JP2016153422A - ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法 - Google Patents

ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 健康や環境により配慮した製法で生産性向上、低コスト化を実現するペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物を製造する方法の提供。【解決手段】 N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液に、トリエチルアミン及びヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを加えて0℃〜70℃にて反応を行い反応生成溶液を得る工程、次に、該反応生成溶液にCaCO3類を加えて前工程の反応副生フッ酸と反応せしめてフッ化カルシウム分散反応生成溶液を得る工程、続いて、該溶液より固形分を分離、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、未反応オリゴマーを留去して、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を得る工程と、を含むことを特徴とする該化合物の製造法。【選択図】なし

Description

本発明は、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法に関し、より詳細には、高硬度・耐熱性・耐溶剤性・撥水撥油性・低屈折性等に優れた成形材料、積層板材料、塗料用ビヒクル、撥水・撥油性フィルム、低屈折率フィルム、レンズ等の光学部材、多層反射防止剤、気体・液体透過膜、クロマトグラフ充填剤等の樹脂原料、樹脂改質剤、感光性樹脂の電子材料等の機能性高分子材料、医薬、農薬その他の精密化学品の原料として有用な一般式(1)
Figure 2016153422
(式中、nは2又は3の整数を示す。)
で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法に関する。
ペルフルオロアルケニルアリールエーテル類の製造方法として、置換基を有することもあるフェノール類とヘキサフルオロプロペン2量体又は3量体とを反応させて得られる方法が、一般的に知られている(例えば、英国特許第1130822号公報、英国特許第1143927号、特公昭57−56454号等)。
かかる公知技術をもとに多くの新規化合物の提案もなされ、例えば、ペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素カルボン酸類、含フッ素ケトン類、含フッ素エーテル類、含フッ素アミン類、含フッ素アミド類等が開示されている。(例えば、特開昭50−121243号公報、特開昭52−105141号公報、特開昭60−51146号公報、特開昭63−166849号公報、特開昭60−228474号公報、特開昭63−233940号公報、特開昭64−74215号公報、特開昭62−178551号公報、特開昭64−83064号公報、特開平2−117648号公報、特開平5−85995号公報、特開平3−66639号公報、特開昭59−46236号公報、特開2002−348268号公報等)。
かかる化合物の中において、ペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素スチレン誘導体が特異な性質を有することから産業上期待されている(例えば、特公平6−51653号公報、特開2007−9163号公報等)。
例えば、特開2007−9163号には、ヒドロキシスチレン誘導体とペルフルオロオレフィンを非水溶媒中、塩基性触媒の存在下に脱フッ酸反応させることを特徴とする含フッ素スチレン誘導体の製造方法が提案されている。
そして、該公報の「発明の詳細な説明」には、該塩基性触媒は、脱フッ酸反応を促進し、生成するフッ酸を中和する作用をするものであり、好適な触媒としては、例えば、トリエチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられ、また、該反応溶媒(非水溶媒)としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグリム、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドン等を用いることができることが記載されている。
更に、かかる実施例には、上記の如くして得られる反応混合物に、水を加えることにより2層とし、塩酸を加え、上部の水層を酸性にした後、ヘキサンを用いて有機層を数回抽出し、抽出した有機層は合わせて、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶液を減圧下で濃縮した後、ヘキサンを展開液とし、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフにより精製することにより、含フッ素スチレン誘導体を得ることが開示されている。
しかしながら、かかるペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素スチレン誘導体を製造することにおいて、実用化するうえで重要な製造工程である該水溶液の工程管理、操作については記載がない。
又、特開平5−85995号公報には、アミノ基が保護されたジアミノヒドロキシベンゼン化合物とパーフルオロアルケンオリゴマーとを有機溶媒中、塩基の存在下にて脱フッ酸反応させることを特徴とするアミノ基が保護されたフッ素含有ジアミノベンゼン化合物の製造方法が提案されている。
そして、かかる実施例1には、1,3−ビス(アセチルアミノ)−5−ヒドロキシベンゼンを溶解させたジメチルホルムアミド溶液にヘキサフルオロプロペン3量体を加え、トリエチルアミンを滴下して脱フッ酸反応を行った後、反応溶液を水に注ぎ、生じた沈澱を
Figure 2016153422
ニルオキシ)ベンゼンを得ることが開示されている。
これら公知技術のいずれにおいても、かかるペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素化合物の製造方法は、相当するフェノール性OH基を含有する化合物とペルフルオロアルケンのオリゴマーとを用い脱フッ酸反応等を行った後、目的生成物を得るのに反応混合物に大量の水を添加して相分離させて分取する精製処理工程により行われている。そして、かかる実用化するうえで重要な製造工程である排出する水溶液の処理、反応助剤の回収等については記載がない。
