JP2016156323A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタータ始動の頻度を低減すると共に、着火始動によって確実に機関を再始動させる。【解決手段】自動停止制御により機関が停止される直前の期間における機関回転速度の極値から、膨張行程にある機関の気筒がクランクシャフトの逆転により上死点に最も近付いたときのクランク角度であるピーククランク角度を予測する。このピーククランク角度に基づいて、着火始動が可能な状態が後に生ずるか否かを判定する。着火始動が可能な状態が後に生ずると判定されており且つ再始動要求が発生している場合は、スタータ始動ではなく着火始動によって再始動を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばアイドルストップ機能及びコースティング機能等を実現するために、内燃機関を自動的に停止させ且つ自動的に再始動させる、内燃機関の制御装置に関する。
従来から、燃費の改善及び排ガス量の削減等を目的として、車両の停止時及び/又は減速時等に自動的に内燃機関(以下、単に「機関」と称される場合がある。)の運転を停止させる(即ち、機関の回転を停止させる)技術が知られている。このような技術が適用された機関は、自動停止機能付き機関とも称呼される。一般に、このような自動停止機能によって機関の回転を停止する場合、機関への燃料の供給が停止される(図1の時刻t0を参照。)。ところが、機関は、燃料供給の停止後に直ちに回転を停止せず、慣性によって暫くの間は回転を続ける。
更に、機関回転速度が略ゼロ(0)に近づくと、図1の時刻t1以降に示したように、内燃機関が逆転と正転とを繰り返す現象(揺り返し現象)が発生する。これは、圧縮行程にある気筒の圧縮反力のためにその気筒が圧縮上死点を超えることができずに機関が逆転し、次に、その時点の直前において膨張行程にあった気筒のピストンが圧縮上死点に向かう際に同様に圧縮反力が生ずるからである。その後、図1の時刻t2に示したように機関の回転は完全に停止する。以下、自動停止機能によって機関の運転を停止しようとしている期間であって機関の回転が完全に停止するまでの期間(図1における時刻t0から時刻t2までの期間)を「空転期間」と称する場合がある。更に、空転期間において機関の回転方向が最初に正転から逆転へと反転した時点(即ち、初回反転時点であり、図1における時刻t1を参照。)から機関が逆転と正転とを繰り返した後に完全に停止する時点(即ち、完全停止時点であり、図1の時刻t2を参照。)までの期間を「揺り返し期間」と称する場合がある。
一方、空転期間中に運転者がアクセルペダルを踏み込んだ場合等において再始動要求が発生する。この再始動要求は任意のタイミングで発生する。再始動要求が発生すると、一般に、機関はスタータによるクランキングにより再始動させられる。以降、スタータによるクランキングによる期間の再始動を「スタータ始動」と称する場合がある。
スタータ始動におけるクランキングに使用されるスタータモータは大電流により大きなトルクを発生するため、電気的にも機械的にも負荷が高い部品であり、耐用回数にも限度がある。また、スタータモータは比較的大型で高価な部品であり、且つ、交換も容易ではない。従って、スタータモータの使用頻度をできるだけ低減して、その耐用期間を延ばすことが望ましい。
しかしながら、昨今の地球環境保護意識の高まりを受けて、上述した自動停止機能の活用がより積極的に行われるようになってきており、自動停止機能による機関の自動停止及び再始動が実行される頻度も益々高まっている。その結果、スタータモータの使用頻度も高まっており、より高い耐久性がスタータモータに求められている。ところが、スタータモータの耐久性を高めることは、スタータの更なる大型化及び高価格化を招く要因となる。
そこで、当該技術分野においては、上述した着火始動が可能である場合には着火始動によって機関を再始動させることにより、スタータ始動が実行される頻度を低減し、スタータモータの消耗を低減する技術が提案されている。着火始動とは、機関回転速度が低下して圧縮行程にある気筒が次の上死点を越えることができない停止直前状態において膨張行程にある別の気筒において、燃料を噴射し且つ当該噴射された燃料に点火して燃焼させることにより機関を再始動させる始動方法である。
更に、着火始動において、膨張行程にある気筒のピストンが上死点から離れていると、当該気筒のコンプレッションが不十分であり、その時点において燃料の噴射及び点火を実行しても、当該機関を再始動させるのに十分なイナーシャを着火後に得られない場合がある。そこで、着火始動において、機関の回転方向が逆転方向に反転するまで待機し、当該反転後に当該気筒における燃料の噴射及び点火を実行することにより、より確実に機関を再始動させる技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2014−077399号公報 特開2005−163612号公報
着火始動によって機関を再始動させる場合、上述したように、圧縮行程にある気筒が次の上死点を越えられない停止直前状態において膨張行程にある別の気筒に対して燃料を噴射する。その後、クランクシャフトの回転方向の逆転が検出された場合、当該「別の気筒」においてはクランクシャフトの逆転による圧縮(コンプレッション)が生じている。そこで、当該「別の気筒」において点火を行い、燃料を燃焼させることにより、機関を再始動させる。
上記のような従来技術によれば、クランクシャフトの回転方向の逆転が検出されるまでは着火始動が実行されない。従って、たとえクランクシャフトの回転方向の逆転が後に生ずることが予想される状態にあっても、スタータ始動を許可すべき状態が先に発生すればスタータ始動が実行されてしまう。
