JP2016155286A - ポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、長尺のペースト押出シートを幅方向のみの延伸でPTFE多孔質シートを製造する手段の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係るPTFE多孔質シートの製法は、シリンダー11とオリフィス12と扇形のフラットダイ13とからなり、シリンダー中空部断面積に対するオリフィス中空部断面積の絞り比が10:1〜30:1、フラットダイ開口部開口面積B×Tがオリフィス絞り口開口面積c×dの125〜300%、フラットダイ開口部の両側面間の内法長さが100〜500mm、2つの平面間の内法長さが1〜5mmのペースト押出成形金型10により押出成形シートを作成し、当該押出成形シートから成形助剤を除去した成形助剤除去シートをテンター装置により幅方向に1.2〜25倍に延伸して幅方向延伸シートを作成し、当該幅方向延伸シートを熱固定処理することにより作成される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、広幅及び長尺で、かつ、肉厚のポリテトラフルオロエチレン(以下、単に「PTFE」という。)多孔質シートを製造する方法及び該製造方法により製造されたPTFE多孔質シートに関する。
PTFE多孔質シートの製法としては、PTFEを乳化重合した粉末、いわゆるPTFEのパウダーにナフサ等の成形助剤を混和し、ペースト押出成形を経て、カレンダーロールで圧延した後に、成形助剤を加熱除去したPTFEの長尺シートを作成し、当該長尺シートを押出方向にのみ延伸した後、PTFEの融点以上の温度で熱固定処理して製造するPTFE多孔質シートが提案されている。この製法により作成されたPTFE多孔質シートは、薬液フィルターやベントフィルターなどのフィルターに使用されている。
一方、広幅のPTFE多孔質シートの製法としては、PTFEの長尺シートを押出方向に延伸した後、当該押出方向に延伸した長尺シートをテンター装置で幅方向(幅方向とは、押出方向に直交する方向である)に延伸し、PTFEの融点以上の温度で熱固定処理して製造することが提案されている。この製法により作成された広幅のPTFE多孔質シートは、これにポリエステルなどの合成樹脂製シートを貼り合わせて作成したPTFE複合合成樹脂製シートが、その防水性を利用して、ウインドブレーカーやヤッケなどの外衣、靴、手袋、帽子、レインコートや傘などの雨具の製造に使用されている。また、広幅のPTFE多孔質シートと不織布とを貼り合わせて作成したPTFE複合不織布がエアーフィルターに使用され、広幅のPTFE多孔質シートとガラス繊維シートとを貼り合わせて作成したPTFE複合ガラス繊維シートがバグフィルターに使用されている。
従来の押出成形における肉厚・広幅のPTFE多孔質シートは、熱固定処理前の厚みが5μm〜100μmのシートを積層し、PTFEの融点以上で加熱処理した積層体にする必要があった。また、押出成形によらない製法としては、PTFEファインパウダーをそのまま擂り潰してパルプ状繊維にし、多量の界面活性剤を使用してPTFEのパルプ状繊維を水分散させ、これを抄紙したものを乾燥及び焼結させることによって肉厚及び広幅で長尺のPTFE多孔質シートを作成することができたが、複雑で長いプロセスを必要とする困難さがあった。この厚みが厚いPTFE多孔質シートとしては、厚み0.5mm又は1mm、幅60cmの商品「ポリフロン(ダイキン工業株式会社の登録商標)」ペーパーが市販されている。
下記特許文献1に示される広幅のPTFE多孔質シートの製法は、まず押出方向の延伸を行い、続いて幅方向の延伸を行い、その後、熱固定処理する製法である。この製法により広幅のPTFE多孔質シートを得るために、延伸前にペースト押出されたシートを200μm前後の厚みに圧延して圧延シートを作成し、このシートを出発材料として押出方向に延伸した後に幅方向に延伸しなければ、面積倍率で100〜200倍を超える広幅のPTFE多孔質シートは得られなかった。このようにPTFEの長尺シートを幅方向に延伸する製法としては、PTFEの長尺シートを押出方向に延伸した後に幅方向に延伸する製法に限られており、厚みが200μm以下の広幅のPTFE多孔質シートのみであった。
上記の製法は、下記特許文献2に記載の、PTFEペースト押出成形体から製造されるPTFE多孔質構造体やPTFE多孔質シートに関する製法をよりどころとしている。例えば、特許文献2の実施例によれば、長尺シートの幅方向の伸張条件を、温度50℃、延伸速度比率500%/秒とすれば多孔質シートが作成でき、225℃、延伸速度比率5%/秒では破断して多孔質シートが作成されないとされており、幅方向のみの延伸は極めて限定された伸張条件の下でなければ困難であった。さらに、特許文献2における「例9」に、延伸した後の熱処理されていない延伸フィルムを交互に積層し、融点以上で熱処理して厚み0.5mm以上のPTFE多孔質シートを得る方法が示されている。このような方法で厚みを0.5mm以上にした商品「ハイパーシート(ダブリュー.エル.ゴア アンド アソシエーツ,インコーポレイテッドの登録商標)」が市販されている。
また、特許文献3には、長尺シートの幅方向の延伸が成形助剤存在下で行うことができることが示されている。この成形助剤を含んだ状態で延伸を行う方法は、幅方向延伸後に成形助剤の除去工程、すなわち成形助剤乾燥・抽出工程後、再び延伸を行う方法である。成形助剤存在下ではPTFEは多孔質にはならないために、このような複雑な工程を経ることになる。
特許文献4には、積層予備成形体を押出す方法として、第2の結晶性ポリマーシート層が第1の結晶性ポリマーシート層で被覆されてなる積層予備成形体を押出方向に押出す方法であって、成形金型を用いて積層予備成形体を押出す方法が挙げられ、積層予備成形体の押出す温度としては19℃〜200℃が好ましい、ことが開示されている。
特許文献5には、積層体を形成する際の押出し方法としては、公知のペースト押出装置を用いる方法が挙げられ、積層体を形成する際の押出しに用いるペースト押出装置のシリンダー部の形状としては軸直角方向断面は50mm×100mmの矩形であり、出口部でシリンダー部の一方が絞られたノズル50mm×5mmで構成される形状が挙げられ、積層体を形成する際の押出し温度としては19℃〜200℃で行うことが好ましく、積層体を形成する際の押出し形状としては棒状が好ましく、シート状がより好ましい、ことが開示されている。
このように、特許文献4及び5においては押出成形シートの助剤除去後に当該シートを幅方向に延伸することは開示されていない。そして押出シートを0.2mm以下に圧延し、助剤除去後に特許文献1と同様な延伸を行うことが示されている。
特許文献6には、次のような成形金型に関する記載がある。すなわち、押出工程は、予備成形体投入部と、該予備成形体投入部に接続された絞り部と、該絞り部と接続され、中心角度が80°以上の扇部とを有する押出装置により、予備成形体をシート状に押出す工程である。押出工程で用いる押出装置における予備成形体投入部の断面積と、絞り部における最小断面積との絞り比は、押出装置における予備成形体投入部の断面積A1と、絞り部における最小断面積A2との比(A1/A2)により表される。押出工程で用いる押出装置の絞り比を低くすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。押出工程で用いる押出装置における絞り比としては16以下が好ましく、16を超えると、予備成形体を高せん断で押出すことになり、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがある。一方、絞り比が8〜14であると、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。扇部の中心角度を80°以上160°以下とすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。前記中心角度が80°未満であると、必要なサンプル幅を確保するため押出口までの距離が長くなり押出物にせん断がかかるため、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがあり、160°を超えると、幅方向の均一な押出が困難なことがある。一方、中心角度が90°以上140°以下であると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が適切となるため、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。押出工程で用いる押出装置における扇部の出口幅は、押出装置における幅をいい、扇部下部の幅方向が一定の値となる幅をいう。前記扇部の出口幅を150mm〜500mmとすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。扇部の出口幅が150mm未満であると、延伸が不安定になることがあり、500mmを超えると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が長くなるため、予備成形体を高せん断で押出すことになり、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがある。一方、前記扇部の出口幅が200mm〜400mmであると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が適切となるため、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。押出工程における押出方法としては、押出装置により、19℃〜200℃の温度にて予備成形体を押出す方法が好ましい。押出す際の形状としては棒状が好ましく、シート状がより好ましい。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの厚みとしては50μm〜250μmが好ましく、50μm未満であると、製膜中に破断することがあり、250μmを超えると、圧延機に対する負荷がかかりすぎることがある。なお、厚みが80μm〜200μmであると、多段圧延適性の点で有利である、ことが記載されている。
このように、特許文献6には、予備成形体投入部と、該予備成形体投入部に接続された絞り部と、該絞り部と接続され、中心角度が80°以上の扇部とを有する成形金型が開示されており、成形金型における予備成形体投入部の断面積と、絞り部における最小断面積との絞り比が16以下、扇部の出口幅が150mm〜500mm、押出装置による前記予備成形体を押出す温度が19℃〜200℃、押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの厚みが50μm〜250μmとすることが開示されている。
