以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る冷凍システムについて図1〜図3を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る冷凍システムは、第1吸着器1、第2吸着器2、凝縮器3および蒸発器4が順次環状に配管接続されて、冷媒を循環させる吸着式の冷凍サイクルを備える。第1、第2吸着器1、2は、それぞれ、冷却されたときに気体状態の冷媒(気体冷媒、冷媒蒸気)を吸着すると共に加熱されたときに冷媒を脱離する吸着材が充填された第1、第2吸着コア1a、2aを収容している。
なお、本実施形態では、本発明の冷凍システムを、車両用空調装置や定置式の空調装置の冷凍能力を得る吸着式冷凍システム(冷凍機)に適用しているが、本発明の冷凍システムを、車両用冷凍または冷蔵装置や定置式の冷凍または冷蔵装置の冷凍能力を得る吸着式冷凍システム(冷凍機)に適用しても良い。また、凝縮器3で熱交換した流体(熱交換媒体)を車両用暖房装置や定置式の暖房装置または給湯装置の熱源として利用しても良い。
また、本実施形態では、加熱媒体(温水)、冷却媒体(冷却水)および熱交換媒体(冷水)として、水にエチレングリコール系の不凍液を混合した流体を使用しているが、不凍液を混合しない水等の流体を使用しても良い。本実施携帯では、気体状態の冷媒(冷媒蒸気)または液体状態の冷媒(液冷媒)として水蒸気または水を使用しているが、気体状態の冷媒または液体状態の冷媒としてアルコールまたはアルコール系の水溶液を使用しても良い。
本実施形態に係る冷凍システムは、吸着材が周囲の蒸気を吸着し、それにより、蒸発器4内の液体状態の冷媒(液体冷媒、液冷媒)が蒸発し、この蒸発時に蒸発器4内を流れる流体から熱を奪い冷水を発生するように構成されている。冷凍システムは、加熱媒体または冷却媒体を各第1、第2吸着器1、2内に供給する加熱媒体または冷却媒体供給手段と、冷却水を凝縮器3内に供給する冷却水供給手段と、熱交換媒体を蒸発器4内に供給する熱交換媒体供給手段と、上記の冷凍サイクルとで基本システムが構成され、通常運転時の冷媒、冷却が可能となっている。
本実施形態に係る冷凍システムでは、冷凍システムの運転停止時に冷凍サイクル内の冷媒を回収する冷媒タンク(冷媒回収部)5と、この冷媒タンク5内へ冷媒を戻す際に開弁する電磁開閉弁6および電磁均圧弁7とが組み込まれている。また、冷媒タンク5の内部には、冷凍サイクルへ冷媒を戻す際に通電制御される電気ヒータ8が設置されている。電磁開閉弁6、電磁均圧弁7および電気ヒータ8は、電磁弁駆動回路およびヒータ駆動回路等を含んで構成される空調ECU(Electronic Control Unit:制御ユニット)10によって制御されるように構成されている。
本実施形態に係る冷凍システムは、冷凍サイクル内の冷媒を冷媒タンク5に回収する冷媒回収制御を実行する冷媒回収手段と、各第1、第2吸着コア1a、2aから冷媒蒸気を脱離させる冷媒脱離制御を実行する冷媒脱離手段と、冷媒タンク5内の冷媒を冷凍サイクルに充填する冷媒充填制御を実行する冷媒充填手段と、冷水循環経路(熱交換媒体循環経路)を流れる冷水の温度(図1中の符号T1を参照)を検出するための冷水温度検出手段(熱交換媒体温度検出手段)と、冷却水循環経路(冷却媒体循環経路)を流れる冷却水の温度(図1中の符号T2を参照)を検出するための冷却水温度検出手段(冷却媒体温度検出手段)とを備えている。そして、冷凍システムは、加熱媒体または冷却媒体供給手段、冷却水供給手段、熱交換媒体供給手段、冷媒回収手段、冷媒脱離手段、冷媒充填手段、冷水温度検出手段、および冷却水温度検出手段の動作は、冷凍サイクルの制御機器の駆動回路を含んで構成される空調ECU10によって制御されるように構成されている。
本実施形態に係る冷凍サイクルは、蒸発器4の第1、第2出口ポートから凝縮器3の入口ポートまで延びる気体(蒸気)冷媒配管と、凝縮器3の出口ポートから蒸発器4の入口ポートまで延びる液体冷媒配管とを備えている。図1に示すように、気体冷媒配管は、蒸発器4から第1、第2吸着器1、2を経て凝縮器3へ冷媒蒸気を供給する気体冷媒供給経路であって、蒸発器4の第1出口ポートから第1吸着器1の入口ポートへ冷媒蒸気を供給する供給配管11と、第1吸着器1の出口ポートと第1合流部とを結ぶ供給配管12と、蒸発器4の第2出口ポートから第2吸着器2の入口ポートへ冷媒蒸気を供給する供給配管13と、第2吸着器2の出口ポートと第2合流部とを結ぶ供給配管14と、第1合流部および第2合流部から凝縮器3の入口ポートへ冷媒蒸気を供給する供給配管15、16とを備えている。
供給配管11は、蒸発器4の第1出口ポートと第1吸着器1の入口ポートとを連通する第1流路管である。また、供給配管12、15、16は、第1合流部を介して、第1吸着器1の出口ポートと凝縮器3の入口ポートとを連通する第1流路管である。供給配管13は、蒸発器4の第2出口ポートと第2吸着器2の入口ポートとを連通する第2流路管である。また、供給配管14は、第2合流部を介して、第2吸着器2の出口ポートと凝縮器3の入口ポートとを連通する第2流路管である。液体冷媒配管は、凝縮器3から蒸発器4へ液冷媒を供給する液体冷媒供給経路であって、凝縮器3の出口ポートと蒸発器4の入口ポートとを連通して、凝縮器3から蒸発器4へ液冷媒を供給する供給配管18等を備えている。
供給配管11の途中には、蒸発器4側の圧力が所定値(第1吸着器1側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(以下、逆止弁という)21が設置されている。この逆止弁21は、蒸発器4から第1吸着器1へ向かう冷媒の流通を許可すると共に、供給配管11内を第1吸着器1から蒸発器4へ向かう冷媒の逆流を阻止する。供給配管12の途中には、第1吸着器1側の圧力が所定値(凝縮器3側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(以下、逆止弁という)22が設置されている。この逆止弁22は、第1吸着器1から凝縮器3への冷媒の流通を許可すると共に、供給配管12内を凝縮器3から第1吸着器1へ向かう冷媒の逆流を阻止する。
