以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る駆動装置に被回転部材を取り付けた状態を示す断面図である。図2は、図1のII部分の要部を拡大した断面図、図3は、図1のIII部分の第1減速機の近傍を拡大した断面図である。
駆動装置10は、工作機械(図示略)の工具取付具12を駆動するために用いられる。工具取付具12は、被回転部材の一例である。駆動装置10は、工具取付具12を、回転軸の周りで揺動(チルト)させる。工具取付具12の先端には、図示せぬ工具が取り付けられる。
駆動装置10は、ベースシャフト14に対して回転する出力フランジ14Aに固定されている。駆動装置10の全体が、出力フランジ14Aと共に、ベースシャフト14に対して回転軸C14の回りに回転する。駆動装置10は、工具取付具12を回転軸C12の周りに回転させる。
駆動装置10は、固定フレーム16と、第1減速機130と、第2減速機230と、を備える。固定フレーム16は、工具取付具12の回転軸C12方向の位置決めを行う。
駆動装置10の固定フレーム16は、第1固定フレーム116と、第2固定フレーム216と、第1固定フレーム116および第2固定フレーム216を連結する連結フレーム16Aと、を備える。
固定フレーム16の第1固定フレーム116は、工具取付具12の回転軸方向の一方側に延在されている。第1固定フレーム116には第1減速機130が固定される。つまり第1減速機130は、工具取付具12の回転軸C12方向の一方側に配置されている。
固定フレーム16の第2固定フレーム216は、工具取付具12の回転軸C12方向の他方側に延在されている。第2固定フレーム216には、第2減速機230が固定される。つまり、第2減速機230は工具取付具12の回転軸C12方向の他方側(反対方向)に配置されている。
工具取付具12は、第1固定フレーム116と第2固定フレーム216との間(第1減速機130と第2減速機230との間)に配置され、第1固定フレーム116に固定された第1減速機130および第2固定フレーム216に固定された第2減速機230によって回転軸方向に位置決めされている。
固定フレーム16の連結フレーム16Aは、第1固定フレーム116と第2固定フレーム216とを連結すると共に、フレームボルト18を介して出力フランジ14Aに連結されている。これにより、駆動装置10の全体がベースシャフト14に対し、回転軸C14の周りに回転可能である。
駆動装置10の第1減速機130は、第1固定フレーム116と工具取付具12との間に配置されている。第1減速機130は、第1モータ132により駆動される。第1減速機130は、第1ケース136(出力部材)と、該第1ケース136と相対回転する第1キャリヤ134(相対回転部材)を備える。
第1ケース136と第1キャリヤ134との間には第1主軸受138が1個のみ配置されている。第1キャリヤ134は(第1モータ132の第1モータケース140を介して)第1固定フレーム116に固定されている。第1ケース136は、(第1接続部材142を介して)第1接続ボルト144および第1取付ボルト146により工具取付具12に固定されている。つまり、第1ケース136は、第1固定フレーム116に固定された第1キャリヤ134により、1個の第1主軸受138を介して回転自在に支持されている。
駆動装置10の第2減速機230は、第2固定フレーム216と工具取付具12との間に配置されている。第2減速機230は、第2モータ232により駆動される。第2減速機230は、第2ケース236(出力部材)と、該第2ケース236と相対回転する第2キャリヤ234(相対回転部材)とを備える。
第2ケース236と第2キャリヤ234との間には第2主軸受238が1個のみ配置されている。第2キャリヤ234は(第2モータ232の第2モータケース240を介して)第2固定フレーム216に固定されている。第2ケース236は、(第2接続部材242を介して)第2接続ボルト244および第2取付ボルト246により工具取付具12に固定されている。つまり、第2ケース236は、第2固定フレーム216に固定された第2キャリヤ234により、1個の第2主軸受238を介して回転自在に支持されている。
第1減速機130の第1ケース136の第1回転軸C136(出力部材の回転軸)と第2減速機230の第2ケース236の第2回転軸C236(出力部材の回転軸)は、同軸である(第1回転軸C136=第2回転軸C236)。第1回転軸C136および第2回転軸C236は、工具取付具12の回転軸C12(被回転部材の回転軸)と一致している(つまり、第1回転軸C136=第2回転軸C236=回転軸C12)。このため、第1ケース136および第2ケース236を同期して回転させることにより、工具取付具12を両持ち状態で回転(チルト)させることができる。
なお、本実施形態では、このように、第1ケース136および第2ケース236を出力部材とし、該第1ケース136および第2ケース236を被回転部材である工具取付具12に固定し、第1キャリヤ134および第2キャリヤ234を相対回転部材として第1固定フレーム116および第2固定フレーム216に固定するようにしている。しかし、この固定および回転の関係は、逆でもよい。つまり、第1キャリヤ134および第2キャリヤ234を出力部材とし、該第1キャリヤ134および第2キャリヤ234を被回転部材である工具取付具12に固定すると共に、第1ケース136および第2ケース236を相対回転部材として第1固定フレーム116および第2固定フレーム216に固定するようにしてもよい。