英国特許第1130822号公報 英国特許第1143927号公報 特公昭57−56454号公報 特公平6−51653号公報 特開2007−9163号公報 英国特許第905994号公報 特開昭50−37736号公報 特開昭50−140411号公報 特公昭61−26892号公報 特開昭50−121243号公報 特開昭52−105141号公報 特開昭60−51146号公報 特開昭63−166849号公報 特開昭60−228474号公報 特開昭63−233940号公報 特開昭64−74215号公報 特開昭62−178551号公報 特開昭64−83064号公報 特開平2−117648号公報 特開平5−85995号公報 特開平3−66639号公報 特開昭59−46236号公報 特開2002−348268号公報
かかるペルフルオロアルケニルオキシ基を有する含フッ素スチレン誘導体の製造反応において、有害な腐食性毒物であるフッ酸を副生し、反応系中で第三級アミン等の塩基性触媒との塩の形で存在するが、かかる塩、溶媒等は不要なので反応系より分離除去することになる。そこで、通常、かかる分離除去操作として、該反応後の溶液に水を加え、該含フッ素スチレン誘導体を含む液と該塩基性化合物のフッ酸塩等を含む水溶液とを相分離させ、水洗浄または酸洗浄によって水溶液として分離することになるが、該水溶液から塩基性化合物触媒、溶媒等の反応助剤を分離回収することは著しく困難であり、最終的には取扱いのし易さから水溶液として廃棄することになる。このような水溶液を廃棄することは経済的にも不利であるし、環境に対する負荷も大きくなり好ましくなく、工業的規模での実施に際しては大きな欠陥を有する。
本発明は上記問題点を解決するもので、健康や環境により配慮した製法で、生産性向上、低コスト化を実現するペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造にあたり、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用いることにより、p−イソプロペニルフェノールを安定に高濃度溶液で得られ且つ比較的沸点が低く水と共沸しないため反応後の分離回収が容易であること、又、塩基性触媒としてトリエチルアミンを用いることにより、反応を高収率で進めることができ且つ反応後の分離回収が簡易に行うことができることを見出して該製造反応を良好に進め、更に、該反応生成溶液にCaCO類を加えて反応工程で副生するフッ酸と反応させ、系中にてフッ化カルシウム固形分として変換して分離除去できることを見出した。又、該固形分を分離除去
Figure 2016153422
フッ酸の影響をなくすることができ、それにより該反応生成溶液から蒸留によりトリエチルアミンを、場合により系中の水との共沸により留去することができ、続いてN,N−ジメチルホルムアミド、未反応オリゴマーも蒸留による分離が簡易にでき、目的生成物のロスも少なく分離することができることを見出した。更に、これらの回収した化学物質を再利用してペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物を製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(イ)p−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液に、トリエチルアミン1.0〜3.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)及び一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー1.0〜1.3モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)を加えて反応温度0℃〜70℃にて反応を行い、
一般式(1)
Figure 2016153422
(式中、nは2又は3の整数を示す。)
で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液を得る工程と、
(ロ)上記(イ)工程で得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液に、CaCO、Ca(OH)及びCa(HCOの群の中から選ばれる少なくとも1種を0.5〜2.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)加えて(イ)工程の反応にて副生するフッ酸と反応を行い、フッ化カルシウム分散反応生成溶液を得る工程と、
(ハ)上記(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成溶液よりフッ化カルシウム固形分を分離、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及び未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを留去して、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法である。
本発明の(イ)工程に係るp−イソプロペニルフェノールは、通常、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーを熱分解し、生成したp−イソプロペニルフェノールを単離して、固形分として得られる。しかし、かかる一旦単離して得られるp−イソプロペニルフェノール固形分は、経時的に重合が進み、高純度の状態でp−イソプロペニルフェノールを供給することが難しい。そのため、反応目的物のペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物に重合物が混入すること、該生成物の純度が低下し精製等が煩雑になること、収率、生産性が低下すること、かかる不純物を廃棄物として排出することにより環境に対して大きな負荷を及ぼすこと等の問題を生ずる。そこで、本発明に係わる製造法において、本発明の効果をより優れたものにすべく、かかる点を解決することも併せて提示する。
つまり、本発明の(イ)工程に係るp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液を得る方法としては、
