JP2016152795A - クッキークーヘン焼成機およびそれに用いる架棒体およびそれで焼成したクッキークーヘン - Google Patents
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Abstract
【課題】 クッキー生地を使用して表面がハードな焼き上がりとなるクッキークーヘン、およびそのクッキークーヘンを焼成することができるクッキークーヘン焼成機を提供する。
【解決手段】 架棒体100は芯棒10と装着玉20を備えたものである。装着玉20は芯棒10を受け入れる中空に芯棒10に通し入れることにより芯棒10の周囲に脱着可能に取り付けられる。装着玉20は、球状体または楕円球体となっている。クッキークーヘン300を焼成すると装着玉20の周りに巻きついて焼成される。架棒体100は自転と間歇的な公転運動を行うよう制御される。装着玉20は左右の装着玉片21に分離することが可能である。クッキークーヘン300を中央で左右に切り分けたあと、装着玉20も左右の装着玉片21に分離し、クッキークーヘン300から引き抜く。左右に切り分けられたクッキークーヘン300の切り口を合わせて合体させれば中空の焼き菓子となる。
【選択図】 図6
Description
図20に示すように、架棒体1は、バウムクーヘン焼成機内でバームクーヘンを焼成していく円柱形の棒であり、軸心に対して回転シャフト3を貫通して設置する構造となっている。架棒体の材質は木が用いられることがほとんどである。
第1は、長く焼き上がった一本状態のバウムクーヘン8が架棒体に巻きついている状態のままバウムクーヘンを外周方向からカッターの刃を当てつつ切断して行く方法である。つまり、中心にある架棒体に刃先が当たりつつ外周に巻きついているバウムクーヘンをカッターで切断してゆき、小分けされたバウムクーヘン単体を製品に仕上げる。なお、この第1のバウムクーヘン単体の切り出し方法は最終製品のバウムクーヘンが常に小分けに切り分けられた状態で販売されるもののみに適用可能な方法である。
なお、最終製品のバウムクーヘンが小分けされていない円筒形のバウムクーヘンのまま販売される場合には上記のように、長く焼き上がった一本状態のバウムクーヘン8から架棒体を引き抜いてバウムクーヘンをそのまま取り出して製品に仕上げる。
ここで、本発明者は、バウムクーヘン生地に代え、クッキーに用いられるようなクッキー生地を使用してハードな焼き上がりとしつつ、生地を芯から重ねて焼き上げる「クッキークーヘン」という新たな商品ジャンルに挑戦しようと思い立った。ここで、もし従来のバウムクーヘン焼成機を用い、生地をクッキー生地に代えて焼成することを想定すると以下のような問題が発生する。
クッキー生地の焼き上がりは従来のバウムクーヘン生地の焼き上がりより硬く焼き上がる。従来のバウムクーヘン焼成機は、回転ドラムの公転運動により、回転ドラムに横架している棒を生地に浸漬する段階と、浸漬して棒の周囲に付いた生地を自転させながら焼成する焼成段階とを交互にしながら焼成してゆく。生地の付き具合にもよるが、一般には生地の焼成を15層から30層程度を重ねるものが多い。ここで、そのままクッキー生地に置き換えると、クッキー生地の焼き上がりは従来のバウムクーヘン生地の焼き上がりより硬く焼き上がるため、内部が密に焼き固まったものとなってしまい、歯ごたえがかなり硬くなってしまうという問題が生じる。一般に歯ごたえが良い焼き菓子とは、表面が硬く「パリッ」とした食感があるが内部は比較的柔らかいというものが良く、内部まで硬いものは却って食感を悪くする恐れがある。従来のバウムクーヘン焼成機をそのままの仕様にて使用してクッキー生地を焼成する限り、どうしても内部まで密に硬く焼き締められた焼き菓子とならざるを得なかった。
従来のバウムクーヘン焼成機を使用してクッキー生地を焼き上げた場合、大きな円筒形の焼き上がりにならざるを得ない。従来のバウムクーヘンの内部には横架している架棒体があり、周囲のクッキー生地と一体となって焼き上がっている。クッキー生地はバウムクーヘン生地とは異なり焼き上がりが硬く、比較的割れやすいため、内部までゆっくり時間をかけて焼成させると切り出し作業が困難となり、綺麗に切り出すことができないおそれがある。また、横架している架棒体が筒状に長く貫いているため、焼き菓子が一体化している中、そのまま単純に横方向に架棒体を引き抜くことが難しい。