即ち、上記のような従来技術によっては、スタータ始動の実行頻度を十分に低減することは困難であり、スタータモータの消耗を十分に低減することは困難である。つまり、着火始動の実行によりスタータ始動の実行頻度を十分に低減するためには、できるだけ早く着火始動による機関の再始動の可否を判定することが必要である。
加えて、着火始動によって機関を確実に再始動させるためには、クランクシャフトの逆転によって当該気筒におけるコンプレッションが十分に高まり、着火後の機関のイナーシャが十分に高まることが重要である。このためには、クランクシャフトの逆転により当該気筒が上死点に最も近付いたときのクランク角度ができるだけ上死点に近いことが望ましい。以降、クランクシャフトの逆転により当該気筒が上死点に最も近付いたときのクランク角度は「ピーククランク角度」と称される場合がある。
ところが、上記のような従来技術に係る着火始動においては、単にクランクシャフトの逆転を点火要因としている。そのため、燃料の着火時のコンプレッションが不明であり、着火後の機関のイナーシャが再始動に十分な程度に高まるか否かも不明である。つまり、上記のような従来技術に係る着火始動によっては、機関を確実に再始動させることが困難である場合がある。
以上のように、着火始動の実行によりスタータ始動の実行頻度を十分に低減し且つ機関を確実に再始動させるためには、上記「ピーククランク角度」を事前に予測して、クランクシャフトの逆転により当該気筒において十分なコンプレッションが達成されるか否かを事前に判定することが望ましい。そして、着火始動によって機関を確実に再始動させることが可能な(ピーククランク角度が上死点に十分に近い)状態が後に生ずることが予測される場合は、たとえスタータ始動を許可すべき状態が発生していてもスタータ始動を行わずに、着火始動を行うことが望ましい。
以上のように、当該技術分野においては、自動停止機能による機関の停止直前のクランクシャフトの回転の揺り返しが生じている期間(揺り返し期間)におけるピーククランク角度を簡便且つ高精度に予測し、この予測結果に従って着火始動を優先的に実行することができる技術に対する要求が存在する。
本発明は、上記のような課題に対処すべく為されたものである。即ち、本発明は、ピーククランク角度を簡便且つ高精度に予測し、この予測結果に従って着火始動を優先的に実行することにより、スタータ始動の頻度を低減することを1つの目的とする。そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、揺り返し期間におけるピーククランク角度を簡便且つ高精度に予測することができる手法を見出した。
具体的には、本発明者は、揺り返し期間におけるピーククランク角度を、同期間における機関回転速度の極値に基づいて算出することができることを見出したのである。図1に示したように、自動停止機能による停止処理(例えば、フューエル・カット(FC)等)が開始された後、機関回転速度は徐々に低下し、機関が停止する直前の期間において一定の範囲内に収束してゆき、やがて0(ゼロ)になる。この機関が停止する直前の期間においては、クランクシャフトの回転方向が正転方向と逆転方向との間で反転を繰り返しながら(揺り返し現象)、機関回転速度の大きさが徐々に小さくなる(減衰する)。図1の黒丸(P1、P2及びP3)によって示したように、上記揺り返し現象が生ずる期間(揺り返し期間)において、機関回転速度の極値(ピーク回転速度)が出現する。
本発明者が得た知見によれば、上記揺り返し期間において、膨張行程にある気筒のピーククランク角度(揺り返し期間におけるクランクシャフトの逆転により上死点に最も近付いたときのクランク角度)とピーク回転速度(機関回転速度の極値)とは、略線形的な関係にある。例えば、図2は、揺り返し期間における逆転方向の機関回転速度の極値の大きさ(逆転極値)と当該逆転極値が検出された後に最初に検出されるピーククランク角度との対応関係を表す模式的なグラフである。図2に示したように、逆転方向のピーク回転速度の大きさ(逆転極値)の増大に伴い、ピーククランク角度は略線形的に減少している。
従って、上記のようなピーク回転速度の大きさとピーククランク角度との対応関係を予め求めておけば、当該対応関係に基づき、揺り返し期間における機関回転速度の極値からピーククランク角度を予測(算出)することができる。
一方、着火始動によって内燃機関を確実に再始動させるためには、前述したように、膨張行程にある気筒におけるコンプレッションがクランクシャフトの逆転によって十分に高まり、着火後の内燃機関のイナーシャが十分に高まることが重要である。このためには、ピーククランク角度と当該気筒の上死点との間のクランク角度差が所定の閾値(着火始動閾値)未満である(ピーククランク角度が上死点に近い)ことが望ましい。従って、上記のようにして算出されるピーククランク角度と当該気筒の上死点との間のクランク角度差が着火始動閾値未満であると判定される場合、当該気筒において着火始動を実行すれば、当該機関を確実に再始動させることができる筈である。
従って、上記のような場合は、たとえスタータ始動を許可すべき状態が発生していてもスタータ始動を実行せずに、着火始動を優先的に実行することにより、スタータ始動の実行頻度を十分に低減して、スタータの消耗を十分に低減することができる。加えて、上記のようにピーククランク角度が上死点に十分に近い状態(即ち、十分なコンプレッションが達成された状態)において着火始動を実行することができるので、着火始動の実行により機関を確実に再始動させることができる。
