JP2016150768A - 紙カップに蓋材を固定する方法,密封紙容器の製造方法,および密封紙容器 - Google Patents

紙カップに蓋材を固定する方法,密封紙容器の製造方法,および密封紙容器 Download PDF

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Abstract

【課題】密封性を確保することができ,製造コストおよび生産効率にも優れた蓋材の固定方法を提供する。
【解決手段】フランジ部11の上面に蓋材10が被せられる。はじめに上記フランジ部11の上面の全体に沿って蓋材10の外面に熱を加えることによって,蓋材10をフランジ部11の上面にヒートシールする。次に,フランジ部11の段差部位およびその近傍範囲に超音波を加えて内部発熱させ,かつその範囲の蓋材10をフランジ部上面に向けて押圧する。段差部位が溶融した熱可塑性樹脂15によって埋め尽くされる。また,超音波が加えられた範囲の蓋材10の表面には圧痕10Aが発現する。
【選択図】図5

Description

この発明は,紙カップに蓋材を固定する方法,密封紙容器の製造方法,および密封紙容器に関する。
食料品,飲料水などを包装する包装分野では,環境対応の観点から紙製の容器が広く利用されている。
紙容器内に収納される内容物の保護機能の向上,内容物の消費期限の延長などを目的に,紙容器の開口を蓋材によってシールした後の酸素バリア性,水蒸気バリア性等の向上が要望されている。
紙製シート材の両側部を貼り合わせて筒状にした筒状胴部を備える紙容器では,貼り合わせ箇所に段差が生じる。この筒状胴部の上端周縁を外向きに巻き込んで上端にフランジ部を形成すると,フランジ部にも段差が形成される。このフランジ部の上面に蓋材を加熱シールするだけでは,段差部位におけるフランジ部上面と蓋材との間の隙間が完全には埋まらず(閉じず),紙容器の密封を実現できないことがある。
密封を実現するために,蓋材のシール条件(シール熱量,シール圧およびシール時間)を強化することが考えられる。しかしながら,シール条件を強化すると蓋材の接着強度が強くなり,蓋材の開封(引き剥がし)が困難になってしまう。蓋材を容易に開封することができ(イージーピール性,易開封性),内容物を容易に取り出すことができるという,紙容器が備える基本的な用途に悪影響が及ぶ。
特許文献1は,紙カップの胴部を構成する紙層に積層されている熱可塑性樹脂を胴部紙層の側端縁から延設して設け,延設された熱可塑性樹脂を折り返すことで段差部分に多量の熱可塑性樹脂を確保し,この多量の熱可塑性樹脂によって段差を解消することを記載する。多量の熱可塑性樹脂を必要とし,しかも多量の熱可塑性樹脂を溶融するためには大きな熱量を加えなければならないので,コストがかかる。また,大きな熱量を加えると蓋材と紙カップとの間の接着強度も強くなり,イージーピール性に欠けてしまう。
特許文献2は,紙容器本体のフランジ部にリング状の補助フランジ板を接合し,補助フランジ板に蓋材を熱シールするものを記載する。紙容器本体に加えてリング状補助フランジ板を製造しなければならないので,これもコストがかかり,また紙容器本体とリング状補助フランジの接合工程が別途必要とされるので生産効率が低下する。
特許第5532739号公報 特許第4681694号公報
この発明は,密封性を確保することができ,しかも製造コストおよび生産効率に優れた蓋材の固定方法を提供することを目的とする。
この発明はまた,イージーピール性(易開封性)を完全には犠牲にすることなく,蓋材を隙間なく固定することを目的とする。
この発明は,上記固定方法を用いて蓋材を固定した,したがって密封性が確保され,かつ製造コストおよび生産効率に優れた密封紙容器の製造方法,および密封紙容器も提供する。
この発明による蓋材固定方法は,一面に熱可塑性樹脂が設けられた紙製シート材の両側部を,上記熱可塑性樹脂が設けられた一面を内面にして貼り合わせることによって形成される段差部位を有する胴部,上記胴部の下端に固定されて上記胴部の下面を閉鎖する底部,および上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことによって形成されるフランジ部を有する紙カップの上記フランジ部に,内面に熱可塑性樹脂が設けられた蓋材を固定するものであって,上記フランジ部上面に,上記蓋材をその内面がわから被せ,上記フランジ部上面の全体に沿って上記蓋材の外面に熱を加えることによって上記蓋材を上記フランジ部上面にヒートシールし,上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を内部発熱させ,かつその範囲の蓋材をフランジ部上面に向けて押圧する(押しつける)ことを特徴とする。
