以下、本開示の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<システムの概要>
まず、本開示の一実施の形態に係るドアホンシステムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係るドアホンシステムの構成の一例を示すシステム構成図である。
図1において、ドアホンシステム100は、例えば、建物200の玄関に配置される玄関子機300と、建物200の室内に配置されるドアホン親機400とを有する。玄関子機300とドアホン親機400との間には、1対の銅線から成る2線ケーブル210が敷設されている。なお、2線ケーブル210は、例えば、過去に建物200に設置されていた、映像信号の伝送を行わないタイプのドアホンシステムで使用されていた通信ケーブルである。
玄関子機300は、子機側呼出ボタン301、子機側スピーカ302、子機側マイク303、および子機側デジタルカメラ304を備えている。すなわち、玄関子機300は、呼出および通話の機能に加えて、玄関周辺の映像を撮影してドアホン親機400へ送信する機能を有している。
ドアホン親機400は、親機側スピーカ401、親機側応答ボタン402、親機側マイク403、および親機側液晶ディスプレイ404を備えている。すなわち、ドアホン親機400は、呼出に対する応答(通話の開始)および通話の機能に加えて、玄関子機300から送られてきた玄関周辺の映像を表示する機能を有している。
なお、以下の説明において、玄関子機300からドアホン親機400へと向かう方向は、「上り方向」といい、玄関子機300から上り方向に送信される信号は、「上り信号」という。また、ドアホン親機400から玄関子機300へと向かう方向は、「下り方向」といい、ドアホン親機400から下り方向に送信される信号は、「下り信号」という。
このようなドアホンシステム100は、ユーザ220に対して、玄関の来訪者230と、その様子を映像で確認しながら会話することを可能にする。ところが、映像信号を含む信号伝送を2線ケーブル210で行うため、通信の仕方には工夫が必要となる。
そこで、本実施の形態に係る玄関子機300およびドアホン親機400は、相手への送信の対象となる各種データを、パケット化した上で符号化を行い、ベースバンド伝送により相手に送信する。この際、玄関子機300およびドアホン親機400は、それぞれのベースバンド伝送を、時分割複信(時分割双方向伝送)によって行う。すなわち、玄関子機300およびドアホン親機400は、送信と受信とを時間の経過に応じて交互に切り替え、相手が送信を行っていない区間にのみ送信を行う。
図2は、玄関子機300とドアホン親機400との間で、各種データがパケット化されて伝送される様子を示す図である。なお、ここでは、上り信号を例示している。また、各種信号がパケット化されたパケットデータは、上述のように、実際には符号化されてデジタル伝送される。
図2に示すように、玄関子機300は、多数のパケット510を順次生成し、所定のタイミングでドアホン親機400へ送信する。各パケット510は、例えば、プリアンブル部(PR)511、同期信号部(sync)512、データ部(data)513、およびオプション部(op)514から構成される。データ部513には、子機側マイク303の音声データや子機側デジタルカメラ304の映像データ等の、親機400への送信の対象となる各種データが、適宜分割されて格納される。
なお、玄関子機300は、少なくとも、映像データと、制御データや音声データ等の他のデータとを、異なるパケットにパケット化することが望ましい。これにより、ドアホン親機400側での映像データの復調がし易くなり、処理負荷の軽減や処理速度の向上を図ることができる。
図3は、玄関子機300とドアホン親機400との間の時分割複信の様子の一例を示す図である。
図3において、第1の線521の上側に配置された矩形522は、玄関子機300が上り信号を送信することができる区間(以下「子機側送信区間」という)を示し、第1の線521の下側に配置された矩形523は、玄関子機300が下り信号の受信を待機すべき区間を示す。また、第2の線524の上側に配置された矩形は、ドアホン親機400が下り信号を送信することができる区間(以下「親機側送信区間」という)を示し、第2の線524の下側に配置された矩形526は、ドアホン親機400が上り信号の受信を待機すべき区間を示す。
図3に示すように、ドアホン親機400は、まず、デフォルト状態において、上り信号の受信を待機している。玄関子機300は、来訪者230によって呼出ボタン301が操作(押下)されると、呼出信号を送信し、下り信号の受信を待機する。呼出信号を受信したドアホン親機400は、ドアホン親機400に対して応答信号(ACK)を返信するとともに、親機側スピーカ401から呼出音を出力する。
なお、これらの呼出信号および応答信号は、上述のパケット510(図2参照)であってもよいし、他の形式の信号であってもよい。
応答信号を受信した玄関子機300は、図3に示すように、例えば、予め定められた送信制御情報が規定する内容に従って、制御データおよび音声データを含むパケットの送信、映像データを含むパケットの送信、および、下り信号の受信の待機を行う。また、応答信号を送信したドアホン親機400も、同様に、送信制御情報が規定する内容に従って、制御データおよび音声データを含むパケットの送信、および、上り信号の受信の待機を行う。
かかる送信制御情報は、例えば、玄関子機300とドアホン親機400との間で予め共有されている。送信制御情報は、例えば、10ms(ミリ秒)といった所定の周期(基本周期)Tbにおける、子機側送信区間(上り信号の送信区間)および親機側送信区間(下り信号の送信区間)の時間割り当て、および、当該周期Tbの基準となる基準タイミングtiを規定する情報である。なお、周期Tbは、例えば、一まとまりのパケットから成る一回の送受信フレームに対応し、繰り返し伝送する間隔である。以上は同期システムの例であるが、基本周期Tbを規定せず、必要に応じて送受信を行う非同期のシステムを構成してもよい。