第1減速機130を駆動する第1モータ132は、第1モータケース140に収容されている。第1モータケース140は、第1キャリヤボルト152(頭部は図示略)を介して第1キャリヤ134に固定されている。第1モータケース140は、第1貫通ボルト153を介して第1固定フレーム116に固定されている。これにより、第1キャリヤ134、第1モータケース140、および第1固定フレーム116は、一体化されている。第1モータケース140の中には、第1モータ132の出力を後述する2個の第1偏心体軸154に伝達する歯車(図示略)が、合わせて収容されている。
第2減速機230を駆動する第2モータ232は、第2モータケース240に収容されている。第2モータケース240は、第2キャリヤボルト252(頭部は図示略)を介して第2キャリヤ234に固定されている。第2モータケース240は、第2貫通ボルト253を介して第2固定フレーム216に固定されている。これにより、第2キャリヤ234、第2モータケース240、および第2固定フレーム216は、一体化されている。第2モータケース240の中には、第2モータ232の出力を後述する2個の第2偏心体軸254に伝達する歯車(図示略)が、合わせて収容されている。
主に、図2および図3を参照して、駆動装置10についてより詳細に説明する。
なお、第1減速機130と第2減速機230は、実質的に同じ構造を備えている。したがって、以下では、主に第1減速機130について詳細に説明する。第2減速機230については、各部の名称に第2の接頭語を付すと共に、第1減速機130と下2桁が同じ参照番号を付すこととし、重複説明は適宜省略する。
第1減速機130は、既に概略説明した第1ケース136および第1キャリヤ134のほか、第1偏心体軸154、2個の第1外歯歯車156(第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156B:2個の偏心歯車)、および第1内歯歯車158(非偏心歯車)を備える。以下順に詳細に説明してゆく。
前述したように、第1減速機130の第1ケース136は、第1接続部材142を介して工具取付具12に固定されている。具体的には、第1ケース136の軸方向工具取付具12側には、第1フランジ部136Aが径方向に突出して形成されている。第1ケース136は、該第1フランジ部136Aにおいて第1接続ボルト144を介して第1接続部材142に固定されている。第1接続部材142は、第1取付ボルト146を介して工具取付具12に固定されている。これにより、第1ケース136および第1接続部材142は、工具取付具12と一体化されている。第1ケース136は、第1ケース貫通孔136Bを備え、第1キャリヤ134が該第1ケース貫通孔136Bを貫通している。
第1減速機130の第1キャリヤ134は、第1モータケース140を介して第1固定フレーム116に固定されている。第1キャリヤ134は、2個の第1外歯歯車156の軸方向両側に配置された一対の第1キャリヤ体(第1内側キャリヤ体134Aおよび第1外側キャリヤ体134B)と、該第1内側キャリヤ体134Aおよび第1外側キャリヤ体134Bを連結する第1キャリヤピン134Cを備える。
第1内側キャリヤ体134Aは、2個の第1外歯歯車156よりも工具取付具12側に位置している。第1外側キャリヤ体134Bは、2個の第1外歯歯車156よりも反工具取付具側(第1モータケース140側)に位置している。第1外側キャリヤ体134Bは、前記第1キャリヤピン134Cを一体に備えている。
第1キャリヤピン134Cは、第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bを非接触で貫通している。具体的には、第1キャリヤピン134Cは、第1内側外歯歯車156Aに形成された第1内側キャリヤピン孔156A1および第1外側外歯歯車156Bに形成された第1外側キャリヤピン孔156B1を非接触で貫通している。つまり、第1キャリヤピン134Cと第1内側キャリヤピン孔156A1、第1キャリヤピン134Cと第1外側キャリヤピン孔156B1との間には隙間が設けられている。
第1キャリヤピン134Cは、第1外側キャリヤ体134B側から第1内側キャリヤ体134A側に延在され、第1キャリヤピンボルト150を介して第1内側キャリヤ体134Aと第1外側キャリヤ体134Bとを連結している。
第1外側キャリヤ体134Bは、第1キャリヤボルト152(頭部は図示略)を介して第1モータケース140と固定されており、第1モータケース140は、第1貫通ボルト153を介して第1固定フレーム116に固定されている。つまり、第1キャリヤ134は、第1外側キャリヤ体134Bおよび第1モータケース140を介して、第1固定フレーム116と一体化されている。
なお、第1内側キャリヤ体134Aの内周と第1外側キャリヤ体134Bの内周に亘って、第1円筒部材139が固定されている。
第1ケース136と第1キャリヤ134(の第1外側キャリヤ体134B)の間には、第1主軸受138が1個のみ配置されている。具体的には、第1主軸受138は、第1ケース136と第1キャリヤ134の第1外側キャリヤ体134Bとの間(2個の第1外歯歯車156よりも第1モータケース140側)に1個のみ配置されている。出力部材である第1ケース136と固定部材である第1キャリヤ134(相対回転部材)は、第1主軸受138を介して相対回転可能である。
