以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
(実施形態1)
本実施形態に係る樹脂成形金型10(樹脂成形金型機構)について図1〜図8を参照して説明する。図1〜図5は、動作中(製造工程中)の樹脂成形金型10を模式的に示す断面図である。また、図6および図7は、それぞれ上型11および下型12のパーティング面(クランプ面、金型面ともいう。)を模式的に示す平面図である。図8は、成形品100(成形後のワークW)の要部模式的断面図である。
図1に示すように、樹脂成形金型10は、一対の金型(一方および他方の金型)を備え、これらの接離動により型開閉可能に構成されている。本実施形態では、一方の金型を上型11とし、他方の金型を下型12としている。この樹脂成形金型10においては、図示しない公知の型開閉機構(プレス機構)が用いられる。この型開閉機構によって、例えば、上型11を固定型、下型12を可動型として型開閉可能な構成としてもよいし、上型11を可動型、下型12を固定型としたり、上型11と下型12とも可動型としたりしてもよい。
樹脂成形金型10では、上型11にキャビティを構成するキャビティ凹部13が設けられている。キャビティ凹部13は、上型11のパーティング面11aから凹むように設けられている。このキャビティ凹部13の内面を含む上型11のパーティング面11aを覆ってリリースフィルムF(以下、単に「フィルム」ともいう。)が張設される。また、樹脂成形金型10では、下型12にワークWがセット(配置)されるセット部14が設けられている。セット部14は、下型12のパーティング面12aに設けられ、図示しない吸引路からワークWを吸引して保持できるように構成されている。セット部14では、ワークWがキャビティ凹部13に対向するようにセットされる。なお、セット部14は、ワークWを収容するように、下型12のパーティング面12aから凹む凹部として設けられてもよい。
このような樹脂成形金型10では、上型11と下型12でワークWをクランプしてキャビティ凹部13が閉塞され(キャビティが形成される)、キャビティ凹部13内に充填された樹脂Rを保圧した状態で熱硬化させて成形品100(図8参照)を製造(形成)する処理が行われる。なお、樹脂成形金型10には図示しないヒータが設けられ、樹脂成形金型10が所定温度(例えば180℃)まで加熱可能な構成となっている。
樹脂成形金型10の処理対象であるワークWは、基板101(例えば、配線基板でも良いし、eWLB(embeded Wafer Level Ball Grid Array)に代表とされる半導体チップを一時的に接着搭載する単なる板状のキャリアで有っても良い。)と、実装部品102(例えば、半導体チップや電子部品などの能動部品や受動部品でも良い。他にリードフレーム等の露出端子を必要とする配線パターンや配線ブロック体であっても良い。)とを備えている。本実施形態では、平面視円形状の基板101上に複数の実装部品102がマトリクス状に整列して表面実装(搭載)される(図7参照)。すなわち、ワークWは、全体として平面視円形状の板状体であり、複数の実装部品102が実装されている。後述するが、基板101の中央部(中心C)に樹脂Rをセット(配置)するので、その位置の基板101上には実装部品102が実装されていない。本実施形態では、ワークWの平面視形状(図7参照)に合わせて、キャビティ凹部13の平面視形状(図6参照)が円形状としている。なお、ワークWの平面視形状は、円形状に限らず、例えば矩形状(図14参照)であってもよい。
このワークWは、成形品100(図8参照)となると、基板101側の基板面102a(基板側表面)に対する反対側の反対面102b(反基板側表面)が露出され、その他の面(基板面102aおよび側面)が樹脂成形部103によって覆われる。すなわち、実装部品102の反対面102bがクランプ面となってクランプされ、実装部品の基板面102aおよび側面がキャビティ凹部13内で樹脂封止される。なお、本実施形態では、ワークW(基板101)の平面視の大きさが、キャビティ凹部13の平面視の大きさよりも大きいものとして説明するが、小さいものであってもよく、この場合は、基板101の側面までも樹脂成形部103によって覆われることとなる。
上型11は、クランパ15と、キャビティ駒16と、プランジャ17と、ベース18とを備え、これら金型ブロックが組み付けられて構成されている。板状のベース18は、支持部として、クランパ15、キャビティ駒16、およびプランジャ17を支持する。また、板状のクランパ15は、後述するが、型閉じ動作において下型12と共にワークW(基板101)をクランプする。また、板状のキャビティ駒16は、部品押圧部として型閉じ動作において実装部品102を押圧する。また、ピン状のプランジャ17は、樹脂押圧部として型閉じ動作において樹脂Rを押圧する。
クランパ15は、バネ部材20(弾性部材)を介してベース18に組み付けられ、型開閉方向に進退動可能に設けられている。クランパ15には、厚み方向(型開閉方向)に平面視円形状(図6参照)の貫通孔15aが形成されており、この貫通孔15aには、キャビティ駒16およびプランジャ17が設けられる。クランパ15は、キャビティ凹部13の側部を構成するが、貫通孔15aの内壁面がキャビティ凹部13の内側面となる。
樹脂成形金型10は、公知の減圧機構を備えており、この減圧機構によってキャビティ凹部13(キャビティ)の脱気を行うことができる。例えば、減圧機構は、クランパ15の下端面(上型11のパーティング面11a)にキャビティ凹部13と外部とを連通するエアベント溝(図示せず)と、外部側でエアベント溝と接続される減圧装置(例えば、真空ポンプ)とを備えている。
