JP2016141294A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】組み付けが容易で、かつピニオンシャフトを支持する軸受に予圧を付与することが可能なステアリング装置を提供する。【解決手段】ステアリング装置1は、ラックシャフト2及びピニオンシャフト6の歯部60を収容するラックハウジング3と、ピニオンシャフト6の歯部60に連続して形成された延在部61及び減速機構14を収容するウォームハウジング4と、ピニオンシャフト6を支持する第1軸受71及び第2軸受72とを備え、ラックハウジング3は、第2軸受72の第2外輪721の側面721cに当接する当接部321を有し、ウォームハウジング4とラックハウジング3とを組み合わせることにより第2外輪721が当接部321から軸方向の押圧力を受け、第2軸受72に予圧が付与される。【選択図】図4
Description
本発明は、車両のステアリング装置に関する。
従来、車両のステアリング装置として、車両の車幅方向への軸方向移動によって車両の転舵輪を転舵するラックシャフトと、ラックシャフトのラック歯に噛み合うピニオン歯が形成されたピニオンシャフトとを有し、運転者のステアリングホイールの操舵操作を補助する操舵補助力をピニオンシャフトに付与する電動パワーステアリング装置がある(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、電動モータの出力がウォームギヤ機構によって減速されてピニオンシャフトに伝達される。ピニオンシャフトの一端部には、ウォームギヤ機構のウォームホイールが一体回転するように固定されている。
また、ピニオンシャフトは、ピニオン歯を挟む位置に配置された第1ベアリング及び第2ベアリングによってハウジングに対して回転可能に支持されている。第1ベアリングは、針状ころ軸受からなり、ピニオンシャフトにおけるウォームホイールが固定された一端部とは反対側の他端部に嵌合されている。第2ベアリングは、玉軸受からなり、内輪(インナレース)がピニオンシャフトに嵌合され、外輪(アウタレース)は、ハウジングに形成されたベアリング保持部底面と係止リングとの間で挟持されている。係止リングは、ハウジングに形成された係止リング嵌合部に嵌合されている。
このように構成されたステアリング装置では、ピニオンシャフトを支持するベアリング(玉軸受)のガタが大きいと、車両の走行に伴う振動によってピニオンシャフトがガタついてしまい、騒音発生の要因となり得る。このため、ベアリングに予圧を付与することが望ましい。
しかし、特許文献1に記載のステアリング装置において第2ベアリングに予圧を付与するためには、例えば係止リングに替えてハウジングに螺合するナット部材を設け、このナット部材による締め付けによって第2ベアリングに予圧を付与すると共に、ナット部材の緩め止めを行わなければならない。このため、組み付け工数が増大してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、組み付けが容易で、かつピニオンシャフトを支持する軸受に予圧を付与することが可能なステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、ラック歯を有し、軸方向移動によって車両の転舵輪を転舵するラックシャフトと、前記ラック歯に噛み合うピニオン歯が外周面に形成された歯部、前記歯部と同軸上に延在する円柱状の延在部、及び前記延在部との間に前記歯部を挟む位置に形成された被支持部を有するピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトの前記延在部に嵌合され、操舵補助力を発生するモータの出力軸に連結された駆動ギヤに噛み合う減速ギヤと、前記ピニオンシャフトの前記歯部及び前記ラックシャフトを収容する第1ハウジングと、前記ピニオンシャフトの前記延在部の少なくとも一部を前記減速ギヤ及び前記駆動ギヤと共に収容する第2ハウジングと、前記ピニオンシャフトの前記被支持部に嵌合された第1軸受と、前記ピニオンシャフトの前記延在部に嵌合された第2軸受とを備え、前記第2軸受は、前記ピニオンシャフトの前記延在部に圧入嵌合された第2内輪、前記第2内輪と同軸配置された第2外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の球状転動体を有し、前記第1ハウジングは、前記第2外輪の側面に当接する当接部を有し、前記第2ハウジングと前記第1ハウジングとを組み合わせることにより前記第2外輪が前記当接部から軸方向の押圧力を受け、前記第2軸受に予圧が付与される、ステアリング装置を提供する。
