JP2016142205A - 風力発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いて、ブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレード、及びそれを用いた風力発電装置において、雷撃によりチップレセプタが飛散するのを、抑制することが可能な風車用ブレード及び風力発電装置を提供する。
【解決手段】チップレセプタ9と、ブレード先端開口部の形状による係止構造を用いて、ブレード先端へのチップレセプタ9の固定を行うようにした風車用ブレード4、及びそれを用いた風力発電装置において、チップレセプタ9とブレード先端開口部の形状による係止構造に加えて、ボルトなどの締結手段20を用いて、チップレセプタ9とブレード4とを固定する。
【選択図】図3
【解決手段】チップレセプタ9と、ブレード先端開口部の形状による係止構造を用いて、ブレード先端へのチップレセプタ9の固定を行うようにした風車用ブレード4、及びそれを用いた風力発電装置において、チップレセプタ9とブレード先端開口部の形状による係止構造に加えて、ボルトなどの締結手段20を用いて、チップレセプタ9とブレード4とを固定する。
【選択図】図3
Description
本発明は、風車用ブレード及び風力発電装置にかかり、特にブレードの先端に受雷部(チップレセプタ)を有する風車用ブレード及び風力発電装置に関する。
風力発電装置はその高さゆえ落雷の危険性が非常に大きく、その対策は重要な課題の一つと考えられている。特に風車が大型化すると、ブレードの落雷被害の割合が大きくなることからブレードの落雷対策が重要となる。そのためブレード先端に受雷部(チップレセプタ)を設けることで、レセプタ以外のブレードへの雷撃を防ぐようにする落雷対策が行われている。
雷の中でも冬季における雷(冬季雷)には、電流継続時間が長く電荷量が大きいものがある。落雷に伴いブレードにはIECの規格で定められている雷電流保護レベルを超える1,000クーロンほどの雷電流が観測されているところもある。従って、実際に観測されている1,000クーロンレベル以上の落雷対策を行えば、冬季雷でのブレード被害発生を抑制することができ、風力発電装置の稼働率も向上する。
電荷量が大きい雷に対しては、チップレセプタが雷撃を受けても溶融や穴開きなどが生じないようにするため、チップレセプタの中でも中実レセプタの採用が望ましい。また、レセプタに落雷を生じさせ、レセプタ以外のブレードへの雷撃を防ぐ観点では、中実レセプタは電子を集めやすく、中空レセプタに比べて効果が大きい。中実レセプタをブレードの先端に取り付けるようにした風車用ブレードとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。また、中空レセプタをブレード先端に取り付けるようにした風車用ブレードとしては、例えば、特許文献2に記載のものがある。
特許文献1では、チップレセプタのブレードへの取り付けを、受雷部にアンカー部を設け、アンカー部をブレード先端へ固定することにより行っている。また、アンカー部の先端部は、先端に向けて幅が大きくなるテーパ形状を有し、この先端部をブレードに設けた係止用空隙に係止させ、さらに、接着剤による接合を行うようにしてアンカー部をブレードに確実に固定するようにしている。
特許文献2では、中実レセプタのブレードへの取り付けではないが、翼本体の少なくとも一部を構成する繊維強化プラスチックと、翼先端を形成する金属製レセプタとが少なくとも重ねられた状態で、繊維強化プラスチックが金属製レセプタに対してボルトで締結されるようにしている。
チップレセプタは、ブレードの回転に伴う遠心力を受ける。中実レセプタは中空レセプタに比して重いことからより大きな遠心力を受けるため、確実にブレードに取り付けることが重要である。チップレセプタのブレードへの取り付けは、従来、例えば、特許文献1に記載のように、チップレセプタとブレード先端の形状による係止構造を用いた取り付けか、特許文献2に記載のように、ボルトなどの締結手段を用いた取り付けが行われている。特許文献1に記載のような係止構造による取り付けでは、固定を確実にするため、接着剤を用いており、ボルトなどの締結手段の併用は行われていない。
ボルトなどの締結手段を用いた取り付けの場合、ボルトの頭部への雷撃によりボルトの頭部が脱落してしまうことも想定される。チップレセプタとブレード先端の形状による係止構造による取り付けでは、基本的にボルトなどの締結手段を用いる必要がないので、ボルトなどの締結手段の損傷という課題が生じない。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、チップレセプタとブレード先端の形状による係止構造による取り付けにおいても、雷撃によりチップレセプタのブレードへの固定が劣化し、チップレセプタがブレード先端から飛び出す場合がある(なお、この技術分野では、雷撃によりチップレセプタが飛び出すことをチップレセプタの飛散と呼称することが多い)。チップレセプタへの落雷に伴い、チップレセプタの飛散が生じるようなブレード被害が生じると、ブレードの修復に多くの時間や費用を必要とし、多額の損失となる可能性がある。
本発明の目的は、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレード及びそれを用いた風力発電装置において、雷撃によりチップレセプタが飛散するのを抑制することが可能な風車用ブレード及び風力発電装置を提供することにある。
本発明は、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレード及びそれを用いた風力発電装置において、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造に加えて、ボルトなどの締結手段を用いてチップレセプタとブレードとを固定するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレード及びそれを用いた風力発電装置において、雷撃によりチップレセプタが飛散するのを効果的に抑制することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
先ず、本発明の至った経緯について詳細に説明する。