また、キャビティ駒16は、バネ部材21(弾性部材)を介してベース18に支持され、クランパ15の貫通孔15a内で型開閉方向に進退動可能に設けられている。キャビティ駒16には、厚み方向(型開閉方向)に平面視円形状(図6参照)の貫通孔16a(ポット)が形成されており、この貫通孔16aには、平面視円形状のプランジャ17が設けられる。また、プランジャ17は、ベース18に固定して支持されている(設けられている)。キャビティ駒16およびプランジャ17は、キャビティ凹部13の底部を構成するが、それらの下端面が平面視円形状のキャビティ凹部13の内底面を構成している。すなわち、キャビティ駒16およびプランジャ17は、キャビティ凹部13の底部で型開閉方向と交差する方向(水平方向)で隣合わさっている。なお、プランジャ17およびこれが挿入される貫通孔16aの平面視形状は、円形状に限らず、矩形状(多角形状)であってもよく、特に円形状の場合はフィルムFを設けなくともよい。
キャビティ駒16は、キャビティ凹部13の底部において実装部品102の配置に対応する位置に設けられて実装部品102の反対面102b(図8参照)で実装部品102をクランプするように設けられている。また、プランジャ17は、実装部品102をクランプせずに樹脂Rを押圧して圧縮(加圧)するように設けられている。キャビティ凹部13の底部(図6参照)では、キャビティ駒16とプランジャ17とによって、実装部品102をクランプする領域と、樹脂Rを加圧する領域に分割されている。本実施形態では、プランジャ17、キャビティ駒16およびクランパ15は、平面視におけるそれぞれの外形が同心状となっている。すなわち、キャビティ凹部13の底部の中央部から外周部へ向かって樹脂Rが流動するように、キャビティ凹部13の底部の中央部にプランジャ17が設けられている。
上型11は、型開きさせた状態(図1参照)において、ベース18の下端面を基準面として、クランパ15の下端面(上型11のパーティング面11a)、キャビティ駒16の下端面、プランジャ17の下端面の順に距離が近くなる。また、ベース18に対して、クランパ15およびキャビティ駒16がそれぞれバネ部材20およびバネ部材21によって独立して型開閉方向に進退動可能に設けられている一方、プランジャ17が固定して設けられている。したがって、プランジャ17は、クランパ15およびキャビティ駒16に対しては相対的に型開閉方向に進退動可能(移動可能)に設けられているとみなすことができる。このように、樹脂成形金型10は、プランジャ17の可動に、複雑な機構を用いるのではなく、型開閉機構を併用して用いることでシンプルな構造となる。なお、プランジャ17は油圧シリンダやモータ等の別駆動のアクチュエータでも良い。
このように、樹脂成形金型10では、キャビティ凹部13の底部において、実装部品102の反対面102bを押圧して実装部品102をクランプする機能(キャビティ駒16)と、樹脂Rを押圧し圧縮(加圧)する機能(プランジャ17)とを分割して独立させている。それぞれの機能が独立して作用するため、例えば、実装部品102の破損を防止して適切な圧力で実装部品102をクランプしつつ、樹脂バリの発生を防止して樹脂Rを加圧することができる。すなわち、樹脂成形金型10を用いて樹脂成形された成形品100の成形品質を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る圧縮成形としての樹脂成形金型10の動作(樹脂成形方法の工程、成形品の製造方法の工程)について説明する。まず、図1に示すように、型開閉可能な一対の金型(上型11および下型12)を備え、上型11のパーティング面11aにキャビティ凹部13が設けられ、キャビティ凹部13に対向するようにワークWがセットされるセット部14が下型12のパーティング面12aに設けられた樹脂成形金型10を準備する。
次いで、樹脂成形金型10を型開きさせた状態において、実装部品102が実装された成形前のワークW(被成形品)をセット部14にセットする。具体的には、図示しないローダによって、ワークWが下型12のパーティング面12aまで搬送されて、セット部14にワークW(より具体的には、実装部品102を上型11側に向けた状態の基板101)がセット(配置)される。このワークWは、下型12に形成された吸引路(図示せず)を利用した公知の吸引装置(例えば、真空ポンプ)により吸着保持されてセット部14にセットされる。
また、樹脂成形金型10を型開きさせた状態において、フィルムFをキャビティ凹部13の内面を含む上型11のパーティング面11aを覆ってセットする。具体的には、上型11では、フィルムFが、ロール状に巻き取られた繰出しロールから引き出されて上型11のパーティング面11aを通過して巻取りロールへ巻き取られるようにして設けられる。このフィルムFは、例えば、クランパ15の内側面(貫通孔15aの内壁面)とキャビティ駒16の外側面との隙間や、キャビティ駒16の内側面(貫通孔16aの内壁面)とプランジャ17の外側面との隙間を利用した公知の吸引装置(例えば、真空ポンプ)に吸着保持されてキャビティ凹部13の内面を含む上型11のパーティング面11aに張設される。フィルムFは、樹脂成形金型10の加熱温度に耐えられる耐熱性を有し、上型11のパーティング面11aから容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材である。フィルムFとしては、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジンなどが好適に用いられる。