第1のケースは、装着玉の外形が球体そのものまたは楕円球体そのもののケースである。この場合、装着玉が芯棒に対して焼成中に移動しないよう固定する必要がある。そこで、装着玉の球体の曲面外方に制止体を設けて装着玉を芯棒に対して固定する。つまり、装着玉を芯棒に取り付けた状態において、装着玉はその両端が制止体により固定された状態で芯棒に取り付けられる。
第2のケースは、装着玉片が半球体の曲面外方に延設されたパイプ体を備えた構成である。つまり、装着玉を芯棒に取り付けた状態において、隣接し合う装着玉同士がパイプ体の端面同士にて接触するもので、パイプ体を介して装着玉同士が密に詰まった状態で芯棒に取り付けられる。
第3のケースは、装着玉片がお椀状の殻状曲面を備えており、装着玉が中空となっているものである。なお、この第3のケースにおいて、装着玉片のお椀状の殻状曲面部分の素材が耐熱性と可撓性を有する樹脂製の素材で形成することができ、焼成され分割されたクッキークーヘンから装着玉片を引き剥がす際に、殻状曲面をめくって引き剥がすことできる硬度で形成することができる。例えば、シリコーンゴムその他のゴム系素材または樹脂製素材である。
なお、装着玉の数については複数個とすることができる。つまり芯棒に対して複数個の装着玉を通し入れて並べることができる。
このように装着玉に工夫を施すことにより、一度に複数のクッキークーヘンを焼き上げ、焼成された球状のクッキークーヘンを左右に切り分けて簡単に取り出すことができる。
その工夫として、クッキー生地をノズル吐出口から装着玉を目掛けて垂れかける際に、ノズル吐出口を左右に揺動させることが挙げられる。さらに、回転ドラムの回転速度については、円筒形のバウムクーヘンを焼成する際の許容される回転速度の上限よりも速く、前記クッキー生地が焼成されていく際に角が立つ焼き具合となる速度に調整せしめることがこのましい。
このように、回転速度を比較的速くなるよう調整することにより揺動しながら垂れかけるクッキー生地のかかり方が多様なものとなり、焼き菓子の表面に多様な角が立つクッキークーヘンを焼成せしめることができる。
本発明のクッキークーヘン焼成機に用いられる架棒体100の構成例は幾つかのバリエーションがあるが、少なくとも芯棒10に対して一つの球体または楕円球体の装着玉20を備えたものである。
第1の架棒体100Aは、半球を合わせた装着玉20Aを串刺しするように芯棒10Aを差し通し、装着玉20Aが動かないようにその両端に制止体30Aを取り付けるタイプのものである。
第2の架棒体100Bは、装着玉20Bが曲面外方にパイプ状のパイプ体22Bを備えたものであり、芯棒10Bに対してこのパイプ体22Bの孔から通し入れていくタイプである。
以下、詳しく説明する。なお、ここでは、球形の装着玉20が2個装着されているパターンを例に挙げて説明する。
図1に示すように、本発明の第1の架棒体100Aは、芯棒10A、装着玉20A、制止体30Aを備えたものとなっている。
芯棒10Aの素材は限定されないが、例えば、構造的強度が大きくかつ耐熱性にも優れたものであれば良い。例えば、木棒、ステンレス鋼などがある。
装着玉20Aは架棒体100Aにおいてクッキー生地を垂れかけるターゲットとなる部材であり、後述するようにクッキー生地を表面にまとった状態で焼成される。
図1の例では、装着玉20Aの外形は球体のものとなっているが、楕円球体であっても同様である。
装着玉20Aの芯棒10Aへの装着、取り外しは、それぞれの装着玉片21Aを芯棒10Aに対して通し入れて所定位置まで移動することにより脱着可能なものとなっている。
また、制止体30Aは、装着玉20Aから独立した部材であってもよく、また、装着玉20Aの端部に合体したもので、装着玉20Aの端部の構造が制止体30Aとして芯棒10Aに対する摩擦力を制御できる機能を備えたものであっても良い。この構成例では制止体30Aは装着玉20Aから独立した部材となっている。
