JP2016152157A - 照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗客のいる客室内に対しては、有機ELにより眩しさを抑制した柔らかい光で照明することができる一方、天井の隅に対しては他の光源より指向性の高い光で明るく照明することができ、有機ELと他の光源のそれぞれの特長を生かした最適な照明を実現可能な照明装置を提供する。
【解決手段】鉄道車両1の客室2内における天井3に配置され、有機EL21をパネル状に加工した第1光源20と、この第1光源20を保持し有機EL21の発光面を下方の客室2内へ向けた状態で天井3に取り付けるケース本体11と、有機EL21の発光と比べて指向性が高い光を照射可能なLED32から成る第2光源30とを有し、第2光源30は、ケース本体11にて第1光源20から照射される光を遮らない位置に設けられ、少なくとも天井3の隅に向けて直接光を照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗物の客室内における天井に配置され、有機EL(エレクトロルミネッセンス)を光源として備えた照明装置に関し、例えば鉄道車両等の乗物の客室内における照明に用いられるものである。
近年、鉄道車両等の乗物の客室内を照らす照明装置では、光源にLED(発光ダイオード)を使用したものが増え始めている。ただし、LEDは点光源であり、視野に入った際に眩しいので、乗客の不快感を減らすべく眩しさを抑制するために、器具にカバーをつけたり、間接照明にしたりする等、特別な工夫が必要であった。
ところで、最近脚光を浴びている発光素子として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)が知られている。これは、電気を流すと光る性質を持つ有機化合物によって発光するものであり、パネル状に加工可能で自ら発光(自発光)する面光源となるため、表示装置のみならず、積極的に照明としての活用も検討され始めている。
既に、有機ELを使用した照明装置として、例えば特許文献1には、青色発光のLEDと黄色発光の有機ELからの光を混合することで白色照明光を得ることができ、LEDの光が有機ELの間を通過するように、LEDを有機EL発光装置と重ならない位置に設けたものが開示されている。
かかる照明装置では、LEDから照射された光が、有機EL自体を通過することなく、有機ELの間を通過するように配光される。このLEDからの光が、有機ELの照射範囲ないし方向と重なるように照射されることで、LEDからの光と有機ELからの光は混合されて、同一の対象に向けて照射されることが特徴となっている。
特開2012−151101号公報
前述した特許文献1に開示された照明装置では、有機ELおよびLEDからの光の照射範囲が同じであるため、鉄道車両等の乗物の客室内への利用を考えた場合、結局は有機ELとLEDを単に組み合わせただけとなり、有機ELとLEDのそれぞれの光の特長を生かせないという問題があった。
すなわち、面光源である有機ELからの光は、客室内に対して間接光とすることなく、そのまま面発光の柔らかな光として照射することができるにも関わらず、これに点光源であるLEDからの光を混合させると、客室内の乗客に不快な眩しさを与える虞があった。また、指向性の高いLEDからの光であっても、単に客室内に向けて照射されるだけとなり、天井面やその隅には光が届かないという問題があった。
一般的な通勤車両では、天井の隅に広告が貼り付けられていることが多く、かかる位置には乗客もいないため、局所的に明るく照らしても乗客が眩しさを感じることなく、広告効果も高めることができる。しかしながら、特許文献1に開示された照明装置では、指向性の高いLEDからの光を、必要な領域のみに照射するという部分照明として利用は困難であった。
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、乗客のいる客室内に対しては、有機ELにより眩しさを抑制した柔らかい光で照明することができる一方、天井の隅に対しては他の光源より指向性の高い光で明るく照明することができ、有機ELと他の光源のそれぞれの特長を生かして乗物の客室内における最適な照明を実現することが可能な照明装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]乗物(1)の客室(2)内における天井(3)に配置され、有機EL(エレクトロルミネッセンス)(21)を光源として備えた照明装置(10)において、
前記有機EL(21)をパネル状に加工した第1光源(20)と、該第1光源(20)を保持し有機EL(21)の発光面(22)を下方の客室(2)内へ向けた状態で前記天井(3)に取り付けるケース本体(11)と、前記有機EL(21)の発光と比べて指向性が高い光を照射可能な別の光源から成る第2光源(30)とを有し、
