JP2016150900A - メラニン産生抑制用の皮膚外用剤 - Google Patents

メラニン産生抑制用の皮膚外用剤 Download PDF

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宮田  智
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一郎 土黒
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Abstract

【課題】高い美白効果を有する製剤の提供。【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物又はその塩と、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類とを含む、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤。(式中、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表し、は一重結合又は二重結合を表す。)【選択図】図7

Description

本発明は、美白成分を併用した、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤に関する。
美白化粧品の市場は年々拡大を続けている。より高い効果を持つ美白成分の開発が求められており、新規美白成分の研究・開発が様々な化粧品メーカーや研究機関で行われている。メラニンは皮膚や毛の色を決定する高分子色素であり、紫外線から皮膚を保護する重要な役割を持つ。しかし、表皮中のメラニン量の増加・蓄積は色素沈着の原因となる。メラニンの生成には様々な要因が関係しているが、その中でもチロシナーゼは主要な働きをすることが知られている。
チロシナーゼは酸化還元酵素であり、動植物における様々な色素形成反応を触媒する。例えば、紫外線照射を受けた皮膚のメラノサイトでは、チロシンが出発物質となり、チロシナーゼの働きによってドーパ、そしてドーパキノンが生成され、これがさらに酸化反応を経て最終的にメラニン色素が生成される。このメラニン生成反応の初期段階で機能するチロシナーゼ活性を阻害することがメラニン生成の抑制につながる。メラニンの過剰蓄積がシミやそばかす等の皮膚褐変を引き起こすことから、様々なチロシナーゼ活性阻害剤がそのメラニン産生抑制作用に基づいて医薬品や化粧料に用いられている。例えば、チロシナーゼ活性阻害作用を有するリン酸アスコルビルマグネシウムやアスコルビン酸グルコシドなどのアスコルビン酸誘導体は、美白用途で多くの化粧料等に配合されている。
甘草(Glycyrrhiza glabraなど)に含まれるグラブリジン(CAS No.59870−68−7)はメラニン生成酵素であるチロシナーゼを阻害することが明らかになっており(非特許文献1)、化粧料において美白成分として使用されている。α−アルブチン(4−ヒドロキシフェニル−α−D−グルコピラノシド,CAS No.84380−01−8)及びβ−アルブチン(4−ヒドロキシフェニル−β−D−グルコース,CAS No.497−76−7)も、メラニン生成酵素であるチロシナーゼを阻害することが明らかになっており(非特許文献2)、化粧料に美白成分として使用されている。しかし効果の高い美白用化粧料の開発はなおも求められている。
ところで、モノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エノイル)グリセロール(以下、MGPAとも称する)は、低い粘度を有し、かつ水性媒体中でII型(油中水型)の非ラメラ液晶を形成できる化合物として報告されている(特許文献1)。MGPAと水から形成される液晶を含む皮膚外用剤は、ビタミンC誘導体など生理活性成分の経皮浸透促進性や保湿性に優れることも明らかになっている(特許文献2)。しかしMGPAの他の用途はまだ十分に知られていない。
MGPAやグラブリジンは油溶性であるため、化粧水などの水分の多い剤型には高配合することが一般に困難である。アルブチンは酸化されやすく、それを配合した皮膚外用剤は変色しやすいという欠点がある(特許文献3)。そこで、これらの成分については、少ない配合量でもより効果の高い製品の開発が求められている。
国際公開WO2011/078383号 特開2012−17318号公報 特開昭61−210010号公報
Yokota T. et al.,Pigment Cell Res.,(1998)11, p.355−361 Funayama M. et al., Biosci.Biotech.Biochem.(1995) 59, p.143−144
本発明は、高い美白効果を有する製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、MGPAをはじめとするある種の非ラメラ液晶化合物とグラブリジン等のチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類の美白成分を併用することにより、美白について相乗効果をもたらすことができ、たとえ少ない配合量でも美白効果を顕著に高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]下記一般式(I)で表される化合物又はその塩と、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類とを含む、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤。
Figure 2016150900
(式中、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表し、
Figure 2016150900
は一重結合又は二重結合を表す。)