シート材の両側部を貼り合わせることで形成される胴部には,シート材の厚さに相当する高さの段差部位が生じる。フランジ部は胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことによって形成されるので,フランジ部にも段差部位は形成される。胴部は円筒状であっても,角筒状であってもよい。フランジ部は外向きに巻き込んだ後に上下から軽く押しつぶして平坦にしてもよい。
段差部位があるフランジ部の上面に蓋材が固定される。フランジ部と蓋材との固定は,フランジ部および蓋材の熱可塑性樹脂の溶着により実現される。フランジ部は,内面に熱可塑性樹脂が設けられた胴部の上端周縁を外向きに巻き込んで形成されるので,その外面(表面)がわに熱可塑性樹脂が露出する。蓋材は,熱可塑性樹脂が設けられた内面からフランジ部上面に被せられる。
フランジ部上面の全体に沿って上記蓋材の外面に熱を加えることによって,蓋材がフランジ部上面にヒートシールされる。この発明によると,上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲についてはさらに,内部発熱されかつその範囲の蓋材がフランジ部上面に向けて押圧される。ヒートシールを終えたときに上記フランジ部の段差部位によって蓋材とフランジ部上面との間に隙間が残存するとしても,上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲についてはさらに内部発熱されて押圧されるので,内部発熱によって溶融する熱可塑性樹脂により蓋材とフランジ部上面との間に残存する隙間を埋め尽くす(容器内外に貫通する通路を無くす)ことができる。密封紙容器の完全密封が実現され,酸素,窒素,二酸化炭素,水分(水蒸気)等の遮断効果(バリア効果)が格段に向上する。また,多量の熱可塑性樹脂を用いることなく完全密封が実現されるので,製造コストおよび生産効率にも優れている。
好ましくは,蓋材のフランジ部上面へのヒートシールは,イージーピール性を発揮するように行われる。胴部は紙製シート材の両側部を貼り合わせることで形成されるので,フランジ部に形成される段差部位は1箇所であり,この1箇所の段差部位を除いてフランジ上面は平坦である(段差がない)。イージーピール性を発揮するようにヒートシールを行っても,段差部位以外においては,フランジ部上面に蓋材を隙間なく固定することができる。ここでイージーピール性を発揮する条件(シール熱量,シール圧およびシール時間)で蓋材をフランジ部上面にヒートシールすると,ヒートシールを終えた段階では段差部位に隙間が発生しやすくなるが,上述のようにフランジ部の段差部位およびその近傍範囲についてはさらに内部発熱されて押圧されるので,蓋材とフランジ部上面との間の隙間を内部発熱によって溶融する熱可塑性樹脂により埋め尽くすことができ,段差部位を含めて,フランジ上面の全体に蓋材を隙間なく固定することができる。フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を除いて,軽い力でフランジ部上面から蓋材を剥離することができる。
上記蓋材の周縁の一部に外方に突出する摘み部を設ける場合には,上記摘み部が,上記フランジ部の段差部位から遠位に位置するように,上記フランジ部上面に上記蓋材を被せるときに上記蓋材および上記紙カップのいずれかを位置決めするとよい。摘み部を手で掴んで蓋材をフランジ上面から剥離するときに,イージーピール性をもってヒートシールされている範囲を引き剥がしやすくすることができる。たとえば,フランジ部の段差部位から最も離れた位置(反対側)に上記摘み部を位置させるとよい。もっとも,胴部が角筒状である場合には,胴部の角部に蓋材の摘み部を設けるのがデザイン上好ましいので,フランジ部の段差部位から最も離れた角部に,上記摘み部を位置させるようにしてもよい。
上記内部発熱には,超音波,高周波または局所加熱を用いることができる。シート材の両側部を貼り合わせた範囲のフランジ部では,外側(上面)から内側に向けて,熱可塑性樹脂,シート材,熱可塑性樹脂,シート材がこの順番に並ぶ。超音波,高周波または局所加熱による内部発熱によって,外側の熱可塑性樹脂のみならず内側の熱可塑性樹脂も溶融され,これにより段差部位に発生する隙間を埋め尽くすことができる。