上述したように、本発明は、チップレセプタとブレード先端開口部の内壁の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレードに関するものである。チップレセプタとブレード先端開口部の内壁の形状による係止構造では、チップレセプタがブレード先端開口部外側に位置する部位(ブレード外側部)とブレード先端開口部内側に挿入される部位(ブレード内側部)とを備え、ブレード内側部の幅方向又は厚み方向の大きさがブレード先端開口部の内壁のそれよりも大きく構成されているため、チップレセプタは物理的にブレード先端開口部からの飛び出しが制限される。また、このような係止構造ではさらに接着剤によりチップレセプタのブレード内側部とブレード先端開口部の内壁とが固定されるため、チップレセプタのブレード先端開口部からの飛散が効果的に制限される。
上述したように、本発明は、チップレセプタとブレード先端開口部の内壁の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレードに関するものである。チップレセプタとブレード先端開口部の内壁の形状による係止構造では、チップレセプタがブレード先端開口部外側に位置する部位(ブレード外側部)とブレード先端開口部内側に挿入される部位(ブレード内側部)とを備え、ブレード内側部の幅方向又は厚み方向の大きさがブレード先端開口部の内壁のそれよりも大きく構成されているため、チップレセプタは物理的にブレード先端開口部からの飛び出しが制限される。また、このような係止構造ではさらに接着剤によりチップレセプタのブレード内側部とブレード先端開口部の内壁とが固定されるため、チップレセプタのブレード先端開口部からの飛散が効果的に制限される。
しかしながら、結露水などの水分がブレード内にあると、被雷によって水分が蒸発してブレード内の圧力が上昇し、ブレードが破損することがあると言われている。これをブレード先端におけるチップレセプタの係止構造への影響について検討すること、被雷によって水分が蒸発して内部圧力が上昇することによりブレードの先端開口部が、チップレセプタのブレード内側部の幅方向または厚み方向の大きさよりも大きく開くことが想定される。しかし、ブレードの先端開口部が開いたとしても、ブレードの先端開口部内壁とチップレセプタのブレード内側部の表面が接着剤で固定されているので、チップレセプタがブレード先端開口部から飛散するのが効果的に抑制されると考えられる。ところが、雷撃によって接着剤が劣化して、接着剤の効果がなくなることも想定される。
このように、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造と接着剤を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにしても、雷撃により係止構造や接着剤の劣化が生じれば、チップレセプタの飛散を効果的に抑制することが困難である。本発明者らはこのような検討に基づき、雷撃により係止構造や接着剤の劣化が生じたとしても、チップレセプタの飛散を効果的に抑制することができないか種々検討を行った。
その検討の結果、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造に加えて、ボルトなどの締結手段によりチップレセプタとブレードとを固定するようにしておけば、雷撃によりブレード先端開口部が開き係止構造が劣化、また、接着剤が劣化したとしてもボルトなどの締結手段によりチップレセプタのブレード先端開口部からの飛散を効果的に抑制することができる。ここで、本発明では、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造が主たるチップレセプタの固定手段であり、ボルトなどの締結手段は補助的なチップレセプタの固定手段である。言い換えれば、ボルトなどの締結手段を備えなくても、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造によってチップレセプタをブレード先端開口部に固定できている。ボルトなどの締結手段をメインのチップレセプタの固定手段とした場合には、雷撃によるボルト頭部の脱落などが懸念されることからチップレセプタの固定手段として用いるには様々な検討が必要と考えられる。しかし、本発明のように、ボルトなどの締結手段を補助的なチップレセプタの固定手段として用いる場合には、例え、ボルトの頭部が脱落してもチップレセプタの固定に大きな障害は生じない。本発明はこのようにボルトなどの締結手段を補助的なチップレセプタの固定手段としてチップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造と併用することにより、雷撃により係止構造や接着剤の劣化が生じたとしても、チップレセプタの飛散を効果的に抑制することができる。また、本発明では、チップレセプタに作用する遠心力を係止構造や接着剤に加えてボルトなどの締結手段でも保持するようにしているので、チップレセプタに作用する遠心力が分散して保持され、係止構造や接着剤の劣化抑制が期待できる。
次に本発明の実施例を説明する。まず、図1及び図2を用いて、本発明が適用されるブレード4を備えた水平軸風車1の構成について説明する。
水平軸風車1は、図1に示すように、地上に設置されるタワー2、タワー2の頂部に取り付けられたナセル3、ナセル3の内部の主軸(図示省略)に取り付けられたブレード4等から構成されている。主軸には減速機を介して発電機が連結されており、ブレード4の回転に基づき発電機で発電が行われる。ブレード4は、繊維強化プラスチック(FRP)製の外皮と、この外皮の内側に配置される主桁(図示省略)とを備えて構成されている。
水平軸風車1は、図1に示すように、地上に設置されるタワー2、タワー2の頂部に取り付けられたナセル3、ナセル3の内部の主軸(図示省略)に取り付けられたブレード4等から構成されている。主軸には減速機を介して発電機が連結されており、ブレード4の回転に基づき発電機で発電が行われる。ブレード4は、繊維強化プラスチック(FRP)製の外皮と、この外皮の内側に配置される主桁(図示省略)とを備えて構成されている。
ブレード4には、雷保護装置としてレセプタ(受雷部)が設置されている。レセプタは引き下げ導体(ダウンコンダクタ)により接地極に接続され、引き下げ導体は、レセプタから接地極に雷電流を速やかに導電する。本実施例では、ブレード4の先端部に、受雷部であるがチップレセプタ9が設けられている。また、ブレードの大きさに応じて中間レセプタ16が設けられている。また、本実施例では、引き下げ導体は、接地用避雷導線11、タワー内避雷導線12、ナセル内避雷導線13、ブレード内避雷導線14から構成されている。また、引き下げ導体には、その目的のため特別に設置したものではないが、構造体利用(雷保護機能を果たす構成部材)の引き下げ導体も含む。引き下げ導体は雷のエネルギー(電荷量)を考慮した材質や太さなどで構成される。銅線の他、アルミニウム製の導線などが用いられる。