上記に鑑みて、本発明に係る内燃機関の制御装置(以降、「本発明装置」と称される場合がある。)は、燃焼室に燃料を供給する燃料噴射手段と、前記燃焼室に供給された燃料に点火する点火手段と、クランクシャフトと、前記クランクシャフトの回転速度である機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、前記クランクシャフトを回転させるスタータと、を備える内燃機関に適用される。
本発明装置は制御部を備える。制御部は、所定の自動停止条件が成立した場合に前記燃料噴射手段による燃料の供給を停止して前記クランクシャフトの回転を停止させる自動停止制御を実行する。更に、制御部は、前記自動停止制御による燃料の供給の停止後に前記内燃機関を始動させるための始動要求が発生した場合に前記内燃機関を再始動させる再始動制御を実行する。
加えて、前記制御部は、以下の(1)〜(5)の処理を実行するように構成される。
(1)前記自動停止制御の実行中に前記クランクシャフトの回転方向が正転方向から逆転方向へと最初に反転した初回反転時点以降において前記検出される機関回転速度の極値である着目ピーク値を検出する。
(2)前記着目ピーク値が検出された時点以降において、予め求められ前記制御部の記憶部に記憶されている「着目ピーク値とピーククランク角度との対応関係」に前記検出された着目ピーク値を適用することによって、ピーククランク角度を推定する。ピーククランク角度とは、前述したように、膨張行程気筒のピストンが上死点に最も近付いたときのクランク角度である。
(3)前記推定されたピーククランク角度と前記気筒の上死点との間のクランク角度差が所定の着火始動閾値未満であるか否かを判定する。
(4)前記始動要求が発生しており且つ前記クランク角度幅が前記着火始動閾値未満であると判定されている場合には、着火始動によって前記内燃機関を再始動させる。着火始動とは、前述したように、前記気筒の燃焼室に前記燃料噴射手段によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に前記点火手段によって点火することによって前記内燃機関を再始動させる始動方法である。
(5)前記始動要求が発生しており且つ前記クランク角度幅が前記着火始動閾値以上であると判定されている場合には、スタータ始動によって前記内燃機関を再始動させる。スタータ始動とは、前述したように、前記クランクシャフトを前記スタータによって回転させ且つ前記気筒の燃焼室に前記燃料噴射手段によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に前記点火手段によって点火することによって前記内燃機関を再始動させる始動方法である。
上記のように、本発明装置は、前記始動要求が発生しており且つ前記クランク角度幅が前記着火始動閾値未満であると判定されている場合には、スタータ始動ではなく、着火始動によって内燃機関を再始動させる。換言すれば、本発明装置は、着火始動によって内燃機関を確実に再始動させることが可能な状態が後に生ずると判定されている場合は、スタータ始動ではなく、着火始動によって内燃機関を再始動させる。これにより、スタータ始動の実行頻度を低減し、スタータの消耗を低減することができる。加えて、上記のようにピーククランク角度が上死点に十分に近い状態(即ち、十分なコンプレッションが達成された状態)において着火始動を実行することができるので、着火始動の実行により内燃機関を確実に再始動させることができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
自動停止機能によって機関の運転を停止しようとしている期間であって機関の回転が完全に停止するまでの期間(空転期間)における揺り返し現象の一例を示したタイムチャートである。 クランクシャフトの回転方向が最初に反転した後に検出される逆転方向の機関回転速度の極値(逆転極値)と当該逆転極値が検出された後に最初に検出されるピーククランク角度との対応関係を表す模式的なグラフである。 本発明の第1実施形態に係る制御装置(第1装置)が適用される内燃機関の構成を示す模式的な全体図である。 図3に示した内燃機関の模式的な平面図である。 第1装置によって実行される自動停止再始動制御ルーチンを表すフローチャートである。 自動停止再始動制御ルーチンの一部として実行される再始動ルーチンの全体を表すフローチャートである。 第1装置が備える制御部による着火始動の可否判定について説明するフローチャートである。 第1装置が備える制御部による着火始動の可否判定について説明する模式的なタイムチャートである。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「第1装置」と称される場合がある。)について説明する。
(内燃機関の構成)
第1装置は、図3に示した内燃機関(機関)10に適用される。機関10は、多気筒(本例においては、直列4気筒)・4サイクル・ピストン往復動型・筒内噴射(直噴)・火花点火式ガソリンエンジンである。
機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30、シリンダブロック部20に空気を供給するための吸気システム40、並びに、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気システム50を備えている。更に、図5に示したように、機関10は、シリンダブロック部20に燃料を供給するための燃料供給システム60を備えている。