前記第2光源(30)は、前記ケース本体(11)にて前記第1光源(20)から照射される光を遮らない位置に設けられ、少なくとも前記天井(3)の隅に向けて直接光を照射することを特徴とする照明装置(10)。
[2]前記第1光源(20)および前記ケース本体(11)は、平面視で前記客室(2)の長手方向に延びる長方形に形成され、前記ケース本体(11)の長辺となる両側端に沿って、それぞれ側端より側方に向けて直接光を照射する状態に前記第2光源(30)を設けたことを特徴とする前記[1]に記載の照明装置(10)。
[3]前記ケース本体(11)の両側端の下側に、それぞれ側端より側方に延出して、前記第2光源(30)からの直接光のうち下方の客室(2)内へ向かう配光を遮る受け部(14)を設けたことを特徴とする前記[2]に記載の照明装置(10)。
[4]前記ケース本体(11)の両側端に、それぞれ前記第2光源(30)からの直接光の照射範囲を、その光軸より上下に亘る所定幅に狭める配光規制手段(61,62)を設けたことを特徴とする前記[2]または[3]に記載の照明装置(10)。
[5]前記第2光源(30)および前記受け部(14)は、前記ケース本体(11)とは別体のユニット(40)に設けられ、該ユニット(40)ごと前記ケース本体(11)の両側端に後付けすることを特徴とする前記[3]に記載の照明装置(10)。
[6]前記第2光源(30)および前記配光規制手段(61,62)は、前記ケース本体(11)とは別体のユニット(50)に設けられ、該ユニット(50)ごと前記ケース本体(11)の両側端に後付けすることを特徴とする前記[4]に記載の照明装置(10)。
[7]前記第2光源(30)は、細幅状に延びる基板(31)上に複数並べて配列させたLED(発光ダイオード)(32)から成ることを特徴とする前記[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の照明装置(10)。
[8]前記第1光源(20)であるパネル状の有機EL(21)は、発光しない時は透明なものもあり、
前記ケース本体(11)のうち、有機EL(21)の発光面(22)を表出させる底面側の開口と対向する上面側も開口し、
前記ケース本体(11)を、前記天井(3)に予め設けた開口ないし透明の窓部に合わせて取り付けることを特徴とする前記[1],[2],[3],[4],[5],[6]または[7]に記載の照明装置(10)。
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10)によれば、乗客のいる客室(2)内に対しては、有機EL(21)をパネル状に加工した第1光源(20)により、面発光による眩しさを抑制した柔らかい光が照射される。一方、客室(2)の天井(3)の隅に対しては、有機EL(21)とは別の光源から成る第2光源(30)により、有機EL(21)の発光と比べて指向性が高い光が照射される。
これにより、客室(2)内の乗客に対しては、不快な眩しさを与えることなく、第1光源(20)による快適な照明環境を実現できる。しかも、第1光源(20)からの光が届かない天井(3)の隅は、第2光源(30)により明るく指向性の高い照明が可能となる。よって、天井(3)の隅に広告(4)がある場合は、この広告(4)を明るく際立たせることで、広告効果を高めることができる。また、広告がない場合でも、天井(3)の隅での光の反射により、客室(2)内をより明るく照明でき、天井(3)や天井(3)の隅が明るく照らされるため、客室(2)内の明るさ感も向上する。第2光源(30)は、ケース本体(11)にて第1光源(20)から照射される光を遮らない位置にあるから、光の損失も防ぐことができる。
前記[2]に記載の照明装置(10)によれば、ケース本体(11)および第1光源(20)は、客室(2)の長手方向に延びる長方形に形成され、ケース本体(11)の長辺となる両側端に沿って、それぞれ側端より側方に向けて直接光を照射する状態に第2光源(30)を設ける。これにより、ケース本体(11)自体を第2光源(30)の配置スペースとして活用できるだけでなく、第1光源(20)は、そのまま下方の客室(2)を照射範囲とする一方、第2光源(30)は、天井(3)に沿ってその隅までを照射範囲とし、それぞれ最適な配光を実現することができる。
前記[3]に記載の照明装置(10)によれば、ケース本体(11)の両側端の下側に、それぞれ側端より側方に延出して、第2光源(30)からの直接光のうち下方の客室(2)内へ向かう配光を遮る受け部(14)を設ける。かかる受け部(14)により、第2光源(30)からの直接光が客室(2)内に向かうことを防止することができ、第2光源(30)の照射範囲を前記第1光源(20)の客室(2)内への照射範囲以外に容易に限定することができる。
