JP2016152367A - エッチング装置およびエッチング方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態では、F2 +NO2 →F+FNO2 の反応により生じるF原子をSi部材に反応させることにより、Si部材をエッチングすることに特徴がある。ここで、Si部材とは、Si単結晶と、Si多結晶と、アモルファスシリコンと、シリコン窒化膜(SiN)と、シリコン炭化膜(SiC)と、シリコン酸化膜(SiO)を含む材質から成るものである。そして、Si部材は、MOSや太陽電池等の半導体、電子素子として、もしくは、MEMS等の機械部品に用いられる。
1−1.ガスの供給経路
図1は、本実施形態のエッチング装置100の全体の概略を示す概略構成図である。エッチング装置100は、第1のガス貯蔵部111と、第2のガス貯蔵部121と、第3のガス貯蔵部131と、第1の配管112と、第2の配管122と、第3の配管132と、ガス混合室140と、反応室150と、を有している。また、その他に、ガスを排出するガス排出部や、種々の弁を有している。なお、エッチング装置100は、プラズマ発生装置を有していない。
図2に示すように、反応室150は、載置台151と、ヒーター152と、を有している。載置台151は、エッチングの対象であるSi部材S1を載置するための台である。また、載置台151には、温度計が取り付けられている。これにより、Si部材S1の温度を測定することができるようになっている。ヒーター152は、Si部材S1を加熱するためのものである。Si部材S1の温度をフィードバックすることにより、ヒーター152は、Si部材S1の温度をほぼ一定に保持することができる。
図1に示すように、エッチング装置100は、第1のガス貯蔵部加熱部191と、第1の配管加熱部192と、混合室加熱部193と、反応室加熱部194と、を有している。第1のガス貯蔵部加熱部191と、第1の配管加熱部192と、混合室加熱部193と、反応室加熱部194とは、第1のガスを供給する供給経路を加熱するための加熱部である。
3−1.ガス混合室での反応
ここで、ガス混合室140で生じる化学反応について説明する。ガス混合室140では、次に示す式(1)および式(2)の化学反応が生じる。
F2 + NO2 → F + FNO2 ………(1)
F + NO2 → FNO2 ………(2)
式(1)の反応速度定数: k1
式(2)の反応速度定数: k2
反応室150の内部においても、上記の式(1)および式(2)の反応は生じている。そして、反応室150の内部に一定数存在し得るであろうF原子を用いてSi部材S1にエッチングを実施する。このときSi部材S1のSi原子との反応に寄与する粒子は、F原子のみとは限らない。ただし、F原子が主にエッチングに寄与すると考えられる。
4−1.反応の活性化
化学反応は、一般に温度に依存する。そして、反応速度定数は、温度の上昇とともに増大する。そのため、第1の配管加熱部192等の加熱部は、第1の配管112等のガス供給経路を加熱することにより、ガス混合室140における式(1)の反応を活性化させると考えられる。
NO2 とN2 O4 とは、平衡状態にある(L. Medard, Gas Encyclopedia, translated by N. Marshall, (Elsevier, 1976) p.1065 )。例えば、大気圧下で室温(25℃)の場合には、NO2 が約30%を占めるとともに、N2 O4 が約70%を占める。そして、温度が高いほど、NO2 の割合は高い。大気圧下では、140℃以上の温度でNO2 の割合は98%以上である。したがって、加熱することにより、式(1)の反応を活性化させると考えられる。
5−1.パターン形成工程
本実施形態のエッチング方法について説明する。まず、Si部材S1にマスクパターンを形成する。マスクの材質として、例えばSiO2 が挙げられる。
そして、反応室150の載置台151の上にSi部材S1を載置する。次に、反応室150を真空引きして反応室150の内圧を下げる。それとともに、ヒーター152を設定値まで加熱する。そして、第1のガス貯蔵部111から第1のガスを供給するとともに、第2のガス貯蔵部121から第2のガスを供給するとともに、第3のガス貯蔵部131からArガスを供給する。その際、NO2 を含む第1のガスは、供給経路に設けられた第1の配管加熱部192等により加熱される。
また、その他の工程を実施してもよい。
本実施形態のエッチング装置100およびエッチング方法を用いることにより、基板温度が180℃未満の場合に、Si部材S1をエッチングすることができる。特許文献3の技術では、基板温度が180℃未満の条件のときにエッチングは進行しなかった。
7−1.Si部材
本実験では、Si部材S1として、シリコン基板を用いた。このシリコン基板のサイズは、幅6mm長さ15mmであった。また、シリコン基板はp型半導体である。そして、その電気抵抗率は10Ωcmであった。
ArガスにF2 ガスを体積比で5%の割合で混合した混合気体を109.1sccm供給した。これにより、F2 ガスを反応室に5.4sccm供給することとなる。一方、NO2 を10sccmだけ反応室に供給した。反応室の内部の圧力を600Paとした。シリコン基板の温度を160℃とした。エッチングを実施した時間は60分間であった。なお、マスクにより設定した開口幅を8μmとした。また、ガス混合室と反応室との間の距離は30mmであった。
