JP2016140923A - 加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転するワーク(円すいころ)に対して砥石を接触させて超仕上げ加工を行う技術において、外観検査を省略又は外観検査による作業負担を軽減することを可能とする。
【解決手段】加工装置10は、円すいころ7を回転させる回転機構30、円すいころ7の外周面8に接触させる砥石11、砥石11を外周面8に押し付けるためのアクチュエーター15、及び、砥石11を外周面8に沿って振動させる振動機構17を備えている。回転機構30は、円すいころ7を載せる一対のローラ28,29と、一対のローラ28,29を回転させるモータ26,27と、外周面8における傷発生の可能性を検知するためにモータ26,27を流れる電流値を検知する検知手段35とを有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転するワーク(例えば、円すいころ)に対して超仕上げ加工を行うための加工装置に関する。
従来、ワークに対して超仕上げ加工を行うために、回転しているワークの加工対象面に砥石を接触させつつ、その砥石を振動させている。例えば、円すいころ軸受の円すいころをワークとする場合、その外周面に対して超仕上げ加工が行われる。この場合、回転する円すいころの外周面に砥石を接触させつつ、その砥石を外周面の母線に平行な方向に沿って振動させる。
このような超仕上げ加工を行うための加工装置として、図5に示すものがある。この加工装置は、砥石91を振動させるための機構として、ベース材95、モータ92、モータ92により回転する偏心カム93、砥石91を保持する砥石台98、及び砥石台98を搭載している可動体94を備えている。可動体94は、ベース材95において往復移動可能として支持されており、偏心カム93の回転運動を可動体94の往復運動に変換することで砥石91を振動させている。このような偏心カム93を用いて砥石91を振動させる構成を備えている加工装置として、特許文献1に記載のものがある。
また、図5に示す加工装置では、円すいころ90を回転させるための機構として、一対のローラ97を備えている。一対のローラ97は、円すいころ90を載せて支持していると共に、モータ96により回転する構成である。
前記のような加工装置によれば、一対のローラ97により円すいころ90を回転させることができ、そして、この回転する円すいころ90に対して砥石91を押し付け、更に、砥石91を振動させることで、円すいころ90の外周面に対して超仕上げ加工を行うことが可能となる。
特開2004−209631号公報
超仕上げ加工を終えた円すいころ90は、加工装置から搬出され、次の検査工程において、外観検査機により外周面の傷の有無等の外観検査を行う必要がある。この外観検査では、超仕上げ加工の際に、円すいころ90の外周面に生じた傷の検出が行われる。
円すいころ等のワークの生産性を向上させるためには、外観検査を省略したり外観検査による作業負担を軽減したりすればよく、そこで、本発明では、外観検査を省略又は外観検査による作業負担を軽減することが可能となる新たな技術的手段を提供することを目的とする。
回転するワークに対して砥石を接触させて超仕上げ加工を行う技術において、本発明の発明者は、ワークの加工対象面に傷が生じる原因の一つとして、回転するワークのスリップに着目した。すなわち、一定の回転速度で回転するローラに沿ってワークが一定の周速度で回転している状態から、何らかの原因によってワークとローラとの間にスリップ(滑り)が生じると、このスリップによりワークの加工対象面に傷が生じる場合があることに着目し、本発明は、このような着想により得られたものである。
すなわち、本発明の加工装置は、ワークを当該ワークの中心線回りに回転させる回転機構、前記ワークの加工対象面に接触させる砥石、前記砥石を前記加工対象面に押し付けるためのアクチュエーター、及び、前記砥石を前記加工対象面に沿って振動させる振動機構を備え、前記回転機構は、前記ワークを載せる一対のローラと、前記一対のローラを回転させるモータと、前記加工対象面における傷発生の可能性を検知するために前記モータを流れる電気の測定値を検知する検知手段とを有している。
