JP2016143645A - 保護素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護素子を小型化する。【解決手段】保護素子は、導電体54と、ケース12とを備える。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する。ケース12は導電体54を収容する。ケース12は外殻部30と補強部32とを有する。外殻部30には導電体が収容される。補強部32は外殻部30に力がかかったときに外殻部30の変形を抑える。ケース12が外殻部30と補強部32とを有していると、ケース12の容積をそこに収容される物の体積の割りに大きくしなくても、ケース12が破損する恐れは低くなる。これにより、ケース12の容積をそこに収容される物の体積の割りに大きくした保護素子に対し、小型化が可能になる。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電流ヒューズといった保護素子に関する。
特許文献1は、電流ヒューズを開示する。この電流ヒューズにおいて、円筒状のケースの中央部に電流ヒューズエレメントが配置される。両側のリードでもって電流ヒューズエレメントが支持される。電流ヒューズエレメントの周囲はフラックスでもって覆われる。
特許文献1に開示された電流ヒューズによれば、電流ヒューズエレメントの表面の酸化を防止できる。
特開平11−213852号公報
しかしながら、特許文献1に開示された電流ヒューズには、その機能を落とさず小型化することが困難という問題点がある。本発明は、このような問題を解決するものである。本発明の目的は、保護素子を小型化することにある。
図面を参照し本発明の保護素子を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、保護素子は、導電体54と、ケース12とを備える。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する。ケース12は導電体54を収容する。ケース12は外殻部30と補強部32とを有する。外殻部30には導電体が収容される。補強部32は外殻部30に力がかかったときに外殻部30の変形を抑える。
導電体54の溶断によってアークが発生すると、衝撃も生じる。ケース12の容積を大きくすることで、その衝撃によって外殻部30にかかる応力を小さくできる。一方、ケース12が外殻部30と補強部32とを有していると、ケース12の容積を大きくしなくても、導電体54の溶断の際、ケース12が破損する恐れは低くなる。その衝撃によって外殻部30にかかる応力を補強部32が支えるためである。これにより、ケース12の容積をそこに収容される物の体積の割に大きくした保護素子に比べ、小型化することが可能になる。その結果、保護素子を小型化できる。
また、上述した補強部32が補強板40と突出部42の対とを有していることが望ましい。補強板40はいずれかの面が導電体54と対向するように外殻部30の内周面に固定される。突出部42は補強板40を挟むように外殻部30の内周面から突出する。
導電体54が溶断する際にアークが生じると、そのアークの発生に伴う衝撃を補強板40のうち導電体54に対向する面が受けることとなる。補強板40のいずれかの面が導電体54と対向するように外殻部30の内周面に固定され、かつ、突出部42の対によって補強板40が挟まれているためである。これにより、たとえば補強板40のうち稜が導電体54に対向している場合に比べ、外殻部30のうち補強板40によって衝撃を和らげられる範囲が広くなる。その範囲が広くなるので、たとえば補強板40のうち稜が導電体54に対向している場合に比べ、ケース12が破損する恐れは低くなる。ケース12が破損する恐れが低くなるので、保護素子を小型化できる。
もしくは、上述した補強板40が直方体状であることが望ましい。この場合、突出部42が補強板40に沿うよう配置される板状であることが望ましい。
突出部42は直方体状の補強板40に沿う。突出部42は板状である。これにより、突出部42がたとえば細い柱状である場合に比べ、補強板40に対して力がかかったとき、補強板40の位置ずれを抑えやすくなる。
また、上述した保護素子が、接触材14をさらに備えることが望ましい。接触材14は導電体54およびケース12に接触する。接触材14は導電体54と共にケース12に収容される。