(a) 再結晶して得られるp−イソプロペニルフェノール固形分1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いp−イソプロペニルフェノールを溶解せしめて得る方法、
(b) p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーを塩基性触媒の存在下又は不存在下に加熱することにより発生するp−イソプロペニルフェノールを、蒸気状で又は凝縮直後に、留出するp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを用いて接触せしめてp−イソプロペニルフェノールを捕集して得る方法等が有用であるが、(b)の方法によれば、n−オクタノールを溶媒として再結晶する等の煩雑な操作が不要で且つ簡易に溶解液が得られることから、(b)の方法がより好ましい。
更には、
(c) 上記した(b)の方法で得られる溶解液に1.0〜3.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)のトリエチルアミンを加えて安定な溶解液として得る方法も有用であり、本発明に係わるp−イソプロペニルフェノールの溶解液として用いることもできる。尚、該溶解液を用いる場合には,所量のトリエチルアミンを含んでいるので、その後のトリエチルアミンの添加は不用である。
上記のようにして得られる(c)のp−イソプロペニルフェノールの溶解液は、p−イソプロペニルフェノールの純度が高く、且つ貯蔵安定性が良好である。かかる溶解液の安定性が著しく優れていることは驚くべきことであり、かかる安定性は、添加したトリエチルアミンがp−イソプロペニルフェノールとの間で四級塩として働き、且つこれらとN,N−ジメチルホルムアミドが有する優れた溶解性、特異な極性等による相互作用によるものと推定される。
かかる(b)、(c)の方法で得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液は、引き続いてペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の合成原料、反応液としてそのまま用いることができるため、合成反応工程が極めて簡略であり、高純度のp−イソプロペニルフェノールを原料として用いることができ、工業的に優れたものである。
又、上記した(b)の方法について、より具体的には以下の如くにして得られる。
(b)の方法で用いられるp−イソプロペニルフェノールのオリゴマーとは、重合度が2〜5のp−イソプロペニルフェノールの低重合体を意味する。
該オリゴマーは、公知の方法により、ビスフェノールAを塩基性触媒の存在下に150〜250℃に加熱して得られる混合物からフェノールを留去することにより得られる。
(b)の方法において、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーからp−イソプロペニルフェノールを発生させるためには、該オリゴマーを150〜260℃、50〜100mmHgの条件下において加熱し、発生するp−イソプロペニルフェノールを反応系外に留出させることにより行われる。この際、塩基性触媒の存在下に加熱してもよい。かかる塩基性触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらの水酸化物、アルコラート等を用いることができる。これらの触媒の使用量は、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーに対し0.01〜2重量%である。
次いで、上記のように発生するp−イソプロペニルフェノールをN,N−ジメチルホルムアミドに接触させて捕集する。
発生するp−イソプロペニルフェノールをN,N−ジメチルホルムアミドに接触させて捕集するには、例えば、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーから発生するp−イソプロペニルフェノールを蒸気状で吸収塔の上部に導き、塔頂付近で、塔頂に供給したN,N−ジメチルホルムアミドと接触させて吸収塔を流下させることにより吸収溶解させる方法、発生するp−イソプロペニルフェノールを凝縮させ、その凝縮液が受器に至る前にN,N−ジメチルホルムアミドと接触させて溶液とする方法、あるいは発生するp−イソプロペニルフェノールを凝縮させ、その凝縮液を、予めN,N−ジメチルホルムアミドを入れた受器に導いて通常5分以内に溶解させる方法等をとることができる。
上記した如く、熱分解反応で生成するp−イソプロペニルフェノールは、極めて反応性が高く、特に液状になると素早く重合反応が起こり、p−イソプロペニルフェノールのダイマー、トリマー等の低重合物が生成する。p−イソプロペニルフェノールの収率を考慮すると、熱分解生成物を熱分解器から留出させるときには、蒸気状態が好ましく、液層部は極力少なくすることが好ましい。
従って、上記の方法中、特に、p−イソプロペニルフェノールを蒸気状で吸収溶解させる方法が好ましく、該方法によれば、熱分解生成物が蒸気状態で蒸留塔に供給されるため、p−イソプロペニルフェノールの重合が防止され、高純度のp−イソプロペニルフェノールを得ることが可能である。
発生するp−イソプロペニルフェノールと溶媒との接触温度は、捕集方法、発生圧力等により異なるが、100℃以下、好ましくは80℃以下、かつ30℃以上で行うのが好ましい。上記の範囲よりも高温度で接触させると、p−イソプロペニルフェノールの2量体が副生し易くなり、上記の範囲よりも低温度で接触させると、p−イソプロペニルフェノールの溶解度が低くなり捕集効率が低下するため好ましくない。
又、(b)の方法において、発生するp−イソプロペニルフェノールを捕集するために用いられるN,N−ジメチルホルムアミドの量は、留出するp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部の範囲であり、特に、3.0〜8.0重量部の範囲が好ましい。2.5重量部より少ない量においては、p−イソプロペニルフェノールの捕集が十分に行われないためp−イソプロペニルフェノールの重合体が生成し易く、得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液の純度が著しく低下して好ましくない。更に、該溶解液のp−イソプロペニルフェノール濃度が高濃度となり、引き続いて行うヘキサフルオロプロペンのオリゴマーからなるフッ素化剤との合成反応において発熱等の制御が困難になるので、該溶解液として利用することが難しい。又、9.0重量部より多い量においては、得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液の濃度が著しく低くなり、引き続いて行うペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の合成反応の収率が著しく低くなり、生産性が低下し工業的利用が難しいので好ましくない。
