以下、実施の形態の一例を、図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、貨幣収納装置を組み込んで構成された自動釣銭機を例に説明する。
図1は本実施形態に係る自動釣銭機100の外観を示す斜視図である。
図1に示すように自動釣銭機100は、その外部に露出する状態で設けられた投入口1、受け皿2、表示器3、操作キー群4およびドロワ5を含む。
投入口1は、キャッシャまたは客などの利用者が硬貨を投入可能な形状をなし、上方に向けて開口する。なお、図1における左手前側が利用者の標準的な立ち位置である。投入口1は、上記の立ち位置から見て右手前に位置する。なお、以下における各種の方向は、上記の立ち位置から見ての方向を表すこととする。つまり、例えば「手前側」とは、図1における左手前側を表す。
受け皿2は、自動釣銭機100の内部から払い出される硬貨を受ける。受け皿2は、利用者が硬貨を取り出すことが可能なように上面が開口した凹状をなす。
表示器3は、利用者や保守担当者などに対して各種の情報を通知するための画像を表示する。表示器3としては、例えば液晶表示デバイス、7セグメント表示デバイスおよびLED(light emitting diode)表示デバイスなどのような周知のデバイスを適宜に利用できる。
操作キー群4は、複数の操作キーを含み、利用者や保守担当者による指示を入力する。
ドロワ5は、受け皿2の下側に設けられ、上記の立ち位置から見て手前側に引き出し可能である。
図2は自動釣銭機100の内部構造を示す平面図である。なお、図2に示される要素のうちで図1にも示される要素に関しては同一の符号を付している。
図2に示すように自動釣銭機100は、投入センサ6a,6b、搬送ベルト7、投入ローラ8、ガイド板9、搬送ベルト10、計測センサ群11、リジェクト孔12、シャッタ13、搬送ベルト14、選別板15、選別孔16a,16b,16c,16d,16e,16f、搬送ベルト17、収納センサ18a,18b,18c,18d,18e,18f、第1の収納部19、仕切り板20、分離ローラ21、搬送ベルト22a,22b,22c,22d,22e,22fおよび排出センサ23a,23b,23c,23d,23e,23fを備える。
投入センサ6a,6bは、投入口1へと投入された硬貨を検出する。投入センサ6a,6bとしては、例えば透過型の光センサが利用できる。
搬送ベルト7は、投入口1の下方に配置される。搬送ベルト7の上面に、投入口1から投入された硬貨が落下する。搬送ベルト7は、自動釣銭機100の奥行方向(図2中の上方向)に向けて硬貨を搬送する。
投入ローラ8は、搬送ベルト7により搬送される硬貨を1枚ずつ通過させる。
ガイド板9は、その上面が、硬貨を自動釣銭機100の最奥部(図2中の上方向端部)の近傍まで搬送するための搬送路となる。
搬送ベルト10は、ガイド板9の上面との間に挟み込んだ状態の硬貨をガイド板9に沿って搬送する。搬送ベルト10は、搬送ベルト7よりも高速で硬貨を搬送する。このため搬送ベルト10は、複数の硬貨が投入口1に同時に投入された場合には、これらの複数の硬貨を一定以上の間隔を保って連続的に搬送する。
計測センサ群11は、複数の計測センサを含む。複数の計測センサは、搬送ベルト10によって搬送される硬貨の属性を表す属性値をそれぞれ計測する。複数の計測センサは、それぞれ異なる属性を表す属性値を計測する。属性は、材質、厚さ、直径、重量、導電率などのうちの少なくとも2つである。
リジェクト孔12は、ガイド板9の一部を開口することによって形成されている。リジェクト孔12は、さまざまな硬貨のいずれをも落下することができるように位置および大きさが定められる。図示していないが、リジェクト孔12から落下した硬貨は、リジェクト孔12の下方に配置されたリジェクトトレイに収納される。
シャッタ13は、リジェクト孔12を開閉する。
搬送ベルト14は、搬送ベルト10によりリジェクト孔12を越えて搬送されてきた硬貨を、更に奥行き方向に搬送する。搬送ベルト14は、搬送ベルト10よりも低速で硬貨を搬送する。これにより搬送ベルト14は、搬送ベルト17と選別板15との間に硬貨を緩やかに送り込む。
選別板15は、その上面が、硬貨を自動釣銭機100の横方向(図2中の左右方向)に搬送するための搬送路となる。
選別孔16a〜16fは、選別板15の一部を開口させることにより形成されている。選別孔16a〜16fは、選別孔16a〜16fの順で選別板15に沿って一列に形成されていて、同順番で開口面積が漸増する。選別孔16a〜16fのそれぞれの開口面積は、自動釣銭機100で収納対象とする硬貨の種類毎の直径に応じて定められる。例えば収納対象とする硬貨を、日本国における1円、5円、10円、50円、100円および500円の各金種の硬貨とするならば、選別孔16a〜16fのそれぞれの開口面積は、それぞれ1円、50円、5円、100円、10円、500円の各硬貨の直径に応じて定められる。例えば選別孔16aは、1円硬貨が通過するが、50円、5円、100円、10円、500円の各硬貨は通過しない。また例えば選別孔16bは、1円および50円の各硬貨が通過するが、5円、100円、10円、500円の各硬貨は通過しない。
搬送ベルト17は、搬送ベルト14によって選別板15の上面との間に送り込まれた硬貨を、選別板15との間に挟み込んだ状態で選別板15に沿って搬送する。つまり搬送ベルト17は、図2中の左方向に硬貨を搬送する。
収納センサ18a〜18fは、選別板15の下方に設けられ、選別孔16a〜16fのそれぞれを通って選別板15から落下する硬貨を検出する。収納センサ18a〜18fとしては、例えば透過型の光センサが利用できる。
第1の収納部19は、選別孔16a〜16fを通って落下した硬貨を収納する。第1の収納部19は、複数の硬貨を、それらが重なりあった状態で収納可能な貯留部19aと、硬貨を他の硬貨と重なり合うことがない状態で収納可能な待機部19bとに区分される。
仕切り板20は、第1の収納部19を、選別孔16a〜16fのそれぞれを通って落下した硬貨を個別に収納する6つの収納空間に仕切る。
分離ローラ21は、貯留部19aに収納されている硬貨を一枚ずつ待機部19bへと送り込む。
