JP2016141094A - 押出積層による3次元造形物作成用樹脂フィラメント及びその造形品 - Google Patents

押出積層による3次元造形物作成用樹脂フィラメント及びその造形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 押出積層により外観が良好で、透明性に優れ、層間での割れが発生し難い樹脂造形物を得るための3次元造形物作成用樹脂フィラメントの提供。
【解決手段】 ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率が1200〜1600MPaであり、且つ、ISO1133に準拠して230℃/1.2kgの条件で測定したMFR値が0.8〜2.4g/10分であり、ヘイズ値が15%以下である、スチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックより構成されるスチレン系共重合体を含む、押出積層システム用の3次元造形物作成用樹脂フィラメント。
【選択図】 図1

Description

本発明は、押出による積層システムを用いて、3次元の造形物を作成するために使用する3次元造形物作成用樹脂フィラメントおよびその造形物に関する。更に詳しくは、特定のスチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックからなるスチレン系共重合体を使用して作成される3次元造形物作成用樹脂フィラメントおよびその造形物に関するものである。
熱可塑性樹脂により造形物を作成する方法として、射出成形機等の成形機を使用する方法が幅広く知られている。射出成形機による造形物の作成は、先ずペレット状の熱可塑性樹脂をそのシリンダー内で加熱溶融し、次に溶融樹脂をシリンダー先端部のノズル口から射出成形機に設置された金型のキャビティ内に射出、更に射出された溶融樹脂を金型キャビティ内で冷却固化の後、金型キャビティ内で完成した造形物を金型から取り出すことによるものである。当該方法は同一の造形物を数多く作成する為に非常に有効な方法である為、様々な産業分野で利用されている。
しかしながら、例えば、各々形状が異なる造形物を作成する場合や形状を確認することを目的とする場合等のごく少ない数の造形物を作成する場合には、それぞれ異なる金型を用意する必要がある為、決して有効とはいえないものである。
かかる問題点を解決する方法として、基本的に金型を使用せずに目的とする造形物を得る方法、すなわち、可動式のノズルから熱可塑性樹脂材料を押出することにより基板上に一層ずつ積層して造形物を作成する方法が米国特許第4,749,347号、米国特許第5,121,329号、米国特許第5,303,141号等に提案されている。
当該方法は、目的とする造形物を水平な複数の層にスライスしたCADモデルに基づき、コンピュータ制御の可動式ノズルから熱可塑性樹脂材料を加熱溶融押出することにより基板上に第一層目を作成、その後、コンピュータ制御の可動式ノズルを垂直方向に移動し、第一層目の上に可動式ノズルから熱可塑性樹脂材料を溶融押出することによりCADモデルに基づき第二層目を積層するものであり、当該操作を繰り返し実施することにより目的とする造形物を作成するものである。かかる方法は前述の射出成形等の方法とは異なり、基本的に金型を準備する必要がない為、ごく少ない数の造形物を作成する為に有効な方法として近年、各分野で注目されている。
当該方法では通常、熱可塑性樹脂はフィラメントの形態で使用される。当該熱可塑性樹脂フィラメントは押出積層による造形物作成装置に設けられているローラー対などのフィード装置により可動式ノズルに付随する溶融装置に送られ溶融される。樹脂フィラメントは連続して溶融装置にフィードされる為、それにより可動式ノズルから溶融状態で押し出されることとなる。即ち、良好な外観である造形物を作成する為には可動式ノズルから押し出される樹脂の量や速度が出来るだけ一定であること、つまり溶融装置への樹脂フィラメントの供給が安定していることが必要といえる。
当該方法に使用する樹脂として特表2006−525159号にはポリフェニルスルホンとポリカーボネートの混合物が、特表2004−532753号にはポリカーボネート樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が、また、特表2010−521339号には特定のABS樹脂が提案されている。
これらの樹脂は一般的に硬質な樹脂であることから、その樹脂フィラメントの溶融装置への供給は安定しており、比較的良好な外観を持つ造形物を得ることが可能である。しかしながら、その造形物は何れも硬質な樹脂で更に荷重たわみ温度が高い為、層と層との密着性が十分といえるものではなく、造形物を変形させた場合、層間で割れ易いという問題があるものであった。
さらに従来の樹脂は透明性が不足しているため、透明性の優れた樹脂も望まれていた。
以上の様に、押出積層により外観が良好で、透明性に優れ、層間での割れが発生し難い樹脂造形物を得るための3次元造形物作成用樹脂フィラメントは提供されていないのが実情であった。
特表2006−525159号公報 特表2004−532753号公報 特表2010−521339号公報
