JP2016141803A - ウレアグリース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のウレアグリースは、脂肪族モノアミンおよび芳香族モノアミンのうちの少なくともいずれか1種であるモノアミン化合物と、ジイソシアネート化合物の混合液に、102s−1以上の最低せん断速度でせん断を与えて、増ちょう剤を形成して得られることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
通常のウレアグリースの製造方法は、基油と増ちょう剤前駆体1の溶液を60℃程度に加熱、撹拌しながら、基油と増ちょう剤前駆体2の溶液を加え、160℃に昇温、室温に放冷する。しかしながら、この方法では製造に数時間を要する上、ダマなどの不均一構造を形成しやすい。このようなダマは、音響特性を低下させると考えられている。
そこで、ダマの発生を抑制したり、ダマを減少させて音響特性を向上させることが検討されており、種々のウレアグリースの製造方法が提案されている(特許文献1〜6)。
特許文献2に記載のウレアグリースの製造方法は、加圧装置を用いてアミン溶液とイソシアネート溶液を所定圧まで加圧し、両液を衝突混合させ反応させる方法であるが、この方法でもアミンやMDIの飛散による環境汚染や薬害の発生が懸念される。また、この方法では、液滴径以下の不均一構造が形成され、数10μm程度の大きさのダマの形成されるおそれがある。
特許文献3に記載のウレアグリースの製造方法は、増ちょう剤の形成後または形成の途中で、ロールミルなどの機械的手段でダマを分散する方法であるが、手間がかかる上に、ウレアグリースの反応物由来のダマは硬く分散されにくいため、ダマの微細化の点で十分な方法ではなかった。
特許文献4〜6に記載のウレアグリースの製造方法においては、高圧噴射混合してグリースを製造しているが、設備にコストがかかる上に、ダマの微細化の点で十分な方法ではなかった。
本発明は、基油および増ちょう剤の種類や量が同じであるグリースを比較した時に、音響特性および遠心離油度がともに向上したウレアグリースを提供するものである。
本実施形態のウレアグリース(以下、「本グリース」ともいう。)は、脂肪族モノアミンおよび芳香族モノアミンのうちの少なくともいずれか1種であるモノアミン化合物と、ジイソシアネート化合物の混合液に、102s−1以上の最低せん断速度でせん断を与えて、反応させて得られるものである。以下、本グリースについて詳細に説明する。
脂肪族モノアミンおよび芳香族モノアミンのうちの少なくともいずれか1種であるモノアミン化合物とジイソシアネート化合物の混合液とは、モノアミン化合物を基油に含有した溶液とジイソシアネート化合物を基油に含有した溶液とを、反応容器に入れることで混合液となる。
本グリースは、上記混合液に102s−1以上の最低せん断速度を与えて、反応させることで、増ちょう剤を形成したウレアグリースである。
以下、本グリースについて詳細に説明する。
本グリースで用いられる基油としては、特に限定はなく、通常のグリース製造に使用される鉱油系基油や合成系基油が挙げられる。これらは、単独で、または混合物として使用することができる。
鉱油系基油としては、減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、および水素化精製などを適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。また、合成系基油としては、ポリアルファオレフィン(PAO)系基油、その他の炭化水素系基油、エステル系基油、アルキルジフェニルエーテル系基油、ポリアルキレングリコール系基油(PAG)、アルキルベンゼン系基油などが挙げられる。基油の40℃動粘度は、10mm2/s以上600mm2/s以下であることが好ましく、20mm2/s以上300mm2/s以下であることがより好ましく、30mm2/s以上100mm2/s以下であることが特に好ましい。
本グリースで用いられる増ちょう剤は、脂肪族モノアミンおよび芳香族モノアミンのうちの少なくともいずれか1種であるモノアミン化合物と、ジイソシアネート化合物とを溶液中で反応させて得られるものである。本実施形態においては、この増ちょう剤は、音響特性と潤滑寿命との両立という観点から、反応時に102s−1以上の最低せん断速度を前記混合液に与えて得られたものであることが必要である。
脂肪族モノアミンは、特に限定されず、鎖式であっても、脂環式であってもよいが、音響特性の観点から、鎖式脂肪族モノアミンであることが好ましい。鎖式脂肪族モノアミンの炭素数は、沸点と溶解性の観点から、6以上24以下であることが好ましく、6以上20以下であることがより好ましく、8以上18以下であることが特に好ましい。鎖式脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミンおよびエイコシルアミンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を混合し用いてもよい。