特許文献7には、次のような成形金型に関する記載がある。すなわち、押出工程は、予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、予備成形体投入部における押出方向と直交方向の最大断面積と、絞り部における押出方向と直交方向の最小断面積との絞り比が50以上である押出装置を用いて、予備成形体をシート状に押出す工程である。前記絞り比が50以上800未満であると、プレス圧が過剰になることなく予備成形体の送り方向、厚み方向、幅方向の全てに対し高せん断を印加しながら押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。扇部の中心角度が、過剰に広いとシートに裂けを生じやすく、過剰に狭いとせん断を与えるために必要な横方向の変形を与えるための長大な金型が必要となり押出し圧が上昇し、実質的に利用不可能な押出圧となるおそれがある。前記扇部の出口幅は、該扇部の出口開口長さ乃至幅をいい、扇部における下流出口の幅方向が一定の値となる幅をいう。扇部の出口幅が不足すると十分なせん断を与えることができず、過剰に広いとシートに裂けを生じるか又は押出し圧が過剰となって適正な押出しが行えないおそれが生じる。前記扇部の中心角度30°以上75°以下及び出口幅200mm以上600mm以下であると、予備成形体に対し、絞り比のせん断効果に加えて更に幅方向に高いせん断力を印加することが可能になり、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出装置の前記出口下部の平均厚みにより、押出しによって得られるシート状成型体の厚みを規定することができ、このシート状成型体の厚みを適宜設定することにより、押出工程及び圧延工程をよりスムーズに行うことが可能である。扇部における下流出口の平均厚みとしては0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出装置における予備成形体の押出速度としては0.5m/分〜10.0m/分が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出工程における押出温度としては、形状安定性の点で、30℃以上60℃以下が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートは、送り方向、幅方向、及び厚み方向の全方向に対して高せん断が印加され、強靭な結晶性ポリマーからなるシートとなり、その強靭さは規定引張り倍率における強度によって表現することができる。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの幅方向の1,000%引張り強度としては6MPa以上が好ましい。
このように、特許文献7には、予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなる成形金型が開示されており、予備成形体投入部における押出方向と直交方向の最大断面積と、絞り部における押出方向と直交方向の最小断面積との絞り比が50以上、扇部の出口幅は200mm以上、扇部出口の平均厚みは0.5mm以上3.0mm以下、予備成形体の押出速度が0.5m/分〜10.0m/分、押出工程における押出温度が30℃以上60℃以下、押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの幅方向の1,000%引張り強度が6MPa以上とすることにより、押出しとカレンダーロールによる圧延のみで平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能であることが開示されている。
特開2007−260547号公報 特開昭51−30277号公報 特開2009−24040号公報 特開2012−192308号公報 特開2012−139624号公報 特開2012−172085号公報 特開2012−206113号公報
上記のように従来の広幅のPTFE多孔質シートの製造方法は、そのほとんどが、まず押出成形シートを押出方向に延伸し、次に押出成形シートを幅方向に延伸するという製造方法に限定されていた。
また、上記特許文献6に記載の発明は、押出工程により絞り比が16以下である成形金型を使用して、厚みが50μm〜250μmの結晶性ポリマーのシートを製造するものであり、0.5mm以上の厚みがあり、広幅で長尺のPTFE多孔質シートを製造することは考慮されていない発明である。
さらに、特許文献7に記載の押出成形シートは、絞り比が50以上であり、扇部出口の平均厚みが0.5mm以上3.0mm以下の成形金型を使用して押出成形を行った後、圧延工程を経て厚みが50μm以下の結晶性ポリマーからなるシートを製造するもので、0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートを得ることができるものであるが、この0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートの状態で押出方向の延伸を行う前に幅方向の延伸ができる記載はなく、絞り比が50以上であるため、実際には押出方向に延伸する前に幅方向の延伸ができない。また、特許文献7に記載の発明は、押出工程及び圧延工程を経て厚みが50μmのシートを製造するものであり、0.5mm以上の厚みがあり、広幅で長尺のPTFE多孔質シートを製造することは考慮されていない発明である。
そこで、本発明者は、従来においてPTFEペースト押出成形品を延伸する最初の方向が押出方向に限られる問題、及び、特許文献7に示される0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートが幅方向に延伸できない問題を研究した。
その結果、PTFEファインパウダーの重合粒子が、図1に示すように、0.2μm〜0.4μmの米粒のような楕円球形状をしており、この形状に起因して、ペースト押出による押出成形や圧延ロールによる圧延時においては、重合粒子はその周囲から加圧されながら成形されるため、それによって成形される成形物は、重合粒子の楕円球形状の長径方向が揃うように押出方向や圧延方向に整列してしまうことを発見し、その結果、成形物の押出方向に重合粒子の配列配向が強く、前記成形物を助剤除去後に幅方向に引っ張ると、図2に示すように、幅方向に繊維状に細かく裂けてしまって幅方向に延伸することができず、押出方向又は圧延方向にしか延伸できないことが判明した。
なお、配列方向が揃っている重合粒子は単に整列しているのではなく、重合粒子の物理的な結合強度が上がっており、配列方向の延伸作用を受けると、この結合強度により重合粒子の一部は重合粒子間に跨がる極細小繊維のフィブリルに変形し、一部はフィブリルを結節するノードに変化する。その結果、フィブリルとノードとからなる多孔性物品が得られることが知られている。
また、この工程においてシリンダー中空部の断面積とオリフィス中空部の断面積との比が50:1の絞り比を超えると、オリフィス内での重合粒子が過度に整列することにより粒子間の押出方向の繋がりが大きくなり、オリフィスの断面積よりフラットダイ面積が大きい場合であっても、重合粒子個々の挙動が行われにくくなるので、作成された押出成形シートは、重合粒子が押出方向に整列した状態となるため、結局、押出方向にのみ延伸できるシートしか得られないこととなり、特許文献7に記載の押出成形シートも絞り比が50以上であるため、幅方向には延伸することができないことが判明した。
また、上記の市販されている商品名「ポリフロン」のペーパー及び商品名「ハイパーシート」は、ドレープ性に欠けており、これらペーパー及びシートが利用できる範囲が限られるという問題点があった。
商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーは、PTFEの繊維化された短繊維を抄紙する方法で造られ、厚み0.5mm空孔率78%のシート及び厚み1mm空孔率76%のシートが市販されているが、短繊維の絡みだけなので強度とドレープ性に劣る。
また、商品名「ハイパーシート」は、延伸PTFEフィルムを、その延伸方向が交互になるように重ねて焼結した多孔質シートである。この多孔質シートは、その比重が0.6g/cc、PTFEの比重が2.1g/cc〜2.2g/ccであることから、空孔率が71%〜73%であり、この多孔質シートの厚みは0.5mmから10mmである。しかし、このシートの製法は10μm〜20μmの薄いフィルムを交互に重ねて製造する方法であるため、製造されるシートの幅及び長さが制限され、製造会社の商品カタログによると最大1.5m×3mであり、ドレープ性にも劣るものである。
本発明者は、鋭意研究した結果、ペースト押出成形における前記押出方向に整列している重合粒子を幅方向に変更させて整列させることにより、ペースト押出成形シートを押出方向に延伸することなく幅方向に延伸する方法を見出し、ドレープ性に富んだ広幅及び長尺で、肉厚のPTFE多孔質シートを完成するに至ったのである。
本発明の請求項1に係るPTFE多孔質シートの製造方法は、厚みが1mm〜5mm、空孔率が45%〜95%のPTFE多孔質シートの製造方法であって、成形助剤を添加したPTFEパウダーにより予備成形体を作成し、前記予備成形体をペースト押出成形金型内に投入し、当該成形金型内の予備成形体を押し出すラムによって、当該成形金型内の予備成形体を連続的に押し出すことにより押出方向に長尺の押出成形シートを作成し、前記押出成形シートから前記成形助剤を除去することにより成形助剤除去シートを作成し、テンター装置に前記成形助剤除去シートの幅方向両端を固定し、PTFEの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸シートを作成し、前記幅方向延伸シートを熱固定処理することにより製造されるPTFE多孔質シートであり、前記成形金型は、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備え、前記シリンダーは中空筒状であり、当該シリンダーに連設されている前記オリフィスは中空矩形状であって、当該シリンダー中空部の断面積に対する当該オリフィス中空部の断面積の比が10:1〜30:1の絞り比であり、前記オリフィス中空部の矩形状断面は長辺の長さが短辺の長さの1〜3倍の矩形であり、前記オリフィスの出口である絞り口に連設されている前記フラットダイは、当該オリフィスの絞り口側を基部として扇状に広がる2つの平面と、当該2つの平面の両側端部を連結する側面とにより囲まれ、扇状の円弧側先端に細幅のフラットダイ開口部が形成された中空扇状をなし、当該2つの平面の扇状の基部から円弧側先端に向かって当該2つの平面の間隔が狭くなるように構成されており、前記フラットダイ開口部の開口面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%であり、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さは100mm〜500mmであり、前記2つの平面間の内法長さは1mm〜5mmであることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るPTFE多孔質シートの製造方法は、厚みが0.5mm以上、空孔率が45%〜95%のPTFE多孔質シートの製造方法であって、上記請求項1に記載の押出成形シートを圧延ロールにより圧延し、厚みが0.5mm以上で元の厚みの35%以上の厚みの圧延シートを作成し、前記圧延シートから成形助剤を除去することにより成形助剤除去圧延シートを作成し、テンター装置に前記成形助剤除去圧延シートの幅方向両端を固定し、PTFEの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去圧延シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸圧延シートを作成し、前記幅方向延伸圧延シートを、熱固定処理することにより製造したことを特徴とする。
本発明の請求項3に係るPTFE多孔質シートの製造方法は、請求項1に記載の幅方向延伸シート又は請求項2に記載の幅方向延伸圧延シートを、さらにその押出方向に1.2倍〜25倍に延伸した後に熱固定処理したことを特徴とする。
