以下、本発明の実施形態に係るOCXOについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
OCXOは、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともにz方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
<第1実施形態>
(OCXOの構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るOCXO1の概略構成を、一部を破断して示す斜視図である。また、図2は、図1のII−II線における断面図である。
OCXO1は、例えば、全体として、概略、直方体状とされる電子部品であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、長辺又は短辺の長さ(x方向及びy方向)は、1mm〜3mmであり、厚さ(z方向)は0.5mm〜1mmである。
OCXO1は、例えば、TCXO3と、TCXO3の周囲の雰囲気を所定の温度に維持するとともにTCXO3と外部機器との電気的接続を仲介するための恒温槽5とを有している。
TCXO3は、例えば、素子搭載用部材7と、素子搭載用部材7に搭載された振動素子9(図2)及びIC11(図2)と、振動素子9を封止するための蓋体13とを有している。
素子搭載用部材7は、例えば、絶縁部材15と、絶縁部材15の表面又は内部に設けられた各種の導体とを有している。
絶縁部材15は、図2に示すように、上方に開口し、振動素子9を収容する第1凹部15aと、下方に開口し、IC11を収容する第2凹部15bとを有している。別の観点では、絶縁部材15は、基板部15cと、基板部15cの一方の主面上に位置する第1枠部15dと、基板部15cの他方の主面上に位置する第2枠部15eとを有している。絶縁部材15は、例えば、アルミナ等のセラミックからなる層状部材を複数枚重ねて形成されている。
素子搭載用部材7の各種の導体は、例えば、第1凹部15aの底面に設けられ、振動素子9を搭載するための1対の素子搭載用パッド(不図示)、第2凹部15bの底面に設けられ、IC11を実装するための複数のIC実装用パッド(不図示)、第2枠部15eの下面に設けられ、TCXO3に対する信号の入出力のための複数のTCXO端子25(図3参照。25Wを含む)、1対の素子搭載用パッドと複数のIC実装用パッドのうちの2つとを接続する配線(不図示)、複数のIC実装用パッドの残りと複数のTCXO端子25とを接続する配線(不図示)である。なお、配線は、例えば、基板部15cの主面に設けられた層状配線及び絶縁部材15を貫通するビア導体からなる。
振動素子9は、例えば、平板状の圧電素板10(図2)と、圧電素板10の両主面に設けられた1対の励振電極32(図4参照)とを備えている。圧電素板10は、例えば、水晶のような石英材料よりなり、結晶軸に対し所定の角度で切断され、平面視で長方形状とされている。振動素子9は、1対の励振電極32に電圧が印加されることにより、所定の周波数で厚みすべり振動を生じる。振動素子9は、例えば、1対のバンプ(符号省略)によって素子搭載用部材7に固定されるとともに電気的に接続されている。
IC11は、例えば、概略直方体状に構成されており、後述するように、振動素子9に電圧を印加することにより発振信号を生成する発振回路等を有している。IC11は、パッケージングされたものであってもよいし、ベアチップであってもよい。IC11は、例えば、不図示の複数のバンプによって素子搭載用部材7に固定されるとともに電気的に接続されている。
蓋体13は、第1枠部15dの上面に接合され、第1凹部15aを封止する。蓋体13は、金属等の導電材料により構成されてもよいし、絶縁材料により構成されてもよいし、絶縁層と導電層とを積層した複合材料により構成されてもよい。例えば、蓋体13は、金属板から構成されており、この金属板は、シーム溶接等により第1枠部15dに接合される。
恒温槽5は、例えば、TCXO3が実装される実装基板17と、TCXO3を収容する槽19と、槽19内の雰囲気を加熱するためのヒータ21(図2)と、OCXO1を外部機器に実装するための複数(本実施形態では6個)の外部端子23と、実装基板17に実装された各種の電子部品(不図示)とを有している。
実装基板17は、例えば、プリント配線基板により構成されており、絶縁基板24と、絶縁基板24に設けられた各種の導体とを有している。絶縁基板24は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。
槽19は、例えば、金属材料よりなり、TCXO3、実装基板17及びヒータ21を収容している。槽19は、特に図示しないが、例えば、槽19の下面を構成する部材と、槽19の上面及び外周面を構成する部材とが固定されて構成されている。両部材間は封止材等により気密に接合され、槽19の内部は密閉されていることが好ましい。
ヒータ21は、例えば、実装基板17の下面において、TCXO3と重なる位置に接合されている。ヒータ21は、例えば、所定のパターンに延びる導電体(抵抗体)を絶縁材料により封止して構成されており、実装基板17を介して印加された電圧に応じた量の熱を生じる。
複数の外部端子23は、例えば、ピン状の端子であり、一端側が、実装基板17に形成された孔に挿通され、半田等により実装基板17に固定されるとともに電気的に接続されている。複数の外部端子23の他端側は、例えば、槽19の下面から延び出ている。なお、複数の外部端子23は、槽19に対して固定され、実装基板17と槽19の下面との間隔を確保しつつ、実装基板17と槽19とを固定することに寄与してもよい。