本発明に係るステアリング装置によれば、ピニオンシャフトを支持する軸受に予圧を付与することを可能としながら、組み付け工数の増大を抑制することができる。
[実施の形態]
(ステアリング装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るステアリング装置を模式的に示す全体構成図である。このステアリング装置1は、車両に搭載され、運転者の操舵操作に応じて転舵輪である前輪を転舵させる。図1では、図面左側が車両の右側にあたり、図面右側が車両の左側にあたる。なお、図1における符号中の文字「R」は車両の右側を示し、文字「L」は車両の左側を示している。
(ステアリング装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るステアリング装置を模式的に示す全体構成図である。このステアリング装置1は、車両に搭載され、運転者の操舵操作に応じて転舵輪である前輪を転舵させる。図1では、図面左側が車両の右側にあたり、図面右側が車両の左側にあたる。なお、図1における符号中の文字「R」は車両の右側を示し、文字「L」は車両の左側を示している。
ステアリング装置1は、運転者が回転操作するステアリングホイール101と、ステアリングホイール101が一端部に固定されたコラムシャフト102と、コラムシャフト102に自在継手111を介して連結されたインターミディエイトシャフト(中間シャフト)103と、インターミディエイトシャフト103に自在継手112を介して連結された第1ピニオンシャフト104と、第1ピニオンシャフト104に噛み合うラックシャフト2と、運転者によるステアリングホイール101の操舵操作を補助する操舵補助力を発生させる操舵補助装置10とを備えている。
自在継手111,112は、例えばカルダンジョイントからなる。コラムシャフト102、インターミディエイトシャフト103、及び第1ピニオンシャフト104は、ステアリングホイール101に接続されるステアリングシャフト100を構成する。第1ピニオンシャフト104の外周面には、斜歯からなるピニオン歯104aが形成されている。
操舵補助装置10は、ステアリングシャフト100の第1ピニオンシャフト104における操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ121と、操舵トルクセンサ121によって検出した操舵トルク及び車速に応じてモータ電流を出力する制御装置13と、制御装置13から出力されるモータ電流によって操舵補助力を発生する電動モータ130と、電動モータ130の出力軸131の回転を減速する減速機構14と、減速機構14によって減速された電動モータ130のトルクによって回転する第2ピニオンシャフト6とを備えている。
減速機構14は、電動モータ130の出力軸131と一体回転するように連結された駆動ギヤとしてのウォーム132と、ウォーム132に噛み合う減速ギヤとしてのウォームホイール140とからなる。ウォームホイール140は、操舵補助装置10の第2ピニオンシャフト6と共に回転し、この第2ピニオンシャフト6に操舵補助トルクを付与する。第2ピニオンシャフト6の外周面には、斜歯からなるピニオン歯6aが形成されている。
ラックシャフト2の両端部には、ボールジョイント15L,15Rを介して左右のタイロッド16L,16Rがそれぞれ連結されている。左右のタイロッド16L,16Rは、左右の前輪17L,17Rにそれぞれ連結されている。ラックシャフト2が車幅方向(左右方向)に進退移動すると、左右のタイロッド16L,16Rがそれぞれラックシャフト2に対して揺動し、左右の前輪17L,17Rがそれぞれ転舵される。
ラックシャフト2には、ステアリングシャフト100の第1ピニオンシャフト104に形成されたピニオン歯104aに噛み合う第1のラック歯2a、及び操舵補助装置10の第2ピニオンシャフト6に形成されたピニオン歯6aに噛み合う第2のラック歯2bが形成されている。ラックシャフト2は、第1ピニオンシャフト104及び第2ピニオンシャフト6の回転に伴う軸方向移動によって、左右の前輪17L,17Rをそれぞれ転舵する。
図2は、ラックシャフト2、第1ピニオンシャフト104、及び第2ピニオンシャフト6のそれぞれの少なくとも一部を収容するラックハウジング3の一部を破断して、その周辺部と共に示す構成図である。
ラックハウジング3は、例えば鋳造によって形成され、ラックシャフト2を軸方向移動可能に収容する円筒状の筒部30と、ピニオン歯104aを含む第1ピニオンシャフト104の一部を収容する第1ピニオンギヤ収容部31と、ピニオン歯6aを含む第2ピニオンシャフト6の一部を収容する第2ピニオンギヤ収容部32とを有している。第1ピニオンギヤ収容部31には、カバー部材310が固定され、このカバー部材310から突出した先端部には、自在継手112(図1参照)との連結のためのセレーション104bが形成されている。