従って、上記の接触温度、溶媒の使用量においてp−イソプロペニルフェノールを捕集する場合は、発生するp−イソプロペニルフェノールを実質的に完全に捕集することができ、その結果、10〜28重量%の濃度を有する高純度のp−イソプロペニルフェノールの捕集液が得られる。更に、引き続いて行うペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の合成反応の溶解液としての工業的利用から、該濃度は12〜25重量%の捕集液であることが好ましい。
尚、上記の工程において、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーを熱分解する反応器下部より、不活性ガスで連続的にバブリングを行ってもよい。不活性ガスとして、具体的には窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等が挙げられるが、特に、経済性の面から窒素が好ましい。
又、熱分解反応原料の熱分解器への供給方法は、連続的でも間歇的または、回分式でもよいが、連続的供給が好ましい。
本発明の(イ)工程に係るp−イソプロペニルフェノールの溶解液の溶媒として用いるN,N−ジメチルホルムアミドは、p−イソプロペニルフェノールに対する相溶性に優れ溶解性、捕集効果が良いこと、更に、引き続いて行うヘキサフルオロプロペンのオリゴマーからなるフッ素化剤との合成反応の溶媒として原料、生成物との相溶性、合成反応性に優れること等から極めて好ましい。かかる溶解液の溶媒として、アルコール類等のプロトン性極性溶媒は該溶解液の貯蔵安定性が十分でないこと、引き続いて行う合成反応を阻害すること等から用いることができないこと、又、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグリム、アセトニトリル、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ケトン類、ジメチルスルホキシド類、スルホラン類の溶媒は、p−イソプロペニルフェノールに対する相溶性、溶解性、捕集効果が十分でないこと、該溶解液の安定性が十分でないこと等から工業的に利用することは難しい。
本発明の(イ)工程に係るトリエチルアミンは、一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー中の反応性に優れる異性体への変換を容易に進めること、本発明に係わるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造の脱フッ酸反応の触媒として優れて反応が速やかに進むこと、本発明に係る製造法の(ロ)工程において生成する水を共沸混合物として容易に留去できること、製造プロセスにおいて該化合物の回収が簡易であり本発明の製造法にて再利用できること,該化合物を廃棄しないため健康や環境により配慮されること等から本発明に係わるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法を実用化する上で工業的に特に優れている。かかる反応触媒として、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N,N−メチルピペリジン、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられるが、これらの化合物は本発明に係わるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法を実用化する上で重要な物質の回収が難しく技術的、経済的に大きな欠陥を有すること、これらを廃棄すれば健康や環境に対する負荷も大きくなり著しい問題があること等から工業的に利用することは難しい。
又、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の合成反応におけるトリエチルアミンの使用量としては、p−イソプロペニルフェノール1モルに対して1.0〜3.0モルの量比であるが、1.02〜2.1モルの量比で使用することがより好ましい。該量比が、1.0モルより少ない場合には、反応生成物中に不純物としてp−イソプロペニルフェノール及びその重合物が混在し精製等の工程が煩雑になり工業的に不利になること、又、3.0モルより多い場合には、合成反応において副生反応物が生成しやすいこと等から好ましくない。
本発明の(イ)工程に係る一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマーとしては、例えば、ヘキサフルオロプロペン2量体(C12)、ヘキサフルオロプロペン3量体(C18)及びこれらの異性体が挙げられるが、これらの混合物を用いることもできる。
又、該ヘキサフルオロプロペン3量体には、ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)とペルフルオロ(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)の2幾何異性体が存在するが、異性体ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)は、本発明に係わる反応条件下において、該異性体の2位結合F原子と原料フェノール性OH基との脱フッ酸反応が極めて容易に進むため特に好ましい。他方、異性体ペルフルオロ(3−エチル−2,4−ジメチル−2−ペンテン)は、通常、それ自体と原料フェノール性OH基との反応は極めて進み難いが、該異性体は、本発明に係わるN,N−ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン存在下においては、異性体ペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)に容易に異性化して、原料フェノール性OH基との反応が良好に進むため,同様に有用であり、これらの異性体混合物を用いることもできる。