本発明によれば、モータによって一対のローラを回転させることによりこの一対のローラ上のワークを回転させ、更に、アクチュエーターによりこのワークの加工対象面に対して砥石を押し付けた状態とし、振動機構によりこの砥石を振動させることで、ワークの加工対象面に対して超仕上げ加工を行うことが可能となる。そして、この加工の中で、検知手段により、前記モータを流れる電気の測定値に基づいてワークにおける傷発生の可能性を検知する。つまり、アクチュエーターによりワークの加工対象面に対して砥石を押し付けると、このワークを載せて回転しているローラには、砥石の押し付け力に応じたトルク(トルク負荷抵抗)が生じる。ワークが一定の周速度で回転している場合、このトルクは一定であり、ローラを回転させるモータを流れる電気の測定値は定常であるが、ローラに対してワークがスリップすると前記トルクが変動し、この変動によりモータを流れる電気の測定値に変化が生じる。そこで、検知手段によれば、この測定値の変化に基づいてワークにおける傷発生の可能性を検知することが可能となる。このように、ワークにおける傷発生の可能性の検知を、加工中に行うことができることから、加工後の外観検査を省略、又は、外観検査を一部省略することで作業負担を軽減することが可能となる。
また、前記回転機構は、前記モータとして、前記一対のローラのうちの一方の第1ローラを回転させる第1モータと、他方の第2ローラを回転させる第2モータとを有し、前記検知手段は、前記ワークにおける傷発生の可能性を検知するために、前記第1モータを流れる電気の測定値と前記第2モータを流れる電気の測定値との差を検知するのが好ましい。
この場合、ワークがスリップすると第1ローラ及び第2ローラの双方のトルク(トルク負荷抵抗)に影響を与えることから、第1モータを流れる電気の測定値及び第2モータを流れる電気の測定値の双方が変化する。そこで、これら測定値の差に基づいてワークにおける傷発生の可能性を検知することで、その検知精度を高めることが可能となる。つまり、例えば、前記差ではなく、各モータを流れる電気の測定値の変化に基づく場合、その変化がノイズによるものであっても傷発生と誤検知するおそれがあるが、前記構成により第1モータを流れる電気の測定値及び第2モータを流れる電気の測定値の双方の変化を監視することで、誤検知を抑制することが可能となる。
また、前記第1モータを流れる電気の第1測定値が前記第2モータを流れる電気の第2測定値よりも大きく、当該第1測定値と当該第2測定値との差が所定値である状態から、当該差が閾値以上について小さくなると、前記検知手段は、前記ワークにおける傷発生の可能性を検知するのが好ましい。
これは、一対のローラに対してワークが押し付けられた状態で、これらローラによりワークを回転させる際、第1ローラにおけるトルク(トルク負荷抵抗)は大きく、第2ローラにおけるトルク(トルク負荷抵抗)が小さいことを利用している。つまり、このようにしてワークを回転させ超仕上げ加工を行っている途中で、ワークがスリップすると、(トルクが大きかった)第1ローラにおけるトルクは小さくなるように変化するのに対して、(トルクが小さかった)第2ローラにおけるトルクは大きくなるように変化し、第1ローラにおけるトルクと第2ローラにおけるトルクとの差が小さくなる。そこで、この差が閾値以上について小さくなると、検知手段が、ワークにおける傷発生の可能性を検知することができる。
また、前記モータは、サーボモータであるのが好ましい。この場合、ワークのスリップに起因するローラのトルク変動を、サーボモータを流れる電気の測定値に基づいて容易に捉えることが可能となる。
本発明によれば、ワークにおける傷発生の可能性の検知を、加工中に行うことができることから、加工後の外観検査を省略、又は、外観検査を一部省略することで作業負担を軽減することが可能となる。
本発明の加工装置の実施の一形態の一部を示す斜視図である。 砥石、円すいころ、及び一対のローラを、ローラの中心線方向に沿って見た場合の説明図である。 第1及び第2モータを流れる電流値の時間変化を示すグラフである。 検知手段の動作を説明するフロー図である。 従来の加工装置の一部を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の加工装置の実施の一形態の一部を示す斜視図である。この加工装置10は、ワークを超仕上げ加工するための装置であり、本実施形態では、ワークが、円すいころ軸受の転動体として用いられる円すいころ7である場合について説明する。
この加工装置10は、回転する円すいころ7の円錐に沿った外周面8に対して砥石11を押し付けながら振動させて、この外周面8を超仕上げ加工する。砥石11を振動させる方向は、円すいころ7の外周面8の砥石11との接触部における母線に平行な方向である。本実施形態では、円すいころ7の外周面8に接触させる砥石11は、その外周面8の母線の方向の長さよりも短く構成されている。