接触材14は、導電体54が発生させた熱をケース12に伝えることができる。導電体54が発生させた熱をケース12に伝えることができるので、そうでない場合に比べ、通電により導電体54で発生した熱が容易に導電体54の外へ流出しやすくなる。熱が外へ流出しやすいので、そうでない場合に比べ、導電体54が溶断した後においてアークが早く冷やされる。アークが早く冷やされるので、ケース12の容積を小さくできる。その結果、保護素子を小型化できる。
もしくは、上述した補強部32が補強板40を有していることが望ましい。補強板40は外殻部30の内周面に固定される。補強板40は外殻部30よりも熱伝導率が高い。この場合、接触材14が、ケース12のうち補強板40に接触している。
接触材14が補強板40に接触していると、接触材14が外殻部30に接触している場合に比べ、導電体54が発生させた熱を速やかに補強板40に伝えることができる。補強板40の熱伝導率が外殻部30の熱伝導率よりも高いためである。熱を速やかに伝えることができるので、そうでない場合に比べ、通電により導電体54で発生した熱が容易に導電体54の外へ流出しやすくなる。熱が外へ流出しやすいので、そうでない場合に比べ、導電体54が溶断した後においてアークが早く冷やされる。アークが早く冷やされるので、ケース12の容積を小さくできる。その結果、保護素子を小型化できる。
本発明によれば、保護素子を小型化できる。
本発明のある実施形態にかかる保護素子の平面図である。 本発明のある実施形態にかかる保護素子の断面図である。 本発明のある実施形態にかかる導電部の平面図である。 本発明のある実施形態にかかるケースの斜視図である。
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[構成の説明]
図1は、本実施形態にかかる保護素子の平面図である。図1において、接触材14の一部と被覆樹脂16の一部と裏ロウ材66の一部とは取り除かれている。図2は、本実施形態にかかる保護素子の断面図である。図2において、本実施形態にかかる保護素子は、中央部分でリード線64に沿って切断されている。図1と図2とに基づいて、本実施形態にかかる保護素子の構成が説明される。
本実施形態にかかる保護素子は、導電部10と、ケース12と、接触材14と、被覆樹脂16とを備える。導電部10は電流が流れる部分である。ケース12は導電部10を収容する。接触材14は導電部10と共にケース12に収容される。被覆樹脂16は、ケース12に収容された導電部10を被覆する。
図3は、本実施形態にかかる導電部10の平面図である。図3において、表ロウ材56の一部は切り欠かれている。図1ないし図3に基づいて、本実施形態にかかる導電部10の構成が説明される。本実施形態にかかる導電部10は、基板50と、一対の表電極52と、導電体54と、一対の表ロウ材56と、合金基部58と、低融点合金60と、一対の裏電極62と、一対のリード線64と、一対の裏ロウ材66とを有する。表電極52は、基板50のいずれかの面に配置される。本実施形態では、表電極52が配置されている面を基板50のおもて面とみなす。本実施形態の場合、表電極52として銅箔が基板50のおもて面に固定される。導電体54は、基板50のおもて面に配置される。ケース12の中において、導電体54はケース12の内周面に対向するように配置される。導電体54は電流が流れるとその電流のエネルギの一部を熱にする。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると自ずと溶断する。「ジュール熱積分値」とは、ヒューズのエレメント(本実施形態の場合、導電体54が「ヒューズのエレメント」に相当する)が溶断するのに必要とされるエネルギのことである。ジュール熱積分値の算出式は周知なのでここではその説明は繰返されない。本実施形態の場合、導電体54は線材である。本実施形態の場合、導電体54の一端は表電極52の一方に接続されている。導電体54の他端は表電極52の他方に接続されている。本実施形態の場合、導電体54は錫メッキされた純銅製である。表ロウ材56は、表電極52と導電体54とを接続する。これにより、表電極52と導電体54との間が導通する。合金基部58は、基板50のおもて面に固定される。