このようなフィルムFを設けることで、成形後のワークW(成形品100)を上型11から容易に離型させることができる。また、フィルムFを介してキャビティ駒16で実装部品102を押圧することである程度フィルムFへ実装部品102が食い込むため、実装部品102の反対面102bに樹脂Rが付着するのを防止することができる。更に、上型11のパーティング面11aに張設されたフィルムFは、粘着性の無いフィルムであっても良いが、パーティング面11aとは反対側(下型12側)の面が僅かに粘着性を有するもの(微粘着フィルム)であれば、実装部品102に粘着したまま、キャビティ駒16で実装部品102を押圧することもできる。これによれば、実装部品102の反対面102bに樹脂Rが付着するのをより防止することができる。また、フィルムFを設けることで、例えば、クランパ15とキャビティ駒16との隙間や、キャビティ駒16とプランジャ17との隙間に樹脂Rが入り込んでなる樹脂バリの発生を防止したり、クランパ15やキャビティ駒16が可動しにくくなるのを防止したりすることができる。
続いて、図2および図7に示すように、樹脂成形金型10を型開きさせた状態において、セット部14にセットされたワークWの、プランジャ17に対向する箇所に樹脂Rをセット(載置)する。図7は平面図であるが、説明を明解にするために、樹脂Rにハッチングを付している。具体的には、図示しないローダによってタブレット状の樹脂R(タブレット樹脂)が金型内部まで搬送され、ワークWの所定箇所(プランジャ17に対向する箇所)に樹脂Rが供給される。樹脂Rが実装部品102よりも背を高くした背高樹脂(例えば、タブレット樹脂)の場合、セット領域が狭くても所望の成形樹脂量を確保することができる。
なお、図18〜図20に示すように、例えばタブレット樹脂のような実装部品102よりも背を高くした樹脂R(背高樹脂Rh)の他に、予め実装部品102間に例えば、顆粒樹脂、液状樹脂、シート樹脂のような実装部品102よりも背を低くした樹脂R(背低樹脂Rl)をセット(載置または塗布)してもよい。例えば大面積のワークで成形樹脂量が多く必要な場合であっても、キャビティ凹部13における樹脂Rの未充填を防止することができる。
続いて、型閉じ動作を開始して、図3に示すように、樹脂成形金型10を型閉じ(上型11と下型12とを近接)していき、フィルムFを介して上型11(クランパ15)と下型12とでワークW(基板101)をクランプする。これにより、キャビティ凹部13の開口部がワークW(基板101)によって閉塞される。但し、このときのキャビティ凹部13の深さ(高さ)は、成形品100の成形厚とするための深さよりも深くなっている。そして、キャビティ凹部13の空間は、クランパ15の下端面に形成されているエアベント溝(図示せず)を介して減圧され始める。なお、ワークWの平面視の大きさがキャビティ凹部13の平面視の大きさよりも小さい場合には、クランパ15と下型12とが当接して型閉じ(金型クランプ)した状態となり、キャビティ凹部13内にワークWが収納された状態となる。
続いて、樹脂成形金型10を更に型閉じしていき、図4に示すように、セット部14にセットされたワークWの実装部品102を、キャビティ凹部13の底部におけるキャビティ駒16でクランプして押圧する。このとき、ワークWをクランプしているクランパ15に対してベース18が近接するので、それらの間のバネ部材20が押し縮められる(言い換えると、クランパ15を付勢する)。そして、キャビティ凹部13の深さ(高さ)は、浅く(低く)なり、成形品100の成形厚となる。なお、このときはプランジャ17によって樹脂Rを押圧していない。又は押圧しても樹脂Rが実装部品102まで流れださない程度に押圧することも可能である。
続いて、樹脂成形金型10を更に型閉じしていき、実装部品102をキャビティ駒16で押圧しながら、プランジャ17でワークWに対して樹脂Rを押圧し始め、図5に示すように、型閉じした状態において、キャビティ凹部13内を溶融した樹脂Rで充填させる。具体的には、実装部品102をクランプしているキャビティ駒16に対してベース18が近接するので、それらの間のバネ部材21が縮んで、キャビティ駒16を付勢する。このとき、ベース18にプランジャ17が固定されているので、キャビティ駒16に対してプランジャ17が相対的に下型12側へ可動する。したがって、プランジャ17は、キャビティ13内の樹脂Rを押圧することとなる。
ここで、図5では、キャビティ駒16の下端面とプランジャ17の下端面が面一(ベース18の下端面から同じ距離)となっているが、樹脂成形金型10では所定の成形圧(クランプ圧)において成形樹脂量を調整することができるため、面一となるとは限らない。これは、樹脂成形金型10では、キャビティ凹部13の底部を構成するキャビティ駒16およびプランジャ17が相対的に可動する構成だからである。
例えば、成形樹脂量より多めの樹脂量の樹脂Rがセットされた場合には、その余剰分だけワークW(実装部品102の実装面)に対してプランジャ17の下端面がキャビティ駒16の下端面よりも遠ざかって(後退して)樹脂成形が行われる。このとき、プランジャ17が挿入されている貫通孔16aはオーバーフローキャビティとして作用している。他方、成形樹脂量より少なめの樹脂量の樹脂Rがセットされた場合には、その不足分だけワークWに対してプランジャ17の下端面がキャビティ駒16の下端面よりも近づいて(進入して)樹脂成形が行われる。このように、樹脂成形金型10では、成形樹脂量を調整することができるため、例えば、実装される実装部品102の数が異なるワークWであっても、キャビティ凹部13における樹脂Rの未充填を防止することができる。なお、樹脂量調整としては、このようなキャビティ駒16の下端面に対するプランジャ17の下端面の押圧位置での調整の他に、クランパ15の下端面に凹部を設けた公知のオーバーフローキャビティ(余剰樹脂用の凹部)を用いることもできる。なお、この場合のオーバーフローキャビティには調圧機構のプランジャを内包するオーバーフローキャビティでも良い。
