JP2016144791A - 銅含有水の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅含有水から銅を再利用可能に回収するにあたって、回収操作を良好に、かつ、純度の高い酸化銅を回収可能とする銅含有水の処理方法および処理装置を提供する。【解決手段】銅含有水W1を収容するpH調整槽11と、pH調整槽11内にpH調整剤を添加して水酸化銅を析出させるpH調整剤添加手段12と、pH調整された銅含有水を、水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する遠心分離機13と、濃縮液を60〜100℃に加熱して、水酸化銅を酸化して酸化第二銅とする加熱手段14と、加熱された濃縮液を脱水処理して、酸化第二銅を含有する脱水ケーキCを得る脱水機15と、を有する銅含有水の処理装置10。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、銅含有水の処理方法および処理装置に関する。
銅は有価金属であり、銅を含む排水から得られる汚泥は、銅原料として回収、利用される。このとき、回収する銅を酸化銅の形にすれば、汚泥の脱水性が改善されるとともに、酸化銅は顔料、ガラス・陶器の着色剤、フェライト原料などとして直接用途があり、回収価値が向上する。
したがって、銅を含む排水から銅を回収するに際し、アルカリ剤を添加して水酸化銅とし、これを酸化させて酸化銅を回収する方法が種々検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、このような回収方法を行う際には、一般に、水酸化銅を加熱して酸化第二銅とするため、その加熱時に塩濃度が高いと、反応槽の腐食や劣化が生じるおそれがあること、酸化第二銅の粒子成長を阻害すること、などから回収される銅の純度が低下するおそれがある。また、水酸化銅は一般に微細な粒子であるため、脱水効率が悪く、汚泥ケーキの含水率が低減できないおそれがある。
特開平09−29266号公報 特開平05−319825号公報 特開2002−239559号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、銅含有水から銅を再利用可能に回収するにあたって、回収操作を良好に、かつ、純度の高い酸化銅を回収可能とする銅含有水の処理方法および処理装置を提供することである。
実施形態の銅含有水の処理方法は、銅含有水に、pHが5.0以上となるようにpH調整剤を添加して水酸化銅を析出させるpH調整工程と、前記pH調整工程を経た銅含有水を、遠心分離により前記水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する遠心分離工程と、前記濃縮液を60〜100℃に加熱し、前記水酸化銅を酸化して酸化第二銅とする加熱工程と、前記加熱工程を経た濃縮液を脱水処理して、前記酸化第二銅を含有する脱水ケーキを得る脱水工程と、を有することを特徴とする。
実施形態の銅含有水の処理装置は、銅含有水を収容するpH調整槽と、前記pH調整槽内に、pH調整剤を添加して水酸化銅を析出させるpH調整剤添加手段と、pH調整された銅含有水を、前記水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する遠心分離機と、前記濃縮液を60〜100℃に加熱し、前記水酸化銅を酸化して酸化第二銅とする加熱手段と、前記加熱された濃縮液を脱水処理して、前記酸化第二銅を含有する脱水ケーキを得る脱水機と、を有することを特徴とする。
第1の実施形態における銅含有水の処理方法のフローチャートである。 第1の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図である。 第3の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図である。
図1は、本実施形態における銅含有水の処理方法のフローチャートであり、図2は、第1の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図である。また、図3は第2の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図、図4は第3の実施形態における銅含有水の処理装置の概略構成を示す図である。
〔第1の実施形態〕
<銅含有水の処理方法>