この加工装置10は、円すいころ7を回転させる回転機構30、砥石11、砥石11を円すいころ7の外周面8に押し付けるためのアクチュエーター15、及び砥石11を外周面8に沿って振動させる振動機構17を備えている。
振動機構17は、フレーム39、モータ20、モータ20により回転する第1偏心カム21、第1可動部材13を備えている。本実施形態のモータ20はサーボモータである。
砥石11は、砥石台12に保持されており、アクチュエーター15に砥石台12が取り付けられている。アクチュエーター15は、第1可動部材13に取り付けられていることから、砥石11及び砥石台12は、第1可動部材13に搭載された構成となっている。アクチュエーター15は、砥石11を円すいころ7に押し付けるための推力を生じさせる機能を有している。アクチュエーター15は、例えば電動シリンダからなる。
第1可動部材13は、フレーム39においてガイド部14により往復直線移動可能として支持されており、第1偏心カム21の回転運動が第1可動部材13の往復直線運動に変換される構成となっている。第1可動部材13が矢印X1,X2方向に往復直線運動することにより、この第1可動部材13に搭載されている砥石11を振動させることができる。ガイド部14が第1可動部材13を移動可能として支持する方向が、砥石11の振動方向となる。
また、加工装置10は、更に、前記モータ20により回転する第2偏心カム22、カウンタウエイト23、及びカウンタウエイト23が取り付けられている第2可動部材24を備えている。第2可動部材24は、フレーム39においてガイド部14により往復直線移動可能として支持されており、第2偏心カム22の回転運動が第2可動部材24の往復直線運動に変換される構成となっている。このように第2可動部材24が矢印x1,x2方向に往復直線運動することにより、この第2可動部材24と一体となってカウンタウエイト23が往復直線運動する。
第1偏心カム21と第2偏心カム22とは回転位相が180度異なっており、砥石11等を搭載する第1可動部材13の振動を打ち消すことを目的として、第2偏心カム22によりカウンタウエイト23が往復直線運動する構成となっている。
回転機構30は、一対のローラ28,29と、一対のモータ26,27とを有している。第1モータ26の出力軸26aと第1ローラ28の軸28aとは、ベルト等の動力伝達部材25aにより連結されており、第2モータ27の出力軸27aと第2ローラ29の軸29aとは、ベルト等の動力伝達部材25bにより連結されている。なお、出力軸26aと軸28aとの連結及び出力軸27aと軸29aとの連結は、それぞれの軸に設けられた歯車が噛み合う形態であってもよい。
第1ローラ28と第2ローラ29とは同じ形状を有し、本実施形態ではローラ28,29は、共に円すい台形状を有しており、円すいころ7の外周面8とローラ28,29それぞれの外周面とは線接触するように、ローラ28,29の形状が設定されている。
円すいころ7は、ローラ28,29の間に位置し、かつ、これらローラ28,29の上に載った状態となり、モータ26,27の駆動によりローラ28,29が回転することによって、円すいころ7を、円すいころ7の中心回りに回転させると共に、この円すいころ7を支持することができる。
そして、超仕上げ加工の際、アクチュエーター15により、ローラ28,29上で回転する円すいころ7に対して砥石11を押し付けた状態とする。また、ローラ28,29の回転速度は一定としている。本実施形態のモータ26,27はサーボモータである。
以上より、加工装置10は、円すいころ7を回転させる回転機構30、円すいころ7の外周面(加工対象面)8に接触させる砥石11、この砥石11を円すいころ7の外周面8に押し付けるためのアクチュエーター15、及び、砥石11を円すいころ7の外周面8に沿って振動させる振動機構17を備えており、回転機構30によって回転する円すいころ7の外周面8に沿って、振動機構17により砥石11をこの外周面8の母線に平行な方向に振動させることができる構成が得られる。
本実施形態の加工装置10では、前記モータ20が砥石11を振動させる動力源となり、前記モータ26,27が円すいころ7(ローラ28,29)を回転させる動力源となる。そして、前記回転機構30には、モータ26,27の制御を行う第1制御部18が含まれ、また、前記振動機構17には、モータ20の制御を行う第2制御部(図示せず)が含まれる。本実施形態では第1制御部18が第2制御部を兼ねている。