タワー2の設置場所近傍の地中には、図1に示すように、接地極として、接地金属板10が埋設されており、この接地金属板10とタワー2の接地端子2aとの間に引き下げ導体(ダウンコンダクタ)の一部である接地用避雷導線11が配されている。また、タワー2の内部には、図1に示すように引き下げ導体の一部であるタワー内避雷導線12が配されている。タワー内避雷導線12の下端はタワー2の下部に設けられた接地端子2aに接続されており、これによってタワー内避雷導線12と接地金属板10とが電気的に接続されている。また、タワー内避雷導線12の上端はナセル3の内部に配された引き下げ導体の一部であるナセル内避雷導線13に接続されている。
ナセル3の内部には、図1に示すようにナセル内避雷導線13が配されている。ナセル内避雷導線13の一端はタワー内避雷導線12に接続され、ナセル内避雷導線13の他端はブレード4の内部に配された引き下げ導体の一部であるブレード内避雷導線14の一端に接続される。ブレード内避雷導線14の他端は受雷部9に接続される。また、中間レセプタ16が設けられている場合には、ブレード内避雷導線14の途中で中間レセプタ16に接続されている。また、ナセル3の後方には、図1に示すように避雷針5が設けられている。避雷針5は風速計や風向計を雷から保護するために設置される。この避雷針5も、ナセル内避雷導線13を介してタワー内避雷導線12に接続されている。
水平軸風車1のブレード4に設けられチップレセプタ9に落雷した場合には、落雷の電流は、ブレード内避雷導線14、ナセル内避雷導線13、タワー内避雷導線12、接地用避雷導線11及び接地金属板10を順次経由して地中に誘導される。また、避雷針5に落雷した場合には、落雷の電流は、ナセル内避雷導線13、タワー内避雷導線12、接地用避雷導線11及び接地金属板10を順次経由して地中に誘導される。
次に、図3〜図13を用いて、ブレード(ブレード本体)4の先端開口部へのチップレセプタの固定構造について詳細に説明する。
チップレセプタ9は、図3に示すように、ブレード先端開口部外側に位置する部位(ブレード外側部9a)とブレード先端開口部内側に挿入される部位(ブレード内側部9b)を備える。チップレセプタ9は一体的に形成されているものであり、例えば、ブレード先端開口部に取り付ける前は複数の部材から構成され、ブレード先端開口部に取り付けた状態で複数の部材が接して一つのレセプタを構成するようなものは、本発明における一体的に形成されたチップレセプタとは言わない。また、ブレード先端開口部における開口は、半割状の二つのブレード面(背側面と腹側面)を合せることにより、ブレード先端に形成される円形状の開口である。
チップレセプタ9は、図3に示すように、ブレード先端開口部外側に位置する部位(ブレード外側部9a)とブレード先端開口部内側に挿入される部位(ブレード内側部9b)を備える。チップレセプタ9は一体的に形成されているものであり、例えば、ブレード先端開口部に取り付ける前は複数の部材から構成され、ブレード先端開口部に取り付けた状態で複数の部材が接して一つのレセプタを構成するようなものは、本発明における一体的に形成されたチップレセプタとは言わない。また、ブレード先端開口部における開口は、半割状の二つのブレード面(背側面と腹側面)を合せることにより、ブレード先端に形成される円形状の開口である。
チップレセプタ9のブレード内側部9bは、幅方向(図3の左右方向)又は厚み方向(図3の紙面と略垂直に交差する方向)の大きさがブレード先端開口部のそれよりも大きい部位を有するように構成することにより、所謂、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を構成している。言い換えれば、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造では、ブレード4の先端開口部の形状と、チップレセプタ9のブレード内側部9bの形状との関係が、チップレセプタ9のブレード内側部9bをブレード4の先端開口部に取り付けた状態で、ブレード4の先端開口部の平面と垂直な方向から見たときに、ブレード4の先端開口部の内壁部とチップレセプタ9のブレード内側部9bが重なり合う領域を有する関係にある。
本実施例では、チップレセプタ9のブレード内側部9bは、厚み方向(図3の紙面と略垂直に交差する方向)の大きさがブレード先端開口部のそれよりも大きく構成されている(図4、図6〜図11参照)。
なお、特許文献2では、断面で見た場合、繊維強化プラスチックと金属製レセプタが重なり合う領域において、金属製レセプタは、その第1凹部における厚さ(吸引面側の第1凹部の表面から圧力面側の第1凹部の表面までの距離)が、繊維強化プラスチックの先端における間隔(繊維強化プラスチックの吸引面側の金属製レセプタとの接触面から圧力面側の金属製レセプタとの接触面までの距離)よりも大きくなっている領域を有するが本実施例の構成を示唆するものではない。すなわち、特許文献2では、金属製レセプタも半割形状の吸引側部位と圧力側部位の二つに分離されて構成されており、本発明における一体的に形成されたチップレセプタには該当しない。さらに、特許文献2では、金属製レセプタの第1凹部における繊維強化プラスチックが吸引面側と圧力面側の二つの平板として金属製レセプタの第1凹部のみを挟み込むように位置しており、ブレード先端開口部を形成していない。そのため、特許文献2の構成では、繊維強化プラスチックと金属製レセプタを締結するボルトが雷撃で損傷した場合には、翼の回転や振動などで、金属製レセプタが繊維強化プラスチックから離脱する可能性があり、金属製レセプタと繊維強化プラスチックの形状による係止構造を構成するものとは言えない。