図3(a)は、TCXO3の底面図である。
上述のように、TCXO3は、第2枠部15eの下面に、TCXO3を実装基板17に実装するための複数(図3(a)では6個)のTCXO端子25(25Wを含む)を有している。複数のTCXO端子25は、例えば、層状である。複数のTCXO端子25の配置位置は適宜に設定されてよいが、例えば、第2枠部15eの4隅及び長辺の中央である。
6個のTCXO端子25のうち、例えば、第2枠部15eの4隅に配置された4個のTCXO端子25は、TCXO3(OCXO1)の使用時に利用されるものである。一方、第2枠部15eの長辺の中央に配置された2個(1個でもよい)のTCXO端子25(25W)は、温度補償量を規定するパラメータの値をTCXO3に書き込むためのもの(OCXO1の製造時にのみ利用されるもの)である。
図3(b)は実装基板17の上面図である。
実装基板17は、6個のTCXO端子25のうち、4隅に配置された4個のTCXO端子25のみ(25W以外)を外部端子23に接続するように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
実装基板17は、上方の主面に、複数のTCXO端子25と接続される複数(図3(b)では6個)のTCXO用パッド27(27Wを含む)を有している。複数のTCXO用パッド27は、例えば、層状であり、バンプにより複数のTCXO端子25と接続される。これにより、TCXO3は、実装基板17に固定されるとともに電気的に接続される。TCXO用パッド27(27Wを含む)の数は、例えば、TCXO端子25(25Wを含む)の数と同じとされている。
また、実装基板17は、ピン状の複数の外部端子23が挿通される複数(図3(b)では4個)の孔24hと、複数の孔24hの内周面及び/又は周囲に位置する層状の複数の基板端子29と、を有している。これらは、例えば、実装基板17の4隅に位置している。複数の外部端子23は、例えば、複数の孔24hに挿入され、半田等の導電性材料によって複数の基板端子29に固定されるとともに電気的に接続される。
6個のTCXO用パッド27のうち、4隅に位置する4個は、OCXO1の使用時に利用される、TCXO3の4隅のTCXO端子25と接続されるものである。この4個のTCXO用パッド27は、4本の通常配線31を介して4個の基板端子29と接続されている。これにより、4隅のTCXO端子25は、実装基板17を介して4個の外部端子23と接続され、OCXO1の使用時において電気信号の入出力が可能となっている。
一方、6個のTCXO用パッド27のうち残りの2個(27W)は、TCXO3に対するデータの書込み用のTCXO端子25Wと接続されるものである。この2個のTCXO端子25Wからは、基板端子29と接続される通常配線31は延びていない。
また、実装基板17は、例えば、全てのTCXO用パッド27(27Wを含む)から延び、実装基板17の一の縁部に到達する複数(TCXO用パッド27と同数)の残存配線61(61Wを含む)が延びている。残存配線61は、後述するように、OCXO1の製造過程においてのみ利用されるものである。
なお、通常配線31及び残存配線61は、異なる電位が付与されるもの同士が互いに避けることができれば、適宜な経路で設けられてよい。また、これらの配線は、実装基板17の下方の主面又は実装基板17の内部に設けられてもよいし、一主面上において絶縁体を介して立体交差してもよい。4隅のTCXO用パッド27に接続される残存配線61は、通常配線31から分岐するように、又は、基板端子29から延びるように設けられてもよい。
図4は、OCXO1の信号処理系の概略構成を示すブロック図である。
OCXO1は、既述のように、TCXO3と、恒温槽5とを有しており、両者は、複数のTCXO端子25と複数のTCXO用パッド27とが接続されることにより電気的に接続されている。そして、TCXO3の複数のTCXO端子25(25Wを除く)は、恒温槽5の複数の外部端子23を介して、種々の信号が入力され、又は、種々の信号を出力する。
ただし、温度補償量を規定するためのデータをTCXO3に書き込むためのTCXO端子25Wに接続されたTCXO用パッド27Wは、既に述べたように、外部端子23には接続されていない。そして、OCXO1の使用時においては、TCXO端子25Wは、信号の入力はなされない。
複数の外部端子23に付与される信号は、例えば、TCXO3及び恒温槽5を駆動するための電源電圧Vcc、基準電位GND、TCXO3が生成する発振信号の周波数を制御するための制御電圧Vconである。複数の外部端子23から出力される信号は、例えば、TCXO3が生成した発振信号Voutである。なお、いずれの位置の外部端子23に対していずれの役割を割り振るかは、適宜に設定されてよい。TCXO端子25、TCXO用パッド27及び基板端子29についても同様である。
TCXO3は、上述のように、振動素子9と、振動素子9と接続されるIC11とを有している。IC11は、例えば、振動素子9に電圧を印加して発振信号を生成する発振回路33と、温度変化に起因する振動素子9の特性変化を補償するための温度補償回路35と、温度補償回路35の保持する温度補償に係るデータの内容を書き換えるための書換え回路37とを有している。発振回路33、温度補償回路35及び書換え回路37の構成は、公知の構成と同様でよい。
