JP2016151503A - 配管構造および航空機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】航空機が備える配管構造10は、周囲の雰囲気の温度よりも高い温度の抽気が流れる配管11と、配管11の外周部を覆い、配管11からリークした抽気を流出させる複数の通気孔14を規定するカバー13と、複数の通気孔14の各々に対応する位置を通り、カバー13の外側の気体の温度または濃度に感応する線状のセンサ31と、を備えている。センサ31は、通気孔14に対応する位置から上方へと立ち上がる範囲R1,R2,R3を含む。
【選択図】図3
Description
航空機の軽量化のため、抽気配管は比較的薄肉に作られており、長期に亘る使用により亀裂や腐食が生じて抽気のリークが発生するおそれがある。
抽気配管からのリークを検知するために、抽気配管に結合する高周波放射を送信部から送って抽気配管沿いに伝搬させ、抽気配管の亀裂等から外部に伝搬した放射を受信し、評価することにより、リークを検知する装置が提案されている(特許文献1)。
リーク時には高温の抽気が流出する通気孔の位置は、熱の影響を受け易い部材に対向する位置を避けて定められている。しかしながら、亀裂や腐食の初期段階における小流量のリークが検知されずに、その後、亀裂や腐食の進展により、通気孔から流出する抽気の流量が増大してはじめてリークが検知されるとすれば、抽気のリークによる熱の影響がより広範囲に及ぶこととなる。
そして、本発明は、センサが、通気口に対応する位置から上方へと立ち上がる範囲を含むことを特徴とする。
ここで、2本のセンサを使用し、それらのセンサのうちの一方のセンサが、通気口に対応する位置で、配管の長さ方向に沿っている他のセンサと交差するように構成すると、上方へと立ち上がる範囲を含むように各センサを配線する場合と比べて、配線長を抑えつつリークの検知感度を向上させることができる。
そして、本発明は、センサが、通気口に対応する位置において曲げられることで、通気口から流出した流れに接触する表面積が拡大されていることを特徴とする。
そして、本発明は、センサが、カバーの外側に配置される外側部分と、外側部分から連続し、カバーの内側で通気孔に連通した空隙に達している内側部分と、を有することを特徴とする。
本発明の配管構造が、配管およびカバーとの間に介在する断熱材を備えている場合は、空隙が散在する断熱材に内側部分が接触しているように構成することができる。
本発明は、航空機の動力源であるエンジンまたは補助動力装置からの抽気が流れる配管構造に好適である。
〔第1実施形態〕
図1(a)に示す配管構造10は、航空機のエンジンからの抽気を空調装置や防氷装置等に供給する。
配管構造10は、航空機の主翼や胴体の内部に用意されたスペースに配置されており、主翼や胴体を構成する構造部材により支持されている。
本明細書において、「上」は鉛直方向の上方をいい、「下」は鉛直方向の下方をいうものとする。
また、本明細書において、「水平方向」は、地上に駐機された状態の航空機における水平方向をいうものとする。
リークセンサ30は、温度に感応する温度センサに相当する線状のセンサ31と、センサ31の電気抵抗に基づいてリークを検知するコントローラ32とを有している(図1(a))。
配管11の内部には、エンジンから取り出された高温の抽気が連続して流れる。その配管11を保温し、抽気の熱を配管11の内部に留めるため、配管11の外周部は、断熱材12(図1(b)および(c))により包囲されている。
断熱材12は通気性を有している。断熱材12としては、例えば、グラスウール、ウレタンフォーム等、種々のものを用いることができる。
カバー13としては、例えば、CFRP(carbon fiber reinforced plastic)等の複合材から形成されたものを用いることができる。カバー13が断面リング状に形成されていると、配管11に装着し易い。配管11およびカバー13は同心円状に配置される。
各通気孔14は、カバー13の円周上の1箇所に形成されている(図1(c))。
配管11の長さ方向の任意の箇所でかつ周方向の任意の箇所に生じた亀裂、腐食等の欠陥部からリークした抽気は、配管11の外周部とカバー13の内周部との間に位置する断熱材12を通り、欠陥部に近い通気孔14に到達し、その通気孔14を介して、カバー13の外側に配置された線状のセンサ31に向けて流出する。その抽気により、通気孔14に対向するセンサ31の部位31Aが昇温すると、センサ31の電気抵抗が変化するので、それに基づいてリークを検知することができる。
センサ31の幅(径)は、通気孔14の孔径よりも小さく、例えば数mmである。
センサ31としては、昇温されると電気的特性が変化して電気抵抗が変化するものを適宜に用いることができる。
熱の影響を受け易い部材としては、例えば、複合材(繊維強化樹脂)やアルミニウム合金から形成された部材が該当する。