本発明の請求項4に係るPTFE多孔質シートは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の請求項5に係るPTFE多孔質シートは、シートを水平状態で空中に徐々に張り出させ、その先端が垂下し始めたときの張り出したシートの長さが4cm以下のドレープ性を有することを特徴とする。
本発明のPTFE多孔質シートの製造方法によれば、2.5m幅を超える5m幅で0.5mm以上の厚みのある長尺でドレープ性に富むPTFE多孔質シートを容易に製造することができる。
PTFE重合粒子の電子顕微鏡写真である。 シリンダーとオリフィスの断面積比が100対1(RR100)の押出品を裂き割った状態を示す写真である。 フラットダイの残留成形体の助剤乾燥で現れた重合粒子の配向状態を示す写真である。 ペースト押出成形金型におけるシリンダー、オリフィス及びフラットダイが連設した状態を示す概略模式図である。 ペースト押出成形金型の内部構造を示す写真である。 PTFEペースト押出の成形状態を示す写真である。 PTFEペースト押出の成形状態の立体写真である。 図3の写真に関して、フラットダイにおけるPTFE重合粒子を巨視化した整列配向の概念図である。 延伸試験器具の写真である。 延伸試験器具に押出成形シートを固定端クリップおよび可動端クリップにより固定した状態を示す写真である。 延伸試験器具により5倍延伸品を作成した状態を示す写真である。 実施例3のPTFE多孔質シートと商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した写真である。 実施例3のPTFE多孔質シートと商品名「ハイパーシート」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した写真である。
本発明の実施形態に係る前記PTFEファインパウダーは、数平均分子量400万以上のホモ系重合品が好ましい。
本発明の実施形態に係る前記成形金型におけるシリンダーは、中空形状であれば、その内面形状は特に限定されず、断面円形であっても断面矩形であってもよい。前記のオリフィス中空部の断面が長方形の場合、フラットダイとの連設はオリフィス中空部の断面の長方形の辺の長い方が、フラットダイに直交する方向とするか、又は平行な方向とするかのいずれでもよい。また、シリンダー中空部の断面積に対するオリフィス中空部の断面積の絞り比は10:1〜30:1とする。前記のフラットダイ開口部の開口面積は、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さと前記2つの平面間の内法長さとの積となる。本発明の実施形態に係る押出成形シートを作成する手段は、図4及び図5に示すように、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備えるペースト押出成形金型の構造にあり、シリンダー、オリフィス及びフラットダイの相関関係にある。金型の三つの部分の役割は、シリンダーが予備成形体を挿入する場所であり、図8に示すように、シリンダー内の重合粒子が並ぶ方向はまったくランダムであり、予備成形体の入り口方向からラムによって押出作用を受け、ついでPTFE重合粒子はオリフィスで押出方向に整列する作用を受ける。続いて扇状に広がるフラットダイに進み、このフラットダイに進むところでオリフィスの絞り口の開口面積よりフラットダイ開口部の開口面積を大きくすることによって、かつ、オリフィスの絞り比が30以下であることによって、オリフィスの絞り口では押出方向に整列していた重合粒子の整列が崩れて幅方向に向きを変えて整列するので、幅方向に延伸することができる。図8において、右上に表した模式図は、左の図における(S1)の部分を表し、右中間に表した模式図は、左の図における(S2)の部分を表し、右下に表した模式図は、左の図における(S3)の部分を表す。このように変化する状態を図3、図6及び図7に示す。前記フラットダイ開口部の面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%とする。逆にオリフィスの絞り口の開口面積よりフラットダイ開口部の開口面積が小さいと、フラットダイの内部で重合粒子はさらに押出方向に整列し、重合粒子の整列方向が押出方向のままとなるので、幅方向に延伸することができなくなる。また、フラットダイ開口部の隙間、すなわちフラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さが1mm未満になると、フラットダイ開口部における壁間抵抗のために重合粒子が押出方向に整列させられてしまうので、幅方向の延伸を行うことができなくなる。
本発明の実施形態に係る前記PTFE多孔質シートの厚みは、フラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さの設定によって決まるが、最小限1mmから最大限5mmである。
本発明の実施形態に係る前記の圧延ロールにより圧延される最小限の厚みは、ペースト押出成形金型によって押出された押出成形シートの厚みの35%までに圧延されたシートに限られる。フラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さが1.5mmの場合における押出成形シートは圧延により約0.5mmまで圧延することできる。また、本発明で押出成形された助剤含有シートを圧延ロールで元の厚みの35%までに圧延した場合には、助剤除去後の助剤除去シートは幅方向に延伸することが可能となる。元の厚みの35%未満の厚みまで圧延すると幅方向に延伸できなくなる。
本発明の実施形態に係る幅方向の延伸に使用する前記テンター装置としては、シートの厚みが自由に変えられる点で、シートの両端を差し込んで把持するピンを採用している形式のピンテンターが好ましい。なお、シートの幅長さの上限はテンター装置の問題であるが、幅5mを超えるテンター装置が使用されている。また、PTFE多孔質シートとしては、幅約200mmから10倍前後に延伸された幅2500mmの二軸延伸シートが製造されているので、幅500mmの成形押出シートから10倍の幅5mのPTFE多孔室シートを作成することが可能である。前記の幅方向に延伸する際の延伸温度として記載したPTFEの室温転移温度とは、示差走査熱量計で測定される吸収ピークの温度が室温の19℃〜21℃に存在する転移温度のことを意味する。実際の延伸温度はコントロールされるべきであり、50℃以上、好ましくは100℃以上である。このようにして押出成形シートを幅方向に延伸を行うことにより肉厚・幅広の長尺シートが得られる。
本発明の実施形態に係る前記の押出成形シート又は圧延シートは、これを幅方向に延伸を行った後、熱固定処理をしていない状態でシートの押出方向に1.2倍以上に延伸して2軸延伸シートとした後に熱固定処理してPTFE多孔質シートを得ることができる。押出方向の延伸倍率は最大25倍である。
前記の熱固定処理は、通常PTFEの融点以上で行うが、それに限定されず融点より低く、延伸温度より50℃以上高い温度で熱処理してもよい。
前記のドレープ性を有するPTFE多孔質シートの例としては、厚みが1mmで空孔率が70%〜75%のPTFE多孔質シートの場合は、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さが4cm以下を達成している。厚みが1mmで空孔率が75%を越えれば越えるほど垂れ下がりやすくなり、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cmより短くなっていくのでドレープ性が向上する。また、空孔率が70%〜75%の範囲で厚みが1mmより薄くなればなるほど垂れ下がりやすくなり、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cmより短くなっていくのでドレープ性が向上する。さらに、空孔率が95%の場合には、厚みが1mm以上の一定の範囲において水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cm以下となる。さらにまた、厚みが0.5mmの場合には、空孔率が75%未満の一定の範囲において水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cm以下となる。
本発明の実施形態に係るPTFE多孔質シートの製造方法により、肉厚・広幅・長尺のPTFE多孔質シートが提供でき、また、ドレープ性に優れたPTFE多孔質シートを提供できる。
次に本発明の好適な実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
1.金型
本実施例におけるPTFE多孔質シートは、その作成において次のような形状の金型によって達成される。
図4及び図5に示すように、ペースト押出成形金型10は、予備成形体が充填されるシリンダー11とオリフィス12と扇状のフラットダイ13とから構成される。シリンダー11は、その断面の内面形状が1辺aの長さ70mmの正方形をなすものである。当該シリンダー11の下部に連設されるオリフィス12は、絞り角70度であって、その絞り口が、フラットダイ13の扇状に広がる方向の幅dが15mmであり、フラットダイ13の先絞りになる方向の幅cが20mmであって、その絞り比が16.33であり、長さLが20mmの大きさをなすものである。前記オリフィスの絞り口の先端には、角度80度の扇状に広がるフラットダイ13が連設されている。前記フラットダイ13は、扇状に広がる1対の平板と、当該1対の平板の両側端部を連結する側板とにより囲まれた中空扇形形状をなす。詳細には、該中空扇形形状の基部から扇状の円弧側先端のフラットダイ開口部に向かって1対の平板の間隔が漸次狭くなるように構成されており、そのフラットダイ開口部幅Bが250mmであり、また扇状に広がるに従い先絞り状になっているフラットダイ開口部先端の隙間Tが2.2mmであり、フラットダイ開口部の開口面積はオリフィス絞り口の開口面積より183%増大する扇状に広がる形状を有する。なお、ペースト押出成形金型は前記のサイズに限られるものではなく、最終目的物である多孔質シートのサイズに応じて適宜変更してもよい。
2.シートの成形
PTFEファインパウダーはF106(ダイキン工業株式会社製)1kgを広口ポリエチレン瓶に計量し、そこに成形助剤アイソパーH(エクソン株式会社製)23重量部を添加し、添加後1昼夜25℃で保温熟成した。
予備成形体は、前記の保温熟成したパウダー1kg分を、1辺が69mmの正方形の断面で長さ175mmのサイズの中空角柱状の圧縮成形体にて作成した。
予備成形体を上記のペースト押出成形金型10に挿入し、ラムの速度約15mm/分で連続した押出成形シートを作成し、さらに、当該押出成形シートに含む成形助剤を乾燥炉で加熱除去して成形助剤除去シートを作成した。
得られた成形助剤除去シートは、巻取時の張力により減縮して幅210mm、ペースト押出成形金型のフラットダイ開口部先端の隙間2.2mmより増大した厚みが2.8mmのシートであった。
なお、上記の予備成形体は、上記のペースト押出成形金型の形状及びサイズに対応して作成したものであるが、ペースト押出成形金型の形状及びサイズが変化すれば、それに応じて予備成形体の形状及びサイズも変化する。
3.多孔質シートの加工
比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、以下の加工を行った。