芳香族モノアミンとしては、トリルアミン、アニリン、およびトリメチルアニリン、などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を混合し用いてもよい。また、これらの中でも、安定性、安全性の観点から、トリルアミンが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、およびナフチレン−1,5−ジイソシアネートなどが挙げられる。これらのイソシアネートは単独で用いてもよく、複数のイソシアネートを混合し用いてもよい。
本グリースは、FAG法での測定値が以下の条件を満たすことが好ましい。
すなわち、混合液に、102s−1以上の最低せん断速度でせん断を与えて、反応させて得られる本グリースについて、FAG法に準拠して、本グリースのLevel High32−64sを測定した値(VS)と、従来法により作製されたウレアグリースのLevel High32−64sを測定した値(VN)との比が、下記式で示す条件を満たすことが好ましい。
VS/VN≦0.9
なお、従来法により作製されたウレアグリースとは、例えば、下記(i)、(ii)のようなウレアグリースである。
(i)前記混合液に、102s−1未満の最低せん断速度でせん断を与えて、反応させて得られるウレアグリース
(ii)前記混合液に対する最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)が70以上となるようにして、反応させて得られるウレアグリース
また、最高せん断速度(Max)および最低せん断速度(Min)については後述する。
別の専用ベアリングについて同様の操作(グリース未封入で6回、グリース封入後に6回)を行いプログラムで解析し同様に平均値を求める。2つのベアリングで測定した平均値から更に平均値を求めることで、FAG法に準拠してPeak HighおよびLevel Highの値を得られる。
通常、FAG法では、ベアリングにグリースを封入し1回目の回転の32秒後から64秒後までの音響データで音響特性を評価する。1回目の回転の32秒後から64秒後までにグリースに混入したと思われる気泡の破裂などによって、音響ピークが観察されることがある。しかし、もともと音響特性が優れるグリースでは気泡破裂に由来すると思われるピークが出ると不当に音響特性が悪く評価される。n=3〜5で繰り返し測定しても再現性が高い音響特性値が得られないことが多い。そこで、本発明ではその点を改良するために1つの専用ベアリングで6回の測定を実施した。気泡破裂に由来すると思われるピークは2回目の回転以降は減少し、その平均値を採用することで良好な再現性のあるデータが得られる。
本グリースには、さらに種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、および防錆剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、およびアルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、および4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤の好ましい配合量は、グリース全量基準で0.05質量%以上5質量%以下程度である。
以上のような各種添加剤は、単独で、または数種組み合わせて配合してもよい。
本グリースは、例えば、以下説明する本グリースの製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)により製造できる。本製造方法では、モノアミン化合物を含有する基油1と、ジイソシアネート化合物を含有する基油2とを混合液にするとともに、前記混合液に対し102s−1以上の最低せん断速度を与える。すなわち、基油1と基油2を反応容器に入れた後、瞬時に高速せん断を混合液に付与する。そして、モノアミン化合物とジイソシアネート化合物を混合分散させながら反応させて増ちょう剤を形成する。以下、本製造方法について詳細に説明する。
本製造方法で用いられる基油1および基油2としては、特に限定はなく、前記本グリースで用いられる基油を使用することができる。
基油1と基油2の相溶性を考慮すれば同様な極性さらには同様な粘度特性を有することが好ましい。したがって、基油1と基油2は同じ基油を用いることが最も好ましい。
本製造方法では、モノアミン化合物とジイソシアネート化合物とから増ちょう剤を形成する。
モノアミン化合物およびジイソシアネート化合物としては、前記本グリースで用いられるものを使用することができる。