送信制御情報は、例えば、呼出信号あるいは応答信号の送信時刻から所定の時間が経過したタイミングを、周期Tbの基準タイミングtiとして規定する。この場合、周期Tbの基準タイミングtiは、例えば、呼出信号あるいは応答信号の送受信により、玄関子機300とドアホン親機400との間で共有されることになる。
また、送信制御情報は、例えば、周期Tbのうち、送信制御情報およびタイミングtiにより規定される区間Sを、親機側送信区間として規定する。そして、送信制御情報は、周期Tbのうち区間S以外を、子機側送信区間として規定する。
この場合、図3に示すように、例えば、周期Tbの区間S以外の区間において、ドアホン親機400は、上り信号の受信を待機し、玄関子機300は、制御データ、音声データ、あるいは映像データを含むパケットを、上り信号として送信する。また、区間Sにおいて、玄関子機300は、下り信号の受信を待機し、ドアホン親機400は、制御データあるいは音声データを含むパケットを、下り信号として送信する。
但し、玄関子機300は、呼出音を聞いたユーザ220によって親機側応答ボタン402が操作(押下)されるまでは、音声データの送信を行わないことが望ましい。
このように、玄関子機300およびドアホン親機400は、2線ケーブル210を含む通信経路を時間軸で区分し、送信方向(上り/下り)を切り替える時分割複信によって、各種信号のやり取りを行う。これにより、玄関の映像を伝送および表示しながらの通話(以下「映像付き通話」という)が可能となる。
なお、このような時分割複信の場合、上り信号と下り信号とで変調等で使用するキャリア周波数を異ならせる必要がない。したがって、玄関子機300およびドアホン親機400は、例えば、同一の周波数によるベースバンド伝送を行うことができる。
<各装置の構成>
次に、玄関子機300およびドアホン親機400のそれぞれの構成について説明する。
<玄関子機の構成>
図4は、玄関子機300の構成の一例を示すブロック図である。
図4において、玄関子機300は、子機側ケーブル接続部310、子機側キー入力部320、子機側スピーカ302、子機側マイク303、子機側音声I/F(インターフェイス)部330、および子機側カメラ部340を有する。また、玄関子機300は、子機側制御部350、子機側パケット構成部360、子機側送信ドライバ370、子機側受信ドライバ380、および子機側データ抽出部390を有する。
子機側ケーブル接続部310は、例えば2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブル210の玄関側の一端と、子機側送信ドライバ370および子機側受信ドライバ380との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。
子機側キー入力部320は、上述の子機側呼出ボタン301を含み、子機側呼出ボタン301が操作されたとき、その旨を示す信号を子機側制御部350へ出力する。
子機側スピーカ302は、子機側音声I/F部330から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
子機側マイク303は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、子機側音声I/F部330へ出力する。
子機側音声I/F部330は、子機側制御部350から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、子機側スピーカ302へ出力する。また、子機側音声I/F部330は、子機側マイク303から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、子機側制御部350へ出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、子機側音声I/F部330は、子機側マイク303から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして子機側制御部350へ出力してもよい。また、子機側音声I/F部330は、子機側制御部350から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行う。
子機側カメラ部340は、上述の子機側デジタルカメラ304を含み、玄関の映像を撮影し、デジタル映像データを生成して、子機側制御部350へ出力する。なお、子機側カメラ部340は、エンコーダモジュールを搭載していてもよい。すなわち、子機側カメラ部340は、子機側デジタルカメラ304から出力された映像データに対してH.264等の所定の動画圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル映像データとして子機側制御部350へ出力してもよい。
子機側制御部350は、子機側呼出ボタン301が操作された旨を示す信号が子機側キー入力部320から出力されたとき、その旨を示す呼出信号(図3参照)をドアホン親機400へ送信する。なお、かかる呼出信号の送信は、例えば、子機側パケット構成部360、子機側送信ドライバ370、および子機側ケーブル接続部310を介して行われる。
また、子機側制御部350は、ドアホン親機400から応答信号(図3参照)を受信したとき、映像付き通話を実現するための所定の制御処理(以下「子機側通話制御処理」という)を開始する。なお、かかる応答信号の受信は、例えば、子機側ケーブル接続部310、子機側受信ドライバ380、および子機側データ抽出部390を介して行われる。
子機側通話制御処理は、子機側音声I/F部330および子機側カメラ部340から出力されたデジタル音声データおよびデジタル映像データを、子機側パケット構成部360へ出力することにより行われる。また、子機側通話制御処理は、子機側データ抽出部390から出力された、ドアホン親機400側から受信したデジタル音声データを、子機側音声I/F部330へ出力することにより行われる。
