JP2016156412A - 断熱シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで製造することができるとともに、断熱性が高められた断熱シートを提供する。【解決手段】断熱シート100は、アルミ膜を有する複数のアルミシート110と、複数のアルミシート110の間に設けられた綿状の綿シート130と、を備える。複数のアルミシート110の少なくとも一方と綿シート130との間に多孔質材料シート120が設けられ、アルミシート110には、遠赤外線を通過させるとともに、水滴の浸入を阻止する複数の孔が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、断熱シートに関する。
建築物等の内部の温度変化を抑制する断熱シートが開発されている。例えば、特許文献1には、樹脂材料で形成された多数の気泡袋(気体緩衝材)をアルミ箔等のシートで挟みこんだ断熱シートが開示されている。
特開2005−47019号公報
特許文献1の断熱シートは、構造が複雑であるため、製造コストが高い。このため、低コストの断熱シートが望まれている。また、更に断熱性の高い断熱シートの開発が望まれている。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、低コストで製造することができるとともに、断熱性が高められた断熱シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る断熱シートは、
アルミ膜を有する複数のアルミシートと、該複数のアルミシートの間に設けられた綿状の綿シートと、を備える断熱シートであって、
前記複数のアルミシートの少なくとも一方と前記綿シートとの間に多孔質材料シートが設けられ、
前記アルミシートには、遠赤外線を通過させるとともに、水滴の浸入を阻止する複数の孔が形成されている、
ことを特徴とする。
前記アルミシートの孔は、直径が0.1mm以上1.0mm以下であってもよい。
前記多孔質材料シートの多孔質材料は、酸化アルミニウムまたは石灰であってもよい。
前記多孔質材料シートは、基材と、該基材の一方の面に固定された多孔質材料層と、で構成されてもよい。
前記基材は紙または樹脂フィルムで構成されてもよい。
前記多孔質材料シートは、紙やすり状の形状に形成されてもよい。
本発明によれば、低コストで製造することができるとともに、断熱性が高められた断熱シートを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る断熱シートを示す部分断面図である。 断熱シートに配置されたアルミシートを示す図である。(A)はアルミシートの表面を示す平面図、(B)はA−A’部分断面図、(C)はB−B’部分断面図である。 断熱シートに配置された多孔質材料シートを示す部分断面図である。 断熱シートの表面に形成された格子状の溝を示す図である。 第2の実施形態に係る断熱シートを示す部分断面図である。 多孔質材料シートおよび綿シートを示す部分断面図である。 アルミシートの変形例を示す部分断面図である。(A)は2枚のフィルムでアルミ膜を挟み込んだアルミシート、(B)はフィルムの片面にアルミ膜を形成したアルミシート、(C)はフィルムの両面にアルミ膜を形成したアルミシートを示す。 アルミシートおよび多孔質材料シートの変形例を示す部分断面図である。 断熱シートの表面に形成された波線状の溝を示す図である。 アルミシート、多孔質材料シート、綿シートを超音波溶着で貼り合わせる様子を示す工程図である。 溶着で形成される凹部を連ねることにより形成された断熱シートの溝を示す平面図である。 断熱シートの断熱性を検証するための実験装置の斜視図である。 断熱シートの断熱性を検証するための実験装置の断面図である。 図12および図13に実験装置を用いて断熱シートの断熱性を検証した結果を示す図である。 断熱シートの断熱性を検証した結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る断熱シート100は複数のシートを重ね合わせた多層構造のシートである。断熱シート100は、建物の壁材等の対象物の表面に貼り付けられ、遠赤外線や紫外線等を遮ることで対象物の温度を制御する。例えば、断熱シート100は、夏には太陽からの遠赤外線や紫外線等を遮り、冬には対象物から放出される遠赤外線等を遮り、対象物の温度の上昇、低下を抑制する。
断熱シート100は、図1に示すように、表面側から、アルミシート110、多孔質材料シート120、綿シート130、多孔質材料シート120、およびアルミシート110の順でシートが重ねられている。なお、以下、本明細書では断熱シート100の対象物側の面を裏面、その反対側を表面という。断熱シート100にはアルミシート110と多孔質材料シート120とが綿シート130の表面側と裏面側とにそれぞれ存在するが、表面側と裏面側とではシートの積み重ねが逆であるにすぎない。そのため、以下、綿シート130の表面側の構成を説明し、裏面側の説明は省略する。