前記[4]に記載の照明装置(10)によれば、ケース本体(11)の両側端に、それぞれ第2光源(30)からの直接光の照射範囲を、その光軸より上下に亘る所定幅に狭める配光規制手段(61,62)を設ける。かかる配光規制手段(61,62)は、具体的には例えば、大きく湾曲した反射鏡(61)や、所定形状のレンズ(62)が該当する。
このような配光規制手段(61,62)によれば、第2光源(30)からの直接光を狭角配光とすることにより、前記受け部(14)に代わって、客室(2)内における眩しさを抑制することも可能となる。なお、受け部(14)と配光規制手段(61,62)とを、両方組み合わせても良い。
前記[5]に記載の照明装置(10)によれば、第2光源(30)および受け部(14)は、ケース本体(11)とは別体のユニット(40)に設けられ、該ユニット(40)ごとケース本体(11)の両側端に後付けする。これにより、ケース本体(11)自体の構成は簡易化することができると共に、第2光源(30)等の取り付け部位に関してはデザインの自由度を高めることができる。
同様に、前記[6]に記載の配光規制手段(61,62)と第2光源(30)とを、別体のユニット(50)として設けても良い。
前記[7]に記載の照明装置(10)によれば、第2光源(30)は、細幅状に延びる基板(31)上に複数並べて配列させたLED(32)から成る。かかる第2光源(30)によれば、簡易な構成によりLED(32)の配光特性を活用した天井(3)部の隅に対する照明が可能となる。ここで個々のLED(32)は点光源であるが、複数並べたことにより、直線状に延びる広い範囲での配光が可能となり、また、LEDは有機EL(21)と比べて指向性も高い。
前記[8]に記載の照明装置(10)によれば、第1光源(20)であるパネル状の有機EL(21)は、発光しない時は透明であり、透視可能なものもある。また、ケース本体(11)のうち、有機EL(21)の発光面(22)を表出させる底面側の開口と対向する上面側も開口させることで、第1光源(20)およびケース本体(11)は、これ自体が発光しない時は透視可能な窓状のものとなる。
そして、前記ケース本体(11)を、天井(3)に予め設けた開口ないし透明の窓部に合わせるように取り付ける。これにより、照明装置(10)を単なる発光手段としてだけではなく、サンルーフ等のような天井(3)における窓の一部としても活用することが可能となる。
本発明に係る照明装置によれば、乗客のいる客室内に対しては、有機ELにより眩しさを抑制した柔らかい光で照明することができる一方、天井の隅に対しては他の光源より指向性の高い光で明るく照明することができ、有機ELと他の光源のそれぞれの特長を生かして乗物の客室内における最適な照明を実現することができる。
本発明の第1実施の形態に係る照明装置の一端部を拡大して示す端面図である。 本発明の第1実施の形態に係る照明装置の一端部を拡大して示す斜視図である。 本発明の第1実施の形態に係る照明装置の取り付け状態を概略的に示す断面図である。 本発明の第1実施の形態に係る照明装置の取り付け状態を含む鉄道車両の客室内を概略的に示す断面図である。 本発明の第1実施の形態に係る照明装置の照射範囲を模式的に示す端面図である。 本発明の第2実施の形態に係る照明装置のユニットを拡大して示す端面図である。 本発明の第3実施の形態に係る照明装置のユニットを拡大して示す端面図である。 本発明の第4実施の形態に係る照明装置のユニットを拡大して示す端面図である。
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜図5は、本発明の第1実施の形態を示している。
図1に示すように、照明装置10は、有機EL21をパネル状に加工した第1光源20と、この第1光源20を保持し有機EL21の発光面22を下方の客室2内へ向けた状態で天井3に取り付けるケース本体11と、有機EL21とは別の光源から成る第2光源30とを有している。以下、鉄道車両1における客室2内の天井3に配置した例を説明する。
第1光源20は、平面視で長手方向に延びる長方形のパネル状に有機EL21を加工したものである。ここで有機EL21には、一般的には照明用とディスプレイ用のものがあり、照明用では文字や絵柄を表示することができない。以下、ディスプレイ用のものを例に説明する。有機EL21にて、下方を向く底面側は、後述のケース本体11で縁取りされる発光面22となっている。なお、有機EL21は、自ら光るため、バックライトで照らす液晶よりも薄いパネル状に加工することができる等の特長がある。
詳しく言えば、ディスプレイ用の有機EL21は、透明なパネル基板上に、陽極(アノード)と陰極(カソード)をマトリクス状に配置し、各電極が交差する部位に、各色に発光する有機化合物を含む薄い膜(発光層)を挟んで構成されている。ここで各電極に電圧を印加することにより、有機化合物が各色に発光し、この発光の3原色の加法混色によりフルカラー表示が可能となる。