第1主軸受138は、この実施形態では、(第2減速機230側の第2主軸受238と共に背面合わせで組み込まれた)アンギュラ玉軸受が採用されている。ただし、主軸受の種類や構成は、特にこの構成に限定されない。
第1減速機130は、第1ケース136の回転軸に沿って延在された第1偏心体軸154を備えている。具体的には、第1偏心体軸154は、第1ケース136の第1回転軸C136からオフセットされた位置において、該第1ケース136の第1回転軸C136と平行に周方向に等間隔に複数(この実施形態では2個:1個のみ図示)配置されている。第1偏心体軸154は、一対の第1内側円錐ころ軸受137Aおよび第1外側円錐ころ軸受137Bによって第1キャリヤ134に支持されている。第1偏心体軸154は、第1モータ132の駆動力を受けて第1回転軸C154の周りで回転する。第1偏心体軸154は、第1内側偏心体155Aおよび第1外側偏心体155B(2個の偏心体)を備えている。第1内側偏心体155Aは、第1回転軸C136方向において、第1外側偏心体155Bよりも工具取付具12側に配置されている。
第1減速機130は、第1内側偏心体155Aおよび第1外側偏心体155Bの各々に係合し、第1偏心体軸154の回転に伴って偏心回転する第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156B(2個の偏心歯車)を備えている。第1内側外歯歯車156Aは、第1外側外歯歯車156Bよりも工具取付具12側に配置されている。逆に言うならば、第1外側外歯歯車156Bは、第1内側外歯歯車156Aよりも反工具取付具12側(第1モータケース140側)に配置されている。
第1内側外歯歯車156Aと第1外側外歯歯車156Bの歯数は等しい。第1内側外歯歯車156Aと第1外側外歯歯車156Bの歯形は、トロコイド系の歯形である。
第1内側外歯歯車156Aには第1内側偏心体孔156A2が形成され、第1外側外歯歯車156Bには第1外側偏心体孔156B2が形成されている。第1内側外歯歯車156Aは、第1内側偏心体孔156A2内において第1内側ころ159Aを介して第1内側偏心体155Aと係合している。第1外側外歯歯車156Bは、第1外側偏心体孔156B2内において第1外側ころ159Bを介して第1外側偏心体155Bと係合している。よって、第1内側外歯歯車156Aは、第1内側偏心体155Aの偏心方向に偏心しながら揺動回転する。第1外側外歯歯車156Bは、第1外側偏心体155Bの偏心方向に偏心しながら揺動回転する。
第1減速機130は、第1内歯歯車158(非偏心歯車)を備える。第1内歯歯車158は、第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bと噛合している。第1内歯歯車158は、第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bと異なる歯数を有し、第1ケース136の第1回転軸C136と同軸に配置されている。
第1内歯歯車158は、第1ケース136と一体化された第1内歯歯車本体158Mと、該第1内歯歯車本体158Mの内周に複数形成された第1内歯溝158Bと、該第1内歯溝158Bに回転自在に配置され、該第1内歯歯車158の内歯を構成する第1内歯ピン158Cと、を備える。第1内歯ピン158Cは、第1外歯歯車156と噛合している。
第1内歯歯車158の歯数(第1内歯ピン158Cの本数)は第1外歯歯車156の歯数と異なっている。具体的には、第1内歯歯車158の歯数は第1外歯歯車156の歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。第1内歯歯車158(第1ケース136)は、第1キャリヤ134の第1回転軸C136と同軸に配置されている。
第1ケース136と第1内側キャリヤ体134Aとの間に第1オイルシール171が配置されている。第1ケース136と第1外側キャリヤ体134Bとの間に第1オイルシール172が配置されている。第1内側キャリヤ体134Aと第1偏心体軸154との間に第1オイルシール173が配置されている。第1外側キャリヤ体134Bと第1偏心体軸154との間に第1オイルシール174が配置されている。これらの第1オイルシール171〜174により、第1減速機130内の潤滑剤が該第1減速機130の外部に漏れることを防止している。
ここで、図2および図4を参照して、第1減速機130の第1外歯歯車156および第2減速機230の第2外歯歯車256の偏心位相に関する構成について詳細に説明する。
図4(A)は、第1減速機130の第1外側偏心体155Bおよび第1外側外歯歯車156Bの、第1ケース136の第1回転軸C136に対する偏心状態を示している。図4(B)は、第1減速機130の第1内側偏心体155Aおよび第1内側外歯歯車156Aの、第1ケース136の第1回転軸C136に対する偏心状態を示している。図4(C)は、第2減速機230の第2内側偏心体255Aおよび第2内側外歯歯車256Aの、第2ケース236の第2回転軸C236に対する偏心状態を示している。図4(D)は、第2減速機230の第2外側偏心体255Bおよび第2外側外歯歯車256Bの、第2ケース236の第2回転軸C236に対する偏心状態を示している。
図2および図4(A)〜(D)の偏心態様は、以下のように要約することができる。