アルミシート110は、太陽からの遠赤外線や紫外線等が対象物に吸収されたり対象物の遠赤外線等が外部へ放出されたりすることを抑制するシートである。アルミシート110は、図2(B)(C)に示すように、表面側から、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム112、アルミ膜111、PETフィルム112、および不織布113の順で重ねられている。表面側のPETフィルム112はアルミ膜111を保護する。アルミ膜111は表面側のPETフィルム112を通過した遠赤外線や紫外線等を反射してこれらの光線の通過を抑制する。裏面側のPETフィルム112は表面側にアルミが蒸着されアルミ膜111と一体化されている。不織布113は裏面側のPETフィルム112に貼り付けられ、このPETフィルム112を支持する。
アルミシート110には、図2(A)に示すように、アルミシート110を貫通する平面円形状の穴が等間隔(間隔d)で複数設けられている。アルミシート110の穴は、遠赤外線の波長とほぼ同じ大きさの直径rに形成されている。この直径rは表面張力により水滴が通過できない大きさである。アルミシート110はこの穴を介して遠赤外線の一部を通過させるとともに、雨や露等の水滴の内部への侵入を抑制する。一方、アルミシート110の穴を水蒸気は通過することができる。そのため、仮に雨等の水分が断熱シート100内へ入った場合でも、アルミシート110はその水分をアルミシート110の穴を介して排出することができる。
アルミシート110の穴の直径rは、具体的には1mmである。この直径1mmの穴はレーザー加工で形成することができるほぼ最小の穴である。そのため、アルミシート110の穴はレーザー加工により容易に形成することができる。これにより、断熱シート100の低コスト化が図られている。
なお、アルミシート110の面積(穴の面積を含む。)に対する穴の面積の割合(以下、「開口率」という。)は3%である。ここで、開口率Rは、穴1個あたりの面積をSh、アルミシート110単位面積あたりの穴の数をn、単位面積をSaとして、例えば下記(式1)により算出される数値である。
R=(Sh×n×100)÷Sa ・・・・・・・・・・・(式1)
多孔質材料シート120は二酸化炭素や水分等を吸収して温度調整をするためのシートである。多孔質材料シート120は多孔質材料を含み、この多孔質材料が二酸化炭素や水分等を吸収する。多孔質材料シート120には、多孔質の砥粒(研磨材)を含む研磨紙(紙やすり)、研磨布等が使用可能である。本実施形態では、多孔質材料シート120として酸化アルミニウム(Al2O3)の研磨紙が使用されている。そのため、多孔質材料シート120は紙やすり状の形状である。多孔質材料シート120は、図3に示すように、基材122と、基材上に積層された多孔質材料層121とで構成されている。
基材122は多孔質材料層121を固定するための固定材である。基材122は厚紙で構成されている。基材122にはニカワ等の接着材で砥粒である多孔質材料が接着される。これににより多孔質材料層121が形成される。
多孔質材料層121は、粉末状の多孔質材料で構成される層であり、上述したように、本実施形態では多孔質材料は酸化アルミニウムの砥粒である。この砥粒は0.4mmの粒径であり、紙やすりの番手でいうと60に相当している。
綿シート130は、外気熱等で対象物が熱せられるのを防止するためのシートである。綿シート130は、PET(Polyethylene Terephthalate)繊維を綿状に結合或いは絡み合わせた不織布(フェルト)で構成されている。その密度は300g/mである。綿シート130は、その性質上、内部に大量の空気を含んでいる。綿シート130内部の空気は対象物からの熱の移動を抑制する。また、アルミシート110に形成された孔を通過して熱を移動させ温度調整をする。換言すると、綿シート130は熱交換器として機能する。
これらのシートは、アルミシート110、多孔質材料シート120、綿シート130、多孔質材料シート120、アルミシート110の順で重ねられ、化学繊維の糸で縫い合わされる。そのため、断熱シート100の表面および裏面には、図1に示すように、縫目150に沿って溝が形成される。なお、縫目150は、図4に示すように、幾何模様である。ここで、幾何模様とは、三角形、方形、菱形、多角形、円形などを素材とする模様のことである。縫目150を幾何模様にすることにより、縦方向、横方向のいずれの方向からの張力にも強くすることができる。
以上のように、第1の実施形態に係る断熱シート100は、その表面および裏面がアルミシート110で覆われている。そのため、断熱シート100の表面および裏面側から伝わる遠赤外線や紫外線等が遮られる。第1の実施形態によれば、対象物の温度変化を抑制することができる。