又、これらを異性化の処理をしても或いはしなくても有用であるが、特に、ヘキサフルオロプロペンをフッ素イオンの存在下スルホラン類を溶媒として2量化または3量化したもの、ヘキサフルオロプロペンの2量体または3量体をフッ素イオンの存在下スルホラン類を溶媒として異性化して得られる化合物は反応性が良好であることから好ましい。
かかるヘキサフルオロプロペンのオリゴマーの使用量は、該合成反応が化学量論的には該オリゴマー1モルとp−イソプロペニルフェノール1モルの量比で反応が進むので、反応に用いるp−イソプロペニルフェノールと等モルの量比で使用すればよいが、該反応を十分に完結させるには、通常p−イソプロペニルフェノール1モルに対し1.0〜1.3モルの量比で使用するのが好ましい。
本発明の(イ)工程に係る合成の反応温度は、0℃〜70℃の範囲である。反応温度が高くなるに従って反応速度が速くなるが、室温で十分速やかに反応させることができ、原料及び生成物の熱重合反応を防止する上から5℃〜65℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは10℃〜60℃の範囲である。
該反応は、大気圧下あるいは加圧下で行うことができるが、反応作業、装置の簡便さから大気圧下で行うことが好ましい。
更に、反応系は、空気雰囲気下あるいは不活性ガス雰囲気下で行うことができるが、反応生成物の着色を少なくする上から不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。かかる不活性ガスとしては、具体的には窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等が挙げられるが、特に、経済性の面から窒素が好ましい。
次いで、本発明に係る(ロ)工程は、上記の(イ)工程で得られる反応生成溶液に含まれる製造反応にて副生するフッ酸と、CaCO、Ca(OH)及びCa(HCOの群(以下、CaCO類という。)の中から選ばれる少なくとも1種とを反応させ、フッ化カルシウムを固形分として生成せしめるが、かかる反応は反応温度0℃〜70℃で行われ、通常、室温にて速やかに反応が進む。又、かかる反応は定量的に進み、副生フッ酸はフッ化カルシウムに全量変換される。
該反応生成溶液中の副生フッ酸とCaCO類との反応は、フッ化カルシウム固形分を生成する以外に、水、場合によりCOガスを生ずるが、これらは、(ハ)工程においてトリエチルアミンと水とを共沸蒸留にて留去する方法、ガスとして排気する方法等により簡易に系外に除外することができる。そのため、反応生成溶液中のトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及び未反応オリゴマーを蒸留にて分留、除去することが容易になるため、工業的規模での実施に際しては極めて優れている。
かかるCaCO類としては、CaCO、Ca(OH)及びCa(HCOの群の中から選ばれる少なくとも1種であるが、価格的に安価で且つ取扱い易いCaCO、Ca(OH)が好ましく、更にはCaCOがより好ましい。尚、CaCO類の代わりに、カルシウムの有機酸塩、塩酸、リン酸等の鉱酸塩を用いた場合には、かかる反応後に有機酸、鉱酸が反応生成溶液に残存し、これらを除去するには煩雑な操作を要するばかりでなく、廃棄物として排出され環境に影響を及ぼすこと、反応生成溶液に残存する有用なトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及び未反応オリゴマーを分離回収することが難しいこと等のため、工業的に利用することは難しい。
尚、かかるCaCO類の使用形態は、通称「タンカル」の普通品、重質品、沈降炭酸カルシウム(薬局方)、軽質炭酸カルシウム、コロイド領域の粒度の炭酸カルシウム、消石灰等の固形分、これらの顆粒状、ペレット、ブリケット、ハニカム状等の造粒品及びこれらの水、溶媒による分散液あるいは溶液、重炭酸ソーダ水溶液等として用いることができるが、これらの形態に限定されるものではない。
かかるCaCO類の使用量は、フッ酸が原料p−イソプロペニルフェノールと等モルの量比で副生し、且つ該フッ酸1モルはCaCO類0.5モルと反応が進むため、化学量論的には該p−イソプロペニルフェノール1モルに対して0.5モルの量比で使用すればよいが、好ましくは0.5〜2.0モルの量比であり、より好ましくは0.51〜1.01モルの量比である。
本発明の(ロ)工程を行うことにより、腐食性毒物である副生フッ酸をフッ化カルシウム固形分に変換して安定で健康及び環境により優れたものとし、反応目的物及び反応助剤等の分離精製等の操作を簡易に且つ安全に行うことができ、工業的規模での実施に際して著しく優れたものである。
次いで、本発明に係る(ハ)工程において、(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成溶液よりフッ化カルシウム固形分の分離、反応助剤等の留去の操作を行い、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を得る。かかる分離、留去操作は
Figure 2016153422
ルホルムアミド、未反応ヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを蒸留にて分留しながら留去し、一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を
Figure 2016153422
液を用いて、繰り返し(ロ)工程を同様に行うこともできる。
更に、(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成溶液よりトリエチルアミン及び未反応オリゴマーの反応助剤、生成水を共沸蒸留等により予め分留回収した後、フッ
Figure 2016153422
済的に利用する方法も有用である。
尚、該(ハ)工程における該分離操作等の手順は、場合により適宜選定することができ、これらの方法に限定されるものではない。
これらの分離、留去等の操作、方法は、反応生成溶液系中の副生フッ酸をフッ化カルシウム固形分に変換することにより、該フッ酸による障害を除去し、操作が簡易で健康及び環境により好ましく行うことが可能になったものであり、更に、反応助剤等を簡易に、効率よく回収でき、実用上、工業的規模において優れたものである。
尚、上記の(ハ)工程において、上記の(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反
Figure 2016153422
により簡易に行うことができるが、これらの方法に限定されるものではない。