第1の実施形態に係る銅含有水の処理方法は、図1のフローチャートに示した通り、銅を含有する銅含有水のpHが5.0以上となるようにpHを調整するpH調整工程(S1)と、該pH調整工程を経た銅含有水を、遠心分離により濃縮液と脱離液とに分離する遠心分離工程(S2)と、脱塩された濃縮液を60〜100℃に加熱して酸化第二銅を得る加熱工程(S3)と、加熱工程を経た濃縮液を脱水処理して、酸化第二銅を含有する脱水ケーキとする脱水工程(S4)と、を有する。
(銅含有水)
各工程を説明する前に、本実施形態で処理対象となる銅含有水について説明する。
ここで被処理水となる銅含有水は、水溶液中に銅を含有するものであって、銅がイオンとして溶解されて含有するものであり、例えば、エッチング液やメッキ液等の排液が挙げられる。これらの排液は、硫酸イオンや塩化物イオン等の陰イオン成分を同時に含有している。そのため、本実施形態で処理対象とする銅含有水のpHは、通常、5.0未満であり、典型的には2.0未満や、1.0未満の強酸性である。
(pH調整工程;S1)
上記のような銅含有水に対して、まず、pHが5.0以上となるようにpH調整剤を添加してpHを調整する。このように、銅含有水のpHを5.0以上とすることで、水溶液中に含有される銅イオンが水酸化銅となり、水溶液中に析出する。なお、銅含有水のpHは5.0〜12.0とすることが好ましく、6.0〜9.0とすることがより好ましい。
ここで使用するpH調整剤はアルカリであり、このアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、等が挙げられ、なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。なお、水酸化カルシウムは、このpH調整工程で使用可能であるが、後述する汚泥中の銅濃度が低くなり、ろ過性が不良で含水率の高い脱水ケーキを与える汚泥となる場合があるため好ましくない。
pH調整剤を添加することで、銅含有水のpHはアルカリ方向に変動する。このとき、上記のように銅含有水に溶解して含まれている銅イオンは、水酸化物イオンと反応して水酸化銅(II)〔Cu(OH)〕となり、銅含有水中で固形分として析出する。
(遠心分離工程;S2)
次いで、pH調整された銅含有水を遠心分離処理して、水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する。この遠心分離処理により、回収対象である水酸化銅を含有する溶液は濃縮され、その濃度が高められる。一方、回収にあたって不要なイオン成分は濃縮液からは除去(脱塩)され、脱離液として分離される。
ここで、遠心分離は、例えば、500×g〜1000×gの遠心力で、5分〜20分間、遠心分離処理を行うことが好ましい。
このようにして得られた濃縮液に水道水や工水を添加して希釈して流動性を高め、後段の処理を行うことが好ましい。なお、この遠心分離処理をすることにより脱塩されるため、後段の加熱工程における加熱時に、反応容器や配管等の腐食を抑制でき、また、酸化第二銅の粒子成長を良好なものとできる。
なお、より脱塩の効果を有効にするために、遠心分離処理を2回以上繰り返して行うことが好ましい。遠心分離処理を繰り返す場合には、一度遠心分離処理により得られた濃縮液に水道水や工水等の希釈液を添加して、これを循環させて再度遠心分離処理を行うようにすればよい。
遠心分離により得られる濃縮液への水道水や工水の添加は、例えば、遠心分離後の濃縮液を水頭差により一旦中継槽へ移動させ(すなわち、上部の遠心分離機構から下部の中継槽へ落下させる)、中継槽で水道水や工水を添加すればよい。特に、後段の加熱工程に移送するにあたっては、SS濃度を30000ppm(30000mg/L)未満に調整した後、ポンプを使用して移送することが好ましい。
ここで得られる移送される濃縮液は、塩化物イオンや硫化物イオン等の塩分濃度を100ppm以下、例えば50〜100ppm程度とするのが好ましい。また、この濃縮液のSS濃度を30000ppm以下、例えば15000〜20000ppm程度とするのが好ましい。また、この濃縮液の銅濃度を8000ppm以上、例えば10000〜15000ppm程度とすることが好ましい。
(加熱工程)
次いで、遠心分離工程で得られた濃縮液を60〜100℃に加熱し、濃縮液中に含まれる水酸化銅を酸化させて酸化第二銅を得る。ここで、水酸化銅は、濃縮液中で加熱するだけで、しかも、加熱温度を100℃超のような高温としなくても酸化でき、処理負担が軽減される。
