JP2016156904A - 導電性樹脂組成物及びこれを用いた電子写真用部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂と導電性フィラーとポリエーテル共重合体を含む導電性樹脂組成物であって、該導電性樹脂組成物のGPC測定において、THF溶媒可溶分のうち、分子量2000以上の割合が10%以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【選択図】図1
Description
ポリエーテルエステルアミド(ペレスタットNC6321)は、ベルトの電気抵抗を低下させるには、ポリエーテルエステルオレフィンに比べて添加量を多くしなければならず、そのため必然的に、ベルト表面へのブリードアウトが増すだけでなく、分子量2000未満の低分子成分のブリードアウトはさほど変らなくても、分子量2000以上のオリゴマー成分が出てきてクリフを引き起こすこと、また、これを抑制すべく高分散させるためには過度のせん断力が必要となること、が体験されるに至った。
本発明とは確かにブリードによる感光体汚染の点では似ている点がある。しかし、溶融混練時のオリゴマーによるクリーニング不良という問題は解消できていない。
(2)「前記測定による分子量のMw/Mnは1.40以下であることを特徴とする前記(1)に記載の導電性樹脂組成物」。
(3)「前記ポリエーテル共重合体が1〜10wt%含有されており、導電性樹脂組成物の水接触角が80°以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の導電性樹脂組成物」。
(4)「前記GPC測定から得られるMwは800以下であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物」。
(5)「前記ポリエーテル共重合体のメインピークから算出される融点は前記熱可塑性樹脂の融点に対して+5℃以上20℃以下であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物」。
(6)「前記ポリエーテル共重合体はポリエーテルエステルアミドであって、該ポリエーテルエステルアミドのアミドはPA12であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物」。
(7)「前記ポリエーテル共重合体は、つぎのポリエーテル部位(a)、カルボニル基及びアミノ基残基を有する鎖状2価基部位(b)、及び、鎖状ジカルボン酸残基部位(c)を含有するものであることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
(上式中、R1は、置換又は無置換の2価の有機基、R2は置換又は無置換の2価の鎖状有機基、R3は置換又は無置換の2価の鎖状炭化水素基を表し、n1は20以上の自然数を表し、p、q及びrは、該共重合体のMwを10000〜50000の範囲とする1以上の自然数を表し、p:q:rはモル比で100:10〜100:1〜80である。)
(9)「前記電子写真用部材が、ベルト状であることを特徴とする前記(8)に記載の画像形成装置用部材」。
要するに、導電性を発現し、抵抗率の安定性を確保しつつ、低分子量成分の量を規定していることが特徴になっている。
図1は、分子量2000以上のオリゴマー成分による不具合の概念について説明する図である。
ポリエーテル共重合体を含む導電性樹脂組成物を成型する際に、低分子量成分が表層に配向しやすいため、表層に低分子量成分がリッチに存在する。
ここで低分子量成分(ブリード成分)とは、THF溶媒可溶分のうち分子量が2000未満の成分のことをいい、THF溶媒可溶分とは、導電性樹脂組成物を15mm×50mmの短冊に切り出し、THF溶媒5mlに3日間、23℃で浸漬させて溶出されたものをいう。
THF溶媒可溶分のうち、分子量が2000未満の低分子量成分(ブリード成分)はクリーニングの際のダム層を形成しクリーニング性向上に寄与するが、分子量が2000以上のオリゴマー成分はクリーニング不良の原因になるということがわかった。
(上式中、R1は、置換又は無置換の2価の有機基、R2は置換又は無置換の2価の鎖状有機基、R3は置換又は無置換の2価の鎖状炭化水素基を表し、n1は20以上の自然数を表し、p、q及びrは、該共重合体のMwを10000〜50000の範囲とする1以上の自然数を表し、p:q:rはモル比で100:10〜100:1〜80である。)
またn1が2以上の自然数の場合にはR1はこれらの複数からなるものであることができ、かつ好ましい。R2としては、R2は置換又は無置換の2価の鎖状炭化水素基が好ましく、C4〜C22の直鎖状2価炭化水素基、C4〜C22の分枝した2価炭化水素基、C14〜C32のビスフエノールAエチレンオキシド付加物のなどのビスフエノール系化合物のエチレンオキシド付加物2価の残基が特に好ましい。またn2が2以上の自然数の場合にはR2はこれらの複数からなるものであることができ、かつ好ましい。
R3としては、アジピン酸残基等のC4〜C12直鎖状又は分枝した2価の脂肪族炭化水素基、テレフタル酸残基等の置換又は無置換の2価の芳香族ジカルボン残基が好ましいものとして挙げられる。
また、本発明におけるポリエーテル共重合体は、導電性樹脂組成物中に1〜10wt%含有されており、該導電性樹脂組成物の水接触角が80°以上であることが好ましい。
さらに、本発明における分子量2000未満の前記低分子量部分のものは、GPC測定から得られるMwが800以下であることが好ましい。