(1)第1内側外歯歯車156A、第1外側外歯歯車156B、第2内側外歯歯車256A、および第2外側外歯歯車256Bの、第1ケース136の第1回転軸C136(=第2ケース236の第2回転軸C236)に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている。つまり、第1減速機130および第2減速機230の計4個の偏心歯車の、出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている。
(2)第1減速機130内の第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bの偏心方向が、180度ずれており、第2減速機230内の第2内側外歯歯車256Aおよび第2外側外歯歯車256Bの偏心方向も、180度ずれている。つまり、第1減速機130内の2個の偏心歯車の偏心方向は、180度ずれており、第2減速機230内の2個の偏心歯車の偏心方向も、180度ずれている(第1ケース136の第1回転軸C136に対する偏心方向が対称である)。
(3)第1減速機130の(工具取付具12側の)第1内側外歯歯車156Aの偏心方向と、第2減速機230の(工具取付具12側の)第2内側外歯歯車256Aの偏心方向は、90度ずれている。つまり、第1減速機130および第2減速機230の2個の偏心歯車のうち、工具取付具12を挟んで内側(工具取付具12側)に位置している偏心歯車同士の偏心方向が、90度ずれている。
なお、ここでの「90度」、あるいは「180度」という用語は、技術的な性質上、必ずしも厳密な90度、あるいは180度を意味していない。つまり、「ほぼ90度」、「ほぼ180度」という技術的概念で用いられている。この理由は以下の通りである。
偏心歯車の歯数は、多くの場合20〜80程度に設定される(本実施形態では51)。一方、偏心歯車は、非偏心歯車と噛み合う必要がある。そのため、偏心歯車の歯数によっては、例えば、偏心方向の位相を丁度90度だけずらそうとしても、実際の偏心方向のずれ(位相差)は、最大で偏心歯車の1歯当りの中心角の1/2だけ、90度よりも大きく(または小さく)ならざるを得ないときがある。この場合、必然的に、他のいずれかの偏心方向のずれは、90度より小さく(または大きく)ならざるを得ない。偏心歯車の1歯当りの中心角の1/2(偏心歯車の半歯分の中心角)とは、例えば、本実施形態のように偏心歯車の歯数が51だった場合、{(360/51)/2}度、つまり、約3.53度ということになる。したがって、この「半歯分のずれ」を踏まえて、上記「ほぼ90度」の概念を別言するならば、「90度±(偏心歯車の半歯分の中心角)の範囲」ということになる。同様に、「ほぼ180度」は、「180度±(偏心歯車の半歯分の中心角)の範囲」ということになる。
なお、「偏心歯車の半歯分の中心角」は、歯数に依存し、偏心歯車の歯数が小さいときほど大きくなる傾向となる。例えば、偏心歯車の歯数が20のときは、9度({(360/20)/2}=9)となる。しかし、一方で、この90度、あるいは180度からの誤差は、歯数の設定によっては、零に近づけることができる。例えば、偏心歯車の歯数を4の倍数に設定すると、歯数の多少に関わらず、当該90度、あるいは180度からの誤差をほぼ零とすることができる。そして、この90度、あるいは180度からの誤差は、零に近いほど好ましい。具体的には±5度の範囲に納まっていることが好ましく、より好ましくは±2度の範囲に納まっているのが好ましい。
したがって、好ましい角度の範囲を踏まえて、上記「ほぼ90度」の概念を別言するならば、「90度±5度の範囲」、より好ましくは、「90度±2度の範囲」ということになる。同様に、「ほぼ180度」は、「180度±5度の範囲」、より好ましくは、「180度±2度の範囲」ということになる。これにより、後述する角度伝達誤差に関する平準化効果をより顕著に得ることができる。
なお、上記4個の偏心歯車(第1内側外歯歯車156A、第1外側外歯歯車156B、第2内側外歯歯車256A、および第2外側外歯歯車256B)は、これらを軸方向に重ねた上で同一のチャッキングのまま、外歯または各貫通孔(第1内側キャリヤピン孔156A1、第1外側キャリヤピン孔156B1、第1内側偏心体孔156A2、第1外側偏心体孔156B2)の少なくとも一方を、同時に加工することによって製造するのが好ましい。
また、第1ケース136および第2ケース236における非偏心歯車(第1内歯歯車158および第2内歯歯車258)の第1内歯溝158B、第2内歯溝258Bについても、該第1ケース136および第2ケース236を軸方向に重ねた上で、同一のチャッキングのまま、同時に加工することによって製造するのが好ましい。
それは、4個の偏心歯車や2個の非偏心歯車は、同時加工することにより、製造誤差の特性が4個の偏心歯車の間、あるいは2個の非偏心歯車の間で揃うためである。このため、後述する偏心位相を90度ずらす手法により、より効果的に各製造誤差を相殺、あるいは平準化することができ、角度伝達誤差をより小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第1減速機130および第2減速機230の各々が、出力部材(この例では第1、第2ケース136、236)と該出力部材と相対回転する相対回転部材(この例では第1、第2キャリヤ134、234)との間に配置された主軸受(この例では第1、第2主軸受138、238)を1個のみ備えている。後述するように、このような構成の駆動装置10の場合、第1減速機130と第2減速機230相互の組み付けを高精度に行うのは特に重要である。