断熱シート100は多孔質材料シート120を有している。多孔質材料シート120が二酸化炭素等を吸収して温度調整をするため、断熱シート100は対象物の急激な温度変化を防止することができる。
また、断熱シート100は綿シート130を有している。綿シート130は断熱性が高いので、アルミシート110および多孔質材料シート120を通過した熱は、綿シート130によって阻まれる。これにより、断熱シート100は対象物と外部との熱伝導を大幅に抑制することができる。また、綿シート130は吸音性があるので、熱に加えて音も遮断することができる。さらに、対象物と断熱シート100との間には、縫目150の溝に沿って空気層が形成される。そのため、この空気層によって熱の移動が阻まれ、熱伝導をさらに抑制することができる。
断熱シート100は、アルミシート110、多孔質材料シート120および綿シート130により多層化されている。そのため、熱抵抗が増加し、結露を防止することができる。
上述したアルミシート110には遠赤外線の波長とほぼ同じ大きさの直径の穴が形成されている。アルミシート110の穴は遠赤外線の一部を通過させるとともに、綿シート130内部の空気を通過させる。これにより、断熱シート100は温度調整をすることができる。後述する実施例で示すように、断熱シート100はアルミシート110に穴が形成されているにもかかわらず、アルミシート110に穴が開いていない断熱シート100よりも高い断熱性を発揮する。また、アルミシート110の穴はサブミリ波等の電磁波を通過させるので、そのような電波の電波障害を防止することができる。
また、アルミシート110の穴は表面張力により水滴が通過できない大きさの直径を有している。そのため、断熱シート100が結露したとしても、水滴の浸入が防止される。その結果、断熱シート100内の綿シート130の劣化が抑制される。アルミシート110の穴は水蒸気を通過させることができるので、断熱シート100内に水分がはいったとしても、断熱シート100はアルミシート110の穴を介してその水分を外部へ放出することができる。その結果、断熱シート100内部に水分が長期間滞留することが困難になり、断熱シート100の劣化が防止される。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る断熱シート100は、多孔質材料シート120の多孔質材料として消石灰が用いられたシートである。断熱シート100は、図5に示すように、表面側から、アルミシート110、多孔質材料シート120、綿シート130、およびアルミシート110の順でシートが重ねられている。アルミシート110は第1の実施形態と同様の構成である。以下、第1の実施形態と異なる多孔質材料シート120、綿シート130について説明する。
多孔質材料シート120は、図6に示すように、多孔質材料層121のみで構成されている。多孔質材料層121の多孔質材料は、粉末状の消石灰(Ca(OH)2:水酸化カルシウム)である。多孔質材料層121は綿シート130上に積層され、その表面をアルミシート110が覆うことにより綿シート130に固定されている。
綿シート130は、PET繊維の不織布で構成され、その密度は250g/mである。綿シート130が内部に大量の空気を含み、その内部の空気により対象物からの熱の移動を抑制することは第1の実施形態と同様である。綿シート130の裏面側には、多孔質材料シート120を介さず直接アルミシート110が重ねられている。
以上のように、第2の実施形態に係る断熱シート100は、多孔質材料が消石灰である多孔質材料シート120を有している。第2の実施形態によれば、多孔質材料シート120の消石灰が二酸化炭素等を吸収して温度調整をする。そのため、断熱シート100は急激な温度変化を防止することができる。
二酸化炭素等を吸収した消石灰(Ca(OH)2)は炭酸カルシウム(CaCO3)に変化する(式2参照)。この炭酸カルシウムは生石灰(CaO:酸化カルシウム)と二酸化炭素(CO2)に分解する(式3参照)。分解で生じた二酸化炭素はアルミシート110の穴を介して外部へ放出される。また、分解で生じた生石灰はアルミシート110の穴を介して侵入した水蒸気と反応して消石灰に戻る(式4参照)。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O・・・・・・(式2)
CaCO3→CaO+CO2・・・・・・・・・・・・・・(式3)
CaO+H2O→Ca(OH)2・・・・・・・・・・・・(式4)
