JP2016141350A - フロアマットの製造方法及びフロアマット製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マット基材層11と、基材層11裏面S2の一部に接合された熱可塑性樹脂製被着材層12と、を備えたフロアマット1の製造方法であり、誘導加熱可能な環状の発熱体と、その内側に配置可能な電気抵抗率が低い加熱体と、を備えた装置を、発熱体を所定温度に自己発熱させ、発熱体によって加熱体を発熱体よりも低い温度に間接加熱する工程と、被着材層と熱接着材層と基材層11とがこの順に積層された積層体の被着材層12に、発熱体及び加熱体を接触させて、被着材層12のうちの発熱体と接触された個所を溶着し、被着材層12のうちの加熱体と接触された個所を熱接着する接合工程と、を備える。本装置は、発熱体と加熱体と誘導加熱コイルとを備える。
【選択図】図1
Description
具体的には、下記特許文献1に開示された方法が知られている。即ち、特許文献1の方法は、中空部を有するリング状の金属製熱媒体プレートを、電磁誘導手段によって自己発熱させて、このプレートを樹脂シートに押し付け、樹脂シートを繊維製品に溶着する方法である。この方法によれば、熱媒体プレートを接触させた樹脂シートの個所は円環状に溶融されて、樹脂シートと繊維製品とを強固に溶着することができる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、マット基材層の裏面に被着材層の一部を溶着しながら、溶着個所とともにその他の部位もマット基材層の裏面に接合できるフロアマットの製造方法及びフロアマット製造装置を提供することを目的とする。
誘導加熱可能な環状の発熱体と、前記発熱体の内側に配置可能な前記発熱体よりも電気抵抗率が低い加熱体と、を備えた接合装置を、誘導加熱によって前記発熱体を所定温度に自己発熱させるとともに、前記発熱体によって前記加熱体を前記発熱体よりも低い温度に間接加熱する加熱工程と、
前記被着材層と、加熱により接着性を発現する熱接着材層と、前記マット基材層とがこの順に積層された積層体の前記被着材層に、前記発熱体及び前記加熱体を接触させて、前記被着材層のうちの前記発熱体と接触された個所を前記マット基材層の裏面に溶着し、前記被着材層のうちの前記加熱体と接触された個所を前記マット基材層の裏面に熱接着する接合工程と、を備えることを備えることを要旨とする。
また、請求項2に記載のフロアマットの製造方法は、請求項1に記載のフロアマットの製造方法において、前記加熱工程は、前記発熱体と前記被着材層とが接触された際に前記発熱体を冷却する冷却工程を含むことを要旨とする。
更に、請求項3に記載のフロアマットの製造方法は、請求項1又は2に記載のフロアマットの製造方法において、前記加熱体は、前記発熱体と離間させたまま前記発熱体の内側に配置できるように構成されていることを要旨とする。
また、請求項4に記載のフロアマットの製造方法は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のフロアマットの製造方法において、前記被着材層は、前記発熱体及び前記加熱体を接触させる側にファスナー繊維を有する面ファスナーであることを要旨とする。
誘導加熱可能な環状の発熱体と、
前記発熱体の内側に配置可能な前記発熱体よりも電気抵抗率が低い加熱体と、
前記発熱体を発熱させるための誘導加熱コイルと、を備えることを要旨とする。
また、請求項6に記載のフロアマット製造装置は、請求項5に記載のフロアマット製造装置において、前記発熱体を冷却するための冷却ノズルを備えることを要旨とする。
更に、請求項7に記載のフロアマット製造装置は、請求項5又は6に記載のフロアマット製造装置において、前記加熱体は、前記発熱体と離間させたまま前記発熱体の内側に配置できることを要旨とする。
本方法において、加熱工程が冷却工程を含む場合は、発熱体と被着材層とが接触された際に発熱体を冷却することができる。そのため、発熱体の温度を制御して、熱可塑性樹脂製の被着材層が過度に溶融されることを防止できる。
本方法において、加熱体を発熱体と離間させたまま発熱体の内側に配置できるように構成されている場合は、発熱体と加熱体とが接触されている場合に生じるような、発熱体から加熱体への接直接的な熱伝達を生じない。そして、間隙を介して発熱体から加熱体へ間接的に熱伝達されるため、加熱体の過度な温度上昇を防止して、被着材層への熱的な影響を抑制できる。