次いで、キャビティ凹部13内に充填された樹脂Rを保圧した状態で熱硬化させた後、型開きして離型したワークWをさらに熱硬化(ポストキュア)させる。これによって、図8に示すように、実装部品102の反対面102bを露出する樹脂成形部103(樹脂R)を備えた成形品100が略完成する。
前述したように、樹脂成形金型10では、キャビティ凹部13の底部において、実装部品102をクランプするキャビティ駒16と、樹脂Rを押圧し圧縮(加圧)するプランジャ17とが型開閉方向において相対的に進退動可能に分割されている。このため、例えば、実装部品102の破損を防止して適切な圧力で実装部品102をクランプしつつ、樹脂Rを押圧し始めることができ、実装部品102の反対面102bで樹脂バリ(成形不良)が発生するのを防止することができる。したがって、樹脂成形金型10によれば、製造歩留まりを向上させることができ、また、成形品100の成形品質を向上させることができる。また、樹脂バリを除去する工程が不要となるため、製造コストを削減させることができる。
ところで、樹脂成形金型10を用いた樹脂成形方法は、前述してきたワークWに限らず、図9に示すようなワークW(3種類のワークW1、W2、W3)にも適用することができる。図9は、種々の各ワークW1、W2、W3の要部模式的断面図である。
ワークW1は、下面104aにバンプ105(ハンダボール)を有する実装部品104が基板101上にバンプ105を介してフリップチップ実装されたものである。前述したように、キャビティ駒16で実装部品104の上面104bを押圧した後に、プランジャ17で樹脂Rを押圧する樹脂成形方法により、ワークW1は、樹脂成形によりバンプ105間を含め基板101と下面104aとの間が樹脂封止(いわゆるモールドアンダーフィル)され、上面104bが露出する。
また、ワークW2は、下面106aにバンプ105、上面106bにバンプ107および他の実装部品108を有する実装部品106が基板101上にバンプ105を介してフリップチップ実装されたものである。前述した樹脂成形方法により、ワークW2は、樹脂成形により基板101と下面106aとの間が樹脂封止されると共に、バンプ107の一部の表面が露出する。
また、ワークW3は、基板101上に実装部品104や実装部品106がフリップチップ実装され、これら積層されたものを覆う(挟む)ように他の基板109(実装部品でもある)がポスト110(実装部品でもある)や実装部品106を介して実装されたものである。前述した樹脂成形方法により、ワークW3は、樹脂成形により基板101と基板109との間(上下基板の間)が樹脂封止されると共に、基板109の上面が露出する。
(実施形態2)
前記実施形態1では、上型11にキャビティ凹部13が設けられた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、その樹脂成形金型10の金型構成を上下逆にした構成であって、下型12にキャビティ凹部13が設けられた樹脂成形金型10Aに関する技術について図10を参照して説明する。図10は、樹脂成形金型10Aを模式的に示す断面図である。この場合の樹脂は液状、顆粒状、粉状、タブレット状のどれでも良い。以降の実施例すべてに当てはまるので、特に種類は記載しない。
樹脂成形金型10Aは、型開閉可能な一対の金型(上型11および下型12)を備え、下型12のパーティング面12aにキャビティ凹部13が設けられ、上型11のパーティング面11aにワークWがセットされるセット部14が設けられている。キャビティ凹部13の底部では、キャビティ駒16の貫通孔16aがポットとなり、この貫通孔16a(ポット)内でプランジャ17に対向する箇所(プランジャ17の先端面)に樹脂Rがセットされる。ベース18の上端面を基準面としてキャビティ駒16の上端面よりプランジャ17の上端面が低位となっている(距離が短くなっている)。このため、ポット(貫通孔16a)に樹脂Rが供給されたとしても、キャビティ凹部13のキャビティ駒16側へは樹脂Rが溢れ出るのを防止することができる。したがって、樹脂Rが付着していないフィルムFを介してキャビティ駒16で実装部品102を押圧することができ、実装部品102の反対面102b(図8参照)に樹脂バリなどの成形不良が発生するのを防止することができる。すなわち、成形品質を向上させることができる。なお、ワークWは、図10では上型11にセットしているが、樹脂Rを下型12の貫通孔16aに搭載した後に、ワークWを下型12のパーティング面12a(セット部14となる)の上にセットしても良い。
(実施形態3)
前記実施形態1では、上型11のパーティング面11aにフィルムFが設けられた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、樹脂成形金型10においてフィルムFを設けない樹脂成形金型10Bに関する技術について図11を参照して説明する。図11は、樹脂成形金型10Bを模式的に示す断面図である。
樹脂成形金型10Bにおいても、ワークWの実装部品102をキャビティ凹部13の底部におけるキャビティ駒16で押圧しながら、プランジャ17でワークWに対して樹脂Rを押圧していき、キャビティ凹部13内を溶融した樹脂Rで充填させて、熱硬化させる。これによっても、実装部品102bの反対面102bで樹脂バリ(成形不良)が発生するのを防止することができる。すなわち、成形品質を向上させることができる。
(実施形態4)
前記実施形態1では、キャビティ凹部13の底部中央に1つのプランジャ17が設けられた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、複数のプランジャ17が設けられた樹脂成形金型10Cに関する技術について図12、図13を参照して説明する。図12は、樹脂成形金型10Cを模式的に示す断面図である。また、図13は、樹脂成形金型10Cの下型12のパーティング面12aの模式的平面図であり、平面視円形状のワークWがセットされている。