供給配管13の途中には、蒸発器4側の圧力が所定値(第2吸着器2側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(以下、逆止弁という)23が設置されている。この逆止弁23は、蒸発器4から第2吸着器2へ向かう冷媒の流通を許可すると共に、供給配管13内を第2吸着器2から蒸発器4へ向かう冷媒の逆流を阻止する。供給配管14の途中には、第2吸着器2側の圧力が所定値(凝縮器3側の圧力よりも高圧)以上に上昇した際に開弁する逆止弁構造の蒸気用バルブ(以下、逆止弁という)24が設置されている。この逆止弁24は、第2吸着器2から凝縮器3への冷媒の流通を許可すると共に、供給配管14内を凝縮器3から第2吸着器2へ向かう冷媒の逆流を阻止する。
逆止弁21〜24は、内部に流路孔(弁孔)が形成されたバルブシート(弁座)を有するハウジングと、流路孔を開閉するバルブと、このバルブを閉弁方向に付勢するスプリングとを備えている。逆止弁21〜24は、第1、第2吸着器1、2、凝縮器3および蒸発器4の圧力差により開閉が行われ、冷凍サイクル内の冷媒の流れをコントロールする。
第1吸着器1は、内部に第1吸着コア1aを収納するケース(容器)であり、第2吸着器2は、内部に第2吸着コア2aを収納するケース(容器)である。第1吸着器1の入口ポートは、蒸発器4の第1出口ポートに供給配管11を介して接続されている。また、第1吸着器1の出口ポートは、凝縮器3の入口ポートに供給配管12、15、16を介して接続されている。第2吸着器2の入口ポートは、蒸発器4の第2出口ポートに供給配管13を介して接続されている。また、第2吸着器2の出口ポートは、凝縮器3の入口ポートに供給配管14、15、16を介して接続されている。
第1、第2吸着コア1a、2aは、それぞれ、加熱媒体または冷却媒体が流通する複数のチューブ、これらのチューブの一端が接合されて加熱媒体または冷却媒体の分配および集合を行うヘッダタンク、および各チューブの表面に接合された多数のフィン等を有する周知の熱交換器と、この熱交換器のチューブおよびフィン等の熱交換部の表面に接着された多数の吸着材とによって構成されている。吸着材は、冷却されることによって冷媒蒸気を捕捉(吸着)すると共に、加熱されることによって吸着していた冷媒を解離(脱離)する捕捉材を構成している。
本実施形態に係る冷凍システムでは、吸着材として、例えば、骨格が酸化アルミニウム、リン酸、酸化珪酸からなるものや、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭を採用している。ここで、第1、第2吸着コア1a、2aに加熱媒体を供給することで、第1、第2吸着コア1a、2aの吸着材に吸着していた冷媒が脱離し、蒸気として放出される。なお、冷凍システム内に残される冷媒量を考慮し、第1、第2吸着コア1、2の吸着材量は、それぞれ、最小限で全て吸着が可能な量に調整されることが望ましい。
凝縮器3は、第1、第2吸着コア1a、2aの吸着材から脱離した冷媒蒸気を冷却することによって、冷媒蒸気を凝縮して液化させる冷媒凝縮手段である。凝縮器3の天部には、凝縮器3の上面で開口した入口ポートが形成されており、また、凝縮器3の底部には、凝縮器3の底面で開口した出口ポートが形成されている。この凝縮器3の入口ポートは、第1吸着器1の出口ポートおよび第2吸着器2の出口ポートに供給配管12、14〜16を介して接続されている。また、凝縮器3の出口ポートは、蒸発器4の入口ポートに供給配管18を介して接続されている。また、凝縮器3の内部には、冷却水供給手段から冷却水が循環供給される熱交換器(熱交換チューブ)25が収容されている。これにより、凝縮器3に供給された冷媒蒸気は、熱交換器25で冷却されることで凝縮し、液冷媒となって一時的に凝縮器3の重力方向最下部に貯留され、その後に蒸発器4へ戻る。
蒸発器4は、第1、第2吸着コア1a、2aが、冷媒蒸気を吸着し、冷媒が蒸発して気化した時の蒸発潜熱により冷凍能力(冷却能力)を発揮する。蒸発器4の側部下方には、蒸発器4の側面で開口した入口ポートが形成されており、また、凝縮器3の天部には、凝縮器3の上面で開口した第1、第2出口ポートが互いに所定の距離を隔てて形成されている。この蒸発器4の入口ポートは、凝縮器3の出口ポートに供給配管18を介して接続されている。また、蒸発器4の第1出口ポートは、第1吸着器1の入口ポートに供給配管11を介して接続されている。また、蒸発器4の第2出口ポートは、第2吸着器2の入口ポートに供給配管13を介して接続されている。また、蒸発器4の内部には、熱交換媒体供給手段から冷水が循環供給される熱交換器(熱交換チューブ)26が収容されている。これにより、蒸発器4内の液冷媒が蒸発する時に熱交換器26を流れる熱交換媒体(流体)から熱を奪い、冷水を発生させている。
ここで、第1、第2吸着コア1a、2aを加熱する加熱媒体としては、例えば温水水槽から供給される温水を使用している。また、第1、第2吸着コア1a、2aを冷却する冷却媒体としては、例えば冷却水水槽から供給される冷却水を使用している。また、凝縮器3内の冷媒蒸気を冷却する冷却媒体としては、例えば空冷の放熱器から供給される冷却水を使用している。また、冷媒が蒸発した時の蒸発潜熱により冷却される熱交換媒体としては、車両用空調装置または定置式の空調装置の室内熱交換器100と蒸発器4との間を循環する冷水を使用している。ところで、室内熱交換器100は、空調風の通路を形成する空調ダクト101内に配設され、空調ダクト101の空気流方向の上流側には、送風機102が設置されている。なお、温水、冷却水および冷水は、いずれも水にエチレングリコール系の不凍液を混合した流体が使用される。
次に、本実施形態における加熱媒体または冷却媒体供給手段の詳細を図1に基づいて説明する。加熱媒体または冷却媒体供給手段は、第1吸着コア1aの吸着材または第2吸着コア2aの吸着材を加熱する温水を第1吸着器1または第2吸着器2に循環供給する温水循環経路(加熱媒体循環経路)と、第1吸着コア1aの吸着材または第2吸着コア2aの吸着材を冷却する冷却水を第1吸着器1または第2吸着器2に循環供給する冷却水循環経路と、温水循環経路と冷却水循環経路とを切り替える経路切替手段とを備えている。図1に示すように、冷却水循環経路は、冷却水導入管103、冷却水水槽104、冷却水導出管105によって構成されている。経路切替手段は、第1吸着コア1aの入口配管または第2吸着コア2aの入口配管と温水循環経路の温水導入管または冷却水循環経路の冷却水導入管103とを切り替える電磁切替弁(以下第1四方弁)27と、第1吸着コア1aの出口配管または第2吸着コア2aの出口配管と温水循環経路の温水導出管または冷却水循環経路の冷却水導出管105とを切り替える電磁切替弁(以下第2四方弁)28とを備えている。