搬送ベルト22a〜22fは、仕切り板20により仕切られた6つの収納空間のそれぞれの底部に配置されている。搬送ベルト22a〜22fは、各収納空間に収納されている硬貨を受け皿2に向けて個別に搬送する。
排出センサ23a〜23fは、搬送ベルト22a〜22fによって搬送されて第1の収納部19から排出される硬貨を検出する。排出センサ23a〜23fとしては、例えば反射型の光センサが利用できる。
図3および図4は自動釣銭機100の内部構造を示す側面図である。図3,4における視点は図2における左側であり、かつ一部を破断して示している。なお、図3,4に示される要素のうちで図1,2にも示される要素に関しては同一の符号を付している。
図3,4に示すように自動釣銭機100はさらに、駆動ローラ24a,25a、従動ローラ26a、押さえ板27a、ストッパ28aおよび経路切換部材29を備える。なお、図3,4に示す、駆動ローラ24a,25a、従動ローラ26a、押さえ板27aおよびストッパ28aは、搬送ベルト22aに対応したものである。図示はしていないが、搬送ベルト22b〜22fに対応して、2つの駆動ローラ、従動ローラ、押さえ板およびストッパがそれぞれ同様に設けられている。なお、6つの収納空間のそれぞれで硬貨を搬送できる幅広な1つのベルトを搬送ベルト22a〜22fの代わりに設けることもできる。そしてこの場合には、駆動ローラ24a,25a、従動ローラ26aおよび押さえ板27aは、当該1つのベルトの幅に応じたものを1つずつ設けることもできる。
駆動ローラ24a、駆動ローラ25aおよび従動ローラ26aは、駆動ローラ24aが最も手前側の高い位置にある状態で、直線上にそれぞれ位置している。駆動ローラ24a,25aは、駆動ローラ24aと従動ローラ26aとの間に掛け渡されている搬送ベルト22aを、その上面の硬貨が手前側(図3,4中の右側)に向かって搬送されるように回転させる。
押さえ板27aは、両端部を上方に折り曲げた細長い平板である。押さえ板27aは、搬送ベルト22aの内の分離ローラ21よりも手前側の部分の上面に対向している。押さえ板27aと搬送ベルト22aとの間隔は、硬貨一枚の厚みよりも若干大きい。かくして、押さえ板27aと搬送ベルト22aとの間隙には、分離ローラ21により一枚ずつ送り込まれた硬貨Cが一列に整列される。つまり押さえ板27aと搬送ベルト22aとの間隙が待機部19bである。
ストッパ28aは、図3に示す上位置と図4に示す下位置との間で往復移動可能である。ストッパ28aは、上位置にあるとき、硬貨を通過可能とする間隙を搬送ベルト22aとの間に形成する。ストッパ28aは、下位置にあるとき、硬貨を通過不可能とする程度に搬送ベルト22aに近接する。つまりストッパ28aは、搬送ベルト22aにより搬送されてきた硬貨をそのまま通過させる状態と、同硬貨を塞き止める状態とを選択的に形成する。
経路切換部材29は、それぞれ平板状であり、かつ互いの角度が鈍角をなす案内部29aおよび壁部29bを有する。経路切換部材29は、壁部29bが案内部29aよりも受け皿2に近接するとともに、壁部29bがほぼ鉛直方向に沿う状態で、駆動ローラ24aと受け皿2との間に配置されている。従って、案内部29aは、駆動ローラ側24側から受け皿2側に向かって徐々に低くなっている。経路切換部材29は、図3に示す下位置と図4に示す上位置との間で往復移動可能である。経路切換部材29が下位置にあるとき、ストッパ28aの下方を通過して搬送ベルト22aにより搬送されてきた硬貨は、案内部29aの上面を伝って受け皿2へと落下する。つまり、案内部29aの上面を伝って、案内部29aと自動釣銭機100の筐体100aとの間の開口を介して受け皿2へと硬貨が払い出される。従って、上記の開口が払出口となる。経路切換部材29が上位置にあるとき、ストッパ28aの下方を通過して搬送ベルト22aにより搬送されてきた硬貨は、壁部29bによって遮られて受け皿2には到達せずに、下方に落下する。搬送ベルト22aと壁部29bとの間、さらにはその下方には、ドロワ5に形成された第2の収納部5aまで連続する空間を形成していて、硬貨はこの空間を通って第2の収納部5aへと落下する。経路切換部材29は、図3,4の奥行き方向に関して、搬送ベルト22a〜22fの全てに対向している。従って経路切換部材29は、搬送ベルト22b〜22fにより搬送された硬貨に対しても上記と同様に機能する。かくして搬送ベルト22a〜22fは、排出手段として機能する。
ドロワ5は、上方を開放した空間を形成しており、この空間が第2の収納部5aである。第2の収納部5aは、図3,4の奥行き方向に関して、搬送ベルト22a〜22fのそれぞれから落下した硬貨の全てを受けることが可能な幅を有している。第2の収納部5aは、搬送ベルト22a〜22fのそれぞれから落下した硬貨を、金種の区別無く収納する。ドロワ5は、図4に示すように引き出すことが可能である。
図5は自動釣銭機100の電気的な構成のブロック図である。なお、図5に示される要素のうちで図1〜4にも示される要素に関しては同一の符号を付している。
図5に示すように自動釣銭機100は、表示器3、操作キー群4、投入センサ群6、計測センサ群11、収納センサ群18、排出センサ群23、CPU(central processing unit)30、ROM(read-only memory)31、RAM(random-access memory)32、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)33、通信インタフェース34、モータ群35、ソレノイド群36および伝送システム37を含む。なお、伝送システム37は、アドレスバスおよびデータバスなどを含んだバスラインと、シリアルバスまたはパラレルバスと、バスラインとシリアルバスまたはパラレルバスとの間でのデータ伝送を仲介するインタフェース回路とを含む。伝送システム37は、表示器3、操作キー群4、投入センサ群6、計測センサ群11、収納センサ群18、排出センサ群23、CPU30、ROM31、RAM32、EEPROM33、通信インタフェース34、モータ群35およびソレノイド群36の間で授受されるデータや信号を伝送する。