本方法において、被着材層が、発熱体及び加熱体を接触させる側にファスナー繊維を有する面ファスナーである場合は、本方法を利用することによる効果をとりわけ得ることができる。即ち、発熱体が面ファスナーと接触する個所で、面ファスナーをマット基材層の裏面に溶着して強固に接合できる。加えて、この溶着個所の内側では、加熱体が面ファスナーを構成するファスナー繊維と接触されるが、加熱体が面ファスナーの表面から離間された際のファスナー繊維の復元力を維持できるように、ファスナー繊維が加熱によって倒れてしまうことを防止しながら、溶着個所の内側をマット基材層と接着できる。従って、マット基材層側の面ファスナーは外周部のみならず、中央部も強固にマット基材層と接合され、係合された面ファスナー同士を外す際、中央部の浮き上がりを生じさせず剥離がし易い。更に、係合された面ファスナー同士を外す際の負荷が溶着個所のみへ集中することを防ぎ、面ファスナーの全面で負荷を分散できる。従って、面ファスナーの繰り返し使用に高い耐性を有して面ファスナー機能の寿命を長く維持できるフロアマットが得られる。
本装置において、発熱体を冷却するための冷却ノズルを備える場合には、発熱体と被着材層とが接触された際に発熱体を冷却することができる。そのため、発熱体の温度を制御して、熱可塑性樹脂製の被着材層が過度に溶融されることを防止できる。
本装置において、加熱体を発熱体と離間させたまま発熱体の内側に配置できる場合には、発熱体と加熱体とが接触されている場合に生じるような、発熱体から加熱体への接直接的な熱伝達が生じない。そして、間隙を介して発熱体から加熱体へ間接的に熱伝達されるため、加熱体の過度な温度上昇を防止して、被着材層への熱的な影響を抑制できる。
本発明の製造方法は、フロアマットの製造方法である。この方法で製造されるフロアマット1(図1参照)は、マット基材層11の裏面S2に被着材層12が溶着及び接着の両方作用によって強固に接合されている。即ち、フロアマット1は、立毛繊維112による起毛された表面S1を有するマット基材層11と、裏面S2の一部に接合された熱可塑性樹脂製の被着材層12と、を有する。これらの各層は、被着材層12の外周部において、被着材層12とマット基材層11とが溶着によって接合されている。従って、フロアマット1は溶着部14を有する。更に、溶着部14の内側において、これらの層は、被着材層12とマット基材層11とが熱接着剤層13を介して接着により接合されている。
また、被着材層12は、加熱溶融による溶着が可能な熱可塑性樹脂製の層である。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。被着材層12の具体例としては、面ファスナー、ラベル、タグ等のような繊維製品あるいはシート材が挙げられる。
更に、マット基材層11と被着材層12との一部は、溶着部14によって溶着されている。加えて、マット基材層11と被着材層12との層間の他の一部又は全部には、熱接着材層13が介挿されている。熱接着材層13は、加熱によって接着性を発現する層である。熱接着材層13として、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。
加熱工程(図3(e)参照)は、誘導加熱によって発熱体21を所定温度に自己発熱させるとともに、発熱体21によって加熱体22を、発熱体21よりも低い温度に間接加熱する工程である。
ここで、発熱体21及び加熱体22は、各々接合装置20に配設された部位である。このうち、発熱体21は、誘導加熱可能な環状の部位である。一方、加熱体22は、環状の発熱体21の内側に配置可能で、発熱体21よりも電気抵抗率が低い部位である。この接合装置20については、後に詳述する。
また、一方、加熱工程で、発熱体21及び加熱体22を積層体15と接触させたうえで昇温させてもよい。積層体15と接触させたうえで昇温させる場合、加熱工程と接合工程とは略同時に行われることとなる。即ち、昇温と共に接合が行われる。この場合、接合工程(図3(f))では、発熱体21と加熱体22とは、通常、同時に積層体15へ接触させることとなる。
一方、加熱体22における「発熱体よりも低温度の加熱温度」は、熱接着材層13が接着性を発現する温度であって、且つ、被着材層12に使用された熱可塑性樹脂を熱変形させない温度であることが好ましい。即ち、被着材層12に使用された熱可塑性樹脂の軟化温度を超えない温度が好ましい。具体的には、例えば、軟化温度よりも5〜20℃低い温度とすることができる。
また、被着材層12と熱接着材層13とを予め一体化しておいてから、その積層物をマット基材層11と積層して積層体15を得ることができる。同様に、マット基材層11と熱接着材層13とを予め一体化しておいてから、その積層物を被着材層12と積層して積層体15を得ることができる。
すなわち、本方法では、接合装置20を被着材層12に接触させることで、被着材層12のマット基材層11との溶着と、被着材層12の熱接着材層13によるマット基材層11との接着という、異なる2つの形態の接合を一括して行うことができる。即ち、ワンショットで行うことができる。当然ながら、これらの溶着及び接着は同時に行うこともできる。