図9に示す延伸試験器具を使用し、図10に示すように、成形助剤除去シートの幅方向の一端を延伸試験器具(製造においてはピンテンター等のテンター装置を使用する)の左端に備えられた固定側クリップにナット締めにより固定し、前記固定側クリップの右方に位置する可動側クリップに成形助剤除去シートの幅方向の他端をナット締めにより固定した。固定側クリップと可動側クリップとの間隔は5cmである。そして、図9に示すように、延伸試験器具右端の手回しハンドルを回して可動側クリップを右方にスライドさせ、固定側クリップと可動側クリップとの間隔を30cmに拡張して、図10に示す5cm長さの成形助剤除去シートを、図11に示すように、30cm長さに5倍延伸した幅方向延伸シートを作成した。この延伸試験器具は手動で行うものであり、熱風発生器プラジェット(株式会社石崎電機製作所製)を用いて加熱しながら5倍の延伸を行った。手動での延伸速度としては、5cmを30cmに延伸する時間を2分間とした。延伸速度比率は500%÷120秒=4.17%/秒であった。延伸時のPTFEの温度はレーザー光温度計AD−5611A(A&D Company,Limited社製)で測定した。温度範囲は150〜100℃であった。なお、次の熱処理工程前であれば、幅方向に延伸後、押出方向への延伸が可能であった。
次に上記幅方向延伸シートをクリップで挟み370℃の加熱炉で30分間熱処理を行い、実施例1に係る肉厚の多孔質シートを作成した。このようにして、上記の製造方法における押出成形シートを乾燥した後にシートの幅方向に均一に延伸して空孔率78%の肉厚のPTFE多孔質シートが得られた。このPTFE多孔質シートは圧延ロールの圧延作用を受けることなく連続した幅広で肉厚のシートである。
シートを幅方向に均一に延伸できる理由は、このペースト押出成形金型内において、絞り比16.33のオリフィスによりPTFEのペーストの流動が押出方向になるが、その先のフラットダイにおいてペーストが扇状に広がる過程でペーストの流動が押出方向から幅方向に変化するため、PTFEの粒子配向が押出方向と直交する幅方向に変化したことによる。
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1.5mm(元の厚みの68%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、熱固定処理を行うことにより、空孔率79%の肉厚の多孔質シートが得られた。
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1.2mm(元の厚みの55%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、熱固定処理を行って、空孔率75%の肉厚の多孔質シートが得られた。
本実施例は、実施例1において使用したペースト押出成形金型より一回り小さいダイスを使用したペースト押出成形金型、すなわち、シリンダーは、その断面の内面形状が1辺aの長さ50mmの正方形をなし、当該シリンダーの下部に連設されるオリフィスは、絞り角60度であって、その絞り口が、扇形に広がる方向の幅dが10mmであり、先絞りになる方向の幅cが20mmであって、その絞り比が12.50であり、長さLが20mmの大きさをなし、前記オリフィスの絞り口の先端には、角度70度の扇状に広がるフラットダイが連設されている。前記フラットダイは、扇状に広がる1対の平板と、当該1対の平板の両側端部を連結する側板とにより囲まれた中空扇形形状をなす。詳細には、該中空扇形形状の基部から扇状の円弧側先端のフラットダイ開口部に向かって1対の平板の間隔が漸次狭くなるように構成されており、そのフラットダイ開口部幅Bが150mmであり、また扇状に広がるに従い先絞り状になっているフラットダイ開口部先端の隙間Tが2mmであり、フラットダイ開口部の開口面積はオリフィス絞り口の開口面積より150%増大する扇状に広がる形状を有する。
このサイズの異なったペースト押出成形金型を用いて実施例1と同様の手順にて押出成形シートを作成し、成形助剤乾燥除去前に押出成形シートを押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1mm(元の厚みの50%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、さらに熱固定処理を行い、空孔率73%の肉厚のPTFE多孔質シートが得られた。なお、圧延シートに加工する前の成形助剤除去シートは、幅146mm、厚み2.4mmであった。
実施例4においては、押出成形シートをカレンダーロールによって、それぞれ上記の厚みまで圧延した。その後、実施例1と同様に成形助剤を除去し、成形助剤が乾燥除去された成形助剤除去圧延シートをそれぞれ幅方向に延伸し、その後、押出方向に延伸した。その結果、厚みがあり、長尺で広幅のPTFE多孔質シートが得られた。
比較例1
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み0.5mmの連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸したが、延伸しない部分と局部的に延伸作用を受ける部分とによりネッキングが発生し、均一な延伸ができなかった。
比較例1の場合は、シートの厚みが元の厚みの23%まで圧延された結果、幅方向の不均一延伸が発生した。このようなことが起こるのは、実施例1と同様に作成し、幅方向に粒子を整列させた押出成形シートを過度に圧延した結果、幅方向に整列している粒子の配列方向が崩れたことによるものと思われる。
比較例2
実施例4と同様のペースト押出成形金型で成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み0.13mm(元の厚みの6.5%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、その両端を保持して幅方向に延伸したが、局所のみに延伸作用が加わってネッキングが発生し、均一に延伸ができなかった。
比較例3
実施例1の金型のシリンダーの形状及びサイズ、フラットダイの形状及び開口部のサイズは同一で、オリフィスの絞り口を小さくして絞り比を48.55とした結果、面積増大率が545%となり、押出成形時に蛇行しながらシートが押し出されたため、正常な押出成形シートは得られず延伸機に設置することができなかった。
比較例4
実施例4の金型のシリンダーの形状及びサイズ、オリフィスの形状及びサイズは同一で、フラットダイ開口部の隙間を1mmにしたことによって面積増大率は75%となった。
実施例1と同様に押し出したシートの成形助剤を乾燥除去した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断して、実施例1と同様に幅方向の延伸を行ったがネッキングが発生し、不均一な延伸となった。
上記の実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例4により得られた各シートの性能結果を下記表1に表す。
次にドレープ性についての実験を行った。
図12に示すように、実施例3により作成した厚みが約1mmで空孔率約75%のPTFE多孔質シートと、厚みが約1mmで空孔率約76%の商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した。図12の写真の手前側に写っているのが実施例3のPTFE多孔質シートであり、図12の写真の奥に写っているのが商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーである。当該写真から明らかなように、実施例3により作成したPTFE多孔質シートのドレープ性の方が高いことがわかる。実施例3により作成したPTFE多孔質シートが垂下し始めるのが3cmであるのに対し、商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーが垂下し始めるのが10cmであった。
また、図13に示すように、実施例3により作成した厚みが約1mmで空孔率約75%のPTFE多孔質シートと、厚みが約1mmで空孔率71%の商品名「ハイパーシート」とのドレープ性を比較した。図13の写真の手前側に写っているのが実施例1のPTFE多孔質シートであり、写真の奥に写っているのが商品名「ハイパーシート」である。当該写真から明らかなように、実施例3により作成したPTFE多孔質シートのドレープ性の方が高いことがわかる。実施例3により作成したPTFE多孔質シートが垂下し始めるのが3cmであるのに対し、商品名「ハイパーシート」が垂下し始めるのが15cmであった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明の製造方法により製造されたPTFE多孔質シートは、例えば骨折などの際にギプス包帯で固定するときに皮膚と接触する側のインナー材や、半導体製造工程に使用されるリン酸類の液体を流す管や継ぎ目あるいはバルブ廻りの断熱保温材等の形状が複雑に変化する要所・物品の包装を容易に行うことができ、ソフトなクッション材、電子機器のシール材、液晶基板の設置部材、絶縁材など広範囲に使用できる。
10…ペースト押出成形金型
11…シリンダー
12…オリフィス
13…フラットダイ
a…シリンダーの断面の内面形状の1辺
c…オリフィス絞り口における先絞りになる方向の幅
d…オリフィス絞り口における扇形に広がる方向の幅
L…オリフィス絞り口の長さ
B…ダイス開口部の幅
T…ダイス開口部の隙間
本発明は、広幅及び長尺で、かつ、肉厚のポリテトラフルオロエチレン(以下、単に「PTFE」という。)多孔質シートを製造する方法及び該製造方法により製造されたPTFE多孔質シートに関する。
PTFE多孔質シートの製法としては、PTFEを乳化重合した粉末、いわゆるPTFEのパウダーにナフサ等の成形助剤を混和し、ペースト押出成形を経て、カレンダーロールで圧延した後に、成形助剤を加熱除去したPTFEの長尺シートを作成し、当該長尺シートを押出方向にのみ延伸した後、PTFEの融点以上の温度で熱固定処理して製造するPTFE多孔質シートが提案されている。この製法により作成されたPTFE多孔質シートは、薬液フィルターやベントフィルターなどのフィルターに使用されている。
一方、広幅のPTFE多孔質シートの製法としては、PTFEの長尺シートを押出方向に延伸した後、当該押出方向に延伸した長尺シートをテンター装置で幅方向(幅方向とは、押出方向に直交する方向である)に延伸し、PTFEの融点以上の温度で熱固定処理して製造することが提案されている。この製法により作成された広幅のPTFE多孔質シートは、これにポリエステルなどの合成樹脂製シートを貼り合わせて作成したPTFE複合合成樹脂製シートが、その防水性を利用して、ウインドブレーカーやヤッケなどの外衣、靴、手袋、帽子、レインコートや傘などの雨具の製造に使用されている。また、広幅のPTFE多孔質シートと不織布とを貼り合わせて作成したPTFE複合不織布がエアーフィルターに使用され、広幅のPTFE多孔質シートとガラス繊維シートとを貼り合わせて作成したPTFE複合ガラス繊維シートがバグフィルターに使用されている。
従来の押出成形における肉厚・広幅のPTFE多孔質シートは、熱固定処理前の厚みが5μm〜100μmのシートを積層し、PTFEの融点以上で加熱処理した積層体にする必要があった。また、押出成形によらない製法としては、PTFEファインパウダーをそのまま擂り潰してパルプ状繊維にし、多量の界面活性剤を使用してPTFEのパルプ状繊維を水分散させ、これを抄紙したものを乾燥及び焼結させることによって肉厚及び広幅で長尺のPTFE多孔質シートを作成することができたが、複雑で長いプロセスを必要とする困難さがあった。この厚みが厚いPTFE多孔質シートとしては、厚み0.5mm又は1mm、幅60cmの商品「ポリフロン(ダイキン工業株式会社の登録商標)」ペーパーが市販されている。