図3は、そのシリコン基板の電子顕微鏡による顕微鏡写真である。60分間のエッチングにより削られた凹部の深さは380nmであった。エッチングレートは、6nm/minであった。図3に示すように、Si部材の微細な加工が可能である。
また、シリコン基板の温度以外の実験条件を、前述の実験Aと同じとして実験を行った。図4は、基板温度とエッチングレートとの関係を示すグラフである。図4の横軸は、基板の温度である。図4の縦軸は、エッチングレートである。図4に示すように、基板温度が低いほど、エッチングレートは遅い。そして、基板温度が160℃のときには、エッチングレートは、平均して25nm/min±標準偏差9nm/minである。
9−1.第2のガスの供給経路の加熱
図5に示すように、第2のガスを供給する供給経路を加熱してもよい。ガス混合室140で第1のガスと第2のガスとが混合するときに、ガスの温度がほとんど下がらないからである。このエッチング装置200は、第2のガス貯蔵部121を加熱する第2のガス貯蔵部加熱部291と、第2の配管122を加熱する第2の配管加熱部292と、を有している。
図6に示すように、第1のガスの供給経路および第2のガスの供給経路に加えて、第3のガスの供給経路を加熱するとよい。第1のガスは合流部133でArガスと合流したときに、ガスの温度がほとんど下がらないからである。つまり、このエッチング装置300は、第3のガス貯蔵部131を加熱する第3のガス貯蔵部加熱部391と、第3の配管132を加熱する第3の配管加熱部392と、を有している。
エッチング装置は、第1のガス貯蔵部111と第2のガス貯蔵部121と第1の配管112と第2の配管122との少なくとも1つを40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すればよい。これにより、ガスをある程度加熱できることに変わりないからである。例えば、第2のガスを加熱しておけば、第1のガスと混合する際に、第1のガスを加熱することとなる。加熱部は、その加熱箇所に応じた位置に配置されていればよい。
本実施形態のエッチング装置100は、ガス混合室140を有する。しかし、ガス混合室140はなくても構わない。Si部材のエッチング対象箇所に供給する前に、第1のガスと第2のガスとが混合する空間があれば、エッチングを実施することができる。図7は、ガス混合室140を設けない場合を示す図である。
また、図8に示すエッチング装置400を用いてもよい。エッチング装置400は、大型のエッチング装置である。エッチング装置400は、ガス混合室440と、反応室450と、載置台451と、を有している。この場合、ガス混合室440と、反応室450とは、貫通孔を有する仕切り板452により仕切られている。
第3のガス貯蔵部131は無くてもよい。第1のガス貯蔵部111に、NO2 ガスとArガスとの混合気体を入れておけばよい。その場合であっても、ガス混合室140に供給されるガスは、同じである。第1のガスの圧力と、第2のガスの圧力とが、同じであれば、Arガスはなくてもよい。
本実施形態の第3のガスはArガスである。第3のガスは、不活性ガスであればよい。そのため、第3のガスとして、Ar、He、Ne、Xe、Kr、N2 のいずれか1種類以上のガスを含むガスを用いることができる。
本実施形態では、反応室150にヒーター152を設けることとした。しかし、ヒーター152を設ける代わりに、もしくはヒーター152とともに、冷却装置を設けてもよい。これにより、Si部材を低い温度にした条件下でエッチングを施すことができるからである。これにより、例えば、エッチング装置100の温度制御部160は、Si部材の温度を−20℃以上180℃未満の範囲内の温度とすることができる。この場合、温度制御部160は、基板の温度を制御する基板温度制御部としての役割を担う。
本実施形態では、SiO2 のマスクを作製することとした。しかし、太陽電池の表面の粗面化処理を行う際には、このようなマスクを形成する必要がない。このように、マスクを必要としない場合がある。
本実施形態では、F2 を含む第2のガスを供給することとした。しかし、少なくともIF3 やIF5 、IF7 、XeF2 を含むソースを加熱して、F2 ガスを発生させてもよい。また、HFを含む液体から電気分解によりF2 を発生させてもよい。すなわち、その場合には、第2のガス貯蔵部121は、F2 発生部を有することとなる。
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るエッチング方法は、NO2 を含む第1のガスとF2 を含む第2のガスとを混合させた混合気体として、Si部材の表面に導く方法である。また、エッチングの際の雰囲気の圧力は、10Pa以上10000Pa以下の範囲内であり、大気圧に比べて十分に小さい。そのため、エッチングに用いられるF原子の寿命および濃度が、十分であると考えられる。したがって、プラズマを用いることなく、比較的入手しやすい安価なガスを用いて、Si部材に高精度な低速エッチングを実施することのできるエッチング装置およびエッチング方法が実現されている。
111…第1のガス貯蔵部
112…第1の配管
121…第2のガス貯蔵部
122…第2の配管
131…第3のガス貯蔵部
132…第3の配管
140…ガス混合室
150…反応室
151…載置台
152…ヒーター