なお、特許文献2では、断面で見た場合、繊維強化プラスチックと金属製レセプタが重なり合う領域において、金属製レセプタは、その第1凹部における厚さ(吸引面側の第1凹部の表面から圧力面側の第1凹部の表面までの距離)が、繊維強化プラスチックの先端における間隔(繊維強化プラスチックの吸引面側の金属製レセプタとの接触面から圧力面側の金属製レセプタとの接触面までの距離)よりも大きくなっている領域を有するが本実施例の構成を示唆するものではない。すなわち、特許文献2では、金属製レセプタも半割形状の吸引側部位と圧力側部位の二つに分離されて構成されており、本発明における一体的に形成されたチップレセプタには該当しない。さらに、特許文献2では、金属製レセプタの第1凹部における繊維強化プラスチックが吸引面側と圧力面側の二つの平板として金属製レセプタの第1凹部のみを挟み込むように位置しており、ブレード先端開口部を形成していない。そのため、特許文献2の構成では、繊維強化プラスチックと金属製レセプタを締結するボルトが雷撃で損傷した場合には、翼の回転や振動などで、金属製レセプタが繊維強化プラスチックから離脱する可能性があり、金属製レセプタと繊維強化プラスチックの形状による係止構造を構成するものとは言えない。
本実施例では、上述の係止構造に加えて、ボルトなどから構成される締結手段20を用いてブレード4の先端部とチップレセプタ9のブレード内側部9bとを共締めしている。締結手段20はブレードの幅方向に複数(本実施例では二つ)並んで取り付けられている。締結手段20の詳細は図4〜図11を用いて説明する。
また、ブレード4の先端部側の上面には水抜き穴15が形成されている。この水抜き穴15は、被雷による内部圧力の上昇を防ぐために、ブレード内部に水が溜まらないようにするものである。ブレード4の回転時に遠心力により水抜き穴15から水が抜けるようになっている。
レセプタは、雷を受けると熱により溶融する場合がある。このため、熱による温度上昇を考慮して十分な性能を維持出来る材料や大きさが選定される。本実施例では、チップレセプタ9を中実レセプタとして体積を大きくするともに、導電性が高いアルミニウム、銅や黄銅を用いて構成している。なお、中実レセプタとは、ボルトなどの締結手段を取り付けるための孔や、引き下げ導体を取り付けるために形成した孔等以外に空間部を有しないレセプタであり、特に、本実施例では、レセプタ9のブレード外側部9a内に空洞を有しないものを中実レセプタと称する。中実レセプタは電子を集めやすい特長があり、チップレセプタ9に落雷を生じさせ、レセプタ以外のブレードへの雷撃を防ぐ効果が高い。また、レセプタは強度があるほど望ましく、雷撃を受けた際に溶けることがなく、穴の空く危険性が小さくするためにも中実レセプタとして構成することが望ましい。
図4に示すように、チップレセプタ9のブレード内側部9bは、ブレードの先端側から根元側に向う方向に広がりを有し、また、ブレード4の先端開口部の内壁面に接する当接面を有している。ここでいう当接面とは、ブレードの内壁面とチップレセプタの外壁面が密着する面のことを言う。この当接面はブレード4の先端開口部の内壁面によってブレード先端開口部の外側(図面左側)に向かう動きが規制され、チップレセプタ9のブレード4からの飛散が抑制される。すなわち、ブレードの断面が開かない限りは、チップレセプタがブレードの先端開口部から抜けない構造となっている。
さらに、チップレセプタ9のブレード内側部9bの当接面とブレード4の先端開口部の内壁面との間には接着剤26が施され、チップレセプタ9のブレード内側部9bのブレード4の先端開口部の内壁面への固定を確実なものとしている。接着する面は、チップレセプタ平面のほぼ半分の面積を有しており、チップレセプタに掛かる遠心力に十分に耐える接着力により固定されていることが望ましい。ここでいう接着材料とは、FRPを構成する樹脂と同じエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂系接着剤であることが望ましいが他の粘着力を有するものでも構わない。
ブレード4の先端開口部の内壁面とチップレセプタ9のブレード内側部9bの表面は、ブレードとチップレセプタの間で摩擦力が生じるような粗さを有するものとしても良い。すなわち、チップレセプタ9のブレード外側部9aの表面よりもブレード内側部9bの表面を粗く形成するか、ブレード4の先端開口部の内壁面を他の部位のブレード内壁面よりも粗く形成するか、ブレード内側部9bの表面とブレード4の先端開口部の内壁面の双方をブレード外側部9aの表面や他の部位のブレード内壁面よりも粗く形成する。これにより、ブレードのチップレセプタに対する拘束力が向上する。その結果、チップレセプタがブレードと接着される面から遠心力により離れようとする力が弱まり、チップレセプタの離脱を効果的に抑制することができる。
そして、本実施例では、締結手段20を用いてブレード4の先端部とチップレセプタ9のブレード内側部9bとを共締めしている。
締結手段20は、図5に示すように、筒状の通しボルト座20aと通しボルト座20a内に挿入されるボルト20bとから構成されている。ボルト20bは通しボルト座20aよりも長く、通しボルト座20aは筒状の座金ともいえる。このように構成したのは、締結手段20の体積を大きくすることにより締結手段内に熱が籠らないようにするためである。締結手段20の体積を大きくすることにより熱容量を大きくすることができることから、締結手段20に落雷した場合、締結手段内部の急激な温度上昇を抑制することができる。また、締結手段20を後述のようにアルミニウムで構成すれば、アルミニウムは導電性も優れることから、雷撃による電流による内部発熱も小さくすることができる。さらに、アルミニウムは熱伝導性も優れることから、雷撃により締結手段内部に伝達される熱や締結手段内部で生じた熱を速やかに分散することもできる。
ボルトのみで締結手段を構成した場合、ボルトの外径を大きくする必要があるが、そのような大きなボルトを形成するのはコストがかかる。そこで、本実施例では、締結手段20を通しボルト座20aとボルト20bとで構成することにより、締結手段20の大径化と、ボルト20bの小径化を実現している。この締結手段は、本発明の風車用ブレード以外にも適用可能であり、ボルト頭部への雷撃によるボルト頭部の脱落などの抑制に効果が期待できる。
締結手段20は、図5に示すように、筒状の通しボルト座20aと通しボルト座20a内に挿入されるボルト20bとから構成されている。ボルト20bは通しボルト座20aよりも長く、通しボルト座20aは筒状の座金ともいえる。このように構成したのは、締結手段20の体積を大きくすることにより締結手段内に熱が籠らないようにするためである。締結手段20の体積を大きくすることにより熱容量を大きくすることができることから、締結手段20に落雷した場合、締結手段内部の急激な温度上昇を抑制することができる。また、締結手段20を後述のようにアルミニウムで構成すれば、アルミニウムは導電性も優れることから、雷撃による電流による内部発熱も小さくすることができる。さらに、アルミニウムは熱伝導性も優れることから、雷撃により締結手段内部に伝達される熱や締結手段内部で生じた熱を速やかに分散することもできる。