図3に示したように、シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランクシャフト24を備えている。ピストン22は、シリンダ21内を往復動する。ピストン22の往復動は、コンロッド23を介してクランクシャフト24に伝達され、これにより、クランクシャフト24が回転するようになっている。シリンダ21、ピストン22及びシリンダヘッド部30は、燃焼室(気筒)25を形成している。
更に、図5に示したように、シリンダブロック部20は、スタータモータ(スタータ)26を備えている。スタータモータ26は、後述するエンジンECU(電子制御ユニット)80の指示に応答して駆動する。具体的には、クランクシャフト24に取り付けられたリングギア27がピニオンギア26aを噛合され、リングギア27を回転させるようになっている。即ち、スタータモータ26はクランキングを実行するスタータである。
再び図1を参照すると、シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、燃焼室25に連通した排気ポート33、排気ポート33を開閉する排気弁34、燃焼室25内の燃料に点火する点火装置35、及び、燃焼室25に燃料を直接噴射する燃料噴射弁39を備えている。燃料噴射弁39は燃料供給部の一部を構成している。
点火装置35は、点火プラグ37及び点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38を含む。イグナイタ38は、後述するECU80の指示に応答してイグニッションコイルによって高電圧を発生するようになっている。この高電圧は点火プラグ37の電極間に印加され、これらの電極間に火花が生成される。
燃料噴射弁39は、その燃料噴射孔が燃焼室25内に露出するようにしてシリンダヘッド部30に配設されている。燃料噴射弁39は、後述するECU80の指示に応答して開弁し、燃焼室25に燃料を直接噴射するようになっている。
吸気システム40は、吸気ポート31に連通したインテークマニホールド41、インテークマニホールド41に連通したサージタンク42、及び、サージタンク42に一端が接続された吸気管43を備えている。吸気ポート31、インテークマニホールド41、サージタンク42及び吸気管43は、吸気通路を構成している。
更に、吸気システム40は、吸気管43の他端から下流(サージタンク42)に向かう順に吸気管43に配設されたエアフィルタ44及びスロットル弁45を備え、スロットル弁45を駆動するスロットル弁アクチュエータ45aを更に備えている。
スロットル弁45は、吸気管43に回転可能に支持され、スロットル弁アクチュエータ45aによって駆動されることにより開度が調整されるようになっている。これにより、スロットル弁45は、吸気管43の通路断面積を可変とするようになっている。スロットル弁45の開度(スロットル弁開度)TAは、通路断面積を最小とする状態におけるスロットル弁45の位置から回転した角度により定義される。
スロットル弁アクチュエータ45aは、DCモータからなり、ECU80の指示に応答してスロットル弁45を駆動するようになっている。
排気システム50は、排気ポート33に連通するエキゾーストマニホールド51及びエキゾーストマニホールド51に接続された排気管52を備えている。排気ポート33、エキゾーストマニホールド51及び排気管52は、排気通路を構成している。
更に、排気システム50は、排気管52に配設された三元触媒53を備えている。三元触媒53は、所謂、白金等の貴金属からなる活性成分を担持する三元触媒装置(排気浄化触媒)である。三元触媒53は、そこに流入するガスの空燃比が理論空燃比であるとき、HC、CO、H等の未燃成分を酸化するとともに、NOx(窒素酸化物)を還元する機能を有する。
更に、三元触媒53は、酸素を吸蔵(貯蔵)する酸素吸蔵機能を有し、この酸素吸蔵機能により、空燃比が理論空燃比から偏移したとしても未燃成分及びNOxを浄化することができる。この酸素吸蔵機能は、三元触媒53に担持されているセリア(CeO)によってもたらされる。
図5に示したように、燃料供給システム60は、2つの燃料ポンプ61及び62、燃料送出管63、デリバリパイプ(蓄圧室)64、並びに、燃料タンク65を含んでいる。燃料送出管63は、燃料ポンプ61とデリバリパイプ64とを接続している。
燃料ポンプ61は、燃料タンク65内に配設されている。燃料ポンプ61は、後述するECU80の指示に応答して作動する電動モータによって駆動され、燃料タンク65内に貯留されている燃料を燃料送出管63に吐出する。
燃料ポンプ62は、燃料送出管63に介装されている。燃料ポンプ62は、燃料ポンプ61から燃料送出管63を介して到達する燃料を加圧し、その加圧された高圧燃料を、燃料送出管63を通してデリバリパイプ64へ供給するようになっている。燃料ポンプ62は、機関10のクランクシャフト24に連動する駆動軸により作動する。
燃料ポンプ62は、その燃料吸入部に図示しない電磁弁を備えている。電磁弁は、ECU80からの指示に基づいて燃料ポンプ62の燃料吸入動作の開始時に開かれ、燃料加圧動作中の所定のタイミングにて閉じられる。この電磁弁が閉じられるタイミングが早くなるほど、燃料ポンプ62の図示しないプランジャの有効ストロークが長くなるので、燃料ポンプ62から吐出される燃料の量が多くなる。その結果、燃料噴射弁39に供給される燃料の圧力が上昇する。即ち、燃料ポンプ62は、ECU80の指示に応答し、デリバリパイプ64内の燃料の圧力(即ち、燃料噴射圧、デリバリパイプ圧、燃圧)を調整できるようになっている。