この発明による密封紙容器の製造方法は,一面に熱可塑性樹脂が設けられた紙製シート材の両側部を,上記熱可塑性樹脂が設けられた一面を内面にして貼り合わせることによって形成される段差部位を有する胴部,上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことによって形成されるフランジ部,および上記胴部の下端を閉鎖する底部を備える紙カップを形成し,上記紙カップ内にその上端開口から内容物を入れ,上記フランジ部上面に,内面に熱可塑性樹脂が設けられた蓋材を,その内面がわから被せ,上記フランジ部上面の全体に沿って上記蓋材の外面に熱を加えることによって上記蓋材を上記フランジ部上面にヒートシールし,上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を内部発熱させ,かつその範囲の蓋材をフランジ部上面に向けて押圧することを特徴とする。紙カップ内には,たとえば食品ないし飲料を収納することができる。段差部位を含めて蓋材がフランジ部上面に隙間なく固定されるので,内容物が外気に触れることがなく,したがって内容物の消費期限の延長が可能になる。
この発明による密封紙容器は,上縁周端にフランジ部が形成された胴部と,上記胴部の下端にその下面を閉鎖するように設けられた底部と,上記フランジ部上面に接着され,上記胴部の上面を閉鎖する蓋材とを備えるもので,上記胴部が紙製シート材の両側部を貼り合わせることによって筒状に形成されており,上記フランジ部が上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことで形成されており,上記貼り合わせによって上記フランジ部に形成される段差部位およびその近傍範囲に接着されている部分の上記蓋材の表面に,圧痕が形成されていることを特徴とする。フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を内部発熱しかつ押圧するときに,蓋材の表面に部分的(局所的)に圧痕が形成される。圧痕が形成されている箇所に段差部位が位置する。
密封紙容器の斜視図である。 図1のII−II線に沿う密封紙容器の一部切欠き正面図である。 溶着前の蓋材とフランジ部の断面図である。 ヒートシール後の蓋材とフランジ部の断面図である。 超音波シール後の蓋材とフランジ部の断面図である。
以下,図面を参照してこの発明の実施例を詳細に説明する。
図1および図2は密封紙容器を示している。図1は密封紙容器の斜視図,図2は図1のII−II線に沿う密封紙容器の一部切欠き正面図である。
密封紙容器1は,蓋材10と,胴部(筒状部)12と,底部13とから構成されている。
容器1の胴部12は上部の径が大きく,下にいくほど径が小さくなる円筒状で,開口する上面が蓋材10によって閉じられている。胴部12の上端の周縁全体は外向きに巻かれてかつやや偏平につぶされており,これにより外方への広がりを持っている。以下,胴部12の上端において外方に広がる環状部分をフランジ部11と呼ぶ。底部13は円形で,その周縁部が下向きに屈曲されている(屈曲部13A)。底部13は胴部12の下面開口内にぴったりと嵌り,胴部12の下端部が内側に折り返され(折り返し部12A),この折り返し部12Aが底部13の屈曲部13Aを挟んでいる。底部13の屈曲部13Aの内外両面と,これを挟む胴部12の下端部の折り返し部12Aの内面とは,隙間なく接着または熱可塑性樹脂によって溶着されている。
容器1の胴部12は,弧状に形成されたシート材(ブランク)の左右の側部同士を貼合せて円筒状に形成し,次に上端周縁を外向きに巻き込みその後に上下からつぶして偏平にし,さらに下端部を内側に屈曲させることで形成される。ブランク材の側部同士の貼合せ部分は接着または熱可塑性樹脂によって溶着される。貼合せ部分は容器1のフランジ部11から胴部12にかけて設けられる。以下の説明においては,フランジ部11の貼合せ部分を構成する二重に重ねられたシート材のうちの外側に位置する部分を外側フランジ端部11Lと呼び,外側フランジ端部11Lの内側に位置する部分を内側フランジ端部11Rと呼ぶ。貼合せ部分には,ブランクシート材の厚さに相当する高さを持つ段差部位11Aが生じる。