樹脂成形金型10Cでは、図12に示すように、キャビティ凹部13の底部が、ベース18によって支持された1つの板状のキャビティ駒16と複数のピン状のプランジャ17で構成されている。すなわち、キャビティ凹部13の内底面がキャビティ駒16の下端面および複数のプランジャ17の下端面で構成されている。キャビティ駒16には、平面視における中心周りであって厚み方向(型開閉方向)に複数の貫通孔16a(ポット)が形成されている。これら複数の貫通孔16aのそれぞれに複数のプランジャ17が設けられている。なお、複数のプランジャ17は、キャビティ凹部13の底部の平面視形状(円形状)の外形に沿って配置される。
このような樹脂成形金型10Cでは、セット部14にセットされたワークWにおいて複数のプランジャ17に対向する複数の箇所(図13中では、8箇所)のそれぞれに複数の樹脂R(タブレット樹脂)がセットされる。これら複数の樹脂Rは、ワークW(基板101)の中心C周りでワークWの平面視円形状の外周形状に沿った箇所にセットされる。このため、ワークWと対向するキャビティ凹部13の底部では、複数のプランジャ17が円形状を描くように配置されることとなる。そして、キャビティ凹部13の平面視形状がワークWの平面視形状に合わせて円形状であるため、複数のプランジャ17は、キャビティ凹部13の底部の平面視形状(円形状)の外形に合わせて(沿って)配置される。したがって、各プランジャ17からキャビティ凹部13の底部と側部との角部(境界部)までの距離が同じとなって、この距離を樹脂Rが流れるため、角部を含めたキャビティ凹部13への充填性を向上させることができる。
また、複数の樹脂Rがセットされる箇所は、マトリクス状に整列して実装された実装部品102間(ピッチ間)、すなわち実装部品102を除くワークWの箇所である。成形樹脂量を同じとした場合、1つではタブレット樹脂が大きくなってしまうが、複数であるとタブレット樹脂が小さくて済む。このため、比較的大きなタブレット樹脂を載置するための領域が必要な前記実施形態1(図7参照)のように、ワークWの中心Cに実装部品102を設けていない場合とは異なり、本実施形態では、ワークWの中心Cに実装部品102がある場合にも対応でき、マトリクス状に配列された実装部品102のピッチ間という狭い領域であっても樹脂Rをセットすることができる。
ところで、樹脂成形金型10Cを用いた樹脂成型方法は、図13に示した平面視円形状のワークWに限らず、図14に示すような平面視矩形状のワークWにも適用することができる。図14は、樹脂成形金型10Cの他の下型12のパーティング面12aの模式的平面図である。図14に示すように、セット部14にセットされたワークWにおいて複数のプランジャ17に対向する複数の箇所(図14中では、12箇所)のそれぞれに複数の樹脂R(タブレット樹脂)がセットされる。これら複数の樹脂Rは、ワークW(基板101)の中心C周りでワークWの平面視矩形状の外周形状に沿った箇所にセットされる。すなわち、キャビティ凹部13の底部において複数のプランジャ17が矩形状を描くように配置されている。そして、キャビティ凹部13の平面視形状がワークWの平面視形状に合わせて矩形状であるため、複数のプランジャ17は、キャビティ凹部13の底部の平面視形状(矩形状)の外形に合わせて(沿って)配置される。したがって、各プランジャ17からキャビティ凹部13の底部と側部との角部(境界部)までの距離が同じとなって、この距離を樹脂Rが流れるため、角部を含めたキャビティ凹部13への充填性を向上させることができる。
(実施形態5)
前記実施形態1では、ワークWに実装される実装部品102の高さが同じものに対応する樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、高さの異なる実装部品102(低い方の実装部品102a、高い方の実装部品102b)を実装するワークWにも対応可能な樹脂成形金型10Dに関する技術について図15を参照して説明する。図15は、樹脂成形金型10Dを模式的に示す断面図である。
図15に示すように、樹脂成形金型10Dでは、キャビティ駒16が内側部16iおよび外側部16oに分割して設けられ、内側部16iおよび外側部16oのそれぞれが独立してプランジャ17に対して進退動可能に設けられている。本図より内側部16iと外側部16oは内側部16が内側のリング形状をしているが、必ずしもリング形状である必要は無く、リングのうち部分的な矩形形状の内側部で分割されていても良い。内側部16iおよび外側部16oは、それぞれバネ部材21iおよびバネ部材21o(例えば、バネ)を介してベース18に組み付けられ、型開閉方向に進退動可能に設けられている。
このような樹脂成形金型10Dでは、型開きした状態で、高さの異なる実装部品102a、102bが実装されたワークWがセットされ、実装部品102aが内側部16iで押圧され、実装部品102bが外側部16oで押圧される。これによれば、ワークWに実装されるものが高さの異なる実装部品102a、102bであっても、それぞれに対応したキャビティ駒16(内側部16iおよび外側部16o)で押圧される。したがって、実装部品102a、102bの表面(基板101とは反対側の面)に樹脂Rが付着するのを防止することができる。
(実施形態6)
前記実施形態1では、ベース18に設けられたバネ部材21がキャビティ駒16を付勢して実装部品102を押圧する樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、ウエッジ機構22を備え、キャビティ駒16の浮き上がりを防止してキャビティ駒16を固定する樹脂成形金型10Eに関する技術について図16を参照して説明する。図16は、樹脂成形金型10Eを模式的に示す断面図である。