更に、燃料タンク65内において、燃料送出管63には、リリーフバルブ66が介装されている。リリーフバルブ66は、燃料送出管63内の燃料の圧力が所定の圧力に達したときにその燃料の圧力によって開弁される。リリーフバルブ66が開弁すると、燃料ポンプ61から燃料送出管63に吐出された燃料の一部が「リリーフバルブ66」及び「リリーフバルブ66に接続されたリリーフ管67」を介して燃料タンク65内に戻される。
ECU80は、周知のマイクロコンピュータを含む電子回路であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM及びインターフェース等を含む。ECU80は、以下で述べるセンサ類と接続されていて、これらのセンサからの信号を受信する(入力される)ようになっている。更に、ECU80は、各種アクチュエータ(スロットル弁アクチュエータ45a、点火装置35及び燃料噴射弁39等)に指示(駆動)信号を送出するようになっている。
図3及び図4に示したように、ECU80は、エアフローメータ71、スロットルポジションセンサ72、水温センサ73、クランク角度センサ74、燃圧センサ75、アクセル操作量センサ76、ブレーキスイッチ77、車速センサ78及びイグニッションスイッチ79と接続されている。
エアフローメータ71は、吸気管43に配設されている。このエアフローメータ71は、そこを通過する空気の質量流量(吸入空気量Ga)を測定し、この吸入空気量Gaを表す信号を出力する。
スロットルポジションセンサ72は、スロットル弁45に近接して吸気管43に配設されている。このスロットルポジションセンサ72は、スロットル弁45の開度(スロットル弁開度TA)を検出し、このスロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
水温センサ73は、シリンダブロック部20に配設されている。この水温センサ73は、機関10を冷却する冷却水の温度(冷却水温THW)を測定し、この冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
クランク角度センサ74は、シリンダブロック部20に配設されている。このクランク角度センサ74は、クランクシャフト24が一定角度(例えば、10°)回転する毎に1つのパルス信号を発生する。ECU80は、このクランク角度センサ74及び図示しないカムポジションセンサからの信号に基づいて、所定の気筒の圧縮上死点を基準とした機関10のクランク角度(絶対クランク角度)を取得する。更に、ECU80は、クランク角度センサ74からの信号(実際には隣接するパルス信号間の時間)に基づいて、機関回転速度NEを取得する。
なお、クランクシャフト24(即ち、機関10)が正転している場合のクランクシャフト24の回転速度は正の値で表され、クランクシャフト24(即ち、機関10)が逆転している場合のクランクシャフト24の回転速度は負の値で表される。更に、後述するECU80は、機関回転速度NEが正の値から負の値へと、又は、その逆へと変化した時点にて、クランクシャフト24の回転方向が反転したと判定する。
燃圧センサ75(図5を参照。)は、デリバリパイプ64に配設されている。この燃圧センサ75は、燃料噴射弁39に供給される燃料の圧力(燃圧PF)を測定し、この燃圧PFを表す信号を出力する。
第1装置は、燃圧センサ75の出力信号に基づいて取得される燃圧PFと目標燃圧PFtgtとの偏差が「0」となるように燃料ポンプ62に送出する指示信号を制御する。例えば、取得された燃圧PFが目標燃圧PFtgtよりも低い場合、第1装置は、燃料ポンプ62の燃料吐出量が増大するように燃料ポンプ62に送出する指示信号を制御する。これにより、燃料噴射弁39に供給される燃料の圧力(燃圧PF)が高くなる。
アクセル操作量センサ76(図3を参照。)は、アクセルペダル91の操作量Accpを検出し、この操作量Accpを表す信号を出力する。
ブレーキスイッチ77は、ブレーキペダル92の操作を検出し、ブレーキペダル92が操作されたことを表す信号を出力する。
車速センサ78は、機関10が搭載された車両の速度(車速SPD)を測定し、この車速SPDを表す信号を出力する。
イグニッションスイッチ79は、機関10を作動させたり機関10の作動を停止させたりするためのスイッチであり、そのオンオフ状態を表す信号をECU80に送出する。
(第1装置の作動の概要)
第1装置(の制御部)は、図1に示したように、自動停止制御の開始後において機関の回転方向が正転から逆転へと反転した時点(初回反転時点t1)以降に現れる機関回転速度NEの極値である着目ピーク値を実際に取得する。第1装置においては、初回反転時点t1以降に最初に現れた逆転方向の機関回転速度NEの極値(逆転極値)(点P1)を着目ピーク値として取得(検出)する。
更に、第1装置(の制御部)は、予め求められた「着目ピーク値とピーククランク角度との対応関係」(例えば、図2を参照)に、上記検出された着目ピーク値を適用することにより、ピーククランク角度を推定する。ピーククランク角度は、着目ピーク値(逆転極値P1)が検出された時点以降において膨張行程気筒のピストン22が上死点に最も近付いたとき(点Q1)のクランク角度である。上記「着目ピーク値とピーククランク角度との対応関係」は、制御部(ECU80)の記憶部(バックアップRAM)に記憶されている。
そして、第1装置(の制御部)は、上記推定されたピーククランク角度と上記気筒の上死点との間のクランク角度差が所定の着火始動閾値未満であるか否かを判定する。