[2]前記式中、nは2を表す、上記[1]に記載の皮膚外用剤。
[3]上記化合物がモノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エノイル)グリセロールである、上記[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
[4]前記フェノール類が、単環フェノールである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[5]前記フェノール類が、グラブリジンである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[6]前記フェノール類が、α−アルブチン又はβ−アルブチンである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[7]上記化合物又はその塩を0.001〜0.5重量%の濃度で含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[8]前記フェノール類を0.001〜0.5重量%の濃度で含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[9]美白用化粧料である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
[10]美白用医薬である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の皮膚外用剤。
本発明によれば、有効成分の併用によって皮膚細胞におけるメラニン産生を相乗的に抑制することができる。
図1は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03%MGPA及びD:0.1%MGPA)、グラブリジン(GB)単独(E)、MGPAとGBの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図2は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03%MGPA及びD:0.1%MGPA)、α−アルブチン(αAB)単独(E)、MGPAとαABの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図3は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03%MGPA及びD:0.1%MGPA)、β−アルブチン(βAB)単独(E)、MGPAとβABの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図4は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03%MGPA及びD:0.1%MGPA)、コウジ酸(KA)単独(E)、MGPAとKAの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図5は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03%MGPA及びD:0.1%MGPA)、L−アスコルビン酸−2−グルコシド(AA2G)単独(E)、MGPAとAA2Gの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図6は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(A)、並びに溶媒のみ(B)、MGPA単独(C:0.03% MGPA及びD:0.1%MGPA)、リン酸L−アスコルビルマグネシウム(VCPMG)単独(E)、MGPAとVCPMGの併用(F及びG)により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン産生状態を位相差顕微鏡で撮影した写真を示す。 図7は薬剤処理前(0日目,無処理)のメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル、並びに溶媒のみ、MGPA単独、各既存美白成分単独、MGPAと各既存美白成分の併用により17日間処理したメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデル(17日目)におけるメラニン量の測定結果を示すグラフである。なお図中のアスタリスク(*)はMGPAと各種既存美白成分との併用により、各薬剤単独処理による効果を足し合わせた相加効果を超える相乗的なメラニン産生抑制効果が示された試料を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を有効成分として含む、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤に関する。本発明において非ラメラ液晶化合物とは、水性媒体(水、緩衝液など)中で非ラメラ液晶を形成可能な化合物を意味する。
1.非ラメラ液晶化合物
本発明の皮膚外用剤に含まれる非ラメラ液晶化合物として、下記一般式(I):
Figure 2016150900
(式中、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表し、
Figure 2016150900
は一重結合又は二重結合を表す。)で表される化合物又はその塩を用いることができる。より好ましい実施形態では、前記式中、nは2を表す。
一般式(I)で表される化合物の例として、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016150900
一般式(II)中、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。