ボルトのみで締結手段を構成した場合、ボルトの外径を大きくする必要があるが、そのような大きなボルトを形成するのはコストがかかる。そこで、本実施例では、締結手段20を通しボルト座20aとボルト20bとで構成することにより、締結手段20の大径化と、ボルト20bの小径化を実現している。この締結手段は、本発明の風車用ブレード以外にも適用可能であり、ボルト頭部への雷撃によるボルト頭部の脱落などの抑制に効果が期待できる。
本実施例では、例えば、通しボルト座20aの外径を30mmとし、ボルト20bの径を10mm程度としている。なお、本発明では、締結手段20は補助的なチップレセプタの固定手段であるので、特許文献2に記載のような主たるチップレセプタの固定手段としてボルトを用いるのと異なり、ボルト20bを小径としても問題がない。
締結手段20はブレード4とチップレセプタを固定するものであれば良い。また、締結手段20はチップレセプタと異種のものであると腐食が引き起こされる可能性がある。そのため、締結手段20はチップレセプタと同じ素材であることが望ましい。チップレセプタをアルミニウム素材で構成した場合、チップレセプタに接する外側はアルミニウム素材で内側はステンレス鋼材として構成することが考えられる。締結手段20を通しボルト座20aとボルト20bとで構成する場合、通しボルト座20aは全体をアルミニウムで構成し、そして、ボルト20bは芯をステンレス素材とし、この芯材をアルミニウムで覆うように構成することが考えられる。この構成により、軽さと強度の高さを実現することができ、ブレードが回転する際に締結手段20の遠心力を軽減することができ、ブレードへの負荷を軽減し劣化の危険性を低減することができる。
また、通しボルト座20aは頭部が皿状に形成されており、ボルト20bの頭部も皿状に形成されている。通しボルト座20aの頭部の内壁部は、ボルト20bの頭部と密着するように、皿状の座繰りが形成されている。このように締結手段20を構成することにより、ボルト20bの頭部が外部に突出しないように構成することができ、ボルト頭部への落雷を抑制することが期待できる。そして、ボルト20bの皿状の頭部と通しボルト座20aの皿状の座繰り面によりボルト頭部と通しボルト座を広い接触面で密着させることができるので、ボルト頭部に落雷しても落雷に起因する熱を広い接触面を介して通しボルト座20aに伝えることができる。これらによって、ボルト頭部の脱落を効果的に抑制することができる。同様に、ブレード4の一方の面4aには、通しボルト座20aの頭部と密着するように座繰りが形成されている。チップレセプタ9のブレード内側部9bには、通しボルト座20aの直線部が挿入される孔と、ボルト20bのネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。通しボルト座20aの頭部の内壁部や、ブレード4に形成する座繰りは、皿状としているが、筒状でも良く皿状に限定されない。ただし、ボルトなどの頭部との密着性を向上させることや接触面積を大きくするという観点で、皿状に形成した方が望ましい。また、ブレードの表面に締結手段20(通しボルト座20a)の頭部が密接する結果、ブレードへの負荷が軽減され、ブレードの劣化を抑えることができる。
図4に示す実施例では、ブレード4の一方の面4aに締結手段20を取り付けているが、他方の面4bに締結手段20を取り付けるようにしても良いし、一方の面4aと他方の面4bの双方に締結手段20を取り付けるようにしても良い。双方に設けた場合には、ブレードとチップレセプタの接着材料に異常が発生し、万一、上面と下面が乖離しそうになっても、双方の締結手段により確実に固定され、チップレセプタ9がブレード4の先端開口部から抜け出ることを効果的に抑制することができる。
また、締結手段20の位置はブレードやチップレセプタの淵といった端部ではなく、内側に設けられている。締結手段20の被締結部材に対する締結力が、ブレードやチップレセプタに働き、亀裂などの損傷を与える危険性があるためである。
図6に示すように、チップレセプタ9のブレード内側部9bには引き下げ導体の一部であるブレード内避雷導線24がボルト21により締結されている。ブレード内避雷導線24には端子22が取り付けられ、ボルト21を用いて端子22をチップレセプタ9のブレード内側部9bに固定するようにしている。本実施例では引き下げ導体としてアルミニウム製の導線を用いている。アルミニウムは、銅と比べて導電率は低いものの、主要な構造材にも使用される構造用軽量素材である。このため、銅と同程度の導電性を確保するために大径化しても、軽量素材であることから、風車用ブレードの重量を増加させることがない。寧ろ大径化したことと相俟って、構造用素材という特徴により、中実レセプタであるチップレセプタ9に作用する遠心力に十分に耐える強度を持つ引き下げ導体とすることができる。本実施例では、引き下げ導体であるブレード内避雷導線24を一本としているが、2本としても良い。2本とすることにより、電流継続時間が長く電荷量が大きい雷にも容易に対応することができるとともに、引き下げ導体によりチップレセプタ9の飛散も効果的に抑制することができる。
締結手段20によりチップレセプタ9をブレード4の先端開口部への取り付けたあとに、図7に示すように、締結手段20(通しボルト座20a)の頭部を除去して研磨し、締結手段20の頭部がブレード面から突出しないようにし、ブレード先端部の表面を滑らかに形成することが望ましい。このようにすることによって、ブレード先端における空気の流れを乱すことがなく、また、雷が締結手段に直撃することを低減できると期待できる。ブレード先端における空気の流れを抑制することによって、風車の効率向上や騒音防止の効果が期待できる。なお、締結手段20をブレードに取り付けたときに、ボルト20bの頭部がブレード面よりも外に出ないように、通しボルト座20aの座繰りやボルト20bの頭部を構成することによって、ボルト20bの頭部を除去しないようにすることができ、ボルト頭部の強度低下を防止することができる。これらの点は後述の実施例にも同様に適用した方が望ましい。