ウエッジ機構22は、ベース18とバネ部材21によって吊り下げ支持されたキャビティ駒16との間に重ね合わさったスペーサ部23と、テーパ部24、25とを備えている。テーパ部24、25は、型開閉方向と交差する方向に厚みが異なっており、全体の厚みがその方向に均一となるように、テーパ面同士(テーパ部24の下端面、テーパ部25の上端面)が重ね合わさっている。ウエッジ機構22では、この上下段に重ね合わせたテーパ部24、25のうち一方がエアシリンダ、モータ等の駆動源によりスライド可能な構造になっている。ウエッジ機構22は、一体のキャビティ駒16に対して2組書かれているが、ワークWに対してバランス良く配置されれば良く、3組又は4組等をキャビティ形状に合わせて均等に配置した場合でも良い。
ウエッジ機構22は、互いのテーパ面でスライドさせるようにテーパ部24、25を相対的に移動することでこれら積み重なった全体の厚みを変え、成形品100の成形厚が所望の厚みとなるように、キャビティ駒16を固定する。例えば、キャビティ凹部13内に充填された樹脂Rの保圧など樹脂圧が掛かる際に、ワークWを介して下型12によってキャビティ駒16がバネ部材21の付勢力に抗してベース18側に押し戻されそうとする。このとき、キャビティ駒16の上端面が所定の成形位置でウエッジ機構22(テーパ部25の下端面)に当接しているため、キャビティ駒16を固定とすることができる。したがって、成形品100の成形厚を一定に維持することができる。なお、前記実施形態5のキャビティ駒16を分割可動した内側部16iまたは外側部16oの一方を本実施形態6のウエッジ機構22としても良い。
(実施形態7)
前記実施形態1では、型開閉機構によってキャビティ駒16に対して相対的に型開閉方向に進退動可能なプランジャ17を備えた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、プランジャ17が別の駆動機構によって独立して進退動可能な構成の樹脂成形金型10Fに関する技術について図17を参照して説明する。図17は、樹脂成形金型10Fを模式的に示す断面図である。
樹脂成形金型10Fは、キャビティ駒16およびベース18を貫通するポット26と、ポット26内で進退動可能に設けられたプランジャ27と、公知のプランジャ駆動機構(図示せず)とを備えている。すなわち、プランジャ駆動機構によってプランジャ27が型開閉方向に進退動可能な構成となっている。そして、本実施形態では、ポット26内でプランジャ27に対向する箇所(プランジャ27の先端面)に樹脂Rがセットされる。このように、プランジャ27をキャビティ駒16とは別に可動な構成とすることで、所定の成形樹脂量への調整が容易となって、成形品100を製造することができる。
(実施形態8)
前記実施形態1では、実装部品102を押圧するキャビティ駒16に対して相対的に可動なプランジャ17が設けられた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、プランジャ17と共にキャビティ駒16にゴム部材30(弾性部材)を設けて、ゴム部材30に実装部品102を押圧する機能(部品押圧部40)と樹脂Rを押圧する機能(樹脂押圧部41)とを持たせた樹脂成形金型10Gに関する技術について図18〜図21を参照して説明する。図18および図19は、樹脂成形金型10Gを模式的に示す断面図である。図20は、樹脂成形金型10Gの下型12のパーティング面12aの模式的平面図であり、ワークW上に供給された樹脂R(背高樹脂Rhおよび背低樹脂Rl)が示されている。図21は、樹脂成形金型10Gに用いられる樹脂R(背低樹脂Rl)の模式的平面図である。図18〜図20には、背高樹脂Rhとしてタブレット樹脂が示され、背低樹脂Rlとして顆粒樹脂(図18参照)または液状樹脂(図19参照)が示され、図21には、背低樹脂Rlとしてシート樹脂が示されている。図21に示す背低樹脂Rlのシート樹脂には、セットされたワークWの実装部品102に対応する箇所に貫通孔31aが形成され、プランジャ17(セットされた背高樹脂Rh)に対応する箇所に貫通孔31bが形成されている。なお、本実施形態では、樹脂Rとして、背高樹脂Rhおよび背低樹脂Rlを併用している。
樹脂成形金型10Gは、キャビティ駒16に設けられたゴム部材30(弾性部材)と、ゴム部材30を覆うようにキャビティ凹部13を含むパーティング面11aに張設されたフィルムFとを備えている。具体的には、キャビティ駒16の平面視形状(例えば、環状)に合わせたゴム部材30が用いられ、キャビティ駒16の下端面に接してゴム部材30が設けられる。このため、キャビティ駒16の貫通孔16aに合わせてゴム部材30にも貫通孔が形成されている。このゴム部材30は、実装部品102を押圧する機能(以下、部品押圧部40という)と樹脂Rを押圧する機能(以下、樹脂押圧部41という)とを有する。なお、図18、図19では、実装部品102に対応するゴム部材30の箇所(部品押圧部40)および背低樹脂Rlに対応するゴム部材30の箇所(樹脂押圧部41)が明確となるように破線で示している。
本実施形態に係る樹脂成形金型10Gの動作について説明する。まず、型開きした状態で、セット部14に実装部品102が実装されたワークWをセットする。次いで、型開きした状態において、ワークWのプランジャ17に対向する箇所に背高樹脂Rh(タブレット樹脂)をセットし、ワークWの樹脂押圧部41に対向する箇所(すなわち、セットされたワークWの実装部品102間)に背低樹脂Rl(顆粒樹脂、液状樹脂またはシート樹脂)をセットする。
次いで、型閉じしていき、セット部14にセットされたワークWの実装部品102を、キャビティ凹部13の底部における実装部品102を押圧するゴム部材30の箇所(部品押圧部40)で押圧する。このとき、背低樹脂Rlを実装部品102よりも低くしているので、部品押圧部40が実装部品102に接触する前に、樹脂押圧部41が背低樹脂Rlと接触するのを防止している。