これらのジイソシアネート化合物とモノアミン化合物をモル比1:2で反応容器(グリース製造装置)に連続的に導入し、後述するように、ただちに高せん断を与えながら混合・反応させることで大きなダマが生成しにくいジウレアグリースを製造することができる。また、上記したジイソシアネート化合物とモノアミン化合物との混合体をイソシアネート基とアミノ基が等量となるように反応容器(グリース製造装置)に連続的に導入し、同様に高せん断を与えながら混合・反応させることで大きなダマが生成しにくいウレアグリースを製造することができる。
本製造方法では、モノアミン化合物を含有する基油1と、ジイソシアネート化合物を含有する基油2とを混合液にするとともに、この混合液に対し102s−1以上の最低せん断速度を与える。すなわち、基油1と基油2を反応容器に入れた後、できるだけ瞬時に高速せん断を混合液に付与することがダマの生成または粗大化を抑制する観点より重要である。
具体的には、基油1と基油2を反応容器に入れてから上述のせん断速度を付与するまでの時間は、15分以内であることが好ましく、5分以内であることがより好ましく、10秒以内であることが特に好ましい。この時間が短いほど、当該モノアミン化合物およびジイソシアネート化合物がよく混合分散した後に反応が始まるので、増ちょう剤分子によるバンドルが太くならず、またダマも大きくならない。
ただし、装置の安全性、せん断などによる発熱とその除熱の観点より、上述の混合液に付与する最低せん断速度は107s−1以下であることが好ましい。
せん断速度は、例えば、対向する壁面間の相対運動によりせん断を発生させる反応容器内に混合液を導入することで付与することができる。
図1の製造装置は、2種類の基油を混合するとともに、極めて短時間で均一に高速せん断を付与できる構造を備えている。高速せん断は、高速回転部と反応容器内壁との隙間(ギャップa、b)により混合液に付与される。高速回転部は径が回転軸方向に一定でもよく(a=b)、ギャップが異なる構造であってもよい。このようなギャップは、高速回転部の径を回転軸方向で変えることにより、あるいは、高速回転部を円錐台状とし、テーパを設けた反応容器内壁に対しこの高速回転部を上下することにより調整してもよい。
さらにギャップが大きい部分を連続的に傾斜させたスクリュウまたはスパイラル形状とすることで押出能力を持たせてもよい。
また、図3は、図1と異なる態様の反応容器(グリースの製造装置)を示したものであるが、ギャップが異なる部分は、回転方向に配されている。この製造装置の場合、ギャップが大きい部分を回転軸に対して傾斜させることでスクリュウのような押出能力を持たせることができる。
Max=(高速回転部表面と容器内壁面とのギャップが最小になる部分における高速回転部表面の線速度/当該ギャップ)
Min=(高速回転部表面と容器内壁面とのギャップが最大になる部分における高速回転部表面の線速度/当該ギャップ)
なお、図1においては、Maxの計算におけるギャップがaであり、Minの計算におけるギャップがbである。そして、図1のタイプの反応容器であれば、高速回転部は上下に均一な直径を有する円柱状であると、比(Max/Min)の値は小さくなる。
これに対し、図4に示すように、高速回転部がディスク状やプロペラ状(攪拌翼)である従来の反応容器の場合には、Maxの計算におけるギャップがeであり、Minの計算におけるギャップがfである。そして、ギャップfの値は大きいので、Minの値は低くなり、102s−1以下となる。つまり、上述の混合液に、102s−1未満の最低せん断速度でせん断を与えて、反応させて得られるウレアグリースとは、高速回転部がディスク状やプロペラ状である従来の反応容器で反応させて得られるウレアグリースのことである。
また、比(Max/Min)の値は、大きくなり、70以上となる。つまり、上述の混合液に対する最高せん断速度と最低せん断速度の比(Max/Min)が70以上となるようにして、反応させて得られるウレアグリースとは、高速回転部がディスク状やプロペラ状である従来の反応容器で反応させて得られるウレアグリースのことである。
上記したように、Max/Minは、小さい方が好ましいので、理想的にはa=bである。すなわち、図1のタイプの反応容器であれば、高速回転部は上下に均一な直径を有する円柱状であることが最も好ましい。
なお、ウレアグリースを製造する場合、製造装置としては図3のような構造でもよい。
本製造方法では、上述した製造方法により得られたグリースに対し、さらに混練してもよい。この混練には、グリース製造で一般的に使用されるロールミルを用いることができる。上述のグリースはロールミルを2回以上通してもよい。
また、本製造方法では、上述した製造方法により得られたグリースに対し、さらに70℃以上250℃以下の温度に加熱してもよい。なお、加熱温度が250℃以上の温度では基油が劣化しやすい。このときの加熱時間は、30分以上2時間以下であることが好ましい。さらに、均一に加熱するために混練、撹拌してもよい。なお、加熱の際は、加熱炉などを用いてもよい。