低融点合金60は、導電体54と同様に、基板50のおもて面に配置される。低融点合金60は、合金基部58を介して基板50に固定される。低融点合金60もケース12の内周面に対向する。本実施形態の場合、低融点合金60は導電体54の中央部分をまたぐようにして導電体54を覆っている。本実施形態の場合「低融点合金」とは、上述した導電体54が溶断する温度以下の融点であり、かつ、融解した状態であれば上述した導電体54が溶解する合金のことである。このような低融点合金は周知である。したがって、ここではその詳細な説明は繰返されない。裏電極62は、基板50の面のうち、上述したおもて面から見て裏にあたる面に配置される。本実施形態では、この面を基板50の裏面とみなす。本実施形態の場合、裏電極62は、表電極52と同様に銅箔である。一対の裏電極62のうち一方は、一対の表電極52のうち一方の裏にあたる位置に配置される。一対の裏電極62のうち他方は、一対の表電極52のうち他方の裏にあたる位置に配置される。一対のリード線64の一方が一対の裏電極62の一方に接続される。一対のリード線64の他方が一対の裏電極62の他方に接続される。リード線64はケース12の側壁を貫通する。裏ロウ材66は、裏電極62とリード線64とを接続する。これにより、裏電極62とリード線64との間が導通する。
基板50はスルーホール70を有する。本実施形態の場合、基板50は4個のスルーホール70を有する。表電極52の一方と裏電極62の一方とは2個のスルーホール70において互いに接続されている。これにより、表電極52の一方と裏電極62の一方との間が導通する。表電極52の他方と裏電極62の他方とは他の2個のスルーホール70において互いに接続されている。しかも、これらのスルーホール70には、裏ロウ材66の一部が充填されている。表ロウ材56は、これらのスルーホール70の端部で、裏ロウ材66とつながっている。その端部で、表ロウ材56と裏ロウ材66とは一体となっている。その結果、リード線64の一方を流れた電流は、裏電極62の一方と表電極52の一方とを経て導電体54に流れる。導電体54に流れた電流は、裏電極62の他方と表電極52の他方とを経てリード線64の他方を流れる。
図4は、本実施形態にかかるケース12の斜視図である。図1と図2と図4とに基づいて、本実施形態にかかるケース12の構成が説明される。ケース12は、外殻部30と補強部32とを有する。外殻部30には導電部10が収容される。補強部32は外殻部30に力がかかったときに外殻部30の変形を抑える。
本実施形態の場合、外殻部30は合成樹脂製である。外殻部30の内周面は底面部36と側面部38とを有する。底面部36は、外殻部30の底となる部分である。側面部38は底面部36を取囲む。導電部10は、外殻部30のうち底面部36と側面部38とよって取囲まれる空間に配置されることとなる。
補強部32は1枚の放熱体兼補強板40と4枚の突出部42とを有する。本実施形態の場合、放熱体兼補強板40はアルミナ製である。本実施形態の場合、放熱体兼補強板40はアルミナを焼結したものである。したがって、本実施形態の場合、放熱体兼補強板40は合成樹脂製の外殻部30よりも熱伝導率が高い。放熱体兼補強板40は接触材14の熱を吸収する。放熱体兼補強板40は、吸収した熱を、ケース12の外へ放出する。本実施形態の場合、放熱体兼補強板40は直方体状である。本実施形態の場合、放熱体兼補強板40は、外殻部30の内周面のうち底面部36に、周知のシリコーン樹脂によって接着される。これにより、放熱体兼補強板40のうち最も面積が大きい面が導電体54と対向する。本実施形態の場合、4枚の突出部42は外殻部30と一体となっている。4枚の突出部42は外殻部30の底面部36から突出する。突出部42は直方体状の補強板40に沿う。突出部42は板状である。4枚の突出部42のうち一対が放熱体兼補強板40の一端を挟むように配置される。4枚の突出部42のうち他の一対が放熱体兼補強板40の他端を挟むように配置される。
図1と図2とに基づいて、本実施形態にかかる接触材14が説明される。接触材14の一部は、ケース12の放熱体兼補強板40と導電体54との間に配置される。これにより、接触材14は導電体54およびケース12に接触することとなる。接触材14の他の一部は、突出部42の間を介して導電体54の両端方向へ及んでいる。本実施形態の場合、接触材14は、シリコーンゴム80と粒子状のアルミナ82と含む。なお、漏電が発生しない程度の電気抵抗を接触材14が有することは言うまでもない。