但し、子機側制御部350は、図3で説明した送信制御情報を予め保持しており、図3で説明したように、上り信号の送信と下り信号の受信とが時分割で行われるように、子機側送信ドライバ370(および子機側受信ドライバ380)の動作を制御する。かかる制御は、例えば、送信制御情報に従って、子機側送信ドライバ370(および子機側受信ドライバ380)の動作(信号のドライブ)を制御するイネーブル信号351を出力することにより行われる。
なお、子機側制御部350は、呼出信号を送信したとき、あるいは、応答信号を受信したときに、子機側スピーカ302、子機側マイク303、子機側音声I/F部330、および子機側カメラ部340の動作を開始させるよう、これらの装置部を制御してもよい。
また、子機側制御部350は、玄関子機300の動作あるいはドアホン親機400の動作に関する各種制御データを、ドアホン親機400への送信の対象となるデータとして子機側パケット構成部360へ出力してもよい。かかる制御データは、例えば、玄関子機300に備えられた気温センサ、照度センサ、および人感センサ等の各種センサデバイス(図示せず)のセンシング情報を含む。
子機側パケット構成部360は、子機側制御部350から出力されたデジタル音声データおよびデジタル映像データ(並びに制御データ)を、適宜分割してパケット化し、生成されたパケットデータを符号化して、上り信号を生成する。そして、子機側パケット構成部360は、生成された上り信号を、子機側送信ドライバ370へ出力する。子機側パケット構成部360の構成の詳細については、後述する。
子機側送信ドライバ370は、子機側パケット構成部360から出力された上り信号をバッファし、信号レベルの調整を行い、子機側ケーブル接続部310を介してドアホン親機400へと送信する。但し、子機側送信ドライバ370は、図3で説明したように、送信制御情報が規定する子機側送信区間に、バッファされた上り信号を順次送信する。かかる送信オンオフの切り替えは、例えば、子機側制御部350から出力される上述のイネーブル信号351に基づいて行われる。
子機側受信ドライバ380は、子機側ケーブル接続部310を介してドアホン親機400から送られてくる下り信号を、信号レベルの調整を行ってバッファし、子機側データ抽出部390へ出力する。但し、子機側受信ドライバ380は、図3で説明したように、送信制御情報が規定する親機側送信区間に、下り信号を受信する。なお、受信区間と非受信区間との切り替えは、例えば、子機側制御部350から出力される上述のイネーブル信号351に基づいて行われる。また、後段の子機側データ抽出部390で、パケットのプリアンブル等により下り信号を区別可能である場合、子機側受信ドライバ380は、必ずしも、非受信区間において受信動作を停止しなくてもよい。
なお、子機側送信ドライバ370および子機側受信ドライバ380の周辺部の構成の詳細については、後述する。
子機側データ抽出部390は、子機側受信ドライバ380から出力された下り信号から、下り信号に含まれるドアホン親機400のデジタル音声データを抽出し、子機側制御部350へ出力する。子機側データ抽出部390の構成の詳細については、後述する。
なお、玄関子機300の上記各部の間のデータの受け渡しは、子機側スピーカ302および子機側マイク303と子機側音声I/F部330との間を除き、デジタル伝送により行われる。
<ドアホン親機の構成>
図5は、ドアホン親機400の構成の一例を示すブロック図である。
図5において、ドアホン親機400は、親機側ケーブル接続部410、親機側キー入力部420、親機側スピーカ401、親機側マイク403、親機側音声I/F部430、および親機側ディスプレイ部440を有する。また、ドアホン親機400は、親機側制御部450、親機側パケット構成部460、親機側送信ドライバ470、親機側受信ドライバ480、および親機側データ抽出部490を有する。
親機側ケーブル接続部410は、例えば2線ケーブル用の接続端子を含み、2線ケーブル210の室内側の一端と、親機側送信ドライバ470および親機側受信ドライバ480との間を、信号を伝送可能な状態で接続する。
親機側キー入力部420は、上述の親機側応答ボタン402を含み、上述の親機側応答ボタン402が操作されたとき、その旨を示す信号を親機側制御部450へ出力する。
親機側スピーカ401は、親機側音声I/F部430から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。
親機側マイク403は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、親機側音声I/F部430へ出力する。
親機側音声I/F部430は、親機側制御部450から出力されたデジタル音声データを、アナログ音声データに変換し、信号レベルを調整して、親機側スピーカ401へ出力する。また、親機側音声I/F部430は、親機側マイク403から出力されたアナログ音声データを、信号レベルを調整し、デジタル音声データに変換して、親機側制御部450へ出力する。かかるアナログ/デジタル変換は、A/D,D/A変換器(図示せず)により行われる。
なお、親機側音声I/F部430は、親機側マイク403から出力されたアナログ音声データをデジタル変換したデータに対して、所定の音声圧縮処理を行って得られるデータを、デジタル音声データとして親機側制御部450へ出力してもよい。また、親機側音声I/F部430は、親機側制御部450から出力されたデジタル音声データが所定の音声圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の音声伸張処理を行ってから、デジタル/アナログ変換を行ってもよい。
親機側ディスプレイ部440は、上述の親機側液晶ディスプレイ404を含み、親機側制御部450から出力されたデジタル映像データを再生し、玄関の映像を表示する。なお、親機側制御部450から出力されたデジタル映像データが所定の動画圧縮処理を行って得られたデータである場合、当該データに対して所定の動画伸張処理を行って、映像表示を行う。