所定の始動要求が発生しており且つ上記クランク角度差が上記着火始動閾値未満であると判定されている場合、第1装置(の制御部)は、上記気筒の燃焼室25に燃料噴射弁39(燃料噴射手段)によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に点火装置35(点火手段)によって点火する着火始動によって機関10を再始動させる。
一方、上記始動要求が発生しており且つ上記クランク角度差が上記着火始動閾値以上であると判定されている場合には、第1装置(の制御部)は、クランクシャフト24をスタータ(スタータモータ26)によって回転させ且つ上記気筒の燃焼室25に燃料噴射弁39によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に点火装置35によって点火するスタータ始動によって前記内燃機関を再始動させる。以下、第1装置の作動について具体的に説明する。
(具体的作動)
1.第1装置による自動停止制御及び再始動制御
先ず、第1装置による機関10の自動停止制御及び再始動制御について説明する。ECU80のCPUは、図5にフローチャートによって示した自動停止再始動制御ルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。CPUは、所定のタイミングになると図6のステップS601に進み、自動停止制御が既に実行中であるか否かを判定する。
本例において、自動停止制御は、以下の自動停止条件が成立した場合(自動停止要求が発生した場合)に直ちに実行される。自動停止条件は、以下の総ての条件が成立したときに成立する。但し、自動停止条件はこれに限定されない。
(停止条件1)アクセルペダル91の操作がオフ状態である。
(停止条件2)ブレーキペダル92の操作がオン状態である。
(停止条件3)車速SPDが所定値(自動停止速度閾値)以下である。
自動停止制御は、燃料噴射弁39に駆動信号を送出しないことにより機関10への燃料の供給(燃料噴射)を停止することにより、クランクシャフト24の回転(即ち、機関10の回転)を停止させる処理である。自動停止制御は、後述する種々の再始動制御が開始されると同時に停止される。
上記ステップS601において自動停止制御が実行中であると判定された場合(S601:Yes)、CPUは次のステップS602に進み、図6に示した後述の再始動ルーチンを実行する。その後、CPUは本ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップS601において自動停止制御が実行中ではないと判定された場合(S601:No)、CPUは次のステップS603に進み、上述した自動停止条件が成立しているか否かを判定する。
上記ステップS603において自動停止条件が成立していると判定された場合(S603:Yes)、CPUは次のステップS604に進み、上述した自動停止制御を実行し、本ルーチンを一旦終了する。これにより、機関回転速度NEは次第に低下して行く。逆に、上記ステップS603において自動停止条件が成立していないと判定された場合(S603:No)、CPUは本ルーチンを一旦終了する。この結果、CPUは、燃料噴射及び点火を継続する通常制御を実行することにより機関10を通常運転する。通常制御においては、燃料噴射は圧縮行程後半に行われ、点火は圧縮上死点近傍において行われる。
なお、CPUは、自動停止制御を行う際、燃料噴射の停止に加え、点火装置35への点火信号を送出しないことにより点火装置35による燃料の点火をも停止してもよい。
更に、CPUは、機関10を通常運転する場合、アクセルペダル91の操作量Accpが大きくなるほど目標スロットル弁開度TAtgtが大きくなるように目標スロットル弁開度TAtgtを変更する。加えて、CPUは、自動停止制御の実行中、目標スロットル弁開度TAtgtを所定の値に設定し、スロットル弁45の開度が全開近傍の値になるようにスロットル弁45を開いてもよい。或いは、CPUは、自動停止制御の実行中、スロットル弁45の開度が全閉近傍の値になるようにスロットル弁45を閉じていてもよい。
2.第1装置による種々の再始動制御
次に、第1装置による機関10の再始動制御について説明する。前述したように、CPUは、図5のステップS602に進むと、図6にフローチャートによって示した再始動ルーチンを実行するようになっている。従って、CPUは、ステップS602に進むと図6のステップS701に進み、再始動条件が成立しているか否か(即ち、再始動要求が発生しているか否か)を判定する。
本例において、再始動条件は、以下の総ての条件が成立したときに成立する。但し、再始動条件はこれに限定されない。
(再始動条件1)自動停止制御中である。
(再始動条件2)ブレーキペダル92の操作がオフ状態である。
(再始動条件3)アクセルペダル91の操作がオン状態である。
上記ステップS701において再始動条件が成立していると判定された場合(S701:Yes)、CPUは次のステップS702に進み、機関回転速度NEが所定の回転速度閾値NUよりも大きいか否かを判定する。本例において、回転速度閾値NUは、上述した通常制御によって機関10を再始動させることが可能な機関回転速度NEの最小値である。換言すれば、機関回転速度NEが回転速度閾値NUよりも大きい場合、通常制御によって機関10を再始動させることができる。