図2の上図から下図に向かう手順に示すように、先に一つの制止体30Aを芯棒10Aに通し入れてネジを締めて芯棒10Aに対して固定しておき、その後、次々と装着玉片21Aを芯棒10Aに通し入れて球体の装着玉20Aを形成し、最後に残りの他端側に制止体30Aをセットして固定する手順であっても良い。なお、先に装着玉20Aを通し入れ、その後に所定箇所に外方から制止体30Aを取り付けても良い。また、制止体30Aが装着玉20AAの端部と一体化されている場合であれば装着玉20Aを芯棒10Aに通し入れれば装着玉20Aの両端部において制止体30Aの機能を備えた部材が配置されていることとなる。
一方、装着玉20Aを取り出す際は、図2の手順において下図から上図に向かう手順を辿れば良い。つまり、先に制止体30Aを緩めて可動状態にすると、装着玉20Aも芯棒10Aに対してスライド移動を可能となり、芯棒10Aを装着玉20Aから抜き出すことができる。このように脱着を制御することができる。
図3は、本発明の第2の架棒体100Bの構成例を簡単に示す図である。
図3に示すように、本発明の第2の架棒体100Bも、芯棒10B、装着玉20B、制止体30Bを備えたものとなっている。
装着玉20Bは、図3(b)に示すように、左右に分割可能であるが、装着玉20Aの場合と異なり、曲面外方には中空のパイプ体22Bが延設された構成となっており、分割された一つ一つは、装着玉片21とパイプ体22が一つの塊となっている。それらを左右合体させて一つの装着玉20Bが構成されている。
図4の上図から下図に向かう手順に示すように、手順としては、先に一つの制止体30Bを芯棒10Bの端部に取り付けてネジを締めて芯棒10Bに対して固定しておく。その後、次々と装着玉片21Bを芯棒10Bに通し入れて球体の装着玉20Bを形成しつつ、隣接する装着玉片21B同士を密に詰めて行く。最後に他端側に制止体30Bを取り付けて全体を芯棒10Bに対して固定する。つまり、隣接し合う装着玉片21同士は、球状部分の内面同士またはパイプ体22同士のいずれかが対向し合って密接しているため、最端部の装着玉片21を固定するだけですべての装着玉片21Bが密に詰まって固定される。
一方、装着玉20Bを取り出す際は、図4の手順において下図から上図に向かう手順を辿れば良い。つまり、先に制止体30Bを緩めて可動状態にすると、装着玉20B上にはクッキークーヘン300が焼成されているが、スライド移動させて芯棒10Bを装着玉20Bから抜き出すことができる。
第1の効果は、装着玉20の外表面が全体として一つの球体となっていることにより、装着玉20の周りに巻きついて焼成されているクッキークーヘンが装着玉20から抜き出して取り出しやすくなるという効果である。
図6に示すように、第1の架棒体100Aは、装着玉20Aの外表面が全体として一つの球形のものとなっているため、装着玉20Aの周囲に巻きついて焼成されるクッキークーヘン300も略球形状のものとなっている。このように略球形状に丸く焼き上がった状態のクッキークーヘン300が焼成されると、その内部において、クッキークーヘン300に対して球形の装着玉20Aが入り込んでいる関係となっていることが分かる。この状態において、図6(a)から図6(b)に示すように、制止体30Aや芯棒10Aを引き抜く。さらに、図6(c)に示すように、クッキークーヘン300を左右に切り分け、さらに内部の半円状の装着玉片21Aを引き抜く。一旦、クッキークーヘン300の内表面から装着玉片21Aが剥がれれば、球形であるためそのまま簡単にクッキークーヘン300から装着玉片21Aをスムーズに引き抜くことができることが理解されるであろう。
もちろん、装着玉片21Aをさらに引き抜きやすくするため、装着玉片21の外表面に剥離紙(紙、アルミホイールなど)を巻いておくなどの工夫をすることは好ましい。