尚、被着材層12において、マット基材層11の側となる面を裏面、その裏面の反対側の面を表面とすると、接合工程において発熱体21及び加熱体22を被着材層12と接触させる面は、その表面である。
更に、被着材層12のマット基材層11との溶着と、被着材層12のマット基材層11との接着との、異なる2つの形態の接合を一括して行うことができるため、フロアマットの製造に要する作業時間を短縮することができる。そして、この短縮による生産量の向上を図ることができる。
即ち、本方法において、被着材層12が、発熱体21及び加熱体22を接触させる側にファスナー繊維122を有する面ファスナー12である場合、発熱体21が面ファスナー12と接触する個所で、面ファスナー12をマット基材層11の裏面に溶着して溶着部14を形成して強固に接合できる。加えて、この溶着部14の内側では、加熱体22が面ファスナー12を構成するファスナー繊維122と接触されるが、加熱体22が面ファスナー12の表面から離間された際のファスナー繊維122の復元力を維持できるように、ファスナー繊維122が加熱によって倒れてしまうことを防止しながら、溶着部14の内側をマット基材層11と接着できる。即ち、溶着部14の内側における被着材層12の加熱による熱変形を防止できる。尚、面ファスナー12において、ファスナー繊維122は、通常、基層121から林立されている。このファスナー繊維122は、いわゆる、フック繊維であってもよく、ループ繊維であってもよく、これらの両方であってもよい。
発熱体21を冷却するタイミングは、適宜設定できるが、例えば、自己発熱された発熱体21と被着材層12とが接触するのと同時、発熱体21と被着材層12とが接触された状態で、発熱体21が自己発熱されるのと同時、更には、発熱体21と被着材層12とが接触されて、被着材層12が溶融されている状態、等で冷却することができる。
本発明の装置は、前述のフロアマットの製造方法に用いられるフロアマット製造装置20(接合装置20)であって、誘導加熱可能な環状の発熱体21と、発熱体21の内側に配置可能であって、発熱体21よりも電気抵抗率が低い加熱体22と、を備える。更に、発熱体21を発熱させるための誘導加熱コイル23を備える(図5参照)。
本装置20では、加熱体22は、発熱体21と離間させたまま、発熱体21の内側に配置できる構成とすることができる。
加えて、本装置は、必要に応じて、発熱体21を冷却するための冷却ノズル27を備えることができる。
また、加熱体22は、発熱体21によって間接加熱されるものであるため、熱伝導率の高い材料を使用することが好ましい。通常、加熱体22の材料には、アルミニウム(電気抵抗率:2.65×10−8Ωm、熱伝導率:236W・m−1・K−1)、銅(電気抵抗率:1.68×10−8Ωm、熱伝導率:398W・m−1・K−1)等の電気抵抗率が1.00×10−7Ωm未満のものを使用することが好ましく、電気抵抗率が1.00×10−7Ωm未満で熱伝導率が100W・m−1・K−1以上のものを使用することがより好ましい。
[1]フロアマット製造装置
図5はフロアマット製造装置(接合装置)20を、下側から上側へ向かってみた場合の斜視図である。この図5に示すように、フロアマット製造装置(接合装置)20は、鉄を材料に使用して円環板状に形成された発熱体21を備える(その他、図2(c)図3及び図4参照)。
更に、アルミニウムを材料に使用して円板状に形成された加熱体22を備える。この加熱体22は、発熱体21の内側に、発熱体21と同心位置となるように配置されている。更に、発熱体21の内周面と加熱体22の外周面とは離間して配置されており、発熱体21と加熱体22との間に間隙24が設けられている。
これらの発熱体21及び加熱体22は、軸体26を介して、各々独立して、被着材層12に対する高さ位置を調整できるように(上下動可能に)配置されている。
加えて、装置20は、コイル23を備えている。コイル23は、導線を円環状に巻回することによって円環状に形成されている。そして、その内側に発熱体21を取り囲むように配置されている。
具体的には、押圧体25は、その内径及び外径が、発熱体21の内径及び外径と略同じとなるように設定されている。そして、この押圧部材25は、被着体層21を接合する際に、発熱体21の上方から発熱体21に接触し、発熱体21を被着体層21に圧接させることができるように構成されている。
上記[1]に示したフロアマット製造装置(接合装置)20を用いて行うフロアマット1の製造方法について説明する。
本方法では、マット基材層11、熱接着材層13及び被着材層12をこの順に積層した積層体15を用いる。
このうち、マット基材層11は、基布111と、この基布にタフティングされたパイル糸(立毛繊維)112と、を備えて、表面S1の側に起毛表面を有する。