本発明は、押出積層により良好な外観を有し透明性に優れ、層間での割れが発生し難い樹脂造形物を得るための3次元造形物作成用樹脂フィラメント及びその押出積層による造形物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のスチレン系共重合体、更に詳しくは特定の曲げ弾性率、MFR値およびヘイズ値を有するスチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックより構成されるスチレン系共重合体を含む、押出積層システムで使用する3次元造形物作成用樹脂フィラメントによりその目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率が1200〜1600MPaであり、且つ、ISO1133に準拠して230℃/1.2kgの条件で測定したMFR値が0.8〜2.4g/10分であり、ヘイズ値が15%以下である、スチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックより構成されるスチレン系共重合体を含む、押出積層システム用の3次元造形物作成用樹脂フィラメント、及び当該樹脂フィラメントを押出積層により造形してなる造形品を提供するものである。
ISO178に準拠した測定方法とは、具体的には以下の通りである。
予め23℃×50%RHで状態調節した射出成形により作成した長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を支点間距離64mmで試験機に設置し、試験片中央部に先端半径5mmの圧子で速度2.0mm/分で荷重を掛けることにより曲げ試験を実施する。
曲げ弾性率は歪が0.25%と0.05%の時の応力差を歪差で除することにより算出されるものである。
ISO1133に準拠した測定方法とは、具体的には以下の通りである。
予め十分に乾燥した測定試料を測定温度に加熱した9.5φのシリンダー中に入れ、測定試料が測定温度に到達した後、シリンダーに設置されたピストンに既定の荷重を掛けることにより、シリンダー下部に設置された2.095mmのオリフィスより10分間で押し出された試料の重量を測定しMFR値とするものである。
本発明によれば、押出積層システムにより3次元の造形物を造形する為に有用な3次元造形物作成用樹脂フィラメントを提供することができる。また、当該樹脂フィラメントを使用して押出積層により造形した造形品は、良好な外観であり、且つ、層間での割れが発生し難いものである。本発明によれば、更に、該成形品をも提供することができる。
図1は実施例において使用した造形性評価用の造形物の透過図である(縦30mm×横50mm×高さ50mm、壁厚み2mm)。 図2は実施例において層間の密着強さを評価する為に使用した試験片作成用の造形物の透過図である。 図3は実施例において糸引きを評価する為に使用した造形物の透過図である。
本発明で使用されるスチレン系共重合体とは、スチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックからなるブロック共重合体をいう。
スチレン系炭化水素ブロックとは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン骨格を有するモノマーの単独重合体ブロック、およびそれらの共重合体ブロックをいう。
共役ジエン系炭化水素ブロックとは、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエンモノマーの単独重合体ブロック、それらの共重合体ブロック、及びそれらの水素添加物のブロックをいう。
各ブロックのブロック長さ、およびスチレン系共重合体中の各ブロックの数は制限するものではなく、規定された曲げ弾性率およびMFR値を有するものであればよい。
好ましいスチレン系共重合体はスチレン−ブタジエンブロック共重合体であり、スチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックの好ましい割合は80:20〜40:60(重量比)、より好ましくは75:25〜55:45である。
本発明のスチレン系共重合体は単独のスチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロック共重合体でも、2種以上のスチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロック共重合体の混合物であってもよい。
ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率は好ましくは1300〜1500MPa、さらに好ましくは1350〜1450MPaである。またISO1133に準拠して230℃/1.2kgの条件で測定したMFR値は好ましくは1.0〜2.2cm/10分であり、さらに好ましくは1.5〜1.9cm/10分である。
ヘイズ値は好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。
ヘイズ値が上記範囲の樹脂を使用する事により、得られた造形物が透明になると共に、染料または顔料を添加した時にもクリアな発色を得ることができる。フィラメントに染料または顔料が添加され着色された場合には、たとえば着色前のフィラメントのヘイズ値が0.2%である場合でも、フィラメントのヘイズ値は10%程度となることがある。
なお、本発明において、ヘイズ値は、射出成形によって作成した2mmtの試験片を用いて積分球式光線透過率測定装置によって測定された全光線透過率(Tt)中の散乱光線透過率(Td)の割合を示すものである。
ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率が1200MPaよりも低くなると押出積層による造形時に可動式ノズルに付随する溶融装置への樹脂フィラメントの供給が不安定となる。また、1500MPaよりも高くなると造形物が層間で割れ易くなり好ましくない。ISO1133に準拠して230℃/1.2kgの条件で測定したMFR値が0.8g/10分よりも低くなると可動式ノズルからの押出が安定し難くなる為、造形物作成が困難になり、また2.4g/10分よりも大きくなると可動式ノズルに付随する溶融装置への樹脂フィラメントの供給を停止しても可動式ノズルから少しずつ溶融樹脂が流出し続ける不良(糸引き)が発生するようになる。
