JP2016155764A - 化粧用パック - Google Patents

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敏範 藤田
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有司 村上
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文稔 大城
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Abstract

【課題】ドライタイプで取扱いやすく、かつ肌への接着性に優れ、乾燥しても柔らかく密着性に優れ肌から浮き上がりにくく、保温効果や保湿効果といったパック効果が発揮されやすい、シート状化粧用パックを提供する。【解決手段】不織布に、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アルギン酸塩及びデキストランからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクと、この不織布マスクとは別に調製される、グリセリン、ジグリセリン、ショ糖、ブドウ糖、乳糖及びマルトースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する化粧水と、からなる化粧用パックであって、パックする際に不織布マスクを化粧水で湿潤、軟化させて用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧用パックに関し、更に詳しくは貼布タイプの化粧用パックに関する。
化粧用パックには、大きく分けて塗布タイプと貼布タイプとがある。塗布タイプには、PVA等の被膜形成剤を含有し塗布後に乾燥した被膜を剥がすピールオフタイプ、塗布後に拭き取りまたは洗い流すタイプ、固化後剥離タイプなどがある。しかし、塗布タイプのパックは、塗る手間がかかる、また均一に塗ることが難しい、という問題がある。また、ピールオフタイプでは乾燥後の被膜をきれいに剥がすことが困難な場合が多く、剥がすときに痛みを伴うこともあり、更には拭き取りタイプや洗い流しタイプと同様に、パック後に洗顔などの手間暇がかかるという問題がある。
これに対し、貼付タイプのパックは、例えば不織布等の基材に、保湿剤等を含有する化粧水を含浸してあり、塗布タイプのような塗る手間が要らず、また保湿剤等の成分を均一に適用できる。例えば、特許文献1には、べたつかず、さっぱりとした使用感触を有し、且つ高い保湿効果を有するシート状化粧料を提供することを目的として、シートに化粧料を含浸させるタイプの化粧料において、シート基材にキトサン、ヒアルロン酸及び界面活性剤を必須成分として含有させたシート化粧料が開示されている。また、特許文献2には、長期間、水溶性高分子内に生理活性物質を保持して皮膚に潤い等の化粧効果を十分に与えることができ、かつ、安定化剤等の添加を減らして皮膚への悪影響を防止することを目的として、生理活性物質を含有した水溶性高分子をゲル化して基材に吸収させた後、乾燥して形成された化粧用パックシートが開示されている。
従来の貼布タイプのパック(シート状化粧パック)には、保湿成分等を含有する化粧水等を含浸した状態のウェットタイプと、化粧料等を含浸後、乾燥させたドライタイプとがある。ウェットタイプは、折りたたまれたシートを容器や袋から出して広げて使用するが、容器等から出す際に手が濡れる、折りたたんだ状態から広げにくい、また顔などの凹凸にフィットせず肌への接着性が悪い、更には乾燥するにしたがって肌から浮き上がってしまい保温効果や保湿効果等のパック効果が十分に得られない、といった課題があった。また、ウェットタイプでは、抗菌性という問題もあり、防腐剤の添加が不可欠である。市販品には、ジェル状の化粧料を付与した、見た目には密着性が良さそうな商品もある。しかし実際には肌への接着性は悪く、また化粧料が粘稠なため取扱いの際にべたついて手が汚れる、使用中に化粧料が垂れて衣服等を汚すといった問題もあり、更にはパック後の拭き取りや洗浄(洗顔等)が不可欠である。
一方、ドライタイプは、使用時に広げてから化粧水を含浸させて使用するので取扱いは比較的容易であり、抗菌性の問題も少なく防腐剤等も必須ではないものの、従来品は、やはり肌への接着性が悪い、乾燥による浮き上がりといった課題は残る。例えば、前記特許文献2で開示されている化粧用パックシートもドライタイプであるが、生理活性物質による化粧効果のみに着目しており、接着性や乾燥後の浮き上がり、シートの柔らかさ等については全く考慮されていない。これは、実施例では水溶性高分子としてコラーゲンのみが用いられ、生理活性物質の保持能や効果を評価しているだけで、前記接着性等については評価されていないことからも明らかである。
