JP2016092947A - ワイヤハーネスのシール構造 - Google Patents

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貴政 前田
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貴政 前田
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Abstract

【課題】シールドパイプに対するシール性を確保する。
【解決手段】ワイヤハーネスWHのシール構造は、内部に導電線が挿通されるシールドパイプ3と、複数の金属素線を筒状に編成して形成されるとともに、シールドパイプ3の端部に接続されてシールドパイプ3から外部に引き出された導電線が挿通される編組部4と、編組部4を包囲するコルゲートチューブ6と、編組部4を包囲しつつシールドパイプ3とコルゲートチューブ6との間に架設されるシール用のグロメット7と、シールドパイプ3の内部においてシールドパイプ3の外部から注入されるシール材によって形成され、導電線を水密状態で挿通させるシール部15とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワイヤハーネスのシール構造に関するものである。
従来、ハイブリッド車両あるいは電気自動車においては、バッテリとインバータとの間には複数の電線よりなるワイヤハーネスを、金属製のシールドパイプ内に挿通して配索することがある。そのようなワイヤハーネスの配索例として、下記特許文献1を挙げることができる。
上記のワイヤハーネスでは、シールドパイプは車両の床下に沿って配されている。一方、電線のうちシールドパイプから導出された部分、つまりバッテリやインバータに向けての配索領域においては、電線は可撓性を有する金属編組部内に挿通されて比較的自由に屈曲して配索することができるようにしている。また、従来では、防水等の目的で金属編組部はコルゲートチューブ内に挿通され、さらにシールドパイプとコルゲートチューブとの間は防水性を有するグロメットによって連結されるようになっていた。
特開2006−311699号公報
しかし、上記の構造では、万一、コルゲートチューブが損傷して破れ等を生じると、ここから進入した水がシールドパイプ内に至り、パイプ内に錆を発生させてしまう懸念があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールドパイプに対するシール性を保持することができるワイヤハーネスのシール構造を提供することを目的とする。
本発明のワイヤハーネスのシール構造は、内部にワイヤハーネスを構成する導電線が挿通されるシールドパイプと、シールドパイプの端部に接続されてシールドパイプから外部に引き出された導電線が挿通される筒状の可撓性シールド部材と、可撓性シールド部材を長さ方向に沿って包囲する保護部材と、可撓性シールド部材を包囲しつつシールドパイプと保護部材との間に架設されるシール用のグロメットと、シールドパイプの内部においてシールドパイプの外部から注入されるシール材によって形成され、導電線を水密状態で挿通させるシール部とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、仮に、保護部材が損傷して可撓性シールド部材内に水が進入することがあっても、シールドパイプ内に設けられたシール部によって水の進入が阻止される。シール部はシールドパイプの外部から注入されるシール材によって形成されるため、ゴム栓によってシールする場合に比べても次のような効果がある。
すなわち、ゴム栓の場合には、予め導電線を挿通させるための挿通孔を形成しておかねばならない。したがって、ゴム栓による場合には、電線径に変更があると対応することができないし、挿通する導電線の本数にも制約があり、本数の増減に対応することができない。その点、本発明では電線径や導電線の本数に応じてシール部が形成されるため、導電線に関する変更にも容易に対応することができる。
ハイブリッド車両においてバッテリとインバータとがワイヤハーネスを介して接続されている状況の概要を示す側面図 シールドパイプと編組部との連結部分を示す側断面図 図2におけるA−A線断面図 図2におけるB−B線断面図
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