例えば、発振回路33は、特に図示しないが、入力側及び出力側が振動素子9に接続されるインバータ、インバータの入力側及び出力側に接続される帰還抵抗、インバータの入力側とグランド部との間に配置される可変容量素子、及び、インバータの出力側とグランド部との間に配置される可変容量素子を含んで構成されている。
また、例えば、温度補償回路35は、振動素子9とグランド部との間に配置される可変容量素子39と、可変容量素子39に接続された補償信号発生回路41と、補償信号発生回路41に接続されたROM43、RAM45及び第1温度センサ47とを有している。
なお、温度補償回路35の可変容量素子39には、制御電圧Vconに従って発振信号の周波数を変化させるために発振回路33に含まれる可変容量素子が兼用されてもよい。また、ROM43及びRAM45は、発振回路33が利用する情報を保持するROM及びRAMと兼用されるものであってもよい。第1温度センサ47は、IC11とは別個に設けられてもよい。
補償信号発生回路41は、ROM43又はRAM45に記憶されている情報に基づいて、第1温度センサ47の検出する温度に応じた電圧を可変容量素子39に印加する。これにより、温度に応じて振動素子9の負荷容量が変化し、発振信号の周波数は温度補償がなされる。
より具体的には、例えば、温度補償がなされていない発振信号の周波数の温度変化に対する変化量は3次関数で表わされる。そして、この変化量を打ち消すために可変容量素子39に印加されるべき電圧も温度を変数とする3次関数で表わされる。ROM43又はRAM45は、この電圧の3次関数の係数及び定数の値を保持している。補償信号発生回路41は、第1温度センサ47の検出した温度を、ROM43又はRAM45に記憶されている係数及び定数の値により規定される3次関数に代入して、可変容量素子39に印加すべき電圧を算出・生成し、可変容量素子39に印加する。
書換え回路37は、例えば、ROM43又はRAM45に記憶されている3次関数の係数及び定数の値を書き換える(書き込む)。
恒温槽5は、上述したヒータ21に加えて、例えば、槽19内の適宜な位置の温度を検出する第2温度センサ49と、第2温度センサ49の検出した温度に基づいてヒータ21を制御する温度制御回路51とを有している。温度制御回路51は、例えば、第2温度センサ49の検出する温度が予め設定された温度に維持されるようにヒータ21をフィードバック制御する。
なお、TCXOには、第1温度センサ47が検出する温度をTCXO端子25から出力可能なものがある。このようなTCXOがTCXO3として選択されている場合においては、第2温度センサ49を設けずに、第1温度センサ47の検出した温度に基づいてヒータ21が制御されてもよい。
恒温槽5から露出する複数の外部端子23と、TCXO3の複数のTCXO端子25とは、図3においても示したように、実装基板17の通常配線31を介して直接的に接続されている。ただし、複数の外部端子23と、複数のTCXO端子25との間には、適宜な回路乃至は電子素子が介在していてもよい。例えば、増幅器又はインピーダンス整合を図るための素子が介在していてもよい。
(OCXOの製造方法)
図5は、OCXO1の製造に用いられる配線基板63を示す平面図である。
配線基板63は、既述の実装基板17となる領域(実装領域65)と、実装領域65に隣接する除去予定領域67とを有し、これらを含む全体として一体的に形成されている。後述するように、OCXO1の製造過程の適宜な時期において、配線基板63から除去予定領域67が折り取られることにより、実装基板17が形成される。
配線基板63は、全体として、その一部である実装基板17と同様に、例えば、プリント配線基板により構成されており、絶縁基板(符号省略。実装基板17の絶縁基板24を含む)と、絶縁基板に設けられた各種の導体とを有している。絶縁基板は、例えば、ガラスエポキシ材よりなる。
実装領域65と除去予定領域67は、例えば、矩形の実装領域65の1辺を境界線L1(点線で示す。)として互いに隣接している。境界線L1は、実装基板17において残存配線61(61Wを含む)が到達する縁部となる線である。除去予定領域67には、残存配線61の先端から延びる除去予定配線69(69Wを含む)と、その先端に位置する除去予定パッド71(71Wを含む)とが設けられている。
従って、配線基板63においては、除去予定パッド71に対する信号の入出力により、TCXO用パッド27に対する信号の入出力を行うことが可能になっている。具体的には、既述の電源電圧Vcc、基準電位GND及び制御電圧Vconの入力、並びに、発振信号Voutの出力に加え、温度補償に係る情報をTCXO3に書き込むための書込み信号Vwの入力が可能である。
配線基板63から除去予定領域67が折り取られると、上述のように、境界線L1の位置においては、実装基板17の縁部が形成される。この縁部の側面は、折り取りによって形成されるから、脆性破壊の破面(脆性破面)となる。脆性破面であるか否かは、例えば、リバーパターン及び/又はシェブロンパターンの有無によって判定できる。
図6は、OCXO1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
ステップST1では、TCXO3及び配線基板63を準備する。TCXO3のROM43には、例えば、温度補償量を規定するパラメータ(3次関数の係数及び定数)の値が記憶されている。このパラメータの値は、例えば、個々のTCXO3について測定された周波数の温度特性に基づいて設定され、書込み用のTCXO端子25Wを介してROM43に書き込まれている。