図7に示すように、本発明のクッキークーヘン用の第2の架棒体100Bは、装着玉20Bの外表面が全体として一つの球形の膨らみを含むものであるため、装着玉20Bの周囲に巻きついて焼成されるクッキークーヘン300も略球形状のものとなっている。このように略球形状に丸く焼き上がった状態のクッキークーヘン300が焼成されると、その内部において、クッキークーヘン300に対して球形の装着玉20Bが入り込んでいる関係となっていることが分かる。この状態において、図7(a)から図7(b)に示すように、クッキークーヘン300を左右に切り分ける。内部の装着玉片21Bは簡単に左右に分離するため、クッキークーヘン300をうまく左右に切り分ければ、綺麗に両者が分離する。 次に、図7(c)に示すように、内部の半球状の装着玉片21Bを引き抜く。一旦、クッキークーヘン300の内表面から装着玉片21Bが剥がれれば、球形であるためそのまま簡単にクッキークーヘン300から装着玉片21Bをスムーズに引き抜くことができることが理解されるであろう。
もちろん、装着玉片21Bをさらに引き抜きやすくするため、装着玉片21Bの外表面に剥離紙(紙、アルミホイールなど)を巻いておくなどの工夫をすることは好ましい。
このように、焼成されたクッキークーヘン300に対して内部にある装着玉20が球形に入り込んでいる関係において、焼成されたクッキークーヘン300から装着玉片21を引き抜くという技術は従来技術において知られていないものであり、本願発明者により発明された独創的なものである。
第2の効果は、焼成されるクッキークーヘンが全体の外形が球状体として焼き上がり、かつ、内部に空洞が形成されるという、クッキークーヘンの基本形状を形成する効果である。
本発明のクッキークーヘンは、従来にはない独創的な形をしている。基本形状は装着玉20の形状に応じて外形が球体または楕円球体であり、その周囲に多数の角が立った形状となっている。また、内部は球状の中空となっている。このような独創的な形状は、球体または楕円球体の装着玉20を比較的高速に回転させながら周囲にクッキー生地をかけることによってのみ形成される。このように、装着玉20が球体または楕円球体である効果として独創的な形状のクッキークーヘンを形成することができる。
実施例2にかかる架棒体100は、装着玉20が、耐熱性のある柔らかいシリコーンゴム素材など可撓性の大きな素材で形成され、かつ内部が中空であり、装着玉片21がお椀状の殻状曲面になっている例である。
実施例2として、第3の架棒体100Cの構成例と、第4の架棒体100Dの構成例の2つの例を挙げる。
第3の架棒体100Cは、半球状または半楕円球状の殻を合わせた装着玉20Cを串刺しするように芯棒10Cを差し通し、装着玉20Cが動かないようにその両端に制止体30Cを取り付けるタイプのものである。つまり第1の架棒体100Aの装着玉20Aが、半球状または半楕円球状の殻状曲面になり柔らかい素材になったものと言える。
第4の架棒体100Dは、装着玉20Dが半球状または半楕円球状の殻の曲面外方にパイプ状のパイプ体22Dを備えたものであり、芯棒10Dに対してこのパイプ体22Dの孔から通し入れていくタイプである。つまり第2の架棒体100Bの装着玉20Bが、半球状または半楕円球状の殻状曲面になり柔らかい素材になったものと言える。
以下、詳しく説明する。なお、ここでは、球形の装着玉20が2個装着されているパターンを例に挙げて説明する。
図8に示すように、本発明の第3の架棒体100Cは、芯棒10C、装着玉20C、制止体30Cを備えたものとなっている。
芯棒10Cおよび制止体30Cは、第1の架棒体100Aの芯棒10Aおよび制止体30Aと同様のもので良く、ここでの説明は適宜省略する。
図8の例では、装着玉20Cの外形は球体のものとなっているが、楕円球体であっても同様である。
装着玉20Cの素材は、上記の耐熱性と可撓性の条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム素材がある。シリコーンゴムは、その成分構成に毒性の物質を持たず、化学的に安定で生理的にも不活性ない素材であり、かつ、耐熱性に優れている性質を有している。製作時にシリカ系粉体充填剤の添加量を調整し、シリコーン系のオイルを添加するなどの方法により簡単に可撓性、剛性を調整したシリコーンゴム成型品を得ることができる。なお、シリコーンゴムは一例であり、他のゴム素材でも上記条件を満足するものであれば良い。
装着玉20Cは、第3の架棒体100Cにおいてクッキー生地を垂れかけるターゲットとなる部材であり、後述するようにクッキー生地を表面にまとった状態で焼成される。