一般式(I)で表される化合物の別の例として、下記一般式(III)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016150900
一般式(III)中、nは0〜2の整数(好ましくは、1又は2)を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。
一般式(I)で表される化合物のさらに別の例として、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016150900
一般式(IV)中、nは0〜2の整数(好ましくは、1又は2)を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表す。
なお本発明において、上記一般式中の表記:
Figure 2016150900
は当該化合物が幾何異性体のE体(シス体)若しくはZ体(トランス体)又はそれらの混合物であることを意味する。
以上の非ラメラ液晶化合物によって形成される非ラメラ液晶は、キュービック液晶又は逆ヘキサゴナル液晶でありうる。非ラメラ液晶形成能は、常法により液晶構造を解析することによって確認することができる。偏光顕微鏡を用いたペネトレイション法では、I型キュービック液晶とII型キュービック液晶を容易に判別できる。またエックス線小角散乱(SAXS)測定により散乱ピークの比から、Ia3dキュービック液晶、Im3mキュービック液晶、逆ヘキサゴナル液晶を容易に判別することができ、またSAXSデータから算出したピークの値の逆数の比を求めることにより、容易に空間群と格子定数を決定することができる。
本発明では、一般式(I)で表される化合物又はその塩である、メラニン産生抑制作用を有する非ラメラ液晶化合物を用いる。このような化合物の特に好ましい例として、モノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エノイル)グリセロール(MGPA)が挙げられる。なおMGPAは上記一般式(III)で表される化合物の1つ(n=2、m=1)である。MGPAは後述の実施例1に記載のようにして合成することができる。好ましい化合物の別の例としては、モノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカノイル)グリセロール、モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカノイル)グリセロール、モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4−エノイル)グリセロール、モノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4,8,12−トリエノイル)グリセロール、モノO−(5,9,13,17−テトラメチルオクタデカ−4,8,12,16−テトラエノイル)グリセロールが挙げられる。本発明の皮膚外用剤は、上記のような非ラメラ液晶化合物を1つ(1種)又は2つ(2種)以上含んでもよい。本発明の皮膚外用剤は、皮膚に適用することにより、当該皮膚外用剤を適用しない場合と比較して、皮膚細胞、特にメラノサイトにおけるメラニン産生を有意に抑制することができる。本発明の一般式(I)で表される化合物の塩は、任意の塩であってよく、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属などの塩が挙げられる。本発明の一般式(I)で表される化合物の塩は、用途に応じて、化粧料又は医薬の製造上許容される塩、例えば、薬学上許容される塩であってよい。
本発明の非ラメラ液晶化合物は、後述の実施例の記載を参考にして合成することができる。あるいは、一般式(II)で表される化合物は、例えば、国際公開WO 2014/178256に記載された合成法に従って合成することができる。一般式(III)で表される化合物は、例えば、国際公開WO 2011/078383に記載された合成法に従って合成することができる。さらに、一般式(IV)で表される化合物は、例えば、国際公開WO 2006/043705に記載された合成法に従って合成することができる。合成された化合物については、NMR測定等の常法により、目的の化合物が得られたことを確認しておくことが好ましい。
2.チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類
本発明の皮膚外用剤に含まれるチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類は、チロシナーゼ阻害活性に基づく美白作用を有する。本発明において「フェノール類」とは、ベンゼン環を有する芳香族化合物であってベンゼン環上の置換基として1つ以上の水酸基(OH)を有する化合物をいう。一実施形態では、本発明におけるフェノール類は、ベンゼン環上の置換基として、1つ以上の水酸基に加えて他の置換基も有する芳香族化合物であってよく、例えばフェノール配糖体であってもよい。本発明におけるフェノール類は、単環フェノール(ベンゼン環を1つ有する)であっても多環フェノール(ベンゼン環を2つ以上有する)であってもよいが、単環フェノールがより好ましい。本発明におけるフェノール類は、一価又は二価フェノールであってもよいし、三価又はそれ以上のフェノールであってもよい。チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類は多数知られている。本発明においてチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類の好ましい例としては、グラブリジン、α-アルブチン、及びβ-アルブチンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の皮膚外用剤は、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を1つ(1種)又は2つ(2種)以上含んでもよく、例えば、グラブリジン、α-アルブチン、及びβ-アルブチンからなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。グラブリジンは甘草(Glycyrrhiza glabraなど)から単離することができる(非特許文献1)。α-アルブチンは化学的合成によって取得することができる(非特許文献2)。またβ-アルブチンはバラ科ナシ属(Pyrus communis)等から単離することができ、また化学的合成によって取得することもできる(例えば、特開昭62−263194号公報、特開平5−176785号公報)。