顔などへの接着性を改善するものとしては、例えば特許文献3には、接着性マトリックスが少なくとも湿潤状態において、処置されるべき顔または体の一部の形態に対してマスクをぴったりと適合させるような伸長性を発揮し、裏地シートが、少なくとも湿潤状態において該接着性マトリックスの変形に追随するような伸長性を発揮するように選択されたマスクが開示されているが、構造、製造工程が複雑である。更に、顔との密着性を高め使用性の向上を図ることを目的として、熱可塑性樹脂繊維を含んだ不織布を顔形状に立体的に成形したマスク本体に化粧料を含浸して立体マスクを構成することも開示されている(例えば、特許文献4等)。しかし、立体マスクは製造工程が煩雑で、またシート状パックと比べて製品形態が嵩高になる。
特開2007−45710号公報 特開2005−22980号公報 特開2000−309527号公報 特開2012−75795号公報
本発明は、上記のような従来の化粧用パックの問題に鑑み、ドライタイプで取扱いやすく、かつ肌への接着性に優れ、乾燥しても柔らかく密着性に優れ肌から浮き上がりにくく、保温効果や保湿効果といったパック効果が発揮されやすい、シート状化粧用パックを提供することを目的とするものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、不織布に特定の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクを、使用に際して特定の多価アルコールや糖類等を含む化粧液で湿潤、軟化させて肌に貼り付けることで、化粧水で湿潤した不織布マスクが顔等の凹凸にフィットして良好に接着し、また乾燥しても柔らかくて密着性が良く肌から浮き上がることがなく、保温効果や保湿効果といった良好なパック効果を発揮でき、しかも乾燥後の不織布マスクが肌から剥がし易いことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る化粧用パックは、不織布に、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アルギン酸塩及びデキストランからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクと、グリセリン、ジグリセリン、ショ糖、ブドウ糖、乳糖及びマルトースからなる群から選択される少なくとも1種(以下、「グリセリン等」と略記することもある。)を含有する化粧水と、からなり、パックする際に前記不織布マスクを化粧水で湿潤、軟化させて用いるものである。
以上にしてなる本発明に係る化粧用パックは、以下のような作用効果を奏する。
(1)シートタイプ(貼るタイプ)であるため、塗る手間が要らず、かつ均一にパックでき、更に使用後には痛みを伴うことなく容易かつきれいに剥がすことができ、拭き取り、洗顔などの後処理も省くことができる。
(2)ドライタイプ(乾燥シート状)であるため、携帯しやすく、またウェットタイプのように容器等から出しにくい、折りたたんだシートを広げにくい、といったことがない。
(3)不織布に特定の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクは、化粧水の浸透性に優れ、化粧水により容易に湿潤、軟化する。このため、肌への接着性に優れ、パック対象面の凹凸、例えば小鼻、頬、顎、目の周り等、凹凸が大きな部位にも良くフィットする。また、乾燥しても不織布マスクが柔らかいため、肌がつっぱる、不織布マスクが肌から浮き上がって肌との間に隙間ができる、乾燥した不織布マスクが肌から剥がれて落ちる、といったこともなく、保温効果、保湿効果、各種栄養分等の吸収といったパック効果が発揮されやすい。
(4)パック後、肌のしっとり感が持続し、例えば、朝パックしてから化粧をすると、化粧のりが良くなる。
(5)肌への接着性や密着性に優れることから、接着層を設けた多層シートとしたり、予め立体形状に構成する必要がなく、単層かつ平面状でよく、余分な製造工程や原材料が不要である。
以下、本発明に係る化粧用パックについて、実施の形態を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施の形態により何ら限定されるものではない。
本発明の化粧用パックは、不織布に、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アルギン酸塩及びデキストランからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクと、この不織布マスクとは別に調製される、グリセリン、ジグリセリン、ショ糖、ブドウ糖、乳糖及びマルトースからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する化粧水と、からなり、パックする際に前記不織布マスクを前記化粧水で湿潤、軟化させて用いることを特徴とする。