下記特許文献1に示される広幅のPTFE多孔質シートの製法は、まず押出方向の延伸を行い、続いて幅方向の延伸を行い、その後、熱固定処理する製法である。この製法により広幅のPTFE多孔質シートを得るために、延伸前にペースト押出されたシートを200μm前後の厚みに圧延して圧延シートを作成し、このシートを出発材料として押出方向に延伸した後に幅方向に延伸しなければ、面積倍率で100〜200倍を超える広幅のPTFE多孔質シートは得られなかった。このようにPTFEの長尺シートを幅方向に延伸する製法としては、PTFEの長尺シートを押出方向に延伸した後に幅方向に延伸する製法に限られており、厚みが200μm以下の広幅のPTFE多孔質シートのみであった。
上記の製法は、下記特許文献2に記載の、PTFEペースト押出成形体から製造されるPTFE多孔質構造体やPTFE多孔質シートに関する製法をよりどころとしている。例えば、特許文献2の実施例によれば、長尺シートの幅方向の伸張条件を、温度50℃、延伸速度比率500%/秒とすれば多孔質シートが作成でき、225℃、延伸速度比率5%/秒では破断して多孔質シートが作成されないとされており、幅方向のみの延伸は極めて限定された伸張条件の下でなければ困難であった。さらに、特許文献2における「例9」に、延伸した後の熱処理されていない延伸フィルムを交互に積層し、融点以上で熱処理して厚み0.5mm以上のPTFE多孔質シートを得る方法が示されている。このような方法で厚みを0.5mm以上にした商品「ハイパーシート(ダブリュー.エル.ゴア アンド アソシエーツ,インコーポレイテッドの登録商標)」が市販されている。
また、特許文献3には、長尺シートの幅方向の延伸が成形助剤存在下で行うことができることが示されている。この成形助剤を含んだ状態で延伸を行う方法は、幅方向延伸後に成形助剤の除去工程、すなわち成形助剤乾燥・抽出工程後、再び延伸を行う方法である。成形助剤存在下ではPTFEは多孔質にはならないために、このような複雑な工程を経ることになる。
特許文献4には、積層予備成形体を押出す方法として、第2の結晶性ポリマーシート層が第1の結晶性ポリマーシート層で被覆されてなる積層予備成形体を押出方向に押出す方法であって、成形金型を用いて積層予備成形体を押出す方法が挙げられ、積層予備成形体の押出す温度としては19℃〜200℃が好ましい、ことが開示されている。
特許文献5には、積層体を形成する際の押出し方法としては、公知のペースト押出装置を用いる方法が挙げられ、積層体を形成する際の押出しに用いるペースト押出装置のシリンダー部の形状としては軸直角方向断面は50mm×100mmの矩形であり、出口部でシリンダー部の一方が絞られたノズル50mm×5mmで構成される形状が挙げられ、積層体を形成する際の押出し温度としては19℃〜200℃で行うことが好ましく、積層体を形成する際の押出し形状としては棒状が好ましく、シート状がより好ましい、ことが開示されている。
このように、特許文献4及び5においては押出成形シートの助剤除去後に当該シートを幅方向に延伸することは開示されていない。そして押出シートを0.2mm以下に圧延し、助剤除去後に特許文献1と同様な延伸を行うことが示されている。
特許文献6には、次のような成形金型に関する記載がある。すなわち、押出工程は、予備成形体投入部と、該予備成形体投入部に接続された絞り部と、該絞り部と接続され、中心角度が80°以上の扇部とを有する押出装置により、予備成形体をシート状に押出す工程である。押出工程で用いる押出装置における予備成形体投入部の断面積と、絞り部における最小断面積との絞り比は、押出装置における予備成形体投入部の断面積A1と、絞り部における最小断面積A2との比(A1/A2)により表される。押出工程で用いる押出装置の絞り比を低くすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。押出工程で用いる押出装置における絞り比としては16以下が好ましく、16を超えると、予備成形体を高せん断で押出すことになり、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがある。一方、絞り比が8〜14であると、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。扇部の中心角度を80°以上160°以下とすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。前記中心角度が80°未満であると、必要なサンプル幅を確保するため押出口までの距離が長くなり押出物にせん断がかかるため、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがあり、160°を超えると、幅方向の均一な押出が困難なことがある。一方、中心角度が90°以上140°以下であると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が適切となるため、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。押出工程で用いる押出装置における扇部の出口幅は、押出装置における幅をいい、扇部下部の幅方向が一定の値となる幅をいう。前記扇部の出口幅を150mm〜500mmとすることにより、予備成形体を低せん断で押出すことができ、柔軟性を有する結晶性ポリマーからなるシートを得ることができる。扇部の出口幅が150mm未満であると、延伸が不安定になることがあり、500mmを超えると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が長くなるため、予備成形体を高せん断で押出すことになり、押出物の柔軟性が得られず、高倍率での延伸ができないため、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができないことがある。一方、前記扇部の出口幅が200mm〜400mmであると、扇部における最上部から扇部の出口幅までの距離が適切となるため、予備成形体を低せん断で押出すことができ、押出物の柔軟性が得られることから、高倍率での延伸が可能となり、微小な孔径を有する結晶性ポリマーを作製することができる。押出工程における押出方法としては、押出装置により、19℃〜200℃の温度にて予備成形体を押出す方法が好ましい。押出す際の形状としては棒状が好ましく、シート状がより好ましい。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの厚みとしては50μm〜250μmが好ましく、50μm未満であると、製膜中に破断することがあり、250μmを超えると、圧延機に対する負荷がかかりすぎることがある。なお、厚みが80μm〜200μmであると、多段圧延適性の点で有利である、ことが記載されている。
このように、特許文献6には、予備成形体投入部と、該予備成形体投入部に接続された絞り部と、該絞り部と接続され、中心角度が80°以上の扇部とを有する成形金型が開示されており、成形金型における予備成形体投入部の断面積と、絞り部における最小断面積との絞り比が16以下、扇部の出口幅が150mm〜500mm、押出装置による前記予備成形体を押出す温度が19℃〜200℃、押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの厚みが50μm〜250μmとすることが開示されている。
特許文献7には、次のような成形金型に関する記載がある。すなわち、押出工程は、予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなり、かつ、予備成形体投入部における押出方向と直交方向の最大断面積と、絞り部における押出方向と直交方向の最小断面積との絞り比が50以上である押出装置を用いて、予備成形体をシート状に押出す工程である。前記絞り比が50以上800未満であると、プレス圧が過剰になることなく予備成形体の送り方向、厚み方向、幅方向の全てに対し高せん断を印加しながら押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。扇部の中心角度が、過剰に広いとシートに裂けを生じやすく、過剰に狭いとせん断を与えるために必要な横方向の変形を与えるための長大な金型が必要となり押出し圧が上昇し、実質的に利用不可能な押出圧となるおそれがある。前記扇部の出口幅は、該扇部の出口開口長さ乃至幅をいい、扇部における下流出口の幅方向が一定の値となる幅をいう。扇部の出口幅が不足すると十分なせん断を与えることができず、過剰に広いとシートに裂けを生じるか又は押出し圧が過剰となって適正な押出しが行えないおそれが生じる。前記扇部の中心角度30°以上75°以下及び出口幅200mm以上600mm以下であると、予備成形体に対し、絞り比のせん断効果に加えて更に幅方向に高いせん断力を印加することが可能になり、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出装置の前記出口下部の平均厚みにより、押出しによって得られるシート状成型体の厚みを規定することができ、このシート状成型体の厚みを適宜設定することにより、押出工程及び圧延工程をよりスムーズに行うことが可能である。扇部における下流出口の平均厚みとしては0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出装置における予備成形体の押出速度としては0.5m/分〜10.0m/分が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出工程における押出温度としては、形状安定性の点で、30℃以上60℃以下が好ましく、前記予備成形体を高せん断かつ円滑に押出すことができ、強靭な結晶性ポリマーからなるシートを得ることができるため、従来ではできないとされていた押出しとカレンダーロールによる圧延のみで、平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能となる。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートは、送り方向、幅方向、及び厚み方向の全方向に対して高せん断が印加され、強靭な結晶性ポリマーからなるシートとなり、その強靭さは規定引張り倍率における強度によって表現することができる。押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの幅方向の1,000%引張り強度としては6MPa以上が好ましい。
このように、特許文献7には、予備成形体を投入する予備成形体投入部と、該予備成形体投入部における下流側に接続された絞り部と、該絞り部における下流側に接続され、かつ中心角度が30°以上80°未満、出口幅が200mm以上である扇部とを有してなる成形金型が開示されており、予備成形体投入部における押出方向と直交方向の最大断面積と、絞り部における押出方向と直交方向の最小断面積との絞り比が50以上、扇部の出口幅は200mm以上、扇部出口の平均厚みは0.5mm以上3.0mm以下、予備成形体の押出速度が0.5m/分〜10.0m/分、押出工程における押出温度が30℃以上60℃以下、押出工程により得られた結晶性ポリマーからなるシートの幅方向の1,000%引張り強度が6MPa以上とすることにより、押出しとカレンダーロールによる圧延のみで平均厚みが50μm以下の結晶性ポリマー微孔性膜の製造が可能であることが開示されている。