3.皮膚外用剤の他の成分
本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類に加えて、水性媒体を含んでもよい。水性媒体としては、特に限定するものではないが、滅菌水、精製水、蒸留水、イオン交換水、超純水などの水;生理的食塩水、塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液等の電解質水溶液;リン酸緩衝溶液やトリス塩酸緩衝溶液などの緩衝溶液;グリセリン、ブチレングリコール(例えば1,3ブチレングリコール)、エチレングリコール、エタノール等のアルコールをはじめとする水溶性有機化合物を含有する水溶液等が挙げられる。本発明の皮膚外用剤は、例えば、アルコールと水を含んでもよい。本発明の皮膚外用剤は、1種又は2種以上のアルコールを含んでもよく、例えば1,3ブチレングリコールとエタノールを含んでもよい。
本発明の皮膚外用剤は、油分(例えば、揮発性油分)を含んでもよいし、含まなくてもよい。油分としては医薬品又は化粧料において使用可能な油性成分、例えば、植物油、動物油、鉱物油、エステル油、シリコーン油、フッ素油等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類に加えて、医薬又は化粧料において使用可能な各種添加剤を含んでもよい。本発明の皮膚外用剤は、以下に限定されないが、例えば、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、油脂類、ロウ類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤等の成分を含むことができる。本発明の皮膚外用剤はまた、メラノサイトに対するメラニン産生抑制効果を阻害しない限り、他の生理活性成分を含んでもよい。例えば、本発明の皮膚外用剤は、より高い美肌効果を得るため、コラーゲンペプチド、ヒアルロン酸、セラミド、プラセンタエキス、ポリフェノール、乳酸菌エキス等の美肌作用を有する成分をさらに含んでもよい。
4.本発明の皮膚外用剤のメラニン産生抑制効果及びメラニン産生抑制方法
本発明の皮膚外用剤のメラニン産生抑制効果は、皮膚外用剤を皮膚モデルに適用して一定期間(例えば17日間)培養した後、皮膚モデル細胞に含まれるメラニン量を測定し、それらを適用していない無処理の皮膚モデルと比較して、メラニン量が有意に低減したことを確認することにより判定することができる。メラニン量の測定は、常法により行えばよく、例えば後述の実施例に記載の方法に従って行うことができる。メラニン量の測定はまた、例えば、皮膚モデルに適用して一定期間(例えば17日間)培養後の皮膚モデルの顕微鏡下観察画像について目視判定又は画像処理判定を行い、皮膚の黒化レベルの相対値を算出することにより行ってもよい。
本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類の相乗作用により、メラニン産生を顕著に抑制することができる。本発明において「相乗効果」とは、上記非ラメラ液晶化合物と上記フェノール類とを併用した場合のメラニン産生抑制レベルが、それぞれ単独で用いた場合のメラニン産生抑制レベルを単純に加算した相加効果を超えていることを意味する。相乗効果は、相加効果に対して典型的には5%以上高く、好ましくは8%以上高い。
その相乗効果により、本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物、及び/又はチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類の配合量を低減しても高いメラニン産生抑制効果を発揮することができる。一実施形態では、本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物を皮膚外用剤の総量に対して0.001重量%以上、例えば0.01重量%又は0.03重量%以上、典型的には0.001〜0.5重量%、例えば0.001〜0.1重量%の濃度で含んでもよい。一実施形態では、本発明の皮膚外用剤は、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を皮膚外用剤の総量に対して0.001重量%以上、例えば0.003重量%以上又は0.01重量%以上、典型的には0.001〜0.5重量%、例えば0.001〜0.1重量%、0.001〜0.05重量%又は0.001〜0.01重量%の濃度で含んでもよい。好ましい一実施形態では、本発明の皮膚外用剤は、上記非ラメラ液晶化合物を皮膚外用剤の総量に対して0.001重量%以上、例えば0.01重量%以上又は0.03重量%以上、典型的には0.001〜0.5重量%、例えば0.001〜0.1重量%の濃度で含み、かつチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を皮膚外用剤の総量に対して0.001重量%以上、例えば0.003重量%以上又は0.01重量%以上、典型的には0.001〜0.5重量%、例えば0.001〜0.1重量%、0.001〜0.05重量%又は0.001〜0.01重量%の濃度で含む。本発明について上記「重量%」はW/V%(重量/体積%)を意味し、以下、本明細書ではこの単位を単に%と略記することがある。