投入センサ群6は、投入センサ6a,6bを含む。
収納センサ群18は、収納センサ18a〜18fを含む。
排出センサ群23は、排出センサ23a〜23fを含む。
CPU30、ROM31、RAM32およびEEPROM33は、伝送システム37により接続されてコンピュータを構成する。
CPU30は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU30は、ROM31またはEEPROM33が記憶するアプリケーションプログラムに記述された処理を実行することで、自動釣銭機100としての動作を実現するように各部を制御する。
ROM31は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM31は、上記のアプリケーションプログラムのほか、CPU30が各種の処理を行う上で使用するための固定的なデータを記憶する。
RAM32は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM32は、CPU30が各種の処理を行う上で使用するデータを一時的に記憶する。
EEPROM31は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。EEPROM31は、CPU30が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU30での処理によって生成されたデータを保存する。EEPROM31は、上述したアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。EEPROM31が記憶するデータの中には、収納している硬貨の枚数を管理するための管理テーブルを含む。
図6はEEPROM31が記憶する管理テーブル60の構造を模式的に示す図である。
管理テーブル60は、4つの情報フィールド61,62,63,64を含んだデータレコードの集合である。情報フィールド61には、第1の収納部19で収納する硬貨の金種が記述される。図6では、A、B、C、D、E、Fと示しているが、例えば1円、50円、5円、100円、10円、500円と記述される。情報フィールド62には、各金種について、第1の収納部19に収納されている硬貨の枚数が記述される。なお以下においては、情報フィールド62に記述される収納枚数を、図6に示すようにNA、NB、NC、ND、NE、NFと表すこととする。情報フィールド63には、各金種について、第1の収納部19に収納可能な硬貨の枚数が記述される。なお以下においては、情報フィールド63に記述される収納枚数を、図6に示すようにNAmax、NBmax、NCmax、NDmax、NEmax、NFmaxと表すこととする。情報フィールド64には、各金種について、第2の収納部5aに収納されている硬貨の枚数が記述される。なお以下においては、情報フィールド64に記述される収納枚数を、図6に示すようにKA、KB、KC、KD、KE、KFと表すこととする。
通信インタフェース34は、自動釣銭機100が接続されるPOS端末200とCPU30との間の通信を仲介する。POS端末200は、決済端末の一例である。通信インタフェース34には、電子キャッシュレジスタなどの他の種類の決済端末が接続される場合もある。
モータ群35は、複数のモータを含む。これら複数のモータは、搬送ベルト7,10,14,17,22a〜22fをそれぞれ駆動するための駆動ローラや、投入ローラ8および分離ローラ21をそれぞれ回転させる。なお、上記の駆動ローラには、駆動ローラ24a,25aが含まれる。駆動ローラ24a,25a以外の駆動ローラは図示を省略している。モータ群35は、上記の複数のローラと同数のモータを含んでいても良いし、一部の複数のローラを回転させるためのモータが共通であっても良い。例えば、搬送ベルト22a〜22fのそれぞれを駆動するための駆動ローラを回転させるモータが1つであっても良い。
ソレノイド群36は、シャッタ13、ストッパ28aを含む6つのストッパ、ならびに経路切換部材29をそれぞれ往復移動させるための複数のソレノイドを含む。
次に以上のように構成された自動釣銭機100の動作について説明する。
図7、図8、図9および図10はCPU30のフローチャートである。ROM31またはEEPROM33に記憶されたアプリケーションプログラムを実行することによってCPU30は、図7に示す制御処理、図8,9に示す制御処理、あるいは図10に示す制御処理をそれぞれ実行する。なお、以下に説明する制御処理の内容は一例であって、適宜に処理の順序を入れ替えたり、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を置換して用いたりすることができる。
CPU30は、自動釣銭機100がメンテナンスモードで起動されると、図7に示す制御処理を開始する。自動釣銭機100は例えば、メンテナンスモードでの起動を指定する所定の操作を伴って電源が投入されると、メンテナンスモードで起動する。CPU30は、この制御処理による動作を停止する必要が生じるまでの間は、この制御処理を継続する。
Act1においてCPU30は、準備金の設定が指定されたか否かを確認する。そしてCPU30は、準備金の設定が指定されていなければNoと判定し、Act2へと進む。
Act2においてCPU30は、準備金の設定以外の処理が指定されたか否かを確認する。そしてCPU30は、他の処理も指定されていないならばNoと判定し、Act1へと戻る。ただし、Act2における処理は、複数の処理のそれぞれが指定されたか否かを確認する複数の処理を含むが、ここでは図示およびその詳細な説明は省略する。
かくしてAct1およびAct2においてCPU30は、準備金の設定を含む各種の処理のうちのいずれかが指定されるのを待ち受ける。なお、処理の指定は、例えば操作キー群4を利用した利用者による操作によりなされる。そしてCPU30は、準備金の設定以外の処理が指定されたならば、Act2にてYesと判定し、指定された処理に移行する。なお、このときに移行する処理については、説明を省略する。しかしながらCPU30は、準備金の設定が指定されたならば、Act1にてYesと判定し、Act3へと進む。