次いで、実装部品102を部品押圧部40で押圧しながら、プランジャ17で背高樹脂Rhを押圧し始め、また樹脂押圧部41で背低樹脂Rlを押圧し始め、キャビティ凹部13内を溶融した樹脂R(背高樹脂Rhおよび背低樹脂Rl)で充填させる。次いで、キャビティ凹部13内に充填された樹脂Rを保圧した状態で熱硬化させ、離型した後にさらに熱硬化(ポストキュア)させることによって、実装部品102の反対面102bを露出する樹脂成形部103(樹脂R)を備えた成形品100が略完成する(図8参照)。このような樹脂成形金型10Gによれば、ゴム部材30の弾性により、実装部品102の反対面102bに樹脂Rが付着するのを防止して余剰樹脂を吸収させることができる。したがって、成形樹脂量より多めの樹脂Rをセットした場合であっても、キャビティ凹部13における樹脂Rの未充填を防止することができる。
(実施形態9)
前記実施形態1では、実装部品102を押圧するキャビティ駒16に対して相対的に可動なプランジャ17が設けられた樹脂成形金型10に関する技術について説明した。本実施形態では、プランジャ17を設けずにキャビティ駒16にゴム部材30(弾性部材)を設けて、ゴム部材30に実装部品102を押圧する機能(部品押圧部40)と樹脂Rを押圧する機能(樹脂押圧部41)とを持たせた樹脂成形金型10Hに関する技術について図22〜図24を参照して説明する。図22は、樹脂成形金型10Hを模式的に示す断面図である。図23は、樹脂成形金型10Hの下型12のパーティング面12aの模式的平面図であり、ワークW上に供給された背低樹脂Rl(液状樹脂または顆粒樹脂)が示されている。図24は、樹脂成形金型10Hに用いられる他の背低樹脂Rl(シート樹脂)の模式的平面図である。
樹脂成形金型10Hの上型11は、クランパ15と、キャビティ駒32と、ベース18とを備え、これら金型ブロックが組み付けられて構成されている。クランパ15は、バネ部材20(弾性部材)を介してベース18に組み付けられ、型開閉方向に進退動可能に設けられている。クランパ15には、厚み方向に貫通孔15aが形成されており、この貫通孔15aには、キャビティ駒32が設けられる。キャビティ駒32は、ベース18に固定して支持されている。キャビティ凹部13の側部がクランパ15で構成され、キャビティ凹部13の底部がキャビティ駒32で構成される。そして、キャビティ凹部13の内底面がキャビティ駒32の下端面で構成される。
樹脂成形金型10Hは、キャビティ凹部13の底部、すなわちキャビティ駒16に設けられたゴム部材30(弾性部材)を備えている。具体的には、キャビティ駒16の平面視形状(例えば、円形状)に合わせたゴム部材30が用いられ、キャビティ駒16の下端面に接してゴム部材30が設けられる。このゴム部材30は、実装部品102を押圧する機能(部品押圧部40)と樹脂Rを押圧する機能(樹脂押圧部41)とを有する。なお、樹脂成形金型10Hでは、キャビティ駒16の下端面に接したゴム部材30を覆うようにキャビティ凹部13にフィルムFが張設される。
本実施形態に係る樹脂成形金型10Hの動作について説明する。まず、型開きさせた状態で、セット部14に実装部品102が実装されたワークWをセットする。次いで、型開きさせた状態において、ワークWの樹脂押圧部41に対向する箇所(すなわち、セットされたワークWの実装部品102間)に背低樹脂Rl(顆粒樹脂、液状樹脂またはシート樹脂)をセットする。
次いで、型閉じしていき、セット部14にセットされたワークWの実装部品102を、キャビティ凹部13の底部における実装部品102を押圧するゴム部材30の箇所(部品押圧部40)で押圧する。このとき、背低樹脂Rlを実装部品102よりも低くしているので、部品押圧部40が実装部品102に接触する前に、樹脂押圧部41が背低樹脂Rlと接触するのを防止している。
次いで、実装部品102を部品押圧部40で押圧しながら、樹脂押圧部41で背低樹脂Rlを押圧し始め、キャビティ凹部13内を溶融した樹脂R(背低樹脂Rl)で充填させる。次いで、キャビティ凹部13内に充填された樹脂Rを保圧した状態で熱硬化させることによって、実装部品102の反対面102bを露出する樹脂成形部103(樹脂R)を備えた成形品100が略完成する(図8参照)。このような樹脂成形金型10Hによれば、ゴム部材30の弾性により余剰樹脂を吸収させることができるので、成形樹脂量より多めの樹脂Rをセットして、キャビティ凹部13における樹脂Rの未充填を防止することができる。
樹脂成形金型10Hでは、図22に示すように厚みが均一なゴム部材30を用いる他、図25に示すように、ゴム部材30の厚みが樹脂押圧部41に対応する箇所より部品押圧部40に対応する箇所で薄いゴム部材33を用いることもできる。具体的には、キャビティ駒32に設けられるゴム部材33は、ワークW(実装部品102)側の面を平坦とし、キャビティ駒32側の面において、部品押圧部40に対応する箇所に凹部を形成して厚みを薄くしている。そして、この凹部に嵌り込むような凸部がキャビティ駒32の下端面に形成されている。これによれば、例えば、厚みのあるゴム部材33の弾性により余剰樹脂を吸収させることができるので、成形樹脂量より多めの樹脂Rをセットして、キャビティ凹部13における樹脂Rの未充填を防止することができる。このため、前記実施形態8(図18参照)で説明したようなプランジャ17を設けなくともよい。
なお、キャビティ駒32の下端面を平坦にしたまま、部品押圧部40に対応する箇所に凹部を有するゴム部材33を用いることで、その凹部による空間を形成してもよい。空間(凹部)を有する部品押圧部40によれば、実装部品102を押圧する際にその空間が狭まり、その作用により樹脂押圧部41が押し出されるようにして樹脂Rを押圧することができる。
