JP2009115052A - 風力発電装置ロータブレードの雷害防止 - Google Patents

風力発電装置ロータブレードの雷害防止 Download PDF

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Abstract

【課題】
風力発電装置のロータブレードへの落雷による被害が全国的に発生しているが、多種多様な落雷防止技術を駆使しても未だ解決に至っていない。
発明者は山頂付近に施設された無線中継所の落雷対策の技術の実績から、ロータブレードへの落雷に効果を発揮する避雷構造及び技術を提供する。
【解決手段】
ロータブレードのリーディングエッジから先端部及びトレイリングエッジ間に連続した導電性帯を固着させ、ロータブレードの軸受け基部において接地線と接続し、且つリーディングエッジ及びトレイリングエッジに固着した導電性帯間を、一定間隔を持たせた導電性の連結帯で電気的に接続する構造及び落雷被害防止方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、風力発電設備のロータブレードに落雷した場合の損傷を最小限にするための避雷装置技術に関するものである。
世界の化石燃料枯渇不安から燃料費の高騰、原子力エネルギーの利用の制約等から、自然エネルギー利用への機運が高まり、中でも最も期待されているのが風力発電であることには異論のないところであり、国内においても相当数の設置実績に加えて、より多数のしかも大型の風力発電設備の導入が計画されている。
しかしながら、風力発電設備なかでも大型の風力発電設備ともなると日本製ではロータブレードの長さが優に45m近くになるため、その最高部は地上高さ100mにも及ぶこととなり、当然落雷による雷害対策が重要となっている。
ロータブレードの素材は軽量性と絶縁性から一般的にG-FRPが用いられている。
しかも、一般的に風力発電設備は高所いわゆる山頂部又は海浜近くの山岳頂部など風況上有利な場所に設けられるため、最も落雷しやすい自然環境にさらされることは周知の事実である。
近年、各種の避雷対策を講じた風力発電設備においてもロータブレードの表面に落雷し、その破損が絶えない状況において、取得可能なエネルギー損失はもとよりその修復費用の膨大さに抜本的な避雷対策技術が望まれている。
先行技術を見ると、ロータブレード全体を導電性の樹脂又は全面を電気導体で覆うことが提唱されている(特許文献1及び特許文献2参照)が、導電性を機能させるのであればG-FRPとすることで解決できる。しかし、全面を導電性とすることにより新たに電波障害が起こりえること、また重量的にも問題があることも考えられるので実用的とは言い難い。
また、ロータブレードの先端に耐熱性材の避雷突出針を設け、落雷した際突出針が溶融することでそのエネルギーを吸収させるとの提案(特許文献3参照)がされているが、落雷はロータブレードの先端部に集中するとは限らず、特にエネルギー量の大きい冬期雷では、近くに避雷針等が存在してもロータブレード表面に落雷し、損傷を与える事例が多々あることを念頭に置く必要がある。
また、ロータブレード先端に設けた受雷装置(レセプタ)から、風力発電タワーの上部近傍に接地線に連係した環を設けて落雷した雷エネルギーを、ナセルを経由せず接地に導く構造が提唱(特許文献4参照)されているが、その目的はナセル内の機器の保護が主目的でありロータブレードそのものへの落雷による損傷・破壊保護には適応しないなど現実的とは言い難い。
また、近年専門家の間でも何故絶縁物であるG-FRPに直接落雷するのか疑問視している見解を見かけるが、比誘電率は空気(真空)1に対してG-FRPは約7倍程度であり、雷は数百〜数千キロボルトの高電圧ともなり、電流は数百キロアンペアにも達する。このような雷は、誘電率の高い方へ流れやすい。従って絶縁物と決め込むことに認識の甘さがあるものと考える。
特許第3948469号公開公報 特開2004−245174号公開公報 特開2005−302399号公開公報 特開2006−70879号公開公報
前記の如く、風力発電装置のロータブレードへの落雷被害に対する種々の対応策やその構造が提案され、また他の手法として円板レセプター方式、翼先端金属翼、放電ピン付き翼のほか、風力発電装置の近傍に該浮力発電装置よりも高い金属性のタワーを建設し、そのタワーへの落雷、誘雷を優先させてロータブレードへの落雷破損を防止しようとの試みもあるが、何れも目的を達成できていない。しかも金属製避雷タワーは極めて高価である。
発明者は、従来より特に山頂付近に施設される無線中継所や遠隔地にあるモニタリングポストの機器等を直撃雷サージから保護するための対策を通じ、絶大なる効果をもたらす避雷装置並びにその方法を数多く手掛けてきた実績から、風力発電装置のロータブレードにおける効果的な落雷被害防止構造およびその方法を提案するものである。
請求項1に記載の本願発明は、ロータブレードの如何なる位置に落雷が発生しても、極短時間内に雷エネルギーを対地電圧に等しくするための構造を提案するものであり、ロータブレードの軸受け基部からリーディングエッジ及び先端部並びにトレイリングエッジを経ての周回部に、該ロータブレードの両エッジ部の表面と裏面に跨る導電性帯をリーディングエッジとトレイリングエッジに連続して固着し、軸受け基部において接地線と接続し、該リーディングエッジとトレイリングエッジの導電性帯間を電気的に連結帯で接続してロータブレードに固着する構造を提案するものである。
請求項2に記載の本願発明は既存技術であるロータブレードの先端部近傍に設置されるスタティックディスチャージャー又はレセプターを請求項1に記載の本願発明の導電性帯との間で電気的に接続することの構造を提案するものである。