そのため、本実施形態では、第1減速機130の構成部材である第1ケース136と該第1ケース136に軸方向に連結される外部部材である第1接続部材142との間に、シム(図示略)を配置するようにしている。
次に、この駆動装置10の作用を設明する。
既に述べたように、駆動装置10は、全体がベースシャフト14に対して、回転軸C14の周りで回転可能である。
第1減速機130と第2減速機230は、同様の作用を奏する。そのため、ここでは、第1減速機130の作用に着目して説明する。
第1モータ132の駆動力は、図示せぬ歯車を介して2個の第1偏心体軸154に同時に伝達される。これにより、第1偏心体軸154に設けられた第1内側偏心体155Aおよび第1外側偏心体155Bが、偏心体軸の回転に伴って、90度の偏心位相差を有して回転する。
その結果、第1内側偏心体155Aおよび第1外側偏心体155Bの各々に係合している第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bが、90度の偏心位相差を有して第1内歯歯車158に内接噛合しながら偏心回転する。
第1内歯歯車158と、第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bは、歯数が(この例では1だけ)異なるため、第1内歯歯車158と、第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bとの間には、第1偏心体軸154が1回回転する毎に歯数差分だけ、相対回転が発生する。
この実施形態では、第1キャリヤ134は、第1モータケース140に固定され、第1モータケース140は、第1固定フレーム116に固定されている。また、第1内歯歯車158と一体化されている第1ケース136は、第1接続部材142を介して工具取付具12に固定されている。そのため、第1ケース136が、第1キャリヤ134に対して相対回転することで、工具取付具12を第1固定フレーム116に対して回転(チルト)させることができる。
ここで、偏心位相に関する作用を詳細に説明する。
一般に、インボリュート系歯形は、噛み合う歯車の中心間距離に誤差があっても、(該中心間距離が固定されている限り)入力・出力回転速度比は、基本的に設定値からずれることはない。しかし、本実施形態のような偏心揺動型の減速機にあっては、歯形にトロコイド系の歯形を使用しているため、中心間距離に誤差があると、速度比が設定値から周期的にずれてしまうという不具合が発生する。そのため、偏心歯車と非偏心歯車のピッチ円中心間の距離に製造誤差があると、運転によってこの誤差が周期的に変動し、角度伝達誤差(入力回転角と出力回転角の理論値からのずれ)が周期的に現れてしまう。
図5は、第1減速機130および第2減速機230の各外歯歯車(第1内側外歯歯車156A、第1外側外歯歯車156B、第2内側外歯歯車256A、および第2外側外歯歯車256B)の角度伝達誤差の例を示すグラフである。図5の横軸は、出力部材(第1ケース136、あるいは第2ケース236)が1回転する間の時刻(回転角度)であり、縦軸は、該出力部材が一回転する間に各外歯歯車において生じる角度伝達誤差を示している。各外歯歯車とも、出力部材が一回転する間に、大きく一周期のうねりが発生していることが判る。そして、4個の外歯歯車の偏心方向の位相が90度ずつずれていると、そのうねりの位相が90度ずつずれることが判る。なお、各外歯歯車のグラフにおいて、角度伝達誤差が小刻みに上下しているのは、1歯毎(第1、第2偏心体軸154、254が1回転する毎)に、角度伝達誤差が変動しているためである。
図5(B)は、例えば特許文献1に記載されているように、4個の外歯歯車が2個ずつ180度の偏心位相差を有する場合(4個の外歯歯車のうちの2個が同じ方向に偏心し、2個の組み同士が180度の偏心位相差を有する場合)を想定したときの工具取付具12に現れる合成された角度伝達誤差の例を示している。4個の外歯歯車のうちの2個が同じ方向に偏心し、2個の組み同士が180度の偏心位相差を有する場合、全体として、概ね大きなうねりは解消されているものの、偏心位相が全て90度ずれているものに対して平準化の効果が小さい(角度伝達誤差の絶対値が大きい)。
これに対し、本実施形態では、第1内側外歯歯車156A、第1外側外歯歯車156B、第2内側外歯歯車256A、および第2外側外歯歯車256Bの、第1ケース136の第1回転軸C136(=第2ケース236の第2回転軸C236)に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている。つまり、第1減速機130および第2減速機230の計4個の偏心歯車の、出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている。そのため、工具取付具12に現れる合成された角度伝達誤差は、図5(C)で示されるように、これらのうねりが、相殺されるだけでなく、小刻みの上下動も非常に小さなものとなっている。つまり、本実施形態により、例えば、4個の外歯歯車のうちの2個が同じ方向に偏心し、2個の組み同士が180度の偏心位相差を有する場合と比較して、工具取付具12の位置決め精度をより高めることができる。