上記の如く分離、回収して得られるフッ化カルシウム固形分は、CaCO類以外の固形分、例えば、天然蛍石に不純物として含まれるマグネシウム、ヒ素金属類、人工蛍石に不純物として含まれる二酸化珪素等を含有しない良質なフッ化カルシウム物質として得られ、産業上有用である。更に、高純度のフッ化カルシウムは、該回収固形分を水に分散させた液にCOガスを吹き込むことにより、不純物のCaCO類を水に可溶な重炭酸カルシウムに変換し水に溶解させて除去する方法、該回収固形分にフッ酸を流通させて未反応CaCO類を反応させフッ化カルシウムに変換して純度を向上させる方法等により得ることができ、光学レンズ等の高機能材料として再利用することができる。
上記の(ハ)工程にて回収されるトリエチルアミン分留液は、通常、高純度であり本発明の製造法において再利用することができ、場合により水を含有することもあるが、かかる場合は、簡易に脱水精製して再利用することができる。
例えば、水を含むトリエチルアミン分留液より水を含まない高純度のトリエチルアミンを得るには、(1)該分留液を加温して、好ましくは40〜70℃にて、トリエチルアミン層と水層とに2層分離させて得る方法、(2)該分留液に第三成分として例えばn−ヘキサンを共存させ、蒸留によりn−ヘキサンとの共沸で水を除去した後、引き続き蒸留によって残存するn−ヘキサンを留去して得る方法等により得ることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
又、上記の(ハ)工程にて回収される未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマー分留液及びN,N−ジメチルホルムアミド分留液は、各々水等を含むことなく極めて純度が高く、本発明に係わるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法において再利用することができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物としては、例えば、p−(ペルフルオロヘキセニル)オキシイソプロペニルベンゼン、p−(ペルフルオロノネニル)オキシイソプロペニルベンゼン及びこれらの異性体が挙げられるが、これらの混合物でもよい。
尚、一般式(1)中の(C3n6n−1O)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基としては、例えば、ペルフルオロ(ヘキセニル)オキシ基、ペルフルオロ(ノネニル)オキシ基及びこれらの異性遊離基が挙げられるが、これらの混合したものでもよい。又、ペルフルオロ(ノネニル)オキシ基としては、本発明に係わるヘキサフルオロプロペン3量体と原料p−イソプロペニルフェノールのOH基との脱フッ酸反応が、主として該幾何異性体のペルフルオロ(3−イソプロピル−4−メチル−2−ペンテン)の2位結合F原子が脱離して反応が進みペルフルオロ(2−イソプロピル−1,3−ジメチル−1−ブテニル)オキシ基結合が生成するため、一般式(1)中のnが3で表される化合物として該基を有するp−ペルフルオロ(2−イソプロピル−1,3−ジメチル−1−ブテニル)オキシイソプロペニルベンゼンが特に有用であるが、これに限定されるものではない。
尚、上記の(ハ)工程にて得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分は、不純物が少なく良質な物質として得られ、産業上有用である。更に、高純度のペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物は、(ハ)工程にて得られる該化合物成分を減圧蒸留して精製する方法、(ハ)工程にて得られる該化合物成分をn−ヘキサンを展開液としてシリカゲルを充填したカラムクロマトグラフにて精製する方法等により得ることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
尚、本発明においては、上記の具体的実施形態に示すものに限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲以内で種々変更した実施形態とすることもできる。
以上の如く、本発明のペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法は、反応工程にて副生する有害な腐食性毒物フッ酸を安全な有用固形物質フッ化カルシウムとして分離回収し、更にトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、未反応オリゴマーを簡易に回収し、これらを廃水、廃棄物として排出しない健康や環境により配慮した製法で、実用化の途を開き、更に原材料の選定、該回収成分の再利用等により実用化する上で重要な生産性向上、低コスト化等をも実現できるなど優れた効果を発揮する。又、分離回収されるフッ化カルシウム固形分は、フッ素原料、製鉄等の融剤、さらには光学レンズとして色収差が非常に小さく広い波長域にわたって安定した光学性能が得られる高性能化のための特殊材料等として有用である。
以下、本発明に係わる製造法を実施するための形態、更に好ましい形態について、詳細に説明する。
本発明は、
(1) (イ)p−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液に、トリエチルアミン1.0〜3.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)及び一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー1.0〜1.3モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)を加えて反応温度0℃〜70℃にて反応を行い、
一般式(1)
Figure 2016153422
(式中、nは2又は3の整数を示す。)
で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液を得る工程と、
(ロ)上記(イ)工程で得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液に、CaCO、Ca(OH)及びCa(HCOの群の中から選ばれる少なくとも1種を0.5〜2.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)加えて(イ)工程の反応にて副生するフッ酸と反応を行い、フッ化カルシウム分散反応生成溶液を得る工程と、