ここで、通気孔14の周方向における位置は、通気孔14の向き、すなわち、通気孔14の孔軸がカバー13の基準位置(例えば図1(c)のT12)に対してなす角度(ローテーション)のことを意味している。本明細書においては、通気孔14の角度のことを、カバー13の横断面を時計の文字盤と見立てたときの「時」により示す場合がある。
ここで、図1(a)に(T12)を付した通気孔14のようにカバー13の上端(12時位置)に通気孔14が位置している場合は、図2(a)に実線矢印で示すように、通気孔14から孔軸方向に沿って上方へと流出したリーク流が、流量が小さくても浮力により誘導されることで、そのままセンサ31に到達する。そのため、センサ31を典型的な方法に従って配線すればよい。通気孔14(T12)に対応する位置では、図1(a)および図2(a)に示すように、センサ31がカバー13の長さ方向に沿って配線されている。
一方、図4(a)に示すように、通気孔14の各々に対応する位置において、配管11の軸線Aに対して傾斜した方向に配線することも許容される。その場合も、センサ31が通気孔14に対応する位置で上方へと立ち上がっている。
つまり、本実施形態が適用される配管11が延出する方向は、水平方向D0には限定されず、設置された配管11の姿勢は任意である。配管11が水平方向に対して傾いていれば、通気孔14のローテーションを問わず、通気孔14に対応する位置でセンサ31が立ち上がるように配線するとよい。
第2実施形態〜第6実施形態でも同様である。
図3(a)および(b)に示すように、流量が大きいリーク流(実線矢印F1)および流量が小さいリーク流(破線矢印F2)のいずれも、通気孔14の下端縁14Aよりも下方へは流れないとすると、カバー13の横断面の中心Xから通気孔14の下端縁14Aに向けて引いた直線L1よりも下方にはセンサ31を配線しなくてもよい。ここでは、余裕を見て直線L1よりも少し下方にまでセンサ31を配線している。
図3(a)に示すように、3時および9時位置よりも下方に位置する通気孔14から流出したリーク流は、3時および9時位置まではカバー13の外周部に沿って上昇する。その流出直後のリーク流によりセンサ31を効率よく昇温させるように、3時および9時位置よりも下方の範囲RLではセンサ31をカバー13の周方向に沿って配線することが好ましい。その範囲RLよりも上方では、リーク流はカバー13により進路を規制されずに鉛直方向に沿って浮上する。
直線L2は、図3(a)においては3時位置および9時位置でカバー13の直径に沿って引いた線L3に対する垂線であり、図3(b)においては、通気孔14の上端縁14Bでカバー13の直径に沿って引いた線L3に対する垂線である。図3(a)および(b)のいずれにおいても、余裕を見込んで直線L2よりも少し上方にまでセンサ31を配線している。
以上より、図3(a)および(b)に示す例では、直線L1と直線L2とがなす角度の範囲R1,R2が、センサ31を重点的に配置すべき範囲に該当する。
ここで、流量が大きいリーク流をセンサ31に確実に到達させるため、直線L1は、少なくとも通気孔14の上端縁14Bよりも下方、望ましくは下端縁14Aよりも下方に定める必要がある。
図4(a)に示すように、カバー13の長さ方向に通気孔14が並んでいる配管構造10の区間では、センサ31をカバー13の周りにほぼ螺旋状に配線することができる。
また、図4(b)に示すように、カバー13の上半分にセンサ31を重点的に配線することもできる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
以下の実施形態では、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。
第2実施形態も、第1実施形態と同様に、リーク流がセンサ31から逸れることによりリークが検知されないことへの方策を提供する。
第2実施形態では、センサ31に曲げ加工を施すことによりリーク流が流れる位置にセンサ31を重点的に配置している。それによって、リーク流に接触するセンサ31の表面積を拡大することでリーク流を捕捉する。
十字状に配線することにより、通気孔14に対応する位置でセンサ31を単にカバー13の長さ方向に沿って配線した場合と比べて、通気孔14から流出したリーク流がセンサ31に接触する表面積が拡大されている。センサ31の周囲の気体の流動や温度・圧力の変動等の外乱により、センサ31から逸れ易い小流量のリーク流であっても、通気孔14に対応する位置でセンサ31の表面積が拡大されている分、センサ31から逸らさずに捕捉することができる。これによってリークセンサ30による検知感度を向上させることができる。
さらに、十字を形成するセンサ31の上下方向に延びる区間316が、通気孔14に対応する位置から上方へと立ち上がっているので、第1実施形態と同様に、通気孔14から浮上するリーク流をセンサ31から逸らさずに捕捉することができる。