〔実施例1〕
図1に示すタイプのウレアグリース製造装置によりグリースを製造した。具体的な製造方法は以下の通りである。
70℃に加熱したPAO系基油(40℃動粘度が63mm2/s、MDI:6.98質量%含有)と、同じく70℃に加熱したPAO系基油(40℃動粘度が63mm2/s、オクチルアミン18.4質量%含有)とをそれぞれ流量325mL/min、120mL/minで連続的に製造装置内に導入し、ただちに高速回転部により、混合液に対しギャップ通過時に216,000s−1の最高せん断速度を付与した。また、ギャップ通過中の最低せん断速度(Min)は、210,000s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は1.03であった。また、上記した2種の溶液の混合から最高せん断速度を混合液に付与するまでの時間は約3秒であった。製造装置から吐出したグリースを60℃に余熱した容器にとり250rpmで撹拌しながらすぐに120℃に昇温し30分間保持し、その後160℃に昇温し1時間保持した。その後、撹拌を維持したまま放冷し、ロールミルを2回かけて、グリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して10質量%である。
通常の方法でウレアグリースを製造した。具体的には図4に示すように、撹拌翼で撹拌され、60℃に保たれたPAO系基油(40℃動粘度が63mm2/s、MDI9.09質量%含有)に対し、60℃のPAO系基油(40℃動粘度が63mm2/s、オクチルアミン12.4質量%含有)を滴下した。アミン溶液を滴下した後、撹拌しながら160℃に昇温し、1時間保持した。その後、撹拌しながら放冷し、ロールミルを2回かけて、グリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して10質量%である。
なお、製造中の最高せん断速度(Max)および最低せん断速度(Min)は、それぞれ100s−1および1.23s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は81であった。
実施例1において、70℃に加熱した500N鉱油(40℃動粘度が90mm2/s、MDI7.49質量%含有)と、同じく70℃に加熱した500N鉱油(40℃動粘度が90mm2/s、オクチルアミン14.7質量%含有)とをそれぞれ流量300mL/min、204mL/minで連続的に製造装置内に導入し、21,000s−1の最高せん断速度を付与した以外は、同様にしてグリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して10質量%である。
なお、ギャップ通過中の最低せん断速度(Min)は、20,400s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は1.03であった。
比較例1において、基油を500N鉱油(40℃動粘度が90mm2/s)に変えた以外は、同様にしてグリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して10質量%である。
なお、製造中の最高せん断速度(Max)および最低せん断速度(Min)は、それぞれ100s−1および1.23s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は81であった。
実施例1において、70℃に加熱した基油をエステル系合成油(40℃動粘度が33mm2/s、MDI10.9質量%含有)と、同じく70℃に加熱したエステル系合成油(40℃動粘度が33mm2/s、トリルアミン28.9質量%含有)とをそれぞれ流量325mL/min、100mL/minで連続的に製造装置内に導入した以外は、同様にしてグリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して15質量%である。
なお、ギャップ通過中の最低せん断速度(Min)は、210,000s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は1.03であった。
比較例1において、60℃に保たれたエステル系合成油(40℃動粘度が33mm2/s、MDI14.3質量%含有)に対し、60℃に保たれたエステル系合成油(40℃動粘度が33mm2/s、トリルアミン15.9質量%含有)を滴下した以外は、同様にしてグリースを得た。得られたグリースの増ちょう剤量はグリース全量基準に対して15質量%である。
なお、製造中の最高せん断速度(Max)および最低せん断速度(Min)は、それぞれ100s−1および1.23s−1であり、ギャップ通過中の最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)は81であった。