このとき濃縮液の加熱は、濃縮液内に加熱蒸気を直接供給して加熱したり、容器内に収容された濃縮液をヒーターにより加熱したり、すればよい。このときの加熱は、濃縮液の温度を60〜100℃とし、この加熱状態を20分以上、好ましくは40分以上保持させる。このように濃縮液を加熱することで、酸化反応を効率的に進行させることができる。
なお、この加熱工程は、加熱を2段以上の多段階で行ってもよい。多段階で行う場合は、後段に行くほど加熱温度が高くなるように処理することが好ましい。例えば、加熱工程を2段階で行う場合には、1段目では60℃以上80℃未満で、20分〜2時間程度処理し、続いて2段目では80℃以上100℃未満で、15〜40分程度処理すればよい。また、3段階で行う場合には、1段目では60℃以上70℃未満で、20〜60分、2段階目では70℃以上85℃未満で、10〜30分、3段目では85℃以上100℃未満で、5〜20分程度処理すればよい。
このように多段階の加熱工程で、上記酸化反応を進行させることで、水酸化銅の酸化を十分に行うことができる。
(脱水工程)
最後に、酸化第二銅を含有する濃縮液を脱水処理して、酸化第二銅を含有する脱水ケーキを得る。この脱水工程は、汚泥の脱水として公知の脱水方法によればよく、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、スクリュープレス脱水機、遠心脱水機、真空脱水機等の脱水機により脱水処理を行えばよい。この脱水工程により得られる脱水ケーキが回収され、再利用される。
この脱水ケーキは、脱塩により酸化第二銅の結晶成長が阻害されるのを抑制できるため、銅含有量の多いものとなる。また、脱水性が良好であるため脱水ケーキ自体の量を少なくできる。そのため、本実施形態の銅含有水の処理方法は、銅の回収効率を向上させることができる。
なお、この脱水工程により得られる水分は、pH調整した銅含有水と混合して、再度、遠心分離工程から脱水工程を繰り返すように循環処理してもよいし、必要に応じて適当な最終処理をした後、排水してもよい。
<銅含有水の処理装置>
次に、この銅含有水の処理方法を実施する処理装置の一例を示す。図2に示すように、第1の実施形態に係る銅含有水の処理装置10は、被処理水である銅含有水を収容し、pH調整を行うpH調整槽11と、pH調整槽11内にpH調整剤を添加するpH調整剤添加手段12と、pH調整された銅含有水を遠心分離して濃縮液と脱離液に分離する遠心分離機13と、遠心分離により得られた濃縮液を加熱する加熱手段14と、加熱処理された濃縮液を脱水処理する脱水機15と、を有する。
pH調整槽11は、被処理水として供給される銅含有水W1を安定して収容できるものであればよい。また、ここではpH調整剤を添加してpH調整を行うため、pHの変動によっても影響を受けない材質で形成する。
pH調整剤添加手段12は、pH調整剤としてアルカリをpH調整槽11内に添加するものである。添加されたアルカリは、銅含有水と混合され、銅含有水のpHをアルカリ方向に変動させる。pH調整は、pH調整槽11内の銅含有水のpHを監視しながら随時適切なpHに調整できるように、pH測定器を設けることが好ましい。
遠心分離機13は、pH調整された銅含有水を濃縮液と脱離液W2とに分離するものであり、公知の遠心分離機を使用できる。遠心分離機としては、例えば、セパレーターやサイクロンセパレーター等が挙げられる。ここで得られる脱離液W2は、pH調整した銅含有水と混合して、再度、遠心分離機での処理を繰り返すように循環処理してもよいし、必要に応じて適当な最終処理をした後、排水してもよい。
この遠心分離機13には、中央に遠心分離を行う遠心分離機構と、その遠心分離機構を取り囲むように中継槽が配置されており、遠心分離後の濃縮液を水頭差により、中継槽に一旦収容させ(すなわち、上部の遠心分離機構から下部の中継槽内へ落下させる)、中継槽に水道水や工水等の希釈液W5を添加して濃縮液を希釈できるようになっている。濃縮液を希釈することで、次の加熱手段14への移送等がポンプにより可能となる。このようにすることで、取り扱いが容易となり、処理を効率的なものとできる。また、希釈液W5は中継槽の内部の洗浄にも使用できる。
また、遠心分離機の後段に調整槽を設け、遠心分離後の濃縮液を一旦調整槽に収容し、ここで水道水や工水等の希釈液を添加するようにして、再度遠心分離機13に供給するように循環させる循環手段を設けてもよい。このように遠心分離を繰り返し行うことができる構成とすることで脱塩を効果的に行うことができる。