Act3においてCPU30は、金種毎の準備金枚数Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pfをそれぞれ入力する。CPU30は具体的には、例えば操作キー群4を利用して利用者により金種毎に指定される数値を、準備金枚数Pa〜Pfとしてそれぞれ入力する。
Act4においてCPU30は、準備金枚数Pa〜PfをEEPROM33に保存する。CPU30は、過去に設定された準備金枚数Pa〜PfがEEPROM33に既に保存されているならば、その過去の準備金枚数Pa〜Pfに、今回新たに入力した準備金枚数Pa〜Pfを上書きする。かくしてEEPROM33には、最も新しく入力した準備金枚数Pa〜Pfのみが記憶される。CPU30はこののち、Act1,2の待ち受け状態に戻る。
CPU30は、自動釣銭機100が通常モードで起動されると、図8,9に示す制御処理を開始する。自動釣銭機100は例えば、動作モードの指定のための特別な操作を伴わずに電源が投入されると、通常モードで起動する。CPU30は、この制御処理による動作を停止する必要が生じるまでの間は、この制御処理を継続する。
Act11においてCPU30は、収納枚数NA〜NFを初期設定する。CPU30は具体的には、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFを、EEPROM33に保存されている準備金枚数Pa〜Pfのそれぞれに更新する。
ところで、準備金とは、第1の収納部19に予め収納しておく硬貨である。自動釣銭機100においては、通常モードで起動するに当たっては、予め定めた準備金枚数Pa〜Pfと同数の硬貨を第1の収納部19に収納しておくことを運用上のルールとしておく。かくして、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFは、第1の収納部19に収納された各金種の硬貨の枚数と同数とされる。ただし、通常モードを起動する際に、第1の収納部19に収納された硬貨の金種毎の枚数と準備金枚数Pa〜Pfとを一致させるための運用は、任意であって良い。例えば、第1の収納部19に収納されている硬貨の金種毎の枚数に合致するように、メンテナンスモードで準備金枚数Pa〜Pfを設定する運用としても良い。
Act12においてCPU30は、変数Na,Nb,Nc,Nd,Ne,Nfをそれぞれ0にクリアする。変数Na〜Nfは、金種A〜Fのそれぞれの硬貨の投入枚数をカウントするための変数である。
Act13においてCPU30は、投入口1から硬貨が投入されたか否かを確認する。CPU30は、投入センサ6a,6bにより硬貨が検出されない限りは、Noと判定し、Act13を繰り返す。かくしてCPU30はAct13においては、投入センサ6a,6bにより硬貨が検出されるのを待ち受ける。そしてCPU30は、投入口1から投入された硬貨を投入センサ6a,6bが検出したことに応じてYesと判定し、Act14へと進む。
Act14においてCPU30は、投入口1から投入された硬貨の奥行き方向への搬送(以下、奥行き搬送と称する)を開始する。具体的にはCPU30は、搬送ベルト7、投入ローラ8および搬送ベルト10を駆動するべくモータ群35を制御する。これにより、投入口1から投入された硬貨は、搬送ベルト7および投入ローラ8により、一枚ずつガイド板9と搬送ベルト10との間に送り込まれる。そして硬貨は、ガイド板9と搬送ベルト10との間を搬送ベルト10により奥行き方向に搬送される。このときに硬貨は、計測センサ群11の上方を通過する。計測センサ群11は、このように通過した硬貨の属性値を計測し、出力する。
なお、このときには搬送ベルト17は駆動されていない。このため、搬送ベルト10の端部まで搬送された硬貨は、搬送ベルト14の上に一時的に保留される。
さてCPU30は、上記のように奥行き搬送を行っているときには、図8,9に示す制御処理とは別タスク処理にて、計測センサ群11により計測された属性値に基づく金種の判定を行っている。この判定処理は、硬貨の金種判定のための周知の処理であって良いため、ここではその説明は省略する。このためCPU30は、計測センサ群11の上方を硬貨が通過し、その属性値が計測センサ群11で計測される毎に、判定処理により金種を判定する。なお、CPU30とは別のプロセッサを備え、このプロセッサにより上記の判定処理を実行しても良い。この判定処理においては、金種A〜Fのそれぞれに関して予め定められた基準に合致しない硬貨は、不正硬貨として判定される。そして、図8,9では省略しているが、CPU30は、不正硬貨がリジェクト孔12に到達するタイミングで、シャッタ13を開放するようにソレノイド群36を制御する。これにより、不正硬貨は、リジェクト孔12から排出される。
Act15においてCPU30は、予め定めた待機時間を計時するタイマをリセットする。タイマは、CPU30による別タスクの処理により実現されるソフトウェアタイマであっても良いし、自動釣銭機100に設けられたハードウェアタイマであっても良い。待機時間は、奥行き搬送により搬送される複数の硬貨が計測センサ群11の上方を通過する時間間隔として生じ得ないような時間に、例えば自動釣銭機100の設計者により定められる。
Act16においてCPU30は、上記の判定処理により金種が判定されたか否かを確認する。そしてCPU30は、金種が判定されていないならばNoと判定し、Act17へと進む。
Act17においてCPU30は、タイマがタイムアウトしたか否かを確認する。そしてCPU30は、タイマがタイムアウトしていないならばNoと判定し、Act16に戻る。
かくしてCPU30は、Act16およびAct17において、金種が判定されるか、あるいはタイムアウトするのを待ち受ける。そしてCPU30は、金種が判定されたならばAct16にてYesと判定し、Act18へと進む。