有機EL21の駆動方式には、大別して2つの方式があり、画素(ピクセル)毎に制御して表示するアクティブマトリクス型と、行ないし列方向を制御して交差する点を発光制御するパッシブマトリクス型とがある。何れもマトリクス制御方式であり、水平ないし垂直方向の制御が交差した画素を光らせる点は共通するが、パッシブマトリクス型は、構造が簡易であり、アクティブマトリクス型は、高発光効率と高画質を得ることができる。
このような有機EL21は、パネル状に形成することが容易であるため、面発光を可能とし、均等拡散に近い配光となり、直接視野に入っても眩しさを感じることは少ない。また、有機EL21は、点灯していない、すなわち何も表示していない時は透明であり、有機EL21を通して向こう側を透視することができる。
また、有機EL21の発光面22は、単に発光させるだけでなく、例えば電車の停車駅や経路の案内情報、その他各種広告等の様々な各種情報をカラー表示することができる。なお、有機EL21の側端には、図示省略したが制御基板からの点灯制御の信号を授受するコネクタや電源用配線のためのコネクタ等が設けられる。
ケース本体11は、前記第1光源20を収納する底浅な箱状に形成されており、その底面側が、有機EL21の発光面22を表出させるように大きく開口している。ケース本体11の内側の空間は、前記第1光源20がちょうど収まる大きさ形状に合致している。ケース本体11は、前記第1光源20と同様に、平面視で客室2の長手方向に延びる長方形に形成されている。このようなケース本体11は、アルミニウム等の金属により形成することができる。
また、ケース本体11の長辺となる両側端に沿って、それぞれ第2光源30が設けられている。ここで第2光源30は、ケース本体11にて前記第1光源20から照射される光を遮らない位置に設けられており、後述するが、少なくとも天井3の隅に向けて直接光を照射するよう配置されている。
ケース本体11の両側端面12の上縁には、それぞれ側方へ所定幅で延出したフランジ13が設けられている。同様に、ケース本体11の両側端面12の下縁にも、それぞれ側方へ所定幅で延出したフランジ14が設けられている。ケース本体11の両側端にて、側端面12と上下のフランジ13,14に囲まれた空間が、第2光源30の配置スペースとなっている。
第2光源30は、その具体的な光源の種類は特に限定されないが、前記有機EL21の発光と比べて指向性が高い光を照射可能な別の光源から成り、具体的には例えば、LEDであることが好ましい。LEDは、小型であること、低消費電力であること、長寿命であること等の特長があり、前記有機EL21の発光と比べて指向性が高いだけでなく、光強度も強い。本実施の形態に係る第2光源30は、細幅状に延びる基板31上に、表面実装型のLEDチップ32を等間隔に複数配列させて固定したものである。
ここでLEDチップ32自体の構成は、一般的であるので詳細な説明は省略するが、基板31に対して直交する光軸を中心に所定角度の放射範囲で光を出射するタイプが用いられる。LEDチップ32の発光色は任意に選択できる。また、基板31の実装面上には、LEDチップ32が電気的に接続される配線回路が形成されている。なお、基板31の実装面上には、LEDチップ32を覆うように蛍光体層を積層しても良い。
図1に示すように、第2光源30のうち基板31が、前記ケース本体11の側端面12に対して、側方を向く状態に取り付けられている。ここで第2光源30は、ケース本体11において、前記第1光源20から照射される光を遮らない配置スペースより、少なくとも天井3の隅に向けて直接光を照射するように配置されている。
すなわち、ケース本体11の両側の第2光源30のうち、車両側壁寄りの一側端にある第2光源30は、天井3における直ぐ脇の面から隅となる側壁に向かい湾曲する部位まで直接光を照射し、当該部位に貼り付けられた広告4(図4参照)を照明することができる。一方、車両中央寄りの他側端にある第2光源30は、天井3における直ぐ脇の面からもう片側にある別の照明装置10に至る面まで直接光を照射する。
また、ケース本体11における下側のフランジ14は、第2光源30からの直接光のうち下方の客室2内へ向かう配光を遮る受け部となっている。これにより、第2光源30からの直接光は、天井3の直ぐ脇より隅に向けて照射されるが、客室2内へ向かうことはない。よって、図5に示すように、第2光源30の照射範囲は、前記第1光源20の客室2内への照射範囲とは重なることがない。
ケース本体11の両側端の配置スペースには、第2光源30を外側から覆うように、透明材質から成る保護カバー(図6参照)を装着しても良い。かかる保護カバーは、無色透明の他、有色透明であっても良く、あるいは光拡散剤を含有させて、保護カバーにより光を拡散させるようにしても良い。