加熱手段14は、遠心分離機13により得られた濃縮液を加熱して、濃縮液中の水酸化銅を酸化第二銅に酸化させることができるものであればよい。この加熱手段14としては、例えば、濃縮液を収容する反応容器14aと、その反応容器14a内の濃縮液中に加熱蒸気を供給する蒸気供給配管14bとから構成される。この蒸気供給配管14bは、100℃超の加熱蒸気を濃縮液中に供給し、濃縮液全体を加熱するものである。このとき、加熱蒸気を濃縮液中に広く拡散させて全体を加熱することが好ましい。
なお、上記では蒸気供給配管14bを例示したが、例えば、反応容器14aの外部にヒーターを配置し濃縮液を加熱する等、加熱手段14は濃縮液中の水酸化銅を加熱により酸化できる構成のものであればよい。
脱水機15は、汚泥の脱水に用いられる公知の脱水機が挙げられ、例えば、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、スクリュープレス脱水機、遠心脱水機、真空脱水機等が挙げられる。この脱水機15により得られる脱水ケーキCを回収し、銅資源として再利用する。
この脱水により得られる脱水液W3は、上記遠心分離機13における脱離液W2と同様に、pH調整した銅含有水と混合して、再度、遠心分離機での処理を繰り返すように循環処理してもよいし、必要に応じて適当な最終処理をした後、排水してもよい。
上記説明したように、第1の実施形態における銅含有水の処理方法および処理装置によれば、銅含有水から銅を再利用可能に回収するにあたって、回収操作を良好に、かつ、純度の高い酸化銅を回収できる。さらに、装置を構成する各要素の腐食等を有効に抑制でき、装置寿命を長くすることができる。これらの効果については、後述する第2および第3の実施形態においても同様である。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、遠心分離工程の前段に膜ろ過工程を実施する銅含有水の処理方法である。この銅含有水の処理方法を実施するための処理装置としては、図3に示したように、図2に示した銅含有水の処理装置10において、pH調整槽11と遠心分離機13との間に膜ろ過手段21を設けた実施形態である。
すなわち、図3に示した銅含有水の処理装置20は、被処理水である銅含有水を収容し、pH調整を行うpH調整槽11と、pH調整槽11内にpH調整剤を添加するpH調整剤添加手段12と、pH調整された銅含有水を膜ろ過して濃縮する膜ろ過手段21と、膜ろ過により濃縮された処理水を遠心分離して濃縮液と脱離液に分離する遠心分離機13と、遠心分離により得られた濃縮液を加熱する加熱手段14と、加熱処理された濃縮液を脱水処理する脱水機15と、を有する。
この膜ろ過手段21は、pH調整された銅含有水中の水分を透過してろ過水W4と水酸化銅が濃縮された処理水に分離するもので、公知の膜ろ過手段を使用できる。この膜ろ過手段21により、水酸化銅が濃縮された処理水は、遠心分離機13に送られ、第1の実施形態と同様に処理される。一方、ろ過されたろ過水W4は、上記遠心分離機13における脱離液W2と同様に、pH調整した銅含有水と混合して、再度、遠心分離機での処理を繰り返すように循環処理してもよいし、必要に応じて適当な最終処理をした後、排水してもよい。
なお、この膜ろ過手段21としては、中空糸型モジュール等が好ましく、クロスフローで通水処理するものであることが好ましい。クロスフローで処理することで、ろ過対象である水酸化銅の微粒子が膜表面に付着するのを軽減し、高い透過流速を維持することができる。
また、この膜ろ過手段21に用いられるろ過膜は、精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜であり、耐薬品性および耐熱性を有するものであることが好ましい。耐薬品性としては、例えば、酸、アルカリ、酸化剤等に耐性を有することが好ましく、特に高濃度のアルカリに耐性を有することが好ましい。耐熱性としては、例えば、80℃程度の温度に耐性を有することが好ましい。
この膜ろ過手段21のろ過膜の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等が好ましいものとして挙げられる。
このように遠心分離機13の前段に膜ろ過手段21を設けておくことで、被処理水の濃縮処理を膜ろ過手段21と遠心分離機13の2箇所で行うことができ、遠心分離機13の濃縮(脱水)の運転時間を軽減することができる。