(導電性樹脂組成物の作製、およびベルトの作製)
PVDF(kynar720アルケマ社)85.5部、ポリエーテルエステルオレフィン7部(ペレクトロンPVH三洋化成工業)、カーボンブラック7.5部(デンカブラック電気化学工業社製)を計量し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った。その後、二軸溶融混練機にて溶融混錬しペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットを今度は一軸混連機で回転数33ppmで押出し、シームレスベルト製作用のφ306スパイラル円筒ダイに流し込み、リップ間隔は0.5mmで引き取り速度1.3m/min、ダイス温度205℃で膜厚100μmのシームレスベルトを得た。得られた光沢度は60度光沢で40だった。
このベルトを15mm×50mmの短冊に切り出し、THF(テトラヒドロフラン)溶媒5mlに23℃で浸漬させた。
分子量は、通常のGPC(gel permeation chromatography)によって以下の条件で測定した。
・装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
・カラム:TSKgel SuperHZM−M x 3
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:0.35mL/分
なお試料は、上記THF可溶分溶出条件で溶出させたものを用いた。
以上の条件で測定した分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して質量平均分子量Mwを算出した。単分散ポリスチレン標準試料としては、5.8×100〜7.5×1000000の範囲のものを10点使用した。
結果を表1、図2に示す。
得られたシームレスベルトの表面抵抗率は500v印加で11.3乗、体積抵抗は100vで11乗であった。
このベルトを中間転写ベルトとして、複写機のMPC2503(リコー社製)に設置し、1ページ/ジョブで0.5%dutyの4色画像を1000枚印字した。使用した紙はHigh White(大塚商会)を使用した。
100枚毎に二次転写電流をOffにして50%dutyのチェックパターンを印字したときのクリーニングブレード通過後のベルト上をテープ転写してその濃度を計測して明らかにすり抜けているものを×とし、多少すり抜けは見られるものの、すり抜け画像が出ないものを○、すり抜けが見られないものを◎とした。
結果を表1に示す。
実施例1で得たシームレスベルトをバフで研磨して60度光沢を60になるまで研磨した。
研磨による膜減りは0.5μm(30点平均値)であった。
作成したベルトを、上記GPC測定し、かつ、上記クリーニング評価を行った。
結果を表1、図3に示す。
実施例1で得たシームレスベルトをバフで研磨して60度光沢を58になるまで研磨した。研磨による膜減りは0.45μm(30点平均値)であった。
作成したベルトを上記GPC測定し、かつ、上記クリーニング評価を行った。
結果を表1に示す。
実施例1で得たシームレスベルトをバフで研磨して60度光沢を60になるまで研磨した。
研磨の時間を長くして膜減りを1.0μm(30点平均値)とした。
作成したベルトを、上記GPC測定し、かつ、上記クリーニング評価を行った。
結果を表1に示す。
ポリエーテル共重合体が1-10wt%含有している導電性樹脂で水接触角を80°以上とするためには、さまざまな方法が考えられるが、例えば、導電性樹脂の中にシリコーンオイルを含有させる方法や樹脂改質剤を用いる方法がある。また、図1で説明したようにポリエーテル共重合体の偏在している層を研磨して除去する方法もある。
ここでは、シリコーンオイル(SH200CV-110CS東レダウコーニング社製)を実施例1のコンパウンドに対して0.1%添加した。このシリコーンオイル(SH200CV-110CS東レダウコーニング社製)はオリゴマー低減品で、ブリード等の影響は少なく、接触角は耐久しても効力が持続する。
結果を表1に示す。
PVDF(kynar720アルケマ社)85.5部、ポリエーテルエステルオレフィン7部(ペレクトロンPVH三洋化成工業)、カーボンブラック7.5部(デンカブラック電気化学工業社製)を計量し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った。その後、二軸溶融混練機にて溶融混錬しペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットを今度は一軸混連機回転数15ppmで押出し、シームレスベルト製作用のφ306スパイラル円筒ダイに流し込み、ダイスの温度を185℃でリップ間隔は0.5mmで引き取り速度0.77m/minで、膜厚100μmのシームレスベルトを得た。得られた光沢度は研磨して67だった。
得られたサンプルを上記と同様にGPC測定したところMw/Mn=1.48、Mwは778であった。
ポリエーテル共重合体として、実施例4のポリエーテルエステルオレフィン(ペレクトロンPVH)をに代えてポリエーテルエステルアミド(ペレクトロンAS)を使用し、あとは同様にして試作し、評価した。
結果を表1に示す。
ポリエーテル共重合体のメインピークから算出される融点を熱可塑性樹脂の融点に対して+5℃以上20℃以下あるものを使用すると分解が抑えることができ、低分子量成分の中でも高分子よりのものの生成を抑えることができる。また、融点が近いと流動性も良くなりポリエーテル共重合体はより偏在しやすくなってしまう。