(実施形態10)
前記実施形態9では、ベース18に固定してキャビティ駒32が設けられた樹脂成形金型10Hに関する技術について説明した。本実施形態では、型開閉方向に進退動可能にキャビティ駒32がベース18に設けられた樹脂成形金型10Iに関する技術について図26を参照して説明する。図26は、樹脂成形金型10Iを模式的に示す断面図である。
キャビティ駒32は、バネ部材34(弾性部材)を介してベース18に吊り下げ支持され、クランパ15の貫通孔15a内で型開閉方向に進退動可能に設けられている。そして、キャビティ駒32の下面に接してゴム部材30(弾性部材)が設けられている。ゴム部材30は、実装部品102を押圧する機能(部品押圧部40)と樹脂Rを押圧する機能(樹脂押圧部41)とを有するが、バネ部材34の弾性作用によりこれらの機能が発揮され易くなる。したがって、実装部品102の反対面102b(図8参照)に樹脂バリなどの成形不良が発生するのを防止することができる。すなわち、成形品質を向上させることができる。
(実施形態11)
前記実施形態1〜10では、キャビティ凹部13が上型11または下型12のいずれかに設けられる技術について説明した。本実施形態では、上型11および下型12のそれぞれにキャビティ凹部13が設けられる樹脂成形金型10Jに関する技術について図27〜図29を参照して説明する。図27〜図29は、樹脂成形金型10Jを模式的に示す断面図である。
図27に示す樹脂成形金型10Jは、図1に示したキャビティ構造を上型11および下型のそれぞれに適用したものである。図28に示す樹脂成形金型10Jは、図1に示したキャビティ構造を上型11に、図12に示したキャビティ構造を下型12に適用したものである。図29に示す樹脂成形金型10Jは、図1に示したキャビティ構造を上型11に、図17に示したキャビティ構造を下型12に適用したものである。図27〜図29では、図示しないが下型12のベース18の上端面には、型閉じの際に下型12のクランパ15の下端面に当接して動きを規制するストッパが設けられる。なお、前記実施形態1〜10で説明したキャビティ構造を組み合わせて、図27〜図29に示すような上型11および下型12のそれぞれにキャビティ凹部13を有する樹脂成形金型10Jとすることもできる。
本実施形態に係る圧縮成形としての樹脂成形金型10Jの動作(樹脂成形方法の工程、成形品の製造方法の工程)について図27に示すものを代表として説明する。まず、型開閉可能な一対の金型(上型11および下型12)を備え、上型11のパーティング面11aにキャビティ凹部13が設けられ、下型12のパーティング面12aにキャビティ凹部13が設けられた樹脂成形金型10Jを準備する。樹脂成形金型10Jでは、上型11および下型12のそれぞれのキャビティ凹部13の底部が、樹脂Rを押圧する樹脂押圧部17(プランジャ)と、キャビティ凹部13に対向するようにセットされるワークWの実装部品102を押圧する部品押圧部16(キャビティ駒)とを含んで構成されている。なお、本実施形態で示すワークWは、基板101の両面(上下面)に複数の実装部品102が実装されている。
次いで、樹脂成形金型10Jを型開きさせた状態において、上型11のキャビティ凹部13の内面を含むパーティング面11aおよび下型12のキャビティ凹部13の内面を含むパーティング面12aのそれぞれを覆ってフィルムFをセットする。次いで、型開きさせた状態で、下型12のキャビティ13で充填される下型用樹脂Rを、下型12の樹脂押圧部17に対向する箇所(樹脂押圧部17の先端面)にセットする。
また、樹脂成形金型10Jを型開きさせた状態で、セット部14にワークWをセットする。樹脂成形金型10Jでは、下型12のパーティング面12a(下型12のクランパ15の上端面)にワークWがセットされるセット部14が設けられている。このセット部14にワークWがセットされた状態では、下型12のキャビティ凹部13にワークW(基板101)の片側面(下面)に実装されている複数の実装部品102が収容される。次いで、樹脂成形金型10Jを型開きさせた状態で、上型11のキャビティ13で充填される上型用樹脂Rを、セットされたワークWの樹脂押圧部17に対向する箇所にセットする。なお、上型用樹脂RをワークWにセットした状態で、セット部14にワークWをセットしてもよい。
次いで、樹脂成形金型10Jを型閉じしていき、セットされたワークWの一方側(上面側)の実装部品102を上型11の部品押圧部16で押圧する。また、セットされたワークWの他方側(下面側)の実装部品102を下型12の部品押圧部16で押圧する。
次いで、樹脂成形金型10Jを更に型閉じしていき、ワークWの一方側の実装部品102を上型11の部品押圧部16で押圧しながら、上型11の部品押圧部16に対して上型11の樹脂押圧部17を相対的に可動させて、上型11の樹脂押圧部17で上型用樹脂Rを押圧していく。これによって、上型11のキャビティ凹部13内を溶融した上型用樹脂Rで充填させる。また、ワークWの他方側の実装部品102を下型12の部品押圧部16で押圧しながら、下型12の部品押圧部16に対して下型12の樹脂押圧部17を相対的に可動させて、下型12の樹脂押圧部17で下型用樹脂Rを押圧していく。これによって、下型12のキャビティ凹部13内を溶融した下型用樹脂Rで充填させる。
次いで、上型11のキャビティ凹部13内で充填された上型用樹脂Rと、下型12のキャビティ凹部13内で充填された下型用樹脂Rとを熱硬化させた後、型開きして離型したワークWをさらに熱硬化(ポストキュア)させる。これによって、図8に示したような実装部品102の反対面102bを露出する樹脂成形部103を、ワークW(基板101)の両面(上下面)に備えた成形品100が略完成する。