。
また、屈曲部全体をコルゲートチューブで覆うことができることから、従来構造の如き電線露出部が無く、飛石等による電線群の損傷を有利に防止することができる。しかも、水抜穴はコルゲートチューブの側壁部に設けられ、コルゲートチューブの外周面を画成する山部や谷部には設けられていないことから、水抜穴を介して外部から水が浸入したり水抜穴に露呈した電線群に飛石等が衝突することも有利も防止できる。
なお、本発明のコルゲートチューブは側壁部に長さ方向に貫通する水抜穴が設けられている点が従来構造のものと異なるだけであり、かかる水抜穴を設けたことにより想定される不具合すなわち車両走行中の被水や飛石の衝突等は、水抜穴が側壁部に設けられて山部と谷部に開口されていないことから有利に防止されている。
本発明によれば、コルゲートチューブの側壁部に板厚方向に貫通する水抜穴が設けられていることから、コルゲートチューブ内に浸入した水を水抜穴からコルゲートチューブの外に有利に排出できる。しかも、コルゲートチューブ外からの被水に対しては水抜穴が側壁部に設けられていることから、水抜穴を通して外部からコルゲートチューブ内に水が浸入し難くなっており、コルゲートチューブが被水した場合でもコルゲートチューブ内への浸水が有利に防止される。また、例えば車両走行中に跳ね上げられた飛石等がコルゲートチューブへ衝突したとしても、水抜穴がコルゲートチューブの外周面を画成する山部と谷部に開口されていないことから、かかる飛石等が水抜穴を介して露呈された電線群に当接して電線群を損傷することが有利に防止されている。しかも、本態様のコルゲートチューブは側壁部に水抜穴が設けられていることから、車体パネルの近傍部分でU字状に屈曲されたワイヤハーネスに外装して、そのまま水抜構造を構築できる。その際、特許文献1の如き屈曲部の電線露出部用の別部材を準備する必要がなく、また屈曲部の電線露出部だけコルゲートチューブを外装せず且つかかる別部材を装着するといった作業が不要とされることから、部品点数の削減や作業時間の短縮を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜3に、本発明の第一の実施形態としてのコルゲートチューブ10を示す。図1及び図3に示されているように、コルゲートチューブ10は中空筒体構造とされている。より詳細には、コルゲートチューブ10は、円筒状の山部12と谷部14が長さ方向に交互に連接される一方、隣接する山部12と谷部14が円環状の側壁部16を介して一体的に連結されてなる構造とされている。コルゲートチューブ10は、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ABS樹脂又はポリエチレン(PE)等の合成樹脂材料を押出成型すると共に、ブロー成型或いはバキューム成型して製造される一体成形部材である。他にも、コルゲートチューブ10は、比較的硬質なゴム(エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エラストマー等)により形成されることもある。なお、以下の説明において、長さ方向とは、図1及び図3中の左右方向を言うものとする。
図2に示されているように、コルゲートチューブ10の各側壁部16には、側壁部16の板厚方向(図2中、紙面に垂直な方向)に貫通する略縦長矩形断面形状の水抜穴18が、側壁部16の周方向に等間隔離隔した8箇所に設けられている。また、図1に示されているように、山部12と谷部14のピッチ幅:Tに対する山部12の幅:Wの比率P(=W/T)が45%〜65%とされていることが望ましく、本実施形態では凡そ50%に設定されている。
次に、図4に、このような構造とされたコルゲートチューブ10を用いたワイヤハーネス20の水抜構造を説明するための側面図を示す。なお、図4では、理解を容易とするために、ワイヤハーネス20を仮想線で記載している。図4に示されているように、ワイヤハーネス20の水抜構造においては、図示しない電線群からなるワイヤハーネス20が、車両内のエンジンルーム側22から車体パネル24に形成された円環状の挿通孔26を挿通して車室側28に配設されている。かかるワイヤハーネス20に対して、被水領域であるエンジンルーム側22では本実施形態のコルゲートチューブ10が外挿されている一方、エンジンルーム側22と車室側28を仕切る車体パネル24を挿通する部位には、車体パネル24の挿通孔26に装着されたグロメット30が外挿されている。このグロメット30は、ワイヤハーネス20の外周面に密接して固定される小径筒部32と、車体パネル24の挿通孔26に密嵌固定される大径筒部34と、それらの間を連結する拡径筒部36が一体的に設けられた構造とされている。そして、コルゲートチューブ10がグロメット30の小径筒部32に対して図示しない結束テープ等により密接してテープ巻き固定されている。これにより、被水領域であるエンジンルーム側22におけるワイヤハーネス20への水入り等や、車体パネル24の挿通孔26を通じたエンジンルーム側22から車室側28への水入り等が、ワイヤハーネス20に外挿された本実施形態のコルゲートチューブ10とグロメット30によって防止されるようになっている。