本実施形態に係る冷凍システムでは、第1、第2四方弁27、28が共に第1位置に設定されると、冷却水が第1吸着コア1aを流れ、温水が第2吸着コア2aを流れる第1モードが形成される(図1の状態)。また、第1、第2四方弁27、28が共に第2位置に設定されると、温水が第1吸着コア1aを流れ、冷却水が第2吸着コア2aを流れる第2モードが形成される。第1、第2四方弁27、28は、空調ECU10によって通電制御される。
第1、第2四方弁27、28が、それぞれ図1の実線位置に設定されると、第1吸着コア1aと冷却水循環経路が接続されると共に、第2吸着コア2aと温水循環経路が接続される。これにより、冷却水循環経路を流れる冷却水が第1吸着コア1aの内部に直接供給されて、第1吸着コア1aの吸着材が冷却される。また、温水循環経路を流れる温水が第2吸着コア2aの内部に直接供給されて、第2吸着コア2aの吸着材が加熱される。
また、第1、第2四方弁27、28が、それぞれ図1の破線位置に設定されると、第1吸着コア1aと温水循環経路が接続されると共に、第2吸着コア2aと冷却水循環経路が接続される。これにより、温水循環経路を流れる温水が第1吸着コア1aの内部に直接供給されて第1吸着コア1aの吸着材が加熱される。また、冷却水循環経路を流れる冷却水が第2吸着コア2aの内部に直接供給されて第2吸着コア2aの吸着材が冷却される。
なお、加熱媒体または冷却媒体供給手段は、電力の供給を受けて温水循環経路内に温水流を発生させる押し込み式の電動温水ポンプ31と、電力の供給を受けて冷却水循環経路内に冷却水流を発生させる押し込み式の電動冷却水ポンプ32とを備えている。電動温水ポンプ31および電動冷却水ポンプ32は、いずれも、モータ駆動式のウォータ(流体)ポンプであって、空調ECU10によって通電制御される。なお、電動温水ポンプ31および電動冷却水ポンプ32は、いずれも、空調ECU10による通電制御によって、可変速運転(モータの回転数の増減速)が可能となっている。
次に、本実施形態における冷却水供給手段および熱交換媒体供給手段の詳細を図1に基づいて説明する。冷却水供給手段は、放熱器から凝縮器3内の熱交換器25に冷却水を循環供給する冷却水循環経路と、電力の供給を受けて冷却水循環経路内に冷却水流を発生させる押し込み式の電動冷却水ポンプ33とを備えている。熱交換器25および電動冷却水ポンプ33は、凝縮器3内の冷媒を冷却する冷媒冷却手段を構成している。
熱交換媒体供給手段は、室内熱交換器から蒸発器4内の熱交換器26に冷水を循環供給する冷水循環経路と、電力の供給を受けて冷水循環経路内に冷水流を発生させる押し込み式の電動冷水ポンプ34とを備えている。電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34は、いずれもモータ駆動式のウォータポンプであって、空調ECU10によって通電制御される。なお、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34は、いずれも、空調ECU10による通電制御によって、可変速運転(モータの回転数の増減速)が可能となっている
図1に示すように、本実施形態に係る冷凍システムは、上記の基本システムの他に、冷媒タンク5、電磁開閉弁6、電磁均圧弁7および電気ヒータ8を備えている。蒸発器4は、その重力方向最下部(蒸発器4の底面)が、凝縮器3の重力方向最下部(凝縮器3の底面)よりも重力方向下方に位置するように配置されている。
次に、本実施形態における冷媒タンク5の詳細を図1に基づいて説明する。
冷媒タンク5は、冷凍サイクルよりも重力方向の下方に位置するように設置されている。具体的には、冷媒回収制御が完了した際の液冷媒面が、蒸発器4の底面よりも重力方向下方に位置するように冷媒タンク5が配置されている。冷媒タンク5は、冷凍システムの運転停止時に液冷媒を貯留するリキッドタンクであって、冷凍サイクル内の冷媒を所定量回収可能な冷媒貯留部36を有している。この冷媒貯留部36は、冷媒タンク5の重力方向最下部である底面上に設けられる。なお、冷媒タンク5は、冷媒蒸気を含む冷媒を所定量貯蔵可能な内容積を有している。これにより、冷媒貯留部36に回収された冷媒の液面レベルよりも上方には、冷媒蒸気が滞留する気相空間が形成される。
なお、本実施形態に係る冷凍システムにおいて、冷媒タンク5の冷媒貯留部36の代わりに、凝縮器3の冷媒貯留部19を、冷凍システムの運転停止時に冷凍サイクル内の冷媒を回収するリキッドタンクとして代用する構成としても良い。
次に、本実施形態における冷媒回収手段、冷媒脱離手段および冷媒充填手段の詳細を図1に基づいて説明する。なお、冷媒回収手段および冷媒充填手段が冷媒回収充填手段を構成する。
冷媒回収手段は、供給配管18、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7と、第1、第2四方弁27、28、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34等の制御機器と、供給配管18の重力方向最下部と冷媒タンク5とを連通する配管(第1連通管)41と、冷媒タンク5と蒸発器4とを連通する配管(第2連通管)42とを備えている。冷媒脱離手段は、供給配管11〜16、供給配管18、第1、第2四方弁27、28、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34を備えている。冷媒充填手段は、供給配管18、電磁開閉弁6、電磁均圧弁7および電気ヒータ8と、第1、第2四方弁27、28、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34等の制御機器と、配管41と、配管42とを備えている。
配管41は、凝縮器3から流出した液冷媒を冷媒タンク5の冷媒貯留部36に供給する第1冷媒回収経路、および蒸発器4から流出した液冷媒を冷媒タンク5の冷媒貯留部36に供給する第2冷媒回収経路を構成する。第1冷媒回収経路は、凝縮器3の底面(出口ポート)に連通する供給配管18内に形成される流路、配管41内に形成される流路とによって構成されている。また、第2冷媒回収経路は、蒸発器4の底面(入口ポート)に連通する供給配管18内に形成される流路、配管41内に形成される流路とによって構成されている。なお、配管42内には、冷媒タンク5内の気相空間と蒸発器4内の気相空間とを連通する均圧流路が形成されている。