装着玉20Cの芯棒10Cへの装着、取り外しは、実施例1の装着玉20Aと同様の手順で良い。つまり、装着玉20Cの芯棒10Cへの装着手順は、図3に示した手順と同様で良く、それぞれの装着玉片21Cを芯棒10Cに対して通し入れて所定位置まで移動して両者を合体させたのち、制止体30Cで止めれば良い。装着玉20Cから芯棒10Cを抜き出す手順も図3に示した手順と同様で良く、制止体30Cを緩めて装着玉20Cを可動状態にし、芯棒10Cから抜き出せば良い。
図9に示すように、第3の架棒体100Cは、装着玉20Cの外表面が全体として一つの球形のものとなっているため、装着玉20Cの周囲に巻きついて焼成されるクッキークーヘン300も略球形状のものとなっている。このように略球形状に丸く焼き上がった状態のクッキークーヘン300が焼成されると、その内部において、クッキークーヘン300に対して球形の装着玉20Cが入り込んでいる関係となっていることが分かる。この状態において、図9(a)に示すように、制止体30Cや芯棒10Cを引き抜く。さらに、図9(b)に示すように、クッキークーヘン300を中央から左右に切り分ける。次に、図9(c)に示すように、クッキークーヘン300から内部の半円状の装着玉片21Cを引き抜く。この際、装着玉片21Cは、可撓性がある殻状のものであるため、クッキークーヘンの形を崩さないように装着玉片21Cを内側にめくるようにしてクッキークーヘンの内側から簡単に剥離できるというメリットが得られる。
図10は、本発明の第4の架棒体100Dの構成例を簡単に示す図である。
図10に示すように、本発明の第4の架棒体100Dは、芯棒10D、装着玉20D、制止体30Dを備えたものとなっている。
芯棒10Dおよび制止体30Dは、第2の架棒体100Bの芯棒10Bおよび制止体30Bと同様のもので良く、ここでの説明は適宜省略する。
図10の例では、装着玉20Dの外形は球体のものとなっているが、楕円球体であっても同様である。
装着玉20Dが第4の架棒体100Dにおいてクッキー生地を垂れかけるターゲットとなる部材である。
装着玉20Cは殻状で薄いものであり、かつ耐熱性と可撓性を備えた素材で形成されている。この装着玉20Dの素材は、第3の架棒体100Cの装着玉20Cの素材と同様、クッキーの焼成に耐える程度の耐熱性を持つとともに、指で簡単に曲がって撓る程度の可撓性を有しているものとする。
装着玉20Dの芯棒10Dへの装着、取り外しは、実施例1の装着玉20Bと同様の手順で良い。つまり、装着玉20Dの芯棒10Dへの装着手順は、図4に示した手順と同様で良く、それぞれの装着玉片21Dを芯棒10Dに対して通し入れて所定位置まで移動して両者を合体させたのち、制止体30Dで止めれば良い。装着玉20Dから芯棒10Dを抜き出す手順も図4に示した手順と同様で良く、制止体30Dを緩めて装着玉20Dを可動状態にし、芯棒10Dから抜き出せば良い。
図11に示すように、第4の架棒体100Dは、装着玉20Dの外表面が全体として一つの球形のものとなっているため、装着玉20Dの周囲に巻きついて焼成されるクッキークーヘン300も略球形状のものとなっている。このように略球形状に丸く焼き上がった状態のクッキークーヘン300が焼成されると、その内部において、クッキークーヘン300に対して球形の装着玉20Dが入り込んでいる関係となっていることが分かる。この状態において、図11(a)に示すように、制止体30Dや芯棒10Dを引き抜く。さらに、図11(b)に示すように、クッキークーヘン300を中央から左右に切り分ける。次に、図11(c)に示すように、クッキークーヘン300から内部の半円状の装着玉片21Dを引き抜く。この際、装着玉片21Dは、可撓性がある殻状のものであるため、クッキークーヘンの形を崩さないように装着玉片21Dを内側にめくるようにしてクッキークーヘンの内側から簡単に剥離できるというメリットが得られる。
図12は、本発明のクッキークーヘン焼成機200の基本的な構造をきわめて簡単に示す図である。
本発明のクッキークーヘン焼成機200の構成例は、図12に示すように、実施例1や実施例2で説明した発明の架棒体100に加え、焼成炉210、熱源220、回転ドラム230、駆動機構240、生地受けパン250、生地供給装置260を備えている。これらは基本構造の一例であり、それら構成要素の仕組みや働きが改良されて異なるものであっても、また、これら構成要素とは異なる他の構成要素が加わったクッキークーヘン焼成機200であっても良い。