胴部12(フランジ部11を含む)および底部13は,基材および保護層と,最内面に設けられる溶着のための熱可塑性樹脂層(熱溶着樹脂層,シーラント層)とから構成される。基材は紙を主成分とするもので,紙の表面にコート層等を設けた積層構造のものでもよい。保護層は,熱可塑性樹脂層,金属層等を含むことができる。たとえば,胴部12には,その外面(外層)から内面(内層)に向けて,紙/PE(ポリエチレン)/AL(アルミニウム)/PEをこの順番に積層したもの,紙/PE/AL/DL(ドライラミネート)/PET(ポリエチレンテレフタレート)/PEをこの順番に積層したものを用いることができる。最内層のPEが溶着に用いられる。底部13には,その外面から内面に向けて,紙/PE/AL/PE/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)をこの順番に積層したもの,紙/PE/AL/DL/PET/PE/LLDPEをこの順番に積層したものを用いることができる。胴部12および底部13の積層構造はこれらに限られないのは言うまでもなく,容器1内に収納される内容物の種類,求められる内容物の保存期間等に応じて適宜変更することができる。ここでフランジ部11は胴部12の上端を外向きに巻くことで形成されるので(図2参照),胴部12の内面がフランジ部11においては外面となり,溶着のための熱可塑性樹脂層(PE)はフランジ部11においては最外層になる。
蓋材10は,胴部12の上端開口の大きさ(直径)よりもやや大きい円形のもので,胴部12の上端開口の全体を塞ぐ。蓋材10の外縁の一部に,蓋材10を摘みやすくするための三角形状の摘み部10Bが,外方に突出して形成されている。
蓋材10も,紙を主成分とする基材と,その内面に設けられた保護層と,溶着のための熱可塑性樹脂層(熱溶着樹脂層,シーラント層)とから構成される。たとえば,蓋材10の外面(外層)から内面(内層)に向けて,紙/PE(ポリエチレン)/AL(アルミニウム)/PEをこの順番に積層したもの,紙/DL/AL/DL/PET/PEをこの順番に積層したものなどを用いることができる。最内層のPEが溶着に用いられる。蓋材10についても積層構造がこれらに限られないのはいうまでもない。
以下に詳述するように,蓋材10は,2工程(2段階)に分けてフランジ部11の上面にシールされる。第1工程はフランジ部11の上面に蓋材10をその内面がわから被せ,フランジ部11の上面の全体に沿って蓋材10の外面に熱を加える工程である(以下,通常シールまたは通常シール工程という)。通常シール工程は,蓋材10をフランジ部11から容易に剥がすことができる程度に(イージーピール性を保って)行われる(詳細は後述する)。もちろん,通常シール工程に先だって,胴部12および底部13によって仕切られる内部空間に,胴部12の上端開口から内容物,たとえば食品や飲料などが入れられるのは言うまでもない。
第2工程は,フランジ部11の段差部位11Aに被さっている箇所の蓋材10に,その外面から部分的(局所的)に超音波,高周波または熱を加えて押圧する工程である(以下,ポイントシールまたはポイントシール工程という)。ポイントシール工程は,フランジ部11の上面の段差部位11Aが形成されている箇所を中心(中央)にして,たとえばその両側0.5cmの幅の範囲で行われる。ポイントシール工程は,蓋材10をフランジ部11から容易には剥離することができない程度に,比較的強力に行われる(詳細は後述する)。
ポイントシールされた蓋材10の範囲には圧痕(凹部)10Aが発現する。たとえば超音波を加える場合,共鳴体(ホーン)先端が蓋材10に押当てられ,このときに細かい窪み(圧痕)10Aが形成される。高周波または熱を加える場合も蓋材10には圧痕10Aが発現する。ポイントシールは局所的に行われるので圧痕10Aも局所的に表れる。そして圧痕10Aの範囲には段差部位11Aが位置する。
図3から図5は上述した蓋材10とフランジ部11の上面とのシールの様子を示すもので,図1のV−V線に沿う,蓋材10の一部とフランジ部11の一部の断面図を示している。図3はシール前の様子を,図4は通常シール工程が行われた様子を,図5はポイントシール工程が行われた様子を,それぞれ示している。図3から図5では,分かりやすくするために,蓋材10およびフランジ部11がいずれも紙層および熱可塑性樹脂層の2層構造を持つものとして表されている。
図3を参照して,上述したように,フランジ部11の貼合せ部分では外側フランジ端部11Lと内側フランジ端部11Rとが重なっており段差部位11Aが存在する。
図4を参照して,フランジ部11の上面に蓋材10が被せられ,蓋材10の外周部分の全体に熱が加えられる(通常シール)。蓋材10を介して加えられる熱によって,蓋材10の内面の熱可塑性樹脂15およびフランジ部11の上面の熱可塑性樹脂15が溶融する。