(ハ)上記(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成溶液よりフッ化カルシウム固形分を分離、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及び未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを留去して、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を得る工程と、
を含むことを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法、
(2) 上記(1)において、(イ)項に記載のp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液が、再結晶して得られるp−イソプロペニルフェノール固形分1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液であることを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法、
(3) 上記(1)において、(イ)項に記載のp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液が、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーを塩基性触媒の存在下又は不存在下に加熱することにより発生するp−イソプロペニルフェノールを、蒸気状で又は凝縮直後に、留出するp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを用いて接触させ、捕集せしめて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液であることを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法、
(4) 上記(1)において、(イ)項に記載のペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液を得る工程が、p−イソプロペニルフェノールのオリゴマーを塩基性触媒の存在下又は不存在下に加熱することにより発生するp−イソプロペニルフェノールを、蒸気状で又は凝縮直後に、留出するp−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを用いて接触せしめてp−イソプロペニルフェノールを捕集し、その液にトリエチルアミン1.0〜3.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)を加えてトリエチルアミンとp−イソプロペニルフェノールを混合せしめて得られる溶解液に、一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー1.0〜1.3モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)を加えて反応温度0℃〜70℃にて反応を行い、一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液を得る工程であることを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。但し、これらの実施例の記載は、本発明の範囲をこれらのみに限定するものではない。
(イ)工程におけるN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液の製造:
p−イソプロペニルフェノールのオリゴマー(p−イソプロペニルフェノールダイマー96重量%、同トリマー4重量%)を230℃、50mmHgの条件下に加熱してp−イソプロペニルフェノールを蒸気にて160g/hの速度で留出させ、充填塔式の吸収塔の塔頂の直ぐ下部に蒸気状で導入した。一方、N,N−ジメチルホルムアミドを688g/hで吸収塔の塔頂に送入して流下させ、p−イソプロペニルフェノールと55℃で接触させて捕集した。その結果、p−イソプロペニルフェノールを含む固形分18.8重量%の溶解液1200gを得た。該溶解液をガスクロマトグラフにて検定した結果、溶媒を除くp−イソプロペニルフェノールの純度は99.9重量%であった。
該溶解液は、簡易に且つ高純度で得られ、本発明に係る目的化合物の製造における収率、生産性の向上に著しく寄与するものである。
p−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソプロペニルベンゼンの製造:
(イ)工程におけるp−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソプロペニルベンゼンの反応生成溶液の製造:
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを装着した500ml反応器に、実施例1で得られたp−イソプロペニルフェノールの溶解液200.0g[p−イソプロペニルフェノール37.56g(0.280モル)を含む。]及びトリエチルアミン31.2g(0.308モル)を送入した。その液温を40℃に保持し撹拌しながら、滴下ロートよりフッ素イオン存在下でメチルスルホランを溶剤として異性化せしめたヘキサフルオロプロペン3量体132.3g(0.294モル)を添加した。滴下終了後、3時間反応を行い完了して反応生成溶液を得た。該反応生成溶液をガスクロマトグラフにて検定した結果、原料p−イソプロペニルフェノールのピークは消滅していた。
(ロ)工程におけるフッ化カルシウム分散反応生成溶液の製造:
引き続いて、(イ)工程で得られた反応生成溶液に反応温度40℃で沈降炭酸カルシウム(薬局方)19.6g(0.196モル)を5分割添加して2時間撹拌しながら反応を行い、白濁のフッ化カルシウム分散反応生成溶液を得た。
(ハ)工程におけるp−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソプロペニルベンゼン成分の製造:
次に、(ロ)工程で得られたフッ化カルシウム分散反応生成溶液より、遠心分離器を用
Figure 2016153422
ルホルムアミドで共洗、次いでアセトンで洗浄後、減圧乾燥してフッ化カルシウム固形分16.0g(純度66.2重量%:元素分析)を得た。尚、該固形分についてX線分析をした結果、マグネシウム、ヒ素及び珪素金属は検出されなかった。