特開2007−260547号公報 特開昭51−30277号公報 特開2009−24040号公報 特開2012−192308号公報 特開2012−139624号公報 特開2012−172085号公報 特開2012−206113号公報
上記のように従来の広幅のPTFE多孔質シートの製造方法は、そのほとんどが、まず押出成形シートを押出方向に延伸し、次に押出成形シートを幅方向に延伸するという製造方法に限定されていた。
また、上記特許文献6に記載の発明は、押出工程により絞り比が16以下である成形金型を使用して、厚みが50μm〜250μmの結晶性ポリマーのシートを製造するものであり、0.5mm以上の厚みがあり、広幅で長尺のPTFE多孔質シートを製造することは考慮されていない発明である。
さらに、特許文献7に記載の押出成形シートは、絞り比が50以上であり、扇部出口の平均厚みが0.5mm以上3.0mm以下の成形金型を使用して押出成形を行った後、圧延工程を経て厚みが50μm以下の結晶性ポリマーからなるシートを製造するもので、0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートを得ることができるものであるが、この0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートの状態で押出方向の延伸を行う前に幅方向の延伸ができる記載はなく、絞り比が50以上であるため、実際には押出方向に延伸する前に幅方向の延伸ができない。また、特許文献7に記載の発明は、押出工程及び圧延工程を経て厚みが50μmのシートを製造するものであり、0.5mm以上の厚みがあり、広幅で長尺のPTFE多孔質シートを製造することは考慮されていない発明である。
そこで、本発明者は、従来においてPTFEペースト押出成形品を延伸する最初の方向が押出方向に限られる問題、及び、特許文献7に示される0.5mm以上3.0mm以下の押出成形シートが幅方向に延伸できない問題を研究した。
その結果、PTFEファインパウダーの重合粒子が、図1に示すように、0.2μm〜0.4μmの米粒のような楕円球形状をしており、この形状に起因して、ペースト押出による押出成形や圧延ロールによる圧延時においては、重合粒子はその周囲から加圧されながら成形されるため、それによって成形される成形物は、重合粒子の楕円球形状の長径方向が揃うように押出方向や圧延方向に整列してしまうことを発見し、その結果、成形物の押出方向に重合粒子の配列配向が強く、前記成形物を助剤除去後に幅方向に引っ張ると、図2に示すように、幅方向に繊維状に細かく裂けてしまって幅方向に延伸することができず、押出方向又は圧延方向にしか延伸できないことが判明した。
なお、配列方向が揃っている重合粒子は単に整列しているのではなく、重合粒子の物理的な結合強度が上がっており、配列方向の延伸作用を受けると、この結合強度により重合粒子の一部は重合粒子間に跨がる極細小繊維のフィブリルに変形し、一部はフィブリルを結節するノードに変化する。その結果、フィブリルとノードとからなる多孔性物品が得られることが知られている。
また、この工程においてシリンダー中空部の断面積とオリフィス中空部の断面積との比が50:1の絞り比を超えると、オリフィス内での重合粒子が過度に整列することにより粒子間の押出方向の繋がりが大きくなり、オリフィスの断面積よりフラットダイ面積が大きい場合であっても、重合粒子個々の挙動が行われにくくなるので、作成された押出成形シートは、重合粒子が押出方向に整列した状態となるため、結局、押出方向にのみ延伸できるシートしか得られないこととなり、特許文献7に記載の押出成形シートも絞り比が50以上であるため、幅方向には延伸することができないことが判明した。
また、上記の市販されている商品名「ポリフロン」のペーパー及び商品名「ハイパーシート」は、ドレープ性に欠けており、これらペーパー及びシートが利用できる範囲が限られるという問題点があった。
商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーは、PTFEの繊維化された短繊維を抄紙する方法で造られ、厚み0.5mm空孔率78%のシート及び厚み1mm空孔率76%のシートが市販されているが、短繊維の絡みだけなので強度とドレープ性に劣る。
また、商品名「ハイパーシート」は、延伸PTFEフィルムを、その延伸方向が交互になるように重ねて焼結した多孔質シートである。この多孔質シートは、その比重が0.6g/cc、PTFEの比重が2.1g/cc〜2.2g/ccであることから、空孔率が71%〜73%であり、この多孔質シートの厚みは0.5mmから10mmである。しかし、このシートの製法は10μm〜20μmの薄いフィルムを交互に重ねて製造する方法であるため、製造されるシートの幅及び長さが制限され、製造会社の商品カタログによると最大1.5m×3mであり、ドレープ性にも劣るものである。
本発明者は、鋭意研究した結果、ペースト押出成形における前記押出方向に整列している重合粒子を幅方向に変更させて整列させることにより、ペースト押出成形シートを押出方向に延伸することなく幅方向に延伸する方法を見出し、ドレープ性に富んだ広幅及び長尺で、肉厚のPTFE多孔質シートを完成するに至ったのである。
本発明の請求項1に係るPTFE多孔質シートの製造方法は、成形助剤を添加したポリテトラフルオロエチレンパウダーにより予備成形体を作成し、前記予備成形体をペースト押出成形金型内に投入し、当該成形金型内の予備成形体を押し出すラムによって、当該成形金型内の予備成形体を連続的に押し出すことにより押出方向に長尺の押出成形シートを作成し、前記押出成形シートから前記成形助剤を除去することにより成形助剤除去シートを作成し、テンター装置に前記成形助剤除去シートの幅方向両端を固定し、ポリテトラフルオロエチレンの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸シートを作成し、前記幅方向延伸シートをPTFEの融点付近の温度で熱固定処理することにより製造されるポリテトラフルオロエチレン多孔質シートであり、前記成形金型は、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備え、前記シリンダーは中空筒状であり、当該シリンダーに連設されている前記オリフィスは中空矩形状であって、当該シリンダー中空部の断面積に対する当該オリフィス中空部の断面積の比が10:1〜30:1の絞り比であり、前記オリフィス中空部の矩形状断面は長辺の長さが短辺の長さの1〜3倍の矩形であり、前記オリフィスの出口である絞り口に連設されている前記フラットダイは、当該オリフィスの絞り口側を基部として扇状に広がる2つの平面と、当該2つの平面の両側端部を連結する側面とにより囲まれ、扇状の円弧側先端に細幅のフラットダイ開口部が形成された中空扇状をなし、当該2つの平面の扇状の基部から円弧側先端に向かって当該2つの平面の間隔が狭くなるように構成されており、前記フラットダイ開口部の開口面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%であり、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さは100mm〜500mmであり、前記2つの平面間の内法長さは1mm〜5mmであることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るPTFE多孔質シートの製造方法は、成形助剤を添加したポリテトラフルオロエチレンパウダーにより予備成形体を作成し、前記予備成形体をペースト押出成形金型内に投入し、当該成形金型内の予備成形体を押し出すラムによって、当該成形金型内の予備成形体を連続的に押し出すことにより押出方向に長尺の押出成形シートを作成し、前記押出成形シートを圧延ロールにより圧延し、厚みが0.5mm以上で元の厚みの35%以上の厚みの圧延シートを作成し、前記圧延シートから成形助剤を除去することにより成形助剤除去圧延シートを作成し、テンター装置に前記成形助剤除去圧延シートの幅方向両端を固定し、ポリテトラフルオロエチレンの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去圧延シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸圧延シートを作成し、前記幅方向延伸圧延シートをPTFEの融点付近の温度で熱固定処理することにより製造したされるポリテトラフルオロエチレン多孔質シートであり、前記成形金型は、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備え、前記シリンダーは中空筒状であり、当該シリンダーに連設されている前記オリフィスは中空矩形状であって、当該シリンダー中空部の断面積に対する当該オリフィス中空部の断面積の比が10:1〜30:1の絞り比であり、前記オリフィス中空部の矩形状断面は長辺の長さが短辺の長さの1〜3倍の矩形であり、前記オリフィスの出口である絞り口に連設されている前記フラットダイは、当該オリフィスの絞り口側を基部として扇状に広がる2つの平面と、当該2つの平面の両側端部を連結する側面とにより囲まれ、扇状の円弧側先端に細幅のフラットダイ開口部が形成された中空扇状をなし、当該2つの平面の扇状の基部から円弧側先端に向かって当該2つの平面の間隔が狭くなるように構成されており、前記フラットダイ開口部の開口面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%であり、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さは100mm〜500mmであり、前記2つの平面間の内法長さは1mm〜5mmであることを特徴とする。
本発明の請求項3に係るPTFE多孔質シートは、請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明のPTFE多孔質シートの製造方法によれば、2.5m幅を超える5m幅で0.5mm以上の厚みのある長尺PTFE多孔質シートを容易に製造することができる。
PTFE重合粒子の電子顕微鏡写真である。 シリンダーとオリフィスの断面積比が100対1(RR100)の押出品を裂き割った状態を示す写真である。 フラットダイの残留成形体の助剤乾燥で現れた重合粒子の配向状態を示す写真である。 ペースト押出成形金型におけるシリンダー、オリフィス及びフラットダイが連設した状態を示す概略模式図である。 ペースト押出成形金型の内部構造を示す写真である。 PTFEペースト押出の成形状態を示す写真である。 PTFEペースト押出の成形状態の立体写真である。 図3の写真に関して、フラットダイにおけるPTFE重合粒子を巨視化した整列配向の概念図である。 延伸試験器具の写真である。 延伸試験器具に押出成形シートを固定端クリップおよび可動端クリップにより固定した状態を示す写真である。 延伸試験器具により倍延伸品を作成した状態を示す写真である。 実施例3のPTFE多孔質シートと商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した写真である。 実施例3のPTFE多孔質シートと商品名「ハイパーシート」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した写真である。