なお、遠心分離機13の処理後に得られる濃縮液は、第1の実施形態と同様に、陰イオン濃度が100ppm以下、SS濃度が30000ppm以下、銅濃度が8000ppm以上となるように処理することが好ましい。
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、上記第1の実施形態に対して、遠心分離工程の後段に膜ろ過工程を実施する銅含有水の処理方法である。この銅含有水の処理方法を実施するための処理装置としては、図4に示したように、図2に示した銅含有水の処理装置10において、遠心分離機13と加熱手段14との間に膜ろ過手段21を設けた実施形態である。
すなわち、図4に示した銅含有水の処理装置30は、被処理水である銅含有水を収容し、pH調整を行うpH調整槽11と、pH調整槽11内にpH調整剤を添加するpH調整剤添加手段12と、pH調整された銅含有水を遠心分離して濃縮液と脱離液に分離する遠心分離機13と、遠心分離により得られた濃縮液を膜ろ過して濃縮する膜ろ過手段21と、膜ろ過された処理水を加熱する加熱手段14と、加熱処理された濃縮液を脱水処理する脱水機15と、を有する。
この第3の実施形態は、第2の実施形態とは遠心分離機13と膜ろ過手段21との配置が逆になっている点が異なり、それ以外は同一の構成である。膜ろ過手段21は、第2の実施形態と同一のものを使用できるので説明は省略する。
このように遠心分離機13の後段に膜ろ過手段21を設けておくことで、被処理水の濃縮処理を遠心分離機13と膜ろ過手段21の2箇所で行うことができ、遠心分離機13の負担を軽減することができる。
このとき遠心分離機13の処理後に得られる濃縮液の陰イオン濃度を200ppm以下、例えば50〜200ppm程度とするのが好ましい。また、この濃縮液のSS濃度を30000ppm以下、10000〜15000ppm程度とするのが好ましい。また、この濃縮液の銅濃度を6000ppm以上、6000〜9000ppm程度とすることが好ましい。
なお、ろ過膜手段21の処理後に得られる濃縮液は、第1の実施形態において遠心分離機13で得られる濃縮液と同様に、陰イオン濃度が100ppm以下、SS濃度が30000ppm以下、銅濃度が15000ppm以上となるように処理することが好ましい。
上記した第2の実施形態および第3の実施形態では、それぞれ遠心分離機13の前又は後に膜ろ過手段21を設けた例を記載したが、遠心分離機13の前及び後に膜ろ過手段21を設け、被処理水の濃縮処理を3箇所で行うようにしてもよい。このようにすることで、各処理装置の負担が軽減される。
以下、本実施形態について、具体例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
被処理水として、pHが1.0未満の銅エッチング廃液である銅含有水を用意した。この銅含有水をpH調整槽に収容し、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液をpH調整槽に添加して、銅含有水のpHを9.0とし、粒子状の水酸化銅を析出させた。
このpH調整を行った銅含有水を精密ろ過膜により、濃縮された銅含有水と透過水とに分離し、高濃度の銅化合物を含有するスラリーを一旦スラリー貯槽に移送した。ここで得られたスラリーは、塩濃度が5000ppm、銅濃度が5000ppm、SS濃度が10000ppmであった。なお、この膜ろ過により得られた透過水はpH調整槽に返送した。
得られた銅含有水を、遠心分離機を用い830×gにより5分間処理し、高濃度の水酸化銅を含有する濃縮液と、塩化物イオンや硫酸イオンといった夾雑物を含む脱離液とに分離した。
ここでは、濃縮液を一旦調整槽に収容し、この調整槽内で洗浄水として工水を加水して残留塩分を希釈して、再度遠心分離機で濃縮および脱塩をする操作を2回繰り返して行った。ここで得られた脱離液は、分離しきれなかった水酸化銅を含有していたので、上記のスラリー貯槽に返送して、さらに処理を行うようにした。
遠心分離機により得られた濃縮液を、希釈液として工水を添加して一次反応槽に移送し、一次反応槽において60℃で120分加熱処理し、次いで、二次反応槽において80℃で40分加熱処理して、水酸化銅を酸化して酸化第二銅の粒子を得た。なお、ここで遠心分離機から一次反応槽への移送に際し希釈して得られた濃縮液は、塩濃度が50ppm、銅濃度が8770ppm、SS濃度が17500ppmであった。
