JPH1149635A - 水賦活シート状化粧用材及びその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の化粧用パフの代用として用いられる、
長時間皮膚に貼付可能な新たな化粧用材を提供する。 【解決手段】 例えば、ポリエステル製不織布など透湿
性を有するシート状支持体上に、ポリビニルピロリドン
などを主成分とする湿潤粘着性組成物からなる化粧成分
非含有貼付層を設け、本発明に係る水賦活シート状化粧
用材を作製する。当該水賦活シート状化粧用材は、貼付
前に、化粧水や乳液など水又は親水性媒体を含む化粧品
と接触させて、湿潤状態で顔面等に貼付して用いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は水賦活シート状化粧
用材及びその使用方法に関する。具体的には、化粧水や
乳液等を含ませて顔面等に貼付して用いられる、いわゆ
る化粧用パフとして使用される新たな化粧用材に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】肌荒れを防いだり、美白、シミやシワを
少なくするなど、皮膚を美しく、清潔に保つことは、多
くの女性にとっての願望である。美白、シミやシワを少
なくし、皮膚を美しく、清潔に保つために、従来から、
化粧水や乳液、クリーム剤などが汎用されてきた。

【０００３】これらの目的を達成するためには、化粧品
としての効果を発揮する成分（以下「化粧成分」と称す
る。）を、長時間肌に与えるのが望ましいが、化粧品の
多くは液状のものが多く、多量に使用した場合には塗布
した直後に、塗布した化粧水等が流れ落ちて無駄になっ
てしまい、１度に多量に塗布することができなかった。

【０００４】また、レーヨンやコットンなどの親水性不
織布や紙シートなど、いわゆる化粧用パフ等に、化粧水
等を多量に染み込ませ、肌に貼りつける方法も用いられ
ているが、化粧水等の溶媒として用いられる水やアルコ
ール類が蒸散すると、パフ等は皮膚と密着できなくな
り、浮き上がってくる。このため、長時間肌に化粧成分
を供給し続けるのは困難であった。

【０００５】本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなさ
れたものであり、従来の化粧用パフの代用として用いら
れる、長時間皮膚に貼付可能な新たな化粧用材を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る水賦活シー
ト状化粧用材は、透湿性を有するシート状支持体上に、
湿潤粘着性組成物からなる化粧成分非含有貼付層を設け
たことを特徴としている。

【０００７】本発明において用いられる湿潤粘着性組成
物は、シート状に形成された貼付層が貼付部位に貼付さ
れ、一定時間放置経過して乾燥した後に被膜が形成され
る組成物であって、使用時に塗布された化粧水や乳液、
クリーム等に含有される水やメチルアルコールやエチル
アルコール等の親水性媒体によって粘着性を有するもの
であれば、特に限定されるものではない。例えば、ポリ
ビニルアルコールとその他の高分子と多価アルコールか
らなる組成物や、アルギン酸ナトリウム及び多価アルコ
ールとからなる組成物、ポリアクリル酸ナトリウムとグ
リセリンなどポリアクリル酸ナトリウムと相溶性を有
し、溶解して可塑化効果を示す材料からなる混合物をは
じめ、これら以外にもポリビニルピロリドン、ポリアク
リル酸及びその塩、ポリアクリルアミド、カルボシキメ
チルセルロース、アラビアゴム、ポリメチルビニルエー
テルなどの親水性ポリマーを主成分とする各種湿潤粘着
性組成物を用いることができる。

【０００８】また、当該湿潤粘着性組成物は、使用時に
塗布された化粧水や乳液によって湿潤され、顔面等に貼
付された後に乾燥して被膜を形成するものである。この
ため、上記湿潤粘着性組成物中に、水又は親水性溶媒が
蒸散し易いように、難溶性又は不溶性の各種の無機、有
機の充填剤や、貼付層に柔軟性を持たせるために各種の
可塑剤を配合することができる。

【０００９】無機の充填剤としては、例えばシリカ、ア
ルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、クレー、カオ
リン、硝子などの無機酸化物ないし複合酸化物をはじ
め、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパ
タイト、セラミックス、カーボンなどのその他の無機化
合物類、金属や各種金属の合金等の金属類などが例示さ
れる。有機の充填剤としては、例えば、セルロース、シ
ルク、ポリエステル、ポリオレフィンなどの繊維形成性
高分子類、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸
エステル、ポリスチレン、その他の有機高分子類などが
例示される。