配管41の途中には、電力の供給を受けると開弁する常閉型の電磁開閉弁(第1開閉弁)6が設置されている。電磁開閉弁6は、内部に流路孔(配管41内に形成される流路に連通する弁孔)が形成されたバルブシート(弁座)を有するハウジングと、流路孔を開閉するバルブと、このバルブを閉弁方向に付勢するスプリングと、バルブを開弁方向に駆動する電磁アクチュエータとを備えている。この電磁アクチュエータは、通電されると磁力を発生するコイルを有するソレノイド等により構成されている。電磁開閉弁6のバルブは、ソレノイドのコイルが通電(オン)されると、バルブシートより離脱して弁孔を開放(全開)する。また、電磁開閉弁6のバルブは、ソレノイドのコイルへの通電が停止(オフ)されると、バルブシートに着座して弁孔を閉鎖(全閉)する。
配管42の途中には、電力の供給を受けると開弁する常閉型の電磁均圧弁(第2開閉弁)7が設置されている。電磁均圧弁7は、内部に流路孔(配管42内に形成される流路に連通する弁孔)が形成されたバルブシート(弁座)を有するハウジングと、流路孔を開閉するバルブと、このバルブを閉弁方向に付勢するスプリングと、バルブを開弁方向に駆動する電磁アクチュエータとを備えている。この電磁アクチュエータは、通電されると磁力を発生するコイルを有するソレノイド等により構成されている。電磁均圧弁7のバルブは、ソレノイドのコイルが通電(オン)されると、バルブシートより離脱して弁孔を開放(全開)する。また、電磁均圧弁7のバルブは、ソレノイドのコイルへの通電が停止(オフ)されると、バルブシートに着座して弁孔を閉鎖(全閉)する。なお、電磁均圧弁7が開弁されると、蒸発器4の内部圧力と冷媒タンク5の内部圧力とが均圧化される。
電気ヒータ8は、電力の供給を受けて冷媒タンク5内の冷媒を加熱する冷媒加熱手段である。この電気ヒータ8は、冷凍システムの運転開始時に、冷媒タンク5内の冷媒を加熱することで、冷媒タンク5内の圧力を蒸発器4内の圧力よりも高くする。このように、冷媒タンク5内の圧力が蒸発器4内の圧力よりも高くなると、液冷媒が圧力に押されて冷媒タンク5から蒸発器側へ流出して圧力の低い蒸発器4内へ流れ込む。電磁開閉弁6、電磁均圧弁7および電気ヒータ8は、空調ECU10によって通電制御される。
なお、本実施形態に係る冷凍システムにおいて、電気ヒータ8の代わりに、加熱媒体または冷却媒体供給手段から温水または冷却水等の熱交換媒体(流体)が循環供給される熱交換器9が収容された構成としても良い。この熱交換器9は、冷凍サイクルの運転開始時に、冷媒タンク5内の圧力を蒸発器4内の圧力よりも高くするという目的で、冷媒タンク5の冷媒貯留部36内に回収された冷媒を加熱する冷媒加熱手段である。このような構成とした場合、電気ヒータ8の代わりに、冷凍システムの第1、第2吸着コア1a、2aに流す温水または冷却水を利用して液冷媒を加熱し、冷媒タンク5内の圧力を蒸発器4内の圧力よりも高くすることで、冷媒充填制御時の消費電力を低減することができる。
次に、本実施形態における冷媒回収手段、冷水温度検出手段および冷却水温度検出手段の詳細を図1に基づいて説明する。
冷水温度検出手段は、上記したように、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を検出するためのものであり、ここでは、冷水循環経路を流れる冷水の温度を検出する冷水温度センサ50によって構成されている。冷水温度センサ50は、検出部としてのサーミスター、ハウジング、熱伝導や振動からサーミスターを保護する役割を果たすシリコングリースなどで構成された水温センサであり、冷水循環経路に備えられている。冷水温度センサ50は、空調ECU10に接続され、電圧が印加されており、冷水循環経路を流れる冷水の温度の変化をサーミスターの抵抗値の変化として検知し、その検知結果として信号を空調ECU10に送信する。ここで、冷水循環経路を流れる冷水の温度と蒸発器4の温度は実質的に同一であるため、本実施形態では、上記した冷水温度検出手段を設けて冷水の温度を検出することによって、蒸発器4の温度を検出することができる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、冷水温度検出手段(冷水温度センサ50)は、冷水循環経路における蒸発器4内、または、蒸発器4内よりも上流側かつ室内熱交換器100よりも下流側に配置されている。
冷却水温度検出手段は、上記したように、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度T2を検出するためのものであり、ここでは、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ60によって構成されている。すなわち、本実施形態では、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度を検出し、該温度を第1、第2吸着器1、2のうちの一方の温度の目安として検出する。冷却水温度センサ60は、検出部としてのサーミスター、ハウジング、熱伝導や振動からサーミスターを保護する役割を果たすシリコングリースなどで構成された水温センサであり、冷却水循環経路に備えられている。冷却水温度センサ60は、空調ECU10に接続され、電圧が印加されており、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度の変化をサーミスターの抵抗値の変化として検知し、その検知結果として信号を空調ECU10に送信する。ここで、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度と、第1、第2吸着器1、2のうち冷却水が流される側の一方(結露の原因となる吸着器)の温度は実質的に同一であるため、本実施形態では、上記した冷却水温度検出手段を設けて冷却水の温度を検出することによって、第1、第2吸着器1、2のうち冷却水が流される側の一方の温度を検出することができる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、冷却水温度検出手段(冷却水温度センサ60)は、冷却水循環経路における第1、第2吸着器1、2よりも上流側かつ冷却水水槽104よりも下流側の冷却水導入管103に配置されている。