制御部18は、プログラマブルロジックデバイス等からなり、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性を検知するために、この制御部18は、モータ26,27を流れる電気の測定値(本実施形態では、モータ26,27を流れる電流値)を検知する検知手段35としての機能を有している。
検知手段35は、第1ローラ28を回転させる第1モータ26を流れる電流値i1を取得可能(計測可能)であり、また、第2ローラ29を回転させる第2モータ27を流れる電流値i2を取得可能(計測可能)であり、更に、これらの差Δi(=i1−i2)を求めることができる。
そして、検知手段35は、第1モータ26を流れる電流値i1と第2モータ27を流れる電流値i2との差Δiを検知し、これにより、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性が検知される。
この検知手段35の機能について具体的に説明する。図2は、砥石11、円すいころ7、及び一対のローラ28,29を、ローラ28,29の中心線方向に沿って見た場合の説明図である。
円すいころ7を一方向(図2において矢印r方向)に回転させるためには、第1ローラ28の回転方向(図2において矢印R1方向)と第2ローラ29の回転方向(図2において矢印R2方向)とを同じ(図2では時計回り方向)とし、第1ローラ28と第2ローラ29とを同じ回転速度で回転させる。図2において、円すいころ7と第1ローラ28との接触点をP1とし、円すいころ7と第2ローラ29との接触点をP2としている。
アクチュエーター15(図1参照)によって、砥石11は円すいころ7をローラ28,29間に押していることから、ローラ28,29それぞれには、円すいころ7からの押し付け力F1,F2が作用する。押し付け力F1,F2は等しい。
第1ローラ28に作用する押し付け力F1の分力f1は、この第1ローラ28の回転力に抗する力となるのに対して、第2ローラ29に作用する押し付け力F2の分力f2は、この第2ローラ29の回転力を補助する力となる。
このため、一対のローラ28,29に対して円すいころ7が押し付けられた状態で、これらローラ28,29により円すいころ7を回転させる際、第1ローラ28におけるトルク(トルク負荷抵抗)は第2ローラ29よりも大きくなり、第2ローラ29におけるトルク(トルク負荷抵抗)は第1ローラ28よりも小さくなる。
したがって、図3の時刻t0〜t1に示すように、円すいころ7がスリップすることなく安定して回転している場合、第1ローラ28を回転させる第1モータ26を流れる電流値i1−1は、第2モータ27を流れる電流値i2−1よりも大きくなる(i1−1>i2−1)。なお、以下において、円すいころ7がスリップすることなく安定して回転している場合(時刻t0〜t1)の電流値i1−1,i2−1(図3参照)を、定常電流値ともいう。
図4は、検知手段35の動作を説明するフロー図である。
検知手段35は、刻々と電流値i1と電流値i2とを取得し(図4のステップSt1)、この取得毎に差Δiを演算により求め(ステップSt2)、電流値i1と電流値i2との差Δiの変化を監視する(ステップSt3)。図3において、定常電流値i1−1,i2−1が取得される場合の差Δiを「Δi−1」とする。
円すいころ7に対して超仕上げ加工を行っている途中で、何らかの原因によって、ローラ28,29に対して円すいころ7がスリップすると(図3において時刻t1〜t2)、ローラ28,29(図2参照)それぞれに対する円すいころ7からの押し付け力F1,F2が減少し、これにより、分力f1,f2も小さくなる。
すると、分力f1は第1ローラ28の回転力に抗する力であることから、この分力f1が小さくなると、第1ローラ28のトルク(トルク負荷抵抗)が減少し、図3の時刻t1〜t2に示すように、定格電流値i1−1よりも第1モータ26の電流値(i1−2)が小さくなる(i1−1>i1−2)。
これに対して、分力f2は第2ローラ29の回転力を補助する力であり、この分力f2が小さくなると、第2ローラ29のトルク(トルク負荷抵抗)が増加し、図3の時刻t1〜t2に示すように、定格電流値i2−1よりも第2モータ27の電流値(i2−2)が大きくなる(i2−1<i2−2)。なお、図3において、スリップが生じた場合の第1モータ26の電流値がi1−2であり、スリップが生じた場合の第2モータ27の電流値をi2−2である。