後述の実施例に記載されているように、0.03%〜0.1%MGPAと併用したグラブリジン、α−アルブチン又はβ−アルブチンは、それぞれ0.003%、0.01%、0.01%という低濃度でも相乗的にメラニン産生を抑制することができる。すなわち、例えば、0.003%以上のグラブリジンと0.03%以上のMGPAの併用により、特に高いメラニン産生抑制効果が得られる。同様に、0.01%以上のα−アルブチン又はβ−アルブチンと0.03%以上のMGPAの併用により、特に高いメラニン産生抑制効果が得られる。そして、それらの配合量はそれぞれ単独で通常使用される量の1/3〜1/10程度である。したがって本発明では、化粧水などの水分の多い製剤には高配合することが困難である美白成分や酸化されやすく製剤の変色を招きやすいなどの欠点のある美白成分であっても、非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を併用することにより、少ない配合量で高いメラニン産生抑制効果を得られ、効果的な美白用製剤を作製することができる。
本発明の皮膚外用剤は、メラニン産生抑制を目的として皮膚に外部から適用する任意の製剤である。本発明の皮膚外用剤は、化粧料であってもよいし、医薬であってもよい。本発明において医薬は、医薬品と医薬部外品を包含する。本発明の皮膚外用剤は、好ましくは美白用化粧料又は美白用医薬である。「美白用」とは、通常はメラニン産生による皮膚の黒化の予防(黒化防止若しくは軽減)を意味するが、黒化の改善(白色化)も含みうる。本発明はまた、一般式(I)で表される化合物又はその塩であるメラニン産生抑制作用を有する上記非ラメラ液晶化合物と、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類とを有効成分として含む、メラニン産生抑制剤又は美白剤も提供する。さらに、そのメラニン産生抑制剤又は美白剤を有効成分として含む、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤も本発明の範囲に含まれる。この皮膚外用剤の詳細、例えば、上記非ラメラ液晶化合物とチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類や皮膚外用剤中のそれらの濃度などは、上記と同様である。
本発明の皮膚外用剤は外用可能な任意の剤形であってよく、例えば、クリーム、乳液、ローション、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、ハップ剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション等の形態であってよい。
本発明はまた、本発明の皮膚外用剤を用いたメラニン産生抑制方法も提供する。本発明の皮膚外用剤を皮膚に適用することにより、メラノサイトにおけるメラニン産生を抑制することができる。本発明のメラニン産生抑制方法は、異常なメラニン産生亢進やメラニン沈着増加が見られる疾患に対する治療又は予防方法に用いることができる。そのような疾患としては、例えば肝斑や皮膚色素沈着過剰症が挙げられる。皮膚色素沈着過剰症とは、家族性素因、ホルモン、太陽光への曝露、及び皮膚老化等を原因とする、メラニンの蓄積が皮膚に褐色又は有色の斑の外観となって現れる皮膚障害である。本発明のメラニン産生抑制方法はまた、美容のための肌に対する美白方法に用いてもよい。美白方法は、例えば、肌のしみ、そばかす、くすみ等の改善や予防を目的として行うことができる。本発明のメラニン産生抑制方法を適用する対象は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。メラニン産生抑制のための本発明の皮膚外用剤の一日当たりの好ましい使用量は、使用する対象、剤形、使用間隔等の要因に依存して変動するが、典型的には、ヒト成人一人の一日当たりの使用量で、全顔であれば約0.1〜3g/日、顔を除く全身であれば約1〜10g/日であってよい。この一日量は、一度に使用してもよく、2〜4回に分割して使用してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1] モノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エノイル)グリセロール(MGPA)の合成
Figure 2016150900
グリセロール0.65g(7.1mmol)及び炭酸カリウム0.59g(4.3mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(3.5mL)溶液に、80℃で5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エン酸メチル1.0g(3.5mmol)をゆっくり滴下した。100℃で18時間撹拌した後、反応液に1M塩酸を添加し、エーテルで抽出した。抽出液を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン混液)で精製することにより、MGPAを無色透明液体として得た。
得られた化合物について、H−NMR測定及び粘度測定を行った結果は以下の通りである。
H−NMRスペクトル(300MHz,CDCl,TMS)δ:0.80−0.90(m,9H),1.00−1.70(m,15H),1.97(td,J=7.8,17.0Hz,2H),2.13(t,J=6.1Hz,1H,OH),2.25−2.45(m,4H),2.55(d,J=5.2Hz,1H,OH),3.50−4.00(m,3H),4.10−4.25(m,2H),5.08(t,J=6.7Hz,1H)