空調ECU10には、制御処理や演算処理を行うCPU、各種プログラムおよび各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー回路、カウンタ等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。そして、液面レベルセンサからのセンサ出力信号や、各種センサ(冷水温度センサ50、冷却水温度センサ60など)からのセンサ出力信号、更に、各種スイッチからのスイッチ信号は、A/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
ここで、マイクロコンピュータの入力部には、液面レベルセンサだけでなく、室内温度(内気温)センサ、室外温度(外気温)センサ、温水温度センサ、冷水温度センサ50、および冷却水温度センサ60等が接続されている。また、マイクロコンピュータの入力部には、少なくとも運転スイッチや温度設定スイッチが接続されている。空調ECU10、特にマイクロコンピュータは、冷媒回収手段の動作を制御する冷媒回収制御手段、冷媒脱離手段の動作を制御する冷媒脱離制御手段および冷媒充填手段の動作を制御する冷媒充填制御手段の機能を含んで構成されている。
空調ECU10は、運転スイッチがONされると、冷凍システムの各制御機器(機能部品)の動作を制御する。冷凍システムの運転開始時に、冷媒充填制御を実行する場合、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、33および電動冷水ポンプ34を運転(オン)して、冷凍システムの通常運転を実行する。このとき、空調ECU10は、所定の周期で、第1、第2四方弁27、28のオン、オフを繰り返すON−OFF切替制御を実行する。空調ECU10は、冷凍システムの運転開始時に、冷媒タンク5内の冷媒を冷凍サイクルへ充填する冷媒充填制御を実行する。空調ECU10は、運転スイッチがOFFされると、冷凍システムの各制御機器の運転が停止される。このとき、第1、第2吸着コア1a、2aの吸着材から冷媒を脱離させる冷媒脱離制御を実行する。そして、冷媒脱離制御の後に、冷凍サイクル内の冷媒を冷媒タンク5に回収する冷媒回収制御を実行する。
次に、本実施形態に係る冷凍システムの制御方法を図1〜図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図2および図3の制御ルーチンは、冷凍システムの通常運転中に、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
[冷媒回収時]
空調ECU10は、図2の制御ルーチンが起動するタイミングになると、先ず、運転スイッチがOFFされたか否かを判定する、つまり冷凍システムの運転が停止したか否かを判定する(ステップS1)。このステップS1の判定結果がNOの場合には、ステップS1の判定処理を繰り返す。あるいは図2の制御ルーチンを抜ける。また、ステップS1の判定結果がYESの場合には、第1、第2吸着コア1a、2aの冷媒脱離制御を開始する(ステップS2)。このとき、空調ECU10は、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34を運転(ON)する。また、電動冷却水ポンプ32および電気ヒータ8を停止(OFF)する。また、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を共にOFFして閉弁する。また、第1、第2四方弁27、28を所定の周期でON、OFFを繰り返す。
次に、空調ECU10は、第1、第2吸着コア1a、2aの冷媒脱離制御を開始してから予め決められた設定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS3)。あるいは第1、第2四方弁27、28の切換え回数が予め決められた設定切換え回数(設定値)を越えたか否かを判定しても良い。この場合、第1、第2四方弁27、28の切換え回数をカウンタでカウントし、そのカウント値が設定値を越えたか否かを判定する。このステップS3の判定結果がNOの場合には、ステップS3の判定処理を繰り返す。また、ステップS3の判定結果がYESの場合には、冷媒回収制御を開始する(ステップS4)。このとき、空調ECU10は、電動温水ポンプ31および電動冷却水ポンプ33を運転(ON)する。また、電動冷却水ポンプ32、電動冷水ポンプ34および電気ヒータ8を停止(OFF)する。また、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を共にONして開弁する。また、第1、第2四方弁27、28に対してON−OFF切替制御を行う。
次に、空調ECU10は、冷媒回収制御が完了しているか否かを判定する。例えば冷媒回収制御を開始してから予め決められた冷媒回収時間が経過しているか否かを判定する(ステップS5)。このステップS5の判定結果がNOの場合には、ステップS5の判定処理を繰り返す。なお、冷媒タンク5内に設置した液面レベルセンサによって検出される冷媒タンク5の液面レベルが設定値を越えた段階で、冷媒回収制御が完了していると判断しても良い。また、ステップS5の判定結果がYESの場合には、冷凍システムの機能部品を停止(OFF)する(ステップS6)。その後に、図2の制御ルーチンを抜ける。このとき、空調ECU10は、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、電動冷却水ポンプ33、電動冷水ポンプ34および電気ヒータ8を全てOFFする。また、第1、第2四方弁27、28、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を全てOFFする。
[冷媒充填時]
空調ECU10は、図3の制御ルーチンが起動するタイミングになると、運転スイッチがONされたか否かを判定する、つまり冷凍システムの運転が開始されたか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11の判定結果がNOの場合には、ステップS11の判定処理を繰り返す。あるいは図3の制御ルーチンを抜ける。ここで、空調ECU10は、運転スイッチがONされると、上述したように、先ず、通常運転が開始される。すなわち、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32、33および電動冷水ポンプ34を運転(オン)する。また、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を共にオフして閉弁する。また、第1、第2四方弁27、28に対してON−OFF切替制御を行う。