図8に中実レセプタを採用した他の実施例を示す。本実施例では、締結手段200を通しボルト座200a、ボルト200b、ナット200cから構成し、一方の面4aと他方の面4bの双方からチップレセプタ9のブレード内側部9bとブレード先端部に対して締結手段200による締結力を加えるようにしている。ナット200cは袋ナットとして構成され、ボルト200bがねじ込まれる。ナット200ccの頭部(ブレード先端に接する部分)も通しボルト座200aと同様に皿状に形成され、ブレード先端には皿状の座繰りが形成されている。
本実施例では、通しボルト座200a、ボルト200b(芯は必要に応じてステンレス材)、ナット200cをアルミニウムで構成しているが、通しボルト座200a及びボルト200bとナット200cが連結しているので、通しボルト座200a及びボルト200bとナット200cの間にスパークが飛ばずに済む。
なお、上述の実施例では、ナット200cを用いて、ブレード先端において両側からチップレセプタ9のブレード内側部9bとブレード先端部に対して締結手段による締結力を加えるようにしているが、ナット200cを省略して、チップレセプタ9のブレード内側部9bと、通しボルト座200a及びボルト200bと接する側と反対側のブレード先端部にボルト200bがねじ込まれる雌ネジを形成するようにしても良い。
レセプタを上述のように中実レセプタとして構成することにより、本実施例では次のような効果も期待できる。すなわち、レセプタをアルミニウムで構成することによりレセプタを軽量化することができることから、中実レセプタを、例えば、1,500クーロンレベルの落雷にも耐えうるように大きな体積(例えば300cc程度)のレセプタとして構成できる。すなわち、レセプタを大きな体積のものとして構成することにより熱容量を大きくすることができることから、雷撃によるレセプタ内部の急激な温度上昇を抑制することができる。また、レセプタを構成するアルミニウムは導電性も優れることから、雷撃による電流による内部発熱も小さくすることができる。さらに、レセプタを構成するアルミニウムは熱伝導性も優れることから、雷撃によりレセプタ内部に伝達される熱やレセプタ内部で生じた熱を速やかに分散することもできる。これらにより、例えば、1,500クーロンレベルの落雷にも耐えうるレセプタを構成することができる。そして、チップレセプタを中実レセプタで構成し、本発明のチップレセプタの固定方法を採用することによって、雷撃を受けてもチップレセプタを飛散させることなくブレード先端開口部に保持できる。そして、引き下げ導体として大径(φ18mm程度)のアルミニウム導線を用いることよって、落雷による電流を障害なく接地極に誘導でき、例えば、1,500クーロンレベルの落雷にも耐えうるブレードの避雷装置を実現することができる。
上述したように、大きなエネルギーの雷対策としては、中実レセプタの採用が望ましい。しかしながら、本発明の原理は、中空レセプタにも適用できるものである。図9〜図11に本発明を中空レセプタに適用した実施例について示す。
本実施例では、中空のチップレセプタ9’(ブレード外側部9a’及びブレード内側部9b’)を用いている点、締結手段として二種類の締結手段20’、20’’を用いている以外は、図4、図6に示した実施例と同様である。同じ点については説明を省略する。締結手段20’、20’’は、それぞれ通しボルト座20a’とボルト20b’、通しボルト座20a’’とボルト20b’’で構成されている。本実施例では、締結手段20’がブレード4の面4a側に取り付けられ、締結手段20’’がブレード4の面4bに取り付けられている。締結手段20’と締結手段20’’の双方がブレードとチップレセプタを貫通するように設けられており、そして、締結手段20’のボルト20b’と締結手段20’’のボルト20b’’の先端が螺合するように構成されている。本実施例でも補助的なチップレセプタの固定手段である締結手段を係止構造と併用することによって、チップレセプタがブレード先端開口部から飛散するのを効果的に抑制することができる。なお、本実施例では、締結手段20’、20’’をブレードの厚み方向の両側から貫通させ、締結手段20’、20’’のボルト20b’、20b’’を連結させることによりスパークが飛ばずに済む。
図9及び図10に示す実施例では、中空のチップレセプタ9’のブレード内側部9b’は板状に形成されており、締結手段20’、20’’はその長さ方向の一部しかブレード内側部9b’に接していない。このため、締結手段20’、20’’はチップレセプタ9’に作用する遠心力を分散して保持することができない。締結手段においてチップレセプタ9’に作用する遠心力を分散して保持することができるように、締結手段が取り付けられるチップレセプタのブレード内側部の箇所は板状ではなく、締結手段の長さ方向の全体を実質的にカバーするようにブロック状に構成するのが望ましい。
この構成を図11に示す。図11に示すように、中空のチップレセプタ9’’のブレード内側部9b’’の一部9c’’を締結手段20の長さ方向の全体を実質的にカバーするようにブロック状の形成し、このブロック状の箇所に、締結手段20を取り付ける。このように構成することにより、締結手段20(通しボルト座20a)とチップレセプタ9’’のブレード内側部9b’’の接触長さが大きくなり、チップレセプタ9’’に作用する遠心力を締結手段20により分散して保持することができ、そして、係止構造や接着剤26に加わる遠心力を低減し、これらの劣化を効果的に抑制することが期待できる。
図12にブレード4の一方の面4aをはがした状態の模式図を示す。図12では、チップレセプタ9のブレード内側部9b上の接着剤の図示を省略し、また、締結手段20など位置が認識しやすいように、ボルトの頭部を追記している。
図12に示す例では、チップレセプタ9のブレード内側部9bがブレードの根元側に向かう方向に幅が広がるように形成されている。エポキシ樹脂系接着剤などの接着剤26を充填することにより、接着剤26が硬化した後には、接着剤26がブレードの先端開口部の幅を実質的に規定することになるので、硬化した接着剤26によってチップレセプタ9のブレード内側部9bがブレード先端開口部から抜け出るのを構造的に抑制しているとみることもできる。但し、接着剤26の未充填箇所が生じることも想定されるので、ブレード4の外皮によってブレード4の先端開口部を規定し、それとの関係でチップレセプタ9のブレード内側部9bがブレード先端開口部から抜け出るのを構造的に規制するのが望ましい。