Act18においてCPU30は、変数Na〜Nfのうちの判定された金種に対応するものを1つカウントアップする。こののちにCPU30は、Act15以降の処理を繰り返す。つまりCPU30は、判定された金種に関する投入枚数のカウント値をカウントアップしたならば、タイマをリセットした上でAct16,17の待ち受け状態に戻る。つまり、CPU30がAct16,17の待ち受け状態に戻った際には、カウンタは直前の金種判定からの経過時間をカウントしている。そしてCPU30は、新たな金種判定がなされることなくタイマがタイムアウトしたならば、Act17にてYesと判定し、Act19へと進む。かくしてアプリケーションプログラムに基づいてこの制御処理をCPU30が実行することによって、CPU30を中枢部分とするコンピュータは第1の計数手段として機能する。
Act19においてCPU30は、奥行き搬送を停止するようにモータ群35を制御する。
Act20においてCPU30は、投入金額を算出し、POS端末200へと通知する。CPU30は、変数Na〜Nfのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和として投入金額を求める。こののちにCPU30は、図8のAct21へと進む。
このように投入金額をPOS端末200へと通知したならば、POS端末200は、その投入金額を含む預かり金額と決済金額とに基づいて釣銭額を算出し、硬貨で払い出すべき金額を自動釣銭機100に通知する。
Act21においてCPU30は、釣銭としての硬貨の払い出しが必要であるか否かを確認する。そしてCPU30は、上記のように通知された金額が1円以上であるならばYesと判定し、Act22へと進む。
Act22においてCPU30は、各金種の払い出し枚数Ma,Mb,Mc,Md,Me,Mfを決定する。この決定は、上記のように通知された金額と、EEPROM33に記憶された管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFとを考慮して、周知のようになされる。
Act23においてCPU30は、ソレノイド群36を制御し、経路切換部材29を第1の状態にセットする。第1の状態は、経路切換部材29を図3に示す下位置に位置させた状態である。
Act24においてCPU30は、第1の収納部19に収納されている各金種の硬貨を、払い出し枚数Ma,Mb,Mc,Md,Me,Mfだけ第1の収納部19から排出する。CPU30は具体的には、モータ群35を制御して搬送ベルト22a〜22fをそれぞれ駆動する。またCPU30はソレノイド群36を制御して、排出センサ23a〜23fでの硬貨の検出枚数が払い出し枚数Ma〜Mfに一致するまで、ストッパ28aおよび搬送ベルト22b〜22fのそれぞれに対向したストッパを、図3に示す上位置に位置させる。第1の収納部19から排出された硬貨は、案内部29aの上面を伝って受け皿2に落下する。つまり第1の収納部19から排出された硬貨は、釣銭として受け皿2へと払い出される。そしてCPU30は、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFを、払い出し枚数Ma〜Mfをそれぞれ減じた値に更新する。
CPU30は、Act24を終えたならば、Act25へと進む。なお、POS端末200から通知された払い出すべき金額が0円であったならば、Act21にてNoと判定し、Act22〜24をパスしてAct25へと進む。
Act25においてCPU30は、搬送ベルト14の上に一時的に保留してある硬貨を第1の収納部19に収納することによりオーバーフローが生じるか否かを確認する。CPU30は具体的には、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFと投入枚数Na〜Nfとの和を金種毎に求め、その値が管理テーブル60に記述された同金種の収納容量を越えているか否かを確認する。つまりCPU30は、例えば金種Aに着目すれば、[NA+Na>NAmax]なる関係が成立するならば、オーバーフローが生じると判定する。そしてCPU30は、このような判定を金種毎に行うことにより、オーバーフローが生じる金種を検知する。かくしてアプリケーションプログラムに基づいて図8,9に示す制御処理をCPU30が実行することによって、CPU30を中枢部分とするコンピュータは検知手段として機能する。そしてCPU30は、いずれか1つの金種でもオーバーフローが発生するならばYesと判定し、Act26へと進む。
Act26においてCPU30は、待避枚数Ka,Kb,Kc,Kd,Ke,Kfを決定する。CPU30は具体的には、オーバーフローが生じる金種については、その金種について管理テーブル60に記述された収納容量から、同金種について管理テーブル60に記述された収納枚数と同金種についての投入枚数とを差し引いた値として待避枚数を決定する。CPU30は、例えば金種Aに着目すれば、[NAmax−NA+Na]として求まる値を待避枚数Kaとして決定する。CPU30は、オーバーフローが生じない金種についての待避枚数は0に設定する。ただし待避枚数は、ある金種について、管理テーブル60に記述された収納枚数から待避枚数を差し引いた上で投入枚数を加えて求まる値が、同金種について管理テーブル60に記述された収納容量以下となる値とすれば良い。つまりCPU30は、例えば金種Aに着目すれば、[NA−Ka+Na≦NAmax]なる関係が成立するように、待避枚数Kaを定めれば良い。従ってCPU30は、上記のようにして求まる値に一定数を加えた数として待避枚数を決定しても良い。あるいはCPU30は、投入枚数をそのまま待避枚数としても良い。
Act27においてCPU30は、ソレノイド群36を制御し、経路切換部材29を第2の状態にセットする。第2の状態は、経路切換部材29を図4に示す上位置に位置させた状態である。