そして、本実施形態においては、第1減速機130内の第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156Bの偏心方向が、180度ずれており、第2減速機230内の第2内側外歯歯車256Aおよび第2外側外歯歯車256Bの偏心方向も、180度ずれている。つまり、第1減速機130の2個の偏心歯車の偏心方向は、180度ずれており、第2減速機230の2個の偏心歯車の偏心方向も、180度ずれている(第1ケース136の第1回転軸C136に対する偏心方向が対称である)。このため、第1減速機130を駆動しているときに、第1内側外歯歯車156Aと第1外側外歯歯車156Bの位置が第1回転軸C136に対して常に対称である。したがって、第1偏心体軸154の回転バランスを良好に維持することができる。この特徴は、第2減速機230に対しても得られる。
また、第1回転軸C136(または第2回転軸C236)方向の一方から観察したときに、4個の外歯歯車156A、156B、256A、256Bの偏心方向が90度ずつ別方向にずれている。そのため、駆動装置10全体における回転軸C12の径方向の荷重バランスも、良好に取ることができる。
この駆動装置10では、第1ケース136および第2ケース236が工具取付具12に固定される。また、第1キャリヤ134および第2キャリヤ234が固定フレーム16(第1固定フレーム116、第2固定フレーム216)に固定されている。このため、工具取付具12を駆動装置10に取り付けると、第1ケース136、工具取付具12、および第2ケース236が一体となり、第1キャリヤ134、固定フレーム16、および第2キャリヤ234が一体となる。第1ケース136、工具取付具12、および第2ケース236の一体物が、第1キャリヤ134、固定フレーム16、および第2キャリヤ234の一体物に対して、一対の主軸受138、238によって支持される。つまり、工具取付具12が固定フレーム16に対して両持ち支持されているということができる。そのため、工具取付具12の回転軸C12周りの位置を高精度に制御することができる。
駆動装置10では、第1減速機130および第2減速機230の各々において、主軸受138、238をそれぞれ1個だけ配置している。これは、第1減速機130および第2減速機230の各々について主軸受138、238を2個配置すると、駆動装置10全体では4点支持となってしまうためである(4点支持による構造は、製造誤差や組み付け誤差によって僅かな軸心ずれが生じただけで、過大な軸受荷重が発生する虞がある)。
一方、4点支持による構造を回避するために、第1減速機130および第2減速機230の各々において、主軸受138、238をそれぞれ1個だけ配置するように構成した場合、単一の減速機で軸受支持が完結しなくなってしまう(第1減速機130、あるいは第2減速機230のみで軸受支持が完結しなくなってしまう)。換言するならば、第1減速機130と第2減速機230との間に部材を挟んだ上で、2個の主軸受138、238のみによって第1減速機130および第2減速機230を支持しなければならない。このため、軸方向(スラスト方向)の精度を出すことが困難となる。
そこで、本実施形態では、第1減速機130の構成部材である第1ケース136と該第1ケース136に軸方向に連結される外部部材である第1接続部材142との間に、シムを配置するようにしている。これにより、第1主軸受138および第2主軸受238に過大な軸受荷重を発生させることなく、工具取付具12を両側から高い組み付け精度で両持ち支持することができる。また、第1主軸受138と第2主軸受238の負荷を平準化でき、一方のみの寿命が短くなってしまうのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1減速機130の構成部材である第1ケース136と該第1ケース136に軸方向に連結される外部部材である第1接続部材142との間に、シム(図示略)を配置するようにしている。しかし、シムを第1減速機130側に設ける場合、例えば、第1減速機130の構成部材である第1キャリヤ134と該第1キャリヤ134と軸方向に連結される外部部材である第1モータケース140との間に設けるようにしてもよい。
また、シムは、第1減速機130側または第2減速機230側のいずれか一方に設けられていればよく、一方側の減速機に配置されたシムによって双方の主軸受138、238の予圧を適正に調整することができる。したがって、シムは、第2減速機230側に設けてもよい。
シムを第2減速機230側に設ける場合は、第2減速機230の構成部材である第2ケース236と該第2ケース236に軸方向に連結される外部部材である第2接続部材242との間に、シムを配置してもよい。さらには、第2減速機230の構成部材である第2キャリヤ234と該第2キャリヤ234と軸方向に連結される外部部材である第2モータケース240との間にシムを配置してもよい。
要するならば、第1減速機130および第2減速機230のいずれか一方の減速機の構成部材と、該構成部材に軸方向に連結される外部部材との間に、シムを配置するように構成するのが好ましい。第1減速機130および第2減速機230のいずれか一方の減速機の構成部材とは、この実施形態の場合、具体的には、第1減速機130ならば、第1ケース136および第1キャリヤ134、第2減速機230ならば、第2ケース236および第2キャリヤ234を指す。