このことにより、特に既設の風力発電装置のロータブレードに設置されたスタティックディスチャージャー又はレセプターの機能をも活用して、より避雷性能の向上を期待できる。
請求項3に記載の本願発明は、ロータブレードの工場製作工程で請求項1に記載の導電性帯を設けることが理想的ではあるが、既存の風力発電装置のロータブレードの避雷性能向上のための施工方法として本願発明の構造を現地で施工することを提案するものである。
本願発明の構造においては、ロータブレードの如何なる位置に落雷しても微少時間内に落雷エネルギーを対地電圧近くに同位させることが可能であり、かつロータブレード全面的に導電性機能を持たせていないため、近隣の民家に対する電波障害等も最小限に抑制することが可能であり、全く新しい観点からの効果を発揮する避雷装置を提案できるものである。
請求項1について図1〜図4を用いて説明する。
図1は本願発明の基本形であり、図2は図1のA―A断面図である。
風力発電装置のロータブレード1の軸受け基部8からリーディングエッジ2及び先端部並びにトレイリングエッジ3を経て軸受け基部8を周回するように且つロータブレード1のリーディングエッジ2及びトレイリングエッジ3の表裏を跨ぐように導電性帯4を連続して接着等の方法により固着し、ロータブレード1の軸受け基部8において接地線(図示せず)と接続するとともに、リーディングエッジ2側の導電性帯とトレイリングエッジ3側の導電性帯間を、同種素材を用いて電気的に接続する連結帯5を設けることを最大の特徴とする。
本願発明で用いる導電性帯4の寸法幅は50mm〜2,000mmの範囲とし、その素材の厚みの寸法は0.1mm〜10mmの範囲で好ましくは1〜3mmの範囲とする。
また、その素材についてはアルミニュウムやチタン若しくはジュラルミン等が理想であるが、軽量かつ導電性に優れG-FRPとの固着性能が優れている素材であればよく、本願発明では特に特定しない。
また、リーディングエッジ2とトレイリングエッジ3と間を電気的に連結する導電性の連結帯5の幅及び厚さは導電性帯4と同等とし、例えばその設ける間隔はロータブレード1の全長の1/30〜1/10の寸法で一定間隔が望ましいものとする。
図3及び図4は導電性帯4間を電気的に接続するための連結帯5の設置方法の他の実施例図である。図1のように導電性帯4と垂直関係に設けることには拘らず、図3の斜用や図4のクロス状に設けることも美感上も含めて設けることが可能であり、本願発明においては機能性が発揮できれば連結帯5の形状は特定しない。
なお、どのような形状であっても連結帯5の間隔はロータブレード1の全長の1/30〜1/10の寸法で一定間隔が望ましいものとする。
請求項2について図5〜図6を用いて説明する。
風力発電装置は既に多数が建設され実稼働状況にある。その中には既に図5示すようなスタティックディスチャージャー6や図6に示すレセプター7がロータブレード1の先端部近傍に取り付けられているロータブレード1が存在するし、今後製作されるロ−タブレード1にもこれらの落雷対策装置が設けられることが予想される。
これらはそれぞれに落雷対策としての機能を有しているが、本願発明の導電性帯4及び連結帯5と電気的に接続することにより、よりその効果を増大させることができる。
従って本願発明ではスタティックディスチャージャー6又はレセプター7との電気的接続を行うことをも含むものとする。
請求3について説明する。
本願発明は、ロータブレード1の新規工場製作時に施工することが最も好ましいのであるが、既に運転試行段階或いは実運用している既設の風力発電装置のロータブレード1に、その運転休止時のタイミングを活用して後施工できる特徴を有している。
即ち、G-FRPと導電性帯4並びに連結帯5との接着相性のよい接着剤等を用いてロータブレード1の表面に接着固着させることで、新規製作と同様の施工が可能であり、その効用も全く新規製作同様の機能を発揮できると考える。
本願発明のロータブレード避雷用導電性帯施用の斜視図 図1のA―A断面図 本願発明のロータブレード避雷用導電性帯施用他の例の斜視図 本願発明のロータブレード避雷用導電性帯施用他の例の斜視図 本願発明のロータブレード避雷用導電性帯とスタティックディスチャージャー連係斜視図 本願発明のロータブレード避雷用導電性帯とレセプター連係斜視図
符号の説明
1 ロータブレード
2 リーディングエッジ
3 トレイリングエッジ
4 導電性帯
5 連結帯
6 スタティックディスチャージャー
7 レセプター
8 軸受け基部

Claims (3)

  1. 風力発電設備におけるロータブレードの、軸受け基部よりリーディングエッジから先端部及びトレイリングエッジを経ての周回部に、該ロータブレードのエッジ部の表面と裏面に跨る導電性帯を該ロータブレードに固着したうえ軸受け基部において接地線と接続し、該導電性帯のリーディングエッジとトレイリングエッジに固着した導電性帯間を該導電性帯と同種素材を用いて電気的に接続した連結帯を固着したことを特徴とするロータブレード避雷装置。
  2. スタテックディスチャージャ又はレセプターをロータブレードの先端部近傍に取り付けて、該導電性帯と電気的に接続したことを特徴とする請求項1に記載のロータブレード避雷装置。
  3. 新規又は既存の風力発電設備のロータブレードに請求項1に記載のロータブレード避雷装置を実装装着することを特徴とするロータブレードの避雷方法。
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