ステップS11の判定結果がYESの場合には、空調ECU10は、冷水温度検出手段および冷却水温度検出手段の検出結果に基づいて、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度T2が冷水循環経路を流れる冷水の温度T1以上となっているか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、本実施形態では、空調ECU10は、冷却水温度センサ60によって検出された冷却水(冷却水循環経路を流れる冷却水)の温度T2と、冷水温度センサ50によって検出された冷水(冷水循環経路を流れる冷水)の温度T1とを比較して、前者の温度が後者の温度以上であるか否かを判定する。すなわち、前者の温度が後者の温度以上である場合には、冷却水の温度(第1、第2吸着器1、2のうち冷却水が流される側の一方の温度)T2が冷水の温度T1(蒸発器4の温度)以上となっていると判定し、前者の温度が後者の温度未満である場合には、冷却水の温度T2が冷水循環経路を流れる冷水の温度T1未満となっていると判定する。なお、検出結果の誤差等を考慮し、前者の温度が後者の温度よりも所定温度(空調ECU10の記憶装置に予め記憶された正の所定温度)以上に大きい場合にのみ、冷却水の温度T2が冷水の温度T1以上となっていると判定するようにしても良い。
ステップS11の段階では、冷却水の温度T2が冷水の温度T1以上となっている場合もあれば、冷却水の温度T2が冷水の温度T1未満になっている場合もある。後者のようなる状況としては、例えば、冷凍システムが暖かい場所に設置されており、冷却水水槽104が低温外気の環境に設置されている場合などの状況がある。
ステップS12の判定結果がYESの場合には、空調ECU10は、冷媒充填制御を開始する(ステップS13)。このとき、空調ECU10は、電気ヒータ8を運転(ON)し、電磁開閉弁6をONして開弁し、且つ電磁均圧弁7をOFFして閉弁する。また、空調ECU10は、タイマーをスタートさせる。このタイマーは、空調ECU10の制御によって充電時間の経過を計測および管理するためのものである。
また、ステップS12の判定結果がNOの場合には、ステップS12の判定処理を繰り返すので、冷媒充填が禁止される。
冷媒充填制御を開始した後に、空調ECU10は、タイマーの計測時間が所定時間(空調ECU10の記憶装置に予め記憶された所定時間)を経過したか否かを判定する(ステップS14)。具体的には、本実施形態では、空調ECU10は、タイマーの計測時間と、空調ECU10の記憶装置に予め記憶された所定時間(例えば、15分)とを比較して、計測時間が所定時間以上となっているか否かを判定する。
ステップS14の判定結果がNOの場合には、空調ECU10は、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度T2が冷水循環経路を流れる冷水の温度T1以上となっているか否かを判定する(ステップS15)。この判定については、ステップS12の場合と同様である。
ステップS15の判定結果がYESの場合には、空調ECU10は、電動冷却水ポンプ32および電動冷水ポンプ34の出力レベルを上げる(ステップS16)。具体的には、空調ECU10は、電動冷却水ポンプ32および電動冷水ポンプ34におけるモータの回転数を増速させる。なお、このとき、電動冷却水ポンプ32および電動冷水ポンプ34のうちの一方におけるモータの回転数を増速させるようにしても良い。ステップS16の処理の後、再度、ステップS14の判定処理に戻る。
また、ステップS14の判定結果がYESの場合には、冷媒充填制御を終了する(ステップS17)。その後に、図3の制御ルーチンを抜ける。このとき、空調ECU10は、電気ヒータ8をOFFする。また、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を共にOFFする。
なお、本実施形態では、タイマーの計測時間が所定時間を経過したか否かの判定(ステップS14)に基づいて、冷媒充填制御を終了させるようにしているが(ステップS18)、他の判定に基づいて冷媒充填制御を終了させるようにしても良い。例えば、冷媒タンク5内に設置した液面レベルセンサによって検出される冷媒タンク5の液面レベルが設定値以下となった段階で、冷媒充填制御を終了させるようにしても良い。
ステップS15の判定結果がNOの場合には、空調ECU10は、電動冷水ポンプ34、および送風機102の出力レベルを下げる(ステップS18)。具体的には、空調ECU10は、電動冷水ポンプ34におけるモータの回転数を減速させ、送風機102の羽根車の回転速度を減速させる。このように、電動冷水ポンプ34、および送風機102の出力レベルを下げることにより、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を低下させることができる。すなわち、このとき、電動冷水ポンプ34、および送風機102は、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を低下させる冷水温度低下手段(熱交換媒体温度低下手段)として機能する。これにより、実質的に蒸発器4の温度を下げることができ、蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合に生じる結露の発生をより抑制することができる。
また、このように、蒸発器4の温度を低下させることにより、冷媒タンク5側の圧力が蒸発器4側よりも高くなるため、本実施形態に係る冷凍システムにおいて、電気ヒータ8を省略した場合でも、冷媒を冷媒タンク5から蒸発器側へ流出させて蒸発器4内へ流れ込ませることができる。
なお、蒸発器4の温度を大幅に低下させるために、電動冷水ポンプ34、および送風機102の出力レベルを最低レベルまで下げるようにすることが好ましい。ただし、電動冷水ポンプ34、および送風機102のうち1つまたは2つのみについての出力レベルを下げるようにしても良い。
そして、ステップS18の処理の後、再度、ステップS14の判定処理に戻る。