<乾燥シート状の不織布マスク>
不織布マスクは、パックの際に皮膚を覆うことで、保温効果、保湿効果等のパック効果を発揮するための基材であり、不織布に特定の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状である。具体的には、例えば水溶性高分子の水溶液を不織布に塗布または含浸した後、乾燥させ、所定の形状に型抜き又は切断したものである。
前記不織布は、コットン製、レーヨン製、またはポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製などいずれでもよいが、親水性等の点からコットン製、レーヨン製が好ましく、レーヨン製がより好ましい。親水性の不織布を用いることで、水溶性高分子を溶解した水溶液を吸収させ、担持させやすい。また、使用に際して化粧水の浸透性もよく、化粧水により容易に湿潤、軟化して肌への接着性に優れる。
不織布の厚さには特に限定はなく、通常、フェイスマスク(パック)として使用される程度のものでよく、例えば10g/m2〜120g/m2程度である。厚すぎると不織布マスクが硬くなり、薄すぎると破損しやすくなる。
不織布マスクの形状にも特に限定はなく、パックする対象となる人体の部位に応じた形状とすればよい。例えば、フェイスパック(マスク)の場合であれば、顔の輪郭に応じた大きさ、形状に切り抜き、目、鼻、口にあたる部分に切り込みを入れたり、切り起こし可能にミシン目を入れたり、マスクの周縁部に切り込みを入れるなどして、顔面の凹凸面に追随しやすい形状として、より肌への接着性、密着性を上げるようにしてもよい。
なお、本発明の不織布マスクは、化粧水により容易に湿潤、軟化して使用時の肌への接着性がよく、接着層などを設ける必要がないため、不織布の単層であることが製造上好ましいが、複層であってもよい。また、本発明の不織布マスクは、使用前には実質的に平面状である。ここで、「実質的に平面状」とは、製造時に立体化工程を特に必要としないことを意味する。
不織布に担持させる水溶性高分子は、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アルギン酸塩及びデキストランが好ましい。前記ヒアルロン酸は、微生物で大量生産されるヒアルロン酸(バイオヒアルロン酸ともいう。)、鶏冠から得られるヒアルロン酸のいずれでもよい。これら特定の水溶性高分子を不織布に担持させて乾燥シート状の不織布マスクとすることで、グリセリン等を含む化粧水により不織布マスクが容易に湿潤して十分に軟化し、貼付面の凹凸によくフィットして接着性がよく、しかも乾燥しても柔らかく、乾燥に伴って肌から浮いたり剥がれたりすることもなく、肌がつっぱったりすることもない。このことは、乾燥後に肌から剥離した不織布マスク、例えばフェイスマスクが、顔の凹凸を転写した立体形状を維持していることから明らかである。前記のような不織布マスクに担持させる水溶性高分子による効果は、全ての水溶性高分子が有するというものではなく、本発明所定の水溶性高分子と、後述する化粧水に含まれるグリセリン等の特定の多価アルコールや糖類との相乗効果により発揮される。前記各種水溶性高分子の中でもタマリンドガムを担持させた不織布マスクは、グリセリン等を含む化粧水の浸透性、肌への接着性、乾燥後のシートの柔らかさ等に優れることからより好ましい。なお、タマリンドガムとヒアルロン酸その他の水溶性高分子とを併用してもよい。
不織布への水溶性高分子の担持量も特に限定はなく、水溶性高分子の種類によって適宜調整できる。水溶性高分子の担持量が少なすぎると肌への接着性や密着性が不足する場合や、保温効果、保湿性等のパック効果が発揮されにくい場合がある。また、水溶性高分子の担持量が多すぎると不織布マスクが硬くなり、肌への接着性や密着性が低下したり、化粧水で湿潤させた時にべたついたりすることがある。通常、水溶性高分子濃度が0.05〜10.0重量%程度、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.1〜3.0重量%の水溶液として不織布に塗布又は浸漬することで適量を担持させることができる。なお、前記水溶液には、水溶性高分子以外に、化粧品に一般的に含まれる保湿成分や栄養成分等を添加してもよいが、それらは、不織布マスクとは別に調製され、使用に際して不織布マスクに適用される化粧水に含有させ、不織布シートはシンプルな組成にすることが、衛生上の観点等から好ましい。
上記のような不織布マスクは、例えばフェイスマスクとして製造し、一枚ずつ個包装してもよいし、複数枚をまとめてプラスチックフィルムなどで包装することで、本発明の化粧用パックの製品の一つの構成部材となる。