従って、所定の温度雰囲気において、TCXO3が出力する発振信号の周波数と、TCXO3が出力すべき発振信号の周波数とのずれ量は、所定の許容誤差範囲内に収まっている。また、TCXO3に保持されているパラメータの値は、同一種類の製品における製造ばらつきの影響が加味されたものとなっている。
ステップST2では、TCXO3を配線基板63の実装領域65に実装する。例えば、TCXO3の複数のTCXO端子25(25Wを含む)と、実装基板17の複数のTCXO用パッド27とを半田からなる不図示のバンプによって固定及び接続する。
ステップST3では、実装されたTCXO3の温度特性を測定する。この際、例えば、配線基板63の除去予定パッド71にプローブを当接させることなどにより、除去予定パッド71(除去予定領域67)を介して、TCXO3に対して信号の入出力を行う。
例えば、OCXO1の使用時と同様に、除去予定パッド71を介してTCXO3のTCXO端子25に電源電圧Vcc、基準電位GND及び制御電圧Vconを付与して、TCXO3によって温度補償がなされた発振信号Voutを除去予定パッド71から出力させる。
このときのTCXO3及び実装領域65の温度は、例えば、恒温槽5内において予定されている温度と同等とされる。例えば、TCXO3及び配線基板63は、測定用の恒温槽に収容され、その恒温槽内の雰囲気の温度は、恒温槽5内の雰囲気において予定されている温度と同等に制御される。
そして、例えば、所定の時間が経過するなど、測定用の恒温槽の温度が十分に安定したときに、除去予定パッド71から実際に出力される発振信号の周波数を測定し、この測定した周波数と、TCXO3(OCXO1)が出力すべき発振信号の周波数とのずれ量を算出する。
なお、本実施形態では、ステップST1のTCXO3の準備において、温度補償量を規定するパラメータの値が調整されているから、このときのずれ量のうち、ステップST1において許容したずれ量を超える部分は、TCXO3を実装したこと等によるものである。
ステップST4では、ステップST3で測定されたずれ量に基づいて、TCXO3のROM43が保持している、温度補償量を規定するパラメータの値を書き換える。この際、例えば、配線基板63の除去予定パッド71にプローブを当接させることなどにより、除去予定パッド71(除去予定領域67)を介して、TCXO3に対して書込み信号Vwが入力される。
パラメータの値は適宜に決定されてよい。例えば、実装後の温度特性は、実装前の温度特性を表す3次曲線(3次関数)をその形状を変えずに温度の軸方向に沿って所定のシフト量(温度のずれ量)でシフトしたものによって近似的に表すことができると考えられる。従って、補償信号発生回路41が印加する電圧の3次関数を温度の軸方向に沿って、上記のシフト量と同一のシフト量でシフトすればよい。
より具体的には、例えば、以下のようにすればよい。
まず、書込み用の除去予定パッド71Wを介してROM43に記憶されている温度補償量を規定するパラメータの値を読み出す。ROM43には、例えば、下記(1)式のα、β、γ及びT0の値が記憶されている。(1)式は、第1温度センサ47の検出温度Tに対応して可変容量素子39に印加される電圧ΔVの3次関数の例である。
ΔV=α(T−T0)3+β(T−T0)+γ (1)
次に、読み出したα、β及びγの値をRAM45に書き込むとともに、読み出したT0の値を少し変化(増加又は減少)させた値をT0の値としてRAM45に書き込む。次に、RAM45に書き込んだα、β、γ及びT0の値に基づく電圧ΔVを補償信号発生回路41に発生させる。そして、その電圧ΔVによって温度補償がなされた発振信号の周波数と、TCXO3が出力すべき発振信号の周波数とのずれ量を測定する。
さらに、RAM45に保持されているT0の値を少し変化させてずれ量を測定する動作を繰り返す。これにより、ずれ量が所定の許容誤差範囲内(例えばステップST1におけるTCXO3の許容誤差範囲と同じ範囲内)となる又はずれ量が最小となるT0の値を探索できる。そして、ROM43の保持しているT0の値を、探索した最適なT0の値に書き換える。
なお、上記の説明から理解されるように、ステップST3及びステップST4は、実際には、一体不可分に、また、繰り返し行われてよい。
ステップST5では、配線基板63から除去予定領域67を折り取り、TCXO3が実装された実装基板17を形成する。折り取りのための器具乃至は装置は、プリント配線基板乃至はウェハを折り取る公知のものに倣って適宜なものとされてよい。
特に図示しないが、ステップST1の後、且つ、ステップST6の前の適宜な時期において、ヒータ21及び複数の外部端子23は、実装領域65又は実装基板17に実装される。
ステップST6では、外部端子23を露出させつつ、TCXO3、実装基板17及びヒータ21を槽19に収容する。これにより、OCXO1が構成される。
以上のとおり、本実施形態のOCXO1の製造方法は、以下のステップを備えている。実装基板17となる実装領域65と、当該実装領域65に接続された除去予定領域67とを有する配線基板63の実装領域65にTCXO3を実装する実装ステップ(ST2)。実装されたTCXO3の温度特性を測定する測定ステップ(ST3)。測定ステップの結果に基づいて、温度補償量を規定する情報を除去予定領域67を介してTCXO3に書き込む書込みステップ(ST4)。書込みステップの後、実装領域65と除去予定領域67とを分離して実装基板17を形成する分離ステップ(ST5)。実装されたTCXO3を槽19に収容する収容ステップ(ST6)。