グリースの評価(混和ちょう度、遠心離油度、Peak High32−64s、Level High32−64s)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。また、各グリースの製造時における最高せん断速度、最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)との比(Max/Min)、および増ちょう剤量を表1に示す。
(1)混和ちょう度
JIS K2220の記載に準拠した方法で、混和ちょう度を測定した。
(2)遠心離油度
遠心分離機を用い、20gのグリースを試料として遠心分離管に入れ、20℃で16,000Gの加速度を3時間かけたときの遠心離油度を、下記式により求めた。
遠心離油度(重量%)=(離油した油の重量/仕込みグリースの重量)×100
(3)Peak High32−64sおよびLevel High32−64s
SKF社のグリース専用音響測定機器(Grease Test Rig Be Quiet+)を用いて測定できる。具体的には、この音響測定機器に、グリース未封入の音響測定専用ベアリングをセットし、所定速度で回転させながら回転開始から32秒後から64秒後までの音響データを得る。この操作をベアリングを交換せずに合計6回繰り返す。更にこのベアリングに所定量の試料(グリース)を封入し、所定速度で回転させながら回転開始から32秒後から64秒後の音響データを得る。この操作をベアリングを交換せずに合計6回繰り返す。これらを音響測定機器に内蔵されたプログラムで解析することでPeak HighおよびLevel Highの値を得る。
別の専用ベアリングについて同様の操作(グリース未封入で6回、グリース封入後に6回)を行いプログラムで解析しPeak HighおよびLevel Highの値を得る。
2つのベアリングで得た2セットのPeak Highの値とLevel Highの値を平均することでそれらの平均値を得る。
そして、実施例1〜3と比較例1〜3とをそれぞれ比較すると、実施例1〜3のウレアグリースは、基油および増ちょう剤の種類や量が同じであるにも拘わらず、音響特性および遠心離油度がともに向上したウレアグリースであることが確認された。
Claims (8)
- 脂肪族モノアミンおよび芳香族モノアミンのうちの少なくともいずれか1種であるモノアミン化合物と、ジイソシアネート化合物の混合液に、102s−1以上の最低せん断速度でせん断を与えて、増ちょう剤を形成して得られることを特徴とするウレアグリース。
- 請求項1に記載のウレアグリースにおいて、
FAG法に準拠して、当該ウレアグリースのLevel High32−64sを測定した値(VS)と、
前記混合液に102s−1未満の最低せん断速度でせん断を与えて反応させて得られるウレアグリースのLevel High32−64sを測定した値(VN)との比が、
VS/VN≦0.9
を満たすことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1に記載のウレアグリースにおいて、
FAG法に準拠して、当該ウレアグリースのLevel High32−64sを測定した値(VS)と、
前記混合液に対する最高せん断速度(Max)と最低せん断速度(Min)の比(Max/Min)が70以上となるようにして、反応させて得られるウレアグリースのLevel High32−64sを測定した値(VN)との比が、
VS/VN≦0.9
を満たすことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のウレアグリースにおいて、
前記混合液は、前記モノアミン化合物を含有する基油1と、前記ジイソシアネート化合物を含有する基油2とを混合したものである
ことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のウレアグリースにおいて、
前記脂肪族モノアミンは、炭素数が6以上20以下の鎖式脂肪族モノアミンである
ことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のウレアグリースにおいて、
前記脂肪族モノアミンは、オクチルアミンである
ことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のウレアグリースにおいて、
前記芳香族モノアミンは、トリルアミンである
ことを特徴とするウレアグリース。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のウレアグリースにおいて、
前記最低せん断速度が107s−1以下である
ことを特徴とするウレアグリース。
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