170…圧力計
191…第1のガス貯蔵部加熱部
192…第1の配管加熱部
193…混合室加熱部
194…反応室加熱部
S1…Si部材
Claims (14)
- エッチング装置において、
Si部材をガスエッチングするための反応室と、
NO2 ガスを含む第1のガスを貯蔵するための第1のガス貯蔵部と、
F2 ガスを含む第2のガスを貯蔵するための第2のガス貯蔵部と、
前記第1のガス貯蔵部から前記反応室まで前記第1のガスを供給する第1の配管と、
前記第2のガス貯蔵部から前記反応室まで前記第2のガスを供給する第2の配管と、
を有し、
前記第1のガス貯蔵部と前記第2のガス貯蔵部と前記第1の配管と前記第2の配管との少なくとも1つを40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱する加熱部を有すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1に記載のエッチング装置において、
前記第1の配管を加熱する第1の配管加熱部を有し、
前記第1の配管加熱部は、
前記第1の配管を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1または請求項2に記載のエッチング装置において、
前記第1のガス貯蔵部を加熱する第1のガス貯蔵部加熱部を有し、
前記第1のガス貯蔵部加熱部は、
前記第1のガス貯蔵部を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
前記第2の配管を加熱する第2の配管加熱部を有し、
前記第2の配管加熱部は、
前記第2の配管を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
前記第2のガス貯蔵部を加熱する第2のガス貯蔵部加熱部を有し、
前記第2のガス貯蔵部加熱部は、
前記第2のガス貯蔵部を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
前記反応室を加熱する反応室加熱部を有し、
前記反応室加熱部は、
前記反応室を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
前記Si部材の温度を制御する基板温度制御部を有し、
前記基板温度制御部は、
前記Si部材の温度を−20℃以上180℃未満の範囲内の温度とすること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
プラズマ発生装置を有していないこと
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
前記反応室は、
内圧を10Pa以上10000Pa以下の範囲内とするものであること
を特徴とするエッチング装置。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のエッチング装置において、
Ar、He、Ne、Xe、Kr、N2 のいずれか1種類以上のガスを含む第3のガスを貯蔵するための第3のガス貯蔵部と、
前記第3のガス貯蔵部から前記第1の配管まで前記第3のガスを供給する第3の配管と、
前記第3の配管を加熱する第3の配管加熱部と、
を有し、
前記第3の配管加熱部は、
前記第3の配管を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング装置。 - エッチング方法において、
Si部材をガスエッチングするための反応室と、
NO2 ガスを含む第1のガスを貯蔵するための第1のガス貯蔵部と、
F2 ガスを含む第2のガスを貯蔵するための第2のガス貯蔵部と、
前記第1のガス貯蔵部から前記反応室まで前記第1のガスを供給する第1の配管と、
前記第2のガス貯蔵部から前記反応室まで前記第2のガスを供給する第2の配管と、
を有するエッチング装置を用い、
前記第1のガス貯蔵部と前記第2のガス貯蔵部と前記第1の配管と前記第2の配管との少なくとも1つを40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱し、
F2 およびNO2 を含む混合気体の圧力を10Pa以上10000Pa以下の範囲内として前記Si部材に導き、
前記Si部材をエッチングすること
を特徴とするエッチング方法。 - 請求項11に記載のエッチング方法において、
前記Si部材の温度を−20℃以上180℃未満の範囲内の温度とすること
を特徴とするエッチング方法。 - 請求項11または請求項12に記載のエッチング方法において、
F2 およびNO2 を含む混合気体をプラズマ状態にしないで前記Si部材に導くこと
を特徴とするエッチング方法。 - 請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のエッチング方法において、
前記エッチング装置として、
Ar、He、Ne、Xe、Kr、N2 のいずれか1種類以上のガスを含む第3のガスを貯蔵するための第3のガス貯蔵部と、
前記第3のガス貯蔵部から前記第1の配管まで前記第3のガスを供給する第3の配管と、
を有するものを用い、
前記第3の配管を40℃以上200℃以下の範囲内の温度に加熱すること
を特徴とするエッチング方法。
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