Figure 2016153422
い、初留としてトリエチルアミン・水共沸留分23.6g(51.1〜52.4℃/280mmHg)、次いで順次にトリエチルアミン留分9.1g(58.2〜60.1℃/280mmHg)、オリゴマー留分6.0g(62.3〜66.1℃/150mmHg)及びN,N−ジメチルホルムアミド留分157.5g(67.9〜68.3℃/42mmHg)を分留して留去し、粘稠な油状のp−(ペルフルオロノネニルオキシ)イソプロペニルベンゼン成分153.4g(純度99.6重量%、収率96.7重量%:ガスクロマトグラフ検定)を得た。
尚、各留分の留出終了時点では留出液はテイリングすることなく一旦液の留出が止まり、各留分を得ることができた。
得られた留分を液体クロマトグラフで検定した結果、トリエチルアミン・水共沸留分は、トリエチルアミン純度89.6重量%(水分10.4重量%)であった。
又、トリエチルアミン留分、オリゴマー留分及びN,N−ジメチルホルムアミド留分は、いずれも純度99.9重量%であった。かかるトリエチルアミン留分、オリゴマー留分及びN,N−ジメチルホルムアミド留分は、いずれも高純度であり、本発明の製造法における原材料として用いることができる。
(ハ)工程におけるトリエチルアミン・水共沸留分からの高純度品の製造:
実施例2における(ハ)工程で得られたトリエチルアミン・水共沸留分23.6g(純度89.6重量%)を、ラシヒリングを充填した精留塔及び該精留塔の頂部にスタック・ディーン分離器を装着した蒸留装置に仕込み、更にn−ヘキサン10.0gを添加して、常圧で蒸留を行った。全還流させて該分離器で水とn−ヘキサンを分離し、水を系外に除去した。このようにして水を除外した後に、n−ヘキサン、更に、初留(75.3〜75.8℃)を留去すると一旦液の留出が止まり、その後、88.3〜89.0℃の留分としてトリエチルアミン19.0g(純度99.9重量%、水分0.1重量%)を得た。
該トリエチルアミンは、高純度であり、本発明の製造法における原材料として用いることができる。
(ハ)工程におけるフッ化カルシウム固形分からの高純度品の製造:
実施例2における(ハ)工程で得られたフッ化カルシウム固形分10.0g(純度66.2重量%)に水200.0gを加えて分散液とし、COガスの液中吹込口及び撹拌機を装着した密閉容器に該分散液を入れて、COガスを0.5m/minの速度で分散液に吹込み、該ガスを循環させて30℃で2時間反応を行った。次に、得られた反応分散液より遠心分離器にて固液分離して固形状物を得た。再度、この固形状物に水200.0gを加えて分散液とし、上記と同条件で反応を行い、この分散液より固液分離して固形状物を得た。この固形状物を減圧乾燥して、白色粉末状結晶フッ化カルシウム6.4g(純度99.7重量%:元素分析)を得た。該粉末状結晶についてX線分析をした結果、マグネシウム、ヒ素及び珪素金属は検出されなかった。
尚、該粉末状結晶は、高純度で、且つマグネシウム、ヒ素及び珪素金属を不純物として含有しないため、高機能性光学材料として用いることができる。
本発明によれば、健康や環境により配慮した製法で、生産性向上、低コスト化を実現するペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法を提供することができる。更に、該製造法によれば、かかる目的を達成するのみならず、産業上大きな利用分野を有するフッ化カルシウムをも提供することができる。
該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物は、特殊高機能性材料としてのみならず、新規な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、繊維用原材料としても有望であることから、該製造法による工業的大規模生産が期待され、更に、該製造法は、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造に限られるものでなく、主要製品に準ずる量のフッ化カルシウムを生産するものであることから、ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物とフッ化カルシウムを併産する生産効率に優れる製造法として、産業上において大きな利用可能性を有するものである。

Claims (1)

  1. (イ)p−イソプロペニルフェノール1重量部に対して2.5〜9.0重量部のN,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて得られるp−イソプロペニルフェノールの溶解液に、トリエチルアミン1.0〜3.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)及び一般式(C(式中、nは2又は3の整数を示す。)で表されるヘキサフルオロプロペンのオリゴマー1.0〜1.3モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)を加えて反応温度0℃〜70℃にて反応を行い、
    一般式(1)
    Figure 2016153422
    (式中、nは2又は3の整数を示す。)
    で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液を得る工程と、
    (ロ)上記(イ)工程で得られるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の反応生成溶液に、CaCO、Ca(OH)及びCa(HCOの群の中から選ばれる少なくとも1種を0.5〜2.0モル(対p−イソプロペニルフェノール1モル)加えて(イ)工程の反応にて副生するフッ酸と反応を行い、フッ化カルシウム分散反応生成溶液を得る工程と、
    (ハ)上記(ロ)工程で得られるフッ化カルシウム分散反応生成溶液よりフッ化カルシウム固形分を分離、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド及び未反応のヘキサフルオロプロペンのオリゴマーを留去して、該ペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物成分を得る工程と、
    を含むことを特徴とする上記一般式(1)で表されるペルフルオロアルケニルオキシ基含有ビニル化合物の製造法。
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