粘度:0.48Pa・s(せん断速度92 1/s)
[実施例2] 薬剤溶液の調製
MGPAを1,3ブチレングリコール(以下、BGと称する;ダイセル化学工業)に懸濁し、0.3%及び1%濃度のMGPA溶液(0.3%及び1%MGPA/BG)を調製した。
グラブリジン(以下、GBと称する;和光純薬工業)をBGに懸濁して0.03%濃度のGB溶液(0.03%GB/BG)を調製した。
α−アルブチン(以下、αABと称する;和光純薬工業)、β−アルブチン(以下、βABと称する;和光純薬工業)、リン酸L−アスコルビルマグネシウム(以下、VCPMGと称する;和光純薬工業)及びL−アスコルビン酸−2−グルコシド(以下、AA2Gと称する;和光純薬工業)を超純水(ミリポア社製超純水装置を用いて調製)に懸濁して、0.1%αAB溶液(0.1%αAB/超純水)、0.1%βAB溶液(0.1%βAB/超純水)、3%VCPMG溶液(3%VCPMG/超純水)、3%AA2G溶液(3%AA2G/超純水)をそれぞれ調製した。
コウジ酸(以下、KAと称する;和光純薬)をエタノール(和光純薬)に懸濁して0.1%KA溶液(0.1%KA/エタノール)を調製した。
[実施例3] メラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデルを用いたメラニン産生抑制効果の評価
メラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデルは、ヒト皮膚の擬似モデルとして美白成分のメラニン産生抑制効果評価用に汎用されている。メラニン産生抑制効果の評価に用いるメラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデルとしてはMEL−300(アジア人ドナー;MatTek)を用いた。皮膚三次元モデルの維持用培地としてEPI−100−LLMM(MatTek)を用いた。
メラノサイト含有ヒト皮膚三次元モデルを用いた各薬剤のメラニン産生抑制効果の評価は以下のようにして行った。
6ウェルプレートの各ウェルにEPI−100−LLMM培地を900μlずつ添加した後、各ウェルにMEL−300皮膚モデル挿入培養カップを静置し、37℃、5%COのインキュベーター(Thermo scientific)内で1時間培養し、馴化した。新しい6ウェルプレートの各ウェルにステンレスワッシャー(MatTek)を2個重ね置きした後、EPI−100−LLMM培地を5mlずつ添加し、重ね置きしたステンレスワッシャーの上に馴化後のMEL300皮膚モデル挿入培養カップを静置した。
他の既存美白成分と組み合わせたMGPAのメラニン産生抑制効果を評価するため、実施例2で調製した薬剤溶液(0.3%及び1%MGPA/BG、0.03%GB/BG、0.1%αAB/超純水、0.1%βAB/超純水、0.1%KA/エタノール、3%AA2G/超純水、及び3%VCPMG/超純水)をEPI−100−LLMM培地に溶解又は懸濁し、BG、エタノール、及び/又は超純水を添加して、表1に示す終濃度と組成の各試料(試料番号2〜21)を調製した。対照として、BG、エタノール、及び超純水を混合した試料(表1の試料番号1)も調製した。
Figure 2016150900
調製した各試料をMEL300皮膚モデルの処理に用いた。まず、上記で調製した6ウェルプレートの各ウェル内のMEL300皮膚モデル挿入培養カップ内に試料を100μl添加し、37℃、5%COのインキュベーター内で培養した(各試料につきn=3)。2日毎にカップ内の試料を新鮮なものに交換しながら、17日間培養した後に位相差顕微鏡(オリンパス、IX73)により皮膚モデルの細胞内メラニンを観察し、デジタルカメラ(オリンパス、DP73)により観察画像を撮影した。
続いて、バイオプシーパンチ(8mmφ)(東洋紡)を用いて、培養カップ内のMEL300皮膚モデルの一部を切り取り、1.5mlエッペンドルフチューブに入れた。MEL300皮膚モデルを含む1.5mlエッペンドルフチューブに150μlの溶解液(1%SDS、0.05%EDTA、10mM Tris−HCl(pH7.5))を添加し、マイクロチューブミキサー(MT−360、TOMY)により撹拌し、得られたMEL300溶液を後述のメラニン量測定用の試料とした。
なお対照として、上記試料により処理する前の無処理のMEL300皮膚モデル(0日目)を用いて同様に観察画像を撮影し、MEL300溶液を調製した。
検量線作成に用いる標準メラニン溶液を調製するため、10mgのメラニン(Sigma−Aldrich)に10mlの上記溶解液を添加し、超音波破砕機(VP−050、TAITEC)により超音波処理してメラニンを溶解させた。得られた1mg/mlメラニン溶液を、上記溶解液を用いて希釈し、12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、及び200μg/mlメラニン溶液を調製した。
各MEL300溶液、及び各濃度のメラニン溶液に、5mg/mlプロテイナーゼK(和光純薬)を加え、マイクロチューブミキサー(MT−360、TOMY)により撹拌後、ウォーターバス(Thermo minder、TAITEC)で45℃で18時間インキュベートした。次いで、25μlの500mM炭酸ナトリウム溶液及び5μlの30%過酸化水素水を加え、マイクロチューブミキサーにより撹拌した。ウォーターバスで80℃で30分インキュベートした後、氷水中で15分間冷却した。20μlのクロロホルム−メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=2:1)を加え、マイクロチューブミキサーにより撹拌後、10,000g、10分間遠心した。遠心終了後、マイクロチューブ内の上清を96ウェルプレートの各ウェルに移し、吸光度計(Verioscan flash、Thermo scientific)により405nmの吸光度を測定した。各濃度のメラニン溶液について測定した吸光度により検量線を作成し、それを用いて各試料で処理したMEL300皮膚モデルのメラニン量を算出した。