図5(b)とは異なり、センサ31がカバー13の長さ方向に沿って蛇行していてもよいが、図5(b)のように上下方向に沿ってセンサ31が蛇行していると、通気孔14に対応する位置から上方へとセンサ31が立ち上がっているので、第1実施形態と同様に、通気孔14から浮上するリーク流をセンサ31から逸らさずに捕捉することができる。
以上は、第3〜第6実施形態においても同様であり、第3〜第6実施形態のそれぞれの特徴を2本のセンサ31の両方に適用するのか、いずれか一方のみに適用するのかは、任意に選択することができる。
次に、図6を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、少量のリークを検知するために、カバー13の内側にセンサ31の一部を配置する。カバー13の内側には、配管11を包囲する断熱材12(図6(b))が存在している。
本実施形態では、断熱材12として、ガラス繊維から形成されたグラスウールや、樹脂材料から形成された連続気泡のフォーム(例えばウレタンフォーム)等、通気性を有するものを用いるものとする。
本実施形態に限らず、センサ31が断熱材12の表面に接触していてもよい。
そのため、カバー13の内側にセンサ31の一部を配置するにあたり、図6(c)に示すように、断熱材12の外周部とカバー13の内周部との間の隙間S2にセンサ31の内側部分314を通気孔14から差し込むことができる。隙間S2に拡散した抽気によりセンサ31の内側部分314が昇温するので、図6(a)および(b)に示した構成と同様の効果を得ることができる。
このようにカバー13の内側でほぼ全周に亘りセンサ31を配置していると、周方向に温度勾配が存在する場合であっても、隙間S2に配置された内側部分314の一部でもリークの検知に必要な温度にまで昇温することで、リークを検知することができる。
次に、図7を参照し、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態に係る配管構造は、周囲の風によるリーク検知感度の低下を避けるため、通気孔14から流出するリーク流に対して風を遮蔽する防風壁15(図7(a)および(b))を備えている。
配管構造の周囲の風は、例えば、配管設置スペースの換気や、当該スペース内の温度勾配や圧力勾配などによる気体の流動であり、リーク流の当初の向きを規定する通気孔14の孔軸方向に対して交差する向きに流れている。
その風の向きに従って、特に小流量のリーク流がセンサ31から逸れてしまうことを防ぐため、防風壁15は、通気孔14が形成されたカバー13の表面から突出している。
本実施形態によれば、配管構造の周囲の風F3,F4を防風壁15により遮蔽することにより、流量が小さいリーク流をもセンサ31に到達させることができるので、配管11に発生したリークを確実に検知することができる。
また、防風壁15は、リーク流の流れに影響を及ぼすために遮蔽したい風の向きに応じて必要な位置に設ければよく、通気孔14の片側だけに設けることもできる。
カバー13の上下方向に沿って上向きあるいは下向きに風が流れる場合は、通気孔14の上方あるいは下方に位置する防風壁を設けることができる。例えば、図7(c)に示すように、側壁161および上壁162を備えるように、防風壁16を形成することができる。
防風壁16は、カバー13に設けることもできるし、センサ31に設けることもできる。
第4実施形態は、第1実施形態および第2実施形態で説明した各構成と適宜に組み合わせることができる。
例えば、図7(d)に示すように、防風壁15,15の間で、第1実施形態と同様に、通気孔14に対応する位置から上方へと立ち上がるようにセンサ31を配線するとよい。
次に、図8を参照し、本発明の第5実施形態について説明する。
第5実施形態に係る配管構造は、通気孔14から流出したリーク流をセンサ31へと案内するガイド部材17を備えている。
図8(a)および(b)に示す例では、センサ31が、カバー13の表面に対して所定の間隔をおいて、カバー13の長さ方向に沿って配線されている。また、センサ31は、図5(b)を参照して説明したように通気孔14に対応する位置で蛇行するように折り曲げられている。これに限らず、例えば、図5(a)、(c)、および(d)に示すような他の形態を作用することができる。
このガイド部材17は、主として、浮力の影響により浮上するリーク流に対応する。ガイド部材17は、リーク流が逸れずにセンサ31に確実に到達するように、カバー13の表面から、少なくともセンサ31の位置まで突出していることが好ましい。本実施形態のガイド部材17は、通気孔14を横切るセンサ31を超える位置まで突出している。
したがって、浮力の影響を受け易い小流量のリーク流をも確実に検知することができる。