さらに、本実施形態のコルゲートチューブ10が外挿されたエンジンルーム側22のワイヤハーネス20が、車体パネル24の近傍部分においてU字状に屈曲されている。これにより、被水領域であるエンジンルーム側22でワイヤハーネス20の電線群の間に浸入した水は、屈曲部38の下端部に止まり、車室側28へ浸入することが有利に防止されている。しかも、図4のAで示す縦断面図に示されているように、屈曲部38の下端部においてワイヤハーネス20に外挿されたコルゲートチューブ10の側壁部16に水抜穴18が設けられていることから、屈曲部38の下端部に止まった水はかかる水抜穴18を介してコルゲートチューブ10外に流下して排水されるようにされている。
このような構造とされたコルゲートチューブ10によれば、側壁部16に水抜穴18が貫設されている。それ故、コルゲートチューブ10内に浸入した水を水抜穴18からコルゲートチューブ10外に有利に排出しつつ、水抜穴18が山部12と谷部14によって画成されるコルゲートチューブ10の外周面に開口されている場合に比してコルゲートチューブ10が被水した際にコルゲートチューブ10内への浸水が有利に防止されるようになっているのである。
しかも、山部12の幅:Wの比率Pが45%以上とされていることから、谷部14の幅の比率を55%以下とできる。それ故、側壁部16に設けた水抜穴18のコルゲートチューブ10外方への過度の露出を抑制して、例えば車両走行中の被水や飛石の衝突等によって谷部14を介してコルゲートチューブ10内に水や飛石等が入り込むことを有利に防止できる。加えて、山部12の幅:Wの比率Pが65%以下とされていることから、谷部14の幅の比率を35%以上とできる。それ故、隣接する側壁部16間のある程度の離隔距離が確保でき、側壁部16の水抜穴18からコルゲートチューブ10内に浸入した水を外部に排出する機能が阻害されないのである。
そして、このような構造とされた本発明のコルゲートチューブ10を用いることにより、コルゲートチューブ10が外装されたワイヤハーネス20をそのままU字状に屈曲させて屈曲部38の下端部に水抜穴18が来るように配設するだけで、ワイヤハーネス20の水抜構造を構築することができる。それ故、従来構造の如き屈曲部に電線露出部を設け且つかかる電線露出部を保護するプロテクタ等の別部材の準備が必要とされる場合に比して、部品点数を削減できると共に、電線露出部だけコルゲートチューブを外装せずに別部材のプロテクタを装着するといった作業が不要とされることから作業時間の短縮を図ることができ、コストの削減が可能となるのである。
また、従来構造のような電線露出部が無く、屈曲部38全体をコルゲートチューブ10で覆うことができることから、飛石等によるワイヤハーネス20の損傷を有利に防止できる。しかも、コルゲートチューブ10の側壁部16に水抜穴18が貫設されていることから、コルゲートチューブ10内に浸入した水を水抜穴18からコルゲートチューブ10外に有利に排出しつつ、水抜穴を介して外部から水が浸入したり水抜穴に露呈した電線群に飛石等が衝突することも有利に防止されるようになっている。
加えて、本発明のコルゲートチューブ10の各側壁部16には、側壁部16の周方向に等間隔離隔した8箇所に水抜穴18が設けられている。それ故、ワイヤハーネス20の水抜構造を構築する際に、屈曲部38の下端部に特定の水抜穴18が配設されるようにコルゲートチューブ10の周方向の方向性等を考慮しなくても何れかの水抜穴18が、屈曲部38の下端部に配置されるようになっている。これにより、コルゲートチューブ10の配設作業の作業効率の向上を図ることが可能となる。なお、コルゲートチューブ10の周方向の方向性を低減するためには、水抜穴18が側壁部16の周方向に等間隔離隔した少なくとも3箇所に設けられていることが望ましい。
次に、図5を用いて、本発明の第二の実施形態としてのコルゲートチューブ40について詳述するが、上記実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、上記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。かかるコルゲートチューブ40では、水抜穴42が、側壁部16の径方向で相互に離隔した位置に貫設された2つの小穴部44から構成されている点に関して、上記実施形態と異なる実施形態を示すものである。より詳細には、小穴部44は上記実施形態の水抜穴18の略半分の断面積を有しており、2つの小穴部44の断面積を合計したものが上記実施形態の水抜穴18の断面積と略同じとされている。
本実施形態によれば、各小穴部44の断面積が上記実施形態の水抜穴18の略半分と小さくされていることから、外部からの浸水の可能性を低減できる。しかも、2つの小穴部44の断面積を合計したものが上記実施形態の水抜穴18の断面積と略同じとされていることから、コルゲートチューブ40内に浸入した水を水抜穴42からコルゲートチューブ40の外に排出する性能を維持することができる。なお、本実施形態は、上記実施形態に比して、水抜穴42が2つの小穴部44から構成されている点が異なるだけである。そして、コルゲートチューブ40の各側壁部16の周方向に等間隔離隔した8箇所に水抜穴42が貫設されている点や、山部12と谷部14のピッチ幅:Tに対する山部12の幅:Wの比率P(=W/T)は同じであることから、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