加熱処理された濃縮液を、フィルタープレス脱水機により脱水処理し、脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキの含水率は60.2%、銅含有率は64.6%であった。したがって、含水率が低く、銅含有率の高い脱水ケーキが得られ、操作性を良好に、効率良く、銅を回収できた。
ここで、脱水ケーキの含水率は、JIS M 8820:2000に準じて求めた。また、脱水ケーキ中の銅含有率は、蛍光X線分析法(XRF)による測定に基づいて求めた。
以上説明したように、本実施形態では、脱塩を加熱処理前に迅速に行うことで、加熱反応時の反応容器や配管等の腐食を抑えることができ、脱水ケーキ中の酸化第二銅の純度が向上する。また、加熱により酸化第二銅とするため脱水ケーキの脱水性が向上する。さらに、脱塩を遠心分離により行うことで、操作性が良好となる。そのため、銅含有水からの銅の回収を、良好にかつ効率良く実施できる銅含有水の処理方法および処理装置を提供することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,20,30 銅含有水の処理装置
11 pH調整槽
12 pH調整剤添加手段
13 遠心分離機
14 加熱手段
15 脱水機
21 膜ろ過手段

Claims (10)

  1. 銅含有水に、pHが5.0以上となるようにpH調整剤を添加して水酸化銅を析出させるpH調整工程と、
    前記pH調整工程を経た銅含有水を、遠心分離により前記水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する遠心分離工程と、
    前記濃縮液を60〜100℃に加熱し、前記水酸化銅を酸化して酸化第二銅とする加熱工程と、
    前記加熱工程を経た濃縮液を脱水処理して、前記酸化第二銅を含有する脱水ケーキを得る脱水工程と、
    を有することを特徴とする銅含有水の処理方法。
  2. 前記遠心分離工程の後、前記加熱工程の前に、前記濃縮液に希釈液を添加して、遠心分離処理を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の銅含有水の処理方法。
  3. 前記遠心分離工程の前に、前記pH調整工程を経た銅含有水を膜ろ過して、濃縮処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の銅含有水の処理方法。
  4. 前記遠心分離工程の後に、前記遠心分離工程で得られた濃縮液を膜ろ過して、濃縮処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の銅含有水の処理方法。
  5. 前記膜ろ過に用いるろ過膜が、耐薬品性および耐熱性を有する中空糸膜であることを特徴とする請求項3または4記載の銅含有水の処理方法。
  6. 前記加熱工程において、加熱による酸化反応を2段以上の多段とし、後段になるほど高い温度で加熱処理することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銅含有水の処理方法。
  7. 銅含有水を収容するpH調整槽と、
    前記pH調整槽内に、pH調整剤を添加して水酸化銅を析出させるpH調整剤添加手段と、
    pH調整された銅含有水を、前記水酸化銅を含有する濃縮液とイオン成分を含有する脱離液とに分離する遠心分離機と、
    前記濃縮液を60〜100℃に加熱し、前記水酸化銅を酸化して酸化第二銅とする加熱手段と、
    前記加熱された濃縮液を脱水処理して、前記酸化第二銅を含有する脱水ケーキを得る脱水機と、
    を有することを特徴とする銅含有水の処理装置。
  8. 前記遠心分離機は、遠心分離により得られた前記濃縮液に希釈液を添加する希釈液添加手段と、希釈液の添加された濃縮液を再度前記遠心分離機により遠心分離させる循環手段と、を有することを特徴とする請求項7記載の銅含有水の処理装置。
  9. 前記遠心分離機の前段および後段の少なくとも一方に、膜ろ過手段を有することを特徴とする請求項7または8記載の銅含有水の処理装置。
  10. 前記膜ろ過手段のろ過膜が、耐薬品性および耐熱性を有する中空糸膜であることを特徴とする請求項9記載の銅含有水の処理装置。
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