親機側制御部450は、玄関子機300から子機側呼出ボタン301が操作された旨を示す呼出信号(図3参照)を受信したとき、応答信号(図3参照)を玄関子機300に返信するとともに、親機側スピーカ401から、所定の呼出音を出力させる。なお、かかる呼出信号の受信は、例えば、親機側ケーブル接続部410、親機側受信ドライバ480、および親機側データ抽出部490を介して行われる。応答信号の返信は、例えば、親機側パケット構成部460、親機側送信ドライバ470、および親機側ケーブル接続部410を介して行われる。呼出音の出力は、例えば、親機側制御部450が、所定の呼出音のデジタル音声信号を親機側音声I/F部430へ出力することにより行われる。
更に、親機側制御部450は、映像付き通話を実現するための所定の制御処理(以下「親機側通話制御処理」という)を開始する。
親機側通話制御処理は、親機側音声I/F部430から出力されたデジタル音声データを、親機側パケット構成部460へ出力することにより行われる。また、親機側通話制御処理は、親機側データ抽出部390から出力される、玄関子機300側から受信したデジタル音声データおよびデジタル映像データを、子機側音声I/F部330および親機側ディスプレイ部440へ出力することにより行われる。
但し、親機側制御部450は、図3で説明した送信制御情報を予め保持しており、図3で説明したように、上り信号の送信と下り信号の受信とが時分割で行われるように、親機側送信ドライバ470(および親機側受信ドライバ480)の動作を制御する。かかる制御は、例えば、送信制御情報に従って、親機側送信ドライバ470(および親機側受信ドライバ480)の動作(信号のドライブ)を制御するイネーブル信号451を出力することにより行われる。
但し、親機側制御部450は、親機側キー入力部420から、親機側応答ボタン402が操作された旨を示す信号が出力されるまでは、デジタル音声データの親機側パケット構成部460への出力を行わないことが望ましい。
なお、親機側制御部450は、呼出信号を受信したとき、あるいは、応答信号を送信したときに、親機側スピーカ401、親機側マイク403、親機側音声I/F部430、および親機側ディスプレイ部440の動作を開始させるよう、これらの装置部を制御してもよい。
また、親機側制御部450は、ドアホン親機400の動作あるいは玄関子機300の動作に関する制御データを、玄関子機300への送信の対象となるデータとして親機側パケット構成部460へ出力してもよい。かかる制御データは、例えば、ドアホン親機400から玄関子機300のカメラ動作(データレート、パン、チルト、ライト、シャッター、およびフィルター等の動作)や、玄関子機300に備えられた各種センサデバイスの動作を、ドアホン親機400から制御するための制御信号を含む。また、かかる制御データは、玄関子機300に備えられた無線通信回路等(図示せず)を介して屋外に配置されたデバイス(門の電子鍵等)の動作を制御するための制御信号を含む。
親機側パケット構成部460は、親機側制御部450から出力されたデジタル音声データ(および制御データ)を、適宜分割してパケット化し、生成されたパケットデータを符号化して、下り信号を生成する。そして、親機側パケット構成部460は、生成された下り信号を、親機側送信ドライバ470へ出力する。親機側パケット構成部460の構成の詳細については、後述する。
親機側送信ドライバ470は、親機側パケット構成部460から出力された下り信号をバッファしてゲイン調整を行い、親機側ケーブル接続部410を介して玄関子機300へと送信する。但し、親機側送信ドライバ470は、図3で説明したように、送信制御情報が規定する親機側送信区間に、バッファされた下り信号を順次送信する。かかる送信オンオフの切り替えは、例えば、親機側制御部450から出力される上述のイネーブル信号451に基づいて行われる。
親機側受信ドライバ480は、親機側ケーブル接続部410を介して玄関子機300から送られてくる上り信号を、ゲイン調整を行ってバッファし、親機側データ抽出部490へ出力する。但し、親機側受信ドライバ480は、図3で説明したように、送信制御情報が規定する子機側送信区間に、上り信号を受信する。なお、受信区間と非受信区間との切り替えは、例えば、親機側制御部450から出力される上述のイネーブル信号451に基づいて行われる。また、後段の親機側データ抽出部490で、パケットのプリアンブル等により上り信号を検出可能である場合、親機側受信ドライバ480は、必ずしも、非受信区間において受信動作を停止しなくてもよい。
なお、親機側送信ドライバ470および親機側受信ドライバ480の周辺部の構成の詳細については、後述する。
親機側データ抽出部490は、親機側受信ドライバ480から出力された下り信号から、上り信号に含まれる玄関子機300のデジタル音声データおよびデジタル映像データを抽出し、親機側制御部450へ出力する。親機側データ抽出部490の構成の詳細については、後述する。
なお、ドアホン親機400の上記各部の間のデータの受け渡しは、親機側スピーカ401および親機側マイク403と親機側音声I/F部430との間を除き、デジタル伝送により行われる。
<パケット構成部の構成>
次に、子機側パケット構成部360の構成および親機側パケット構成部460の構成の詳細について説明する。
なお、子機側パケット構成部360および親機側パケット構成部460は、基本的に同一の構成を有しているため、これらを単に「パケット構成部」といい、その構成をまとめて説明する。また、子機側パケット構成部360に対する子機側送信ドライバ370の位置付け、および、親機側パケット構成部460に対する親機側送信ドライバ470の位置付けは、同様である。したがって、ここでは、子機側送信ドライバ370および親機側送信ドライバ470は、「送信ドライバ」と総称する。
図6は、パケット構成部およびその周辺部の構成の一例を示すブロック図である。
図6において、パケット構成部(360、460)は、パケット生成部610および変調回路620を有する。
パケット生成部610は、デジタル音声データおよび映像音声データ(並びに制御データ)を、扱い易いデータ長に適宜分割する。パケット生成部610は、分割データのそれぞれに、プリアンブル部511、同期信号部512、およびオプション部514等を付加し、分割データをデータ部513として、パケット510を生成する(図2参照)。そして、パケット生成部610は、生成されたパケットデータ711を、変調回路620へ出力する。