Act28においてCPU30は、第1の収納部19に収納されている各金種の硬貨を、待避枚数Ka〜Mfだけ第1の収納部19から排出する。第1の収納部19から排出された硬貨は、壁部29bによって遮られて受け皿2には払い出されず、第2の収納部5aへと落下する。つまり、第1の収納部19から排出された硬貨は、第2の収納部5aに収納される。そしてCPU30は、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFを、待避枚数Ka〜Kfをそれぞれ減じた値に更新する。またCPU30は、管理テーブル60に記述された収納枚数KA〜KFを、待避枚数Ka〜Mfをそれぞれ加えた値に更新する。かくして、経路切換部材29は選択機構に相当する。またアプリケーションプログラムに基づいて図8,9に示す制御処理をCPU30が実行することによって、CPU30を中枢部分とするコンピュータは制御手段として機能する。そして、経路切換部材29とコンピュータとの協働により、第2の収納手段としての機能が実現される。また、CPU30による処理の下に、EEPROM33が第2の収納部5aにおける金種毎の収納枚数KA〜KFを記憶するのであり、CPU30を中枢部分とするコンピュータとEEPROM33との協働により、記憶手段としての機能が実現される。さらにCPU30を中枢部分とするコンピュータは、第2の計数手段として機能する。
CPU13は、Act28を終えたならば、Act29へと進む。なおCPU30は、金種A〜Fのいずれにおいてもオーバーフローが生じないならば、Act25にてNoと判定し、Act26〜28をパスしてAct29へと進む。
Act29においてCPU30は、搬送ベルト14の上に一時的に保留してある硬貨の横方向への搬送(以下、横行き搬送と称する)を開始する。具体的にはCPU30は、搬送ベルト14,17を駆動するべくモータ群35を制御する。これにより、搬送ベルト14の上に一時的に保留してある硬貨は、搬送ベルト14により、搬送ベルト17と選別板15との間に緩やかに送り込まれる。そして硬貨は、搬送ベルト17によって、搬送ベルト17と選別板15との間を、一枚ずつ横方向に搬送される。このときに硬貨は、選別孔16a〜16fのいずれかを通って選別板15から落下する。かくして、搬送ベルト7,10,14,17、投入ローラ8、ガイド板9および選別板15によって、第1の収納手段として機能する機構が構成されている。なお、選別板15から落下した硬貨は、収納センサ18a〜18fのいずれかで検出される。
Act30においてCPU30は、予め定めた待機時間を計時するタイマをリセットする。タイマは、CPU30による別タスクの処理により実現されるソフトウェアタイマであっても良いし、自動釣銭機100に設けられたハードウェアタイマであっても良い。待機時間は、横行き搬送により搬送される選別孔16a〜16fのいずれかを通って選別板15から落下する時間間隔として生じ得ないような時間に、例えば自動釣銭機100の設計者により定められる。
Act31においてCPU30は、収納センサ18a〜18fのいずれかで硬貨が検出されたか否かを確認する。そしてCPU30は、収納センサ18a〜18fのいずれでも硬貨が検出されていないならばNoと判定し、Act32へと進む。
Act32においてCPU30は、タイマがタイムアウトしたか否かを確認する。そしてCPU30は、タイマがタイムアウトしていないならばNoと判定し、Act31に戻る。
かくしてCPU30は、Act31およびAct32において、収納センサ18a〜18fのいずれかで硬貨が検出されるか、あるいはタイムアウトするのを待ち受ける。そしてCPU30は、硬貨が検出されたならばAct31にてYesと判定し、Act33へと進む。
Act33においてCPU30は、管理テーブル60に記述された収納枚数NA〜NFのうちの硬貨を検出した収納センサに対応するものを1つ増加するように更新する。こののちにCPU30は、Act30以降の処理を繰り返す。つまりCPU30は、検出された硬貨の金種に関する収納枚数を1つ増加したならば、タイマをリセットした上でAct31,32の待ち受け状態に戻る。つまり、CPU30がAct31,32の待ち受け状態に戻った際には、カウンタは直前の硬貨検出からの経過時間をカウントしている。そしてCPU30は、収納センサ18a〜18fのいずれかで新たに硬貨が検出されることなくタイマがタイムアウトしたならば、Act32にてYesと判定し、Act34へと進む。
Act34においてCPU30は、横行き搬送を停止するようにモータ群35を制御する。そしてこののちにCPU30は、図8中のAct12に戻る。
CPU30は、自動釣銭機100が動作しているとき、図7または図8,9に示す制御処理とは別に、図10に示す制御処理を実行する。
Act41においてCPU30は、表示要求がなされたか否かを確認する。そしてCPU30は、表示要求がなされていないならばNoと判定し、Act42へと進む。
Act42においてCPU30は、通知要求がなされたか否かを確認する。そしてCPU30は、通知要求がなされていないならばNoと判定し、Act41に戻る。
かくしてCPU30は、Act41,42において、表示要求または通知要求が生じるのを待ち受ける。
利用者は、自動釣銭機100における硬貨の収納状況を確認したい場合に、操作キー群4を操作して表示要求を行う。そうするとCPU30は、Act41でYesと判定し、Act43へと進む。
Act43においてCPU30は、出力先フラグを0とする。出力先フラグは、例えばRAM32またはEEPROM33内の1ビットのデータである。そしてCPU30はこののち、Act45へと進む。
一方、POS端末200で自動釣銭機100における硬貨の収納状況を確認したい場合には、POS端末200の利用者によるPOS端末200での操作に応じて、POS端末200が通知要求を送信する。この通知要求は、通信インタフェース34により受信され、CPU30に与えられる。これに応じてCPU30は、Act42にてYesと判定し、Act44へと進む。
Act44においてCPU30は、出力先フラグを1とする。そしてCPU30はこののち、Act45へと進む。
表示要求および通知要求では、第1〜第6の項目のそれぞれをオン・オフ設定できる。オン設定された項目が、表示または通知の対象となる。第1の項目は、第1の収納部19に収納された硬貨の総額(以下、第1の収納金額と称する)である。第2の項目は、第2の収納部5aに収納された硬貨の総額(以下、第2の収納金額と称する)である。第3の項目は、第1の収納部19および第2の収納部5aに収納された硬貨の総額(以下、総収納金額と称する)である。第4の項目は、第1の収納部19に収納された硬貨の金種毎の枚数(以下、第1の収納枚数と称する)である。第5の項目は、第2の収納部5aに収納された硬貨の金種毎の枚数(以下、第2の収納枚数と称する)である。第6の項目は、第1の収納部19および第2の収納部5aに収納された硬貨の総枚数(以下、総収納枚数と称する)である。