さらには、第1減速機130および第2減速機230のいずれか一方の減速機の外部部材と該外部部材に軸方向に連結される連結外部部材との間に、シムを配置してもよい。例えば、第1減速機130(第2減速機230)の外部部材である第1モータケース140(第2モータケース240)と、該第1モータケース140(第2モータケース240)と軸方向に連結される連結外部部材である第1固定フレーム116(第2固定フレーム216)の間にシムを配置してもよい。あるいは、第1減速機130(第2減速機230)の外部部材である第1接続部材142(第2接続部材242)と、該第1接続部材142(第2接続部材242)と軸方向に連結される連結外部部材である工具取付具12(被回転部材)との間にシムを配置してもよい。
本実施形態の場合、このように、第1減速機130内(あるいは第2減速機230内)にシムを配置するのではなく、第1減速機130の構成部材と該構成部材に軸方向に連結される外部部材との間にシムを配置するようにしている。そのため、第1、第2減速機130、230自体については、例えば、工場内において組み立てを完了しておき、現場での工具取付具12(被回転部材)との兼ね合いで、第1減速機130および第2減速機230を容易に、かつ精度良く、固定フレーム16に組み付けることができる。
なお、駆動装置において、第1減速機および第2減速機の計4個の偏心歯車の出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている、という偏心態様は、上記構成例に限定されない。
図6に、他の偏心態様の構成例を模式的に示す。
図6(A)〜(D)では、図4(A)〜(D)に対応する他の偏心態様が、模式的に記載されている。
図6の偏心態様においても、第1減速機130の第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156B、第2減速機230の第2内側外歯歯車256Aおよび第2外側外歯歯車256Bの、第1内歯歯車158の回転軸(=第2内歯歯車258の回転軸)に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている。そのため、先の実施形態と同様に、角度伝達誤差の平準化を効果的に実現できる。
また、第1回転軸C136(または第2回転軸C236)方向の一方から観察したときに、4個の外歯歯車156A、156B、256A、256Bの偏心方向が90度ずつ別方向にずれている。そのため、駆動装置10全体における回転軸C12の径方向の荷重バランスを、良好に取ることができる。
図6の偏心態様は、以下のように別言できる。
(1)図6の偏心態様は、第1減速機130の工具取付具12側の第1内側外歯歯車156Aと、第2減速機230の工具取付具12側の第2内側外歯歯車256Aとが、第1ケース136および第2ケース236の回転軸(出力部材の回転軸)に対して反対方向(互いに離反する方向)に180度偏心している。つまり、第1減速機130の2個の偏心歯車のうちの被回転部材側の偏心歯車の偏心方向と、第2減速機230の2個の偏心歯車のうちの被回転部材側の偏心歯車の偏心方向が、出力部材の回転軸に対して180度ずれている。
この(1)の偏心態様は、角度伝達誤差の平準化(工具取付具12の位置決め精度の向上)という観点で、(第1減速機130の2個の偏心歯車のうちの被回転部材側の偏心歯車と、第2減速機230の2個の偏心歯車のうちの被回転部材側の偏心歯車とが、出力部材の回転軸に対して同じ方向に偏心している構成と比較して)より良好に機能する。
(2)図6の偏心態様は、工具取付具12に対する距離が等しい第1内側外歯歯車156Aと第2内側外歯歯車256Aの偏心方向が、180度ずれている。また、工具取付具12に対する距離が等しい第1外側外歯歯車156Bと第2外側外歯歯車256Bの偏心方向が、第1ケース136、第2ケース236の第1、第2回転軸C136、C236に対して反対方向に偏心している。
つまり、第1減速機130の2個の偏心歯車と第2減速機230の2個の偏心歯車のうち、工具取付具12に対する距離が等しい偏心歯車同士の偏心方向が、出力部材の回転軸に対して反対方向に偏心している。このため、駆動装置10全体における回転軸C12の径方向の荷重バランスを、より一層良好に取ることができる。
なお、上記偏心態様は、例示である。したがって、さらに他の偏心態様を採用してもよい。例えば、第1外側外歯歯車156B、第1内側外歯歯車156A、第2内側外歯歯車256A、第2外側外歯歯車256Bが、この順に、順次90度ずつ偏心位相がずれている態様であってもよい。要は、第1減速機の2個の偏心歯車および第2減速機の2個の偏心歯車の、出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている構成が採用されていることが重要である。
なお、上記実施形態では、第1減速機130の第1偏心体軸154の第1回転軸C136と第2減速機230の第2偏心体軸254の第2回転軸C236とが同軸である構成例が説明されていた。しかしながら、第1回転軸C136と第2回転軸C236は、必ずしも同軸である必要はない。要は、各偏心体軸の偏心体の偏心方向の向きが管理されることにより、第1減速機および第2減速機の計4個の偏心歯車の出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている構成が実現できていればよい。