本発明の実施形態に係る前記PTFEファインパウダーは、数平均分子量400万以上のホモ系重合品が好ましい。
本発明の実施形態に係る前記成形金型におけるシリンダーは、中空形状であれば、その内面形状は特に限定されず、断面円形であっても断面矩形であってもよい。前記のオリフィス中空部の断面が長方形の場合、フラットダイとの連設はオリフィス中空部の断面の長方形の辺の長い方が、フラットダイに直交する方向とするか、又は平行な方向とするかのいずれでもよい。また、シリンダー中空部の断面積に対するオリフィス中空部の断面積の絞り比は10:1〜30:1とする。前記のフラットダイ開口部の開口面積は、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さと前記2つの平面間の内法長さとの積となる。本発明の実施形態に係る押出成形シートを作成する手段は、図4及び図5に示すように、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備えるペースト押出成形金型の構造にあり、シリンダー、オリフィス及びフラットダイの相関関係にある。金型の三つの部分の役割は、シリンダーが予備成形体を挿入する場所であり、図8に示すように、シリンダー内の重合粒子が並ぶ方向はまったくランダムであり、予備成形体の入り口方向からラムによって押出作用を受け、ついでPTFE重合粒子はオリフィスで押出方向に整列する作用を受ける。続いて扇状に広がるフラットダイに進み、このフラットダイに進むところでオリフィスの絞り口の開口面積よりフラットダイ開口部の開口面積を大きくすることによって、かつ、オリフィスの絞り比が30以下であることによって、オリフィスの絞り口では押出方向に整列していた重合粒子の整列が崩れて幅方向に向きを変えて整列するので、幅方向に延伸することができる。図8において、右上に表した模式図は、左の図における(S1)の部分を表し、右中間に表した模式図は、左の図における(S2)の部分を表し、右下に表した模式図は、左の図における(S3)の部分を表す。このように変化する状態を図3、図6及び図7に示す。前記フラットダイ開口部の面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%とする。逆にオリフィスの絞り口の開口面積よりフラットダイ開口部の開口面積が小さいと、フラットダイの内部で重合粒子はさらに押出方向に整列し、重合粒子の整列方向が押出方向のままとなるので、幅方向に延伸することができなくなる。また、フラットダイ開口部の隙間、すなわちフラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さが1mm未満になると、フラットダイ開口部における壁間抵抗のために重合粒子が押出方向に整列させられてしまうので、幅方向の延伸を行うことができなくなる。
本発明の実施形態に係る前記PTFE多孔質シートの厚みは、フラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さの設定によって決まるが、最小限1mmから最大限5mmである。
本発明の実施形態に係る前記の圧延ロールにより圧延される最小限の厚みは、ペースト押出成形金型によって押出された押出成形シートの厚みの35%までに圧延されたシートに限られる。フラットダイ開口部における2つの平面間の内法長さが1.5mmの場合における押出成形シートは圧延により約0.5mmまで圧延することできる。また、本発明で押出成形された助剤含有シートを圧延ロールで元の厚みの35%までに圧延した場合には、助剤除去後の助剤除去シートは幅方向に延伸することが可能となる。元の厚みの35%未満の厚みまで圧延すると幅方向に延伸できなくなる。
本発明の実施形態に係る幅方向の延伸に使用する前記テンター装置としては、シートの厚みが自由に変えられる点で、シートの両端を差し込んで把持するピンを採用している形式のピンテンターが好ましい。なお、シートの幅長さの上限はテンター装置の問題であるが、幅5mを超えるテンター装置が使用されている。また、PTFE多孔質シートとしては、幅約200mmから10倍前後に延伸された幅2500mmの二軸延伸シートが製造されているので、幅500mmの成形押出シートから10倍の幅5mのPTFE多孔シートを作成することが可能である。前記の幅方向に延伸する際の延伸温度として記載したPTFEの室温転移温度とは、示差走査熱量計で測定される吸収ピークの温度が室温の19℃〜21℃に存在する転移温度のことを意味する。実際の延伸温度はコントロールされるべきであり、50℃以上、好ましくは100℃以上である。このようにして押出成形シートを幅方向に延伸を行うことにより肉厚・幅広の長尺シートが得られる。
本発明の実施形態に係る前記の押出成形シート又は圧延シートは、これを幅方向に延伸を行った後、熱固定処理をしていない状態でシートの押出方向に1.2倍以上に延伸して2軸延伸シートとした後に熱固定処理してPTFE多孔質シートを得ることができる。押出方向の延伸倍率は最大25倍である。
前記の熱固定処理は、通常PTFEの融点以上で行うが、それに限定されず融点より低く、延伸温度より50℃以上高い温度で熱処理してもよい。
前記のドレープ性を有するPTFE多孔質シートの例としては、厚みが1mmで空孔率が70%〜75%のPTFE多孔質シートの場合は、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さが4cm以下を達成している。厚みが1mmで空孔率が75%を越えれば越えるほど垂れ下がりやすくなり、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cmより短くなっていくのでドレープ性が向上する。また、空孔率が70%〜75%の範囲で厚みが1mmより薄くなればなるほど垂れ下がりやすくなり、水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cmより短くなっていくのでドレープ性が向上する。さらに、空孔率が95%の場合には、厚みが1mm以上の一定の範囲において水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cm以下となる。さらにまた、厚みが0.5mmの場合には、空孔率が75%未満の一定の範囲において水平状態から垂下し始めるまでのシートの長さは4cm以下となる。
本発明の実施形態に係るPTFE多孔質シートの製造方法により、肉厚・広幅・長尺のPTFE多孔質シートが提供できる。
次に本発明の好適な実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
1.金型
本実施例におけるPTFE多孔質シートは、その作成において次のような形状の金型によって達成される。
図4及び図5に示すように、ペースト押出成形金型10は、予備成形体が充填されるシリンダー11とオリフィス12と扇状のフラットダイ13とから構成される。シリンダー11は、その断面の内面形状が1辺aの長さ70mmの正方形をなすものである。当該シリンダー11の下部に連設されるオリフィス12は、絞り角70度であって、その絞り口が、フラットダイ13の扇状に広がる方向の幅dが15mmであり、フラットダイ13の先絞りになる方向の幅cが20mmであって、その絞り比が16.33であり、長さLが20mmの大きさをなすものである。前記オリフィスの絞り口の先端には、角度80度の扇状に広がるフラットダイ13が連設されている。前記フラットダイ13は、扇状に広がる1対の平板と、当該1対の平板の両側端部を連結する側板とにより囲まれた中空扇形形状をなす。詳細には、該中空扇形形状の基部から扇状の円弧側先端のフラットダイ開口部に向かって1対の平板の間隔が漸次狭くなるように構成されており、そのフラットダイ開口部幅Bが250mmであり、また扇状に広がるに従い先絞り状になっているフラットダイ開口部先端の隙間Tが2.2mmであり、フラットダイ開口部の開口面積はオリフィス絞り口の開口面積より183%増大する扇状に広がる形状を有する。なお、ペースト押出成形金型は前記のサイズに限られるものではなく、最終目的物である多孔質シートのサイズに応じて適宜変更してもよい。
2.シートの成形
PTFEファインパウダーはF106(ダイキン工業株式会社製)1kgを広口ポリエチレン瓶に計量し、そこに成形助剤アイソパーH(エクソン株式会社製)23重量部を添加し、添加後1昼夜25℃で保温熟成した。
予備成形体は、前記の保温熟成したパウダー1kg分を、1辺が69mmの正方形の断面で長さ175mmのサイズの中空角柱状の圧縮成形体にて作成した。
予備成形体を上記のペースト押出成形金型10に挿入し、ラムの速度約15mm/分で連続した押出成形シートを作成し、さらに、当該押出成形シートに含む成形助剤を乾燥炉で加熱除去して成形助剤除去シートを作成した。
得られた成形助剤除去シートは、巻取時の張力により減縮して幅210mm、ペースト押出成形金型のフラットダイ開口部先端の隙間2.2mmより増大した厚みが2.8mmのシートであった。
なお、上記の予備成形体は、上記のペースト押出成形金型の形状及びサイズに対応して作成したものであるが、ペースト押出成形金型の形状及びサイズが変化すれば、それに応じて予備成形体の形状及びサイズも変化する。
3.多孔質シートの加工
比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、以下の加工を行った。
図9に示す延伸試験器具を使用し、図10に示すように、成形助剤除去シートの幅方向の一端を延伸試験器具(製造においてはピンテンター等のテンター装置を使用する)の左端に備えられた固定側クリップにナット締めにより固定し、前記固定側クリップの右方に位置する可動側クリップに成形助剤除去シートの幅方向の他端をナット締めにより固定した。固定側クリップと可動側クリップとの間隔は5cmである。そして、図9に示すように、延伸試験器具右端の手回しハンドルを回して可動側クリップを右方にスライドさせ、固定側クリップと可動側クリップとの間隔を30cmに拡張して、図10に示す5cm長さの成形助剤除去シートを、図11に示すように、30cm長さに倍延伸した幅方向延伸シートを作成した。この延伸試験器具は手動で行うものであり、熱風発生器プラジェット(株式会社石崎電機製作所製)を用いて加熱しながら倍の延伸を行った。手動での延伸速度としては、5cmを30cmに延伸する時間を2分間とした。延伸速度比率は500%÷120秒=4.17%/秒であった。延伸時のPTFEの温度はレーザー光温度計AD−5611A(A&D Company,Limited社製)で測定した。温度範囲は100〜150℃であった。なお、次の熱処理工程前であれば、幅方向に延伸後、押出方向への延伸が可能であった。
次に上記幅方向延伸シートをクリップで挟み370℃の加熱炉で30分間熱処理を行い、実施例1に係る肉厚の多孔質シートを作成した。このようにして、上記の製造方法における押出成形シートを乾燥した後にシートの幅方向に均一に延伸して空孔率78%の肉厚のPTFE多孔質シートが得られた。このPTFE多孔質シートは圧延ロールの圧延作用を受けることなく連続した幅広で肉厚のシートである。
シートを幅方向に均一に延伸できる理由は、このペースト押出成形金型内において、絞り比16.33のオリフィスによりPTFEのペーストの流動が押出方向になるが、その先のフラットダイにおいてペーストが扇状に広がる過程でペーストの流動が押出方向から幅方向に変化するため、PTFEの粒子配向が押出方向と直交する幅方向に変化したことによる。