従って、TCXO3を実装基板17に実装した状態で温度補償量を規定する情報を好適化することができる。その結果、実装の影響を加味した温度補償が可能となる。その一方で、温度補償量を規定する情報の書込みに利用される除去予定領域67(除去予定パッド71W)は、配線基板63から折り取られ、最終的なOCXO1には含まれない。従って、OCXO1(実装基板17)の小型化が図られる。また、外部端子23及び除去予定領域67の構成によっては、外部端子23からTCXO3までの電気信号の経路よりも、除去予定パッド71WからTCXO3までの電気信号の経路を短くすることができる。この場合においては、例えば、書込み用の外部端子23を設けた場合に比較して、書込み信号Vwにノイズが混入するおそれが低減される。
また、本実施形態の測定ステップ(ST3)では、除去予定領域67を介してTCXO3に電圧(Vcc等)を印加するとともにTCXO3の出力(Vout)を検出する。
従って、例えば、基板端子29又は外部端子23にプローブを当接させて、TCXO3に電圧を印加するとともにTCXO3の出力を検出する態様(この態様も本願発明に含まれる。)に比較して、プローブを当接させる面積を確保しやすい。また、例えば、配線の配置などの具体的な構造が互いに異なるTCXO3に対して、除去予定領域67における除去予定パッド71の配置、及び、その配置に対する種々の信号の割り当てを共通化することができる。その結果、検査を簡便化することができる。
また、本実施形態では、分離ステップ(ST5)の後に収容ステップ(ST6)が実行される。
従って、槽19は、測定ステップ(ST3)及び書込みステップ(ST4)の妨げとならない。その結果、例えば、どのような槽19の形状であっても、TCXO3の実装の影響を加味した温度補償量を規定することができる。ひいては、本実施形態のように実装基板17全体を槽19内に収容する構成のOCXO1においても、実装の影響を加味した温度補償量を規定できる。また、例えば、後述する第2実施形態との比較から理解されるように、配線基板63から除去予定領域67を折り取るときに、実装領域65が槽19に覆われていないことから、配線基板63を保持することが容易であり、ひいては、折り取りを好適に行いやすい。
また、本実施形態では、OCXO1は、TCXO3と、TCXO3が実装された実装基板17と、TCXO3を収容する槽19と、を有している。TCXO3は、温度補償量を規定する情報を書込み可能なTCXO端子25Wを有している。実装基板17は、絶縁基板24と、絶縁基板24上に設けられ、TCXO端子25Wに接続されたTCXO用パッド27Wと、絶縁基板24に設けられ、TCXO用パッド27Wから延びて絶縁基板24の側面に到達する残存配線61Wと、を有している。
このような構成のOCXO1は、その製造過程において、除去予定領域67を利用して、実装後のTCXO3に温度補償量に係る情報を書込み可能である。従って、例えば、温度補償の好適化及び小型化が可能である。なお、流通されているOCXO1において温度補償が好適化されていることは、例えば、槽19を分解してTCXO3を実装基板17から分離したときに、その分離されたTCXO3から出力される発振信号Voutの周波数が、分離前(温度条件等の他の条件は同等)のTCXO3から出力された発振信号Voutの周波数に比較して、出力されるべき発振信号Voutの周波数からずれていることによって確認できる。出力されるべき発振信号の周波数は、例えば、流通されているOCXO1の仕様書又はカタログから確認できる。
また、本実施形態では、残存配線61Wが到達する絶縁基板24の側面のうち、絶縁基板24の厚さ方向において残存配線61配線と重なる領域は、脆性破面である。
このような構成のOCXO1は、その製造過程において、除去予定領域67を折り取り可能である。従って、例えば、除去予定領域67の除去方法が簡便であり、製造コストを抑え、ひいては、OCXO1自体を安価に流通させることができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係るOCXO201の概略構成を示す断面図である。
第1実施形態においては、TCXO3だけでなく、実装基板17も槽19に収容された。これに対して、第2実施形態では、実装基板217は、槽219に収容されない。具体的には、以下のとおりである。
OCXO201は、TCXO3と、TCXO3の周囲の雰囲気を所定の温度に維持するとともにTCXO3と外部機器との電気的接続を仲介するための恒温槽205とを有している。TCXO3の構成は、第1実施形態と同様である。
恒温槽205は、TCXO3が実装される実装基板217と、TCXO3を収容する槽219と、槽219内の雰囲気を加熱するためのヒータ21とを有している。
実装基板217は、例えば、実装基板17と同様に、プリント配線基板によって構成されてよい。また、実装基板217は、例えば、実装基板17と同様に、絶縁基板24と、TCXO用パッド27(図3(b))と、TCXO用パッド27から延びる通常配線31及び残存配線61(図3(b))とを有している。
ただし、実装基板217は、例えば、TCXO3が実装される主面とは反対側に、通常配線31に接続された層状の外部端子223を有している。すなわち、本実施形態では、第1実施形態における、ピン状の外部端子23、ピン状の外部端子23が挿入される孔24h、及び、孔24hの内周面及び/又は周囲に位置する基板端子29は設けられていない。