得られた評価結果を図1〜図7に示す。図1はMGPAとGBの組み合わせ、図2はMGPAとαABの組み合わせ、図3はMGPAとβABの組み合わせ、図4はMGPAとKAの組み合わせ、図5はMGPAとAA2Gの組み合わせ、図6はMGPAとVCPMGの組み合わせの効果を示す。図1〜6のそれぞれが、無処理の皮膚モデル(0日目;A)、並びに溶媒のみ(試料1;B)、MGPA単独(試料2又は3;C及びD)、各既存美白成分単独(試料4、7、10、13、16又は19;E)、及びMGPAと各既存美白成分の併用(試料5、6、8、9、11、12、14、15、17、18、20又は21;F及びG)により処理した皮膚モデル(メラニン産生状態)を位相差顕微鏡下で撮影した画像を示している。図7は測定したメラニン量のグラフを示す。
0.03%及び0.1%MGPAのそれぞれ単独での処理(図1C、D)は、溶媒処理(試料1;図1B)に比べてそれぞれ−12.0μg/dish及び−17.1μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。0.003%GB単独での処理(図1E)の場合、溶媒処理に比べて−10.1μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。一方、0.003%GBと0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図1F、G)は、溶媒処理に比べてそれぞれ−33.9μg/dish、−40.7μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。0.003%GBと0.03%又は0.1%MGPAを併用した場合に想定される相加効果は、それぞれ−22.1μg/dish、−27.1μg/dishであり、今回得られた結果は相加効果を超えていたことから、MGPAおよびGBを併用することにより相乗的なメラニン産生抑制効果が得られることが示された(図1及び図7)。
0.01%αAB単独での処理(図2E)の場合、溶媒処理(試料1;図2B)に比べて−27.1μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。一方、0.01%αABと0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図2F、G)は、溶媒処理に比べてそれぞれ−46.0μg/dish、−48.0μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。0.01%αABと0.03%又は0.1%MGPAを併用した場合に想定される相加効果は、それぞれ−39.1μg/dish、−44.2μg/dishであり、今回得られた結果は相加効果を超えていたことから、MGPAおよびαABを併用することにより相乗的なメラニン産生抑制効果が得られることが示された(図2及び図7)。
0.01%βAB単独での処理(図3E)の場合、溶媒処理(試料1;図3B)に比べて−17.1μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。一方、0.01%β−アルブチン(βAB)と0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図3F、G)は、溶媒処理に比べてそれぞれ−42.7μg/dish、−46.2μg/dishのメラニン産生量低減をもたらした。0.01%βABと0.03%又は0.1%MGPAを併用した場合に想定される相加効果は、それぞれ−29.2μg/dish、−34.2μg/dishであり、今回得られた結果は相加効果を超えていたことから、MGPAおよびβABを併用することにより相乗的なメラニン産生抑制効果が得られることが示された(図3及び図7)。
一方、KA、AA2G、又はVCPMGとMGPAの併用処理では、溶媒処理に比べてメラニン産生量は低減したものの、相加効果を超える相乗的なメラニン産生抑制効果は見られなかった。0.01%KAと0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図4F、G)は、溶媒処理(試料1;図4B)に比べてそれぞれ−15.5μg/dish及び−24.6μg/dishのメラニン産生量低減をもたらしたが、それは0.01%KA単独での処理(図4E)(−7.4μg/dishの低減)と0.03%又は0.1%MGPA単独処理(図4C、D)を加算した効果(それぞれ−19.4μg/dish及び−24.5μg/dish)と比較して相乗的な抑制ではなかった(図4および図7)。同様に、0.3%AA2Gと0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図5F、G)は、溶媒処理(試料1;図5B)に比べてそれぞれ−12.7μg/dish、−16.9μg/dishのメラニン産生量低減をもたらしたが、それは0.3%AA2G単独での処理(図5E)(−3.0μg/dishの低減)と0.03%又は0.1%MGPA単独処理(図5C、D)を加算した効果(それぞれ−15.0μg/dish、−20.1μg/dish)と比較して相乗的な抑制ではなかった(図5および図7)。さらに、0.3%VCPMGと0.03%又は0.1%MGPAでの併用処理(図6F、G)は、溶媒処理(試料1;図6B)に比べてそれぞれ−11.6μg/dish、−21.1μg/dishのメラニン産生量低減をもたらしたが、それは0.3%VCPMG単独での処理(図6E)(−1.2μg/dishの低減)と0.03%又は0.1%MGPA単独処理(図6C、D)を加算した効果(それぞれ−13.2μg/dish、−18.3μg/dish)と比較して相乗的な抑制ではなかった(図6および図7)。すなわち、既存の美白成分とMGPAとの併用であっても必ずしも相乗効果をもたらさないことが示された。