その他、照明装置10は、第1光源20や第2光源30に点灯に必要な電力を供給する電源部のほか、それぞれの点灯を制御する制御基板を備えており、第1光源20や第2光源30に対して電気的に接続されている。一般に制御基板は、通常のCPU、RAM、ROM、インターフェース等から構成されたマイクロコンピュータから構成されている。また、制御基板には、外部より操作可能なスイッチ等も接続されている。
ここで制御基板は、第1光源20の点灯回路や第2光源30の点灯回路を備えている。第1光源20の点灯回路は、制御基板からの第1光源20に関する点灯制御の信号に基づき、電源部からの電圧を調整して第1光源20に出力し、有機EL21の点灯ないし表示内容を制御する。第2光源30の点灯回路は、制御基板からの第2光源30に関する点灯制御の信号に基づき、電源部からの電圧を調整してLEDチップ32に出力し、LEDチップ32の点灯を制御する。
次に、本第1実施の形態に係る照明装置10の作用について説明する。
図1に示すように、照明装置10は、鉄道車両1の客室2内の天井3に沿って前後方向に延びるように取り付ける。ここで照明装置10の全長は、任意の大きさに設計できるが、複数の照明装置10を一列に順次繋ぐことにより、個々の照明装置10をユニットとして、所望の長さに連ねることができる。
本実施の形態では、天井3の前後方向に延びる中心線を対称軸として、左右対称に2列に並ぶように照明装置10を配置している。これにより、客室2内を左右両側からバランス良く広範囲に照らすことができる。ここで左右の照明装置10は、それぞれ個別に点灯制御できるようにしても良い。あるいは、図示省略したが、横幅を大きく設計した1つの照明装置10を、天井3の中心線に沿って配置しても良い。
本照明装置10では、客室2内を照らす第1光源20の光源として、有機EL21を採用したことにより、その発光面22から下方の客室2内の全体に向けて、面発光による眩しさを抑制した柔らかい光を照射する。このような有機EL21による均等拡散に近い配光によれば、客室2内の乗客が不快な眩しさを感じることはなく、快適な照明環境を実現することができる。
また、有機EL21の発光面22は、前述したように単に発光させるだけでなく、例えば電車の停車駅や経路の案内情報、その他各種広告等の様々な各種情報をカラー表示しても良い。かかる有機EL21の表示内容として、他にも例えば、鉄道車両1の走行位置が市街地か郊外であるか等の外の景色や天気等の外部状況を表示しても良い。あるいは、運行時のイベント等に応じて、有機EL21の発光面22全体をイルミネーションのように発光調色しても面白い。
一方、客室2の天井3に対しては、前記有機EL21とは別の光源から成る第2光源30により、有機EL21の発光と比べて指向性が高い光を照射する。すなわち、前記有機EL21を下方に向けて保持するケース本体11の両側端には、第2光源30が設けられており、前記第1光源20では光が届かない天井3の隅まで、第2光源30によって明るく指向性の高い照明が可能となる。
これにより、天井3の隅に広告4がある場合には、この広告4を照明により明るく際立たせることが可能となり、いっそう広告効果を高めることができる。また、第2光源30によれば、天井3の隅にある広告4だけでなく、車両中央寄りを向く第2光源30により、天井3の中心線に沿って中吊り広告が設置されている場合には、この中吊り広告も同様に直接光で明るく照らして目立たせることができる。さらには、天井3の面全体を明るく照らすことが可能で、また、スクリーンに見立てた発光調色による様々な照明演出も可能となる。
特に第2光源30は、LEDチップ32を光源としたことにより、所望の明るさを低い電力消費で得られるばかりでなく、前記有機EL21の薄型化と相俟って装置全体をコンパクトに構成することができる。従って、照明装置10による乗客に対する圧迫感も少なく、客室2に合わせた照明装置10の自由度の高いデザインも可能となる。
また、図5に示すように、第2光源30は、ケース本体11にて第1光源20から照射される光を遮らない位置にあるから、照明装置10全体としての光の損失も防ぐことができる。さらに、第2光源30から出射された直接光のうち水平に延びる光軸より下向きの光の一部は、ケース本体11の下側のフランジ14から成る受け部によって遮られる。従って、第2光源30からの直接光が客室2内へ向かうことを防止することができ、第2光源30の照射範囲を、前記第1光源20の客室2内への照射範囲以外に容易に限定することができる。