ラックハウジング3の筒部30における左右両端部と左右のタイロッド16L,16Rとの間には、伸縮可能な蛇腹構造を有するベローズ18L,18Rがそれぞれ設けられ、ラックハウジング3内への異物の侵入を防止している。このベローズ18L,18Rは、ボールジョイント15L,15R及びタイロッド16L,16Rの一部をそれぞれ収容し、ラックシャフト2の軸方向移動に伴って伸縮する。
また、ラックハウジング3の筒部30における左右両端部における内側には、ラックシャフト2の軸方向移動をガイドする樹脂からなる左右のラックブッシュ19L,19Rが配置されている。
操舵補助装置10は、前述の操舵トルクセンサ121,制御装置13,電動モータ130,減速機構14,及びピニオンシャフト6に加え、ラックハウジング3の第2ピニオンギヤ収容部32に組み合わされるウォームハウジング4と、ウォームハウジング4の開口を閉塞する蓋部材5とを有している。ラックハウジング3は、本発明の「第1ハウジング」の一態様であり、ウォームハウジング4は、本発明の「第2ハウジング」の一態様である。また、第2ピニオンシャフト6は、本発明の「ピニオンシャフト」の一態様である。以下、第2ピニオンシャフト6を単にピニオンシャフト6という。
次に、操舵補助装置10の構成について、図3乃至図5を参照して詳細に説明する。図3(a)は、操舵補助装置10を示す図2のA矢視図である。図3(b)は、後述するサブアセンブリ10Aを組み付ける前の操舵補助装置10を図3(a)と同方向から見た状態を示す状態図である。図4は、操舵補助装置10の構成を示す図3(a)のB−B線断面図である。図5は、図4の部分拡大図である。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、「上」,「下」の語を用いているが、この「上」,「下」は、必ずしも実際の使用状態における鉛直方向の上下を限定するものではない。
図4に示すように、ラックハウジング3には、第2ピニオンギヤ収容部32に連通する円筒部33が形成され、この円筒部33の内部に、ラックシャフト2をピニオンシャフト6に弾性的に押し付け、ラックシャフト2の第2のラック歯2bとピニオンシャフト6のピニオン歯6aとの噛み合いを良好に維持するためのラックガイド機構8が収容されている。
このラックガイド機構8は、ラックシャフト2における第2のラック歯2bの裏側の外周面に摺接する樹脂からなるラックガイドシート811を有するサポートヨーク81と、円筒部33の開口を閉塞するキャップ82と、サポートヨーク81とキャップ82との間に配置されたコイルバネ83とを有して構成されている。コイルバネ83は、サポートヨーク81に形成された凹部810に収容され、その一端が凹部810の底面810aに当接している。サポートヨーク81は、コイルバネ83の押圧力を底面810aから受け、ラックシャフト2をピニオンシャフト6側に押し付けている。また、サポートヨーク81の外周面には一対のOリング812が配置され、コイルバネ83の伸縮に伴ってサポートヨーク81が進退移動すると、一対のOリング812が円筒部33の内面に摺接する。
ピニオンシャフト6は、ピニオン歯6aが外周面に形成された歯部60、歯部60と同軸上に延在する円柱状の延在部61、及び延在部61との間に歯部60を挟む位置に形成された被支持部62を一体に有している。また、ピニオンシャフト6は、第1乃至第3軸受71〜73によって、その中心軸線Cを中心として回転可能に支持されている。
第1軸受71は、針状ころ軸受であり、ピニオンシャフト6の被支持部62に嵌合されている。また、第1軸受71は、外輪711と、被支持部62の外周面62aと外輪711との間に転動可能に配置された複数の針状ころ712とを有している。
第2軸受72及び第3軸受73は、玉軸受であり、ピニオンシャフト6の延在部61に嵌合されている。第3軸受73は、延在部61における歯部60とは反対側の端部に配置され、第2軸受72は、ピニオンシャフト6の中心軸線Cに沿った軸方向における第3軸受73よりも歯部60側の位置に嵌合されている。
第2軸受72及び第3軸受73のそれぞれは、図5に示すように、内輪720,730と、内輪720,730と同軸配置された外輪721,731と、内輪720,730と外輪721,731との間に配置された複数の球状転動体722,732と、複数の球状転動体722,732を回転可能に保持する保持器723,733とを有している。