槽219は、例えば、一方が開放された(開口が形成された)箱状であり、TCXO3の上から、実装基板217のTCXO3が実装された主面に被せられる。これにより、TCXO3は、槽219に収容され、また、外部端子223は、槽219の外部に露出する。なお、槽219と実装基板217とで槽が構成されていると捉えられてもよい。槽219は、一方が開放されていることを除いて、槽19と同様の構成とされてよい。槽219と実装基板217との固定は、例えば、槽19内が密閉されるように、半田又は樹脂接着剤等の適宜な接合材によってなされることが好ましい。
ヒータ21は、例えば、実装基板217の、TCXO3が実装される主面に実装されている。なお、この場合、第1実施形態のようにTCXO3と重なる位置にヒータ21を設ける場合に比較して、TCXO3の周囲の温度分布が偏りやすい。そこで、2個以上のヒータ21をTCXO3の周囲に対称乃至は均等に配置したり、ヒータ21、及び、熱源となるような部品(例えばドライバIC)をTCXO3の周囲に対称乃至は均等に配置したりしてもよい。
図8は、OCXO201の製造方法の手順を示すフローチャートである。
この製造方法においては、第1実施形態と同様に、実装基板217となる実装領域と、実装領域に接続された除去予定領域とを有する配線基板(図5参照)が用いられる。なお、以下では、便宜上、実装基板217の符号以外、図5の配線基板63の符号を用いる。
図8に示す手順は、主として、除去予定領域67の折り取り及び槽219によるTCXO3の収容の時期が第1実施形態(図6)の手順と相違する。具体的には、以下のとおりである。
ステップST11及びST12では、図6のステップST1及びST2と同様に、TCXO3及び配線基板63を準備し、TCXO3を実装領域65に実装する。
ステップST13では、TCXO3を槽219に収容する。なお、ヒータ21の実装基板217に対する実装は、ステップST11の後、且つ、ステップST13の前の適宜な時期に行われる。
ステップST14では、図6のステップST3と同様に、実装されたTCXO3の温度特性を測定する。除去予定領域67を介してTCXO3に対する信号の入出力が行われることは、第1実施形態と同様である。
ただし、TCXO3は、既に恒温槽205に収容されているので、TCXO3の周囲の雰囲気の温度は、測定用の恒温槽ではなく、恒温槽205によって制御されてよい。例えば、OCXO1の使用時と同様に、恒温槽205内の雰囲気の温度が使用時の目標温度になるように、第2温度センサ49に基づくヒータ21のフィードバック制御を恒温槽205に実行させる。なお、恒温槽205に対する電圧印加は、例えば、除去予定パッド71を介してなされてよい。
ステップST15では、図6のステップST4と同様に、測定結果に基づいて、除去予定領域67を介して、TCXO3に温度補償量を規定する情報を書き込む。
ステップST16では、図6のステップST5と同様に、配線基板63から除去予定領域67を折り取る。
このように、第2実施形態では、TCXO3を実装基板17に実装後、且つ、TCXO3を槽219に収容した後に、ROM43が保持する温度補償量を規定するパラメータの値を最適化する。
以上のとおり、本実施形態のOCXO201の製造方法は、第1実施形態と同様に、実装ステップ(ST12)と、実装後の測定ステップ(ST14)及び書込みステップ(ST15)と、書込み後の分離ステップ(ST15)と、収容ステップ(ST13)とを備えている。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、温度補償量の好適化及び実装基板217の小型化が図られる。
また、本実施形態では、槽219は、実装領域65の両主面のうちの、TCXO3が実装された主面にのみ被せられるものであり、収容ステップ(ST13)の後に、測定ステップ(ST14)、書込みステップ(ST15)及び分離ステップ(ST16)が実行される。
従って、第1実施形態に比較して、完成したOCXO201に近い状態で温度特性が測定される。その結果、温度補償量がより好適化される。なお、第1実施形態(図6)の手順は、第2実施形態の手順に比較して、既に述べたように、種々の構成のOCXOに適用できる点等において有利である。例えば、第2実施形態の手順は、第1実施形態の構成には適用できないが、第1実施形態の手順は、第1及び第2実施形態の構成に適用可能である。
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係るOCXO301の概略構成を示す断面図である。
OCXO301は、例えば、第2実施形態と同様に、実装基板317の一方の主面に、下方が開放された箱状の槽219が被せられ、これにより、TCXO303が槽219に収容される構成である。ただし、OCXO301は、第1実施形態と同様に、TCXO303及び実装基板317の全体が槽19に収容される構成であってもよい。
OCXO301は、TCXOの構成、及び、ヒータ21が設けられていない点が第1及び第2実施形態と相違する。なお、特に図示しないが、OCXO301の製造方法において、実装基板317となる実装領域65及びこれに接続された除去予定領域67を含む配線基板63が用いられること、図6又は図8に示した手順が実行されることは、第1及び第2実施形態と同様である。