すなわち、消石灰は二酸化炭素を吸収した後、二酸化炭素を放出して分解するとともに、分解後、水と反応して消石灰に戻る。そのため、多孔質材料シート120は半永久的に温度調整をすることができ、その結果、断熱シート100は急激な温度変化を防止する効果を半永久的に持続させることができる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、断熱シート100がアルミシート110を有するので、対象物の温度変化を抑制することができる。また、断熱シート100が綿シート130を有するので、対象物と外部との熱伝導を大幅に抑制することができる。またアルミシート110に穴が設けられているので、断熱シート100は綿シート130内部の空気を通過させて温度調整をすることができるとともに、高い断熱性を発揮する。アルミシート110の穴は遠赤外線の波長とほぼ同じ大きさの直径に形成されているので、水滴の浸入が防止される。アルミシート110の穴を介して水分を外部へ放出することができるので、断熱シート100の劣化が防止される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば、上記の実施形態では、アルミシート110の穴の直径rが1mmであったが、穴の直径rはこの大きさに限られない。本発明では、アルミシート110の穴は遠赤外線を通過させるとともに,水滴の浸入を阻止する大きさであればよい。例えば、アルミシート110の穴の直径rは0.1mm以上1.0mm以下であってもよい。このような直径rであれば、サブミリ波等の電波を通過させることができるので、電波障害の発生を防止することができる。
上記の実施形態ではアルミシート110の穴が平面円形状であったが、穴は任意の形状であってもよい。例えば、穴は平面視で三角形、四角形、六角形等の多角形であってもよいし、楕円形等の形状であってもよい。穴が平面円形状以外の形状である場合、平面視で穴の最大幅が遠赤外線を通過させるとともに,水滴の浸入を阻止する幅であればよい。例えば、その最大幅が1mmであるとよい。これにより遠赤外線の一部を通過させることが可能になる。
アルミシート110に形成する穴の配置は等間隔に限られない。穴と穴の間隔はランダムに形成されていてもよい。また、アルミシート110の穴が開口率3%に限られない。例えば、開口率が2%以上4%以下であってもよい。
上記の実施形態ではアルミシート110が4枚のシートで構成されていたが、本発明はこれに限定されない。本発明では、例えば、アルミシート110がアルミ膜111を少なくとも有していればよい。例えば、図7(A)に示すように、アルミシート110は不織布113を有していなくてもよい。また、図7(B)に示すように、PETフィルム112は1枚であってもよい。この場合、PETフィルム112の片面にアルミ膜111が形成されてもよいし、図7(C)に示すように、PETフィルム112の両面にアルミ膜111が形成されてもよい。アルミ膜111は蒸着されたものではなく、圧延により製造されたものであってもよい。
上記の実施形態では、多孔質材料シート120の多孔質材料層121が酸化アルミニウム、または消石灰(水酸化カルシウム)で形成されていたが、本発明はこれに限定されない。本発明では、多孔質材料シート120が二酸化炭素や水分等を吸収する多孔質を有していればよい。多孔質材料層121は、例えば、多孔質粉末の石灰石(例えば、チョーク)、炭酸カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)等で構成されてもよい。また、紙やすりの砥粒に用いられる炭化ケイ素の粉末で構成されてもよい。
上記の実施形態では、多孔質材料の粒径が0.4mm(紙やすりの番手で60)であったが、本発明はこれに限定されない。本発明では多孔質材料シート120が多孔質を有する材料を含んでいればよい。そのため、本発明では多孔質材料の粒径を問わない。多孔質材料の粒径は、例えば、0.3mm、0.8mm(多孔質材料シート120に紙やすりを使用する場合、紙やすりの番手でいう30、90)であってもよい。また、多孔質材料の粒径は必ずしも均一でなくてもよい。
上記の実施形態では多孔質材料シート120の基材122が厚紙で構成されていたが、基材122は厚紙に限られない。本発明では多孔質材料シート120の基材122は多孔質材料層121を固定する固定材として機能するものであればよい。基材122は、例えば、紙、布、または樹脂シート等で構成されるとよい。紙の場合、上記の実施形態で説明した厚紙のほか、新聞紙、油紙、和紙またはクラフト紙であってもよい。布の場合、綿布等であってもよい。樹脂シートの場合、ポリエステルシート、ポリエチレンシート等であってもよい。
上記の実施形態で説明したように、本発明では、多孔質材料シート120が必ずしも基材122を有さなくてもよい。また、多孔質材料シート120が基材122を有さない場合、多孔質材料層121が断熱シート100を構成するシートに固定されていればよい。例えば、図8に示すように、多孔質材料層121がアルミシート110の裏面(または表面)に固定されてもよい。例えば、アルミシート110(または綿シート130)に接着剤、固定剤が塗布され、その接着剤、固定剤に多孔質材料が固定されることで、多孔質材料層121がアルミシート110に固定されてもよい。