以下の説明では、第2軸受72及び第3軸受73の内輪720,730、外輪721,731、球状転動体722,732、及び保持器723,733をそれぞれ明確に区別するため、第2軸受72の内輪720、外輪721、球状転動体722、及び保持器723を、それぞれ第2内輪720、第2外輪721、第2球状転動体722、及び第2保持器723といい、第3軸受73の内輪730、外輪731、球状転動体732、及び保持器733を、それぞれ第3内輪730、第3外輪731、第3球状転動体732、及び第3保持器733という。
第2軸受72の複数の第2球状転動体722は、第2内輪720に形成された内側軌道面720aと、第2外輪721に形成された外側軌道面721aとの間に配置されている。この内側軌道面720a及び外側軌道面721aは断面円弧状であり、その曲率半径は、第2球状転動体722の半径よりも大きく形成されている。同様に、第3軸受73の複数の第3球状転動体732は、第3内輪730に形成された内側軌道面730aと、第3外輪731に形成された外側軌道面731aとの間に配置されている。この内側軌道面730a及び外側軌道面731aは断面円弧状であり、その曲率半径は、第3球状転動体732の半径よりも大きく形成されている。
第2ピニオンギヤ収容部32には、図3及び図4に示すように、ピニオンシャフト6の歯部60及び被支持部62を収容する筒状の筒部320と、筒部320から上方に突出して第2軸受72の第2外輪721に当接する環状の当接部321と、当接部321の外周に設けられた環状の外壁部322と、外壁部322から外方に突出して形成された複数(3つ)のフランジ部323とを有している。それぞれのフランジ部323には、ウォームハウジング4との締結のためのネジ孔323aが形成されている(図3(b)参照)。
ウォームハウジング4は、円筒状に形成された円筒部40と、円筒部40の下端部から外方に突出して形成された複数(3つ)のフランジ部41と、円筒部40の下端部から内方に突出して形成された環状の内鍔部42と、電動モータ130の出力軸131及びウォーム132を収容するウォーム収容部43とを一体に有している。
内鍔部42は、その内周側の端部から下方に突出する環状突起421を有し、この環状突起421が第2ピニオンギヤ収容部32の外壁部322の内側に嵌合している。すなわち、ウォームハウジング4は、この環状突起421にて、第2ピニオンギヤ収容部32の外壁部322にインロー嵌合されている。
複数のフランジ部41は、第2ピニオンギヤ収容部32の複数のフランジ部323のそれぞれに対応して設けられ、ウォームハウジング4のフランジ部41に形成された図略のボルト挿通孔に挿通されたボルト410が第2ピニオンギヤ収容部32のフランジ部323に形成されたネジ孔323aに螺合することで、ウォームハウジング4と第2ピニオンギヤ収容部32とが締結されている。
ウォーム収容部43は円筒部40に連通し、ウォーム132は、円筒部40に収容されたウォームホイール140に噛み合っている。ウォームホイール140は、芯金141と、この芯金141と一体に回転するように結合された樹脂からなるギヤ部142とからなる。芯金141は、ピニオンシャフト6の延在部61に圧入嵌合(圧入により締り嵌めで嵌合すること)され、ピニオンシャフト6と一体に回転する。ギヤ部142の外周面には、ウォーム132との噛み合いのための斜歯が形成されている。
ピニオンシャフト6は、歯部60及び被支持部62、ならびに延在部61の一部がラックハウジング3の第2ピニオンギヤ収容部32に収容されている。ウォームハウジング4には、第2ピニオンギヤ収容部32から上方に突出した延在部61の一部が、ウォームホイール140及びウォーム132と共に収容されている。ウォームハウジング4の円筒部40は上方に開口し、この開口が蓋部材5によって閉塞されている。
ピニオンシャフト6の延在部61は、図5に示すように、ウォームホイール140が外嵌された大径部610と、大径部610よりも歯部60側に形成された第1小径部611と、大径部610よりも蓋部材5側に形成された第2小径部612とを有している。第2小径部612は、延在部61における歯部60とは反対側の端部に形成されている。大径部610は、その外径が第1小径部611及び第2小径部612の外径よりも大きく、大径部610と第1小径部611との間には第1段差面611aが、大径部610と第2小径部612との間には第2段差面612aが、それぞれ形成されている。
第2軸受72の第2内輪720は、ピニオンシャフト6の延在部61における第1小径部611に圧入嵌合され、第3軸受73の第3内輪730は、ピニオンシャフト6の延在部61における第2小径部612に圧入嵌合されている。第2内輪720は、その側面720cが延在部61における第1段差面611aに当接するまで圧入され、第3内輪730は、その側面730cが延在部61における第2段差面612aに当接するまで圧入されている。