なお、各パケット510のプリアンブル部511および同期信号部512には、パケット510の区切りを検出するための情報が記述される。また、データ部513には、格納するデータの種別(映像/音声/制御)を示す情報、データ、および複数の分割データから元のデータを組み立てて復元するのに必要な情報等が記述される。オプション部514には、誤り訂正符号等の付加情報が記述される。
変調回路620は、パケット生成部610から出力されたパケットデータ711を、玄関子機300が備えるクロック発振回路(図示せず)から出力されるクロック信号(CLK)712を用いて、所定の周波数で符号化する。そして、変調回路620は、かかる符号化により得られた変調信号(DATA)713を、送信ドライバ(370、470)へ出力する。より具体的には、変調回路620には、クロック信号712に基づき、所定の変調周期毎に、マンチェスタ符号等の所定の伝送符号を用いて、出力信号に立上りあるいは立下がりを発生させる。
なお、後段の送信ドライバ(370、470)の動作制御は、子機側制御部350あるいは親機側制御部450ではなく、変調回路620が行ってもよい。この場合、例えば、図8に示すように、変調回路620は、送信すべきパケットデータが存在し、かつ、上述の送信制御情報により規定される子機側送信区間に、送信ドライバ(370、470)に対して、動作を許可するイネーブル信号(ENABLE)714を出力する。
図7は、変調回路620が使用する伝送符号の一例を示す図である。ここでは、マンチェスタ符号を採用した場合について示す。
変調回路620は、周期Tm毎に、パケットデータ711の1ビット(bit)分に対応する信号を1つ生成して出力する。マンチェスタ符号を採用した場合、図7に示すように、変調回路620は、パケットデータ711の値「0」に対応して、立上り信号を1つ生成し、変調信号713として出力する。また、変調回路620は、パケットデータ711の値「1」に対応して、立下り信号を1つ生成し、変調信号713として出力する。
図8は、パケットデータを符号化する様子の一例を示す図である。
例えば、「0,0,1,・・・,1,0」というパケットデータ711が出力されたとする。すると、変調回路620は、図8に示すように、当該パケットデータ711の各ビットの値に対応して、周期Tm毎に立上り信号あるいは立下り信号を有する変調信号713を出力する。
<データ抽出部の構成>
次に、子機側データ抽出部390の構成および親機側データ抽出部490の構成の詳細について説明する。
なお、子機側データ抽出部390および親機側データ抽出部490は、基本的に同一の構成を有しているため、これらを単に「データ抽出部」といい、その構成をまとめて説明する。また、子機側データ抽出部390に対する子機側受信ドライバ380の位置付け、および、親機側データ抽出部490に対する親機側受信ドライバ480の位置付けは、同様である。したがって、ここでは、子機側受信ドライバ380および親機側受信ドライバ480は、「受信ドライバ」と総称する。
図9は、データ抽出部およびその周辺部の構成の一例を示すブロック図である。
図9において、データ抽出部(390、490)は、Sync検出部630、Clk抽出部640、およびデータ再生部650を有する。
前段の受信ドライバ(380、480)からSync検出部630へと出力された変調信号721は、Sync検出部630およびClk抽出部640で伝送され、データ再生部650へと出力される。
Sync検出部630は、受信ドライバ(380、480)から出力された変調信号721を所定の同期信号パターンと照合し、後続するデータの開始位置を検出する。
なお、前段の受信ドライバ(380、480)は、受信した変調信号のうちプリアンブル部511(図2参照)の部分に基づいて、有効な信号レベルを検出し、検出結果に応じてSync検出部630の動作を制御してもよい。この場合、受信ドライバ(380、480)は、例えば、Sync検出部630に対して、受信した変調信号(DATA)721を出力しつつ、所定の信号レベル以上でプリアンブル部511が検出された場合にのみ、動作を許可するイネーブル信号(ENABLE)722を出力する。
受信ドライバ(380、480)は、例えば、自装置が送信しない期間、Sync検出部630の動作をイネーブルとする。もしくは、受信ドライバ(380、480)は、通信の相手先から送信される期間、Sync検出部630の動作をイネーブルとする。あるいは、受信ドライバ(380、480)は、プリアンブル部511(図2参照)の検出に基づいて、判定してもよい。
なお、受信ドライバ(380、480)は、Sync検出部630以外の後段の各部に対しても、同様にイネーブル信号を出力してもよい。また、受信ドライバ(380、480)に対して、子機側送信区間であるか親機側送信区間であるかに応じたイネーブル信号が入力されてもよい。
Sync検出部630は、検出された各パケットの開始位置を示すタイミング信号723を、Clk抽出部640へ出力する。
Clk抽出部640は、Sync検出部630から出力された変調信号721およびタイミング信号723に基づき、玄関子機300が備えるクロック発振回路(図示せず)から出力される高速クロック信号(CLK)724を使用して、データクロック(DATACLK)725を生成する。そして、Clk抽出部640は、生成されたデータクロック725を、データ再生部650へ出力する。
データクロック725は、変調信号721における、各ビットのタイミングを示す信号であり、通信の相手先の変調回路620が変調信号721の生成に使用した周波数と同一の周波数の信号である。
データ再生部650は、変調信号の復調回路を含み、変調信号を復調する。より具体的には、データ再生部650は、Clk抽出部640から出力されたデータクロック725を使用して変調信号721からパケットデータを復調し、復調されたパケットデータから、デジタル音声データやデジタル映像データ等の元のデータ726を再生する。なお、復調の対象となるデータサイズは、パケットデータの記述内容によって指定されてもよいし、所定の固定値であってもよい。
図10は、マンチェスタ符号による変調信号を復調する様子の一例を示す図である。