図12に示す例では、チップレセプタ9のブレード内側部9bがブレードの根元側に向かう方向に幅が広がるように形成されている。エポキシ樹脂系接着剤などの接着剤26を充填することにより、接着剤26が硬化した後には、接着剤26がブレードの先端開口部の幅を実質的に規定することになるので、硬化した接着剤26によってチップレセプタ9のブレード内側部9bがブレード先端開口部から抜け出るのを構造的に抑制しているとみることもできる。但し、接着剤26の未充填箇所が生じることも想定されるので、ブレード4の外皮によってブレード4の先端開口部を規定し、それとの関係でチップレセプタ9のブレード内側部9bがブレード先端開口部から抜け出るのを構造的に規制するのが望ましい。
また、図12に示す例では、ブレード内避雷導線(引き下げ導体)24を、固定部材27を介してブレードの内側に設置される主桁28に取り付けている。固定部材27は主桁27にボルトなどで固定され、ブレード内避雷導線(引き下げ導体)24は固定部材27に固定されている。上述したように、引き下げ導体としてアルミニウム導線を用いればチップレセプタの飛散防止の効果を向上させることができる。さらに、図12に示すように、チップレセプタ9に端子22を介して接続したブレード内避雷導線(アルミニウム導線)24を近くにある主桁27に固定すれば、チップレセプタ9に接続されたアルミニウム導線を張った状態で主桁27に固定することが容易となる。その結果、チップレセプタ9に作用する遠心力を分担することも容易となり、チップレセプタ9に作用する遠心力に起因して係止構造や接着剤へ加わる力を小さくすることができ、係止構造や接着剤の劣化を抑制することも期待できる。
また、図12に示す例では、主桁28とチップレセプタのブレード内側部9bとを牽引索29を用いて連結している。これによって、チップレセプタ9のブレードの先端開口部からの抜け出しをより効果的に抑制することができる。
図13は図12の変形例であり、この変形例では、チップレセプタ9が半円形の形状を有している。このような形状でも接着剤26が硬化した後には、接着剤26がブレードの先端開口部の幅を実質的に規定することになるので、硬化した接着剤26によってチップレセプタ9のブレード内側部9bがブレード先端開口部から抜け出るのを構造的に抑制している。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
例えば、ロータがナセルの上流にあるアップウインド方式の風力発電装置でも一定の効果は期待できるものであり、本発明の想定の範囲に含まれるものである。また、締結手段20は、通しボルト座20aを必須とするものではなく、また、ボルト20bはブレードとチップレセプタを固定するものであれば同様の効果を奏することができる。例えば、ボルト20bに代えて棒状のものを用い、棒状のものを圧入させたり接着剤を用いたりしてチップレセプタと固着させるようにしても良い。
4・・・ブレード(ブレード本体)、9・・・チップレセプタ、9a・・・チップレセプタのブレード外側部、9b・・・チップレセプタのブレード内側部、20・・・締結手段、20a・・・通しボルト座、20b・・・ボルト、24・・・ブレード内避雷導線(引き下げ導体)、26・・・接着剤。
本発明は、風力発電装置にかかり、特にブレードの先端に受雷部(チップレセプタ)を有する風車用ブレードを備える風力発電装置に関する。
本発明の目的は、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレードを備える風力発電装置において、雷撃によりチップレセプタが飛散するのを抑制することが可能な風車用ブレードを備える風力発電装置を提供することにある。
本発明は、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレードを備える風力発電装置において、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造に加えて、ボルトなどの締結手段を用いてチップレセプタとブレードとを固定し、また、ブレード先端開口部の内側でレセプタに接続される引き下げ導体を備えるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、チップレセプタとブレード先端開口部の形状による係止構造を用いてブレード先端へのチップレセプタの固定を行うようにした風車用ブレードを備える風力発電装置において、雷撃によりチップレセプタが飛散するのを効果的に抑制することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
しかしながら、結露水などの水分がブレード内にあると、被雷によって水分が蒸発してブレード内の圧力が上昇し、ブレードが破損することがあると言われている。これをブレード先端におけるチップレセプタの係止構造への影響について検討すると、被雷によって水分が蒸発して内部圧力が上昇することによりブレードの先端開口部が、チップレセプタのブレード内側部の幅方向または厚み方向の大きさよりも大きく開くことが想定される。しかし、ブレードの先端開口部が開いたとしても、ブレードの先端開口部内壁とチップレセプタのブレード内側部の表面が接着剤で固定されているので、チップレセプタがブレード先端開口部から飛散するのが効果的に抑制されると考えられる。ところが、雷撃によって接着剤が劣化して、接着剤の効果がなくなることも想定される。
上述したように、大きなエネルギーの雷対策としては、中実レセプタの採用が望ましい。しかしながら、本発明の原理は、中空レセプタにも適用できるものである。図9〜図11に本発明の原理を中空レセプタに適用した参考例について示す。
本参考例では、中空のチップレセプタ9’(ブレード外側部9a’及びブレード内側部9b’)を用いている点、締結手段として二種類の締結手段20’、20’’を用いている以外は、図4、図6に示した実施例と同様である。同じ点については説明を省略する。締結手段20’、20’’は、それぞれ通しボルト座20a’とボルト20b’、通しボルト座20a’’とボルト20b’’で構成されている。本参考例では、締結手段20’がブレード4の面4a側に取り付けられ、締結手段20’’がブレード4の面4bに取り付けられている。締結手段20’と締結手段20’’の双方がブレードとチップレセプタを貫通するように設けられており、そして、締結手段20’のボルト20b’と締結手段20’’のボルト20b’’の先端が螺合するように構成されている。本参考例でも補助的なチップレセプタの固定手段である締結手段を係止構造と併用することによって、チップレセプタがブレード先端開口部から飛散するのを効果的に抑制することができる。なお、本参考例では、締結手段20’、20’’をブレードの厚み方向の両側から貫通させ、締結手段20’、20’’のボルト20b’、20b’’を連結させることによりスパークが飛ばずに済む。