【００１０】可塑剤としては、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールその他のポリエチレング
リコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリ
コールその他のポリプロピレングリコール類、グリセリ
ン、ジグリセリン、その他のポリグリセリン類、１，３
−ブチレングリコール、１，４−ブチレングリコールな
どのブチレングリコール類、ソルビトール、マンニトー
ルなどの糖アルコール類、ラノリン、レシチン、オリー
ブ油などのグリセライド類などが例示される。

【００１１】また、本発明においては、使用時に化粧水
や乳液、クリームなどの化粧品を貼付層表面若しくは貼
付部位表面に塗布して用いられるため、通常、当該化粧
品に用いられる化粧成分、例えば、各種ビタミンやアラ
イトインやグアイアズレンなどの抗炎症薬、γ−オリザ
ノールなどの皮脂分泌促進薬、プラセンタエキスやコラ
ーゲンなどの細胞賦活剤、にきびを予防するためのグル
ココルチコイドやエストロゲンなどのホルモン剤、ヒア
ルロン酸などの皮膚老化防止剤、アロエエキスなどの保
湿剤などを含有するものではないが、必要に応じて、湿
潤粘着性組成物の臭いをマスクするために香料を配合し
たり、その他防腐剤、着色剤などを湿潤粘着性組成物中
に配合することができる。さらに、乳液やクリームなど
に含まれている油溶性の化粧成分が充分に水賦活シート
状化粧用材に吸収されるよう、また、皮膚の薬剤透過性
を向上させるために予め界面活性剤を湿潤粘着性組成物
中に配合しておくこともできる。当該界面活性剤として
は、４級アンモニウム塩やアルキルピリジニウム塩など
のカチオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムや硫酸ドデシルナトリウムなどのアニオン界面
活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやショ糖
脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、Ｎ−アルキ
ル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性
界面活性剤の１種若しくは２種以上を用いることができ
る。

【００１２】上記湿潤粘着組成物は、水やエチルアルコ
ールなどの親水性媒体等と共に塗布液にされた後、以下
に述べるようなセパレータとなるシート状物或いは支持
体となるシート状物の上に塗布乾燥され、化粧成分非含
有貼付層に作製される。したがって、貼付層中に水や親
水性媒体がある程度含まれていてもよく、また、充分に
乾燥させた状態のいずれでも差し使えない。このとき、
貼付層の厚さは、２０〜１０００μｍ、好ましくは３０
〜５００μｍである。２０μｍよりも薄い場合には、化
粧水等を充分に含有させることができず、この点で、貼
付層の厚さは厚いほど好ましいが、１０００μｍよりも
厚い場合には、貼付層の柔軟性に欠くことになり、皮膚
への貼付感が悪くなる。

【００１３】本発明において用いられる支持体は、透湿
性を有するシート状のものであれば特に限定されるもの
ではなく、種々の材料からなる種々の構造のものを用い
ることができる。構造に関しては、織布、不織布、編
布、紙などの繊維の集合体類、および多孔性フィルム、
透気性フィルムなどのフィルム類等のシート状物が例示
される。また、材料に関しては、ナイロン、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セ
ルロースなどの合成あるいは天然の有機高分子類が例示
される。この中でも、不織布を用いるのが、通気性にも
優れ、安価に得られる点で好適である。

【００１４】また、化粧成分非含有貼付層を衛生的に保
存できる点や、水賦活シート状化粧用材を積み重ねた
り、ロール状にして保管できる点から、貼付層上にさら
にセパレータが積層されることが好ましい。このセパレ
ータとして、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、表面をポリマー処理した紙、あるいはその他のフ
ィルムやシートが例示される。

【００１５】本発明の水賦活シート状化粧用材は、貼付
前に化粧成分非含有貼付層の表面もしくは貼付部位表面
に塗布した水又は親水性媒体を含む化粧品と接触させ
て、湿潤状態で、顔面等に貼付して用いられる。すわな
ち、化粧水や乳液、クリーム等を予め顔面などに塗布す
るか、化粧水や乳液、クリーム等を予め貼付層の表面に
塗布して、貼付層と接触させる。このとき、湿潤粘着性
組成物が、接触した化粧品中の水や親水性媒体によって
溶解あるいは膨潤し、この状態で顔面等に貼付される。
この結果、湿潤粘着性組成物は粘着性を帯び、顔面等の
凹凸に入り込むようにして密着される。その後、貼付層
中の水や親水性媒体が支持体を通して蒸散され、貼付層
の凝集力が復元し、一部が凹凸に入り込んだままで被膜
が形成される。したがって、長時間皮膚に貼付した状態
を保つことができ、剥離時には被膜が皮膚に残らない状
態で引き剥がすことが可能になる。