このように、本実施の形態では、ピニオンシャフト6の中心軸線C方向における第2内輪720の位置が第1段差面611aによって規定され、同じくピニオンシャフト6の中心軸線C方向における第3内輪730の位置が第2段差面612aによって規定されている。ただし、ウォームホイール140の芯金141の厚みを厚くし、芯金141の下端面に第2内輪720の側面720cを当接させ、芯金141の上端面に第3内輪730の側面730cを当接させてもよい。この場合には、ピニオンシャフト6の中心軸線C方向における第2内輪720及び第3内輪730の位置が、芯金141の下端面及び上端面によってそれぞれ規定される。
蓋部材5は、図3(a)に示すように、ウォームハウジング4の円筒部40の開口を閉塞する蓋部50と、蓋部50から外方に突出して形成された複数(2つ)のフランジ部51とを一体に有している。蓋部材5は、フランジ部51を挿通したボルト510が、ウォームハウジング4の円筒部40から外方に突出して形成された図略の複数のフランジ部に形成されたネジ孔に螺合することにより、ウォームハウジング4に締結されている。
また蓋部50は、図4に示すように、円盤状の本体部500と、本体部500から下方に突出してウォームハウジング4の円筒部40にインロー嵌合される周壁501と、周壁501の内側で本体部500から下方に突出して形成された環状の凸部502とを有している。周壁501の外周面には、ウォームハウジング4の円筒部40に弾接するOリング52が配置されている。
凸部502の内側は、第3軸受73を収容する凹部502aとして形成されている。すなわち、第3軸受73は、蓋部材5に形成された凹部502aの内面とピニオンシャフト6の延在部61における第2小径部612との間に配置されている。
凸部502の内側における蓋部50の本体部500には、第3軸受73の第3内輪730との対向部に環状の盗み50aが形成され、この盗み50aによって蓋部材5と第3内輪730との干渉が回避されている。また、ピニオンシャフト6には、第2小径部612側の端面から大径部611に至る肉抜き穴61aが形成されている。
第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321は、その上端面が第2外輪721の下側の側面721cに当接する当接面321aとして形成されている。また、第2ピニオンギヤ収容部32の外壁部322は、その上端面がウォームハウジング4の内鍔部42における下端面42aに突き当てられる突き当て面322aとして形成されている。
一方、ウォームハウジング4の円筒部40の上端面は、蓋部材5の蓋部50に突き当てられる突き当て面40aとして形成されている。この突き当て面40aには、蓋部50の本体部500における周壁501よりも外側の外側下端面500aが当接している。またさらに、第3外輪731の上側の側面731cには、凸部502の内側における蓋部50の本体部500の内側下端面500bが当接している。
これにより、第2軸受72及び第3軸受73には、ピニオンシャフト6の中心軸線C方向に沿った軸方向の予圧が付与されている。この予圧により、第2軸受72の第2球状転動体722が第2内輪720の内側軌道面720aに接触する接触点720bと、第2球状転動体722が第2外輪721の外側軌道面721aに接触する接触点721bとを結ぶ直線aは、第2内輪720側ほど上方に傾斜する。また、第3軸受73の第3球状転動体732が第3内輪730の内側軌道面730aに接触する接触点730bと、第3球状転動体732が第3外輪731の外側軌道面731aに接触する接触点731bとを結ぶ直線bは、第3内輪730側ほど下方に傾斜する。そして、この構成により、第2軸受72の第2内輪720と第2外輪721との軸方向のガタ、及び第3軸受73の第3内輪730と第3外輪731との軸方向のガタが抑制されている。
なお、この予圧は、第2軸受72における複数の第2球状転動体722、及び第3軸受73における複数の第3球状転動体732のそれぞれに掛かるため、複数の第2球状転動体722と第2内輪720及び第2外輪721との接触状態はそれぞれ同様であり、複数の第3球状転動体732と第3内輪730及び第3外輪731との接触状態もそれぞれ同様であるが、図5では、1つの第2球状転動体722及び1つの第3球状転動体732について、接触点720b,721b,730b,731b及び直線a,bの符号を付し、他の第2球状転動体722及び第3球状転動体732については、これらの符号を省略している。