上記の実施形態では、綿シート130がPET繊維の不織布で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。本発明では、綿シート130が繊維を結合または絡み合わせて形成され、綿シート130が内部に空気を含むシートであればよい。例えば、綿シート130は、ポリエステル繊維が綿状に結合または絡み合わせた不織布であってもよい。また、綿シート130は、特定の繊維と他の繊維とをまぜて紡績した混紡糸で形成された混紡フェルトであってもよい。また、本発明では綿シート130の密度も問わない。綿シート130は複数の不織布等で構成されもよい。この場合でも対象物と外部との熱伝導を大幅に抑制することができる。
上記の実施形態では、断熱シート100がアルミシート110、多孔質材料シート120、および綿シート130で構成されていたが、本発明ではこれらのシートに他のシートが付加されてもよい。例えば、断熱シート100の表面および裏面に撥水機能を有する防水シート(アクリルシートや表面がフッ素化合物で覆われたシート等)が設けられてもよい。この場合、断熱シート100に汚れや着色が生じにくく、その結果、外気熱の吸収が防止され、断熱性能が長期間維持される。また、水洗が容易となるため、水洗によって断熱シート100の反射機構を容易に再生することができる。
上記の実施形態では、断熱シート100の縫い合わせが幾何模様であったが、本発明はこれに限定されない。断熱シート100の縫い合わせは任意の形状にされてもよい。例えば、図9に示すように波線状に形成してもよい。この場合、断熱シート100が結露した場合に、波線に沿って水滴が落ち易くなり、気化熱による断熱シート100の冷却を抑制することができる。
また、断熱シート100の縫い合わせに代えて、高周波溶着や超音波溶着により断熱シート100を構成するシートが貼り合わせられてもよい。ここで高周波溶着とは、高周波エネルギーの電界作用によって対象物に原子や分子レベルでの電位的な運動を起こさせることで対象物自身を内部から発熱させて溶着する方法をいう。超音波溶着とは、超音波振動によって対象物を熱で溶かして接着する方法をいう。例えば、図10に示すように、断熱シート100の一部をシート両面から加圧し、その加圧部分に電磁波や超音波振動を与えることによって、加圧部分を熱で溶かして接着してもよい。この場合、多孔質材料シート120の基材122は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂であるとよい。また、アルミシート110、および綿シート130が熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。シートが熱で溶けやすくなるので、高周波溶着や超音波溶着でシートを貼り合わせたときにシートの接着強度をさらに高めることができる。また、溶着は、電磁波や超音波ではなくシートに直接熱を加えることによってされてもよい。
図11に示すように、溶着で形成される凹部160を複数連ねてもよい。これにより、断熱シート100が結露した場合の流路を形成することができる。この場合、縫い合わせの場合と異なり、針穴が形成されない。そのため、断熱シート100の防水性をさらに高めることができる。
また、断熱シート100の縫い合わせや溶着に代えて、断熱シート100を構成するシートが接着剤によって貼り合わせられてもよい。また、各シートにフック状に起毛された繊維とループ状に起毛された繊維とを設けることにより、いわゆる面ファスナーのように貼り合わせられてもよい。断熱シート100は鋲やステープラ等の固定手段によって対象物に固定されるが、この固定手段によって断熱シート100を構成するシートが貼り合わせられてもよい。
図12および図13に示す実験装置300を使用して断熱シート100の断熱性を検証した。
まず、アルミシート110に穴が開いている断熱シート100(サンプルA)と、アルミシート110に穴が開いていない断熱シート100(サンプルB)とを作製した(表1参照)。サンプルAおよびBのシート構成は第1の実施形態と同じ構成である。サンプルAおよびBの多孔質材料シート120には砥粒が酸化アルミニウムである紙やすりを用いた(番手:60)。また、サンプルAの穴の大きさは直径1mm、開口率は3%とした。また、比較例として、樹脂製の気体緩衝材をアルミシートで挟みこんだ断熱シート(商品名:リフレクティックス(登録商標)、サンプルC)を用意した。
Figure 2016156412
実験装置300には、図12および図13に示すように、一方が開口した断熱性の円筒310、320と、円筒310内に設置され熱源となる白熱電球330と、白熱電球330の温度を測定する温度計341と、断熱シートの表裏の表面温度を測定する温度計342、343とで構成される装置を用いた。そして、図12に示すように、各サンプルを実験装置300の円筒310と円筒320の開口部分に挟み込んだ。その後、白熱電球330に電源を投入し、円筒310内の熱源の熱が円筒320内に伝わるのかを測定した。