<化粧水>
本発明における化粧水は、前記乾燥シート状の不織布マスクとは別に調製され、かつ不織布マスクとは別の容器等に収容された形態で、不織布マスクとともに本発明の化粧用パックの製品の一構成部材となり、通常、両者が同梱された製品として提供され、使用者がパックする際に、前記不織布マスクに塗布、散布、含浸等して適用する。
前記化粧水には、グリセリン、ジグリセリン、ショ糖、ブドウ糖、乳糖及びマルトースから選ばれる少なくとも1種が含まれる。本発明の化粧用パックの使用に際し、この化粧水を乾燥シート状の不織布マスクに適用し、該不織布マスクを湿潤、軟化させることで、不織布マスクが顔面などの凹凸にも良くフィットして肌への接着性がよく、また乾燥しても不織布マスクは柔らかく肌から浮いたり剥がれたりすることがない。また、乾燥後、肌から剥がした不織布マスクは、パックした部位の形状が転写した立体形状が保持される。
前記のような化粧水に含まれるグリセリン等による効果は、全ての多価アルコールや糖類が有するものではなく、前述した不織布マスクに担持されている本発明所定の水溶性高分子と、前記グリセリン等の所定の多価アルコール、糖類との相乗効果である。これらの内でも、グリセリンは、乾燥シート状の不織布マスクに適用した際の化粧水の浸透性、化粧水により湿潤、軟化した不織布マスクの肌への接着性、密着性、乾燥性等のバランスが優れていることから好ましい。なお、グリセリンと糖アルコールや糖類とを併用することも、べたつき防止の点から好ましい形態である。
化粧水における前記グリセリン等の濃度(2種以上を併用の場合は合計の濃度)は特に限定されないが、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。化粧水中の前記グリセリン等の濃度が低すぎると、乾燥シート状の不織布マスクに担持させた水溶性高分子との相互作用による密着性向上効果、シートの柔らかさが不足する場合がある。化粧水中の前記グリセリン等の濃度が高すぎると、化粧水が粘稠になり、不織布マスクに均一に適用するのが難しくなる、パックに際して湿潤した不織布マスクが過剰にべたつく場合がある。
化粧水は、前記グリセリン等を精製水に均一に溶解して調製する。化粧水には、前記グリセリン等以外に、通常、化粧水に用いられる保湿成分、栄養成分、防腐剤などが含まれていても良い。
前記化粧水を収容する容器の形態には特に限定はなく、瓶、袋等いずれの形態でもよく、またプラスチック、ガラス等、材料にも特に限定はない。更に、前記容器として、スプレーノズルを備えたスプレー容器(袋状のものも含む。)を用いることも好ましい形態である。化粧水をスプレー容器に収容した形態とすることで、パックする際に乾燥シート状の不織布マスクに化粧水を均一かつ適量を容易に適用して不織布マスクを湿潤、軟化させることができる。
<化粧用パックの使用方法>
本発明の化粧用パックは、前記のような乾燥シート状の不織布マスクと、これとは別に調製かつ包装された前記化粧料とで構成されており、通常、両者を同梱した製品として提供される。そして、使用者がパックするに際し、不織布マスクと化粧水を準備し、適量の化粧水により乾燥シート状の不織布マスクを湿潤、軟化させる。不織布マスクへの化粧水の適用は、不織布マスクをパックしたい部位に添付した後、化粧水を塗布、散布等してもよいし、予め化粧水を塗布、散布、含浸して湿潤、軟化させた後の不織布マスクを、パックしたい部位に貼り付けてもよい。例えば、フェイスマスクであれば、顔を仰向けにした状態で不織布マスクを乗せ、その表面に化粧水をスプレー塗布などしてもよいし、不織布マスクに化粧水を塗布、散布、含浸などして湿潤、軟化させた後、顔面に貼付してもよい。貼った不織布マスクを顔などの対象面に沿って軽く押さえて密着させ、所定時間、保持する。不織布マスクにより皮膚を覆っている時間、即ちパック時間には限定はなく、数分間〜数時間、あるいは晩から翌朝までパックしたままの状態で放置してもかまわない。また、パック後、肌から不織布マスクを剥がした後は、洗顔や拭き取りなどは特に必要ではない。即ち、本発明の化粧用パックは、一般の化粧水や美容液を塗布したのと同様のスキンケア効果が期待でき、毎日パックしてもなんら問題ないばかりか、より美容効果が期待できる。また、パック後、肌のしっとり感が持続することから、朝、起床後、本発明の化粧用パックでパックした後、化粧すると化粧のりがよい。
<実施例1〜7、比較例1〜12>水溶性高分子の検討
(試験用サンプルの作成)
125mm×90mmの長方形のレーヨン製不織布シート(35g/m2)に、表1に示す各濃度に調整した水溶性高分子の水溶液を適量含浸させた後、ドライヤーで乾燥させ、試験用サンプルを作成した。
(評価方法)