OCXO301のTCXO303は、第1実施形態のTCXO3に対して、第2枠部15eが省略された構成である。すなわち、TCXO3において、素子搭載用部材307の絶縁部材315は、基板部315cと、基板部315cの一方の主面上に位置して凹部315aを構成する枠部315dとを有している。
第1実施形態と同様に、振動素子9は、凹部315aの底部に実装されて凹部315aに収容され、また、蓋体13によって気密封止される。また、IC11は、基板部315cの振動素子9が実装される側とは反対側の主面に実装されている。
ただし、第2枠部15eが設けられていないことから、IC11は、素子搭載用部材307に対して下方に突出する状態となっている。また、TCXO端子25は、基板部315cの下面に設けられている。
一方、実装基板317の絶縁基板324には、突出したIC11を収容する収容孔324hが形成されている。収容孔324hの内部であってIC11の周囲においては、封止材353(例えば樹脂)が充填されている。封止材353は、例えば、槽219内を密閉するように設けられている。ただし、封止材353は、槽219を密閉していなくてもよいし、設けられなくてもよい。
このように、本実施形態では、素子搭載用部材307と実装基板317とで、擬似的に、振動素子9及びIC11を保持するH型パッケージが実現されている。これにより、OCXO301は、より小型化が図られる。
また、上述のように、本実施形態では、ヒータ21は設けられていない。しかし、TCXO3が槽219に収容されていることによって、OCXO301の周囲の雰囲気の温度変化がTCXO3の周囲の雰囲気の温度変化に及ぼす影響は緩和される。
槽219内は、密閉されていてもよいし、密閉されてなくてもよい。密閉されている場合、槽219内は真空(大気圧よりも減圧された状態)であってもよいし、真空でなくてもよい。また、槽219内に気体が封入されている場合、気体は、空気であってもよいし、窒素等の適宜なガスであってもよい。
槽219内にガス(例えば空気)が封入されている場合、TCXO303と槽219との距離G1及びG2(空気層の厚さ)は、比較的小さいことが好ましい。粘性抵抗によって対流の発生が抑制され、断熱効果が向上するからである。例えば、距離G1及びG2は、対流抑制の観点及びOCXO301の小型化の観点から、1mm以下であることが好ましい。
OCXO301は、ヒータ21を有していないことから、測定ステップ(ST3又はST14)において、実装されたTCXO3の周囲の雰囲気の温度は、第1及び第2実施形態のように恒温槽の目標温度ではなく、適宜な温度とされてよい。例えば、OCXO301が一定の温度で使用される予定の場合においては、その温度が測定ステップのときの温度とされてよい。また、例えば、OCXO301が所定の温度範囲内で使用される予定の場合においては、その温度範囲の平均値が測定ステップのときの温度とされてよい。
また、実装前のTCXO3におけるパラメータの最適化と同様に、測定用の恒温槽内の温度を種々変化させることによって、種々の温度における発振信号の周波数を測定し、種々のパラメータ(例えば、α、β、γ及びT0の全て)の値を最適化してもよい。なお、この場合は、ステップST1又はST11において準備されるTCXO3は、個々のばらつきの影響が加味されていないパラメータの値(同一種類のTCXOに共通に設定されたパラメータの値)を保持しているものであってもよいし、そのような値すら保持していないものであってもよい。
本実施形態のOCXO301は、素子搭載用部材307及び実装基板317が擬似的にH型パッケージを構成する特徴と、ヒータ21が設けられていない特徴との双方を備えたが、いずれか一方のみを備えていてもよい。なお、前者の特徴のみを備える場合、ヒータ21は、第2実施形態のようにTCXO303の側方にて実装基板317に実装されてもよいし、第1実施形態のように実装基板317のTCXO303が実装される側とは反対側に実装され、収容孔324hを覆ってもよい。
<変形例>
以下に説明する変形例は、第1〜第3実施形態のいずれに適用されてもよいものであるが、第1実施形態の符号等を参照する。
図10は、第1変形例に係る配線基板463を示す、図5と同様の平面図である。
配線基板463は、配線基板63と同様に、実装基板17(厳密には実装基板17とは相違する)となる実装領域465と、実装領域465に接続された除去予定領域467とを有するものである。
ただし、実装領域465と除去予定領域467との間には、配線基板63をその厚さ方向に貫通し、不図示の境界線に沿って延びる貫通孔463hが形成されている。換言すれば、実装領域465と除去予定領域467とは、実装基板17の縁部となる部分の両側にて、互いに接続されている。貫通孔463hは、配線基板463の作製(ステップST1)において、例えば、配線基板463のエッチングによって形成される。なお、残存配線61及び除去予定配線69は、貫通孔463hを避けるようにして延びている。
このような構成によれば、折り取り(ステップST5)を容易化することができる。なお、一の貫通孔463hに代えて、ミシン目状に、複数の貫通孔を境界線に沿って設けてもよい。
図11は、第2変形例に係る配線基板563を示す、図5と同様の平面図である。
配線基板563は、配線基板63と同様に、実装基板17(厳密には実装基板17とは相違する)となる実装領域565と、実装領域565に接続された除去予定領域567とを有するものである。
ただし、4隅のTCXO用パッド27には、残存配線61、除去予定配線69及び除去予定パッド71は接続されていない。すなわち、書込み用のTCXO用パッド27Wについてのみ、残存配線61、除去予定配線69及び除去予定パッド71が接続されている。