前記のとおり、検知手段35は刻々と電流値(i1−2,i2−2)を取得する(図4のステップSt1)と共にその差Δiを求める(ステップSt2)ことから、スリップが生じた際の電流値i1−2,i2−2の差も求められる。図3において、この差が「Δi−2」である。
検知手段35は、前回、既に求められている前記差「Δi−1」と、今回、新たに求められた差「Δi−2」とを比較し(図4のステップSt3)、これらの変化量が所定の閾値α以上であると判定すると(ステップSt3でYesの場合)、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性を検知する(ステップSt4)。すると、検知手段35は、その検知結果を報知するための信号を生成し、その信号に基づいて、検知結果を図外の出力装置に出力させ、作業者に傷発生の可能性を報知する(ステップSt5)。出力装置としては、例えば、情報を画像や文字で出力するモニタや、音声で出力するスピーカである。
このように、第1モータ26を流れる第1電流値(第1測定値)i1−1が第2モータ27を流れる第2電流値(第2測定値)i2−1よりも大きく(i1−1>i1−2)、これら第1電流値i1−1と第2電流値i2−1との差が所定値Δi−1である状態から、この差Δi−1が閾値α以上について小さくなると((Δi−1)−(Δi−2)≧α)、検知手段35は、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性を検知し、そして、作業者に対して傷発生の可能性を報知する。
以上のように構成された加工装置10によれば、円すいころ7の外周面8に対して超仕上げ加工を行うことが可能となる。つまり、モータ26,27により一対のローラ28,29を回転させることにより、この一対のローラ28,29上の円すいころ7を回転させ、更に、アクチュエーター15によりこの円すいころ7の外周面8に対して砥石11を押し付けた状態とし、振動機構17によりこの砥石11を振動させることで、円すいころ7の外周面8に対して超仕上げ加工を行うことが可能となる。
そして、この加工の中で、検知手段35により、モータ26,27を流れる電流値(電気の測定値)i1,i2に基づいて、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性が検知される。つまり、アクチュエーター15により円すいころ7の外周面8に対して砥石11を押し付けると、この円すいころ7を載せて回転しているローラ28,29には、砥石11の押し付け力に応じたトルク(トルク負荷抵抗)が生じる。
円すいころ7が一定の周速度で回転している場合、このトルクは一定であり、ローラ28,29を回転させるモータ26,27を流れる電流値はそれぞれ定常であるが(図3において、時刻t0〜t1)、ローラ28,29に対して円すいころ7がスリップすると前記トルクが変動し、この変動によりモータ26,27を流れる電流値i1,i2に変化が生じる(図3において、時刻t1〜t2)。そこで、検知手段35によれば、この電流値i1,i2の変化に基づいて円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性を検知することが可能となる。
つまり、円すいころ7を回転させ超仕上げ加工を行っている途中で、円すいころ7がスリップすると、トルク(トルク負荷抵抗)が大きかった第1ローラ28におけるトルク(トルク負荷抵抗)は小さくなるように変化するのに対して、トルク(トルク負荷抵抗)が小さかった第2ローラ29におけるトルク(トルク負荷抵抗)は大きくなるように変化し、第1ローラにおけるトルクと第2ローラにおけるトルクとの差が小さくなる。そこで、この差が閾値以上について小さくなると、検知手段35が、円すいころ7における傷発生の可能性を検知することができる。
また、本実施形態では、検知手段35は、第1モータ26を流れる電流値i1と第2モータ27を流れる電流値i2との差Δiに基づいて、円すいころ7における傷発生の可能性を検知している。これは、円すいころ7がスリップすると第1ローラ28及び第2ローラ29の双方のトルク(トルク負荷抵抗)に影響を与え、第1モータ26を流れる電流値i1及び第2モータ27を流れる電流値i2の双方が変化するためである。