作成したサンプルを35mm×25mmの長方形に切り取り試験片を作り、各試験片を下腕内側に置き、化粧水(30%濃度のグリセリン水溶液)を0.5ccずつ滴下し、20分間静置して次の各項目を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
i)化粧水の浸透性
化粧水を滴下した直後からの浸み込む度合いを肉眼で観察した。
○:滴下すると直ぐに試験片全体に浸み込む。
△:部分的に沁みこむが全体に浸み込むまでに少し時間がかかる。
×:試験片の表面ではじき、なかなか浸み込まない。
ii)肌への接着性
化粧水を滴下後から20分後に剥離する時までの接着度合いを肉眼で観察した。
○:肌によく接着する。
△:少し接着する。
×:殆ど接着しない。
iii)シートの柔らかさ
化粧水を滴下してから20分後に剥離する時までの柔らかさを指先の触感で観察した。
○:乾燥後も柔らかい。
△:少し柔らかくなる。
×:殆ど柔らかくならない。
Figure 2016155764
表1に示すとおり、本発明所定の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布シートは、化粧水が容易に浸透して湿潤、軟化し、肌への接着性に優れ、また乾燥しても柔らかく密着性に優れることから、良好なパック効果が得られる。
(実施例8〜13、比較例13〜22)化粧水の検討
下記表2に示す各種多価アルコール、糖類、アミノ酸で水溶液を作る。タマリンド1%水溶液を含浸後、乾燥させた不織布シート(35mm×25mm;35g/m2)を下腕内側に置き、各化粧水を0.5ccずつ滴下し、下記項目を評価した。結果を表2に示す。
i)粧水の浸透性、肌への接着性、シートの柔らかさ
化粧水の浸透性、肌への接着性、シートの柔らかさは前記と同様にして評価した。
ii)乾燥後のしっとり感
20分後にシートを剥離した後の肌のしっとり感を指先の触感で観察した。
○:しっとり感が長く持続する。
△:しっとり感がある。
×:しっとり感を感じない。
Figure 2016155764
表2に示すとおり、本発明所定の多価アルコールまたは糖類を含有する化粧水は、タマリンドガムを担持させた不織布シートに容易に浸透し、これを湿潤、軟化させることができ、肌への接着性に優れる。また乾燥しても不織布シートは柔らかく密着性に優れることから、良好なパック効果が得られ、剥がした後もしっとり感が持続する。
(実施例14)
精製水にヒアルロン酸(「ヒアルロン酸HA−LQH」、キューピー株式会社製)0.7重量%を均一に溶解した水溶液を調製した。該水溶液をレーヨン製不織布(35g/m2)に含浸した後、乾燥した。これをフェイスマスク状に型抜きし、乾燥シート状の不織布マスクを作製した。一方、精製水にグリセリン30重量%を溶解して化粧水を調製した。
前記不織布マスク(フェイスマスク)を被験者の顔に乗せ、前記化粧水をスプレー塗布し、その上から手で押さえて顔面に密着させてパックしたところ、殆ど浮きはなく、不織布マスクのほぼ全面が顔面に密着した。20分後、乾燥した不織布マスクを被験者の顔面から剥がしたところ、乾燥しても不織布マスクは柔らかく、被験者の顔面の立体形状を転写した立体形状を呈していた。また、パック後の被験者の顔面はつっぱったりせず、その肌色はパック前に較べて明らかに白くなっていた。
また、朝、起床後、上記不織布マスクによりパックしてから化粧をすると、化粧のりが良くなった。

Claims (6)

  1. 不織布に、タマリンドガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒアルロン酸、グアーガム、アルギン酸塩及びデキストランからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子を担持させた乾燥シート状の不織布マスクと、
    グリセリン、ジグリセリン、ショ糖、ブドウ糖、乳糖及びマルトースから選ばれる少なくとも1種を含有する化粧水と、
    からなり、パックする際に前記不織布マスクを化粧水で湿潤、軟化させて用いる、化粧用パック。
  2. 前記水溶性高分子がタマリンドガムである請求項1に記載の化粧用パック。
  3. 前記化粧水がグリセリンを含む請求項1または2に記載の化粧用パック。
  4. 前記不織布マスクが単層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧用パック。
  5. 前記不織布マスクが実質的に平面状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧用パック。
  6. 前記化粧水がスプレー容器に収容されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧用パック。
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