図6は、本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態では、前記第2光源30および前記フランジ14に相当する受け部が、前記ケース本体11とは別体のユニット40に設けられており、該ユニット40ごと前記ケース本体11の両側端に後付けするように構成されている。
ユニット40は、長尺に延びており側方に開口した略コ字形の断面形状であり、その長手方向に延びる側壁41の上下端縁には、それぞれ側方に向って延出した上面壁42と下面壁43が形成され、下面壁43は受け部として側方により長く延出している。このようなユニット40は、アルミニウム等の金属や不燃性の合成樹脂により容易に一体成形することができる。
側壁41の内面に、予め前記第2光源30の基板31が取り付けられており、その外側には、透明材質から成る保護カバー44を取り付けても良い。ユニット40の上面壁42と下面壁43の内面のうち最奥とその開口側に、互いに上下に対向する一対のレール溝が2組設けられている。奥側のレール溝の間には、前記基板31の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合する状態で取り付けられ、開口側のレール溝の間には、保護カバー44の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合する状態で取り付けられる。
本実施の形態によれば、ケース本体11自体の構成は簡易化することができると共に、第2光源30等の取り付け部位に関してはデザインの自由度を高めることができる。なお、図示省略したがケース本体11は、第1実施の形態のものから上下のフランジ13,14を省いた簡易な底浅の箱形に構成することができる。
図7は、本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態では、第2光源30からの直接光の照射範囲を、その光軸より上下に亘る所定幅に狭める配光規制手段として、図示したように大きく湾曲した反射鏡61を備えている。かかる反射鏡61は、ケース本体11の両側端に後付けする別体のユニット50に設けられている。なお、反射鏡61は、その凹んだ頂部に第2光源30が配されるため、上下に分割したものを、それぞれ第2光源30を間にして組み合わせたり、あるいは凹んだ頂部の底に第2光源30を配置させても良い。
ユニット50は、前記第2実施の形態のユニット40と同様に、長尺に延びて側方に開口した略コ字形の断面形状であるが、側壁51と上面壁52と下面壁53は、それぞれ別の板材を組み合わせて成る。本ユニット50では、上面壁52および下面壁53は、同じ長さだけ側方に延出している。なお、第2光源30は、図中ではLEDチップ32のみから成るが、もちろん前記第1実施の形態と同様に構成しても良い。
本実施の形態によれば、配光規制手段としての反射鏡61によって、第2光源30からの直接光を、LEDチップ32の光軸より上下に亘る所定幅に狭めた狭角配光とすることができる。これにより、客室2内における眩しさを抑制することができる。なお、ユニット50の代わりに、前記第2実施の形態のユニット40を用いて構成したり、前記第1実施の形態のケース本体11の側端面12に直接取り付けるようにしても良い。反射鏡61と前述した受け部を組み合わせれば、より確実に第2光源30の照射範囲を前記第1光源20の客室2内への照射範囲以外に容易に限定することができる。
図8は、本発明の第4実施の形態を示している。
本実施の形態では、基本的には前記第3実施の形態と構成が共通するが、配光規制手段として、図示した所定形状のレンズ62を備えている。かかるレンズ62は、ケース本体11の両側端に後付けする別体のユニット50に設けられている。かかるレンズ62は、同一断面形状で長尺に延びるように一体に形成すると良い。
本実施の形態によれば、配光規制手段としてのレンズ62によって、第2光源30からの直接光を、LEDチップ32の光軸より上下に亘る所定幅に狭めた狭角配光とすることができる。これにより、前記第3実施の形態と同様に、客室2内における眩しさを抑制することができる。かかるレンズ62も、前述した受け部と組み合わせても良い。なお、前記第3実施の形態と同種の部位については同一符号を付し、重複した説明は省略する。
さらに、別の実施の形態として、前記照明装置10を鉄道車両1の客室2内の天井3における窓として活用することもできる。かかる場合、図示省略したが前記ケース本体11のうち、有機EL21の発光面22を表出させる底面側の開口と対向する上面側も開口させる。これにより、照明装置10自体としては、前記第1光源20の有機EL21の表裏を覆うものはなく、発光しない時は透明な窓ガラスのように機能する。
このようなケース本体11を、天井3に予め設けた開口ないし透明の窓部に合わせて取り付ける。ここで開口に関しては、天井3(の壁材)の一部をくり抜くように、ケース本体11に合致する形状に開口させて、当該部位にケース本体11を嵌め込むように取り付けると良い。このとき、ケース本体11の両側端にある第2光源30は、天井3の面に沿わせて隅まで直接光を照射できる配置とする。