上記ステップS702において機関回転速度NEが回転速度閾値NUよりも大きいと判定された場合(S702:Yes)、CPUはステップS703にて上記通常制御を実行する。この結果、上記通常制御によって機関10は再始動させられる。この再始動制御は通常再始動制御と称される場合がある。次いで、CPUは、ステップS708に進み、着火始動の可否を示すフラグFiを「0(ゼロ)」に設定する。このフラグFiは、詳しくは後述するように、クランク角度差が所定の着火始動閾値未満であると判定されている場合に「1」に設定されるフラグである。その後、CPUは本ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップS702において機関回転速度NEが回転速度閾値NU以下であると判定された場合(S702:No)、CPUはステップS704に進み、機関回転速度NEが0(ゼロ)であるか(即ち、機関10が停止しているか)否かを判定する。なお、このステップは、機関回転速度NEが「微小な正の値NEPと微小な負の値NENとの間」にある場合に機関回転速度NEが「0」であると判定するステップであってもよい。
ステップS704において機関回転速度NEが0(ゼロ)であると判定された場合(S704:Yes)、機関10は停止している。従って、CPUは次のステップS705に進み、スタータモータ26によってクランクシャフト24を回転させることによりクランキングを実行するとともに、圧縮上死点近傍での「燃料噴射及び点火」を行って機関10を再始動させる。即ち、CPUはスタータ始動(スタータ始動制御)を実行する。そして、CPUは、ステップS708に進み、上述したフラグFiを「0(ゼロ)」に設定し、本ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS704において機関回転速度NEが0(ゼロ)ではないと判定された場合(S704:No)、機関10は回転中である。この場合、CPUは次のステップS706に進み、上述したフラグFiが「1」に設定されているか否かを判定する。即ち、CPUは、クランク角度差が所定の着火始動閾値未満であるか否かを判定する。
上記ステップS706においてフラグFiが「1」に設定されていると判定された場合(S706:Yes)、CPUは次のステップS707に進み、着火始動による機関10の再始動を実行する。そして、CPUは、ステップS708に進み、着火始動の可否を示すフラグFiを「0(ゼロ)」に設定し、本ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップS706においてフラグFiが「1」に設定されていないと判定された場合(S706:No)、CPUは次のステップS705に進み、スタータ始動による機関10の再始動を実行する。そして、CPUは、ステップS708に進み、着火始動の可否を示すフラグFiを「0(ゼロ)」に設定し、本ルーチンを一旦終了する。
なお、上記ステップS701において再始動条件が成立していないと判定された場合(S701:No)、CPUは再始動制御を実行すること無く本ルーチンを一旦終了する。
3.第1装置(制御部)による着火始動の可否判定
次に、第1装置が備える制御部による着火始動の可否判定について説明する。CPUは、図7にフローチャートによって示した着火始動可否判定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。このルーチンによりフラグFiが「1」に設定される。
CPUは、所定のタイミングになると、図7のステップS801に進み、自動停止制御の実行中にクランクシャフト24の回転方向が反転した履歴があるか否かを判定する。図8の(a)に示したタイムチャートは、時刻t1において自動停止制御が開始され、時刻t2にて再始動条件が成立した(再始動要求が発生した)例を示している。
図8の(a)に示した黒丸によって表されているように、現時点が時刻t2(即ち、再始動条件が成立した時点)であるとき、機関10(クランクシャフト24)は正転しており且つ機関回転速度NEが次第に低下している段階にある。従って、クランクシャフト24の回転方向の反転は未だ生じていない。この場合(S801:No)、CPUはステップS801に戻り、クランクシャフト24の回転方向の反転が生ずるまで待機する。
その後、所定の時間が経過して図8の(b)に示した時刻t3になるとクランクシャフト24の回転方向の(正転から逆転への)反転が生ずる。この時刻t3の時点、即ち、自動停止制御実行中に初めて機関10(クランクシャフト24)の回転方向が反転(正転から逆転へ変化)した時点を「初回反転時点」とも称する。この時刻t3以降において、自動停止制御実行中の反転履歴が「あり」となる。この反転が生ずると(S801:Yes)、CPUは次のステップS802に進み、初回反転時点(時刻t3)以降に機関回転速度NEの極値が検出されたか否かを判定する。ステップS802において機関回転速度NEの極値が未だ検出されていないと判定された場合(S802:No)、CPUはステップS802に戻り、機関回転速度NEの極値が検出されるまで待機する。
時刻t3の直後における時刻t4において、機関回転速度NEの極値(この場合、逆転極値)が出現する(図8(b)の星印を参照。)。この場合、CPUは機関回転速度NEの極値を検出(S802:Yes)し、ステップS803に進んで「現在(時刻t5)の直前(時刻t4)に検出された機関回転速度NEの極値」を着目ピーク値として取得する。
そして、CPUは次のステップS804に進み、機関10について予め求められた「着目ピーク値とピーククランク角度との対応関係」に上記取得(検出)された着目ピーク値を適用して、膨張行程にある当該気筒のピストン22が上死点に最も近付いたとき(図8(c)における時刻t6(黒丸)を参照。)のクランク角度であるピーククランク角度を推定する。