熱源温度(温度計341で測定される温度)が約50℃の状態から、その温度変化がほぼ平衡状態になるまでの間、各サンプルの表面と裏面の温度差(温度計342と温度計343で測定される温度の差)を測定した。また、測定結果から各サンプルの表面温度に対する裏面温度の比(温度計342に対する温度計343の温度比)を算出した。その結果を図14に示す。
図14に示すように、アルミシート110に穴が開いている断熱シート100(サンプルA)は、樹脂製の気体緩衝材をアルミシートで挟みこんだ断熱シート(サンプルC)よりも断熱性が高いことが分かった。また、アルミシート110に穴が開いている断熱シート100(サンプルA)は、アルミシート110に穴が開いてない断熱シート100(サンプルB)よりも高い断熱性を示すことが分かった。これは、アルミシート110に設けられた穴から遠赤外線の一部が通過し、内部の乾燥状態が維持されるためと考えられる。
次に、多孔質材料シート120の多孔質材料を消石灰(水酸化カルシウム)または石灰(チョーク粉末)とした断熱シート100(サンプルD〜F)を作製した。サンプルDのシート構成は第2の実施形態と同じ構成にした。サンプルEのシート構成は第2の実施形態と上下方向に逆の構成とし、多孔質材料シート120を綿シート130の裏面側に設けた。サンプルFのシート構成は第2の実施形態の構成から綿シートを省略した構成とした。サンプルDおよびEには多孔質材料として消石灰を、サンプルFには多孔質材料として石灰を用いた。サンプルDおよびEには穴が開いているアルミシートを用い、サンプルFには穴が開いているアルミシート110を用いた。なお、サンプルD、Eには、250、300g/mの密度の綿シート130を用いた。
Figure 2016156412
そして、実験装置300を用いてサンプルD〜Fの断熱性を検証した。その結果を図15に示す。
図15に示すように、多孔質材料シート120を綿シート130の表面側のみ、または裏面側のみに設け、その多孔質材料シート120の多孔質材料に消石灰を用いた断熱シート100(サンプルD、E)は、樹脂製の気体緩衝材をアルミシートで挟みこんだ断熱シート(サンプルC)よりも断熱性が高いことが分かった。また、多孔質材料シート120は綿シート130の一方の面に設ければ十分な断熱性を示すことが分かった。
一方、多孔質材料シート120の多孔質材料を石灰とした断熱シート100(サンプルF)は、樹脂製の気体緩衝材をアルミシートで挟みこんだ断熱シート(サンプルC)とほぼ同等の断熱性であることが分かった。これは、穴が開いていないアルミシートであるため、遠赤外線が完全に遮断されたためと考えられる。
以上の検証結果から、断熱シート100は、穴が開いている2つのアルミシート110の間に、多孔質材料シート120と綿シート130とが挟まれている構成であれば、高い断熱性を示すことが分かった。綿シート130の両面それぞれに多孔質材料シート120を設ける構成がより好ましいことが分かった。また、酸化アルミニウムと同様の、多孔質を示す材料を用いると断熱シート100が高い断熱性を示すことが分かった。
100 断熱シート
110 アルミシート
120 多孔質材料シート
130 綿シート
111 アルミ膜
112 PETフィルム
113 不織布
121 多孔質材料層
122 基材
150 縫目
160 凹部
300 実験装置
310、320 円筒
330 白熱電球
341〜343 温度計
d 間隔
r 直径

Claims (6)

  1. アルミ膜を有する複数のアルミシートと、該複数のアルミシートの間に設けられた綿状の綿シートと、を備える断熱シートであって、
    前記複数のアルミシートの少なくとも一方と前記綿シートとの間に多孔質材料シートが設けられ、
    前記アルミシートには、遠赤外線を通過させるとともに、水滴の浸入を阻止する複数の孔が形成されている、
    ことを特徴とする断熱シート。
  2. 前記アルミシートの孔は、直径が0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の断熱シート。
  3. 前記多孔質材料シートの多孔質材料は、酸化アルミニウムまたは石灰であることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱シート。
  4. 前記多孔質材料シートは、基材と、該基材の一方の面に固定された多孔質材料層と、で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の断熱シート。
  5. 前記基材は紙または樹脂フィルムで構成されることを特徴とする請求項4に記載の断熱シート。
  6. 前記多孔質材料シートは、紙やすり状の形状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の断熱シート。
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