図1と図2とに基づいて、本実施形態にかかる被覆樹脂16が説明される。被覆樹脂16は、ケース12内の空間のうち導電部10から側面部38の縁までの部分に充填される。これにより、上述したように、被覆樹脂16は、ケース12に収容された導電部10を被覆することとなる。被覆樹脂16の一部は、ケース12の側面部38を伝って導電部10と底面部36との間の空間に進入している。本実施形態の場合、被覆樹脂16は、エポキシ樹脂と粒子状のアルミナとの混合物である。
[製造方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子の製造方法は、導電部形成工程と、接触材塗布工程と、ケース収容工程と、被覆工程とを備える。導電部形成工程において導電部10が形成される。導電部10を形成するための具体的な工程は、基板上に形成される周知の保護素子と同様なのでここではその詳細な説明は繰返されない。接触材塗布工程において、導電部10の導電体54にシリコーンゴムと粒子状のアルミナとの混合物が塗布される。ケース収容工程において、まず、ケース12の外殻部30に放熱体兼補強板40が固定される。外殻部30は射出成型によって予め製造されている。放熱体兼補強板40が固定された外殻部30がケース12である。ケース12は、導電部10に被せられる。これにより、外殻部30の区画のうち真ん中の区画において、接触材塗布工程において塗布された混合物が、導電体54と放熱体兼補強板40とに接触する。その区画の隣の区画においては、突出部42によってその混合物の進入が抑えられるので、空間が形成される。その後、接触材塗布工程において塗布された混合物は硬化させられる。硬化したその混合物が、接触材14となる。被覆工程において、粒子状のアルミナとまだ硬化していないエポキシ樹脂との混合物がケース12内に充填される。これにより、ケース12内の導電部10は被覆される。その後、その充填されたエポキシ樹脂は硬化させられる。エポキシ樹脂が硬化した後の混合物が被覆樹脂16となる。
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子の使用方法は、周知の電流ヒューズと同一である。すなわち、本実施形態にかかる保護素子は、図示されない回路に接続される。予め定められていた範囲の大きな電流が導電体54に流れると、導電体54の温度は所定の温度を超える。導電体54はジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する。溶断後アークが発生する場合は保護素子内部で消弧される。これにより、保護素子が接続されていた回路において電流が遮断される。
[実施例の説明]
(実施例)
上述した保護素子を5個作成した。各保護素子には、「1」ないし「5」という試験片番号が設定された。
(比較例)
放熱体兼補強板40を有していない点を除き実施例と同一構造の保護素子を5個作成した。各保護素子には、「1」ないし「5」という試験片番号が設定された。
(遮断試験)
実施例と比較例とにかかる保護素子の抵抗を測定した。その後、これらの保護素子に電圧値400ボルトで電流値5.7アンペアである直流電流を流し、遮断試験を行った。その後、保護素子の外観を観察した。その後、絶縁抵抗試験と耐電圧試験を行った。表1には、測定結果の一覧が示される。
Figure 2016143645

表1に示されるように、実施例にかかる保護素子の場合、いずれの保護素子においても直流電流を流す前もその後も外観に変化は見られなかった。漏れ電流も0.01mA未満であった。比較例にかかる保護素子の場合、直流電流を流すとケースが膨張したものがあった。すなわち、表1の結果から明らかな通り、ケース12が補強部32を有している保護素子は、そうでない保護素子に比べて、ケース12が破損する恐れが低かった。
[効果の説明]