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1.5mm(元の厚みの68%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、熱固定処理を行うことにより、空孔率79%の肉厚の多孔質シートが得られた。
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1.2mm(元の厚みの55%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、熱固定処理を行って、空孔率75%の肉厚の多孔質シートが得られた。
本実施例は、実施例1において使用したペースト押出成形金型より一回り小さいダイスを使用したペースト押出成形金型、すなわち、シリンダーは、その断面の内面形状が1辺aの長さ50mmの正方形をなし、当該シリンダーの下部に連設されるオリフィスは、絞り角60度であって、その絞り口が、扇形に広がる方向の幅dが10mmであり、先絞りになる方向の幅cが20mmであって、その絞り比が12.50であり、長さLが20mmの大きさをなし、前記オリフィスの絞り口の先端には、角度70度の扇状に広がるフラットダイが連設されている。前記フラットダイは、扇状に広がる1対の平板と、当該1対の平板の両側端部を連結する側板とにより囲まれた中空扇形形状をなす。詳細には、該中空扇形形状の基部から扇状の円弧側先端のフラットダイ開口部に向かって1対の平板の間隔が漸次狭くなるように構成されており、そのフラットダイ開口部幅Bが150mmであり、また扇状に広がるに従い先絞り状になっているフラットダイ開口部先端の隙間Tが2mmであり、フラットダイ開口部の開口面積はオリフィス絞り口の開口面積より150%増大する扇状に広がる形状を有する。
このサイズの異なったペースト押出成形金型を用いて実施例1と同様の手順にて押出成形シートを作成し、成形助剤乾燥除去前に押出成形シートを押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み1mm(元の厚みの50%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸して幅方向延伸シートを作成し、さらに熱固定処理を行い、空孔率73%の肉厚のPTFE多孔質シートが得られた。なお、圧延シートに加工する前の成形助剤除去シートは、幅146mm、厚み2.4mmであった。
実施例4においては、押出成形シートをカレンダーロールによって、それぞれ上記の厚みまで圧延した。その後、実施例1と同様に成形助剤を除去し、成形助剤が乾燥除去された成形助剤除去圧延シートをそれぞれ幅方向に延伸し、その後、押出方向に延伸した。その結果、厚みがあり、長尺で広幅のPTFE多孔質シートが得られた。
比較例1
実施例1と同様に成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを、押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み0.5mmの連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、実施例1と同様に幅方向に延伸したが、延伸しない部分と局部的に延伸作用を受ける部分とによりネッキングが発生し、均一な延伸ができなかった。
比較例1の場合は、シートの厚みが元の厚みの23%まで圧延された結果、幅方向の不均一延伸が発生した。このようなことが起こるのは、実施例1と同様に作成し、幅方向に粒子を整列させた押出成形シートを過度に圧延した結果、幅方向に整列している粒子の配列方向が崩れたことによるものと思われる。
比較例2
実施例4と同様のペースト押出成形金型で成形した成形助剤乾燥除去前の押出成形シートを押出方向と同じ方向に圧延ロールで厚み0.13mm(元の厚みの6.5%)の連続した圧延シートに加工した後、実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に成形助剤を除去した。この成形助剤除去圧延シートから実施例1と同様に比較試験のための試料として、上記の成形助剤除去シートを押出方向に長さ50mmだけ裁断し、その両端を保持して幅方向に延伸したが、局所のみに延伸作用が加わってネッキングが発生し、均一に延伸ができなかった。
比較例3
実施例1の金型のシリンダーの形状及びサイズ、フラットダイの形状及び開口部のサイズは同一で、オリフィスの絞り口を小さくして絞り比を48.55とした結果、面積増大率が545%となり、押出成形時に蛇行しながらシートが押し出されたため、正常な押出成形シートは得られず延伸機に設置することができなかった。
比較例4
上記の実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例により得られた各シートの性能結果を下記表1に表す。
次にドレープ性についての実験を行った。
図12に示すように、実施例3により作成した厚みが約1mmで空孔率約75%のPTFE多孔質シートと、厚みが約1mmで空孔率約76%の商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーとのドレープ性を比較した。図12の写真の手前側に写っているのが実施例3のPTFE多孔質シートであり、図12の写真の奥に写っているのが商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーである。当該写真から明らかなように、実施例3により作成したPTFE多孔質シートのドレープ性の方が高いことがわかる。実施例3により作成したPTFE多孔質シートが垂下し始めるのが3cmであるのに対し、商品名「ポリフロン」のPTFE多孔質ペーパーが垂下し始めるのが10cmであった。
また、図13に示すように、実施例3により作成した厚みが約1mmで空孔率約75%のPTFE多孔質シートと、厚みが約1mmで空孔率71%の商品名「ハイパーシート」とのドレープ性を比較した。図13の写真の手前側に写っているのが実施例1のPTFE多孔質シートであり、写真の奥に写っているのが商品名「ハイパーシート」である。当該写真から明らかなように、実施例3により作成したPTFE多孔質シートのドレープ性の方が高いことがわかる。実施例3により作成したPTFE多孔質シートが垂下し始めるのが3cmであるのに対し、商品名「ハイパーシート」が垂下し始めるのが15cmであった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明の製造方法により製造されたPTFE多孔質シートは、例えば骨折などの際にギプス包帯で固定するときに皮膚と接触する側のインナー材や、半導体製造工程に使用されるリン酸類の液体を流す管や継ぎ目あるいはバルブ廻りの断熱保温材等の形状が複雑に変化する要所・物品の包装を容易に行うことができ、ソフトなクッション材、電子機器のシール材、液晶基板の設置部材、絶縁材など広範囲に使用できる。
10…ペースト押出成形金型
11…シリンダー
12…オリフィス
13…フラットダイ
a…シリンダーの断面の内面形状の1辺
c…オリフィス絞り口における先絞りになる方向の幅
d…オリフィス絞り口における扇形に広がる方向の幅
L…オリフィス絞り口の長さ
B…ダイス開口部の幅
T…ダイス開口部の隙間

Claims (5)

  1. 厚みが1mm〜5mm、空孔率が45%〜95%のポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法であって、
    成形助剤を添加したポリテトラフルオロエチレンパウダーにより予備成形体を作成し、
    前記予備成形体をペースト押出成形金型内に投入し、当該成形金型内の予備成形体を押し出すラムによって、当該成形金型内の予備成形体を連続的に押し出すことにより押出方向に長尺の押出成形シートを作成し、
    前記押出成形シートから前記成形助剤を除去することにより成形助剤除去シートを作成し、
    テンター装置に前記成形助剤除去シートの幅方向両端を固定し、ポリテトラフルオロエチレンの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸シートを作成し、
    前記幅方向延伸シートを熱固定処理することにより製造されるポリテトラフルオロエチレン多孔質シートであり、
    前記成形金型は、連設されたシリンダー、オリフィス及びフラットダイを備え、
    前記シリンダーは中空筒状であり、当該シリンダーに連設されている前記オリフィスは中空矩形状であって、当該シリンダー中空部の断面積に対する当該オリフィス中空部の断面積の比が10:1〜30:1の絞り比であり、
    前記オリフィス中空部の矩形状断面は長辺の長さが短辺の長さの1〜3倍の矩形であり、
    前記オリフィスの出口である絞り口に連設されている前記フラットダイは、当該オリフィスの絞り口側を基部として扇状に広がる2つの平面と、当該2つの平面の両側端部を連結する側面とにより囲まれ、扇状の円弧側先端に細幅のフラットダイ開口部が形成された中空扇状をなし、当該2つの平面の扇状の基部から円弧側先端に向かって当該2つの平面の間隔が狭くなるように構成されており、
    前記フラットダイ開口部の開口面積は、前記オリフィスの絞り口の開口面積の125%〜300%であり、当該フラットダイ開口部における両側面間の内法長さは100mm〜500mmであり、前記2つの平面間の内法長さは1mm〜5mmである
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法。
  2. 厚みが0.5mm以上、空孔率が45%〜95%のポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法であって、
    請求項1に記載の押出成形シートを圧延ロールにより圧延し、厚みが0.5mm以上で元の厚みの35%以上の厚みの圧延シートを作成し、
    前記圧延シートから成形助剤を除去することにより成形助剤除去圧延シートを作成し、
    テンター装置に前記成形助剤除去圧延シートの幅方向両端を固定し、ポリテトラフルオロエチレンの室温転移温度以上の環境下で当該成形助剤除去圧延シートを幅方向にのみ元の幅の1.2倍〜25倍に延伸することにより幅方向延伸圧延シートを作成し、
    前記幅方向延伸圧延シートを熱固定処理することにより製造した
    ことを特徴とするのポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法。
  3. 請求項1に記載の幅方向延伸シート又は請求項2に記載の幅方向延伸圧延シートを、さらにその押出方向に1.2倍〜25倍に延伸した後に熱固定処理した
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造された
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質シート。
  5. シートを水平状態で空中に徐々に張り出させ、その先端が垂下し始めたときの張り出したシートの長さが4cm以下のドレープ性を有する
    ことを特徴とする請求項4に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質シート。
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