図6は、操舵補助装置10の組み付け時の状態を示す説明図である。操舵補助装置10は、ウォームハウジング4、蓋部材5、ピニオンシャフト6、第2軸受72、第3軸受73、減速機構14、及び電動モータ130を有するサブアセンブリ10Aを、ラックハウジング3の第2ピニオンギヤ収容部32に組み付けて構成される。
この組み付けの際、サブアセンブリ10Aは、第2ピニオンギヤ収容部32に対してピニオンシャフト6の中心軸線Cと平行な矢印C方向に移動し、ピニオンシャフト6が第2ピニオンギヤ収容部32の筒部320に挿入されると共に、第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321の当接面321aが第2軸受72の第2外輪721の側面721cに当接し、第2ピニオンギヤ収容部32の外壁部322の突き当て面322aがウォームハウジング4の内鍔部42における下端面42aに突き当てられる。また、第2軸受72の第2外輪721は、ウォームハウジング4における内鍔部42の内周面42aに動き嵌めによって嵌合される。そして、複数(3つ)のボルト410によってウォームハウジング4がラックハウジング3の第2ピニオンギヤ収容部32に固定され、ウォームハウジング4とラックハウジング3とが組み合わされる。
このように、ウォームハウジング4とラックハウジング3とを組み合わせることにより、第2軸受72の第2外輪721が第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321から軸方向の押圧力を受け、第2外輪721に予圧が付与される。また、第2外輪721が第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321から軸方向の押圧力を受けることにより、この押圧力がピニオンシャフト6の延在部61を介して第3軸受73にも作用し、第3外輪731に予圧が付与される。すなわち、第2外輪721が第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321から軸方向の押圧力を受けることにより、第2軸受72及び第3軸受73に予圧が付与される。
ここで、第2軸受72及び第3軸受73に付与される予圧は、図4に示すように、ピニオンシャフト6の中心軸線C方向における第2ピニオンギヤ収容部32の当接部321の当接面321aと外壁部322の突き当て面322aとの間の距離D1、同じくピニオンシャフト6の中心軸線C方向におけるウォームハウジング4の内鍔部42の下端面42aと円筒部40の突き当て面40aとの間の距離D2、及びピニオンシャフト6の中心軸線C方向における蓋部材5の本体部500の外側下端面500aと内側下端面500bとの間の距離D3の合計値D(D=D1+D2+D3)に応じて変化する。
そこで、本実施の形態では、距離D1の測定結果に基づいて、蓋部材5におけるウォームハウジング4との接触面である外側下端面500a、及び第3軸受73の第3外輪731との接触面である内側下端面500bの少なくとも何れかの面を削り加工する。この削り加工によって距離D3が変化するので、ラックハウジング3の加工誤差によって距離D1が変動しても、距離D1〜D3の合計値Dを所定の設計値に近づけることができ、第2軸受72及び第3軸受73に付与される予圧を所望の値にすることが可能となる。
なお、図4に示す例では、外側下端面500aが内側下端面500bよりも下方に形成されているが、これとは逆に、内側下端面500bが外側下端面500aよりも下方に形成されていてもよく、この場合には距離D3が負の値となる。また、距離D1の測定は、例えばハイドゲージやレーザー距離計、もしくは三次元測定機等の測定機によって行うことができる。蓋部材5の削り加工は、例えば切削又は研削、もしくは切削及び研削によって行うことができる。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した本実施の形態によれば、ラックハウジング3とウォームハウジング4とを組み合わせることによってラックハウジング3の当接部321が第2軸受72の第2外輪721に当接し、第2軸受72に当接部321からの押圧力による予圧が付与される。また、この押圧力はピニオンシャフト6の延在部61を介して第3軸受73に伝達され、第3軸受73にも予圧が付与される。これにより、ステアリング装置1の組み付け工数の増大を抑制しながら、第2軸受72における第2内輪720及び第2外輪721と第2球状転動体722との間のガタ、及び第3軸受73における第3内輪730及び第3外輪731と第3球状転動体732との間のガタを抑制することができ、ピニオンシャフト6のガタつきが抑えられる。