なお、この構成例は、回転ドラム230の間に架棒体100を6本支架できるものとなっており、回転ドラム軸231によって間歇回転も6段階に分かれたものとなっている。
この間歇の公転運動は、架棒体100の位置を、生地供給体260のノズル吐出口261からクッキー生地を掛ける位置(第1の公転位置)と、焼成炉210内で熱源220により焼成する位置(第2の公転位置〜第6の公転位置)との間で移動させるものとなっている。
駆動機構240の制動による架棒体100の自転運動と回転ドラム軸231に対する公転運動の関係は限定されないが、例えば、回転ドラム軸231に対する公転運動の方向に対して同一方向に自転運動するものでも良く、逆方向へ自転運動するものでも良い。
なお、右側がクッキークーヘン焼成機200の前面とする。
この間、架棒体100A〜100Fは自転しながら架棒体100に取り付けられている装着玉20表面の生地の焼成が焼成炉210内の熱により進んでいる。
なお、駆動機構240による回転ドラム230に支架された架棒体100の自転運動は、後述するようにその回転速度が調整されている。
なお、クッキー生地を回収する方法は限定されないが、例えば、生地受けパン250の底面にテーパーを付けておき、その底面に孔を開け、後述する生地供給装置260へ導通する仕組みなどでも良い。
なお、ノズル吐出口261にクッキー生地吐出の開閉機構と開閉スイッチを備えることも好ましい。クッキー生地吐出の開閉が制御できれば、必要なときにクッキー生地を吐出し、不要なときにクッキー生地を止めることができるからである。このノズル吐出口261の操作は、手作業で行っても良く、また、制御プログラムと連動するアクチュエータを備えて自動化することも可能である。
なお、必要に応じて、供給チューブ262、供給ポンプ263、回収チューブ264などを冷却することが好ましい。
図14(a)に示すように、公転運動が終わって次の公転運動までのインターバルに入れば、生地供給装置260からクッキー生地を架棒体100の装着玉20および成長しつつあるクッキークーヘン300に吐出する。
もちろん、全自動の機械化も可能である。ノズル吐出口261を装置前面の所定位置に取り付けておき、ノズル吐出口261の開閉も自動制御し、ノズル吐出口261の揺動も再現するようすることが可能である。また、クッキー生地をかけ終わると次の公転のまでのインターバルの間、ノズル吐出口261を焼成炉210の外に自動退避させて焼成炉210の窯の蓋を閉じて温度の低下を防止するという制御も可能である。
クッキークーヘン300が所定の厚さに達するまで、このサイクルを繰り返しながらクッキークーヘン300が焼成されてゆく。
バウムクーヘン焼成機と同様、本発明のクッキークーヘン焼成機200でも熱を万遍なくクッキー生地に与えてムラのない焼き上げを行うため、架棒体100を自転させる。この際、通常のバウムクーヘン焼成機ではバウムクーヘンの焼き上がりの表面を整然と整えるために適した回転速度で回転させるのが当業者の常識である。バウムクーヘンの焼き上がりの表面を整然と整えるためには、回転速度が低速すぎると垂れかけたバウムクーヘン生地が重力で下方に垂れてしまい、表面がだんだんと歪な形になってしまう。一方、回転速度が高速すぎるとバウムクーヘン生地が飛んでしまい、こちらも表面が歪な形になってしまう。比較的低速で回転させるとバウムクーヘンが綺麗な表面に焼き上がるとされている。
このようにこそぎヘラ270を架棒体100に当接させておけば、隣接する装着玉20同士の間の架棒体100にはクッキー生地が付着せずに除去され、クッキークーヘンが焼成されてしまうことを防止できる。
図17は、第1の架棒体100Aを使用して焼成されたクッキークーヘン300の取り出し方を示した図である。分かりやすいように断面図において説明する。
ここで、図17(a)に示すように、装着玉20A同士の間と、装着玉20Aの中央部分に相当する箇所において、焼成されたクッキークーヘン300を切断する。
次に、第2の架棒体100Bを使用して焼成されたクッキークーヘン300の取り出し方についても述べる。