以上で説明したように、本実施形態に係る冷凍システムでは、空調ECU10が、冷水温度検出手段(冷水温度センサ50)および冷却水温度検出手段(冷却水温度センサ60)の検出結果に基づいて、冷媒充填手段(電気ヒータ8、電動冷却水ポンプ32、電動冷却水ポンプ33など)の動作を制御する。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは、蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合には、冷媒充填手段を動作させないで、第1、第2吸着器1、2の温度が蒸発器4の温度以上でなったときに冷媒充填手段を動作させて冷凍サイクル内に冷媒を充填させることができる。
特に、本実施形態に係る冷凍システムでは、空調ECU10が、冷凍サイクル内に冷媒を充填する際において、冷水温度検出手段(冷水温度センサ50)および冷却水温度検出手段(冷却水温度センサ60)の検出結果に基づいて、冷却水の温度T2が冷水の温度T1以上であると判定したときに、冷凍サイクル内への冷媒の充填を開始させ、冷却水の温度T2が冷水の温度T1未満であると判定している間は冷凍サイクル内への冷媒の充填を開始させない制御を行う。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは、第1、第2吸着器1、2のうち冷却水循環経路と繋がっている方の吸着器側の温度が、蒸発器4側の温度に比べて低い場合に生じる結露の発生を、高精度に抑制することができる。これは、第1、第2吸着器1、2のうち冷却水循環経路と繋がっている方の吸着器側の温度は、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度に強く影響され、蒸発器4側の温度は、冷水循環経路を流れる冷水の温度に強く影響されるからである。
また、本実施形態に係る冷凍システムでは、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を低下させる冷水温度低下手段(34,102)が備えられ、空調ECU10は、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度が冷水循環経路を流れる冷水の温度未満であると判定したときに、冷水温度低下手段によって蒸発器の温度を低下させる。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合に生じる結露の発生をより抑制することができる。また、蒸発器4の温度を低下させることにより、冷媒タンク5側の圧力が蒸発器4側よりも高くなるため、電気ヒータ8を省略した場合でも、冷媒を冷媒タンク5から蒸発器側へ流出させて蒸発器4内へ流れ込ませることができる。
次に、本実施形態に係る冷凍システムの運転開始時および運転停止時における作動を図1〜図3に基づいて簡単に説明する。
本実施形態に係る冷凍システム内(システム系内)は、不凝縮ガスが排出され、冷凍サイクル内に充填された冷媒の飽和蒸気圧になっている。ここで、冷凍システムの通常運転時、第1、第2吸着コア1a、2aのうちの一方の吸着コアに、電動温水ポンプ31によって温水を供給し、吸着コアを加熱することにより、吸着コアの吸着材に吸着していた冷媒が脱離し、蒸気(冷媒蒸気)として放出する。
このとき、放出された蒸気は、逆止弁22または逆止弁24の開閉によって凝縮器3へ供給され、凝縮器3内で、熱交換器25を流れる冷却水と熱交換して冷却される。蒸気冷媒は、凝縮し、液冷媒となって蒸発器4へ戻る。一方、蒸気を放出した吸着コアは、周りの蒸気を吸着し、それにより蒸発器4内の液冷媒が蒸発し、その蒸発時に内部を流れる冷水から熱を奪い冷凍能力を発揮する。以上のように、本実施形態に係る冷凍システムは、通常運転時には、第1吸着器1を脱離工程(第1吸着コア1aを加熱して吸着材に吸着されていた蒸気冷媒を脱離させる工程)として、第2吸着器2を吸着工程(第2吸着コア2aを冷却して蒸気冷媒を吸着材に吸着させる)とする第1運転モードと、第1吸着器1を吸着工程(第1吸着コア1aを冷却して蒸気冷媒を吸着材に吸着させる)とし、第2吸着器2を脱離工程(第2吸着コア2aを加熱して吸着材に吸着されていた蒸気冷媒を脱離させる工程)とする第2運転モードとを所定時間毎に切り替えて作動する。
空調ECU10は、運転スイッチのOFFによって冷凍システムの運転停止信号が入力されると、先ず、図2の制御ルーチンに示した冷媒脱離制御を実行する。このとき、空調ECU10は、第1、第2吸着コア1a、2aへ温水のみを断続的に流すように第1、第2四方弁27、28に対してON−OFF切替制御を行うと共に、電動温水ポンプ31をONして、第1、第2吸着コア1a、2aの吸着材が吸着している冷媒を脱離させて気体状態にする。また、空調ECU10は、電動冷却水ポンプ32のみをOFFし、電動冷却水ポンプ33および電動冷水ポンプ34をONすることにより、吸着材から脱離した冷媒蒸気を凝縮器3で冷却して凝縮させる。そして、凝縮器3内で凝縮した液冷媒は、供給配管18を通って蒸発器4へ戻される。その後に、空調ECU10は、冷媒脱離制御が完了したと判断したら、第1、第2四方弁27、28に対してON−OFF切替制御を行うと共に、電動温水ポンプ31、電動冷却水ポンプ32および電動冷水ポンプ34をOFFし、且つ電動冷却水ポンプ33をONすることにより、冷媒回収制御が実行される。冷媒回収制御の開始時に、電磁開閉弁6および電磁均圧弁7を共にONして開弁することにより、蒸発器4内の圧力と冷媒タンク5内の圧力とを同一圧力にする。
ここで、本実施形態に係る冷凍システムでは、凝縮器3の底面(重力方向最下部)よりも低い位置に蒸発器4の底面(重力方向最下部)が配置されている。また、蒸発器4の底面よりも低い位置に冷媒タンク5に回収し終わった液冷媒面が来るように配置されている。これにより、冷凍サイクル内の冷媒をヘッド差で、冷媒タンク5へ回収することが可能となる。このとき、凝縮器3に一時的に貯留された液冷媒は、凝縮器3の出口ポートから供給配管18→分岐部→配管41→冷媒タンク5の出入口ポートを通って冷媒貯留部36に回収される。一方、蒸発器4に一時的に貯留された液冷媒は、蒸発器4の出口ポートから供給配管18→分岐部→配管41→冷媒タンク5の出入口ポートを通って冷媒貯留部36に回収される。その後、空調ECU10は、冷媒回収制御が完了したと判断したら、冷凍システムの全ての制御機器(機能部品)をOFFする。