つまり、これら電流値i1,i2の差Δiに基づいて円すいころ7における傷発生の可能性を検知することで、その検知精度を高めることが可能となる。例えば、前記差Δiではなく、モータ26,27それぞれを流れる電流値i1,i2の変化に基づく場合、その変化がノイズによるものであっても傷発生と誤検知するおそれがあるが、前記構成によれば、誤検知を抑制することが可能となる。
特に、本実施形態では、第1電流値i1と第2電流値i2との差Δiが所定値(Δi−1)である状態から、この差Δiが閾値α以上について小さくなると、検知手段35は、円すいころ7における傷発生の可能性を検知する。
これは、一対のローラ28,29に対して円すいころ7が押し付けられた状態で、これらローラ28,29により円すいころ7を回転させる際、第1ローラ28におけるトルク(トルク負荷抵抗)は大きく、第2ローラ29におけるトルク(トルク負荷抵抗)が小さいことを利用している。
つまり、このようにして円すいころ7を回転させ超仕上げ加工を行っている途中で、円すいころ7がスリップすると、トルクが大きかった第1ローラ28におけるトルクは小さくなるように変化するのに対して、トルクが小さかった第2ローラ29におけるトルクは大きくなるように変化し、第1ローラ28におけるトルクと第2ローラ29におけるトルクとの差が小さくなる。そこで、この差が閾値α以上について小さくなると、検知手段35により、円すいころ7の外周面8における傷発生の可能性が検知される。
また、本実施形態では、ローラ28,29を回転させるモータ26,27は、サーボモータであることから、ローラ28,29に対する円すいころ7のスリップに起因するローラ28,29のトルク変動を、サーボモータ26,27を流れる電流値i1,i2に基づいて容易に捉えることが可能となる。
以上より、本実施形態の加工装置10によれば、円すいころ7における傷発生の可能性の検知を、加工中に行うことができることから、加工後の外観検査を省略、又は、外観検査を一部省略することで作業負担を軽減することが可能となる。この結果、円すいころ7の生産性を向上させることができる。
本発明の加工装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、前記実施形態では、検知手段35は、モータ26,27を流れる電流値i1,i2に基づいて機能する場合について説明したが、電流値以外であってもよく、モータ26,27を流れる電気の測定値であればよく、例えば抵抗値を用いてもよい。
また、振動機構17は、図示した構成以外であってもよい。
また、前記実施形態では、超仕上げ加工を行う対象となるワークを、円すいころ7とする場合について説明したが、ワークはその他のものであってもよく、例えば、転がり軸受の外輪であってもよく、この場合、外輪の軌道面を超仕上げ加工する。
7:円すいころ(ワーク) 8:外周面(加工対象面) 10:加工装置
11:砥石 15:アクチュエーター 17:振動機構
26:第1モータ 27:第2モータ 28:第1ローラ
29:第2ローラ 30:回転機構 35:検知手段

Claims (4)

  1. ワークを当該ワークの中心線回りに回転させる回転機構、前記ワークの加工対象面に接触させる砥石、前記砥石を前記加工対象面に押し付けるためのアクチュエーター、及び、前記砥石を前記加工対象面に沿って振動させる振動機構、を備え、
    前記回転機構は、前記ワークを載せる一対のローラと、前記一対のローラを回転させるモータと、前記加工対象面における傷発生の可能性を検知するために前記モータを流れる電気の測定値を検知する検知手段と、を有している、加工装置。
  2. 前記回転機構は、前記モータとして、前記一対のローラのうちの一方の第1ローラを回転させる第1モータと、他方の第2ローラを回転させる第2モータと、を有し、
    前記検知手段は、前記ワークにおける傷発生の可能性を検知するために、前記第1モータを流れる電気の測定値と前記第2モータを流れる電気の測定値との差を検知する請求項1に記載の加工装置。
  3. 前記第1モータを流れる電気の第1測定値が前記第2モータを流れる電気の第2測定値よりも大きく、当該第1測定値と当該第2測定値との差が所定値である状態から、当該差が閾値以上について小さくなると、前記検知手段は、前記ワークにおける傷発生の可能性を検知する請求項2に記載の加工装置。
  4. 前記モータは、サーボモータである請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工装置。
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