図18は、第2の架棒体100Bを使用して焼成されたクッキークーヘン300の取り出し方を示した図である。分かりやすいように断面図において説明する。
ここで、図18(a)に示すように、装着玉20B同士の間と、装着玉20Bの中央部分に相当する箇所において、焼成されたクッキークーヘン300を切断する。
第1の架棒体100Aの場合でも、第2の架棒体100Bの場合でも、装着玉20が球形の中央部分で分割可能であるので、焼成されたクッキークーヘン300を当該球形の中央部分で先にカッティングしてしまえば、上記したように、装着玉20を左右に分離することにより、クッキークーヘン300を装着玉20から簡単に抜き出して取り出しやすいという効果が得られる。
本発明のクッキークーヘン300は、図6や図7と同様、表面が略球形で内部に球形の空洞を持つクッキークーヘン300として得られる。
図19は、クッキークーヘンの仕上げ例を示す図である。
図17および図18に示したように、クッキークーヘンの焼き上がりは、半球状に切り分けられた形状となっているが、左右それぞれの切り口にチョコレートなど可食かつ冷却して固まる食材によって接着させて左右を合体させることにより、再び一つの球状に戻すことができる。ここで、内部は中空となっているが、この中空を利用して様々な仕上げができる。
図19(b)に示した仕上げ例では、内部にフルーツ砂糖菓子などを詰め込んだ例である。
図19(c)に示した仕上げ例では、内部に玩具などのアイテムを詰め込んだ例である。
いずれの例も、内表面にコーティングや外表面にもシロップやクリームなどのコーティングを施したり装飾したりすることが好ましい。
なお、架棒体100を引き抜いた後の開口についても、チョコレートの板などで塞いで蓋をしておくことも好ましい。
20 装着玉
21 装着玉片
30 制止体
100 架棒体
200 クッキークーヘン焼成機
210 焼成炉
220 熱源
230 回転ドラム
240 駆動機構
250 生地受けパン
260 生地供給装置
300 クッキークーヘン
Claims (15)
- 熱源が搭載された焼成炉と、
回転ドラム軸によって回転可能に支架された向かい合う左右一対の回転ドラムと、
芯棒と、前記芯棒を受け入れる中空軸を持ち前記芯棒に対して着脱自在に取り付け可能な球状または楕円球状を備えた一又は複数の装着玉を備え、前記回転ドラム間へ横架された一本または複数本の架棒体と、
汲み上げたクッキー生地を糸状に落下させ、前記架棒体の前記装着玉を目掛けて垂れかけるノズル吐出口と、
前記回転ドラムによる間歇回転により前記架棒体の位置を前記ノズル吐出口から前記クッキー生地を掛ける第1の公転位置と焼成炉内で前記熱源により焼成する他の公転位置との間で移動させる公転運動と、前記回転ドラムに支架された状態で前記架棒体を自転させる自転運動とを制御する駆動機構とを備え、
前記回転ドラムにより前記架棒体を回転させつつ、前記装着玉に対して前記ノズル吐出口から糸状に落下する前記クッキー生地をかけつつ焼成するクッキークーヘン焼成機。 - 前記装着玉が、2つの半球体の装着玉片の底面同士を合わせた球体、または、2つの半楕円球体の装着玉片の底面同士を合わせた楕円球体であり、前記装着玉が左右2つの前記装着玉片に分離可能であり、焼成されたクッキークーヘンを分割できることを特徴とする請求項1に記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記装着玉の球体の曲面外方に取り付けることにより前記装着玉を前記芯棒に対して固定する制止体を備え、前記装着玉を前記芯棒に取り付けた状態において、前記装着玉はその両端が前記制止体により固定された状態で前記芯棒に取り付けられていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記装着玉片が前記半球体の曲面外方に延設されたパイプ体を備え、前記装着玉を前記芯棒に取り付けた状態において、隣接し合う前記装着玉同士が前記パイプ体の端面同士にて接触し、前記装着玉同士が密に詰まった状態で前記芯棒に取り付けられていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記装着玉片がお椀状の殻状曲面を備え、前記装着玉が中空となる請求項2から4のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記装着玉片のお椀状の前記殻状曲面部分の素材が耐熱性と可撓性を有する樹脂製の素材であることを特徴とする請求項5に記載のクッキークーヘン焼成機。