Act45においてCPU30は、第1の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第1の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act46へと進む。
Act46においてCPU30は、第1の収納金額を求めて、この第1の収納金額を出力データに含める。出力データは、RAM32に記憶される。具体的にはCPU30は、収納枚数NA〜NFのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和として第1の収納金額を求める。そしてCPU30は、この第1の収納金額を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act46を終えると、Act47へと進む。CPU30は、第1の項目がオフ設定であるならば、Act45でNoと判定し、Act46をパスしてAct47へと進む。
Act47においてCPU30は、第2の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第2の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act48へと進む。
Act48においてCPU30は、第2の収納金額を求めて、この第2の収納金額を出力データに含める。具体的にはCPU30は、収納枚数KA〜KFのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和として第2の収納金額を求める。そしてCPU30は、Act46にて既に出力データをRAM32に保存しているならば、この出力データに第2の収納金額を含める。CPU30は、Act46をパスしているならば、第2の収納金額を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act48を終えると、Act49へと進む。CPU30は、第2の項目がオフ設定であるならば、Act47でNoと判定し、Act48をパスしてAct49へと進む。
Act49においてCPU30は、第3の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第3の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act50へと進む。
Act50においてCPU30は、総収納金額を求めて、この総収納金額を出力データに含める。具体的にはCPU30は、収納枚数NA〜NFのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和と、収納枚数KA〜KFのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和とをそれぞれ足し合わせて総収納金額を求める。そしてCPU30は、Act46またはAct48にて既に出力データをRAM32に保存しているならば、この出力データに総収納金額を含める。CPU30は、Act46およびAct48の双方をパスしているならば、総収納金額を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act50を終えると、Act51へと進む。CPU30は、第3の項目がオフ設定であるならば、Act49でNoと判定し、Act50をパスしてAct51へと進む。
Act51においてCPU30は、第4の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第4の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act52へと進む。
Act52においてCPU30は、管理テーブルに記述された収納枚数NA〜NFのそれぞれの値を金種毎の第1の収納枚数として出力データに含める。具体的にはCPU30は、Act46、Act48またはAct50にて既に出力データをRAM32に保存しているならば、この出力データに第1の収納枚数を含める。CPU30は、Act46、Act48およびAct50の全てをパスしているならば、第1の収納枚数を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act52を終えると、Act53へと進む。CPU30は、第4の項目がオフ設定であるならば、Act51でNoと判定し、Act52をパスしてAct53へと進む。
Act53においてCPU30は、第5の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第5の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act54へと進む。
Act54においてCPU30は、管理テーブルに記述された収納枚数KA〜KFのそれぞれの値を金種毎の第2の収納枚数として出力データに含める。具体的にはCPU30は、Act46、Act48、Act50またはAct52にて既に出力データをRAM32に保存しているならば、この出力データに第2の収納枚数を含める。CPU30は、Act46、Act48、Act50およびAct52の全てをパスしているならば、第2の収納枚数を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act54を終えると、Act55へと進む。CPU30は、第5の項目がオフ設定であるならば、Act53でNoと判定し、Act54をパスしてAct55へと進む。
Act55においてCPU30は、第6の項目がオン設定となっているか否かを確認する。CPU30は、第6の項目がオン設定であるならばYesと判定し、Act56へと進む。