次に、CPUはステップS805に進み、ステップS804において推定されたピーククランク角度と当該気筒の上死点との間のクランク角度差が所定の閾値(着火始動閾値)未満であるか否かを判定する。
上記ステップS805においてクランク角度差が着火始動閾値未満であると判定された場合(S805:Yes)、CPUはステップS806に進み、着火始動の可否を示すフラグFiを「1」に設定し、本ルーチンを一旦終了する。即ち、着火始動によって機関10を再始動することが可能な状態が後に出現することが予想されるので、着火始動が可能であることがフラグFiに記録される。
一方、上記ステップS805においてクランク角度差が着火始動閾値以上であると判定された場合(S805:No)、CPUは、フラグFiの値を変更すること無く、本ルーチンを一旦終了する。以上のように、本ルーチンの実行により、CPUは着火始動の可否を判定する手段として機能する。
なお、本例においては、揺り返し期間における逆転方向のピーク回転速度の大きさ(逆転極値)と当該逆転極値が検出された後に最初に検出されるピーククランク角度との対応関係に基づいて、逆転極値からピーククランク角度を推定する場合について例示した。このような対応関係によれば、揺り返し期間において逆転方向の機関回転速度の極値が検出された場合は、当該極値の大きさ(逆転極値)を当該対応関係に直接適用することによりピーククランク角度を予測(算出)することができる。
しかしながら、揺り返し期間において正転方向の機関回転速度の極値が検出された場合は、当該極値の大きさ(正転極値)を当該対応関係に直接適用したのではピーククランク角度を予測(算出)することができない。このような場合は、検出された正転極値に基づいて、その次に現れるであろう逆転極値を推定し、当該推定された逆転極値を当該対応関係に適用することによりピーククランク角度を予測(算出)することができる。
なお、ある機関回転速度の極値に基づいて次回以降に現れるであろう極値を推定する方法としては、例えば、機関回転速度、フリクション、コンプレッション及び内燃機関のイナーシャ等の種々の成分を項として有するモデル式を用いる方法、機関回転速度の極値の減衰の仕方を表すパラメータ(例えば、減衰率又は減衰の程度を表す値)を用いる関数を用いる方法等を挙げることができる。
或いは、逆転極値とその直後に検出されるピーククランク角度との対応関係及び正転極値とその直後に検出されるピーククランク角度との対応関係の両方を予め求めておき、検出されたピーク回転速度の方向に応じて、これらの対応関係を使い分けてもよい。何れにせよ、揺り返し期間におけるピーククランク角度は、同期間におけるピーク回転速度に基づいて簡便且つ高精度に算出することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
10…内燃機関、32…吸気弁、34…排気弁、35…点火装置、39…燃料噴射弁、53…三元触媒、61…燃料ポンプ、75…燃圧センサ、及び80…電子制御ユニット(ECU)。

Claims (1)

  1. 燃焼室に燃料を供給する燃料噴射手段と、
    前記燃焼室に供給された燃料に点火する点火手段と、
    クランクシャフトと、
    前記クランクシャフトの回転速度である機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、
    前記クランクシャフトを回転させるスタータと、
    を備える内燃機関に適用され、
    所定の自動停止条件が成立した場合に前記燃料噴射手段による燃料の供給を停止して前記クランクシャフトの回転を停止させる自動停止制御を実行し、前記自動停止制御による燃料の供給の停止後に前記内燃機関を始動させるための始動要求が発生した場合に前記内燃機関を再始動させる再始動制御を実行する、制御部
    を備えた内燃機関の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記自動停止制御の実行中に前記クランクシャフトの回転方向が正転方向から逆転方向へと最初に反転した初回反転時点以降において前記検出される機関回転速度の極値である着目ピーク値を検出し、
    前記着目ピーク値が検出された時点以降において、膨張行程気筒のピストンが上死点に最も近付いたときのクランク角度であるピーククランク角度を、予め求められ前記制御部の記憶部に記憶されている着目ピーク値とピーククランク角度との対応関係に前記検出された着目ピーク値を適用することによって推定し、
    前記推定されたピーククランク角度と前記気筒の上死点との間のクランク角度差が所定の着火始動閾値未満であるか否かを判定し、
    前記始動要求が発生しており且つ前記クランク角度差が前記着火始動閾値未満であると判定されている場合には、前記気筒の燃焼室に前記燃料噴射手段によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に前記点火手段によって点火する着火始動によって前記内燃機関を再始動させ、
    前記始動要求が発生しており且つ前記クランク角度差が前記着火始動閾値以上であると判定されている場合には、前記クランクシャフトを前記スタータによって回転させ且つ前記気筒の燃焼室に前記燃料噴射手段によって燃料を供給し且つ当該供給された燃料に前記点火手段によって点火するスタータ始動によって前記内燃機関を再始動させる、
    ように構成された、内燃機関の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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