(1)本発明のワイヤハーネスのシール構造は、前記シールドパイプ内であって、前記シール部より奥部には前記シール材を堰止める堰き止め部材が配された構成とすることが好ましい。
このような構成によれば、シール材をシールドパイプ内に注入する際に、堰き止め部材がシール材が奥方へ流出してしまうのを規制するため、シール材を無駄にすることなく、効率的にシール部を形成することができる。
(2)また、前記堰き止め部材は、前記導電線をシールドパイプの略中心部に位置決め可能に形成されているとよい。
このような構成によれば、導電線がシールドパイプの略中心部に位置決めされるため、シール部を導電線周りに略均一の厚みで形成することができるため、周方向に関するシール性の均一化に寄与する。
(3)前記導電線のうち前記シールドパイプから導出された出口付近には、前記導電線を束ねるテープ巻き部が形成されるようにするとよい。
このような構成によれば、シールドパイプから導出された先で導電線が屈曲されることがあっても、導電線はテープ巻き部より先で曲げが開始するため、曲げの影響がシール部に及び難い。したがって、導電線がシールドパイプから導出された先で屈曲されるよう配索されても、シール性が確実に保持される。
<実施例1>
次に、本発明のワイヤハーネスを具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施例1のワイヤハーネスのシール構造はハイブリッド車に適用されたものである。ワイヤハーネスは車両のリヤ側に搭載されたバッテリ1とエンジンルーム内に設けられたインバータ2との間を接続している。本実施例の場合、図2に示すように、ワイヤハーネスWHは可撓性を有する3本の導電線Lによって構成されている。
ワイヤハーネスWHの途中は車両の床下に配されたシールドパイプ3内に一括して挿通されている。シールドパイプ3はアルミニウムあるいはアルミニウム合金製であり、断面円形状の長尺パイプによって構成されている。シールドパイプ3は曲げ加工されて所定の配管経路に沿って配されている。シールドパイプ3は、概ね、車両の略前後方向に沿いつつ水平に延出している。シールドパイプ3の前端側は上方へ屈曲してエンジンルーム内に導入され、後端側は車室のリヤ側に導入されている。
ワイヤハーネスWHはシールドパイプ3の長手方向の両端部からそれぞれ外部へ導出されている。図2に示すように、ワイヤハーネスWHのうちシールドパイプ3から外部に導出された部分は、編組部4(可撓性シールド部材)内に挿通されている。編組部4は多数本の導電性を有する金属素線を長尺の筒状に編成したものであり、全体として良好な可撓性を有している。両編組部4のシールドパイプ3側の端部はシールドパイプ3の端部の外周面に被せ付けられ、金属製のかしめリング5をかしめ付けて固定され、これによってシールドパイプ3と編組部4とが接続状態となっている。
図2に示すように、編組部4の外周側には保護部材としてのコルゲートチューブ6が通されている。コルゲートチューブ6の端部はシールドパイプ3の端部から軸方向へ所定間隔だけ離間して位置している。コルゲートチューブ6は合成樹脂製であり、全周に亘って切れ目のないチューブ状に形成されている。また、コルゲートチューブ6は長さ方向に山部と谷部とを交互に繰り返す蛇腹状に形成され、良好な可撓性を有している。
さらに、コルゲートチューブ6とシールドパイプ3との間にはシール用のグロメット7が橋渡されている。グロメット7はゴム材によって形成され、両端部は共に円筒状の筒部8が形成されており、両筒部8の間は前記したかしめリング5の締め付け操作部(かしめリング5から径方向外方へ突出している。図示しない)との干渉を避けるために、内部空間が若干拡張されて収容部9が形成されている。グロメット7における一方の筒部8(図2における左側の筒部)はシールドパイプ3の端部の外周面に、他方の筒部8(同図における右側の筒部)はコルゲートチューブ6の端部の外周面にそれぞれ嵌め入れられている。一方の筒部8の内周面には全周に亘って複数のシールリップ10が突出形成され、本実施例においては、シールリップ10は一方の筒部8の先端の位置と、それより奥方に3箇所、計4条が形成されている。他方の筒部8の内周面には全周に亘って複数のシール縁11が突出形成され、本実施例では他方の筒部8の先端の位置と、それより奥方に3箇所、計4条が形成されている。各シール縁11はコルゲートチューブ6の谷部のピッチに合わせて形成されて、対応する谷部に入り込むことができる。