その他の成分について:
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントは、スチレン系共重合体より実質的に形成される。しかしながら、本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントの熱安定性を向上する為にリン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、更に、滑剤、紫外線吸収剤、染顔料、顔料などのその他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含むことができる。
(i)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でも、ホスホナイト化合物もしくは下記一般式(XI)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
(式(XI)中、RおよびR’は炭素数6〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。
また上記式(XI)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−8(商標、旭電化工業(株)製)、JPP681S(商標、城北化学工業(株)製)として市販されておりいずれも利用できる。ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−24G(商標、旭電化工業(株)製)、Alkanox P−24(商標、Great Lakes社製)、Ultranox P626(商標、GE Specialty Chemicals社製)、Doverphos S−9432(商標、Dover Chemical社製)、並びにIrgaofos126および126FF(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)などとして市販されておりいずれも利用できる。ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトはアデカスタブPEP−36(商標、旭電化工業(株)製)として市販されており容易に利用できる。またビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−45(商標、旭電化工業(株)製)、およびDoverphos S−9228(商標、Dover Chemical社製)として市販されておりいずれも利用できる。
(ii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特に3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましく、これらの併用は更に好ましい。100重量部のスチレン系共重合体を基準として、0.01〜0.3重量部のリン系安定剤および0.01〜0.3重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤が配合されることがより好ましい。
(iii)滑剤
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントには、その造形時の可動式ノズルへの樹脂劣化物の付着防止を目的として、更に滑剤を配合することが好ましい。かかる滑剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。かかる滑剤は100重量部のスチレン系共重合体を基準として0.005〜2重量部が好ましい。
中でも好ましい滑剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
本発明の脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の点から好ましく20以下、より好ましくは4〜20の範囲、更に好ましくは4〜12の範囲である。尚、酸価は実質的に0を取り得る。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下が好ましい。尚、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
滑剤の含有量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。特にかかる量の脂肪酸エステルは良好な色相を損なうことなく良好な3次元造形物作成用樹脂フィラメントを提供する。
(iv)紫外線吸収剤
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントは紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントに配合可能な紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として0.01〜2重量部、好ましくは0.03〜2重量部、より好ましくは0.02〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(v)染顔料
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントは更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する造形物を提供できる。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記ブルーイング剤および蛍光染料以外の染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。