Act56においてCPU30は、総収納枚数を求めて、この総収納枚数を出力データに含める。具体的にはCPU30は、管理テーブルに記述された収納枚数NA〜NFと収納枚数KA〜KFとの和を金種毎に求め、それぞれの値を金種毎の総収納枚数とする。CPU30は、Act46、Act48、Act50、Act52またはAct54にて既に出力データをRAM32に保存しているならば、この出力データに総収納枚数を含める。CPU30は、Act46、Act48、Act50、Act52およびAct54の全てをパスしているならば、総収納枚数を含んだ出力データを生成し、RAM32に保存する。
CPU30は、Act56を終えると、Act57へと進む。CPU30は、第6の項目がオフ設定であるならば、Act55でNoと判定し、Act56をパスしてAct57へと進む。
Act57においてCPU30は、出力先フラグが0となっているか否かを確認する。そしてCPU30は、出力先フラグが0となっているならばYesと判定し、Act58へと進む。CPU30は、出力先フラグが1となっているならばNoと判定し、Act59へと進む。
Act58においてCPU30は、出力データに含まれる情報を表示器3に表示させる。そしてCPU30はこののちに、Act41,42の待ち受け状態に戻る。なお、図10では図示を省略しているが、CPU30は、例えば表示終了の指示のための操作が操作キー群4で行われた場合などの所定のタイミングにて表示器3での表示を終了させる。
Act59においてCPU30は、出力データを通信インタフェース34からPOS端末200へと送信する。そしてCPU30はこののちに、Act41,42の待ち受け状態に戻る。
以上のようにして、アプリケーションプログラムに基づいて図10に示した制御処理をCPU30が実行することにより、CPU30を中枢部分とするコンピュータと表示器3または通信インタフェース34との協働により出力手段として機能が実現される。
以上のように自動釣銭機100は、投入された硬貨を第1の収納部19に収納するのに先立って、第1の収納部19に収納されている硬貨を第2の収納部5aへと移す。これにより、第1の収納部19がオーバーフローすることを防止できる。第2の収納部5aは、金種の区別なく硬貨を収納するため、複数の金種を個別に収納する場合に比べて空間を有効に利用可能であり、オーバーフローが生じる危険性が低い。
また自動釣銭機100は、第2の収納部5aへは、オーバーフローが生じる金種の硬貨のみを収納する。これにより、投入された硬貨の全てを第2の収納部5aに収納する場合に比べて、第2の収納部5aに収納する硬貨の枚数を減少することができる。
また自動釣銭機100は、第2の収納部5aへの金種毎での硬貨の収納を、経路切換部材29を設けることにより、釣銭を受け皿2へと払い出すための機構をそのまま流用して行うようにしているため、簡易な構成により実現できる。
また自動釣銭機100は、釣銭として払い出すための硬貨の第1の収納部19からの排出を、投入された硬貨の第1の収納部19への収納に先立って行う。そしてこのような硬貨の排出を行った後における第1の収納部19での各金種の硬貨の収納枚数に基づいてオーバーフローする枚数を判定している。この結果、第2の収納部5aへと硬貨を収納する頻度やその枚数を減少できる。
例えば自動釣銭機100では第2の収納部5aへと収納している硬貨を受け皿2へと払い出すようにした場合、その都度、自動釣銭機100の利用者等がこの払い出された硬貨を回収しなければならない。しかしながら自動釣銭機100では、第2の収納部5aは通常は自動釣銭機100の内部に位置する。このため、第2の収納部5aへと硬貨を収納する度に、第2の収納部5aから硬貨を回収する必要はない。さらには、受け皿2には釣銭のみが払い出されるため、釣銭の受け渡しに支障がない。
また自動釣銭機100は、CPU30の制御の下に、第2の収納部5aに収納した硬貨の金種毎の枚数を収納枚数KA〜KFとしてEEPROM33に保存する。このため、当該収納枚数KA〜KFを参照することによって、第2の収納部5aにおける硬貨の収納状況を確認することができる。
さらに自動釣銭機100は、収納枚数KA〜KFを金種毎の第2の収納枚数として、表示器3での表示やPOS端末200への送信という形で出力する。このため、第2の収納部5aにおける硬貨の収納状況を、利用者が表示器3やPOS端末200で容易に確認することができる。硬貨の金種毎の枚数であれば、第2の収納部5aに収納されている硬貨の総額も容易に求めることが可能であるから、自動釣銭機100に収納されている硬貨の在高を確認することも容易である。
さらに自動釣銭機100は、第2の収納枚数の他に、第1の収納枚数、総収納枚数、第1の収納金額、第2の収納金額および総収納金額を適宜に出力することもできる。このため、第2の収納部5aにおける硬貨の収納状況のみではなく、第1の収納部19における硬貨の収納状況や、自動釣銭機100全体での硬貨の収納状況などを確認することが可能である。また例えば金種毎の枚数ベースでの管理の他に、総額ベースでの管理とするなどのように自動釣銭機100での硬貨の収納状況の管理形態の自由度を高めることが可能である。
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
CPU30はAct28においては、収納枚数KA〜KFを更新するのに加えて、あるいは代えて、待避枚数Ka〜Kfのそれぞれに金種毎の金額を乗じた値の総和の積算値として第2の収納金額を算出し、これをEEPROM33に保存しても良い。
CPU30は、Act22で払い出し枚数Ma〜Mfを決定したのちに、この払い出し枚数Ma〜Mfと収納枚数NA〜NFとから待避枚数Ka〜Kfを決定し、Act23,24に先立ってAct27,28を実行しても良い。
第1の収納部19で収納可能な金種は、6種類には限らない。
紙幣を収納する既存の構造の貨幣収納装置においても、図8,9に示した制御処理を適用することが可能である。ただし、Act14,19,24,28,29,34などにおける制御対象が変わることがある。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。