【００１６】また、剥離時に乾燥しすぎた場合には、貼
付層に含まれる含水率が低くなり、剥離時に痛みを生じ
る場合があるが、この場合には少量の水や化粧水、親水
性媒体等を貼付層に含ませることにより、湿潤状態で剥
離することもできる。

【００１７】

【実施例】次に本発明の実施例である水賦活シート状化
粧用材を作製し、本発明による効果を確認した。

【００１８】（実施例１）重量平均分子量１２０万のポ
リビニルピロリドン５０重量％、グリセリン１５重量
％、無水ケイ酸３５重量％及び適量の水とを攪拌混合し
て、湿潤粘着性組成物の液状物を得た。この液状物を、
厚さ５０μｍの剥離処理を施したポリエステルフィルム
上に均一に塗布し、その上にレーヨン不織布（坪量４０
ｇ／ｍ²）を積層した後乾燥させて、実施例１の水賦活
シート状化粧用材を得た。当該水賦活シート状化粧用材
における化粧成分非含有貼付層の厚み及び含水率は、そ
れぞれ３００μｍ及び２２重量％であった。

【００１９】（実施例２）重量平均分子量１０万のポリ
アクリル酸ナトリウム７０重量％、グリセリン３０重量
％及び適量の水とを攪拌混合して、湿潤粘着性組成物の
液状物を得た。この液状物を、厚さ５０μｍの剥離処理
を施したポリエステルフィルム上に均一に塗布し、その
上にメリヤス布を積層した後乾燥させて、実施例２の水
賦活シート状化粧用材を得た。当該水賦活シート状化粧
用材における化粧成分非含有貼付層の厚み及び含水率
は、それぞれ７００μｍ及び５重量％であった。

【００２０】〔貼付試験〕上記で得た実施例１及び実施
例２の水賦活シート状化粧用材を用いて、貼付試験を行
なった。貼付試験は、各水賦活シート状化粧用材を４ｃ
ｍ×８ｃｍの大きさに裁断し、貼付層に市販の化粧水を
塗布した後、顔面に貼付し、皮膚固定性及び皮膚刺激性
について評価した。なお、比較例として、レーヨン不織
布（坪量４０ｇ／ｍ²）に化粧水を塗布して、顔面に貼
付した。

【００２１】（皮膚固定性）皮膚固定性は、貼付後１時
間経過時にも貼り付いている場合には「良好」として、
１時間以内に剥がれた場合には「不良」として評価し
た。

【００２２】（皮膚刺激性）皮膚刺激性は、剥離時に刺
激がない場合には「良好」として、剥離時に赤みがある
場合には「不良」として評価した。

【００２３】

【表１】

【００２４】〔試験結果〕表１からも分かるように、本
発明に係る水賦活シート状化粧用材を用いた場合には、
従来のように単なるシート状物を用いた場合に比べ、長
時間皮膚に貼付できた。また、刺激を与えることなく剥
離することができ、化粧用パフの代用として良好に用い
ることができた。

【００２５】

【発明の効果】本発明にあっては、透湿性を有するシー
ト状支持体上に設けられた湿潤粘着性組成物からなる化
粧成分非含有貼付層が、塗布された化粧水や乳液等に含
まれる水やエチルアルコールなどの親水性媒体によって
粘着性を示し、本発明に係る水賦活シート状化粧用材が
長時間皮膚に貼付される。その結果、化粧水や乳液等と
長時間接触させることができ、化粧品としての作用を十
分に発揮させることができる。

【００２６】特に、シート状支持体に不織布を用いる
と、透湿性にも優れ、安価に水賦活シート状化粧用材を
提供できる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透湿性を有するシート状支持体上に、湿
   潤粘着性組成物からなる化粧成分非含有貼付層を設けた
   ことを特徴とする水賦活シート状化粧用材。
2. 【請求項２】 前記シート状支持体は、不織布である請
   求項１記載の水賦活シート状化粧用材。
3. 【請求項３】 請求項１又は２記載の水賦活シート状化
   粧用材の使用方法であって、 貼付前に前記化粧成分非含有貼付層の表面もしくは貼付
   部位表面に塗布した水又は親水性媒体を含む化粧品と接
   触させて、湿潤状態で貼付することを特徴とする水賦活
   シート状化粧用材の使用方法。