以上説明した本実施の形態によれば、ラックハウジング3とウォームハウジング4とを組み合わせることによってラックハウジング3の当接部321が第2軸受72の第2外輪721に当接し、第2軸受72に当接部321からの押圧力による予圧が付与される。また、この押圧力はピニオンシャフト6の延在部61を介して第3軸受73に伝達され、第3軸受73にも予圧が付与される。これにより、ステアリング装置1の組み付け工数の増大を抑制しながら、第2軸受72における第2内輪720及び第2外輪721と第2球状転動体722との間のガタ、及び第3軸受73における第3内輪730及び第3外輪731と第3球状転動体732との間のガタを抑制することができ、ピニオンシャフト6のガタつきが抑えられる。
また、ラックハウジング3における当接部321の当接面321aとウォームハウジング4との突き当て面322aとの間のピニオンシャフト6の軸方向の距離D1の測定結果に基づいて、蓋部材5における外側下端面500a及び内側下端面500bのうち少なくともいずれかの面が削り加工されるので、第2軸受72及び第3軸受73に付与される予圧を所望の値にすることが可能となる。
(付記)
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
上記実施の形態では、ラックシャフト2に第1及び第2のラック歯2a,2bが形成され、第1のラック歯2aに第1ピニオンシャフト104のピニオン歯104aが噛み合い、第2のラック歯2bに第2ピニオンシャフト6のピニオン歯6aが噛み合う場合について説明したが、これに限らない。例えば、ステアリング装置が1本のピニオンシャフトのみを有し、このピニオンシャフトに自在継手等を介してステアリングホイールが連結さると共に、操舵補助トルクが付与されるように構成してもよい。この場合、本実施の形態において図4を参照して説明した蓋部材5の蓋部50にピニオンシャフト6を挿通させる挿通孔を設け、この挿通孔からウォームハウジング4の外部に突出したピニオンシャフト6の端部に図1に示す自在継手112を連結することができる。つまり、蓋部材5は、ウォームハウジング4の開口の少なくとも一部を閉塞していればよい。
1…ステアリング装置、10…操舵補助装置、100…ステアリングシャフト、101…ステアリングホイール、102…コラムシャフト、103…インターミディエイトシャフト、104…第1ピニオンシャフト、104a…ピニオン歯、104b…セレーション、10A…サブアセンブリ、111,112…自在継手、121…操舵トルクセンサ、13…制御装置、130…電動モータ、131…出力軸、132…ウォーム(駆動ギヤ)、14…減速機構、140…ウォームホイール(減速ギヤ)、141…芯金、142…ギヤ部、15L,15R…ボールジョイント、16L,16R…タイロッド、17L,17R…前輪、18L,18R…ベローズ、19L,19R…ラックブッシュ、2…ラックシャフト、2a…第1のラック歯、2b…第2のラック歯、3…ラックハウジング(第1ハウジング)、30…筒部、31…第1ピニオンギヤ収容部、310…カバー部材、32…第2ピニオンギヤ収容部、320…筒部、321…当接部、321a…当接面、322…外壁部、322a…突き当て面、323…フランジ部、323a…ネジ孔、33…円筒部、4…ウォームハウジング(第2ハウジング)、40a…突き当て面、41…フランジ部、410…ボルト、42…内鍔部、421…環状突起、42a…下端面、43…ウォーム収容部、5…蓋部材、50…蓋部、50a…盗み、500…本体部、500a…外側下端面、500b…内側下端面、501…周壁、502…凸部、502a…凹部、51…フランジ部、510…ボルト、6…第2ピニオンシャフト(ピニオンシャフト)、60…歯部、61…延在部、61…延在部、610…大径部、611…大径部、611…第1小径部、611a…第1段差面、612…第2小径部、612a…第2段差面、61a…肉抜き穴、62…被支持部、62a…外周面、6a…ピニオン歯、71…第1軸受、711…外輪、72…第2軸受、720…第2内輪、720a…内側軌道面、720b,721b,730b,731b…接触点、720c…側面、721…第2外輪、721a…外側軌道面、721c…側面、722…第2球状転動体、723…第2保持器、73…第3軸受、730…第3内輪、730a…内側軌道面、730c…側面、731…第3外輪、731a…外側軌道面、732…第3球状転動体、732…第3球状転動体、733…第3保持器、733c…側面、8…ラックガイド機構、81…サポートヨーク、810…凹部、810a…底面、811…ラックガイドシート、812…Oリング、82…キャップ、83…コイルバネ、C…中心軸線