実施例5は導電剤にIrgastatP18FCA(BASF社製)を用いた以外は同様の手順で実施例5のシームレスベルトを試作し、評価した。結果を表2に示す。
導電剤にペレクトロンAS(三洋化成工業社製)を用いた以外、実施例5と同様の手順で実施例6のシームレスベルトを試作し、評価した。
結果を表2に示す。
導電剤にペレクトロンPVH(三洋化成工業社製)を用いた以外、実施例5と同様の手順で実施例7のシームレスベルトを試作し、評価した。
結果を表2に示す。
、導電剤にpebaxMH1657(アルケマ社製)を用いた以外は実施例5と同様の手順で実施例8のシームレスベルトを試作し、評価した。
結果を表2に示す。
PVDF(kynar720アルケマ社)82.5部、ポリエーテルエステルオレフィン10部(ペレクトロンPVH三洋化成工業)、カーボンブラック7.5部(デンカブラック電気化学工業社製)を計量し、シリコーンオイル(SH200CV-110CS東レダウコーニング社製)を0.3%添加してヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った。その後、二軸溶融混練機にて溶融混錬しペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットを今度は一軸混連機で押出し、シームレスベルト製作用のφ306スパイラル円筒ダイに流し込み、リップ間隔は0.5mmで引き取り速度、温度等適宜調整しながら膜厚100μmのシームレスベルトを得た。得られた光沢度は60度光沢で20だった。
PVDF(kynar720アルケマ社)91.5部、ポリエーテルエステルオレフィン1部(ペレクトロンPVH三洋化成工業)、カーボンブラック7.5部(デンカブラック電気化学工業社製)を計量し、シリコーンオイル(SH200CV-110CS東レダウコーニング社製)を0.1%添加してヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った。その後、二軸溶融混練機にて溶融混錬しペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットを今度は一軸混連機で押出し、シームレスベルト製作用のφ306スパイラル円筒ダイに流し込み、リップ間隔は0.5mmで引き取り速度、温度等適宜調整しながら膜厚100μmのシームレスベルトを得た。得られた光沢度は60度光沢で55だった。
実施例1において、ダイスの温度を170℃、引き取り速度、0.45m/min、一軸混練機の回転数を8ppmと変更し、あとは同様にして実施例11のシームレスベルトを試作し、評価した。
ラウリルラクタム60部、下記の分岐鎖構造の部位を有するGlycerol propoxylate-block-ethoxylate average Mn 〜5,300(373885アルドリッチ)35部、テレフタル酸5.82部、酸化防止剤(イルガノックス1098:チバスペシャルティケミカルズ(株)製以下同様)0.5部を、ヘリカルリボン攪拌翼を供えた反応容器に仕込み、N2パージして250℃で60分間加熱攪拌した後、0.07kPa以下まで減圧した。
得られたポリエーテルエステルアミドは融点175℃であった。
得られたポリエーテルエステルアミドを実施例1のポリエーテル共重合体の代わりとして用いシームレスベルトを作成して評価した。クリーニング評価は研磨を0.5μmして○だった。エチレンオキサイド部をグリセロールにすることで枝状に分岐し、表面に偏在する濃度を分散させることができるためと考えられる。
また、エチレンオキサイドよりもプロピレングリコールもしくはそのブロック体を用いることで偏在を分散できかつ、表面自由エネルギーも下げ(水接触角を上げる)、付着力を下げることができる。ちなみに、上記シートで接触角は81.5°であった。
Claims (9)
- 少なくとも熱可塑性樹脂と導電性フィラーとポリエーテル共重合体を含む導電性樹脂組成物であって、該導電性樹脂組成物のGPC測定において、THF溶媒可溶分のうち、分子量2000以上の割合が10%以下であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
- 前記GPC測定による分子量のMw/Mnは1.40以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテル共重合体が1〜10wt%含有されており、導電性樹脂組成物の水接触角が80°以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
- 前記GPC測定から得られるMwは800以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテル共重合体のメインピークから算出される融点は前記熱可塑性樹脂の融点に対して+5℃以上20℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
- 前記ポリエーテル共重合体はポリエーテルエステルアミドであって、該ポリエーテルエステルアミドのアミドはPA12であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を用いた電子写真用部材。
- 前記電子写真用部材が、ベルト状であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真部材。
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