データ再生部650は、Clk抽出部640からのデータクロック725に基づき、変調信号721の立上り信号および立下り信号を検出する。そして、データ再生部650は、検出された立上り信号あるいは立下り信号の並びに応じて、「0」および「1」を並べたデジタルのデータ726を出力する。
<送受信ドライバ部の構成>
次に、子機側送信ドライバ370および子機側受信ドライバ380とその周辺部(以下「玄関子機300の送受信ドライバ部」という)の構成について説明する。また、親機側送信ドライバ470および親機側受信ドライバ480とその周辺部(以下「ドアホン親機400の送受信ドライバ部」という))の構成の詳細について説明する。
なお、子機側送信ドライバ370および親機側送信ドライバ470は、基本的に同一の構成を有しているため、これらを単に「送信ドライバ」という。また、子機側受信ドライバ380と親機側受信ドライバ480は、基本的に同一の構成を有しているため、これらを単に「受信ドライバ」という。更に、送信ドライバおよび受信ドライバ並びにこれらの周辺部は、「送受信ドライバ部」という。
図11は、送受信ドライバ部の構成の一例を示す構成図である。
図11に示すように、送信ドライバ(370、470)および受信ドライバ(380、480)は、2線ケーブル210の2本の銅線211、212の両方と接続されている。但し、送信ドライバ(370、470)および受信ドライバ(380、480)は、上述の通り、時分割で、送信動作および受信動作を行う。
かかる時分割動作は、例えば、送信ドライバ(370、470)へのイネーブル信号(351、451、714)の入力や、受信ドライバ(380、480)の出力側に配置されたプリアンブル検知回路730からのイネーブル信号(722)の出力により実現される。なお、上述の通り、受信ドライバ(380、480)に対してもイネーブル信号(727)が入力されてもよい。
受信ドライバ(380、480)の出力側に設けられたプリアンブル検知回路730は、上述のプリアンブル部511の検出を行う回路である。なお、プリアンブル検知回路730は、受信ドライバ(380、480)の一部として捉えることもできる。
なお、送信ドライバ(370、470)、受信ドライバ(380、480)、あるいは受信ドライバ(380、480)の後段には、イネーブル信号ではなく、動作すべきではない区間において、動作を禁止するディスエーブル信号が入力されてもよい。
このような構成により、送信ドライバ(370、470)および受信ドライバ(380、480)は、2線ケーブル210を共用して、信号の送受信を行う。これにより、ドアホンシステム100は、使用する周波数帯域を分離することなく、2線ケーブル210を上り信号の伝送および下り信号の伝送で共通化することができる。
なお、玄関子機300およびドアホン親機400は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、RAM(Random Access Memory)等の作業用メモリ、および通信回路をそれぞれ有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
このような構成を有するドアホンシステム100は、カメラ付きの玄関子機300とドアホン親機400との間で、上り信号のデジタル伝送と下り信号のデジタル伝送とを、2線ケーブル210を用いた時分割複信によって行うことができる。
<各装置の動作>
次に、各装置の動作について説明する。
<玄関子機の動作>
図12は、玄関子機300の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1010において、子機側制御部350は、子機側呼出ボタン301が操作されたか否かを判定する。子機側制御部350は、子機側呼出ボタン301が操作された場合(S1010:YES)、処理をステップS1020へ進め、操作されていない場合(S1010:NO)、処理を後述のステップS1100へ進める。
ステップS1020において、子機側制御部350は、呼出信号をドアホン親機400へ送信する。
ステップS1030において、子機側制御部350は、ドアホン親機400から応答信号を受信したか否かを判定する。子機側制御部350は、応答信号を受信していない場合(S1030:NO)、処理をステップS1020へ戻し、応答信号を受信した場合(S1030:YES)、処理をステップS1040へ進める。なお、子機側制御部350は、呼出信号を所定の回数送信しても応答信号を受信しない場合、処理を、後述のステップS1100へ進めてもよい。
ステップS1040において、子機側制御部350は、子機側マイク303、子機側音声I/F部330、および子機側カメラ部340を用いて、音声入力および映像撮影を開始する。また、子機側制御部350は、子機側パケット構成部360を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ/デジタル映像データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、子機側制御部350は、デジタル音声データおよびデジタル映像データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS1050において、子機側制御部350は、子機側送信区間であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば、送信制御情報が規定する周期Tbにおける子機側送信区間の時間割り当てと、基準タイミングtiに基づく各周期Tbの開始タイミングとに基づいて行われる。子機側制御部350は、子機側送信区間である場合(S1050:YES)、処理をステップS1060へ進め、子機側送信区間ではない場合(S1050:NO)、処理を後述のステップS1070へ進める。
ステップS1060において、子機側制御部350は、子機側送信ドライバ370を用いて、符号化により生成された上り信号を、2線ケーブル210を介してドアホン親機400へ送信する。なお、子機側制御部350は、子機側送信区間が終了したとき、上り信号の送信を停止する。