このような配線基板563を用いたTCXO3の温度特性の測定(ステップST3)では、例えば、基板端子29又は外部端子23にプローブが当接されることなどにより、TCXO3に対して電源電圧Vcc、基準電位GND及び制御電圧Vconの入力がなされ、また、TCXO3が出力する発振信号Voutの検出がなされる。すなわち、実装領域565及び除去予定領域567のうち実装領域565のみを介してTCXO3に電圧が印加されるとともにTCXO3の出力が検出される。
従って、例えば、温度特性の測定時におけるTCXO3に対する入出力状態は、OCXO1の使用時に近くなる。その結果、例えば、温度補償量が好適化される。なお、実施形態のように、除去予定領域を介してTCXO3の温度特性の測定を行う場合においては、既に述べたように、例えば、プローブを当接させるパッド面積の確保が容易である。
なお、以上の実施形態において、OCXO1、201及び301は槽付圧電デバイスの一例であり、TCXO3及び303は温度補償型圧電デバイスの一例であり、ROM43及び/又はRAM45はメモリの一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、圧電デバイスは、発振器に限定されない。例えば、SAWフィルタ等のフィルタであってもよい。なお、フィルタの場合においては、例えば、所定の波形の入力信号をフィルタリングしたときの出力信号の波形が所定の形状に近づくように、温度補償量を規定するパラメータの値が最適化される。
また、発振器は、実施形態に例示した以外の信号を入出力するものであってもよい。例えば、発振器は、制御電圧が入力されないもの(予め定められた一定の周波数の発振信号を出力するもの)であってもよいし、イネーブル・ディセーブル信号が入力されるものであってもよいし、周波数が互いに異なる又は同一の2つの発振信号を出力するものであってもよい。
振動素子は、圧電体の両主面に1対の電極が設けられるものに限定されず、SAW型の振動素子のように圧電体の一主面に1対の電極が設けられるものであってもよい。圧電体のカットの角度は適宜に設定されてよい。圧電体は、水晶に限定されず、例えば、セラミックであってもよい。
圧電体(振動素子)及び集積回路素子が搭載される素子搭載用部材は、互いに反対側に2つの凹部を有するいわゆるH型に限定されない。例えば、1つの凹部に圧電体及び集積回路素子が収容されてもよい。
温度補償型圧電デバイス(TCXO等)は、バンプによって実装基板に実装されるものに限定されず、例えば、ボンディングワイヤ又はピン状のTCXO端子によって実装基板に実装されるものであってもよい。
槽付圧電デバイスが温度調整素子を有する場合(槽が恒温槽を構成する場合)、温度調整素子は、加熱を行うもの(ヒータ)に限定されず、冷却を行うものであってもよい。例えば、槽の内外に露出するペルチェ素子を設け、加熱素子、若しくは、冷却素子、又は、加熱及び冷却の双方が可能な加熱冷却素子として機能させてよい。温度調整素子は、必ずしも槽に収容されている必要はなく、槽の外部に配置され、槽を加熱又は冷却することにより、槽の内部の雰囲気を加熱又は冷却するものであってもよい。
温度補償量を規定する情報は、3次関数の係数及び定数の値に限定されない。例えば、発振器の温度補償量は、所定の温度範囲を複数に区分して、その区分ごとに1次関数乃至は2次関数で規定することが可能であり、この場合には、1次関数乃至は2次関数の係数又は定数の値が温度補償量を規定する情報となる。また、関数の係数及び定数の値は変えずに、温度のずれ量そのものの情報(例えば実施形態におけるT0の初期値と最適値との差)を情報として保持し、検出温度を関数に代入するときに変数としての検出温度にずれ量を加算するようにしてもよい。
実施形態では、T0の値を少しずつ変化させながらTCXO3に発振信号を出力させ、T0の好適化された値を探査したが、演算によってT0の好適化された値が求められてもよい。例えば、下記の(2)式にα、β、γ、T、T0(初期値)、Δf及びFの値を代入して得られる方程式において、ΔTの値を演算により求め、T0+ΔTの値をT0の新たな値としてよい。
α(T−T0)3+β(T−T0)+γ+Δf/F
=α(T−(T0+ΔT))3+β(T−(T0+ΔT))+γ (2)
ただし、ΔfはステップST3又はST14で測定された周波数のずれ量、Fは可変容量素子39に印加する電圧と発振信号の周波数の変化量とが線形の関係にあると仮定した場合における比例定数である。
第3実施形態(恒温槽を有さない態様)の説明において、実装後のTCXOの温度特性の測定及び温度補償量を規定する情報の書込みが、実装前のTCXOと同様に行われてもよい(α、β、γ、T0の値を求めてもよい)ことについて言及した。これは、恒温槽を有する圧電デバイスにおいても同様である。例えば、第1実施形態において、TCXO3の実装後、槽19によるTCXO3の収容前に、そのような測定及び書込みがなされてもよい。
実装領域と除去予定領域との分離は、折り取りに限定されない。例えば、ダイシングブレード又はレーザーによって分離がなされてもよい。
温度補償型圧電デバイスの書込み用の端子(25W)に接続されたパッド(27W)から延びる配線(61W)は、実装基板の縁部に厳密に到達していなくてもよい。除去予定領域を除去する際に、配線の端部が捲れるとともに除去され、実装基板の縁部よりも若干内側に位置することがあるからである。