ここで貼合せ部分では,蓋材10の内面および外側フランジ端部11Lに積層されている熱可塑性樹脂15には十分に熱を伝えて溶融することができるが,これらの内側に位置する内側フランジ端部11Rに積層されている熱可塑性樹脂15はほとんど溶融しない。これは,イージーピール性を確保するために,必然的に,ヒートシール工程で蓋材10に加える熱量(シール温度),蓋材10をフランジ部11の上面に押しつけるときの圧力(シール圧)およびその時間(シール時間)をさほど大きく(長く)することができず,また外側フランジ端部11Lの紙層があるからである。イージーピール性を確保するためには,たとえば160℃のシール温度,0.2Mpaのシール圧,1秒のシール時間がシール条件として採用される。
段差部位11Aによって生じる蓋材10とフランジ部11の上面との間の隙間には,蓋材10および外側フランジ端部11Lに積層されている熱可塑性樹脂15が流れ込む。しかしながら,ヒートシールによって溶融した熱可塑性樹脂15によって隙間の全部を埋め尽くすことができない場合,小さな隙間20が残存してしまう。隙間20は容器1の内側と外側とを結ぶ通路となる。上述のようにイージーピール性を発揮するようにヒートシールを行うと,段差部位11Aにおいて隙間20が生じる可能性が高くなる。
そこで,次にポイントシールが行われる。図5を参照して,フランジ部11の段差部位11Aに被さっている箇所の蓋材10に,部分的(局所的)に,たとえば超音波が加えられる(超音波シール)。超音波が加えられた範囲では蓋材10および外側フランジ端部11Lに積層されている熱可塑性樹脂15に加えて,内側フランジ端部11Rに積層されている熱可塑性樹脂15も内部発熱により溶融する。内側フランジ端部11Rに積層されている熱可塑性樹脂15も流動し,これにより通常シールのときに残存した隙間20が熱可塑性樹脂15によって埋め尽くされる。超音波が加えられた範囲の蓋材10には,上述のように圧痕10Aが残る。
溶融した熱可塑性樹脂15はその後に自然冷却されることで硬化し,これにより蓋材10は段差部位11Aを含めて隙間なくフランジ部11の上面に溶着される。
ポイントシールされた範囲(圧痕10Aが発現する範囲)では,蓋材10とフランジ11の上面とが比較的強くシールされる。他方,それ以外の範囲では,上述のように,蓋材10とフランジ11の上面とはイージーピール性を発揮する。イージーピール性を持って溶着されている範囲の蓋材10を剥離しやすくするために,蓋材10をフランジ11から剥離するときに掴まれて剥離のきっかけとなる摘み部10Bは,ポイントシール範囲(圧痕10Aの発現範囲)とできるだけ離して(遠位に),好ましくは反対側に配置される(図1参照)。もっとも,比較的強い力であれば蓋材10をフランジ部11から完全にはぎ取ることはできる。強い力で無理矢理に蓋材10をはぎ取ると,ポイントシール範囲では蓋材10またはフランジ部11に含まれる基材(紙材)が露出する。
表1はバリア評価試験の結果を示している。
Figure 2016150768
バリア評価試験では,通常シールのみによって蓋材10をフランジ部11の上面に溶着した紙容器サンプルと,通常シールに加えてポイントシールを行った紙容器サンプル(本発明の紙容器)とを比較した。すべてのサンプルについて,容器内に脱酸素剤を封入した上で蓋材10をシールし,1昼夜放置後に,減圧の有無を確認した。蓋材10とフランジ部11の上面とが隙間無く溶着されており,したがって完全に密閉されている紙容器サンプルは,容器内部が脱酸素剤によって減圧されることで胴部12にへこみが生じる。他方,蓋材10のフランジ部11の上面との間にわずかでも隙間(容器内外を貫通する通路)があると容器内部は減圧しないので,へこみが生じることはない。これにより減圧の有無を確認することができる。減圧が確認された容器サンプルは密閉されている容器であり,減圧を確認することができなかった容器サンプルは隙間があいている容器である。
表1は,通常シールのみによって蓋材10をフランジ部11の上面に溶着した紙容器サンプル(通常シールのみ)と,通常シールに加えてポイントシールを行った紙容器サンプル(通常シール+ポイントシール)のそれぞれについて,減圧が確認されなかった(へこみが生じなかった)容器サンプルの個数を分子(左側)に示し,試験を行ったサンプルの個数を分母(右側)に示すものである。通常シールのみにとどめた紙容器はすべてのサンプルについて減圧が生じることがなく,蓋材10とフランジ部11の上面との間に隙間があることがわかる。他方,通常シールに加えてポイントシールを行った紙容器については,すべてのサンプルについて減圧が生じた。通常シールに加えてポイントシールを行った紙容器サンプル(本発明の紙容器)は,段差部位11Aを含めて,蓋材10とフランジ部11の上面との間に隙間が無く,完全に密閉されていることが分かる。