上記の染顔料の含有量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(vi)その他の熱安定剤
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントには、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(vii)白色顔料
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントには、白色顔料を配合することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる白色顔料の含有量は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として0.01〜3重量部が好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。白色顔料は2種以上を併用することができる。
(viii)帯電防止剤
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントには、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量は100重量部のスチレン系共重合体を基準として、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
帯電防止剤としては例えば、(2)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、および有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。かかる金属塩は前述のとおり、難燃剤としても使用される。かかる金属塩は、より具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有量は100重量部のスチレン系共重合体を基準として、0.5重量部以下が適切であり、好ましくは0.001〜0.3重量部、より好ましくは0.005〜0.2重量部である。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
帯電防止剤としては、例えば(3)アルキルスルホン酸アンモニウム塩、およびアリールスルホン酸アンモニウム塩などの有機スルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。該アンモニウム塩は100重量部のスチレン系共重合体を基準として、0.05重量部以下が適切である。帯電防止剤としては、例えば(4)ポリエーテルエステルアミドの如きポリ(オキシアルキレン)グリコール成分をその構成成分として含有するポリマーが挙げられる。該ポリマーは100重量部のスチレン系共重合体を基準として5重量部以下が適切である。
(ix)その他の添加剤
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントには、スチレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤、熱線吸収剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
スチレン系共重合体以外の熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、MAS樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(いわゆるPET−G樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂、およびポリブチレンナフタレート樹脂など)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、熱可塑性フッ素樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン樹脂に代表される)、並びにポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、エチレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびプロピレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂など)が例示される。上記他の熱可塑性樹脂は、100重量部のスチレン系共重合体を基準として15重量部以下、より好ましくは10重量部以下が好ましい。
3次元造形物作成用樹脂フィラメントの製造:
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントの製造には、任意の方法が採用される。例えばスチレン系共重合体および任意に他の添加剤の混合(いわゆるドライブレンド)物を押出機等で溶融混練しペレット化した後、押出機によりフィラメントを生産する方法やペレット化せずに混合物を押出機でフィラメント化する方法等が挙げられる。
これら溶融混練に際しての加熱温度は、通常180〜250℃の範囲で選ばれる。
3次元造形物作成用樹脂フィラメントによる造形:
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントは、任意の押出積層による造形物作成装置を使用し、任意の温度で溶融押出して積層造形することができる。本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントの溶融押出温度についてはISO1133に準拠して測定したMFR値が0.4〜4.8g/10分となる温度範囲での使用が好適である。これら溶融押出温度は、通常200〜250℃の範囲で選ばれる。ISO1133に準拠して測定したMFR値が0.4g/10分よりも小さくなる温度で造形すると押出安定性が低下し造形物の外観が悪化するようになる。また、ISO1133に準拠して測定したMFR値が4.8g/10分よりも大きくなる温度で造形すると造形物に糸引き等の外観不良が発生するようになる。