以上記載したように、MGPAとGB、MGPAとαAB、又はMGPAとβABを併用した場合、相加効果を超える相乗的なメラニン産生抑制効果が得られた。このことから、MGPAとチロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類を併用することにより、各々単独で使用する場合よりも皮膚でのメラニン産生量を低減することができ、その結果、優れた美白効果をもたらすことが示された。
[実施例4]
処方例1:皮膚外用クリーム(1)
表2記載の成分(1)〜(11)を80℃に加熱溶解し油相とした。成分(12)〜(20)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
Figure 2016150900
[実施例5]
処方例2:皮膚外用クリーム(2)
表3記載の成分(1)〜(10)を80℃に加熱溶解し油相とした。成分(11)〜(20)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
Figure 2016150900
[実施例6]
処方例3:皮膚外用クリーム(3)
表4記載の成分(1)〜(10)を80℃に加熱溶解し油相とした。成分(11)〜(20)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
Figure 2016150900
[実施例7]
処方例4:皮膚外用乳液(1)
表5記載の成分(1)に(2)を加え、80℃に加熱溶解した。成分(3)〜(9)を加え、80℃に加熱溶解し油相とした。成分(10)〜(18)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら30℃まで冷却した。さらに、成分(19)及び(20)を(21)に加えて攪拌溶解したものを加え、攪拌冷却して乳液を得た。
Figure 2016150900
[実施例8]
処方例5:皮膚外用乳液(2)
表6記載の成分(1)に(2)を加え、80℃に加熱溶解した。成分(3)〜(8)を加え、80℃に加熱溶解し油相とした。成分(9)〜(18)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら30℃まで冷却した。さらに、成分(19)及び(20)を(21)に加えて攪拌溶解したものを加え、攪拌冷却して乳液を得た。
Figure 2016150900
[実施例9]
処方例6:皮膚外用乳液(3)
表7記載の成分(1)に(2)を加え、80℃に加熱溶解した。成分(3)〜(8)を加え、80℃に加熱溶解し油相とした。成分(9)〜(18)を70℃に加熱溶解し水相とした。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら30℃まで冷却した。さらに、成分(19)及び(20)を(21)に加えて攪拌溶解したものを加え、攪拌冷却して乳液を得た。
Figure 2016150900
本発明は、美白用製品の開発に用いることができる。本発明に係る皮膚外用剤は、しみやくすみの抑制効果、肌を明るくする効果等をもたらすために利用することができる。本発明の皮膚外用剤では、所定の美白成分を組み合わせることにより、個々の美白成分単独よりもメラニン産生を顕著に抑制できる相乗効果をもたらすことができ、それにより、従来よりも少ない配合量の美白成分で高い美白効果を発揮することができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物又はその塩と、チロシナーゼ阻害活性を有するフェノール類とを含む、メラニン産生抑制用の皮膚外用剤。
    Figure 2016150900
    (式中、nは0〜2の整数を表し、mは1又は2を表し、Rはグリセロールから1つの水酸基が除かれた親水性基を表し、
    Figure 2016150900
    は一重結合又は二重結合を表す。)
  2. 前記式中、nは2を表す、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 上記化合物がモノO−(5,9,13−トリメチルテトラデカ−4−エノイル)グリセロールである、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
  4. 前記フェノール類が、単環フェノールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  5. 前記フェノール類が、グラブリジンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  6. 前記フェノール類が、α−アルブチン又はβ−アルブチンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  7. 上記化合物又はその塩を0.001〜0.5重量%の濃度で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  8. 前記フェノール類を0.001〜0.5重量%の濃度で含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  9. 美白用化粧料である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  10. 美白用医薬である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
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