次に述べられる事項の成否が保護素子の小型化の成否に影響を及ぼす。それは、導電体54が溶断する際におけるケース12に収容されている物の漏出を防止できるか否かという事項である。そのケース12に収容されている物が漏出すると、保護素子の周りに存在する物に悪影響が及ぶことがある。この悪影響を回避するため、ケース12の容積がそこに収容される物の体積の割に大きくなる傾向がある。ケース12の容積を大きくすることで、導電体54が溶断する際にケース12が受ける衝撃を和らげるためである。その衝撃は例えば導電体54が溶断する際に生じるアークが引き起こす。その衝撃が和らぐことで、そうでない場合に比べ、導電体54が溶断する際にケース12が破損する恐れが低くなる。ケース12が破損する恐れが低くなることで、そうでない場合に比べ、ケース12に収容されている物が漏出する恐れが低くなる。ケース12の容積がそこに収容される物の体積の割に大きいと、そうでない場合に比べ、保護素子は大型化する。ケース12が外殻部30と補強部32とを有していると、ケース12の容積をそこに収容される物の体積の割に大きくしなくても、ケース12が破損する恐れは低くなる。本実施形態にかかる保護素子では、アークが引き起こす衝撃によって外殻部30にかかる応力を補強部32が支えるためである。これにより、ケース12の容積をそこに収容される物の体積の割に大きくした保護素子に比べ、本実施形態にかかる保護素子は小型化が可能である。
また、本実施形態にかかる保護素子では、導電体54が溶断する際にアークが生じると、そのアークの発生に伴う衝撃を放熱体兼補強板40のうち導電体54に対向する面が受けることとなる。放熱体兼補強板40のうち面積が最大である面が導電体54と対向するように放熱体兼補強板40は外殻部30の内周面に固定されている。これにより、たとえば放熱体兼補強板40のうち稜が導電体54に最も間近に対向している場合に比べ、外殻部30のうち放熱体兼補強板40によって衝撃を和らげ得る範囲が広くなる。その範囲が広くなるので、たとえば放熱体兼補強板40のうち稜が導電体54に最も間近に対向している場合に比べ、ケース12が破損する恐れは低くなる。ケース12が破損する恐れが低くなるので、保護素子を小型化できる。
また、本実施形態にかかる保護素子では、板状の突出部42が直方体状の放熱体兼補強板40に沿うので、突出部42がたとえば細い柱状である場合に比べ、放熱体兼補強板40に対して力がかかったとき、放熱体兼補強板40の位置ずれを抑えやすくなる。
また、導電体54に電流が流れると、導電体54はその電流のエネルギの一部を熱にする。本実施形態にかかる保護素子では、接触材14を介して導電体54が発生させた熱をケース12に伝えることができる。これにより、気体を介さずに導電体54が発生させた熱をケース12に伝えることができるので、そうでない場合に比べ、通電により導電体54で発生した熱が容易に導電体54の外へ流出しやすくなる。熱が外へ流出しやすいので、そうでない場合に比べ、導電体54が溶断した後においてアークが早く冷やされる。アークが早く冷やされるので、ケース12の容積を小さくできる。その結果、保護素子を小型化できる。
また、導電体54が発生させた熱は、接触材14の粒子状のアルミナ82とシリコーンゴム80と低融点合金60とに伝わる。粒子状のアルミナ82を伝って、熱は接触材14全体に拡がる。これにより、導電体54の周囲に長期にわたり熱がたまることによる導電体54の温度上昇を抑制できる。これにより、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値によって導電体54が溶断する可能性は、接触材14が粒子状のアルミナ82を含まない場合に比べて低くなる。導電体54が溶断する可能性が低くなるので、導電体54の断面のうち電流が流れる方向に直交する面の断面積を大きくする必要がなくなる。その必要がなくなると、その断面積を小さくできない場合に比べ、ジュール熱積分値が所定の値以上になった場合に、導電体54は溶断しやすくなる。溶断しやすくなるので、熱が接触材14に十分流出できないほど短時間にジュール熱積分値が所定の値以上になっても導電体54が溶断しない可能性は低くなる。すなわち、動作の迅速さが向上する。
接触材14がシリコーンゴム80を含むので、他の耐熱性が悪い合成樹脂が接触材14に含まれる場合に比べ熱による接触材14の劣化を抑制できる。また、接触材14が粒子状のアルミナ82を含むので、熱による接触材14の劣化をさらに抑制できる。