本発明の3次元造形物作成用樹脂フィラメントは、押出積層システムにより3次元の造形物を造形する為に有用であり、当該樹脂フィラメントを使用して押出積層により造形した造形品は、良好な外観であり、且つ、層間での割れが発生し難いものである。したがって、各種アクセサリー、人形等の雑貨類、照明カバー等のインテリア器具類、カメラ、時計、計測器、表示器械等の精密機器等のケース及びカバー類等として好適であることから、本発明の奏する工業的効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例をあげて更に説明する。
3次元造形物作成用樹脂フィラメントによる造形の製造
表1に示すスチレン系共重合体(A−1〜6)を径30mmφの押出機((株)池貝FS30)を使用し、スクリュー回転数100rpmで径0.75mmの樹脂フィラメントを作成した。なお、押出温度は230℃であった。得られた樹脂フィラメントは、3Dプリンター((株)ムトーエンジニアリング製Value 3D Magix MF−1000)を用いて230℃にて、積層ピッチ0.4mmで評価用の試験片を成形、以下の評価を行った。なおスチレン系共重合体(A−1〜3)は実施例で、スチレン系共重合体(A−4〜6)は比較例である。
〈I〉評価項目
(1) 造形性
図1に示すような造形物を作成し、造形性の評価を行った。造形物は縦30mm×横30mm×高さ20mm、壁厚み0.55mmであり、基板上に一層ずつ積層することにより作成した。
なお、評価の判定は特に問題なく造形が可能であった場合を○、フィラメントの可動式ノズルへの送りが不良、または、ノズル部からの溶融押出が不良で造形が出来ない場合は×とした。
(2) 層間の密着強さ
図2に示すような造形物を作成した。造形物は縦30mm×横30mm×高さ20mm、壁厚み0.55mmであり、基板上に一層ずつ積層することにより作成した造形物を4の線で切断し、縦20mm×幅12mm×厚み0.55mmの層間密着強さ測定試験片を作成した。該造形物より切り出した試験片のAおよびBを支持し、50mm/分の速度で引張り、層間での破壊荷重を測定した。
(3) 糸引き性
図3に示すように2つの造形物を作成した。それぞれ高さ20mm×直径10mm×壁厚み0.55mmであり、同一の形状である。基板上に一層ずつ、造形物1と造形物11を交互に積層することにより作成した。
造形物1と11の間で糸引きの状態の評価を行った。なお、評価の判定は糸引きがほとんど認められない場合は○、糸引きが認められる場合は×とした。
〈II〉スチレン系共重合体(A−1〜6)の組成
A−1:スチレン−ブタジエンブロック共重合体A(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=1.8g/10分(230℃/1.2kg荷重))
A−2:スチレン−ブタジエンブロック共重合体B(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=1.4g/10分(230℃/1.2kg荷重))
A−3:スチレン−ブタジエンブロック共重合体C(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=2.0g/10分(230℃/1.2kg荷重))
A−4:スチレン−ブタジエンブロック共重合体A(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=1.8g/10分(230℃/1.2kg荷重))とスチレン−ブタジエンブロック共重合体D(スチレン:ブタジエン=30:70(重量比)、MFR=1.2g/10分(230℃/1.2kg荷重))との混合物(スチレン−ブタジエンブロック共重合体A/スチレン−ブタジエンブロック共重合体D=90/10(重量比))
A−5:スチレン−ブタジエンブロック共重合体E(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=2.0g/10分(230℃/1.2kg荷重))
A−6:スチレン−ブタジエンブロック共重合体F(スチレン:ブタジエン=70:30(重量比)、MFR=3.6g/10分(230℃/1.2kg荷重))
表2の結果より、本発明のスチレン系共重合体(A−1〜3)からなる樹脂フィラメントを使用した実施例1〜3は、本発明の範囲外であるスチレン系共重合体(A4〜6)からなる樹脂フィラメントを使用した比較例1〜3は、造形性、層間の密着強さ、糸引き性の全てが良好な状態とはならないのに対し、何れも良好な状態となることが確認できる。
1 造形物
2 基板
3 可動式ノズル
4 切り取り線
11 造形物
A 試料片支持部分
B 試料片支持部分

Claims (2)

  1. ISO178に準拠して測定した曲げ弾性率が1200〜1600MPaであり、且つ、ISO1133に準拠して230℃/1.2kgの条件で測定したMFR値が0.8〜2.4g/10分であり、ヘイズ値が15%以下である、スチレン系炭化水素ブロックと共役ジエン系炭化水素ブロックより構成されるスチレン系共重合体を含む、押出積層システム用の3次元造形物作成用樹脂フィラメント。
  2. 請求項1記載の3次元造形物作成用樹脂フィラメントを使用して押出積層システムにより作成された造形品。
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