また、被着材層12として面ファスナー12を用いる。この面ファスナー12は、熱可塑性樹脂製の基層121と、この基層121に立設された熱可塑性樹脂製のファスナー繊維122と、を有する。面ファスナー12を構成する熱可塑性樹脂はナイロン66(融点265℃、軟化温度230〜235℃)である。
更に、熱接着材層13として接着温度120℃である塗布型のホットメルト接着剤を利用した。このホットメルト接着剤は、面ファスナー12の裏面に塗布することによって、熱接着材層13とした。
また、接合工程に合わせて、同時に冷却工程を行った(図4の(g)参照)。この冷却工程では、冷却ノズル27から空気を吹き出し、発熱体21にその空気を当てることによって、20秒間で発熱体21の温度を40℃にまで低下させた。
尚、図4(g)では、冷却ノズル27は、発熱体21の外周側にのみ配置されているが、必要に応じて、冷却ノズルを発熱体21の内周側にも配置することができる。また、加熱体22は、下降によって被着材層21の表面に当接される(図3の(e)参照)と、被着材層21の表面から積層体15を押圧することとなり、積層体15の位置ずれを防止する機能を併せて発揮する。
尚、当然ながら、これら図4の(h)及び(i)の各工程は、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
11;マット基材層、111;基布、112;立毛繊維、
12;被着材層(面ファスナー)、121;基層、122;ファスナー繊維、
13;熱接着材層、
14;溶着部、15;積層体、
S1;フロアマットの表面、S2;フロアマットの裏面、
20;フロアマット製造装置(接合装置)、21;発熱体、22;加熱体、23;誘導加熱コイル、24;間隙、25;押圧体、26;軸体、27;冷却ノズル。
Claims (7)
- 起毛された表面を有するマット基材層と、前記マット基材層の裏面の一部に接合された熱可塑性樹脂製の被着材層と、を備えたフロアマットの製造方法であって、
誘導加熱可能な環状の発熱体と、前記発熱体の内側に配置可能な前記発熱体よりも電気抵抗率が低い加熱体と、を備えた接合装置を、誘導加熱によって前記発熱体を所定温度に自己発熱させるとともに、前記発熱体によって前記加熱体を前記発熱体よりも低い温度に間接加熱する加熱工程と、
前記被着材層と、加熱により接着性を発現する熱接着材層と、前記マット基材層とがこの順に積層された積層体の前記被着材層に、前記発熱体及び前記加熱体を接触させて、前記被着材層のうちの前記発熱体と接触された個所を前記マット基材層の裏面に溶着し、前記被着材層のうちの前記加熱体と接触された個所を前記マット基材層の裏面に熱接着する接合工程と、を備えることを特徴とするフロアマットの製造方法。 - 前記加熱工程は、前記発熱体と前記被着材層とが接触された際に前記発熱体を冷却する冷却工程を含む請求項1に記載のフロアマットの製造方法。
- 前記加熱体は、前記発熱体と離間させたまま前記発熱体の内側に配置できるように構成されている請求項1又は2に記載のフロアマットの製造方法。
- 前記被着材層は、前記発熱体及び前記加熱体を接触させる側にファスナー繊維を有する面ファスナーである請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のフロアマットの製造方法。
- 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のフロアマットの製造方法に用いられるフロアマット製造装置であって、
誘導加熱可能な環状の発熱体と、
前記発熱体の内側に配置可能な前記発熱体よりも電気抵抗率が低い加熱体と、
前記発熱体を発熱させるための誘導加熱コイルと、を備えることを特徴とするフロアマット製造装置。 - 前記発熱体を冷却するための冷却ノズルを備える請求項5に記載のフロアマット製造装置。
- 前記加熱体は、前記発熱体と離間させたまま前記発熱体の内側に配置できる請求項5又は6に記載のフロアマット製造装置。
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JPH0585245A (ja) * | 1991-09-27 | 1993-04-06 | Ikeda Bussan Co Ltd | 車両用カーペツトにおけるヒールマツトの溶着方法 |
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JP2011101786A (ja) * | 2009-10-16 | 2011-05-26 | Nihon Crc Corp | 固定用シート付きマット及びその固定方法並びに該マットの製造方法 |
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