グロメット7における一方の筒部8の外周面には公知の樹脂製結束バンド12が配され、結束バンド12を締め付けることで、グロメット7とシールドパイプ3との接続がなされるとともに、各シールリップ10がシールドパイプ3の外周面に水密状態で弾接してグロメット7とシールドパイプ3との間の隙間からの水の進入が規制されるようになっている。
また、グロメット7における他方の筒部8の外周面にも、一方の筒部8と同様にして結束バンド17が配されており、その締め付けによってグロメット7とコルゲートチューブ6との接続がなされるとともに、シール縁11が対応する谷部の底面に水密状態で弾接して、グロメット7とコルゲートチューブ6との間の隙間からの水の進入が規制されるようになっている。加えて、本実施例では、グロメット7における他方の筒部8の外周面において、グロメット7から突出するコルゲートチューブ6の一部にかけてテープ巻き13がなされ、グロメット7とコルゲートチューブ6との間のシール性をより向上させることができる。
ワイヤハーネスWHには、シールドパイプ3の内部における端部寄りの部位において、堰き止め部材14が装着されている。堰き止め部材14は、本実施例ではスポンジテープが用いられ、図3に示すように、ワイヤハーネスWHを束ねながら外側に複数回巻き付けられている。堰き止め部材14の外周面は全周に亘ってシールドパイプ3の内周面に弾接するとともに、各導電線L間および堰き止め部材14とシールドパイプ3の内周面との間をほぼ隙間のない状態としている。また、堰き止め部材14はワイヤハーネスWHに対して巻き付けられた状態で、ワイヤハーネスWHをそのほぼ中心位置に保持している。したがって、堰き止め部材14がシールドパイプ3内に所定深さまで引き込まれた状態では、ワイヤハーネスWHはシールドパイプ3の略中心位置に保持されることになる。
また、シールドパイプ3の内部であって、堰き止め部材14より手前側には適度の柔軟性を有するシール部15が設けられている。このシール部15は発泡ウレタン(ウレタン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた充填剤)によって形成されている。発泡ウレタンはシールドパイプ3の端部の開口から注入して形成され、図2に示すように、堰き止め部材14からシールドパイプ3の端部に至る範囲に亘って充填されている。こうして形成されたシール部15は、図4に示すように、各導電線Lの間を埋め、またワイヤハーネスWHとシールドパイプ3の内周面との間の隙間を埋めて水の進入を防ぐことができる。
さらに、図2に示すように、ワイヤハーネスWHにおいてシールドパイプ3から編組部4側へ突出した部分には、所定の長さ範囲に亘ってテープ巻き16がなされている。ワイヤハーネスWHの所定範囲がテープ巻き16されることで、この範囲は曲げが生じにくくなっており、編組部4側でワイヤハーネスWHが屈曲される場合には、テープ巻き16された部分から先で曲げがなされる。
次に、上記のように構成された本実施例の作用効果を説明すると、上記したシール部15は堰き止め部材14がシールドパイプ3内に所定深さまで引き込まれた後に、発泡ウレタン樹脂を注入して形成される。このようにすることで、注入されたウレタン樹脂がシールドパイプ3の奥方へ流れていってしまうことがなく、必要最小限の量でシール部15を形成することができる。また、注入作業に際してシールドパイプ3の端部を上向きの姿勢にしてウレタン樹脂剤を充填することができるため、注入作業を容易かつ円滑に行うことができる。
かくして、シールドパイプ3等が車両に装着された後において、コルゲートチューブ6が損傷して内部に水が進入することがあっても、水はシール部15によりシールドパイプ3とシール部15との間の経路、および各導電線間を通るいずれの経路も通過することができない。したがって、シール部15を越えてシールドパイプ3内に水が進入する事態は確実に回避される。
さらに、本実施例ではワイヤハーネスWHは堰き止め部材14によってシールドパイプ3のほぼ中心位置に配索されるようにしたため、シール部15もまたワイヤハーネスWHをシールドパイプ3のほぼ中止位置にしたまま形成される。したがって、ワイヤハーネスWHに対するシール状況を全周に亘ってほぼ均一にすることができる。