ガイド筒18は、通気孔14を包囲し、カバー13の表面から突出している。センサ31は、ガイド筒18の壁を厚み方向に貫通するように配線されている。
通気孔14から流出したリーク流は、ガイド筒18の壁により浮上が規制されつつ、ガイド筒18の軸線方向に沿ってセンサ31まで案内される。
ガイド筒18を用いると、浮力の影響による他、周囲の気体の流動等の外乱によりリーク流がセンサ31から逸れることも避けることができる。
ガイド部材17およびガイド筒18がカバー13の表面から突出する向きは、通気孔14の孔軸に沿った向きに限らない。ガイド部材17およびガイド筒18が、孔軸に対して傾斜する向きに突出していてもよい。
配管11とカバー13との間に断熱材12を介在させることは必須ではない。図9に示すように、配管11の外周部がカバー13により直接覆われている場合でも、上記の第1〜第3実施形態で説明したセンサ31の配線の手法や、第4〜第5実施形態で説明した、配管構造に用いるデバイス(防風壁、ガイド部材)が適合する。
図9に示す配管11の外周部とカバー13の内周部との間の隙間S2に、第3実施形態(図6)で示すようにセンサ31の一部(内側部分314)を配置すれば、第3実施形態と同様の効果が得られる。
また、本発明は、航空機に限らず、各種の産業プラントに装備される配管構造に適用することもできる。
11 配管
12 断熱材
13 カバー
14 通気孔(通気口)
14A 下端縁
14B 上端縁
15 防風壁
16 防風壁
17 ガイド部材
17A 外周縁
18 ガイド筒
30 リークセンサ
31 センサ
31A 部位
32 コントローラ(検知部)
161 側壁
162 上壁
311 センサ
312 センサ
313 外側部分
314 内側部分
315 区間
316 区間
A 軸線
D0 水平方向
F3,F4 風
P1 起点
S1 空隙
S2 隙間
X 中心
Claims (10)
- 周囲の雰囲気の温度よりも高い温度の気体が流れる配管と、
前記配管の外周部を覆い、前記配管からリークした前記気体を流出させる複数の通気口を規定するカバーと、
複数の前記通気口の各々に対応する位置を通り、前記カバーの外側の気体の温度または濃度に感応する線状のセンサと、を備え、
前記センサは、
前記通気口に対応する位置から上方へと立ち上がる範囲を含む、
ことを特徴とする配管構造。 - 2本の前記センサが用いられ、
それらの前記センサのうちの一方の前記センサが、
前記通気口に対応する位置で、前記配管の長さ方向に沿っている他方の前記センサと交差している、
ことを特徴とする請求項1に記載の配管構造。 - 周囲の雰囲気の温度よりも高い温度の気体が流れる配管と、
前記配管の外周部を覆い、前記配管からリークした前記気体を流出させる複数の通気口を規定するカバーと、
複数の前記通気口の各々に対応する位置を通り、前記カバーの外側の気体の温度または濃度に感応する線状のセンサと、を備え、
前記センサは、
前記通気口に対応する位置において曲げられることで、前記通気口から流出した流れに接触する表面積が拡大されている、
ことを特徴とする配管構造。 - 周囲の雰囲気の温度よりも高い温度の気体が流れる配管と、
前記配管の外周部を覆い、前記配管からリークした前記気体を流出させる複数の通気口を規定するカバーと、
複数の前記通気口の各々に対応する位置を通り、前記気体の温度または濃度に感応する線状のセンサと、を備え、
前記センサは、
前記カバーの外側に配置される外側部分と、
前記外側部分から連続し、前記カバーの内側で前記通気孔に連通した空隙に達している内側部分と、を有する、
ことを特徴とする配管構造。 - 前記配管および前記カバーとの間に介在する断熱材を備え、
前記内側部分は、
前記空隙が散在する前記断熱材に接触している、
ことを特徴とする請求項4に記載の配管構造。 - 前記通気口から流出した前記気体の流れに影響する前記カバーの外側の気体の流れを遮蔽する防風壁を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の配管構造。 - 前記センサに向けて前記通気口から流出した前記気体をガイドするガイド部材を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の配管構造。 - 前記配管と前記カバーとの間に介在する断熱材を備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の配管構造。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の配管構造を備える、
ことを特徴とする航空機。 - 前記配管を流れる前記気体は、
前記航空機の動力源であるエンジンまたは補助動力装置からの抽気である、
ことを特徴とする請求項9に記載された航空機。
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