1 密封紙容器
10 蓋材
10A 圧痕
10B 摘み部
11 フランジ部
11A 段差部位
12 胴部
13 底部
15 熱可塑性樹脂

Claims (8)

  1. 一面に熱可塑性樹脂が設けられた紙製シート材の両側部を,上記熱可塑性樹脂が設けられた一面を内面にして貼り合わせることによって形成される段差部位を有する胴部,上記胴部の下端に固定されて上記胴部の下面を閉鎖する底部,および上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことによって形成されるフランジ部を有する紙カップの上記フランジ部に,内面に熱可塑性樹脂が設けられた蓋材を固定する方法であって,
    上記フランジ部上面に,上記蓋材をその内面がわから被せ,
    上記フランジ部上面の全体に沿って上記蓋材の外面に熱を加えることによって上記蓋材を上記フランジ部上面にヒートシールし,
    上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を内部発熱させ,かつその範囲の蓋材をフランジ部上面に向けて押圧する,
    蓋材固定方法。
  2. 上記蓋材の上記フランジ部上面へのヒートシールはイージーピール性を発揮するように行われる,
    請求項1に記載の蓋材固定方法。
  3. 上記蓋材の周縁の一部に外方に突出する摘み部が設けられており,
    上記摘み部が,上記フランジ部の段差部位から遠位に位置するように,上記フランジ部上面に上記蓋材を被せるときに上記蓋材および上記カップのいずれかを位置決めする,
    請求項1または2に記載の蓋材固定方法。
  4. 上記蓋材の上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を被っている部分に,その外面から超音波を当てることによって上記内部発熱を引き起こす,
    請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋材固定方法。
  5. 上記蓋材の上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を被っている部分に,その外面から高周波を当てることによって上記内部発熱を引き起こす,
    請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋材固定方法。
  6. 上記蓋材の上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を被っている部分を,その外面から局所加熱することによって上記内部発熱を引き起こす,
    請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋材固定方法。
  7. 一面に熱可塑性樹脂が設けられた紙製シート材の両側部を,上記熱可塑性樹脂が設けられた一面を内面にして貼り合わせることによって形成される段差部位を有する胴部,上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことによって形成されるフランジ部,および上記胴部の下端を閉鎖する底部を備える紙カップを形成し,
    上記紙カップ内にその上端開口から内容物を入れ,
    上記フランジ部上面に,内面に熱可塑性樹脂が設けられた蓋材を,その内面がわから被せ,
    上記フランジ部上面の全体に沿って上記蓋材の外面に熱を加えることによって上記蓋材を上記フランジ部上面にヒートシールし,
    上記フランジ部の段差部位およびその近傍範囲を内部発熱させ,かつその範囲の蓋材をフランジ部上面に向けて押圧する,
    密封紙容器の製造方法。
  8. 上縁周端にフランジ部が形成された胴部と,上記胴部の下端にその下面を閉鎖するように設けられた底部と,上記フランジ部上面に接着され,上記胴部の上面を閉鎖する蓋材とを備える密封紙容器において,
    上記胴部が紙製シート材の両側部を貼り合わせることによって筒状に形成されており,
    上記フランジ部が上記胴部の上端周縁を外向きに巻き込むことで形成されており,
    上記貼り合わせによって上記フランジ部に形成される段差部位およびその近傍範囲に接着されている部分の上記蓋材の表面に,圧痕が形成されている,
    密封紙容器。
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