空調ECU10は、運転スイッチのONによって冷凍システムの運転(起動)信号が入力されると、つまり冷媒回収後に再度冷凍システムの運転が開始されると、図3の制御ルーチンに示した冷媒充填制御が実行される。空調ECU10は、電磁開閉弁6をONして開弁すると共に、冷媒タンク5内の圧力を蒸発器4内の圧力よりも高くするため、電気ヒータ8をONする。このとき、電磁均圧弁7は、OFFして閉弁される。電気ヒータ8によって冷媒タンク5内に貯蔵されている液冷媒が加熱されることにより、冷媒タンク5内の圧力が蒸発器4内の圧力よりも高くなる。すると、冷媒タンク5内の冷媒は、冷媒タンク5の気相空間内の圧力に押されて、冷媒タンク5の出入口ポートから流出して配管41および供給配管18を通って圧力の低い蒸発器4内へ流れ込み、冷却能力が発生する。その後、空調ECU10は、冷媒充填制御が完了したと判断したら、電磁開閉弁6、電磁均圧弁7および電気ヒータ8をOFFする。
ここで、本実施形態に係る冷凍システムでは、特許文献1に記載の冷凍システムと同様、冷凍システムの運転停止時に冷凍サイクル内の冷媒を回収するための冷媒タンク5と、冷凍サイクル内から冷媒タンク5へ冷媒を戻す際に開弁する電磁開閉弁6と、蒸発器4内の圧力と冷媒タンク5内の圧力との均圧化を図るために冷凍サイクル内から冷媒タンク5へ冷媒を戻す際に開弁する電磁均圧弁7と、冷凍システムの運転開始時に冷媒タンク5から冷凍サイクルへ冷媒を戻す際に冷媒タンク5内の圧力を蒸発器4内の圧力よりも高くするために冷媒タンク5内の冷媒を加熱する電気ヒータ8とを備え、冷凍サイクルの運転停止中には冷媒を冷媒タンク5に保管することができるようになっている。つまり、本実施形態に係る冷凍システムにおいても、冷凍サイクルの運転停止後に、冷凍サイクル内の冷媒を冷媒タンク5に回収することによって、冷凍サイクル内を冷媒が存在しない状態とし、再度運転が開始された後に、冷媒タンク5に回収された冷媒を冷凍サイクル内に充填することができる。したがって、本実施形態に係る冷凍システムにおいても、冷媒タンク5に回収された冷媒を冷凍サイクル内に充填する際における第1、第2吸着器1、2での結露の発生が抑制される。
上記のように、本実施形態に係る冷凍システムは、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を検出するための冷水温度検出手段(冷水温度センサ50)と、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度T2を検出するための冷却水温度検出手段(冷却水温度センサ60)と、冷凍システムの運転停止時に冷媒回収手段の動作を制御すると共に、冷水温度検出手段および冷却水温度検出手段の検出結果に基づいて、冷媒充填手段の動作を制御する制御手段(空調ECU10)とを有する。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは、蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合には、冷媒充填手段を動作させないで、第1、第2吸着器1、2の温度が蒸発器4の温度以上でなったときに冷媒充填手段を動作させて冷凍サイクル内に冷媒を充填させることができる。
特に、本実施形態に係る冷凍システムでは、空調ECU10が、冷凍サイクル内に冷媒を充填する際において、冷水温度検出手段(冷水温度センサ50)および冷却水温度検出手段(冷却水温度センサ60)の検出結果に基づいて、冷却水の温度T2が冷水の温度T1以上であると判定したときに、冷凍サイクル内への冷媒の充填を開始させ、冷却水の温度T2が冷水の温度T1未満であると判定している間は冷凍サイクル内への冷媒の充填を開始させない制御を行う。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは、蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合に生じる結露の発生を高精度に抑制することができる。
また、本実施形態に係る冷凍システムでは、冷水循環経路を流れる冷水の温度T1を低下させる冷水温度低下手段(34,102)が備えられ、空調ECU10は、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度が冷水循環経路を流れる冷水の温度未満であると判定したときに、冷水温度低下手段によって蒸発器の温度を低下させる。
このため、本実施形態に係る冷凍システムでは蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合に生じる結露の発生をより抑制することができる。また、蒸発器4の温度を低下させることにより、冷媒タンク5側の圧力が蒸発器4側よりも高くなるため、電気ヒータ8を省略した場合でも、冷媒を冷媒タンク5から蒸発器側へ流出させて蒸発器4内へ流れ込ませることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、冷媒充填時のステップS18(図3を参照)において、蒸発器温度低下手段(電動冷水ポンプ34、送風機102)によって蒸発器4の温度を下げるようにしていた。ここで、第1実施形態に係る冷凍システムにおいて、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度を上昇させる冷却水温度上昇手段(冷却媒体温度上昇手段)を設けて、冷媒充填時のステップS18において、冷却水温度上昇手段によって、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度を上昇させるようにしても良い。これによって、第1、第2吸着器1、2のうち冷却水が流される側の一方の温度を上昇させることができ、蒸発器4の温度が高く、第1、第2吸着器1、2の温度が低い場合に生じる結露の発生をより抑制することができる。冷却水温度上昇手段としては、例えば、電気ヒータ8のような空調ECU(Electronic Control Unit:制御ユニット)10によって制御されるヒータを用いることができる。また、冷却水温度上昇手段を冷却水水槽104内に設けることで、冷却水温度上昇手段が冷却水水槽104内の冷却能力を制御するようになっていてもよい。このようにしても、冷却水水槽104の冷却水温を上昇させることにより、冷却水循環経路を流れる冷却水の温度を上昇させることができる。
なお、第1、第2四方弁27、28による流路の切り替え時間、すなわち、第1モードと第2モードとの間の切り替えを行うまでの時間を、最初は短く、切り替えの回数を重ねるごとに長くなるようにしても良い。