また、保護素子がアルミナ製の放熱体兼補強板40を備えていると、接触材14全体に伝わった熱の一部が放熱体兼補強板40に伝わることとなる。これにより、放熱体兼補強板40がない場合に比べ、接触材14の温度上昇速度が低くなる。温度上昇速度が低くなるので、所定のジュール熱積分値より小さなジュール熱積分値で導電体54が溶断する可能性は、放熱体兼補強板40がない場合に比べ、低くなる。また、保護素子がアルミナ製の放熱体兼補強板40を備えていると、そうでない場合に比べ、放熱体兼補強板40の引っ張り強さと圧縮強さと曲げ強さとが強くなる。これらが強くなるので、導電体54が溶断した際に発生するアークによってケース12が破損する可能性は低くなる。
〈変形例の説明〉
上述した保護素子は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述した保護素子は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば、上述した放熱体兼補強板40の形状及び素材は特に限定されない。すなわち放熱体兼補強板40はアルミナ以外の金属酸化物を焼結したものであってもよい。放熱体兼補強板40は焼結以外の方法により製造されたものでもよい。保護素子は、放熱体兼補強板40と突出部42の対とに代わる補強部を備えていてもよい。
また、上述した接触材14は、繊維状のアルミナを含んでもよい。アルミナ以外の金属酸化物を接触材14は含んでもよい。アルミナ以外の金属酸化物の例には、ケイ砂と酸化チタンとがある。この場合、アルミナ以上の熱伝導率の金属酸化物であれば、接触材14全体に素早く熱を伝えることができる。接触材14は金属酸化物を含まなくてもよい。ケース12に収容された導電部10は接触材14によって被覆されてもよい。この場合、接触材14は、ケース12の底面部36から側面部38の縁までの空間に充填される。
また、上述した接触材14が含む物質はシリコーンゴム80に限定されない。例えば、シリコーンゴム80以外のシリコーン樹脂でもよい。シリコーン樹脂以外の重合体でもよい。接触材14が重合体と金属酸化物とを含む場合、それらの比率は限定されない。接触材14が重合体と金属酸化物とを含む場合、重合体の体積%よりも金属酸化物の体積%が高い方が好ましい。接触材14の組成にかかわらず、金属酸化物は50質量%以上含まれていることが好ましい。
また、上述した導電部10の構成及び形態は上述したものに限定されない。
10…導電部、
12…ケース、
14…接触材、
16…被覆樹脂、
30…外殻部、
32…補強部、
36…底面部、
38…側面部、
40…放熱体兼補強板、
42…突出部、
50…基板、
52…表電極、
54…導電体、
56…表ロウ材、
58…合金基部、
60…低融点合金、
62…裏電極、
64…リード線、
66…裏ロウ材、
70…スルーホール、
80…シリコーンゴム、
82…粒子状のアルミナ、

Claims (5)

  1. ジュール熱積分値が所定の値以上になると溶断する導電体と、
    前記導電体を収容するケースとを備える保護素子であって、
    前記ケースが、
    前記導電体が収容される外殻部と、
    前記外殻部に力がかかったときに前記外殻部の変形を抑える補強部とを有することを特徴とする保護素子。
  2. 前記補強部が、
    いずれかの面が前記導電体と対向するように前記外殻部の内周面に固定される補強板と、
    前記補強板を挟むように前記外殻部の内周面から突出する突出部の対とを有していることを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
  3. 前記補強板が直方体状であり、
    前記突出部が前記補強板に沿うよう配置される板状であることを特徴とする請求項2に記載の保護素子。
  4. 前記保護素子が、前記導電体および前記ケースに接触し、前記導電体と共に前記ケースに収容される接触材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
  5. 前記補強部が、前記外殻部の内周面に固定され、前記外殻部よりも熱伝導率が高い補強板を有しており、
    前記接触材が、前記ケースのうち前記補強板に接触していることを特徴とする請求項4に記載の保護素子。
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