あるいは、天井3の一部を予め強化ガラス等の透明材質により窓部として設けておき、この窓部の内側にケース本体11を重ねるように取り付けても良い。
何れの場合にせよ、照明装置10は単なる発光ないし表示の手段のみならず、有機EL21を発光させない時には、サンルーフ等のような天井3における窓の一部として活用することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば前記実施の形態では、鉄道車両1の客室内2の天井3に設置する例を説明したが、航空機や自動車等の他の乗物における客室内の間接照明に適用しても良い。
また、ケース本体11や第1光源20等の具体的な形状も図示した例に限定されることはない。また、第2光源30の配置は、必ずしもケース本体11の側端に限られることなく、前記第1光源20から照射される光を遮らない位置にて、少なくとも天井3の隅に向けて直接光を照射できれば良い。
さらに、第2光源30としてLEDを使用した例を説明したが、他に例えば小型電球等を使用しても良い。また、前記配光規制手段は、反射鏡やレンズに限定されるものではなく、他の狭角に配光可能な構成としても良い。
本発明に係る照明装置は、鉄道車両や航空機、自動車等の客室内の照明として幅広く利用することができる。
1…鉄道車両
2…客室
3…天井
4…広告
10…照明装置
11…ケース本体
12…側端面
13…フランジ
14…フランジ(受け部)
20…第1光源
21…有機EL
22…発光面
30…第2光源
31…基板
32…LEDチップ
40…ユニット
43…下面壁(受け部)
50…ユニット
61…反射鏡(配光規制手段)
62…レンズ(配光規制手段)

Claims (8)

  1. 乗物の客室内における天井に配置され、有機EL(エレクトロルミネッセンス)を光源として備えた照明装置において、
    前記有機ELをパネル状に加工した第1光源と、該第1光源を保持し有機ELの発光面を下方の客室内へ向けた状態で前記天井に取り付けるケース本体と、前記有機ELの発光と比べて指向性が高い光を照射可能な別の光源から成る第2光源とを有し、
    前記第2光源は、前記ケース本体にて前記第1光源から照射される光を遮らない位置に設けられ、少なくとも前記天井の隅に向けて直接光を照射することを特徴とする照明装置。
  2. 前記第1光源および前記ケース本体は、平面視で前記客室の長手方向に延びる長方形に形成され、前記ケース本体の長辺となる両側端に沿って、それぞれ側端より側方に向けて直接光を照射する状態に前記第2光源を設けたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記ケース本体の両側端の下側に、それぞれ側端より側方に延出して、前記第2光源からの直接光のうち下方の客室内へ向かう配光を遮る受け部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
  4. 前記ケース本体の両側端に、それぞれ前記第2光源からの直接光の照射範囲を、その光軸より上下に亘る所定幅に狭める配光規制手段を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
  5. 前記第2光源および前記受け部は、前記ケース本体とは別体のユニットに設けられ、該ユニットごと前記ケース本体の両側端に後付けすることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
  6. 前記第2光源および前記配光規制手段は、前記ケース本体とは別体のユニットに設けられ、該ユニットごと前記ケース本体の両側端に後付けすることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
  7. 前記第2光源は、細幅状に延びる基板上に複数並べて配列させたLED(発光ダイオード)から成ることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の照明装置。
  8. 前記第1光源であるパネル状の有機ELは、発光しない時は透明なものもあり、
    前記ケース本体のうち、有機ELの発光面を表出させる底面側の開口と対向する上面側も開口し、
    前記ケース本体を、前記天井に予め設けた開口ないし透明の窓部に合わせて取り付けることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の照明装置。
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