なお、上記実施形態では、第1減速機130および第2減速機230の各々が、出力部材と、該出力部材と相対回転する相対回転部材との間に配置された主軸受を1個のみ備えていたが、駆動装置10に係る第1減速機130および第2減速機230の構成は、上記構成に限定されない。例えば、第1減速機および第2減速機は、各々が、出力部材と該出力部材と相対回転する相対回転部材との間に主軸受を一対有していてもよい。
この例を、図7に示す。図7の構成例では、第1減速機130の第1ケース136と第1内側キャリヤ体134Aとの間、および第1ケース136と第1外側キャリヤ体134Bとの間に、一対の第1主軸受138、178が配置されている。第1主軸受138、178は、背面合わせで組み込まれた一対のアンギュラ玉軸受で構成されている。第2減速機230においても、同様の構成が採用されている。
図7に示す構成例では、第1ケース136を工具取付具12から取り外したときの第1ケース136の第1回転軸C136が、第1ケース136が工具取付具12に固定されているときの第1回転軸C136からずれない(同一である)。このため、工具取付具12を駆動装置10に取り付けるときに、例えば、第1減速機130に工具取付具12を固定するだけで、該工具取付具12の位置を所定の位置に保持することができる。第2減速機230においても同様の作用効果が得られる。
このような構成例においても、偏心態様については、先の実施形態と全く同一の構成を採用することができる。例えば、第1減速機130および第2減速機230の計4個の偏心歯車(第1内側外歯歯車156A、第1外側外歯歯車156B、第2内側外歯歯車256A、および第2外側外歯歯車256B)の出力部材(第1ケース136、第2ケース236)の第1、第2回転軸C136、C236)に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている構成を採用することができる。そして、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
その他の構成は、既に説明した先の実施形態と同様であるため、図中で同一の部材または機能的に類似する部材に同一の符号、または、下2桁が同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
さらには、偏心歯車を偏心体によって揺動させる構成も、上記構成には限定されない。例えば、図8に示されるような構成であってもよい。
図8に示される構成例においては、第1減速機130に、第1駆動偏心体軸180が1個のみ配置されている。第1駆動偏心体軸180は、第1ケース136の第1回転軸C136と同軸に配置されている。第1駆動偏心体軸180は、第1モータ132からの駆動力を受けて回転する。第1駆動偏心体軸180は、2個の第1駆動偏心体182(第1内側駆動偏心体182A、第1外側駆動偏心体182B)を備える。第1駆動偏心体軸180は、2個の第1駆動偏心体182を介して、2個の第1外歯歯車156(第1内側外歯歯車156Aおよび第1外側外歯歯車156B:2個の偏心歯車)を偏心駆動する。
第1減速機130は、3個の第1従動偏心体軸(1個のみ図示)184を備える。各々の第1従動偏心体軸184は、第1回転軸C136の周りに等間隔に配置されている。各々の第1従動偏心体軸184は、2個の第1従動偏心体186(第1内側従動偏心体186A、第1外側従動偏心体186B)を備える。第1従動偏心体軸184には、第1モータ132からの駆動力は伝達されない。第1従動偏心体軸184は、第1外歯歯車156の偏心回転に伴って、第1従動偏心体186を介して回転軸C184の周りで従動回転する。
第2減速機230側も同様の構成を有する。
図8に示される構成例においては、第1減速機130の第1内側駆動偏心体182A、第1外側駆動偏心体182B、第2減速機230の第2内側駆動偏心体282A、第2外側駆動偏心体282Bの偏心態様に関し、先の実施形態にて説明した偏心態様を採用することができる。例えば、第1減速機130、第2減速機230の計4個の偏心歯車(第1内側駆動偏心体182A、第1外側駆動偏心体182B、第2内側駆動偏心体282A、第2外側駆動偏心体282B)の、第1、第2ケース136、236の第1、第2回転軸C136、C236に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれている構成とすることができる。そして、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
その他の構成は、既に説明した先の実施形態と同様であるため、図中で同一の部材または機能的に類似する部材に同一の符号、または、下2桁が同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
なお、上記実施形態においては、第1減速機と第2減速機の双方が、外歯歯車が偏心回転する偏心歯車として機能していた。しかしながら、第1減速機と第2減速機の双方が、内歯歯車が偏心回転する偏心歯車として機能するタイプの減速機であってもよい。要するに、第1減速機および第2減速機の計4個の偏心歯車の出力部材の回転軸に対する偏心方向が、全て別方向に90度ずれていればよい。