図9及び図10に示す参考例では、中空のチップレセプタ9’のブレード内側部9b’は板状に形成されており、締結手段20’、20’’はその長さ方向の一部しかブレード内側部9b’に接していない。このため、締結手段20’、20’’はチップレセプタ9’に作用する遠心力を分散して保持することができない。締結手段においてチップレセプタ9’に作用する遠心力を分散して保持することができるように、締結手段が取り付けられるチップレセプタのブレード内側部の箇所は板状ではなく、締結手段の長さ方向の全体を実質的にカバーするようにブロック状に構成するのが望ましい。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例・参考例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例・参考例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
Claims (15)
- ブレード本体と、前記ブレード本体の先端に取り付けられたレセプタとを有する風車用ブレードであって、
前記レセプタは、一体的に形成され、かつ、前記ブレード本体の先端開口部の外側に位置するブレード外側部と前記先端開口部の内側に位置するブレード内側部を備え、
前記ブレード内側部は幅方向又は厚み方向の大きさが前記ブレード先端開口部の内壁の幅方向又は厚み方向の大きさよりも大きい部位を備え、
前記ブレード内側部と前記ブレード本体とを締結する締結手段を有することを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1に記載の風車用ブレードにおいて、
前記締結手段が取り付けられる前記レセプタのブレード内側部の箇所を前記締結手段の長さ方向をカバーするようにブロック状に形成したことを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1または2に記載の風車用ブレードにおいて、
前記レセプタは中実レセプタであることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜3の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記レセプタのブレード内側部は、前記ブレード本体の先端から根元に向かう方向に広がりを有するように形成され、
前記ブレード本体の先端開口部の内壁は、前記レセプタのブレード内側部に密接するように形成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜4の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記ブレード内側部と前記ブレード先端開口部の内壁面との間に接着剤を充填したことを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項5に記載の風車用ブレードにおいて、
前記接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤であり、硬化した前記エポキシ樹脂系接着剤によって、前記ブレード先端開口部の内壁を構成していることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜6の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記締結部材の頭部は、前記ブレード本体と接する箇所が皿状に形成され、
前記ブレード本体には、前記締結部材の頭部と接する箇所に皿状に座繰りが形成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項7に記載の風車用ブレードにおいて、
前記締結部材は、その頭部が前記ブレード本体の表面から突出しないよう形成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜8の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記締結手段は、前記ブレード先端部の背側面と腹側面の双方から前記レセプタのブレード内側部に取り付けられていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項9に記載の風車用ブレードにおいて、
前記ブレード先端部の背側面と腹側面の双方から前記レセプタのブレード内側部に取り付けられる締結手段同士が、前記レセプタのブレード内側部において締結されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜10の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記締結部材は、前記ブレード本体及び前記レセプタのブレード内側部に形成された孔に収容される筒状の通しボルト座と、前記通しボルト座に挿入されるボルトとから構成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項11に記載の風車用ブレードにおいて、
前記ボルトの頭部は皿状に形成され、
前記通しボルト座の前記ボルトの頭部と接する部分には皿状の座繰りが形成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜12の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記レセプタはアルミニウムで構成され、前記締結手段は、前記レセプタのブレード内側部と接する部分を少なくともアルミニウムで構成されていることを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜13の何れかに記載の風車用ブレードにおいて、
前記ブレード先端開口部の内側で前記レセプタに接続される引き下げ導体をアルミニウム導線で構成したことを特徴とする風車用ブレード。 - 請求項1〜14に何れかに記載の風車用ブレードを備え、前記レセプタが引き下げ導体を介して接地極に接続されていることを特徴とする風力発電装置。
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