ステップS1070において、子機側制御部350は、親機側送信区間であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば、送信制御情報が規定する周期Tbにおける親機側送信区間の時間割り当てと、基準タイミングtiに基づく各周期Tbの開始タイミングとに基づいて行われる。子機側制御部350は、親機側送信区間である場合(S1070:YES)、処理をステップS1080へ進め、親機側送信区間ではない場合(S1070:NO)、処理を後述のステップS1090へ進める。
ステップS1080において、子機側制御部350は、子機側受信ドライバ380、子機側データ抽出部390、子機側音声I/F部330、および子機側スピーカ302を用いて、下り信号の受信、各種データ(制御データ/音声データ)の抽出、および音声の出力を開始する。なお、子機側制御部350は、親機側送信区間が終了したとき、下り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS1090において、子機側制御部350は、玄関子機300とドアホン親機400との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、子機側制御部350は、ドアホン親機400で通話終了の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機400から受信したとき、通話が終了したと判定する。子機側制御部350は、通話が終了していない場合(S1090:NO)、処理をステップS1050へ戻し、通話が終了した場合(S1090:YES)、処理をステップS1100へ進める。
ステップS1100において、子機側制御部350は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、子機側制御部350は、ドアホン親機400でドアホン機能の停止の操作が行われたことを示す信号をドアホン親機400から受信したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。子機側制御部350は、上記処理の終了を指示されていない場合(S1100:NO)、処理をステップS1010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S1100:YES)、一連の処理を終了する。
<ドアホン親機の動作>
図13は、ドアホン親機400の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS2010において、親機側制御部450は、玄関子機300から呼出信号を受信したか否かを判定する。親機側制御部450は、呼出信号を受信した場合(S2010:YES)、処理をステップS2020へ進め、呼出信号を受信していない場合(S2010:NO)、処理を後述のステップS2090へ進める。
ステップS2020において、親機側制御部450は、応答信号を玄関子機300へ送信するとともに、親機側音声I/F部430および親機側スピーカ401を用いて、呼出音を出力する。
ステップS2030において、親機側制御部450は、親機側マイク403および親機側音声I/F部430を用いて、音声入力を開始する。また、親機側制御部450は、親機側パケット構成部460を用いて、送信の対象となる各種データ(制御データ/デジタル音声データ)のパケット化および符号化を開始する。なお、親機側制御部450は、デジタル音声データの送信レート制御を行ってもよい。
ステップS2040において、親機側制御部450は、子機側送信区間であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば、送信制御情報が規定する周期Tbにおける子機側送信区間の時間割り当てと、基準タイミングtiに基づく各周期Tbの開始タイミングとに基づいて行われる。親機側制御部450は、子機側送信区間である場合(S2040:YES)、処理をステップS2050へ進め、子機側送信区間ではない場合(S2040:NO)、処理を後述のステップS2060へ進める。
ステップS2050において、親機側制御部450は、親機側受信ドライバ480および親機側データ抽出部490を用いて、上り信号の受信および各種データ(制御データ/音声データ/映像データ)の抽出を開始する。また、親機側制御部450は、親機側音声I/F部430、子機側スピーカ331、および親機側液晶ディスプレイ404を用いて、音声および映像の出力を開始する。なお、親機側制御部450は、子機側送信区間が終了したとき、上り信号の受信あるいは各種データの抽出を停止する。
ステップS2060において、親機側制御部450は、親機側送信区間であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば、送信制御情報が規定する周期Tbにおける親機側送信区間の時間割り当てと、基準タイミングtiに基づく各周期Tbの開始タイミングとに基づいて行われる。親機側制御部450は、親機側送信区間である場合(S2060:YES)、処理をステップS2070へ進め、親機側送信区間ではない場合(S2060:NO)、処理を後述のステップS2080へ進める。
ステップS2070において、親機側制御部450は、親機側送信ドライバ470を用いて、符号化により生成された下り信号を、2線ケーブル210を介して玄関子機300へ送信する。但し、親機側制御部450は、上述の通り、親機側応答ボタン402が操作されるまでは、デジタル音声データの送信を行わないことが望ましい。なお、親機側制御部450は、親機側送信区間が終了したとき、下り信号の送信を停止する。
ステップS2080において、親機側制御部450は、玄関子機300とドアホン親機400との間の通話が終了したか否かを判定する。例えば、親機側制御部450は、ドアホン親機400で通話終了の操作が行われたこと検知したとき、通話が終了したと判定する。なお、親機側制御部450は、かかる通話終了の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機300に送信することが望ましい。親機側制御部450は、通話が終了していない場合(S2080:NO)、処理をステップS2040へ戻し、通話が終了した場合(S2080:YES)、処理をステップS2090へ進める。