- 焼成され分割された前記クッキークーヘンから前記装着玉片を引き剥がす際に、前記殻状曲面をめくって引き剥がすことできる硬度で形成されたことを特徴とする請求項6に記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記素材がシリコーンゴムその他のゴム系素材または樹脂製素材である請求項6または7に記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記架棒体が、前記芯棒に前記装着玉を複数個通し入れて並べたものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記クッキー生地を前記ノズル吐出口から前記装着玉を目掛けて垂れかける際に、前記ノズル吐出口を左右に揺動させることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記回転ドラムの回転速度が、円筒形のバウムクーヘンを焼成する際の許容される回転速度の上限よりも速く、前記クッキー生地が焼成されていく際に角が立つ焼き具合となる速度に調整せしめ、周囲に角が立つクッキークーヘンを焼成せしめることができる請求項1から10のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 前記ノズル吐出口から吐出され、前記公転運動において、前記架棒体の位置が前記クッキー生地を前記ノズル吐出口から掛ける位置にある場合に、落下する前記クッキー生地を受け止める生地受けパンと、
前記生地受けパンに落下した前記クッキー生地を吸い取り、前記ノズル吐出口に汲み上げる汲み上げ機構を備えたことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。 - 前記公転運動において、前記クッキー生地を前記ノズル吐出口から掛ける前記第1の公転位置の次にある第2の公転位置において、前記装着玉の間隙に付着したクッキー生地をこそぎ落とすこそぎヘラを備えたことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のクッキークーヘン焼成機。
- 熱源が搭載された焼成炉と、回転ドラム軸によって回転可能に支架された向かい合う左右一対の回転ドラムと、前記回転ドラム間へ横架された一本または複数本の架棒体と、前記架棒体を受け入れる中空軸を持ち前記架棒体に対して着脱自在に取り付け可能な球状または楕円球状の一又は複数の装着玉と、汲み上げたクッキー生地を糸状に落下させる口を備えたノズル吐出口と、前記回転ドラムによる間歇回転により前記架棒体の位置を前記ノズル吐出口から前記クッキー生地を掛ける位置と焼成炉内で前記熱源により焼成する位置との間で移動させる公転運動と、前記回転ドラムに支架された状態で前記架棒体を自転させる自転運動を制御する駆動機構を備えたクッキークーヘン焼成機により焼成されたクッキークーヘンであって、
焼成された略球体または略楕円球体のクッキークーヘンを前記装着玉の端部および中央において切り、前記架棒体および前記装着玉も引き抜いた後、略半球体または略半楕円球体になった分割体を再度合体させ、中空の略球体または略楕円球体のお菓子に仕上げたクッキークーヘン。 - バウムクーヘン生地を焼成するバウムクーヘン焼成機またはクッキー生地を焼成するクッキークーヘン焼成機で使用する、回転ドラム間へ横架する架棒体であって、
芯棒と、前記芯棒を受け入れる中空軸を持ち前記芯棒に対して着脱自在に取り付け可能な球状または楕円球状の一又は複数の装着玉を装着させたバウムクーヘン焼成機またはクッキークーヘン焼成機に用いる架棒体。
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