さらにまた、ワイヤハーネスWHにおいてシールドパイプ3から編組部4側へ突出した部分が所定の長さ範囲に亘ってテープ巻き16がなされるため、編組部4側においてワイヤハーネスWHが屈曲して配索がなされても、曲げの影響がシール部15に及びにくく、したがって、ワイヤハーネスWHの配索方向に拘らず、良好なシール性を保持することができる。
また、シール部15の機能からすれば、ワイヤハーネスWHを挿通可能なゴム栓にて代用することも想定される。しかし、本実施例のようにシール材(発泡ウレタン樹脂)の注入によって形成するようにした場合には、ゴム栓を用いる場合に比較して次のような利点がある。
(1)ゴム栓の場合には、予め挿通される導電線の本数に応じた数の電線挿通孔を貫通形成したものが用意されるため、電線数の変更に対応することができない。その点、本実施例では導電線Lの本数に無関係にシール部15が形成することができるため、電線数の変更に容易に対応することができる。
(2)ゴム栓の場合には、使用される導電線の径に応じて電線挿通孔の穴径が予め定められるため。導電線の径の変更に対応することができない。その点、本実施例のシール部15ではかかる導電線の径の変更に容易に対応することができる。
(3)ゴム栓の場合には、シールドパイプ3の穴径に適合する外径のものが用意されねばならない。その点、本実施例ではシールドパイプ3の穴径に無関係にシール部15を形成することができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、シールドパイプ3を金属製としたが、合成樹脂を主体として構成し、例えば金属箔よりなるシールド層を内部にインサートしてシールド機能を発揮するようにしたものであってもよい。
(2)上記実施例では、シール部15はシールドパイプ3の端部のみに形成したが、形成範囲は限定されるべきものではなく、シールドパイプ3内のほぼ全長に亘って設けるようにしてもよく、少なくともシールドパイプ3の端部を含むように形成されればよい。
(3)上記実施例では、シール部15を発泡ウレタン樹脂によって形成したが、これに代えてシリコン樹脂等の他のモールド材の使用が可能であり、要はシールドパイプ3内への注入によって形成されるものであれば、材質は問わない。
(4)上記実施例では、可撓性シールド部材を編組線によって形成したが、これに代えて例えばアルミニウム製のシート材を筒状に形成したものであってもよい。
(5)上記実施例では、グロメット7とコルゲートチューブ6とをテープ巻き13してグロメットとコルゲートチューブとの間のシール性をより確実なものとしたが、結束バンド17によって充分なシール性が確保されるのであれば、テープ巻き13は省略することができる。
3…シールドパイプ
4…編組部(可撓性シールド部材)
6…コルゲートチューブ(保護部材)
7…グロメット
14…堰き止め部材
15…シール部
16…テープ巻き
WH…ワイヤハーネス
L…導電線

Claims (4)

  1. 内部にワイヤハーネスを構成する導電線が挿通されるシールドパイプと、
    前記シールドパイプの端部に接続されて前記シールドパイプから外部に引き出された前記導電線が挿通される筒状の可撓性シールド部材と、
    前記可撓性シールド部材を長さ方向に沿って包囲する保護部材と、
    前記可撓性シールド部材を包囲しつつ前記シールドパイプと前記保護部材との間に架設されるシール用のグロメットと、
    前記シールドパイプの内部において前記シールドパイプの外部から注入されるシール材によって形成され、前記導電線を水密状態で挿通させるシール部とを備えていることを特徴とするワイヤハーネスのシール構造。
  2. 前記シールドパイプ内であって、前記シール部より奥部には前記シール材を堰止める堰き止め部材が配されていることを特徴とする請求項1記載のワイヤハーネスのシール構造。
  3. 前記堰き止め部材は、前記導電線をシールドパイプの略中心部に位置決め可能に形成されていることを特徴とする請求項2記載のワイヤハーネスのシール構造。
  4. 前記導電線のうち前記シールドパイプから導出された出口付近には、前記導電線を束ねるテープ巻き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のワイヤハーネスのシール構造。
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