ステップS2090において、親機側制御部450は、ドアホン機能に関する処理の終了を指示されたかを判定する。例えば、親機側制御部450は、ドアホン親機400でドアホン機能の停止の操作が行われたことを検知したとき、上記処理の終了を指示されたと判定する。なお、親機側制御部450は、かかるドアホン機能の停止の操作が行われたとき、その旨を示す信号を玄関子機300に送信することが望ましい。親機側制御部450は、上記処理の終了を指示されていない場合(S2090:NO)、処理をステップS2010へ戻し、上記処理の終了を指示された場合(S2090:YES)、一連の処理を終了する。
各装置がこのような動作を行うことにより、ドアホンシステム100は、カメラ付きの玄関子機300とドアホン親機400との間で、上り信号のデジタル伝送と下り信号のデジタル伝送とを、2線ケーブル210を用いた時分割複信によって行うことができる。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、カメラ付きの玄関子機300とドアホン親機400との間で、上り信号のデジタル伝送と下り信号のデジタル伝送とを、2線ケーブル210を用いた時分割複信によって行う。これにより、ドアホンシステム100では、従来技術のように、ドアホン親機への上り信号と玄関子機への下り信号とで、異なる周波数帯域を使用してそれぞれ変調および復調する必要がない。すなわち、ドアホンシステム100は、各装置の処理を単純な処理で済ますことができ、回路構成も簡易なものとすることができる。
したがって、ドアホンシステム100は、各装置のコストを抑えた状態で既存の2線ケーブルを使用してデジタル伝送を行うことができるため、高品質な映像表示および通話を低コストで実現することができる。
なお、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、データの送信を符号化後のベースバンド伝送により行う。これにより、伝送される信号自体に同期信号を含ませることができ、更に装置構成を簡素化し、コストを低減することができる。
更に、本実施の形態に係るドアホンシステム100は、上り信号と下り信号とで周波数帯域を分離させる必要がないため、従来技術に比べて、帯域を有効活用することができ、映像品質および音声品質の更なる向上を図ることができる。
<本実施の形態の変形例>
なお、ドアホンシステム100が2線ケーブルを使用した時分割通信により伝送するデータの種別および形式は、上述の例に限定されない。例えば、玄関子機300は、建物200の外部の無線通信端末と通信を行い、かかる通信で取得した情報をパケット化し、符号化して、子機送信区間にドアホン親機400へ送信してもよい。また、ドアホン親機400にカメラを設け、玄関子機300にディスプレイを設けて、双方向で映像データの伝送を行ってもよい。
また、子機送信区間と親機送信区間の配分およびその決定手法は、上述の例に限定されない。例えば、玄関子機300あるいはドアホン親機400は、各装置の音声や映像の品質の変化に応じて、所定の周期における子機側送信区間および親機側送信区間の時間割り当てを変化させ、これらの区間の比率を変化させてもよい。
また、デジタル伝送の手法は、上述の例に限定されない。例えば、玄関子機300およびドアホン親機400は、逆マンチェスタ符号やミラー符号等を用いてパケットデータを符号化し、2線ケーブルに送出してもよい。また、玄関子機300およびドアホン親機400は、FSK(Frequency Shift Keying)等の周波数変調により、上り信号および下り信号を生成してもよい。
<本開示のまとめ>
本開示のドアホンシステムは、カメラ付きの玄関子機とドアホン親機とが2線ケーブルを介して接続され、前記玄関子機から映像信号を前記ドアホン親機に送信しながら、前記玄関子機と前記ドアホン親機との間で通話を行うドアホンシステムであって、前記玄関子機は、前記玄関子機の制御信号、映像信号、および音声信号をパケット化して上り信号を生成し、生成された前記上り信号を前記ドアホン親機へ送信し、前記ドアホン親機は、前記ドアホン親機の制御信号および音声信号をパケット化して下り信号を生成し、生成された前記下り信号を前記玄関子機へ送信し、前記玄関子機および前記ドアホン親機は、前記上り信号の送信および前記下り信号の送信を、前記2線ケーブルを用いた時分割複信によって行う。
なお、上記ドアホンシステムにおいて、前記玄関子機および前記ドアホン親機は、前記上り信号の送信および前記下り信号の送信を、ベースバンド伝送により行ってもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記玄関子機および前記ドアホン親機は、所定の周期における前記上り信号の送信区間および前記下り信号の送信区間の時間割り当てを規定する送信制御情報に従って、前記上り信号あるいは前記下り信号の送信を行ってもよい。
また、上記ドアホンシステムにおいて、前記玄関子機および前記ドアホン親機の少なくとも一方は、前記所定の周期の基準となるタイミングを、前記玄関子機および前記ドアホン親機の他方に通知してもよい。
本開示の通信方法は、カメラ付きの玄関子機とドアホン親機とが2線ケーブルを介して接続され、前記玄関子機から映像信号を前記ドアホン親機に送信しながら、前記玄関子機と前記ドアホン親機との間で通話を行うドアホンシステムにおける通信方法であって、前記玄関子機が、前記玄関子機の制御信号、映像信号、および音声信号をパケット化して上り信号を生成するステップと、前記玄関子機が、生成された前記上り信号を、前記2線ケーブルを用いた前記ドアホン親機へ送信するステップと、前記ドアホン親機が、前記ドアホン親機の制御信号および音声信号をパケット化して下り信号を生成するステップと、前記ドアホン親機が、生成された前記下り信号を、前記玄関子機が前記上り信号を送信していないタイミングで、前記2線ケーブルを用いた前記玄関子機へ送信するステップと、を有する。