Claims (3)
- ラック歯を有し、軸方向移動によって車両の転舵輪を転舵するラックシャフトと、
前記ラック歯に噛み合うピニオン歯が外周面に形成された歯部、前記歯部と同軸上に延在する円柱状の延在部、及び前記延在部との間に前記歯部を挟む位置に形成された被支持部を有するピニオンシャフトと、
前記ピニオンシャフトの前記延在部に嵌合され、操舵補助力を発生するモータの出力軸に連結された駆動ギヤに噛み合う減速ギヤと、
前記ピニオンシャフトの前記歯部及び前記ラックシャフトを収容する第1ハウジングと、
前記ピニオンシャフトの前記延在部の少なくとも一部を前記減速ギヤ及び前記駆動ギヤと共に収容する第2ハウジングと、
前記ピニオンシャフトの前記被支持部に嵌合された第1軸受と、
前記ピニオンシャフトの前記延在部に嵌合された第2軸受とを備え、
前記第2軸受は、前記ピニオンシャフトの前記延在部に圧入嵌合された第2内輪、前記第2内輪と同軸配置された第2外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の球状転動体を有し、
前記第1ハウジングは、前記第2外輪の側面に当接する当接部を有し、
前記第2ハウジングと前記第1ハウジングとを組み合わせることにより前記第2外輪が前記当接部から軸方向の押圧力を受け、前記第2軸受に予圧が付与される、
ステアリング装置。 - 前記第2ハウジングの開口の少なくとも一部を閉塞する蓋部材、及び前記蓋部材に形成された凹部の内面と前記ピニオンシャフトの前記延在部における前記歯部とは反対側の端部との間に配置された第3軸受をさらに備え、
前記第3軸受は、前記ピニオンシャフトの前記延在部における前記端部に圧入嵌合された第3内輪、前記第3内輪と同軸配置されて前記凹部に収容される第3外輪、及び前記第3内輪と前記第3外輪との間に配置された複数の球状転動体を有し、
前記第2外輪が前記当接部から軸方向の押圧力を受けることにより、前記第2軸受及び前記第3軸受に予圧が付与される、
請求項1に記載のステアリング装置。 - 前記第1ハウジングにおける前記第2ハウジングとの突き当て面と前記当接部の前記第2外輪の側面との当接面との間の前記ピニオンシャフトの軸方向の距離の測定結果に基づいて、前記蓋部材における前記第3外輪の側面との接触面、及び前記第2ハウジングとの接触面のうち少なくともいずれかの接触面が削り加工された、
請求項2に記載のステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015019307A JP2016141294A (ja) | 2015-02-03 | 2015-02-03 | ステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015019307A JP2016141294A (ja) | 2015-02-03 | 2015-02-03 | ステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016141294A true JP2016141294A (ja) | 2016-08-08 |
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ID=56568279
Family Applications (1)
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JP2015019307A Pending JP2016141294A (ja) | 2015-02-03 | 2015-02-03 | ステアリング装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2016141294A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107444476A (zh) * | 2016-05-25 | 2017-12-08 | 株式会社捷太格特 | 电动助力转向装置 |
-
2015
- 2015-02-03 JP JP2015019307A patent/JP2016141294A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN107444476B (zh) * | 2016-05-25 | 2021-06-04 | 株式会社捷太格特 | 电动助力转向装置 |
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