続いて、図6に、本発明の第三の実施形態としてのコルゲートチューブ46を示す。かかるコルゲートチューブ46は、コルゲートチューブ46の各側壁部16の周方向の1箇所に略縦長矩形断面形状の水抜穴48が貫設されており、山部12の外周面に、山部12に連結する側壁部16に設けられた水抜穴48に対応する周方向位置において、水抜穴48の位置を示す目印たる凹部50が形成されている点に関して、上記第一の実施形態と構成が異なるものである。
本実施形態によれば、コルゲートチューブ46の各側壁部16の周方向の1箇所に略縦長矩形断面形状の水抜穴48が貫設されていることから、コルゲートチューブ46の防水性は、上記第一及び第二の実施形態のものよりも向上される。また、水抜穴48が設けられた側壁部16に連接された山部12の外周面において、水抜穴48に対応する周方向位置に目印たる凹部50が形成されて、水抜穴48の位置が外部から容易に視認可能となっている。これにより、コルゲートチューブ46の水抜穴48が所望の排水位置である屈曲部38の下端部に設位置するように、コルゲートチューブ46が外挿されたワイヤハーネス20を容易に配設することができ、コルゲートチューブ46に周方向での方向性があるものの、作業効率を向上することができる。従って、上記第一の実施形態と同様に、コルゲートチューブ10が外挿されたワイヤハーネス20をそのままU字状に屈曲させて屈曲部38の下端部に水抜穴18が来るように配設するだけで、ワイヤハーネス20の水抜構造を構築することができる等の効果を得ることができる。
以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、水抜穴18は、少なくとも 1つの側壁部16に設けられていればよく、例示のように全ての側壁部16に設けられていてもよいし、コルゲートチューブ10の長さ方向に配列された複数の側壁部16に間欠的に設けられていてもよい。また、水抜穴18は、コルゲートチューブ10の長さ方向に配列された複数の側壁部16の周方向の同じ位置に設けられていてもよいし、異なる位置に設けられていてもよい。加えて、水抜穴18の断面形状は、例示の矩形状の他、円形状やスリット状等任意の形状のものが採用可能である。
また、上記第三の実施形態では、目印として凹部50を例示して説明を行ったが、目印としては印字や刻印等任意のものが採用可能である。また、全ての水抜穴48に対応する目印を全ての山部12に形成する必要はなく、水抜穴48の位置確認が必要な任意の山部12のみに目印を形成するようにしてもよい。なお、かかる目印は、上記第一及び第二の実施形態に対しても採用可能である。
10,40,46:コルゲートチューブ、12:山部、14:谷部、16:側壁部、18,42,48:水抜穴、20:ワイヤハーネス、22:エンジンルーム側、24:車体パネル、26:挿通孔、28:車室側、38:屈曲部、44:小穴部、50:凹部(目印)
Claims (7)
- 円筒状の山部と谷部が交互に連接され、隣接する前記山部と前記谷部が円環状の側壁部を介して一体的に連結されてなるコルゲートチューブであって、
少なくとも 1つの前記側壁部に、該側壁部の板厚方向に貫通する水抜穴が設けられている
ことを特徴とするコルゲートチューブ。 - 前記水抜穴が各前記側壁部に設けられている請求項1に記載のコルゲートチューブ。
- 前記水抜穴が、前記側壁部の周方向に等間隔離隔した少なくとも3箇所に設けられている請求項1又は2に記載のコルゲートチューブ。
- 前記山部と前記谷部のピッチ幅:Tに対する前記山部の幅:Wの比率P(=W/T)が45%〜65%とされている請求項1〜3の何れか1項に記載のコルゲートチューブ。
- 前記水抜穴が、前記側壁部の周方向及び径方向の少なくとも一方で相互に離隔した複数の小穴部から構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のコルゲートチューブ。
- 前記山部の外周面には、該山部に連結する側壁部に設けられた水抜穴に対応する周方向位置において、水抜穴の位置を示す目印が形成されている請求項1〜5の何れか1項に記載のコルゲートチューブ。
- 車両内のエンジンルーム側から車体パネルの挿通孔を挿通して車室側に配設されるワイヤハーネスに対して、請求項1〜6の何れか1項に記載のコルゲートチューブが外挿されており、
前記エンジンルーム側の前記ワイヤハーネスが、前記車体パネルの近傍部分においてU字状に屈曲され、該屈曲部の下端部から前記コルゲートチューブに設けられた水抜穴を介して前記ワイヤハーネスに浸入した水を流下して排水するようにした
ことを特徴とするワイヤハーネスの水抜構造。
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